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西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年1月20日(金) 11:40~12:06  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 お疲れ様です。本日は私のほうから三点、冒頭にお話をさせていただきたいと思います。
 まず一点目が、インド・ラオス・タイの訪問についてでございます。11日から18日まで、インド・ラオス・タイを訪問いたしました。インドでは、ヤーダブ環境・森林・気候変動大臣と会談いたしました。今年、G20の議長国を務められるインド、そしてライフスタイル変革、海洋プラスチック、適応やロス&ダメージ等の分野を、G7議長国を務める日本とG20のインドの共通の議題として連携していくことを話し合い、意見の一致を見たところでございます。また、二国間クレジット制度JCMの早期構築について私のほうから改めて働きかけ、そして説明をさせていただいたところでございまして、事務的に今、更に話を調整している段階でございます。さらに、日本・インド環境ウィークの開会式にヤーダブ大臣とともに出席をいたしました。この環境ウィークには、日印両国の民間企業や政府関係者など700名以上が出席して、大変盛況に開催されました。また、ラオスでは今年のASEAN環境大臣会合の議長を務められるヴォーラチット天然資源環境大臣と会談をいたしました。日・ASEAN環境ウィークの成功に向けて協力することで一致したほか、JCMやSATOYAMAイニシアティブを通じた協力についても協議をいたしました。このほか、JCMにより整備されました水上太陽光発電システムやフロン破壊施設等を視察するとともに、日本企業が参画する自動車リサイクル処理施設や医療廃棄物の処理施設等を訪問し、日本の技術がアジア各国の環境・気候変動対策に貢献しているということを、この目で見て実感いたしたところでございます。
 二点目でございます。条件付特定外来生物の指定についてであります。本日、先ほどの閣議において、外来生物法施行令の改正が決定いたしました。アカミミガメとアメリカザリガニを新たに特定外来生物に指定した上で、一部の規制を適用除外とするものであります。これらについては、通称「条件付特定外来生物」と呼ぶことといたします。これら条件付特定外来生物のポイントは二点でございます。第一は、令和5年6月以降、輸入、放出、販売、頒布、購入などを許可なしで行うことが禁止されます。第二は、規制の導入によりまして、飼育されている個体が遺棄されることを防ぐために、販売、頒布を目的としない一般家庭などでの飼育や、飼えなくなった個体を無償で飼える者に譲渡することなどは手続なしで、引き続き可能としております。アカミミガメやアメリカザリガニは、日本の生態系に甚大な被害をもたらしております。飼い主の方々には、絶対に野外に放出せず、最後まで大切に飼っていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。環境省では、今回の規制内容を分かりやすく説明したYouTuberとのコラボ動画やチラシをホームページに掲載しております。是非御覧いただければというふうに思っております。
 三点目が対話フォーラムにつきましてでございます。「福島、その先の環境へ。」と題した対話フォーラムを新潟県において開催いたします。福島県の除去土壌等の県外最終処分に向けた全国における理解醸成、これを進めるために、通算七回目の対話フォーラムになります。明日1月21日、新潟県において開催して、私も現地に赴いて出席したいと思っております。除去土壌の再生利用等に関する理解が深まるように、参加者の皆様と丁寧なコミュニケーションを図りたいと思っております。オンラインでも中継する予定でありまして、是非多くの皆様に御覧いただきたいと考えております。冒頭は以上でございます。

2.質疑応答

(記者)読売新聞の山波と申します。冒頭、御説明ありました条件付特定外来生物の指定に関して質問させてください。6月の規制導入までの間、先ほども注意喚起がありましたが、現在飼っていらっしゃる飼い主さんには野外に放出をしないようにというような注意喚起もされていらっしゃいました。この6月までに、規制の内容についての周知を徹底、普及啓発というのが求められているかと思いますが、それに向けた今後の取組について御意向をお伺いします。お願いします。
(大臣)アカミミガメやアメリカザリガニは、水草や絶滅危惧種の捕食などによって、生態系に甚大な被害を及ぼしております。例えばアメリカザリガニは、生き物のすみかになる水草の切断や絶滅危惧種等の捕食、そしてまたアカミミガメは、その生き物のすみかとなる水草の捕食、そして在来カメ類との競合、こういった被害が生じているところでございまして、今回の規制が施行されます6月1日に向けて、規制の内容を多くの人に正確に知っていただくことによって、更なる被害を食い止めたいというふうに考えています。
 アカミミガメにつきましては、昨年の8月と12月にYouTubeにおいて、環境系のエンターテイナーのWoWキツネザルさんとコラボした動画を公開いたしました。非常に反響がよくて、表示数、インプレッション数が40万を超える状況だったというふうに承知しております。WoWキツネザルさんの説明が非常に分かりやすいと同時に、環境省の担当局長が非常にすばらしいアピールをしたというふうに承知しているところでございます。
 またアメリカザリガニにつきましては、Twitterやホームページにおいて、子供の皆さんにも分かりやすく、適切な飼い方などを説明したイラストや動画を公開しているところでございます。こういったものによって、皆さんの関心が高まってきていると承知しておりますし、更に努力してまいりたいと思っております。
 規制内容をまとめたチラシを本日より、ホームページに掲載しておりまして、規制内容、飼い方などについて気軽に相談できる相談ダイヤルを開設しております。ちなみにこれがそのチラシでございます。ここにあるように、放出や販売・購入は駄目ですよと。ただ、今回は飼育に関しては大丈夫ですよと。こういった形で出しておりまして、また飼育の仕方については、裏においても説明しておりますので、これは後ほど事務方のほうから、皆さんのほうに出させていただきたいというふうに考えております。
 野外に放出しないということが最も重要でありまして、規制が生態系の保全につながるように、今後も報道機関の皆様方の協力も得ながら、様々な形での情報発信により、周知を徹底してまいりたいというふうに考えております。
 
(記者)NHKの安藤です。私も条件付特定外来生物についてお伺いします。昨年の国会でも答弁ありましたが、アカミミガメは特に寿命が40年近くと、大変長く生きるということで、飼い主の中には買い続けられるかが課題となっている方もいます。最期まで責任を持って飼うという終生飼養が原則だと思いますが、飼い続けることができない飼い主に対しては、放出という最悪の事態を招かないためにも、どのような対応を求められるか、改めて呼びかけをお願いできますでしょうか。
(大臣)先ほどお話ししたように、飼えなくなったアカミミガメを野外へ放出するということは、他の生物が食べられるなどといった生態系の被害に直接つながる行為でありますので、また外来生物法にも違反するので絶対にやめていただきたいというふうに考えています。今、御指摘あったように、まずは飼い主として終生飼養に努めていただきたいというわけでございますが、どうしても飼えない、そういった場合には、代わりに飼育できる方を探すなどによって、責任を持って対応していただきたいというふうに考えています。
(記者)殺処分の必要性についてはいかがでしょうか。
(大臣)生物の命というのは非常に貴重なものでありますので、できるだけ殺処分を避けた形で、代わりに飼っていただける方を探していただきたいと思っておりますけれども、野外に放出するということだけは絶対避けるという意味においては、殺処分、御指摘あったことも選択肢の一つではあろうというふうに思います。しかしながら、先ほど申し上げたように、できるだけ、せっかく飼っていた大切な命でありますので、終生飼養または代わりの方を是非探すように努めていただきたいと思います。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。今週の月曜日ですけれども、東京の六本木のマンションでスプレー缶のガス抜き処理に伴うと見られる火災がありました。スプレー缶のガス抜き処理に伴う火災は、2018年にも大規模なものが札幌でありまして、44人の負傷者を出すというようなこともあって、当時環境省も通知を出しているということですけれども、こういったスプレー缶のガス抜きに伴う火災件数などの現状と、あと、スプレー缶廃棄の際の改めての注意喚起があれば教えてください。
(大臣)まず、今般の爆発事故で被害に遭われた皆様方に、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。東京消防庁によりますと、令和3年において、東京消防庁管内において、いわゆるスプレー缶のガス抜き等による火災、これは20件発生しているという報告を受けております。環境省の調査では、これは令和2年度になりますけれども、全国の市区町村のごみ処理施設等において、スプレー缶が原因の発火事故件数は368件でございます。こうしたスプレー缶の廃棄時の事故防止対策につきましては、環境省において、これまでも通知等により周知してきたところでありますけれども、今回の事故を踏まえて、昨日19日に改めて対策の徹底を自治体に通知したところでございます。国民の皆様には、スプレー缶の廃棄の際には、最後まで使い切った上で、換気のよい屋外でガス抜きをするということを是非お願いしたいというふうに思います。
(記者)ありがとうございます。あと、先ほどのアカミミガメ等の件ですけども、殺処分に関しては具体的にどういった手順を取ったらいいかとか、普通の一般の方はなかなか分からないと思うのですけども、6月までに具体的なアクションというか、そういったものがあれば教えてください。
(大臣)殺処分に関しては、特にそういったやり方というのは、まだ私のほうは報告を受けておりませんけれども、先ほど申し上げたように大切な命ですので、せっかく飼い続けてこられた皆様には終生飼養、そしてどうしても駄目な場合には代わりに飼育していただける方、これを是非探していただきたいというふうに思います。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。来週月曜から通常国会が始まりますけども、約60本の法案提出予定という報道がありますが、環境省関連でどういう予定をされているのか、条約も含めて。これが一つ。GXの基本方針を法制化するのが、原子力も含めて、重要法案の一つとされていますが、特に環境省が重要視するのは、制度化の点でどんなところと認識されているか。以上二点です。
(大臣)まず本日の閣議において、予定法案とすれば60件、総体としてですね。そして、条約が12件。その他にも検討している法案があるというふうに承知しております。環境省としても、今調整しておりますので、正確には、決まった段階で申し上げたいと思いますが、おおむね熱中症の関係、そしてまたGXの関係に関する法案を考えているところでございます。
 そして、GXの法案でございますけれども、これGX実現に向けた基本方針を踏まえて、電気の安定供給の確保の観点から、電気事業法に新たに原子力発電所の運転期間に係る規定を設けるわけでございまして、併せて高経年化した発電用の原子炉に関する安全規制を厳格に行うための原子炉等規制法の改正を行うものでございます。
(記者)GX関連法でいくと、環境省所管の既存法の見直しなり、手当というのは必要になるのでしょうか、ならないのでしょうか。その辺の見通しはどうですか。
(大臣)今、お話ししたように、高経年化した発電用の原子炉の安全規制、こういったものが原子炉等規制法に関わっているものでございまして、これと電気事業法の関係で少し法案の移動等々も想定されておりますので、その辺をしっかり詰めた上でやっていきたいというふうに考えています。
(記者)環境省は、かねがね再生エネ促進区域・先行地域も設けてやっておりますけども、そういう面の根拠を法制化とか、そういうことは考えてないですか。
(大臣)まず現状においては、そういった報告は来ておりません。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。政府は昨年末に、国家安全保障戦略に「反撃能力」を明記しました。これは原発へのミサイル攻撃抑制策になると環境新聞は考えますが、西村大臣の御見解はいかがでしょうか。これは環境大臣としてではなく、原子力防災担当大臣の西村明宏様への御質問です。
(大臣)国家安全保障戦略において、「反撃能力」については「有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止する。」というふうに記載されたというふうに承知されております。いずれにしても政府としては、まず我が国に対して、直接脅威が及ぶことを防止、排除すべく、様々な外交努力を推進していくものでございます。原子力発電所等の安全確保に限らず、いかなる事態にありましても国民の生命、財産を守るということが重要でございまして、政府全体として連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えています。
(記者)今の質問に関連しまして、質問させていただきます。中国、北朝鮮、ロシアの核武装国に囲まれている日本の原発防衛のためには、日本独自の核武装も必要だと思います。政府が今通常国会に提出する原子力基本法改正案には、「平和利用」の文言が削除されない見通しです。西村大臣は、この政府の方針をどう受け止めているのですか。
(大臣)まず、この法案自体が検討中の法案でございますので、その内容につきましてコメントするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
(記者)本紙を始め、全国紙のメディア等々に、もう原子力基本法の改正ということはさんざん報道されていますし、環境新聞としても、原子力基本法の改正案は出すということは、もう確たる事実として把握しております。大臣がまだ決まっていないということは、今の段階で言えないのかもしれませんけれども、西村大臣としては、原子力防災担当大臣としては、日本の原発を守るためにも、反撃能力の一つの手段として、核兵器を使う日本独自の、あるいは米国と共同した核シェアリングによる核攻撃をも、反撃能力の中に含めると考えるべきでしょうか。どう考えていますか。
(大臣)先ほどもお話ししたように、いかなる事態にありましても、国民の皆様の生命と財産を守るということが重要でありますので、政府全体として、国民の皆様の生命と財産を守るために連携してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。冒頭、大臣がおっしゃった、ラオス、それからタイ、インド訪問に関連して伺うのですが、成果は非常にあったのだろうと想像しますけれども、5月の広島サミットに関連して、こういう東南アジア及び中国、最大のCO2排出国、これとの温暖化対策のスキームを是非、小峰さんのような防衛力の強化という信念の話もありますけども、一方で、やっぱり民生的な、特に中国を引き込んだJCMの大規模展開というか、経産省はアジア共同ネットワーク構想とかと言っていますけれども、これを環境省主導で、今までやっぱり歴史はあるわけですから、環境協力の。中国を引き込んで、G7のアジア国代表としての一つのスキームを提示すべきじゃないかと思うのですけれども、西村構想としても、その辺どうですか。そういう考えはありませんか。
(大臣)昨年行われた、G20やCOP27、COP15、そうした会談の中でも、そしてまた今回のインドを中心とした外交日程においても、先進国のみならず途上国も含め、共に気候変動に協力していく必要性というのは常に訴えてまいりましたし、今回もインドのヤーダブ大臣においてもそういった話をしてきたところであります。また、中国の代表ともそれぞれのCOP等々において、直接バイの会談をして、そういった話もしているところでございます。おっしゃるように、中国やインドといった排出量の多い国々、こういった国々に日本の技術をできるだけ協力しつつ、温室効果ガスの削減を日本の技術をもって減らしていくという協力体制を敷いていくということは、御指摘のように大変重要だと思っておりますし、これからも先ほど申し上げたように、インドにおいて今回はJCMについてのお話もしてまいりました。こういったものを是非活用しながらですね、世界各国から共通した認識の基に、この取組を進めていきたいというふうに考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。今、エネルギージャーナル社の清水さんの質問に関連してですが、中国に安易に技術協力や資金協力を環境面でやった場合ですね、それが軍事面に悪用されるという例が、1989年の円借款の天安門事件後の再開で、ほとんどが軍事力に回っている実態があるわけです。安易にあの国を信用して環境協力することは、環境新聞としては反対です。大臣としてもそういうふうなことから、安易に中国との環境協力は進めるべきではないと思いますけど、いかがでしょうか。
(大臣)そういった御指摘はしっかり受け止めてまいりたいと思っております。ただ、私が先ほど申し上げたように、温室効果ガスの削減、そして気候変動の対策といったものは、排出量の多い中国やインドを始めとした途上国の皆さん方の協力がなければ進まないものだというふうに思っておりますので、そういった意味で、しっかり協力体制を敷いていきたいというふうに申し上げたところでございます。
 
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=Mz0F20LXdlk&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 

(以上)

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