法務省・新着情報

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年11月29日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、「ADRの日」、「ADR週間」についてです。
 この度、裁判以外の紛争解決手続であるADRや、これにデジタル技術を活用したODRの一層の浸透を図るため、ADR法の公布日である12月1日を「ADRの日」、同日から12月7日までの一週間を「ADR週間」とすることにしました。ADRの日には、オンライン・フォーラムを開催するとともに、関係団体等と連携して、ADR・ODRの集中的・一体的な広報活動を展開していきます。
 ADRは、裁判手続と比べまして、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図るなど、柔軟な対応が可能であるという特長があります。
 社会経済が複雑・高度化する中、国民の皆様に、多様な紛争解決手段を提供し、紛争の実情に応じた適切な手続を選択していただく上で、ADRやその利便性を高めるODRの拡充・活性化を図ることが極めて重要です。
 そのためには、何よりもまず、国民の皆様にADR・ODRのことを広く知っていただくことが大事です。
 報道機関の皆様方におかれましても、このような趣旨を是非御理解いただき、ADR・ODRの周知広報への御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 2件目は、刑務所と地方自治体や民間企業の方々が連携した再犯防止の取組についてです。
 官民協働の刑務所である喜連川社会復帰促進センターでは、本日から約4か月にわたり、栃木県さくら市、株式会社小学館集英社プロダクション、ヤフー株式会社と連携し、ネットストアの開設・運営に係る職業訓練「ネット販売実務科」を実施いたします。
 この訓練の目標は、さくら市にあります「道の駅きつれがわ」のストアサイトをYahoo!ショッピング内に立ち上げることです。職業訓練最終日の令和5年2月7日には、訓練で制作した地元特産品のコンテンツについて、受刑者自身が関係者にプレゼンを行う予定です。
 この訓練は、地方公共団体、民間企業と連携し、受刑者に社会復帰後に有用なスキルを習得させることを目指す再犯防止の取組です。
 それとともに、訓練で立ち上げたストアサイトを通じて、地域の特産品等の地産外商を実現するなど、地方創生にも資する取組と考えています。
 この取組を通じて、受刑者と地域に良い成果がもたらされることを期待しています。

「ADR週間」に関する質疑について

【記者】
 「ADR週間」についてお伺いします。今回の「ADR週間」では、広報啓発など具体的にどのような取組をするのか、もう少し詳細を教えてください。

【大臣】
 「ADRの日」、「ADR週間」は、本年3月に策定したODR推進のためのアクション・プランに基づいて定めたものです。
 具体的な取組としましては、「ADRの日」である本年12月1日に、ADR・ODRの周知広報に関する情報共有等を目的とし、ADR事業者等のほか一般の方々も対象とするオンライン・フォーラムを開催し、研究者による基調講演や「ADR・ODRの国民への浸透」などをテーマとするパネルディスカッションを実施する予定です。
 また、認証事業者や関係団体等の協力を得まして、「ADR週間」中の広報啓発活動を強化するなど、一体的な広報活動を行うほか、ホームページやSNSを利用したADR・ODRの集中的な情報発信を行うことを予定しております。
 法務省としては、ADR・ODRが、魅力的な紛争解決手段の選択肢の一つとして、国民に幅広く認知され、活用していただけるよう努力してまいりたいと思います。マスコミの皆様にも、是非御協力いただければと思います。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 前回の記者会見で、11月18日に東京入管でイタリア人男性が自殺したということが取り上げられました。その後、この件についてどのような対策を取られているのかという点。
 それから、入管の長期収容に関しては、先月も国連自由権規約委員会の日本審査で、入管行政の恣意的拘禁が指摘されて、司法審査の導入や独立した国内人権機関の創設の必要性などが勧告されました。過去に何度も同様の勧告が出ていますが、日本政府は放置し続けています。また再び死亡事件が起きてしまいました。国連からの度重なる勧告に今後どのように向き合うのか。今回のイタリア人男性死亡事件に関しても、法務省の内部調査ではなく、国際人権基準にのっとった第三者委員会のようなものを立ち上げるお考えがあるのかどうか、この点についてお願いします。

【大臣】
 まず、イタリア人男性の件ですけれども、本件に関しましては、まず入管庁において、死亡に至る経緯の確認を含め、適切に対処していくということです。まだ事実関係をしっかりと把握するところの段階であると思っていますので、その事実関係をしっかりと確認し、適切に対処していくよう、入管庁に指示をしているところです。
 それから、人権規約委員会からの勧告についてお話がありました。御指摘の所見のうち、我が国の入管行政に関して、自由権規約委員会から勧告等がなされたことはもちろん承知しています。この勧告等では、我が国の入管行政における対応について歓迎されているものもあるなど、一定の評価もされていると認識しています。今後、勧告等の内容を精査し、その趣旨を尊重しつつ、我が国の実情等を踏まえ、適切に対処していきたいというのが、今の時点の私の考えです。
 先ほどの件について、第三者の調査を、という話がありましたけれど、私としては、まずは入管庁本庁において、しっかりとした事実関係の確認を優先して行った上で、更なる詳細な調査が必要かどうか、あるいはどういう方法を取るべきかといったことについては、その後の検討ということにしていきたいと考えております。

「旧統一教会」問題に関する質疑について

【記者】
 「統一教会」問題について、2点ほど簡潔に伺います。
 「統一教会」の被害者個々人の救済の必要性が国会でも議論されていますが、被害者救済に向けては、海外にある「統一教会」の資産を差し押さえるなど、国民の税金を用いず全て教団に支払わせるのが筋ではないかと考えますが、この点のお考えをお聞かせください。
 また、日本の教団は「統一教会」の一支部にすぎず、信者の献金を韓国の本部に差し出してしまっていると思われます。その「統一教会」が日本で集めた巨額の資金がどこへ流れ、どのように使われたのかという資金の流れの全容を解明する必要があります。特に、文鮮明が北朝鮮に送金した後、北朝鮮の核開発、ミサイル開発のために使われているのではないかという疑惑があり、この問題は刑法上、また、国家安全保障上の問題として追及されるべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 大変重要な御指摘だと思いますけれども、法務大臣としての立場でお答えさせていただくしかないかなと思っています。
 まず私としては、寄附の不当な勧誘によって生じた被害を救済するという観点から、まずは国内において必要な措置を講じていくことが、大臣として重要であると考えています。
 御案内のように、現在、寄附の不当な勧誘による被害の救済を容易にするため、「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」が既に閣議決定されているほか、寄附に関する新法が消費者庁において検討されています。
 法務省としては、それらの法律案中、当省の所管事項に関する事項について必要な協力をするなど、引き続き被害者の救済に向けた取組に万全を尽くしてまいりたい、我々ができることをしっかりやっていくということに尽きるだろうと思います。
 ただ、刑法上の問題のあるものにつきましては、捜査機関の活動内容に関わるということもあるので、法務大臣としてコメントは難しいかなというふうに思っています。

(以上)

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