厚労省・新着情報

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年10月11日(火) 16:00~19:00

場所

オンライン開催

議題

(1)「第4期がん対策推進基本計画」に向けた議論について
(2)その他

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「がんとの共生のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、健康局がん・疾病対策課の原澤と申します。8月1日付で、がん対策推進官に着任いたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本検討会はYouTubeにて配信をしておりますので、その点も御承知おきいただきますようお願いいたします。
 まず初めに、構成員の出欠状況でございます。本日は全ての構成員に御出席いただいておりますが、冒頭、黒瀨構成員が遅れてのご参加になりますこと御承知おきください。
 初めに、構成員の交代がございましたので、御報告いたします。羽鳥構成員に代わりまして、今申し上げましたが、日本医師会常任理事、黒瀨巌構成員が就任されておりますので、御承知おき願います。今は御不在ですので、御挨拶については割愛させていただきます。
 また、構成員につきましては、参考資料1として構成員名簿を載せておりますので、併せて御参照いただきますようお願いいたします。
 続きまして、参考人の御紹介でございます。本日、参考人といたしまして、独立行政法人国立病院機構九州がんセンター院長、藤也寸志先生、また、国立がん研究センター先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野分野長、小川朝生先生の2名に御参加いただいておりますので、御承知おき願います。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1から5まで、及び参考資料1から7までがございますので御確認ください。
 冒頭の事務局からの御案内は以上でございます。
 また、以上をもちましてメディア等の撮影については終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただくよう御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、以降の進行につきまして、西田座長にお願いしたいと思います。西田座長、よろしくお願いいたします。
○西田座長 西田でございます。原澤推進官、御紹介ありがとうございます。
 構成員の皆様方、本日御参加いただきましてありがとうございます。先ほど御案内いただきましたように、黒瀨構成員が少し遅れられるということですけれども、後ほど参加していただけると思います。また、今日は参考人、従来から参加していただいております九州がんセンター病院長の藤先生並びに小川先生、ぜひよろしくお願いします。
 本日は7回目ということで、今日は非常に重要な会でございます。これからのがん対策をつくっていく回になりますので、皆さん方の熱い御議論・御提案をぜひ頂きたいと思います。
 本日の議論に入る前に、前回の議論の整理ということで、事務局に資料1を用意していただいていますので、事務局から簡単にサマリーをよろしくお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料1「前回の議論の整理」について御説明いたします。
 2ページを御覧ください。前回の議題になります。がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針の見直しについて、がんの緩和ケアに係る部会からの報告について御議論いただきました。また、がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針の見直しに対する本検討会から提案をがん診療連携拠点病院の指定要件に関するワーキングに提出し、御議論いただきました。
 3ページ以降は、提案した内容から令和4年8月に発出されました整備に関する指針の共生部分の抜粋となりますので、簡単に御報告いたします。
 緩和ケアの提供体制につきましては、イにございます、がん患者の身体的苦痛や精神心理的苦痛、社会的に問題等の把握及びそれらに対する適切な対応を、診断時から一貫して行っていること。
 続きまして、5ページを御覧ください。地域連携の推進体制としてクにございます、都道府県や地域の患者会等と連携を図り、患者会等の求めに応じてピア・サポートの質の向上に対する支援等に取り組むこと。
 続きまして、6ページを御覧ください。その他の環境整備等として、マル3にアピアランスケアに関する情報提供・相談に応じる体制を整備していること。また、マル4にがん患者の自殺リスクに対し、関係職種に情報共有を行う体制を構築しておくこと、地域の医療機関と連携体制を確保していること。
 下段にございます人材育成に関しましては、自施設の診療従事者等に利用できる制度や連携体制について学ぶ機会を年1回以上確保していることとしております。
 次に、7ページを御覧ください。がん相談支援センターに関しましては、マル2に相談支援に携わる者は、対応の質の向上のために、相談員の研修等により定期的な知識の更新に努めること。
 また、情報提供・普及啓発につきましては、マル3に地域を対象として、緩和ケアやがん教育、患者向け・一般向けのガイドラインの活用法等に関する普及啓発に努めること等が反映されております。
 以上となります。
○西田座長 ありがとうございます。今日は非常に議題が多いですし、後半が非常に重要なところなので簡単にまとめていただきました。先生方、何か追加の御意見等ございませんでしょうか。
 木澤先生、緩和ケア部会にも参加されていたのですけれども、追加コメントありますか。
○木澤構成員 いえ、ここまでは大丈夫です。ありがとうございます。
○西田座長 それから、もう一つ、今日も話題になりますけれども、高山先生、相談支援のところで追加の意見等何かございますか。
○高山構成員 今現在は大丈夫です。ありがとうございます。
○西田座長 皆さん方、特に前回の議論に関してはよろしいですね。これは公示されてしまっていますので、藤先生がまとめていただいたと理解させていただいています。
 ありがとうございました。皆さんに御了解いただいたということで、2番目に進みたいと思います。緩和ケアに係る部会からの基本計画への提案ということで、部会の長が今日は欠席されているので、事務局から簡単にサマリーをお願いできますでしょうか。
○がん対策推進官 それでは、資料2につきまして事務局から簡単に内容の御説明をさせていただきたいと思います。
 「第4期がん対策推進基本計画に対する『がんの緩和ケアに係る部会』からの提案について」でございます。西田座長からも御案内のとおり、議論の内容が多く、本資料も膨大でございますので、ポイントを絞って御説明させていただこうと思います。
 まず、2ページから「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」ということで、3ページ以降に資料を御用意してございます。3ページはサバイバーの不安・抑鬱、4ページはがんの診断が行われる医療機関の状況について、5ページは治療中の体験について、6ページは痛みがあった理由に関する調査について、7ページに症状に対する患者の訴えと医療従事者による評価の乖離ということで、実態等をお示ししているところでございます。
 8ページに、現状と課題について少し整理して記載してございます。治療開始前の段階から、抑鬱や不安などに対する心理的な支援が必要であることが示されている。がんの診断や検査については、拠点病院等に限らず、検診医療機関やかかりつけ医などの役割が大きいと考えられるが、これらの緩和ケアの実態が十分に把握されていない等の現状と課題を整理しております。
 これらを踏まえて9ページと10ページに今後の方向性について整理しております。
 まず、9ページを御覧いただければと思います。1つ目、国は拠点病院等を中心としたがん診療に携わる医療機関において、全てのがん患者に対して入院、外来を問わず苦痛の把握に努め、必要な緩和ケアが提供され、また、がん患者の苦痛や問題等の把握及びそれらに対する適切な対応が診断時から一貫して経時的に行われるよう、必要な体制の整備を進めるということ。2つ目、特に、がんの診断時は、がん患者及びその家族にとって、診断による衝撃への対応や今後の治療・生活への備えが必要となる重要な時期であることを踏まえ、これらの精神的苦痛や社会的苦痛に対する適切な支援を提供できるよう、医療従事者への普及啓発策等を含め、必要な体制の整備を進めるといった方向性の御提案をいただいております。
 10ページでございます。1つ目、拠点病院等は、がん診療に携わる全ての診療従事者の対応能力を向上させる観点から、組織上明確に位置づけられた緩和ケアチームによりこれを支援する。定期的な病棟ラウンドやカンファレンス、必要に応じた助言・指導等が行われる体制を整備するといった御提案を頂戴しております。
 全て読み上げることはいたしませんので、適宜御参照いただければと思います。
 続いて、11ページから「がん診療連携拠点病院等以外における緩和ケアの推進」ということで、12ページに拠点病院と非拠点病院における緩和ケアの提供における差に係る資料をお示ししております。
 13ページに、現状と課題及び今後の方向性を整理してございます。現状と課題として、がん診療連携拠点病院等は一定の実態の把握がなされているが、それ以外のがん診療を実施している医療機関の中には、緩和ケアの提供が十分になされていない施設も存在することが示唆されるものの、実態の把握が十分ではない可能性があるといったことを踏まえ、今後の方向性として1つ目、国は、がん診療連携拠点病院以外においても緩和ケアを推進する必要があり、その検討のために、がん診療連携拠点病院等以外における緩和ケアの提供体制等について実態の把握を行うといった御提案を頂戴しております。
 続いて14ページからでございます。「がん相談支援センターの活用について」でございます。
 15ページ、初診時からのがん相談支援センターの活用に係る患者体験調査をお示ししております。
 16ページは、こちらの活用状況についてのお示しでございます。こちらは相談支援センターの利用の有無や役に立ったかどうかといったアンケート調査になります。
 17ページに、現状と課題及び今後の方向性を整理しており、現状と課題についてはお示しのとおりでございます。
 今後の方向性として1つ目、拠点病院等は、がん相談支援センターを設置し、引き続き、がん患者や家族等が持つ医療や療養等の課題に関して、全人的な相談支援を行う。その周知のため、全てのがん患者及びその家族が、外来初診時から治療開始までをめどに、一度はがん相談支援センターを訪問することができる等の体制の整備に努める。また、地域の住民や医療・在宅・介護福祉等の関係機関に対し、がん相談支援センターに関する広報を行い、自施設に通院していない者からの相談にも対応する。さらに、相談支援センターの認知度の継続的な改善に努めるといった御提案を頂戴しております。
 続いて、18ページより「実地調査について」でございます。
 19ページ、第3期がん対策推進基本計画の実施調査に係る事項について。
 20ページ、国・都道府県の実地調査、ピアレビュー、第三者評価について。
 21ページ、都道府県による実地調査のパイロット調査の概要について。
 22ページ、都道府県による実地調査における主な課題についての整理がございます。
 以上、まとめて23ページが現状と課題でございますが、現状と課題はお示しのとおりでございまして、今後の方向性として、国は、実地調査の方法について、示された様々な課題を踏まえ、また、感染症流行時等においても実施できる等、実効性のある方法について厚生労働科学研究を実施し、改めて検討を行うという御提案を頂戴しております。
 続いて、24ページでございます。「緩和ケアチームの質について」というテーマでございます。
 25ページ、緩和ケアチームの新規介入患者数についてのデータをお示ししております。
 こちらを踏まえまして、26ページに現状と課題及び今後の方向性の整理をしております。現状と課題はお示しのとおりで、今後の方向性としては、国は、緩和ケアチームの技術や提供するケアの質の評価、チームの構成との関係等について、厚生労働科学研究等で研究を行う。その結果を踏まえ、緩和ケアチームにより提供されるケアの質を高める方策について検討を行うという御提案を頂戴しております。
 続いて、27ページ以降になります。「専門的な疼痛治療について」というテーマでございます。
 28ページに、痛みがあった理由に関する調査の結果をお示ししております。
 29ページに、疼痛への対応についてお示ししております。
 30ページに、難治性がん疼痛に関する施設対象全国調査で、腹腔神経叢ブロックの実施率等を示しております。
 31ページも、腹腔神経叢ブロックの実施状況等について。こちらは非拠点病院や在宅における実施状況をお示ししております。
 32ページ、難治性がん疼痛に関する施設対象全国調査という形でお示ししております。
 33ページにここまでをおまとめしておりまして、現状と課題について1つ目、患者に苦痛があった理由について、医師が対応したものの十分な苦痛の緩和が得られなかったケースが一定程度存在していると考えられることや、主治医や担当医は、把握した患者の苦痛について、基本的緩和ケアを行うとともに、その段階にかかわらず放射線治療や神経ブロック等の専門的な疼痛治療について考慮するべきであるといった現状と課題についての整理をいただいた上で、今後の方向性で1つ目、国は、拠点病院等を中心としたがん診療に携わる医療機関において、神経ブロックや緩和的放射線治療等の専門的な疼痛治療が適切に活用されるよう、医療従事者への理解を促すことや、2つ目、拠点病院等は、地域におけるがん診療に携わる医療機関等と連携し、専門的な疼痛治療に係る普及啓発及び実施体制の整備を進めるといった御提案を頂戴しております。
 続いて、34ページから「外来における緩和ケアについて」でございます。
 35ページには、緩和ケア外来の設置状況等についてお示ししております。
 36ページは、緩和ケア外来の年間新規診療症例数についてお示ししております。
 37ページは、地域の医療機関から緩和ケア外来への紹介患者数についてお示ししております。
 38ページに、現状と課題及び今後の方向性をお示ししております。現状と課題はお示しのとおりで、今後の方向性について、国は、外来における緩和ケアの提供体制、実績について現況報告書等で継続的に把握し、外来においても全てのがん患者の苦痛の緩和が図られるよう、その提供体制を改善するための方策について引き続き検討するという御提案を頂いております。
 続いて、39ページ「緩和ケア研修会について」というテーマでございます。
 40ページ、がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の概要についてお示ししております。
 41ページ、緩和ケア研修会の実施状況について累積の修了書の交付枚数等のデータをお示ししております。
 42ページ、連携する地域の医療機関における緩和ケアに関する研修についてお示ししており、こちらは地域がん診療連携拠点病院の指定要件に関する情報をお示ししております。
 43ページに、現状と課題及び今後の方向性をおまとめしております。現状と課題はお示しのとおりで、今後の方向性として、国は、がんに携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを実施できるよう、緩和ケア研修会における学習内容のみならず、緩和ケア研修会の在り方自体についても見直しを検討するという御提案を頂戴しております。
 続いて、44ページ「緩和ケアの普及啓発について」でございます。
 45ページ、がん等における新たな緩和ケア研修等事業の概要についてお示ししております。右下に普及啓発が位置づけられております。
 46ページ、緩和ケアの普及啓発に関する今回の第3期の基本計画の中間評価をお示ししております。
 現状と課題等の整理を47ページにお示ししてございます。現状と課題はお示ししているとおりで、今後の方向性は、国は、国民が緩和ケアに関する正しい知識を持てるよう、引き続き普及啓発を継続するという御提案を頂戴しております。
 続いて48ページから「緩和ケアの地域連携について」でございます。
 49ページ、がん患者はどこで看取られているかの実態に関する情報をお示ししております。
 50ページに、地域緩和ケア等ネットワーク構築事業についてお示ししております。
 51ページ、現状と課題及び今後の方向性の整理でございまして、現状と課題はお示しのとおりで、今後の方向性で1つ目、拠点病院等は、地域の医療機関や在宅療養支援診療所等の医療・介護を担う機関等と連携し、地域における緩和ケアの状況や課題を把握した上で、それぞれの地域の状況に応じた緩和ケアの提供体制を構築することにより、その課題等を解決する。そのために、実務者による話し合いの場だけではなく、それぞれの代表者同士による話し合いの場を設置するよう努める等の御提案を頂戴しております。
 続いて、52ページ、最後のセクションでございます。「感染症流行時等における緩和ケアの提供体制について」。
 53ページに、緩和ケア病棟におけるCOVID-19の影響ということで、実態のデータをお示ししております。
 54ページ、現状と課題及び今後の方向性についてお示ししており、今後の方向性として、拠点病院等は、感染症の蔓延や災害等の状況においても必要な緩和ケアの提供体制が地域で確保されるよう、事前に緩和ケアを含むBCPを策定する等の対応を連携する医療機関とともに検討するという御提案を頂戴しております。
 長くなりましたが、事務局からの資料の御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○西田座長 原澤推進官、まとめていただきましてありがとうございます。
 この後議論する中にも一部重なりがあるのですけれども、緩和ケア部会からの御意見、特にがん患者さんが持っておられる4つの痛みをどう取り除くか、まだ十分ではないということで、1つは、現場での痛みを取り除くことをさらに高めなければいけない。もう一つは、時間軸でいくと、がんと診断されたとき、つまり拠点病院に来る前の話から、拠点病院を離れた後、後方でも一定ケアをしなければいけない。それをどうやって組織立ってつくっていくかというのが提案されているかと思いました。
 構成員の皆様方、御意見をいただけますか。
 いつも最初に名前を挙げて申し訳ありませんが、まず緩和ケア部会の木澤先生、何か追加で御意見ございますか。
○木澤構成員 対応は今、御発表があったとおりだと思うのですけれども、3点付け加えさせていただきます。
 1つは、患者会の皆様方からずっと言われているところですけれども、診断時の衝撃です。ここについては、十分なケアが実践できているとは言いがたい状況でして、もちろん医師に対するコミュニケーションスキルのトレーニングも重要だと思いますけれども、その後患者さん1人になって、おうちに帰るまで何も覚えていないというようなことがあると聞いています。そこに対して、看護師さんや心理士さんも含め必要なサポートを提供するような整備が必須だと思うので、外来看護の充実を含めて、その辺は連携を図りながら対応していくべきだなと思っています。
 2つ目ですが、文章では触れられていなくて非常に残念なのですけれども、拠点病院以外での緩和ケアの充実については、終末期の医療について何も触れられていません。がん治療を終了されてから亡くなるまでにも患者さんには人生があって、生活の質を担保する必要があるのですけれども、残念ながら言及がありません。同じく地域連携についても、患者の半分以上は高齢者の方であり、地域包括ケアシステムの中で医療が継続されていくわけですけれども、そことの連携や医療の質の評価、終末期医療の評価が入っていません。緩和ケア病棟、在宅、一般病院含め実態把握とありましたが、特に終末期医療に関しては実態を評価し、遺族調査等を含め、その質を見て改善を図る努力が必要だろうと思います。
 3つ目、がん疼痛、専門的な疼痛に関する人材育成とありましたけれども、特にこの部分に人が足りないということで書かれていると思うのですが、もちろんそれは大切だと思うのですけれども、緩和ケア全般に担当する医師も看護師も不足している状態ですので、そこに限定せず緩和ケアに携わる医療従事者全体に関する人材育成について要望したいなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございました。さっきの特殊な領域というのは、確かになかなかいらっしゃらないのは事実なのですけれども、緩和ケアのフィジカルの担当者も、メンタルな方も各拠点病院で人を確保できていないのも事実なので、ぜひそちらも考えたいと思います。
 先ほど木澤先生がおっしゃったのは、診断時、前前前拠点病院受診前のところでいかに患者さんにアプローチするかということ。それから、最期在宅になるのか、あるいは緩和ケア病棟になるのか分かりませんけれども、終末期医療までもちゃんと評価できるようにする、あるいはその質を上げることが大切という御指摘だったと思います。
 このあたりに関しましても、あるいは患者サイドから見ていかがでしょうか。岸田構成員、いけますか。あるいは鈴木構成員、何か御意見ございますか。
○鈴木構成員 木澤先生のおっしゃるとおりだと思ってお伺いしていて、17ページで「全てのがん患者に対して、がん相談支援センターの存在や受けられる支援について、診断された時点より周知する必要がある」と入れていただいていますけれども、これはがん相談支援センターについてもそうだし、緩和ケアについてもそうで、診断時の衝撃が大きいというのは患者からよくあると木澤先生もおっしゃいましたけれども、本当にそのとおりで、わけも分からないまま家に帰るしかなくて、その後は何も覚えていなくて、精神心理的にとてもまいってしまった状態で私たちのセンターに来る方がとても多いです。なので、診断時のショックをどうにか和らげた状態で病院を出られるような支援をぜひ病院側でしていただけるとありがたいなと感じています。
○西田座長 ありがとうございます。多分その病院というのは拠点病院ではなくて、ごく普通の医院であったり、場合によっては検診センターかなということなので、やはり情報や資料をどう届けるかも重要ですし、社会のリソースにどう協力いただくかも重要ではないかとお聞きしました。
 それ以外に御意見ございませんか。岸田構成員。
○岸田構成員 この部会の議論の中でもあったのですが、今日の話に含まれるかもしれませんけれども、50ページにあります地域緩和ケア等のネットワーク構築事業での地域緩和ケア連携調整員というのがあったと思います。これに関しまして、2018年の段階にはなりますけれども、延べ900人の受講されている方がいらっしゃいますが、その部署だけにいる人たちだけではないので、部署異動などで今その人たちがそれぞれ関わられているか、どうなのかなといったところが不安なところでもあります。かつ、受講するところに関しては、受講率が100%のところもあれば、10%近くのところもあれば、本当に都道府県によって地域格差がすごくあるので、こういったところでハブとしてつなげる人たちが地域によって人の格差があるところは、もっともっと重点的に取り組んでいただきたいなと。患者が相談しても、こういったところで取り残されてしまわないように考えていきたいなということを発言させていただきます。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。そのほかございませんか。
○黒瀨構成員 よろしいですか。日本医師会の黒瀨でございます。理事会がありましたもので、遅れてすみませんでした。
 先ほど来お話が出ている50、51ページあたりのことですけれども、木澤構成員がおっしゃられたように、地域の緩和ケアは地域包括ケアの中の一つの大きな大切な部分として捉えるべきだと私も考えておりますので、先ほども日本医師会の会議でもあったのですけれども、今回のコロナ禍において、しっかり地域包括ケアができている、その仕組みがしっかりとできていて有事に対する備えもできていた自治体が、自宅療養の患者さんをしっかりサポートできたところもありますので、一番最後の感染症流行時等における緩和ケアの提供体制も絡めて、「地域包括ケア」という言葉を念頭に置いてシステムをつくっていただければと思いました。
 以上でございます。
○西田座長 ありがとうございました。非常に大事な御指摘かと思います。がんだけではなくて、地域包括ケア全体で見ていかなければいけないと思いますので、医師会の協力はぜひ欠かせないと私自身も思っています。
 それ以外ございませんか。高山構成員、先ほど岸田構成員が言われた、人人材をせっかく育てたのだけれども異動があったりして困る。これは相談支援なども同じような課題を抱えているかなと思うのですが、質をどう保っていくかにつきまして御意見ございましたら、よろしくお願いします。
○高山構成員 ありがとうございます。国立がん研究センターの高山です。
 私は直接相談員の教育研修に携わっていますが、(相談員の)異動もありますが、異動は必ずしも悪いものではないというのも一方であるかなと思っています。一定の教育研修あるいは実際に相談対応した者がほかの病棟に行くとか、あるいは違った職場に行ってその知識を生かしていただくところは大事かと思います。そのような状況であるのであれば、異動も想定した上での教育研修の体制は、一つ考え方として持っておく必要があるのかなとは思っています。
 一方で、それをしつつも、ネットワークづくりということなどだと人と人との関係というところでは、人を介してこそよりよい対応・ケアにつながることがありますので、そうした人と人とのつながり、顔の見える関係もつないでいくという仕組み・体制、会議の中で会えるような仕組みもつくっていくことも大事なのかなと思っていますので、いろいろなものとの抱き合わせでやっていく必要があるかと思っています。
 また戻りますが教育研修というところでは、これは多分相談員以外にもあらゆるところで大事になってくることだと思っていますが、がん対策がいい意味で新しい施策が加わってきているということでは、それを(現場で)アップデートできるような体制。今回、整備指針の中に拠点病院の医療スタッフは1年に1回に必ず教育研修を受けるといった内容の記述がされました。私はこれにすごく期待しているところですが、全体でまた考えていければいいと思っております。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 そのほかありませんでしょうか。前田構成員、地域連携室におられると思うのですけれども、地域連携室として何かありますでしょうか。そのほか牧野構成員か誰か、挙手されておりますか。
○牧野構成員 よろしいでしょうか。ありがとうございます。私からは、患者の療養生活の質の向上についてお伝えしたいと思います。
 先ほど黒瀨構成員からおっしゃってくださった、地域包括ケアの中に緩和ケアも含めて考えていくという考え方に賛成です。緩和ケアの提供については、地域の実情や今後のがん診療提供体制の在り方を踏まえますと、それを担う人材の育成がとても重要だと考えております。総合的にチームとして考えていくと捉えますと、緩和ケア研修会について、医師等の構成員が誰なのかを明確にすることが必要なのではないかと考えております。
 また、例えばですが、介護支援専門員を含む多職種も含めたチームで研修を行うことも有効だと考えます。研修に関わった者は緩和ケアについて我が事として関わるきっかけを持つことになると感じます。これを申し上げた理由なのですが、遺族調査を見てみますと、死亡前1か月間の患者の療養生活の質について、痛みが少なく過ごせた患者の割合や、体の苦痛が少なく過ごせた割合については、今後改善の余地があると考えたためです。
 以上です。
○西田座長 御指摘ありがとうございます。緩和ケア講習会をどうやっていくか、医師だけで本当にいいのかというのは非常に議論しなければいけないかなと思います。
 そのほか御意見ありますか。藤先生ですか。
○藤参考人 私、参考人ですけれども、発言させていただいてよろしいでしょうか。
 私は、今回の拠点病院の整備指針の作成に関わった者として少し発言させていただきたいと思います。緩和ケアの提供体制の中で、既にデータの中でおっしゃいましたけれども、拠点病院として今まで緩和ケアチームが緩和ケアの提供体制の一番に出てきていたのですが、今回は一番に出すのは全ての診療従事者が全てのがん患者さんに対して緩和ケアの認識をしっかり持つということ、まずボトムアップをしていかなければいけないという意味合いのことを含めて書かせていただきました。緩和ケアチームももちろん難しい症例の対象というのは当然のことですが、大切なのは全ての医療従事者に緩和ケアのレベルアップを図るようなことを考えてくれという意味合いで、方針を書かせていただいたところです。
 相談支援センターに関しましても、初診時から治療開始までをめどに1回は場所が分かるようにすること以外に、初診時だけが相談支援センターが必要になるときではありませんので、診療の途中で、例えば、退院のときに初めて聞きたいことができるということもあると思いますので、診療の過程全部の中で頻回に周知することをトライすることという書き方をさせていただきました。
 いずれも今書いているわけですけれども、中間評価を参考にして今後の方針として整備指針に入れさせていただきましたので、今度これを基本計画の中でもっとはっきり明確にすること。そして評価の仕方なども含めて検討いただければいいのかなと思って聞いておりました。
 以上でございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。いかがでしょうか。
 木澤先生、スクリーニングに関しては結構大変だなという意見を前々回くらいに頂いたと思うのですが、追加でございますか。
○木澤構成員 発言機会をいただいてありがとうございます。今の点ですけれども、藤先生に言っていただいたとおり、第1期のときから緩和ケア研修会に力を入れている一番の理由は、緩和ケアの専門家は少ないですから、その者だけがいくらしゃかりきになって頑張っても国全体の緩和ケアの質を上げることはできないし、患者さんのQOLを上げることはできないといことが根底にございます。ですから、これからも一層、基本教育の充実を図っていかなければいけないと思います。
 さっき牧野先生に言っていただいた、ケアマネさんや福祉職への緩和ケア研修は別途考えなくてはいけなくて、今の枠組みは内容がかなり医療に寄っているんです。確かに諸外国の例をとると、例えば、イギリスの緩和ケアの基本研修は職種別にe-learningが分かれているという構成をとっていまして、職種を選ぶと学習内容が変わるという形になっていますので、そういう構成へのつくり変え、もしくは緩和ケアは何もがんだけのものではないですので、いわゆる他疾患に応用できるような枠組みを作っていくのが現実的だと思いますので、将来的にはそういう方向性で考えていくのがいいだろう。それが地域包括ケアの充実にも寄与するだろうと思いますので、がんだけで整理するという考え方はおかしいと思うので、必ずその姿勢をもって学習内容の充実に取り組むべきだろうと思っておりますし、そこに人をかけるべきだろうと思っています。
 もう一つだけいいですか。せっかく森内構成員に出席していただいているので伺いたいのですけれども、外来看護の充実がかなりキーになるだろうと思っているんです。がん以外もそうですけれども、外来医療にどんどん移ってきている現在、外来看護の質をどう上げるかについて、どんな施策を考えられているかを教えていただければ大変助かります。すみません。
○西田座長 森内構成員どうぞ。
○森内構成員 ありがとうございます。日本看護協会の森内です。
 外来看護の充実というのは、まさしく今、皆様お話しのように、診断時の衝撃をどうフォローしていくのか、サポートしていくのかはとても重要なことだと思っています。しかしながら、外来看護の配置数につきましては、今充足しているような状況ではないこともありまして、本会からも要望しているところです。外来看護の診断時のフォローや様々な悩み等々も含めながら、どのようにがん看護を充実していくのかは、本会としても取り組んでいかなければならないと考えておりますし、それぞれのところでも取組を工夫されている状況がありますので、一緒にやらせていただきたいと思っているところです。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございました。木澤構成員がおっしゃったように、私も実はお医者さんだけでは無理だなと思っていて、多職種でやらなければいけないと考えています。緩和ケア講習会も含めてですけれども、特に診断時からやろうと思えば、多分医師をいくら研修しても駄目です。それ以外の職種にきちんと理解してもらうことが大事かなと思います。ぜひ、そういう方向へ進めていければいいなと思います。
 それ以外にほかに御意見ございますか。小川先生どうぞ。
○小川参考人 私も参考人ではあるのですけれども、緩和ケアの部会も絡んでおりまして、その点で部会の議論で何点かだけ補足させていただければと思っております。
 主要な点は西田先生が御紹介くださったように、今回の緩和ケアの部会では、1つは診断時の時点がいわゆる従来の緩和ケアと違う。特に、心理的な面含めて拠点病院であれば病院全体、医療従事者がという藤先生がおっしゃった、まさしく全体挙げてどう組むのか、そこを結構大きなポイントとして挙げております。
 今回あまり主要な項目で見えなかったのですけれども、診断時からの中で、特に「診断時の」と別に挙げているのは、主治医の先生が、例えば、院内の相談支援センターやあるいは使える社会資源を最初にきっちり伝える場を持っていただく、そのあたりが強調されているのかなと思いました。
 2つ目も、連携のところで木澤先生が御指摘くださったように、多分地域との連携が大事です。残念ながら拠点病院というのは二次医療圏で、地域包括ケアというのはいわゆる小中学校のサイズ、そのサイズの違いがあって、そこをどうつなげるのかが大きな課題になるのですけれども、残念ながらその連携体制は組めていない。先ほども岸田構成員から御紹介くださった緩和ケアの連携員というのはあるのですけれども、残念ながら実務課としては動くのですけれども、地域で全体の枠組みをつくるとなると実務課だけでは厳しい、そういう議論も出ております。その中でいけば、地域包括ケアの中に拠点病院の管理者や医師会の先生、介護施設の代表の方とか、実際に地域包括ケアの主導の方がしっかりと一緒に話し合いの場を持ってどう動くのか含めて、そういうシステムづくりの場と、もう一つ事務者が動く場と2階の構想をしっかりとそれぞれの地域で持つことが恐らく大事になるだろうという議論も出ておりましたので、平たくなる中に実は幾つかの階層構造も含めてつくり込んでいくことが大事になるのではないかと思いました。
 3つ目は、実態が見えない中での課題の一つになっていたのですけれども、拠点病院が全てのがん治療をカバーしているわけではない。残念ながら、拠点病院以外でがん治療がどうなっているのか、そのあたりも今後トータルにがん患者さんの療養生活の質を上げるためには把握していかなければいけないということもあって、そのあたりを拠点病院制度の進めた点というプラスはあるのですけれども、その中で拠点病院がカバーできていないところも光を当てていく必要があるのかなということも議論で出ておりましたので、よろしければ共生検討会の中でもまた御検討いただければ幸いです。
 ありがとうございました。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 皆さんの意見を聞いていても、まずは診断時からどうがんの患者さんにアプローチしていくかが一つポイントかなと理解しました。そのときに医師だけでは現実難しいと私自身は思います。
 もう一つは、拠点病院に全員がかかれればいいのですけれども、必ずしもそうではない。それ以外のところかかっている患者さんもたくさんいらっしゃいますので、どの辺までのレベルでちゃんと医療が提供できているかを確認する必要がある。
 最後は、小川先生がおっしゃいましたけれども、地域連携の中でがんの医療圏と地域連携と微妙に確かに違うんですよね。大きさも違うし、場所も違います。これを上手に複雑に組み合わせるというのは大事なので、そういう会を上手に持つことは重要です。二重構造に持つのがいいのか、その辺私は分かりませんけれども、ヘッドクオーターと言うとおかしいですが、組織を動かしている人たちが十分に実務者を理解してファシリテートすることが非常に重要なのではないかと思います。医師会の先生方、現場の先生あるいは看護師さんだけではなくて、そのもう一つ上の人たちも理解しながらやっていくことが大事かなと思いました。
そういう意見を頂いたかと思います。
 大体よろしいでしょうか。多分この後同じような議論が出てくると思いますので、またそのときにもう一回御指摘いただければいいかと思います。
○塩川構成員 すみません、1点だけよろしいでしょうか。薬剤師の立場というか、地域の中で薬局はかなり多くいると思うのですけれども、なかなかまだ緩和ケアに精通した薬局が明確ではなくて、どこにどう薬を困ったときに頼めばいいかということも分かっていないところもあると思いますし、薬局の方が緩和ケアをもう少し、先ほど木澤先生が言われたような、専門的な立場として関われるような薬局を育成していくことも考えていかなればいけないと思っております。地域連携の中での薬局、薬剤師の育成も大きな課題として考えていただきたいし、考えたいと思っています。
○西田座長 ありがとうございます。このあとの藤先生の話にも非常につながるところでございます。実は、薬剤師あるいは調剤薬局が本来きちんとファンクションしていただければ、結構いけるのではないかという部分もあるかと思いながら御意見をお聞きしました。
 ということで、次のテーマに進みたいと思います。九州がんセンターの藤先生から、がん治療学会で取り組んでおられます、がん医療ネットワークナビゲーター制度について御紹介いただきます。要するに、先ほどの薬剤師も含めた社会のリソースをがんの情報提供、相談支援にどう取り込むか、あるいはどう協力してもらうか、非常に重要なテーマだと思いますので、藤参考人、よろしくお願い申し上げます。
○藤参考人 ありがとうございます。藤でございます。過去2回参考人として出させていただきましたけれども、今回は、がん治療学会のナビゲーターの紹介ということで、また、参考人として呼んでいただきました。
 では、スライドを共有させていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は地域、すなわちがん診療連携拠点病院、以下拠点病院と申しますが、その外も巻き込んだ、がんの相談支援情報提供体制の確立の必要性及びそのための人材育成の取組の一つとして、日本癌治療学会が行っている活動を紹介させていただきます。
 がんの正しい情報提供や適切な相談支援のためには、拠点病院やがん相談支援センター、がん相談専門員、以下相談員と言いますが、今まで多くの努力をしてきていますが、いまだその周知や利用状況は十分ではありません。
 3ページは、平成29年から31年に行った厚労科研の研究班の結果です。拠点病院やその周辺の病院以外の医療・介護も含む領域のがん患者さんと御家族向け支援の実態は、ほとんど分かっていないかと思います。
 そこで、スライド左の赤枠で示します医療・介護も含む領域の従事者に対してアンケート及び聞き取り調査を行って、600以上の施設から回答を得ました。右側はその結果の一部ですけれども、拠点病院による相談支援や情報提供については、約22%しか認知されていなくて、ほぼ半分が認知されていないと回答して、「わからない」を含めますと実に4分の3が認知していない可能性があります。これは拠点病院や病院を含んだデータで、それを除くと結果はさらに悪くなる可能性があります。すなわち、この領域には拠点病院や相談支援センターに届かないがん患者さんや家族が、地域には多く存在する可能性が高いことを示しているのかと思います。
 その研究のまとめですけれども、拠点病院やそれと連携する病院群以外の医療・介護施設、または従事者への情報提供や相談支援の不足、円滑な連携の不足があるのだと思います。これらの克服には、拠点病院の努力のみでは不十分で、これを支える姿勢、すなわち地域での人材の育成は患者・家族のみならず、それらを地域で支える広範囲の医療・介護従事者への支援に不可欠な要素ではないかと思います。
 それを図でイメージすると5ページのようになります。拠点病院を中心とした活動の外にあって、相談員はサポートする地域の支援の人材を育成し、患者・家族を拠点病院や相談員につなぐ、また、それらの活動や正しい情報を提供できる生活・療養の場所まで含んだ地域の支援体制を整備することが求められるのだと思います。
 では、どうやって相談員を支援する地域の人材を育成するかが問題となります。その活動の例として日本癌治療学会のネットワークナビゲーターの育成の活動を紹介いたします。
 簡単に活動のイメージを示しています。つまり、ナビゲーターは相談員のサポーターとして、相談支援に関しては患者さんから簡単な相談を受ける、そして、拠点病院の相談員につなぐ活動。情報発信に関しては、拠点病院から発信された情報を地域へ拡散する。地域の医療・介護従事者や市民への啓発活動へ参加する活動などが考えられています。
 その認定の流れです。まず、e-learningを受講してもらい、ナビゲーターの認定を受けます。次に、コミュニケーションスキルセミナーを受けて、拠点病院での相談支援業務などの実地見学などを経て、シニアナビゲーターに認定されるという流れです。
 e-learningは、日本癌治療学会などによる各1時間の41講義を受けてもらいます。受講履歴をちゃんと管理して、きちんと完遂した場合にナビゲーターに認定されます。
 ナビゲーターに認定されたら、半日のコミュニケーションスキルセミナーを受講してもらいます。ここ数年はコロナによって停滞していますが、オンラインでのシステムを国立がん研究センターの協力を得て確立しています。
 ナビゲーターが拠点病院と地域をつなぐためには、相談支援センターの役割を知ってもらう必要があります。そのために拠点病院における相談支援業務などの実地見学をしてもらって、同時に拠点病院の相談員との顔の見える関係をつくります。これには、拠点病院の理解と相談員の協力が必須となります。このステップも今、コロナで停滞していますが、徐々に再開できるのではないかと思います。
 今までに全国でシニアナビゲーター97人、ナビゲーター662人が認定されています。ここに示していませんが、現在もe-learning受講中が400人程度います。全国で93の拠点病院が実地見学の受入れをしてくれています。
 ナビゲーターの職業の分布ですが、80%以上が医療関係者で、その中でも保険薬局の薬剤師が多くを占めています。
 ナビゲーターの活動ですが、今は個別の活動にとどまっています。そのために日本癌治療学会によるがんnavi通信や学術集会での企画セッションなどを通じて、ナビゲーターの活動の紹介や相互の情報交換などを推進しています。また、ネットを通じたナビゲーターの交流会も行われています。
 今後は、ナビゲーターをさらに増加させて、その活動を拠点病院とリンクさせることが重要です。ここではその事例として、3つの県の活動を紹介します。
 まず、福岡県ですが、九州がんセンターと保険薬局の薬剤師を中心としたナビゲーターとネットワークを形成しています。九州がんセンターの相談員と顔の見える連携を形づくります。コロナになって逆にオンラインでの交流会が進んでいて、今は保険薬局のチェーン店が企業の枠を超えて自主的に交流会を主催できるようになってきました。その交流会に九州がんセンターが参加する形です。福岡県では14の拠点病院が実地見学の受入れをしてくれていますので、この活動を拡大していきます。また、ナビゲーターの職種を拡大することで、地域包括ケアシステムの展開も図ることが大切なのだと思います。
 神奈川県では、行政も理解を示してくれていて、相談員やピア・サポーター、ナビゲーターの活動を同列に考えて支援してくださっています。
 熊本県では、拠点病院による相談支援・情報連携部会にナビゲーターやピア・サポーターも参画し、相談員との連携を進めています。このように各県での活動が育ってきております。
 拠点病院の新しい整備指針の中では、行政や患者団体も含めた各都道府県のがん診療連携協議会としての活動の強化が示されましたが、そこにナビゲーターの活動が位置づけられれば、地域の人材育成につながると期待されます。
 ただ、これらの活動には多くの課題が存在します。例えば、ナビゲーターが地域で活躍できる場をどのようにして与えられるのか。その所属やコーディネート体制をどうするかなどの問題があります。まずは、相談支援・情報提供に関する地域の人材育成の必要性、その認識をベースとして、行政や各都道府県のがん診療連携協議会の理解、その前提として各拠点病院の協力体制を確立していくことが求められます。各都道府県での在り方は種々異なるのかもしれませんが、推進するためには一学会の活動の範囲を超えておりまして、国として何らかの活動の意識づけなり支援なりが必須になるのかと思います。
 一方で、ナビゲーターの質の担保の問題もありますが、これはピア・サポーターでも同様で、常に意識して改善を求めていく施設が必要になります。
 拠点病院やそれと連携する病院群以外の医療・介護施設やその従事者へのがんの情報提供・相談支援や円滑な連携は明らかに不足しています。ということは、この領域にはがん相談支援センターに届かないがん患者や家族が多く存在する可能性が高いと考えられます。これらの問題を克服するためには、がん診療連携拠点病院等の努力のみでは不十分であり、相談員のサポートする姿勢の人材を育成することは、患者・家族へのがん情報提供・相談支援の促進には不可欠だと思います。つまり、適切ながんの情報提供や相談支援の達成のためには、拠点病院を中心とした活動の外にも目を向ける必要があるのだと思います。そして、その活動の必要性を国として認識し、支援していく体制を確立する必要があることを提言したいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○西田座長 藤先生、ありがとうございました。
 御指摘のように、拠点病院の中で全てが解決するわけではないので、社会の中の医療人材、特に医療に詳しい人材に何らかの貢献をお願いしようと言うご意見です。そのためには、ある程度のエデュケーションやスキルが必要なので、そうした質の担保も必要だし、できたらそういったシステムの中で活躍できる場を考えていただきたいという御提案と理解いたしました。
 御意見ございますか。まず、塩川構成員、いかがですか。
○塩川構成員 ありがとうございます。先ほど言ったように、結構薬局というのは多くの利用施設の中に、地域の中にいて、薬だけではなく患者さんに直接話をして心のケアなども含めて関わっていっているケースが多いので、でも、なかなか教育的には緩和ケアに精通している方も少ないということなので、その辺も含めて地域の中でどのように関わっていけるかというのは薬剤師がかなりキーになってくるかと思っていますけれども、それを国として認めたら、それがプラスになるような、薬剤師というと保険請求とかそういうものがないと、薬局の方もかなり忙しいと思うので、そこにメリットがないと表現はよくいなのですけれども、飛びついてこないという気もするので、そういうものがあったほうが関わりが充実してくるかなと感じております。
○西田座長 ありがとうございます。メリットというか、仕組みの中にどう位置づけ、意識していくということかなと理解しました。世の中、銭が全てではないと考えていかなければいけないのかなと思います。
 それ以外に御意見ございませんか。今回、藤参考人が出された中で薬剤師は確かに多かったのですけれども、お薬もらったりしている間は薬剤師でいいのかもしれませんが、在宅に戻ったりしていくと、介護している看護師さんなども絡んでくるのかなと思うので、いかがでしょうか。森内構成員、何か御意見ございますか。
○森内構成員 今、がん看護の専門人材の多くが、病院に所属しており、訪問看護等在宅で働く者を含め、それ以外に所属している者は2割程度と大変少ない状況があります。そういう状況の中では、先ほどの外来看護もそうですが、なかなか人材が追いついていかないという状況がありますが、このようなナビゲーターの仕組みも含めて今後に期待していきたいし、推進が必要なのだなという理解でいます。
○西田座長 看護協会でも、ぜひ前向きにこういう人材をつくっていく、役に立つ人材をつくっていくことを御検討いただけたらありがたいです。
 それと、地域包括ケアのことを黒瀨構成員がおっしゃっていましたけれども、ここでも非常に関係してくるのではないかと思って、黒瀨構成員、御意見がございましたら、ぜひお願いします。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思いますし、地域包括ケアとして、医師だけではなく全ての職種、多職種でしっかりとサポートしていく、そのための人材の啓発をしていくことが大切だと思います。御指摘のとおりだと思います。
○西田座長 ほか何かございますか。高山構成員どうぞ。
○高山構成員 先日のあり方検討会でも、相談支援センターでの調査も報告させていただいたのですが、コロナになって病院でなくて在宅での療養を御希望する人も増えているということもあります。拠点病院だけでは対応できない、今日ずっと課題として挙げられていることですが、相談支援センターとしても相談支援センターだけでは到底できることでもないと考えています。この夏に10名ほどですが、国立がん研究センターにかかられた方にどんな経緯でかかられたのかインタビューする機会があったのですが、相談支援センター以前に拠点病院さえほぼ知らなかったことに、とても衝撃を受けました。この十何年間、どこまで届いているかというのはあるのですけれども、拠点病院あるいは相談支援センターの中の仕組みは一生懸命つくってきたという実感はあるのですが、それ以外は全然まだまだだったというのはすごく実感として、改めて振り出しに戻ったなということを心改めて考えないといけないなと思いました。何らかの医療あるいは福祉、対人援助職ということで学んでいる方を対象とした人材育成は、やり方としては、まず広げる第一歩としてすごくインパクトが大きく次につながるのではないかと期待しているところです。
 あと、日本癌治療学会さんで教育研修もしていただいていますけれども、この教育研修を提供する体制も我々がんセンターだけでも難しい状況になっています。底上げをするのだったら教育を提供する仕組みもほかでも担えるような形で、我々も検討していかなくてはいけないところですが、ぜひ、そういった資源も併せて社会の中につくっていくことも考えていけたらいいなと思っております。
○西田座長 ありがとうございます。確かに、人をつくっていくときにまたリソースが要るので、それをいかに効率的にやっていくかということも重要かと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。藤先生、手が挙がっていますね。
○藤参考人 皆さん今おっしゃったことは、そのとおりだと思って聞いておりました。
 ただ、今ネットワークナビゲーターのナビゲーターをつくるというのも、完全な相談員をつくることまでは想定していないというか、そこまでいくと相談員のレベルまで達するには質の担保は相当ハードルが高いので、何か相談を受けたときにそれを相談員につなぐことができるような役割を一番想定しているところです。実際に、私どもの福岡県の調剤薬局・保険薬局のナビゲーターの方々とよく話すのですけれども、日常の業務の中でいっぱい質問はされているようです。ただ、そのときに知っていることは答えるのだけれども、今みたいな答えで本当によかったのかなと迷うことが非常にあるということもおっしゃっておられます。そういうときに、自分が近くの拠点病院の相談員と顔の見える連携があれば、そこにつないでそこに行ってごらんと一言言っていただくだけでも、相談支援センターの周知には大きく関わるのではないかとも思います。
 逆に、相談支援センターや拠点病院が発する情報、市民公開講座や何かの勉強会しますよというのをそれぞれの調剤薬局・保険薬局でポスターを貼ってもらうとか、拠点病院って何ですかという周知をしてもらうということだけでも、津々浦々に広がっていくのではないかとも思います。
 もう一点、厚労科研でインタビュー調査をしたのですが、地域包括支援センターの保健師さんとも何度も話したのですけれども、がんばかりではないのでたくさん勉強することがあって、包括支援センターが地域でいくつか集まって勉強会などはたくさんしているのだけれども、がんはどうですかと言ったら、したことがないというのを何人もおっしゃいました。何でと聞いたら、何をしていいかが分からないという答えがありました。ということは、訪問看護や在宅医療も含めて、介護従事者であってもがんの情報そのものの情報が足りないのだということを痛感いたしましたので、そういうところに対するアプローチや、訪問看護の看護師さんもナビゲーターになってもらえれば一番いいのですけれども、全てがそうでなくても、そういうところに対する情報提供という意味でも非常に必要な人材育成になるのではないかと思って聞いておりました。
 以上です。ありがとうございました。
○西田座長 ありがとうございます。
 なかなか時間がタイトになってきましたけれども、藤先生、そうは言われながら、先ほど熊本の例で、がん専門相談員とナビゲーターとピア・サポーターの3つの○が書いてあったと思いますけれども、私は前回のときにもピア・サポーターというのはある程度クオリティーが要るよねという話をしたと思うので、こちらもある程度のクオリティーは要る。ただ、それぞれに特徴があっていいかなと思うんです。三者で協働してがん患者を助けていく、サポートしていく、あるいは家族もそうですけれども、それが大事だと思いますので、ぜひその辺皆さん考えていきましょう。よろしくお願いします。
 牧野構成員、特にありますか。
○牧野構成員 先ほどのナビゲーターのお話はとても興味深くお伺いいたしました。専門職の中にリーダー的な存在をつくっていくという意味でも、とても重要な取組だと思いますので、介護支援専門員としても可能ならば積極的に関わっていけたらと思っております。
 そして、今お話し申し上げたいのはピア・サポーターについてです。様々な状況を乗り越えてきたピア・サポーターの役割はとても重要だと考えておりまして、疾患ががんだと分かったときに、どんな人に相談したらいいかの相談の窓口からピア・サポーターにつながっていって、ピアによる支えがしていけたらいいと思うのですけれども、現実、質の担保に少し課題があるかなと感じております。ですので、養成研修におきましては、受講後の登録や専門職との協働、マッチングの仕組みも求められると考えます。ピア・サポーターの研修を実施機関で受けられた後に、その研修機関を増やしていくこととともに、ピア・サポーターがどう活動していくかという指針や取組についても御紹介いただける仕組みがあるといいと思いました。これを申し上げた理由ですが、資料5の16ページに書いてあるのですが、こちらは都道府県の調査です。今後、地域統括相談支援センターを設置する予定の有無について、予定がないや未回答が31都道府県と全体の66%を占めています。よって、ピア・サポーター研修実施機関・実施主体は、現在、地域統括相談支援センターになっている様子で見られるのですが、こちらだけに限らず、地域の実情に応じて他の既存資源も活用していくことが今後現実的には求められていくのではないかと考えます。患者団体や自治体や拠点病院が協働できる仕組みづくりに向けていくのが取組としては必要だと考えました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。先ほど申し上げたように、いいご指摘だと思います。多分、ピア・サポーターができることと、相談員がやることと、ナビゲーターさんがやることが一部重なっているのですけれども、やはり基本的に違うところがあると思います。ですから存在価値があると思うので、違うところと同じところを上手に協調してやっていけたら一番いいなと思います。
 よろしいでしょうか。では、次に進ませていただきます。次は、皆さん御存じのように、今がんの治癒率といいますか、5年生存率も一般の大人のがんでも66%を超えるようになりまして、ましてや子どもに至っては85%を超えるような数字です。もちろん、終末期に至る人に対してはできるだけのケアをしなければいけないのですけれども、がんを克服した人、サバイバーにこれからどういい人生を送っていただくか、二度とがんにならない、ほかの病気にならないことが非常に重要ですけれども、海外からの報告は結構あるのですが日本はあまりないということで、今日は東病院の小川先生からサバイバー支援の話を頂けると伺っております。
 では、小川先生、よろしくお願いいたします。
○小川参考人 よろしくお願いします。本日は貴重な時間をいただき、ありがとうございます。
 私のほうでは、がんサバイバー支援について少し概要を御紹介させていただいて、何らかの共生検討会の議論に役立てていただければと思っております。
 大きくがんのサバイバーの支援というと、今まで決して支援がなかったわけではなくて、例えば、就労の支援やAYAの支援ということは今までも強調されて進めてられております。しかし、サバイバー、がんを克服した人と見たときには、就労支援とAYA支援だけではカバーできていない。実は見えない課題もあって、それも含めて全体を見直した議論あるいはそういう施策ができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、サバイバーの議論がどのように出てきたのか。海外の状況からお話しさせていただければと思います。サバイバーの議論が始まったのは、大きくは米国からと言われております。それは先ほど西田先生御指摘のように、早期発見とがん治療の進展により克服が現実に見えて、増えてきているということがあります。それは大きくは実は高齢化に合わせて進んできており、一つ大事になってくるのはサバイバーの多くは高齢者であって、実はサイレンなマジョリティーがいることは言われております。
 がんの一次治療が終わった後にも様々な身体的な問題が残存するということや、あるいはがん治療に関連する有害事象がその後の身体・精神機能に影響を徐々に出してくる。そして、高齢者の場合非常に重要になってくるのですけれども、併存疾患と併せた医学的管理の必要性が出てきて、がんの治療を終えた後に治療の情報をかかりつけ医の先生に確実に伝えて、その後のフォローをしっかりとする、そのシステムづくりが大事になってくるだろうと。言い方を変えれば、がんの慢性疾患の影響をどのように把握していくのかが大きな点になっているかと思います。
 3ページは、米国におけるサバイバーの実態です。本当は我が国のものがあれば一番よろしいのですけれども、残念ながら日本ではまだサバイバーの推定値すらないというのが今の状況で、アメリカの状況等から少し推測する必要が出てきます。左は年齢分布、右は年齢別のがん体験を有する割合です。ポイントは年齢分布で見ていただきますと、高齢者が圧倒的に多い。どうしてもAYAの問題は複雑で社会状況を含めて厳しいというのはあるのですけれども、一方で、高齢者の問題もあるというのはここでもうかがえるかと思います。
 また、年齢別でいきますと、高齢者になってくるとがんの体験を持つ方がごくごく一般におられるということです。日本でも、がんは2人に1人が体験することをいえば、ある程度の年齢になれば、がんを当然経験している人が増えていく。要するに、全体の疾患の中の一つとしてがん体験を捉えて健康管理をしていくとか、あるいは施策を考えていく必要がある。例えば、がん教育でも割合がん治療と緩和ケアという話になるのですけれども、このようにがんとともに生きている人を見るときには、このあたりのがんの体験がごくごく一般的だということもしっかり伝えていく必要が出てくるかと思います。
 4ページは、がんのサバイバーの問題は実は結構いろいろと推定値含めて課題が多いです。まず、1つは、いわゆるがん登録のようなポピュレーションベースのがん登録では、初発のがんの登録だけのために再発の人を拾い上げることが難しいという課題があります。これはアメリカでサバイバーの議論のきっかけをつくったものを挙げてきたのですけれども、ステージIVの転移性乳がんの方が自分たちがどれくらいの数いるのか、そして、その生活を知りたいというところから始まったと言われています。
 5ページです。実際にこれは転移性乳がんの患者さんの推定値から、サバイバーをどう出していくのかを理論的に挙げた模式図ですけれども、実は、転移性乳がんの生存率の推定から死亡数の実測を引く中で、推定値を出していく必要が出てきます。
 6ページは、日本でも同じようにしていけばある程度可能なのですけれども、残念ながら日本ではまだ5年有病数、要するに5年生きている方の推定値はあるのですけれども、それ以上の方が残念ながらありません。日本では恐らくがんの5年生存率が7割近いという話がありましたが、その5年を超えて生きている人はどれくらいいるのかという数値をしっかり出していくことが、このサバイバーの問題を捕まえる上では非常に大事になってくるかと思います。恐らく今5年有病数が350万ですので、日本全体でのサバイバーを見ていけば多分600万から700万くらいだろうと。例えば、病気でいけば糖尿病と高血圧の間くらいの数の人がいる、それくらい実はごくごく一般的なものなのだというのがうかがい知れるかと思います。
 7ページです。このようなサバイバーを知ることは、実はがんの治療の質を上げる上でも大事になります。例えば、これはその中の1つの方法で、がんの患者さんの中で糖尿病を併せて持つ方がどれくらいいるかというのも出せますし、そうすると、糖尿病管理をしながらのがん治療はどういうものなのかもつかめるかと思います。
 8ページです。また併存疾患を持つ人のがん治療を考えていく上でも、データは役立ちます。これは特に大阪府の地域がん登録のデータで、残念ながら日本では全国がん登録ではなかなか難しいのですが、地域のものを見ますとDPCデータと結合する中で、合併症を持つとどのようにがん治療に影響を及ぼすのかも、かなり個別に検討できるようになってきております。
 9ページです。統計に関しての現状をまとめておきますと、日本ではがんの患者の推計は国立がん研究センターが出しているのですけれども、現状5年有病率にとどまって、それ以上の正確な推定値はありません。こういうものを研究して、あるいは治療中の様々な質を上げる上では、患者数の推計やPROとの連携も必要になりますが、まだ日本では途上の段階です。
 10ページです。続けて、サバイバーの支援についても概要を御紹介させていただければと思います。大きくはサバイバーの支援というときには、急性期や治療期と、その後の経過観察の時期、そしてがんに関連した、いわゆる定期的な通院を終了、卒業したとか克服したと言われる段階に入っていきます。特に、日本ではあまり恒常期の議論がなくて、実はがん治療の終結を明確にして、一般診療の中で診ていくということは、がんの治療もその後のQOLを高める上でも大事になってくるのではないかと思います。ただ、日本ではこういうフォローアップができているのは血液腫瘍のみで、固形腫瘍では残念ながらまだあまり議論に乗っていないというのが現状かと思います。
 11ページです。なぜ支援の議論が必要なのかというと、実はサバイバーの議論というのは医療面のマネジメントが課題になってくるからです。日本では就労がメーンに見えがちなのですけれども、基礎となるのは医療的なマネジメントだと思います。
 特にポイントとなるものを次のスライドにまとめてみました。こちらには、健康状態の維持でサバイバーの主要な課題を挙げております。恐らく経過観察の中では予防・早期発見、そして再発・異時性がんというのが出てきて、いわゆるがんの再発の定期的なフォローアップを行うのがこちらの議論です。でも、実はそれと併せて、二次がんの問題があって、こちらに関する同じような支援体制が必要になります。ただ、日本では割合経過観察はするのですけれども、それ以外のがんになりますと治療医がフォローするのか、かかりつけ医がするのか、実は密な連携が必要なのですが、どっちつかずで狭間で落ちてしまっているということがなされていると言われます。そのあたりをしっかりと埋めるためには、最近議論が沈みがちですけれども、連携パスのような動きをもう一回考え直していく必要が出てくるのかと思います。
 また、高齢者ではサバイバーがより健康的な生活を行う上での禁煙なり節酒なりのサポートやフレイル予防の活動も持ち上がってくるかと思います。
 13ページです。身体・精神的な問題に関してもこちらに挙げておきました。特記すべきものとしては、よく就労支援の課題にはなるのですけれども、不眠、集中力低下、記憶力の低下のような症状のクラス差分があって、これが就労の大きな阻害要因になっていると言われますので、就労の様々な支援活動も大事なのですけれども、身体的問題もしっかり見ていく必要は同時に出てくるかと思います。
 14ページです。現在のガイドライン等の状況について挙げておきました。左は、海外でNCCN等が出しております。日本では学会で出しているのを埋める形で、がん研究センターの開発機構がガイドラインの整備等を進めようとしておりますが、なかなか穴埋めが行われていないというのが現状です。もう一つは、実装をしっかりと捉えていかないといけないということもあって、両輪を進める必要があるかと思います。
 15ページです。特に、高齢者含めてサバイバーの医療マネジメントのときに大事になってくるのが、これも地域医療との連携になります。海外ではShared care modelと言われたりするのですけれども、連携を組む中で単なる再発だけではなくて、二次がんですとか、長期・晩期障害に関する生活上の指導をしっかりすることや、もしもがんの再発、二次がんがあったときには、以前の治療歴を確実に参照できるような体制、このあたりの連携やかかりつけ医とのより密な協力あるいは啓発・連携を強化する必要があるかと思います。
 16ページです。フォローアップ体制の点を1枚にまとめております。まず、かかりつけ医との連携が重要で、今の再発監視だけでは落ちているところがある。二次がんの早期発見や高齢者の脆弱性予防のための積極的な運動の促進等は、今後議論が必要になるかと思います。また、ケアプランでは、かかりつけ医だけではなくて地域の介護・その他との連携が必要で、がんの様々な有害事象を踏まえたケアのプランニングが必要になってきたり、高齢者では脆弱性予防の取組を行う必要が出てくるかと思います。
 17ページです。最後、駆け足で恐縮ですけれども、全体のまとめを挙げさせていただきました。
 まず1つは、がんからの回復の道筋の議論の必要性ということで、当然、緩和ケアの議論も重要なのですけれども、がんから回復した、克服した人のその後の生活の管理あるいは健康のマネジメントのサポートについては、改めて議論が必要かと思っております。また、健康上のマネジメントを考えていく上では、実態把握は日本でも必要で、今のがん登録だけではカバーできない実態把握が一つ。そして、そのQOLを考える上では、サイレントな高齢者の問題はしっかりと捉えていく必要があるかと思います。フォローで特に実装体制は重要なのですけれども、かかりつけ医との協働で、単なる再発がんだけではなくて、二次がんも含めたマネジメントの方法、そして、その連携体制も日本ではまだ残念ながらないというのが今の状況です。連携パスだけではまだカバーできていない状況がありますので、新たな体制づくりが必要かと考えております。
 以上、駆け足ですけれども、御紹介させていただきました。ありがとうございます。
○西田座長 小川先生、サバイバーに関して多面的に御検討いただきまして、ありがとうございます。
 私も、中央病院時代にある国際学会があってそこで調べてみたら、サバイバーのその後の予後などが出ているのはほとんど海外からで、アメリカが一番多かったですけれども、日本はほとんどないんですね。ですから、今メジャーはサバイバーだと思いますが、そのメジャーに対して決して目を背けてはいけない、ちゃんと見ておかなければいけないなと思います。
 構成員の皆様方、何か御意見ございますか。どうぞ。
○黒瀨構成員 よろしいでしょうか。日本医師会の黒瀨でございます。
 小川先生、本当にすばらしい御提案を頂きまして、ありがとうございます。私どももかかりつけ医の機能をこのところ議論しているわけですけれども、その中で、一つの大切な視点としては、かかりつけ医機能は1人のかかりつけ医が持つのではなくて、複数のかかりつけ医がいて、それが患者さんを点や線ではなくて、面として包み込んでいくといったイメージを持っているかかりつけ医機能を今考えているところなのですけれども、その中で、例えば、がんのサバイバーの方々を地元のいわゆる開業医だけではなくて、専門医の先生、場合によってはがんの専門医以外の、例えば、糖尿病にかかられている方は糖尿病の専門医の先生、そういった方々が連携を密にしながら診ていくという中で、大切なのは連携パスもそのとおりだと思うのですけれども、昔の紙のイメージの連携パスではなくて、オンライン資格確認システムを応用したような電子的なPHR機能や、あるいは今いろいろな地域で行われている地域のICTを使ったネットワーク、EHRといったことを組み合わせながら、その地域の実情に合わせて専門医のかかりつけ医、ジェネラルなかかりつけ医、その中でも例えば在宅もやるかかりつけ医とか、いろいろなかかりつけ医が関わって患者さんをしっかりとサポートしていく、健康寿命を延伸していただいて、しっかりと寿命まで健康に生きていただくことが大切だと思っています。
 その中で、1点細かいことなのですけれども、例えば、膵がんなどももちろんそうなのですが、膵がんの手術をした後に糖尿病が増えるというのはよく言われているのですが、それ以外にも例えば、消化管のホルモンと血糖値のコントロールは今非常によく言われているところでもありますので、例えば、胃がんを手術した方、あるいは大腸がんを手術した方が、一体どれくらいの割合で糖尿病になって、それに対してどういう治療が最適なのか、そういったところを幅広い正確な統計と科学的なエビデンスを基にガイドラインをつくっていって、こうなったら専門医の先生、糖尿病の先生に診ていただく、この場合はいわゆる一般的なかかりつけ医が診る、場合によってはがんの専門の先生にもう一度診ていただくといったところをしっかりと決めていきながら、ネットワークで診ていくという姿勢が大切なのかなと思って拝聴しておりました。
 本当にありがとうございました。
○西田座長 そのほか御意見ございますか。岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 今の小川先生のお話と黒瀨構成員の連携につなげていくというところは本当に大事だと思いますので、僕たちも経過観察までは病院に診てもらえるのですけれども、その後どこに行ったらいいのと、いきなり終わることは多々聞いておりますので、そういったところはしっかりやってほしいなということを改めて強調させていただきます。
 また、今回二次がんという文言も出てきましたけれども、僕たち患者側としても再発はみんな知っているのですが、二次がんと言ってもみんなが「何?」みたいな感じで言われることは多々ありまして、ここに対する医療者の皆さんの啓発も大事だと思いますけれども、一般の市民の人たちも二次がんというのがあるのだということを分かっていくと、そういったことがあるからしっかり通わないといけないな、ちゃんと見ないといけないという双方がうまくいくようにしていかないといけないなと感じております。
 実態をまず調査して知っていくことが大事だと思いますので、私たちもサバイバーの皆さんの予後がどうなっているのか、そういったところは知って見通しとしていきたいと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
○西田座長 患者の立場からありがとうございました。
 木澤構成員、よろしくお願いします。
○木澤構成員 小川先生、貴重な視点の発表ありがとうございます。私は、もともと総合医でプライマリ・ケア出身なので研究等を注意深く見ているのですけれども、やはりアメリカにおいても、イギリスにおいても、キャンサー・サバイバーシップもプライマリ・ケア医が診るというのは割と新しい分野で、研究もそれほどたくさん出ているわけではないと理解をしています。
 私がお話したいことは2つありまして、1つは、日本は超高齢者が非常に多いので、海外のデータは参考にならない部分も多々あるだろうと思うので、日本独自のエビデンスというか実態を調査しないと実際的な対応が難しいという問題があるので、まずそれに取り組まないといけないということ。
 2つ目、黒瀨構成員に言っていただいたことはまさにそのとおりだと思うのですが、多分あまりに数が多いので、全てのかかりつけ医がやらなければいけないことをリスト化して、専門家が対応するべき事例をスクリーニングしていかないといけないのだろうなと思いました。数が少なければ都度対応というか、専門家にすべて紹介して、みたいなことになると思うのですけれども、何せ専門家のリソースが少ない状況ですので、効率的な運用を考えるとこれだけはチェックが必要というようなスクリーニングをつくって、かかりつけ医がそのツールを用いてそれぞれ対応し、必要な人だけ専門家にコンサルテーションする仕組みをつくらないと間に合わない感じがしましたので、そのような整備が必要かなと思いました。
 3つ目、私も自分の患者さんでいるのですけれども、晩期合併症が発症したり、がん治療が原因で糸球体腎炎になり透析が導入されたり、などがん治療が長期に渡るために様々な合併症への対応が必要な方がいらっしゃいます。外来でのクロース・オブザベーションが重要だなと痛感するところですので、サバイバーシップについてはしっかりがん医療を支える体制として、それこそこれも地域連携になると思うのですけれども、しっかり体制整備が必要だなと思いました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
 サバイバーはいろいろなことがあります。治療に伴う先ほどのような有害事象の長期フォロー、二次がん、三次がんは、疫学データ上のリスクが数倍高くなっています、ハザードレシオは大分高くなっています。それ以外にも最近はゲノムの時代で、最近の論文を読みますと、サバイバーに対してゲノムを見てその次に何を考えるかという研究も始まっています。ですから、まずは日本でデータを集めましょう。全部集めるのは難しいので、ある程度特定のコホートをきちんとつくって見ていくのが大事かなと私は考えています。クオリティーも含めて。家に帰った後、本当に元気に過ごされているかという非常に単純な観点も含めて、そういうデータをまず集めて何が問題なのだろうと、どういうセグメンテーションでどういう問題が起こっているのだろうというのを次の基本計画で明らかにできるといいなと思いました。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。小川先生、非常に大事な視点を御指摘頂いたかと思います。
 次に、本日の一番の問題でございます、基本計画に対するがんとの共生のあり方に関する検討会からの提案について、順番にまいりたいと思います。資料5を5つぐらいに分けてまいりたいと思います。最初の緩和ケアに関する提案を、まず事務局から簡単にまとめていただけますか。よろしくお願いします。
○事務局 資料5の御説明をいたします。第4期がん対策推進基本計画に対する本検討会からの提案となります。
 2ページを御覧ください。議題となります。本検討会において、これまでに議論された御意見や中間評価報告書から第4期がん対策推進基本計画に求められる内容を整理し、がん対策推進協議会に提案してはどうかとしております。
 3ページを御覧ください。基本計画の見直しに向けたスケジュールとなっております。本検討会で議論した後、がん対策推進協議会に提案を行い、第4期に向けて議論を行っていただきます。
 4ページを御覧ください。がんとの共生の5つの分野について御議論いただきます。
 5ページを御覧ください。まずは「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」です。
 6ページを御覧ください。こちらは、がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の概要となります。研修会の構成といたしまして、e-learningと集合研修を実施しております。
 7ページを御覧ください。緩和ケア研修会の開催回数と修了証書の交付数の推移となっております。
 8ページを御覧ください。緩和ケアに関する普及啓発事業は、がん等における新たな緩和ケア研修等事業の中で日本緩和医療学会への委託事業として行われております。
 9ページを御覧ください。本検討会における緩和ケアに関する議論の内容となります。緩和ケアにおける苦痛のスクリーニングについては、現場の医療従事者の負担感が増えることやスクリーニングの結果が結びついていないなどの全体的な取組の見直しが必要である。患者が自分の意思を伝えられることが重要であり、その機会の確保が必要であるという御意見がございました。
 また、人材育成に関しましては、緩和ケア研修会受講後の継続研修の必要性や多職種も含めたチーム研修の必要性について御意見がございました。
 10ページを御覧ください。中間評価報告書における緩和ケアの抜粋の内容となっております。
 11ページを御覧ください。まず、上段に現状と課題といたしまして、ここまでの議論の整理をまとめております。
 下段の今後の方向性に、次期計画に記載される内容をお示ししております。まず、緩和ケアの提供体制につきましては、国は、拠点病院等において全てのがん患者に対して入院・外来を問わず身体的苦痛や精神心理的苦痛、社会的な問題等の把握及びそれらに対する適切な対応を診断時から一貫して経時的に行われるよう、必要な支援体制について整備を行う。2つ目に、国は、患者体験調査等を引き続き行い、緩和ケアの実態について把握を行う。また、診断時から適切な緩和ケアが提供されるよう、方策について検討を行うとしております。
 12ページを御覧ください。緩和ケア研修の内容につきましては、国は、がんに携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを実施でき、その知識や技能を維持・向上できるよう緩和ケア研修会の学習内容やその在り方について見直しを検討する。2つ目に、国や都道府県がん診療連携協議会は、緩和ケア研修を受講した者がフォローアップ研修等により知識や技術を維持・向上できるよう、拠点病院等の整備指針を見直すなど必要な施策を実施するとしております。
 緩和ケアの内容は以上となります。
○西田座長 緩和ケアのところをコンパクトにまとめていただきました。11ページと12ページがディスカッションのフォーカスでございます。この点に関しまして、構成員の皆様から御意見ありますか。
 木澤構成員、緩和ケアなので、まず先生からいきましょうか。
○木澤構成員 基本的なところはよいと思いますが、1点だけ気になるのは、拠点病院以外の緩和ケアの質を地域で担保するみたいなことが、さっきも地域包括ケアのことも議論してきたところですけれども、そこが一言どこかに入るといいなという。例えば、終末期のことも含めてですが、地域で緩和ケアの質をコントロールするという、簡単に言うと、これは多分拠点病院の脈で書かれてしまっているので、医療後の患者さんの緩和ケアの質の担保が抜けているのではないかと思ってしまうので、ここをどこかで盛り込めるといいなと思いました。
 まとまらない意見で申し訳ありません。
○西田座長 いいえ、大事なところです。これは、いわゆる拠点病院の条件ではないので、基本計画なので、その点は大事だと私も思います。
 ほかに御意見ありませんか。教育のところとかいかがでしょうか。
 黒瀨構成員、何かございますか。先ほどの意見も含めてですが。
○黒瀨構成員 木澤先生がおっしゃったとおりだと思います。この検討会で先ほどまで議論してきた内容を入れ込んでいただいて、地域包括ケアの中でどういう緩和ケアができるのか、あるいはお互いに連携しながらどうやっていくのか、そういったところをしっかりと御提案いただければと思います。ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。これは地域包括ケアの中だけではなくて、いわゆる拠点病院以外の病院もそうですよね。そこでどういう緩和ケアが提供できるかも考えないといけないと思います。
 患者サイドから、鈴木さん、御意見ありますか。
○鈴木構成員 包括的にまとめていただいているなという印象で、ここで改めて足すのはないのですけれども、ただ、ここに書かれているe-learningだけで満足するのではなく、本当に包括的に学び続ける、そして、その学びを広げていくことを研修としては更なる推進、力を入れていただきたいなと思います。
 あと、何度も言っていますけれども、がんと診断されたところから最後まで、ずっと緩和ケアが受けられるようにする体制をつくることがとても重要だと痛感しています。
 突然当てられて上手に話せませんでしたが、よろしくお願いします。
○西田座長 大丈夫です。ありがとうございます。
 ほかは御意見ございませんか。実は、これは正しいのですけれども、例えば12ページのフォローアップ研修等により知識や技術を維持・向上できるようにする、これをやっていくのは大変だろうなと思いながら、現実にがんの病院はいいのですけれども、一般病院でこれをどこまでやるかは相当難しい問題になるなと思うので、結構これから議論していって、上手に落とし込まなければいけないと考えています。これは正論でそのとおりだと私は思います。ただ、現実にどこまで現場に落としていくかというのは、非常に重要なところだと思います。
 ほかに御意見ございませんか。先ほど頂いた意見としては、議論になっていた地域を含めた、あるいは一般病院も含めた緩和ケアの提供体制をつくっていくというニュアンスの言葉をどこかに入れるということで進めたいと思います。よろしいですね。
 牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 1点だけです。ここの中に、もしできますれば、地域の医療機関や在宅療養支援診療所等の医療・介護を担う機関、介護支援専門員を含む関係団体と自治体を含めていただきたく存じます。それぞれの方々で課題が違うと思うのですが、緩和ケアについて話し合う機会を持つということを地域包括ケアの中に乗せて対応していくことができれば、各地域の実情を反映したものが見えてきます。また課題を解決するにはどうすればいいかを検討する代表者同士の話し合いがあるといいのではないかと感じました。やはり連携が地域包括ケアを推進していくためには重要だと考えます。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。よろしいでしょうか。
 では、そういう形で座長預かりで考えさせていただきたいと思います。
 それでは、2番目の相談支援と情報提供の部分も結構重要です。今非常に複雑になってきていますから、こちらを事務局からまず御説明をお願いできますか。
○事務局 13ページを御覧ください。「相談支援及び情報提供」です。
 14ページを御覧ください。がん診療連携拠点病院等に設置されております、がん相談支援センターの概要となっております。国立がん研究センターによる研修を修了した専従及び専任をそれぞれ1名ずつ配置としております。
 15ページを御覧ください。こちらは地域統括相談支援センターの概要となります。患者・家族のがんに関する相談について、心理、医療や生活・介護など様々な分野に関する相談をワンストップで提供するほか、ピア・サポーターを養成するための研修等を実施しております。
 16ページを御覧ください。全国の地域統括相談支援センターの設置状況をお示ししております。
 17ページを御覧ください。がん総合相談に携わる者に対する研修事業の概要となります。委託事業といたしまして、ピア・サポーターの養成や患者サロン運営のための研修等を実施しております。
 18ページを御覧ください。都道府県が所管している民間団体の窓口に対して調査を行った内容となっております。回答された団体の運営主体は、患者団体や患者支援団体が活動しており、対面や電話など様々な方法で対応していることをお示ししております。
 19ページを御覧ください。民間団体の窓口の相談員としては、ピア・サポーターや有資格者が配置されている状況をお示ししており、主な相談内容といたしまして、不安などの気持ちについてや、症状・副作用・後遺症、社会保障制度など様々な相談に応じている状況がございます。
 20ページを御覧ください。がんに関する情報提供に関しましては、国立がん研究センターのがん情報サービスや学会等のホームページにより情報提供が行われております。
 21ページを御覧ください。本検討会の主な御意見といたしましては、がん相談員の継続的な研修体制の必要性や遠隔での対応ができる体制について御意見がございました。また、地域の相談支援として、ピア・サポーターの更なる活用や拠点病院や患者団体等の協働について御意見がございました。
 22ページを御覧ください。中間評価報告書の内容となっております。
 23ページを御覧ください。相談支援の今後の方向性といたしまして、国は、多様化・複雑化する相談支援のニーズに対応できるよう、がん相談支援センターの質の確保及び持続可能な相談支援体制の在り方について検討を行い、効率的・効果的な体制を構築する。2つ目に、国は、がん診療連携拠点病院等と民間団体による相談機関やピア・サポーター等の連携体制を構築する。また、相談支援の質の確保及びオンラインなどを活用した体制整備の方策についての検討を行う。3つ目に、活動の公益性が高いと認められる患者団体等について、公式サポーターとして認定する仕組み等の検討を行う。
 24ページを御覧ください。情報提供につきましては、国は、情報の均てん化に向けて患者及び家族等が必要なときに正しい情報を入手し、適切な医療・生活等に関する選択ができるよう、そのニーズや課題等を把握し、適切な情報提供について検討を行う。2つ目に、国及び国立がん研究センターは、関連学会等と協働し、障害等によりコミュニケーションに配慮が必要な者や日本語を母国語としていない者への情報提供や医療へのアクセスを確保するため、実態や課題を把握し、その提供体制や普及啓発に努める。3つ目に、国は、患者及び家族等が簡便で効果的に医療や社会保障制度等の情報が得られるよう、デジタルコンテンツ等を活用した情報提供等の方法について検討し、その普及を図るとしております。
 相談支援及び情報提供は、以上となります。
○西田座長 ありがとうございました。相談支援は多面化していますので、先ほど議論があり、藤先生からも御提案いただきましたように、がん相談支援センターだけではなくて、市井と言うのが正しいかどうか分かりませんけれども、社会のリソースにも協力してもらい、ピア・サポーターあるいはナビゲーターにもサポートしてもらうことも考えなければいけないと思います。
 もう一つの情報提供は、これは高山先生のところだと思うのですけれども、今後どう効率化して、正しい情報をみんなに提供できるかというのが1つのポイントかなと思います。
 構成員の皆様方、御意見・コメント等ございましたら、ぜひよろしくお願いします。
 藤参考人、よろしくお願いします。
○藤参考人 今、西田座長から言われましたように、姿勢というか津々浦々の人材育成は進めていく必要があるのではないかと思います。今日お話をしましたので、ここに書かれていないのは当然理解するのですが、23ページに「民間団体による相談機関やピア・サポーター等の連携体制を構築する」とありますが、民間団体というのはNPO法人や何とかと協会というところに、ある意味相談支援センターと同じようなことで待ちの体制で待っているということなのだと思いますし、ピア・サポーターは、町なかにサロンがある場合も多いとは思いますけれども、多くは拠点病院の中の話になるのではないかと思います。そういう意味において、ピア・サポーターの関連、民間団体とのネットワークも将来的にはつくることも目指しながら、今はもうちょっと地域の人材育成を進めていくことを明確な書きぶりをしないと、私がお話ししたことや皆さんから御賛同頂いたようなことは書きぶりとしてはここには全く認められていないとなるかと思いますので、何らかの国・行政としての支援、計画の中に明記することで拠点病院側の認識も高まる、地域にそういう人たちをつくるのが大切で、それと連携することも大切だという意識づけをする意味でも、書きぶりを明確にすることが必要ではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○西田座長 御意見ありがとうございます。
 岸田構成員、お願いします。
○岸田構成員 藤参考人のおっしゃっていただいた、ピア・サポーターのところは本当にそうだなと思っておりまして、23ページの「今後の方向性」の3つ目「活動の公益性が高いと認められる患者団体等について、公式サポーターとして認定する仕組み等の検討を行う」に関してですけれども、この文言を入れていただいたのは多分、今までの議論にあったクオリティーの担保、質も大事だといったところで、質を担保するという意味合いで入っているのかなと思うのですけれども、確かに質は大事だと思います。相談しに行ってつぼを売りつけられてもしゃれにならないと思うので。ただ、がん対策基本法の第22条で「国及び地方公共団体は、民間の団体が行うがん患者の支援に関する活動、がん患者の団体が行う情報交換等の活動等を支援するため、情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする」とされているんです。ただ、今までの中で、このことに関しての施策はどういったものが行われてきたのか、そういったところはあったのでしょうかということがありまして、こういった施策の検証や反省もなくて、いきなり仕組みの認定を行うというと、恐らく患者会等も含めまして非常に混乱するのではないかと危惧しておりますし、施策があって検証してこういったところというのが必要だと思うので、今回のいきなりサポーター認定の仕組みを導入するというのは、そのスキップを超えているのではないかと危惧しております。なので、施策はしてきたのか、その結果がどうだったのかがまず必要ではないかということを含めた発言させていただきました。
 もし、鈴木構成員もそういったところで何か思うことがあればと思います。
○西田座長 患者会から割に慎重な意見をいただきました。ありがとうございます。
 では、鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 私どもも、ここに書かれている民間団体の一団体だなと思いながらお話を聞いていたのですけれども、岸田構成員がお話しされたことの1個前の2つ目に「国は、がん診療連携拠点病院等と民間団体による相談機関やピア・サポーター等の連携体制を構築する」とありますが、ここは本当にぜひ更なる推進をお願いしたいと思っているところです。私たち民間団体側からどう連携していいのかが分かりづらくて、国の活動も民間団体の活動も両方とも大事だと思って活動しているのですけれども、私たちからも関わったり、国の情報を発信したりという、国側にも役に立つ活動をしたいと思っておりますので、どう共に動けばいいのかが明確になり、何らかの形で連携を進めていけるととても助かる団体が多いのではないかと思います。
 また、相談支援の「オンラインなどを活用した体制整備の方策について検討を行う」とありますが、コロナ禍において本当にオンラインでできるところが少なくて、ほかにどこにも相談できるところがなくてということで、私たちのところはオンラインもやっているのですけれども、相談に来た方がたくさんいらっしゃいました。対面よりも多くオンラインをやっていた時期もありました。これは本当に急務で、どこのがん相談支援センターもオンラインできるようにしたほうがいいなと思っています。
 3つ目としては、私自身は公式サポーターとしてゆくゆくは民間団体を何らかの形で認定する仕組みはできればいいなと思って見ていました。というのも、民間団体は有象無象本当にいろいろなものがありまして、実態がどうなっているか分からないものもたくさんある中で、質を満たしたリスト等を国なりどこか信頼が置けるところが出せれば、連携先としてもわかりやすくなりますし、どこに相談したらいいかわからない患者側からしてもとても助かるなと思っています。ただ、どう認定するかなどについては、確かかにそれ以前の施策の検証や前の研修制度やどういった団体を認定するのかの患者会に求めることの要件が見えていない中では難しいと思うので、まずは患者団体や民間団体と話し合いながら最低限の要件なりを決めることから検討していくことなのだろうと思います。ただ、順を追ってでも患者団体のリストなのか、ある程度質が担保されているよと分かるような仕組みができていくのは、とても助かるものだと考えています。
○西田座長 ありがとうございます。患者会で微妙に違う、患者さんの立場でも微妙に違うなと思ったのですけれども、この3つ目は、私は読んでいて実は結構、厚労省は考えてくれたなと思ったのですが、よく読むと一番最後が「検討を行う」なので、これからしっかり調べてどうしようか考えようということなので、多分その辺は心配されなくていいかなと。
 むしろ、その上の鈴木構成員が言われたオンラインなどは検討するのではなくて、もっと前向きに考えたほうがいいかなと私自身は思っていて、現実に今オンライン診療も入ってきますよね。ですから、オンラインで相談、例えば、大阪の人が九州がんセンターの意見を聞くとか相談できるというのは、これからあってしかるべきかと思うので、少し前向きなニュアンスにしてもいいかなと思いました。
 高山構成員、よろしくお願いします。
○高山構成員 私は、相談支援に関してはいっぱい言っていただいたので、下の情報提供でこんなことを入れていただけるかなということで発言したいと思います。
 情報提供もかなり情報がどんどん新しくなっているのと、皆さん利用される媒体が本当に複雑になってきている。がん情報サービスも今は7割ぐらいがスマホ、携帯端末で見ている。さらに、インターネットを介しているのはあると思うのですけれども、見方も音声、YouTubeで見るとかTwitterで情報をとるといったSNSでとるという方も増えてきていると。そうなると、情報をつくるデジタルコンテンツが書かれていますけれども、我々も例えば、がん情報サービスだけで担えるところでもないので、「関連学会等」とかこれからの検討の中にも含まれるのかもしれないですけれども、ぜひこういった技術的な支援も頂けるような、これを民間団体なのか企業なのか文言は難しいのかもしれないですけれども、こういったところも協力頂けるような体制づくりが必要かと思います。どうしても人もお金もかかってくるというところでは、できるだけお金がかからないようにというのはあると思うのですが、連携・協力が不可欠になってくるかなと思っています。
 もう一点、情報に関してですが、信頼できる情報、がん情報サービスなどでは標準治療、診療ガイドラインに基づくような情報で情報提供できるようにと心がけていますけれども、診療科によっては診療ガイドラインは出た時点でもう古くなっているという領域もあって、かつ、そういった領域の先生方は非常に忙しいということで、情報のチェック(正しく書かれているかの査読)もなかなかままならないということでは、一部企業さん、製薬会社さんが患者さん向けに出している情報にリンクしてつなげるという試みも(厚労科研の)研究段階ではありますが、始めています。
 これからそういった協力関係も必要だと思いますが、一方で、企業から出される情報(の信頼性やバランスなど)として心配する人もいるのではないかという、そこはどことリンクしていくかはきちんと周知と利用される方の理解のもとにつくっていかなければいけないと思っています。そうなると、使う側のリテラシーというか、こういう状況で利用できる有益な情報をつくっているのだということを、つくる側だけではなくて国民の皆様の理解の下に一緒に進めていければいいなと思っていますので、つくる側だけではない、受け手にも少し触れていただける書きぶりをしていただけるといいなと思っております。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。情報提供で大変ここ数年苦労されている高山先生の真摯な意見だと思います。
 近藤構成員どうぞ。
○近藤構成員 社会保険労務士の近藤です。本日はありがとうございます。
 相談支援についての先ほど岸田構成員がおっしゃっていた公式サポーターとして認定する仕組の検討に関してですけれども、1点だけお伝えできればと思っております。
 「活動の公益性が高いと認められる患者団体等」というところです。公益性が高いか否かをどのような基準で評価していくのかということは、既存の既に相談支援活動を行っている患者会・患者団体がありますので、可能な限り患者団体のヒアリング等もしていただきながら御検討いただきたいと思っております。
 以上です。どうもありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 前田構成員どうぞ。
○前田構成員 23ページの相談支援について1点意見があります。
 がん相談支援センターとその地域連携のことは最初からずっと話題になっておりました。私自身が現在、その課題を感じて動く中で、がん診療連携拠点病院もしくはがん相談支援センターが地域に一歩踏み出すと、受ける側の機関は、そういう機関があるならぜひ活用したいということで手を握ってくださることが多いです。ただ、地域側がせっかく好意的に連携を考えていたとしても、がん拠点病院は当然多忙ですので、アウトリーチを積極的することに関して、業務量の不安などから積極的に踏み出せない部分があると思うんです。
 そういう中で「今後の方向性」の2つ目が、がん診療連携拠点病院等と民間団体による連携体制を構築するとなっているのですが、ぜひ、ここにがん診療連携拠点病院からの積極的なアウトリーチを持ってみたいな形で、もう一歩がん診療連携拠点病院の背中を押すようなことを明記していただけると、現場としてはすごく動きやすいなと感じましたので、御検討いただければと思います。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 これはここに書いてあることではない、ちょっと別のことで、「がん相談支援センター」と検索したときのことをお伝えしておきたかったのですけれども、がん相談支援センターに相談するといいよというのを、私たちのセンターの来た方にもお伝えしていて、例えば、地方から来る方は毎回私たちのところに来るよりも近くにあるんですよと一緒に探したりするんですね。そのときに「がん相談支援センター」とまずGoogle検索すると、がん治療相談センターとかがん治療ネット相談室とか怪しい、自由診療を勧めていたり、抗がん剤とも併用可能な混合療法を提供していますみたいなものが先に広告で出てきて、5個目ぐらいにようやく「がん相談支援センターとは」というがん情報サービスのサイトが出てくるんです。ここの「がん相談支援センターとは」にやっとたどり着けたとしても、また、そこからステップを踏んで「相談先、病院を探す」とやって、そこからやらなければいけないというのがあって、混乱中の患者さんにとってはこのステップがとても難しいように毎回感じながら一緒に検索しています。なので、広告外では一番最初に上がっているのですけれども、せっかく国の推す、がん相談支援センターをネット上でももっと分かりやすく表示することができないかなと最近常々思っていたので、がん情報サービスがアップデートされてかなりよくはなったのですが、まだまだネット上でも探しづらい状況にあるなと。その前に引っかかる怪しいものがたくさんあるなと感じております。これはここに盛り込むかどうかは別として、注意喚起としてお伝えしておきたいと思いました。
○西田座長 ありがとうございます。これはここではないような気がしますが、大事なポイントだと思います。がんセンターでも大分取り組んで、Googleなどの検索ではトップに上がってくるようにやってくれています。それを入るようにしなければいけないと言うことで。ネット対策ですね。
 ほかはありませんか。
 私から1つだけ、これは正しいかどうか分からないですけれども、情報提供は今物すごい量になってきているんですね。そうなったときに「山のような情報は情報がないのと同じだ」という意見があるんです。要するに、高山構成員にいろいろなものをつくっていただいているのですけれども、行きたいところにいかにスムーズにたどり着くか、これを今後検討していかなければいけないと思います。ネットをポチポチやっている時代ではもうないなと思っていて、AIなり何なりを取り込んでいくようなことを考えなければいけないかなと思いました。
 牧野構成員、手が挙がっているようです。
○牧野構成員 2点伝えたいと思います。
 まず、1点目ですが、情報の均てん化についてです。これを進めていくためには、利用者と接する方々、早期に患者さん、がんになったことを知った方と接する方々がきちんとした知識を持って、多職種で関わっていくことができればよいのではないかと考えておりますので、繰り返しになりますが、黒瀨先生がおっしゃってくださったように、地域包括ケアの中でどう位置づけていくかを多職種連携の視点で御検討いただきたいと思っています。
 2点目です。今回の資料について感謝を申し上げたいと思います。たくさんの資料をありがとうございました。がん情報サービスにおける点字資料や音声資料数等は2021年には93コンテンツ増加傾向がありまして、特に障害があるがん患者等に対する情報提供体制は整備されてきていることがうかがえます。私も障害者の方を在宅にて支援しており、一緒に見させていただきましたが役立つ情報がありました。加えて、相談支援センターにつきましては、センターの利用については割合が低いのですが、そのうち役に立ったという率がすごく高く86.9%と高値でした。相談支援センターの有用性もうかがえます。利用の更なる推進につきましては、利用者はどういうところが使い方が難しいのか、どうしたら情報にたどり着けるのか、アンケートからもたどり着くことができた人が71.0%というアクセスの状況なので、ここを改善していく糸口をどうやって見つけていくかが重要だと感じました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。よろしいですか。
 23ページ、ちょっと文言は考えますけれども、基本的にはおおむねの方向性としては御理解いただいたかと思います。
 情報提供は大変だと思います。大変なところをみんなで協力してどう提供していくか。同時に、さっき鈴木構成員がおっしゃったことも含めて、ストレートフォワードに正しい情報、的確な情報に届くようになるか。こういう情報提供のやり方も今後考えていかなければいけないのではないか。そういう意味も含めて今後の展開を考えていけるような形にしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、3番目「社会連携に基づくがん対策・がん患者支援」を事務局から御説明、よろしくお願いします。
○事務局 それでは25ページを御覧ください。「社会連携に基づくがん対策・がん患者支援」です。
 26ページを御覧ください。地域緩和ケア等のネットワーク構築事業の概要です。国立がん研究センターに委託し、地域の関係機関との調整を担う地域緩和ケア連携調整員の育成に努めております。
 27ページを御覧ください。本検討会の主な御意見として、地域連携・研修会などの活動は地域ごとのスタンスでよいのではないか。地域緩和ケア連携調整員は関係者をつなぐ事務的な役割が求められているなどの御意見を頂いております。
 28ページを御覧ください。中間評価報告書の社会連携の内容となっております。
 29ページを御覧ください。今後の方向性として、国は、セカンドオピニオンの利用状況などの実態把握を行い、適切な情報提供体制の在り方について検討を行う。2つ目に、都道府県がん診療連携協議会は、都道府県全体のセカンドオピニオンを受けられる医療機関や緩和ケア、在宅医療等へのアクセスに関する情報提供の在り方について検討を行う。3つ目に、拠点病院等は、地域の関係機関間で顔の見える関係の構築や困難事例等への対応について協議を行い、患者支援の充実を図る。国は、地域の関係者間のネットワーク構築や地域の課題を抽出し、解決に向けた取組が行えるよう施設間の連携・調整を担う者の育成に努めるとしております。
 社会連携については、以上となります。
○西田座長 ありがとうございました。連携のところですけれども、どちらかというと後ろのほうの連携が強く書いてありますけれども、黒瀨構成員等何か御意見ございますか。
○黒瀨構成員 まさに地域の関係者間のネットワーク構築で、多職種で支えていく、いわゆる地域包括ケアの考え方、これは先ほどおっしゃられたように、イコールでなく、あるいは地域包括ケアの中に入れ込むということではないとしても、地域包括ケアの考え方あるいは仕組みは十分緩和ケアにも応用できるものだと思いますので、ぜひそういった視点で関係者間のネットワーク構築を解決していただければよろしいのではないかと思って聞いておりました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 森内構成員、手が挙がっています。よろしくお願いします。
○森内構成員 29ページにあります「現状と課題」の2つ目、中間評価では望んだ場所で過ごせたがん患者の割合が47.7%にとどまっています。また、資料2の49ページによりますと、約4分の3のがん患者が拠点病院等以外の場所で看取られているという現状が示されているものの、それが望んだ場所であるかどうかは分かりません。特に、高齢者の場合には、医療・介護のつながりの中でということが重要になってくるかと思います。望んだ場所で過ごせるように、病院以外の生活の場における療養生活を支えるための体制整備について、引き続き推進していただきたいと考えています。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。確かにそうですね。誰もが病院が一番いいと思っているとは限らないですから、大事なところだと思います。
 ほかは何か御意見ございますか。前田構成員、お願いします。
○前田構成員 ちょっとここの議論とはずれるかもしれないですが、セカンドオピニオンをこれだけ積極的に進めている状況の中で、つい最近続けて相談があったのですが、セカンドオピニオンは自費になりますので、低所得者や生活保護の方にセカンドオピニオンを勧められながら利用できないというケースを経験しています。ですから、今後の議論の中でセカンドオピニオンのコストについても話題に挙げていただけたらと思います。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。御指摘のように自主診療になりますので、病院によって全部違いますよね。しかも、沖縄の人が東京に行こうと思ったら10万円仕事になります。その辺は考えないといけないですし、コストの問題や実際に診療する場合に体を触ったりするわけではないので、オンラインとかがんセンターは既にやっていますけれども、そういうことも活用していくことも考えないといけないと思います。
 ほかは御意見ございませんか。よろしいですか。大体こういう方向でまいりますけれども、セカンドオピニオンもまだまだ地域によっては十分に患者さんに伝えられていないところもありますし、逆に患者さんが遠慮しているところもあります。私は、セカンドオピニオンをやってみて、「言いにくいですね」という患者さんも結構いらっしゃるのが事実なので、まずはパブリックに受けられるような関係をつくっていくことも大事かなと思います。
 方向性は御了解頂いたということで、次に進みます。4番目、サバイバーシップ、特に就労支援を含めたところですね。事務局からよろしくお願いします。
○事務局 30ページを御覧ください。「がん患者等の就労を含めた社会的な問題(サバイバーシップ支援)」です。
 31ページを御覧ください。治療と仕事との両立支援の施策の概要となります。右下の図にありますように、トライアングル型のサポート体制の構築に取り組んでおります。
 32ページを御覧ください。がん患者・経験者の就労の状況といたしまして、がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19%を占めており、そのうち56%の方が治療開始前に離職している状況をお示ししております。
 33ページを御覧ください。がん患者の就労に関する総合支援事業の概要となります。拠点病院等に就労の専門家や両立支援コーディネーター研修を受けた者を配置し、両立支援体制の構築に取り組んでおります。
 34ページを御覧ください。長期療養者就職支援事業の概要となります。ハローワークにおいて長期療養者の就職相談や拠点病院等への出張相談などに取り組んでおります。
 35ページを御覧ください。アピアランスケアの内容となります。治療に伴う外見の変化に対し、医療現場におけるサポートが重要とされており、研究班において医療従事者向けの教育資材の作成等を行っております。
 36ページを御覧ください。国が推進すべき自殺対策の指針として、自殺総合対策大綱の概要となります。がん患者の方については、適切な精神保健福祉医療サービスを受けられるようにすると明記されております。
 37ページを御覧ください。先ほどお示しした大綱と同様に第3期計画におきましても自殺対策について明記されております。現在は、研究班等で実態調査や自殺予防プログラム開発等に取り組んでおります。
 38ページを御覧ください。本検討会の主な御意見といたしましては、就労支援につきましては、リハビリ等も含めた就労支援のエビデンスづくりとプログラムの検討が必要ではないか。雇用側の両立支援の理解の促進や産業保健総合支援センターの活用などの御意見がございました。
 また、アピアランスケアに関しましては、アピアランスケアに関する相談体制や研修を受けた者の配置が望まれているなどの御意見がございました。
 自殺対策につきましては、医療従事者が知識を持つことや、データを基にしたエビデンスを出していくことが必要との御意見がございました。
 39ページを御覧ください。中間評価報告書における就労を含めた社会的な問題の内容となっております。
 40ページを御覧ください。今後の方向性といたしまして、国は、がん患者・経験者、その御家族等の生活の質を向上できるよう、既存の両立支援の効果及び課題を明らかにし、施策の強化や産業保健等において普及啓発等について検討を行う。また、就労支援に携わる者や個々の事情を把握した上で、産業医等と連携し、患者と事業主との間で復職へ向けた調整支援をする。2つ目に、国は、がん治療に関する離職の実態の把握や、リハビリ等も含めた就労支援の介入効果に関するエビデンスづくり、プログラムの検討を行い、効果的な支援体制の整備を行う。3つ目に、中小企業も含めて、がん患者が治療と仕事を両立できるよう、企業における支援体制等の環境整備を推進するため、産業保健総合支援センター等の更なる活用や助成金等の支援について検討を行う。4つ目に、両立支援コーディネーターについては、更なる活用に向けて、その活動状況を把握するとともに、地域職域連携の観点からより効果的な配置について検討を行う。
 41ページを御覧ください。就労以外の社会的な問題といたしましては、国は、アピアランスケアや自殺対策に関する必要な支援について、医療従事者等が知識を身につけられるよう、研修等の開催や相談支援及び情報提供の在り方について検討を行う。2つ目に、国は、拠点病院等において、アピアランスケアに係る相談支援・情報提供体制の構築ができるよう、その方策について検討を行う。3つ目に、国は、がん患者における自殺リスクやその背景等について実態調査を行い、必要な体制の整備を進める。4つ目に、国は、がん患者・経験者、その御家族等の生活の質を向上させるために、経済的な課題等を明らかにし、利用可能な社会保障制度に関する周知や課題解決に向けた施策について検討を行うとしております。
 就労を含めた社会的な問題の説明は、以上となります。
○西田座長 ありがとうございます。
 2つに分けて。まず、就労支援のほうで構成員の皆さん方、ぜひこれはというのは。
 鈴木構成員からお願いします。
○鈴木構成員 40ページの今後の方向性ですけれども、その前に32ページで、がん診断後の治療の影響で退職・廃業した後に、再就職、副業の希望はあるが現時点では無職という人が22.5%いたと思います。この点について、今、復職できるところがある人の両立支援については書かれているのですけれども、一度退職してしまった人への再就職の支援等について一切触れられていないので、その点も盛り込んでいただいたほうがいいかなと思いました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。静岡がんセンターなどは、その辺はしっかり取り組んでおられますよね。
 黒瀨構成員。
○黒瀨構成員 短くです。40ページの今後の方向性の一番最初で、3行目に「産業医等と連携し」とあります。全くこれに賛成なのですけれども、ただ1点気をつけていただきたいのは、50名以下の小規模の事業所の方々、産業医のいない企業もありますので、そういった方々がいわゆる所属する集団によって格差が出てしまわないように、そういったところはしっかりと国が気をつけていただければと思います。
 以上です。
○西田座長 御指摘ありがとうございます。
 近藤構成員に行く前に今日、労働局の方も来られていますので、もし何か御意見があれば遠慮なく。先ほどの中小企業に広げていくというところは非常に重要なポイントだと思うんです。常在していない、要するに産業医が常にいるわけではないところにどう広げていくかというのが一つポイントかと思うのですが、何か御意見ございましたら、ぜひよろしくお願いします。
○事務局 御意見ありがとうございます。労働基準局の労働衛生課です。
 いわゆる大企業における両立の体制整備というのは、労働安全衛生調査で一定程度浸透してきていると言えるところでございまして、今御指摘のあった50人以下の事業場への支援ということですけれども、現在、助成金につきまして予算要求の中で事業主団体を通じて、傘下の会員企業に向けた産業保健の推進についての助成措置というスキームを令和5年度に向けて予算要求をしているといった状況ではございます。なので、できれば中小事業所に向けての支援等々についてを念頭に進めていきたいと考えております。
○西田座長 ありがとうございます。ぜひ、そういう方向で。
 中小企業の社長さんは結構社員に対する思いは熱いんです。ただ、ノウハウとかハウツーが全くないことが多いので、そういう情報も今後提供できるといいなと思いました。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。確かに今おっしゃられたとおりで、助成金が出てということがあっても、その仕組み自体を事業主が理解していないとうまくいかないと思いますので、そこの啓発も含めてお願いしたいと思います。
○西田座長 産保センターなどに頑張ってもわらないといけないかもしれませんね。
 近藤構成員、お願いします。
○近藤構成員 第3期の計画以降、ガイドラインの周知や新たなマニュアルの策定、シンポジウムの開催等で両立支援が社会において大分広がってきたことはすごくありがたいことだと思っていますが、一方で、皆様おっしゃっているとおり、中小企業さらにはもっと小さな小規模な事業所においては、がん患者さんが働く場所、職場、あるいは働き方、雇用形態によってかなり受けられる支援に差があるというのが実情です。
 そこでお伝えしたいのが、中小企業、特に小さな企業では産業保健という概念が根づいていなくて、産業保健総合支援センターセンター自体をどう活用していいのかをそもそも御存じない企業さんがとても多くて、情報もあまり届いていないという現状です。とても有用な情報や支援体制があるにもかかわらず必要としている方々に届かないというのは、すごくもったいないことです。そこで、小規模な企業では、産業保健よりも両立支援を労務管理という位置づけで捉えているので、今後もう一歩進めるのであれば適切な法整備や先ほどお話がありましたが助成金の拡充を進めていただきたいです。令和4年度に関しては治療と仕事の両立支援助成金の受付が止まっている状態ですので、早く助成金再開の措置をしていただけるよう、今後の計画に盛り込んでいただけたらと思っています。
 もう一点ですが、鈴木構成員がおっしゃっていたとおり、一旦退職された方の新規雇用について医療機関とハローワークとの連携は広がりつつも、なかなか解決できていない問題と捉えています。新規雇用についても、ぜひ盛り込んでいただけたらと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 ほかはよろしいですか。大事な点だったと思います。
 牧野構成員。
○牧野構成員 当事者の支援については多く書いていただいており、賛同させていただきたいと思っております。
 私からは家族への支援という点をお伝えしたいと思います。特に、介護支援専門員が対象としております高齢者に関しましては、認知症の発症などもありまして、家族が疲弊する。なので、在宅の生活が難しくなっていくという姿が見受けられます。ですので、家族の支援の強化で、例えば、私ども日本介護支援専門員協会も家族支援の手だてとして、ワークサポートケアマネジャー養成研修なども行っています。なかには家族構成によるのですけれども、支援をしている家族が若年者、ヤングケアラーという方だったりすることも現在課題となってきております。そのような視点も同時に必要だと感じております点をお伝えさせていただき、御検討願いたいと思いました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。高齢者だけではなくて、AYAあるいは小児がんもそうですね。全て家族を巻き込みます。その辺も視野に入れておきましょう。
 もう一つの就労以外のところ、アピアランス、自殺問題も非常に重要で重い課題なのですけれども、皆さん方、御意見ありますか。
 岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 41ページの「今後の方向性」の1つ目と2つ目で「医療従事者が知識を身につけられるよう」とあると思うのですけれども、多分、患者としたら一番初めに相談しにいく相談支援センター等々あると思います。ここに関して国立がん研究センターが行っているアピアランスに関する基礎講座や応用講座、基礎講座を受けている人は1,000名を超えていて、応用講座を受けている人だと600名弱いらっしゃるのですけれども、これも地域や施設間の格差がかなりあって、1つの県で1人しか応用まで受けている人がいないといった地域もあります。また、その中でも相談支援センターの所属は20%ぐらいしかいないと言われていて、ここに関してももっとも相談しにいく場所にアピアランス支援などをしてくれる人がいたらいいなと。いなくても、それをトリアージしてくれる場所であって、専門の人につなげていく必要があることを改めてお伝えさせてください。
 というと、今それがいないからということで外部の業者に頼っている病院なども出始めてきていて、その業者も髪の毛のことだったら分かるのですけれども、それ以外のことが分からないということもあったり、アンバランスな事情が起きてしまうので、相談に携わる者も必要だといったところは検討いただければと思っております。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 藤先生どうぞ。
○藤参考人 アピアランスケアと自殺リスクに関しましては、新しい拠点病院の整備指針の中に盛り込んでおります。ただ、それは情報提供相談に応じられる体制を整備することとか、自殺リスクに対しては院内で共通したフローをつくって対応の体制を整えることということは書いております。ですから、これはむしろまだ認識づけのスタートのような感じなのだと思います。当然これは拠点病院だけで済むことではありませんし、拠点病院がノウハウを自分たちでつくって、その体制を整備するということでは実際は遅すぎると思いますし、拠点病院が全部できるわけではないし、ばらばらの方針ばかりしても仕方がないと思いますので、ここでこういう書きぶりでしていただくのは非常に大切なことなのですが、必要な体制の整備をする、体制を構築するということをできるだけ早く進めていただいて、それを拠点病院や全国の病院、病院だけではないいろいろな介護施設などにも発信することを認識していただかないと、拠点病院の整備指針に入れてもそう簡単に進むものではないと思いますので、意見を言わせていただきました。どんどん進めていただければと思います。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 自殺は今、結構日本、韓国もそうですけれども、非常に多いです。これはがんだけの問題ではないと思います。人材資源を非常にたくさん失っているので、がんだけではなくて全体で取り組まないといけないのですけれども、まずは誰がリスクを抱えているかを明確にしていかなければいけないと思います。あと、その人たちに対してゲートキーパーって誰がなれるのだろうというところも明らかにしていけばいいかなと思っています。
 アピアランスに関しては、私はアピアランスケアというのは髪の毛を整えることもでもないし、肌をきれいにすることでもない。これは社会につながることだと思います。がん患者さんが孤立しないように、社会と接触を常に持てる、そちらのほうが大事かなと思うので、心のケアを含めてアピアランスをやらないといけないと思います。つまり、心のアピアランスも結構大事だと私自身は思っています。見かけだけではないという認識でこの辺の取組をやっていければいいなと思っています。
 よろしいでしょうか。そういうニュアンスを織り込むようにさせていただきたいと思います。
 5番目、ライフステージについて、事務局、お願いできますか。
○事務局 42ページを御覧ください。「ライフステージに応じたがん対策」となります。
 43ページを御覧ください。ライフステージに応じた生活課題といたしまして、小児・AYA世代は治療期と心身の成長が重なることや、就学・就労などのイベントと重なり、多様なニーズが存在することをお示ししております。
 44ページを御覧ください。AYA世代がん患者のアンメットニーズとして「医療機関で相談したかったが、できなかった」と回答した人の割合を示しており、「できなかった」と回答した割合が一定数いることをお示ししております。
 45ページを御覧ください。小児・AYA世代にあるがん患者とその御家族への支援に関する取組の状況といたしまして、上段が国が行っている施策、下段が厚生労働省の科学研究での取組内容をお示ししております。
 46ページを御覧ください。高等学校段階の病気療養中等の生徒に対する遠隔教育の要件緩和の内容となります。単位取得等の上限緩和や受信側の病室等に教員を配置することは必ずしも要しないなどの緩和がされている状況がございます。
 47ページを御覧ください。高齢患者の特徴といたしまして、認知機能の低下により意思決定能力やアドヒアランス、有害事象の管理に影響を及ぼすことをお示ししております。
 48ページを御覧ください。がん治療において意思決定に関する課題があることをお示ししております。
 49ページを御覧ください。厚生労働科学研究において、高齢者のがん診療における意思決定支援の手引きを作成しております。
 50ページを御覧ください。本検討会の主な御意見といたしましては、小児・AYA世代に対する診断時から相談支援体制や移行期支援について、拠点病院が受け皿となる体制や地域の協力を得ていく必要性について御意見がございました。また、ICTを活用した教育支援において、医療機関だけではなく、在宅療養中に受けられる体制の必要性について御意見がございました。高齢者においてはQOLを踏まえていくことや、医療・介護従事者のネットワーク構築が必要とされているという御意見を頂いております。
 51ページを御覧ください。中間評価報告書の内容となりますが、高齢者においては指標がなく、十分な評価ができなかったとしております。
 52ページを御覧ください。小児・AYA世代支援の現状と課題をまとめた内容となっております。
 53ページを御覧ください。今後の方向性といたしまして、小児・AYA世代の支援として、国及び地方公共団体は医療従事者と教育関係者との連携に努めるとともに、療養中に適切な教育を受けることができる環境整備、就学・復学支援等の体制整備を行う。また、情報技術(ICT)を活用した遠隔教育について、実態を把握した上で課題等を明らかにし、一層の推進を行う。国は、晩期合併症などの長期フォローアップや移行期支援など、ライフステージに応じて成人診療科と連携した切れ目ない相談支援体制が構築できるよう、医療・支援の在り方について検討を行う。国は、がん経験者の就労における課題を踏まえ、公共職業安定所や地域若者サポートステーション等を含む就労支援に関係する機関や患者団体等との連携を強化する。国は、小児・AYA世代のがん患者の療養環境における課題について実態把握を行い、緩和ケア提供体制や在宅療養環境等の体制整備について検討を行う。
 54ページを御覧ください。高齢がん患者の支援として、拠点病院等は、高齢がん患者を支援するために、地域の医療機関や在宅療養支援診療所等の医療・介護を担う機関、関係団体、自治体等と連携し、患者・家族等の療養生活を支えるための体制を整備するとともに、地域の課題について検討を行う。国は、高齢がんサバイバーのQOL向上を目指し、患者が抱える課題について実態調査を行い、長期で生じる有害事象などに対応できるよう患者の健康管理や、地域におる再発・二次がんへのフォローアップ体制など、その方策について検討を行うとしております。
 事務局からの説明は以上となります。
○西田座長 ありがとうございました。お年寄り側と若い側と2つ取り上げられていますけれども、まず、小児・AYA世代の支援、今後の方針について御意見ございますか。
 岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 53ページの「今後の方向性」についてですけれども、御存じのとおり、AYA世代は介護保険などが使えない世代となっているかと思います。やはり経済的な脆弱等々あったりして、助成などがまだまだ足りていないという現状があります。4つ目の「在宅療養環境等の体制整備について検討を行う」といったところで、そこまで含まれて議論していただけるのか、これに関しては共生のあり方検討会の第1回目からもお伝えしているように、AYA世代も介護保険が使えるようにどうにかできないかといった問題、もしそこに含まれていないのであれば、そういった記載をいただくようにお願いできたらと思っております。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。今日、時間の関係で小児の在宅の話はしませんでしたけれども、ここも重要なところだと思います。まず、きちんとしたデータをこの基本計画の中でとっていって、何が本当にクリティカルかを明らかにするのも重要かなと思います。
 そのほか御意見ございませんか。鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 相談支援のところに係るのですけれども、AYA世代は相談支援センターに行っても、AYA世代に対応した支援ができる方が少ないという現状があります。なので、AYA世代の方が相談しやすい体制づくりや、それに特化した相談支援センターづくりもここにできれば盛り込んでいただけたらなと思いました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。AYA世代は小児がんとちょっと違いますよね。微妙な違いがあるので、そういったところを担当してくれるところも重要であろうということでお聞きしました。
 ほかはございませんか。
 今、申しましたように、ここのところ最近、文科省にすごく頑張っていただいて、ほとんどの拠点病院の院内で勉強できるような体制を整えられたのですけれども、いわゆる小児の拠点病院に入院したときは多分学校の連絡などは非常にスムーズだと思うのですけれども、必ずしもそうではない所、例えば緊急で一般病院に行ったときに、それをどうやって繋いでいくか。つまり、体調が悪くなったときに小児拠点ばかりにかかるわけではないので、そこも重要なのではないかと思いました。
 医療機関との連携、学校との連携ということで、文科省で何か考えられていることがございましたら、せっかくの機会ですので、なければないでいいのですけれども、御意見を頂けたら幸いです。文部科学省の方ウェブで参加されているかなと思います。よろしくお願いします。
○文部科学省 文部科学省の特別支援教育課でございます。
 先ほども御意見があったところですけれども、今年度、高等学校段階の病気療養中の生徒に対するICTを活用した遠隔教育の調査事業を行っておりまして、先ほどの拠点病院以外の病院も含めて、高校で病気療養されているお子さんに対して、教育委員会が同時双方向をできるような支援をするという事業も行っております。
 こういった成果は今年度まとまる予定ですので、また事例として皆様が使えるようにまとめていきたいと思っております。
 以上でございます。
○西田座長 ありがとうございます。学校が一番IT化が進んできているような気がします。病院以上に進んでいるような気がします。
 小児・AYA世代に関してほかはございませんか。よろしいでしょうか。大体こういう方向でいいかなと思います。
 もう一つの高齢者は、非常にいろいろな課題があり、バラエティーに富んでいるかと思いますけれども、何か御意見があれば。
 小川参考人、せっかくですから、どうぞ遠慮なく発言してください。
○小川参考人 ありがとうございます。本当に高齢者のがんというのは、日本のある意味一つの特徴なのかなと思っております。その中で、今、臨床の現場で、特に拠点病院で大きく課題になっているのは、資料にも挙げていただきました認知症です。認知症が絡んで意思決定が全然できていない。具体的にいけば、認知症に気づいていないということと、もう一つは、認知症があると何もできないだろうということで、治療はできるのですけれども、治療に導入できていない、あるいはそこで断られているというのが幾つか相談員の方からのコメント等で伺ったりしております。
 こちらには今はまだ出ていないのですが、研究班で拠点病院の中で認知症の意思決定支援、これは障害者権利条約とか国でいけば成年後見制度と絡んで、ノーマライゼーションで推進している大事なところですけれども、残念ながらまだ知られている、あるいはそういう活動を知って対応している拠点病院はわずかということもありますので、まずその現場での周知と、それと併せた具体的な技術の伝達が今は本当に課題になっているのかなと思っております。ありがとうございます。
○西田座長 それ以外にございませんか。
 藤参考人、よろしくお願いします。
○藤参考人 以前、参考人のときに言わせていただきましたけれども、認知症に対する対策が物すごく大切なことは当然のこととして、高齢者の機能評価をもっともっと進めていかないと、そもそもサポートが要らないような高齢者もいるし、高齢者に対する治療のエビデンスがまだまだない。日本における老年腫瘍学というものの発展がまだまだないということを考えると、基本計画に入れることなのか分からないですけれども、まずはそこを各病院でも機能評価ができた上でエビデンスに基づいて治療して、認知症などに問題があるのだったらこのステップに行くということが先になるのではないかと思いますので、ぜひそういうエビデンスづくりなり、各病院での認識づくりなりを計画に入れていただければいいかなと思いました。
 以上です。
○西田座長 重要な御指摘ありがとうございます。高齢者こそ個々人のバラエティーが高いので、データをちゃんとそろえないといけないですね。それは基本計画の中のことだと私は思います。
 森内構成員、お願いします。
○森内構成員 2点あります。
 1点目は、今、先生たちから御意見がありましたことと関連します。54ページの「現状と課題」の1つ目です。高齢者というと認知機能が低下したり、認知症のことが取り沙汰されていますが、高齢者の特徴はその方その方でいろいろありますので、身体的な状況や社会的な背景などをしっかり配慮しながら、治療や療養生活に関する意思決定をしていくことが必要ではないかと考えております。
 2点目については「今後の方向性」の1つ目になります。患者・家族の療養生活を支えるための地域のネットワークに「訪問看護ステーション」という言葉を明記していただきたいと考えております。「在宅療養支援診療所等」の中にきっと含まれているのであろうかと読み取れるのですけれども、訪問看護では患者さんたちの様々な身体的な状況、そして精神的な状況、家族の不安や介護の状況等も含めて、必要なサービスが途切れないように御本人のQOLを維持しながら関わっています。地域のチームの一員として患者・家族の療養生活を支えているということを考えると、やはり「訪問看護ステーション」を明記し、地域の資源の一つとして訪問看護を有効に活用していただくことが必要ではないかと考えています。
 以上です。
○西田座長 御意見ありがとうございます。訪問看護ステーションは大事ですね。どういうふうに文言を入れるかは、入れだしたら多分ずらーっと2行、3行入れていかないといけないと思うので、座長預かりにさせていただければ幸いです。
 そのほか御意見ありますか。牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 1点だけです。大まか概要につきましては「今後の方向性」について賛同なのです、一番下の「その方策について検討を行う」と書いてある部分ですが、様々な調査がまだ行えていない実情があります。調査結果を受けて、高齢者にとってどのような施策が必要か検討するという方向性を持たせたものを入れていただくことができればと考えております。よろしくお願いいたします。
○西田座長 ありがとうございます。基本計画なので、そういったところをきちんと押さえないといけないですね。御指摘のとおりだと思います。
 ほかはございませんか。さっき認知の話があったのですけれども、高齢者のもう一つはQOLを考えるとフレイルティを上げないというのも非常に重要なことかと思います。実態がどうなっているかをまず調べて、それを悪くしない。認知も悪くしないのだけれども、小川先生は多分、医療をする中で認知レベルがちゃんと把握されていないのではないかということだと思いますけれども、その後の経過でも認知の問題がでてきます。フレイルティの問題もありますし、高齢者はいろいろな問題を抱えているので、この2つはきちんとデータを押さえて、どうやったらその2つを下げずに家で過ごせるかを、まずはデータとりからになりますかね。そういう形で進めたいと思いますが、小川先生、そういう理解でよろしいでしょうか。
○小川参考人 先生御指摘のように、治療してその後よかったと思えるためには、身体機能を落とさない、フレイルティを進ませないということと、あとは認知機能を落とさない、この2点は大事になるかと思います。
 その点でいけば、先ほど藤先生御指摘くださった高齢者総合機能評価(CGA)というものは拠点病院が整備すべき指針になりますし、また、その後の実態把握としては医療介護のデータをもう少し使った実態把握は必要になるかと思います。実際、今、研究班でも初めて医療と介護のレセプトデータの結合されたもので、がん患者さんの介護保険の利用実態は捉えようとしているところで、そういうデータが出てくると、恐らく治療後のフレイルティはどうなっているのかが、例えば、介護保険の導入状況等でつかまえられるようになるのかなと思いました。ありがとうございます。
○西田座長 御意見ありがとうございます。それ以外はありませんか。
 和田構成員、手が挙がらなかったので。
○和田構成員 いや、手が挙げられないというのが正直なところです。皆さんのお話は非常に大事な内容ばかりで、参考にさせてもらっています。
 都道府県としては、国の基本計画に基づいて都道府県の計画をつくっていくことになりますので、どのようなことができるか、また拠点病院と一緒になって考えていきたいと思っております。皆さんから頂いた意見は本当に難しい内容ばかりで、弱小都道府県としてどういうことができるのかなと思っていますが、行政の強みとしては、いろいろな意味で地域連携をとることはできるのかなと思っていますので、また、これを機会に新しい計画をつくって、少しでも前に進められるように努力していきたいと思っています。本当に貴重な意見をありがとうございます。
○西田座長 ありがとうございます。
 そのほか木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 最後に一言。さっき岸田構成員がおっしゃったのですけれども、AYAというか、40歳未満の方に介護保険が使えない問題は非常に大きくて、かなり困るんですね。そこはずっと言い続けてきているのですけれども、そこは何とかブレークスルーできないかというのは次期の計画にとって非常に大きい点なので、社会の平等性、インイクオリティーの問題から考えても、そこだけしっかり何とか書きぶりを考えていただければと思いました。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
 事務局どうぞ。
○がん対策推進官 木澤構成員、岸田構成員もありがとうございます。1点趣旨の確認という形でさせていただければ思いますが、先ほど来御発言いただいている53ページの4つ目に関連する介護保険の活用に関することですが、御発言の御趣旨としては、在宅で療養する40歳未満の方に対して、40歳以上の方であれば介護保険のサービスとして提供できる療養の給付を同様にできるようにするということが主眼で、介護保険の対象とするというのは、その手段の一つであるという理解の仕方で間違いないでしょうか。もし、事務局の理解に間違いがあれば御訂正をいただければと思います。
 以上でございます。
○西田座長 よろしいですか。
○木澤構成員 木澤です。私は間違いないです。ただ、自治体によって結局そこを補助している自治体もあれば、そうでない自治体もあるので、均てん化という観点から考えて補完いただければという意見です。
○岸田構成員 岸田です。木澤構成員がおっしゃるように、今、自治体だと訪問介護費用の助成は9.9%だったり、福祉用具やレンタル費用の助成が12.7%という研究結果も出ているように、そういったところはしっかり押しなべて、自治体によるという形にするとまた不公平感が出てくると思いますので、結果的には事務局がおっしゃっていただいたように、しっかりサポートしていただけるのであれば、その一つの手段としてと考えております。
 以上です。
○西田座長 ありがとうございます。その辺は基本計画の研究の中で、どのくらいの人がどれくらいのニーズがあるかを明確にして、その上で入れ込むのが一番いいかなと思います。
 ほか全体を通してございませんか。
 さっき高齢者の認知の話とフレイルティの話が出ましたけれども、フレイルティというか体力が落ちることに関しては就労支援のところも同じなんですね。長い治療を続けるとやっぱり体力は落ちて、同じ現場には戻れないというのがそれなりの頻度であります。その辺もちゃんと調べて、要するにサバイバーシップをきちんとデータを集めておくことが非常に重要ではないかと思いました。
 大体皆さんに御議論いただいたと思います。方向性としては、皆さん御同意いただいたのですけれども、文言に関しては様々意見を頂いたかと思います。どこまで入れ込むかは私と事務局と話をさせていただいて、できるだけ皆さん方の御意見を反映する方向で考えたいと思いますので、御了解いただければありがたいと思います。
 今大体7時で、おおむね予定どおりで、ちょっと過ぎてしまいましたけれども、本日の会を終わりたいと思います。活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。最初に申しましたように、4期のがん対策推進基本計画は重要です。これからのがん治療あるいはがん診療がどうなるかを決める、データに基づいてやる時代ですので、それを決めるところですので、いい意見出しをしていきたいと思います。
 それでは、マイクを事務局に戻したいと思います。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 次回の日程等に関しましては、事務局より追って御連絡させていただきます。お忙しい中大変恐縮ですが、御承知おきのほどよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議を終了させていただきます。構成員の皆様、長時間にわたり御議論いただき、誠にありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線4604)

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