外務省・新着情報

令和4年11月23日

 11月22日、モンゴル国議長国の下、オンラインでエネルギー憲章会議第33回会合が開催されました。概要は次のとおりです。

  1. この会議は、エネルギー憲章条約(ECT)の最高意思決定機関であり、今次会合では、今後のECTに係る対応等につき、締約国及びオブザーバー国の間で意見交換が行われました。
  2. この会合には、日本側から菊地信之経済局資源安全保障室長のほか、外務省及び経済産業省の関係者が、エネルギー憲章事務局側からギー・レンツ・エネルギー憲章事務局長(Mr. Guy Lentz, Secretary General of the International Energy Charter)及び廣瀬敦子同副事務局長が、議長国モンゴル側からバヤルマグナイ・モンゴル国エネルギー副大臣(H.E. Mr. Bayarmagnai Myagmarsuren , Vice-Minister of Energy of Mongolia)が、各締約国及びオブザーバー国の代表者がそれぞれ出席しました。
  3. 会合の中で、日本から、ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機の中で、エネルギー原料・産品の貿易・通過の自由化、エネルギー分野の投資保護等を規定するECTは引き続きエネルギー安全保障上重要である旨、さらに再生可能エネルギーに加えて、ECTの近代化交渉を通じて水素やアンモニア等の新しいエネルギー源が含まれたことで、近代化されたECTが脱炭素化やエネルギー移行を目指す上でも重要な役割を果たしていく旨指摘しました。
  4. なお、同会合では、昨今のECTを取り巻く現状を踏まえて各国で議論した結果、近代化されたECTの採択を延期して今次会合の議題として取り上げないこととなったため採択は行われませんでした。
  5. 今次会合で、来年11月又は12月に、ウズベキスタンでエネルギー憲章会議第34回会合を開催することが決定されました。
(参考1)エネルギー憲章条約(ECT: Energy Charter Treaty

  • (1)ソ連崩壊後の旧ソ連及び東欧諸国におけるエネルギー分野の市場原理に基づく改革の促進、世界のエネルギー分野における貿易・投資活動を促進すること等を宣言した「欧州エネルギー憲章」の内容を実施するための法的枠組みとして作成され、1998年4月に発効(日本は1995年に署名、2002年に発効)。
  • (2)エネルギー原料・産品の貿易及び通過の自由化、エネルギー分野における投資の保護等を規定。
  • (3)ECTの締約国は、欧州を中心とした50か国及びEU・ユーラトム(米国、中国、ロシア、イタリア、豪州は不参加)。
(参考2)エネルギー憲章会議

 エネルギー憲章条約の最高意思決定機関。年1回、その年の議長国で開催される。我が国は、2016年に議長国として第27回会合を東京で開催した。

(参考3)エネルギー憲章条約近代化交渉の実質合意

  • (1)ECTは、1998年の発効後、20年以上が経過。2019年12月に改正交渉の開始を決定、2020年7月以降、計15回の交渉ラウンドが実施され(うち12回はテレビ会議形式、2回は対面とテレビ会議のハイブリット形式、1回は対面形式で実施)、本年6月24日の臨時エネルギー憲章会議(於:欧州委員会)において、実質合意に至った。
  • (2)化石燃料に関する議論に加えて水素やアンモニア等の新たなエネルギー原料が投資保護ルールの対象に加えられるとともに、投資保護にかかる締約国の義務の明確化、投資家対国家の紛争解決手続の詳細の明文化、持続可能な開発と企業の社会的責任の新設、通過の自由をさらに促進させるためのルールについて実質合意に至った。
(参考4)今回の参加国

  締約国35カ国(アルメニア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、キプロス、チェコ、エストニア、EU、フィンランド、ジョージア、ギリシャ、アイルランド、日本、ヨルダン、カザフスタン、キルギス、リトアニア、ルクセンブルク、モルドバ、モンゴル、ノルウェー、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、タジキスタン、トルコ、トルクメニスタン、ウクライナ、英国、ウズベキスタン、イエメン)


発信元サイトへ