外務省・新着情報

令和4年11月22日
船越局長

 11月22日、第14回日中高級事務レベル海洋協議がオンラインにて開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 同協議には、日本側から、外務省のほか、国家安全保障局、水産庁、資源エネルギー庁、海上保安庁、環境省、文部科学省、国土交通省及び防衛省が、また、中国側から、外交部のほか、中央外事工作委員会弁公室、国防部、自然資源部、生態環境部、交通運輸部、農業農村部、国家能源局、中国海警局等が参加しました。
  2. これは、11月17日に実施された日中首脳会談で「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に向けて、安全保障分野においても意思疎通を強化していくことで一致したことを受けて、開催されたものです。
  3. 双方は、6月23日に行われた団長間協議に続き、全体会議のほか、(1)海上法執行及び海上安全、(2)海上防衛、(3)海洋経済の3つのワーキンググループに分かれて会議を行い、東シナ海情勢等について個別の事案に関する懸念事項も含む様々な課題や、海洋分野における協力の在り方等について率直に議論しました。
  4. 我が方から、我が国の立場に基づき、中国海警船による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を直ちに止めるよう強く求めました。また、これを含む東シナ海情勢、南シナ海情勢に関する深刻な懸念を表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性についても改めて提起しました。さらに、本年8月の中国によるEEZを含む我が国近海への弾道ミサイル発射等、我が国周辺海域における中国の活発化する軍事活動に対し、深刻な懸念を改めて表明しました。
  5. 我が方から、東シナ海資源開発問題に関して、本年6月に新たに2基の構造物が設置されたこと等に対して我が国の立場と強い懸念を改めて申し入れるとともに、双方は東シナ海資源開発に関する「2008年合意」について、同合意の実施に向けて引き続き意思疎通を続けていくことを確認しました。
  6. 我が方から、日本海の大和堆周辺水域における中国漁船による違法操業について、中国側の対応を改めて強く要請するとともに、意思疎通を強化していくことを確認しました。
  7. 我が方から、「瀬取り」への対応を含め、対北朝鮮制裁に係る国連安保理決議の完全な履行の重要性を提起しました。
  8. 東電福島第一原発のALPS処理水について、我が国が国際法及び国際慣行を踏まえた措置をとってきていることを改めて説明するとともに、今後とも中国を含む国際社会に対し高い透明性をもって説明していく旨述べました。
  9. 双方は、11月17日に実施された日中首脳会談で一致した、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの早期運用開始、ハイレベル交流を含む防衛当局間による意思疎通の強化、及び日中安保対話についても具体的に調整を進めていくことで一致しました。
  10. 双方は、日中海上保安機関・教育機関間の相互理解、交流を進めることを確認し、二国間や多国間会合の枠組み等を利用して意思疎通を継続し、双方の信頼を引き続き醸成していくことで一致しました。
  11. 双方は、密輸、密航、麻薬取締り等の犯罪取締りの重要性を共有し、引き続き連携協力していくことで一致しました。
  12. 双方は、2019年2月に発効した日中海上捜索救助(SAR)協定を踏まえた海上捜索救助協力強化に関する情報交換等を行い、地方窓口間の通信訓練等の実施を含む円滑かつ効率的な海上捜索救助に引き続き協力して取り組むことで一致しました。
  13. 双方は、海洋プラスチックごみ問題について、日中の様々なレベルでの協力を引き続き推進するとともに、G20等の国際的な枠組みに日中両国が積極的に貢献していくことで一致しました。
  14. 双方は、11月17日の日中首脳会談を踏まえ、今後とも海洋分野について意思疎通を継続・強化していくことで一致するとともに、第15回日中高級事務レベル海洋協議の来年の開催に向けて具体的な調整を始めることで一致しました。

[参考1]
 日本側団長:船越健裕(ふなこし・たけひろ)外務省アジア大洋州局長
 中国側団長:洪亮(こう・りょう)外交部辺境海洋事務司長
 日中高級事務レベル海洋協議は以前は局次長級で実施されていたが、第12回から局長級にて実施。

[参考2]日中高級事務レベル海洋協議(開催実績)
 第1回   2012年 5月15日~17日、於:中国(浙江省杭州市)
 第2回   2014年 9月23日~24日、於:中国(山東省青島市)
 第3回   2015年 1月21日~23日、於:日本(横浜市)
 第4回   2015年12月 7日~ 9日、於:中国(福建省アモイ市)
 第5回   2016年 9月14日~15日、於:日本(広島市)
 第6回   2016年12月 7日~ 9日、於:中国(海南省海口市)
 第7回   2017年 6月29日~30日、於:日本(福岡市)
 第8回   2017年12月 5日~ 6日、於:中国(上海市)
 第9回   2018年 4月19日~20日、於:日本(仙台市)
 第10回  2018年12月17日~18日、於:中国(浙江省烏鎮)
 第11回  2019年 5月10日~11日、於:日本(北海道小樽市)
 第12回  2021年 2月 3日(オンライン)
 第13回  2021年 12月 20日(オンライン)


発信元サイトへ