厚労省・新着情報

1 日時

令和4年9月2日(金)10時00分~11時35分

2 場所

厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 9階)

3 出席委員

公益代表委員
立教大学経済学部教授 首藤若菜
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
労働者代表委員
全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
使用者代表委員
日本通運株式会社取締役執行役員 加藤憲治

公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題

  1. (1)改善基告示の見直しについて
  2. (2)その他

5 議事

議事内容
 ○副主任中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから「第9回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会」を開催いたします。本日、御欠席の委員はおられません。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして、前回から引き続き、自動車局安全政策課の宮坂専門官、自動車局貨物課トラック事業適正化対策室の齋藤室長に出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○藤村部会長 部会長の藤村でございます。第9回目ですので、そろそろ決着にしたいと思っております。では、本日の議題に入りたいと思います。議題(1)の「改善基準告示の見直しについて」、事務局から御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 過重労働特別対策室長の岡田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、事務局より、本日の資料について御説明いたします。まず資料1「改善基準告示の見直しの方向性について」です。まず、資料1の構成としては前回までとは大幅に様式を変更しておりまして、各項目ごとに、左側に現行の規定、右側に見直し案を記載しております。この見直し案については、前回までの御議論を踏まえて、事務局において労使双方の御意見を伺いつつ、公益委員に御相談をしながら作成したものです。前回の部会資料に記載がなく、今回、新たに記載した部分や前回から内容を変更している部分については赤字で記載しております。
 それでは、1ページ目の「拘束時間」を御覧ください。現行の規定として、拘束時間は、1か月について293時間を超えないものとする。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6か月までは、1年間についての総拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができるとなっております。一方、見直し案としては、原則として拘束時間は、年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が284時間を超えないものとする。これは現行よりも9時間短縮しております。例外として、ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間で、これは現行よりも116時間短縮しております。これを超えない範囲において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができるものとする。こちらは10時間まで短縮しております。この場合において、1か月の拘束時間が284時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとし、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めるものとするとしております。年間の総拘束時間については、原則、バスの見直し案と同じ時間数としております。
 2ページ目です。「1日の休息期間」を御覧ください。現行の規定は、勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えるとなっております。見直し案としては、原則として休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。例外として、ただし、自動車運転者の1週間における運行が全て長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り、継続8時間とすることができる。この場合において、一の運行終了後、継続12時間以上の休息期間を与えるものとするとしております。例外については、長距離・泊付き運行の場合は、住所地以外での休息期間をできるだけ短くし、早く自宅に帰って休息するほうがよいのではないかといった御議論を踏まえ、このような案としております。
下の白抜きの四角囲みの中に用語の定義等を記載しております。※1ですが、長距離貨物運送の定義として、「一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送をいう」としております。これは、現行の施行通達において、監督署の重点対象の記載で用いられている長距離貨物運送の定義の一部を使用したものです。
※2ですが、一の運行の定義については自動車運転者が所属する事業場を出発してから、当該事業場に帰着するまでをいうとしております。これは、国土交通省の貨物自動車運送事業の勤務時間等基準告示で用いられている一の運行の解釈をそのまま使用したものです。
 ※3ですが、一の運行における休息期間のいずれかが9時間を下回る場合には、当該一の運行終了後、継続12時間以上の休息期間を与えるものとするとしております。これは、一の運行において、例えば、8時間の休息期間が2回はもちろんですが、1回の場合であっても、一の運行終了後は継続12時間以上の休息期間を与えなければならないということを明示したものです。
 3ページ目です。「1日の拘束時間」を御覧ください。現行の規定としては、1日(始業時間から起算して24時間をいう)についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は16時間とする。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とするとなっております。見直し案としては、先ほどの1日の休息期間の裏返しの規定になっておりますが、原則として1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は15時間とする。例外として、ただし、自動車運転者の1週間における運行が全て長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができるとしております。
また、原則と例外のいずれの場合においても、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるものとする。通達において、「1週間について2回以内」を目安として示すこととしております。1週間の目安の回数については、バスやタクシーの見直しでは3回以内としているところですが、トラックでは2回以内と、より厳しい内容としております。
 4ページ目です。「運転時間、連続運転時間」を御覧ください。運転時間について、現行の規定としては、運転時間は2日を平均し、1日当たり9時間、2週間を平均とし、1週間当たり44時間を超えないものとするとなっております。見直し案として、今回は変更しないこととしております。
連続運転時間については、現行の規定は、連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう)は4時間を超えないものとするとなっております。見直し案としては、原則として連続運転時間(1回が概ね連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう)は4時間を超えないものとする。当該中断は原則休憩とする。通達において、「概ね連続10分以上」とは、例えば、10分未満が3回以上連続しないこと等を示すこととするとし、「例外」として新たに規定を追加しております。ただし、サービスエリア、パーキングエリア等に駐車又は停車できないことにより、やむを得ず4時間を超える場合には、30分まで延長することができるものとするとしております。
 5ページ目です。「特例1(分割休息)」を御覧ください。現行の規定としては、業務の必要上、勤務終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上でなければならないものとする。一定期間は、原則として2週間~4週間程度とし、業務の必要上、やむを得ない場合であっても2か月程度を限度とする。分割は、2分割に限らず3分割も認められるものとするとなっております。見直し案としては、1つ目の▶印は、1日の休息期間の見直しに伴う形式的な変更であり、現行の継続8時間を継続9時間とし、長距理・泊付き運行の場合は継続8時間のままとしております。2つ目の▶印ですが、分割された休息期間の最小単位を継続4時間を継続3時間に変更しております。「合計10時間以上」についての変更はありません。3つ目の▶印ですが、一定期間の最長を1か月程度と短縮しております。4つ目の▶印ですが、3分割については変更はありませんが、その場合、3分割された休息期間は1日において合計12時間以上でなければならないということを明示することとしております。5つ目の▶印ですが、新たに3分割される日が連続しないよう努めるものとするという努力規定を設けることとしております。
分割休息特例については、現行の施行通達においても、休息期間の分割の特例の適用に当たっては、当分の間、認められた措置であることに留意し、特に業務の必要上については厳格に運用することとされており、今回の見直しにおいても、この考え方に変更はありません。
 6ページ目です。「特例2(2人乗務)」を御覧ください。現行の規定としては、自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合(車両内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限る。)は、最大拘束時間を20時間まで延長することができる。また、休息期間は4時間まで短縮することができるとなっております。見直し案として、原則としては現行からの変更はなく、「例外」として新たに規定を追加しております。
ただし、当該設備が次のいずれにも該当する車両内ベッド又はこれに準ずるものであるときは、拘束時間を24時間まで延長することができる。また、当該車両内ベッドにおいて8時間以上仮眠する場合には、当該拘束時間を28時間まで延長することができる。この場合において、一の運行終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるものとする。ア、車両内ベッドは、長さ198cm以上、かつ、幅80cm以上の連続した平面であること。イ、車両内ベッドは、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであることとなっております。
 7ページ目です。「特例3(フェリー)」を御覧ください。フェリー特例については、今回の見直しにおいて変更はありません。
 最後に、8ページ目です。「予期しえない事象」を御覧ください。こちらはバスやタクシーと同様の規定を今回新たに追加することとしております。事故、故障、災害等、通常予期しえない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができることとする。ただし、勤務終了後は、通常どおりの休息期間(※)を与えるものとする。※の所ですが、休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
具体的な事由としては、4つあります。ア、運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合。イ、運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合。ウ、運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合。エ、異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合としております。
 資料1の説明は以上です。資料2と参考資料の説明は省略させていただきます。事務局からの説明は以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございました。これから、事務局から示されました資料1を基に、議論していきたいと思うのですが、議論に入る前に、もう一度、確認をしておきたいと思います。なぜ、そもそも私たちがこういう議論をしているかということです。
 1つは、トラック運送業は長時間労働に伴う健康被害が多い業種であり、脳・心臓疾患がたくさん発生していて、それを防止しなければいけないことと、健康で安全に働ける職場にしていく、これが1つ目の目的としてあったかと思います。それから、もう1つは、若者から選ばれる産業になるという点が、最初の頃、労使双方から出ておりました。長時間労働で拘束時間が長いという産業だと若者がなかなか来てくれません。そうではないんだということを広くアピールしていく、そのためにもこの改善基準告示をしっかり決めていくということが必要だということで、議論が始まったと思います。そこもしっかり踏まえた上で、今日の議論に入っていきたいと思います。
 資料1に示されております項目の順番に従っていきたいと思います。資料1の1ページの「拘束時間」については、1年、並びに1か月の拘束時間についての案が出てきております。これに対して、労使双方の御意見、御質問を受けていきたいと思います。では、まず、使用者側からお願いいたします。
○馬渡委員 拘束時間について、今まで、いろいろ話をしてきました。我々の勤務実態や、先生方からも御指摘があったように、商慣行をどうにかして改めるような手立てがないだろうかというお話をしてきましたが、いろいろな話の中で、やっと何か少し光明が差してきたのかなと。そういうふうにして、厚労省さんや国交省さんにも対処していただく中で、やはり我々も荷主さんの不確定要素さえなければ短くしていきたいという思いは一緒ですので、ここに書いてありますように、原則というのは組合さんがおっしゃるように、3,300時間という形で、目指すべきところはきちんと書き込んでいただこうと。
 ただ、いろいろな事情もありますので、1か月の拘束時間は284時間とさせていただきたいと思っています。それから、6か月までの総拘束時間の話ですが、3,408時間という話でずっときていましたが、バスが先に決めておられるので、我々としては、バスよりも、荷主さんの不規則な部分があって時間が長くなる実態があるのだけどと思いつつ、年間ですから、各社で頑張れば8時間ぐらい何とかできるのではないかというようなこともあって、3,400時間を超えない範囲内でやろうと。ただし、1か月の拘束時間が320時間というのは、やはり荷主さんの商慣習が改まっていかなければ、この310時間で本当に収まるのだろうかという危惧は当然あります。ただ、それはその中に収まるように。
 それから労働者側でおっしゃるように、720時間という時間を見ながら考えたときに、やはり300時間以内に、どうやって収めていくかというのは、当然、労使双方で考えていくべき話かと思いますので、ここは取りあえず今の段階では、「310時間まで延長することができるものとする」ということを書かせていただいて、「284時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとし、」と。そして、赤字で書いてありますが、「1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める」と、荷主さんにも、こうなんですよというのを訴えながら、やはり頑張ってやらせていただこうと。ただ、「する」と書いてしまうとなかなか厳しいものですから、「努めるものとする」という書きぶりにお願いをしたところです。以上です。
○藤村部会長 ということは、使用者側としては、この案でいいということでしょうか。
○馬渡委員 はい、いろいろな後の数字がありますが、総枠の部分は、最初から言っていますが、我々も短くするべきだと思いますよと。ただし、いろいろな局面において決めたとおりにならないというのは、経営者が言ったとおりにならないことが多いものですから、その部分は少しアローワンスは頂きたいと。ただ、全体を縮減するというのは我々も賛成なので、縮減する形でやっていこうと思いますし、また後のほうでも申し上げますが、脳・心臓疾患の話をずっと聞いていて、我々も確かに厳しい職場だなと感じています。やはり、それを我々や労働者側、それから荷主さんが、同時に解決しないと、結局そのままの実態が変らないということになりますので、今回は議論を大いにさせていただいて、少し荷主さんのほうにもアナウンス効果ではないですが聞こえている部分というのはいいことかなと。全体はやはり短くしていきましょうと。
 それから月の波動は、どうしても業務の特性上、波動がありますから、そこの部分は認めていただきたいと。ぎりぎり、こういう時間で我々も頑張ろうという部分で納得というか、また藤村先生も言われたように、どうにかして、そろそろ決めませんかという部分を考えると、バスやタクシーの方をずっとお待たせしているものですから。こういうふうな形でやらせていただきたいなと思っています。
○藤村部会長 分かりました。では、労働側の御意見をどうぞ。
○世永委員 藤村先生も言われたように、今回の見直しのそもそもの起こりというのは忘れてはいけないということです。トラック運転者の命と健康を守っていくんだという観点で議論してきたと思っています。そこで、拘束時間の関係の前提となる実効性のある時間管理について、使用者側のほうからは、デジタコによる管理が可能だと主張してこられました。しかし、実は総重量7t以上の車両にしか運行記録計の装着義務は課されてないと。一方で、それ以下の車両は約30万台あります。全てのドライバーの時間管理をデジタコで実施するという主張は少し無理があるのかと受け止めています。
 先ほど来申し上げているとおり、労働者の命と健康を守るということでは正確な労働時間管理が必要だということで、実効性のある監督・指導が必要だろうと思っています。そこで、今日、オブザーバーとして国交省さんがお見えですので、準中型トラックの24万台、それ未満も入れると約30万台になりますが、先行して準中型の労働時間を管理していく上で、運行記録計購入の助成金などが必要となります。現行、助成金を行っているのであればこれの継続等、また、今後の監督指導の考え方があれば、お伺いしたいというのが1つです。
 それと、具体的な拘束時間の関係に入りますが、年間拘束時間3,516時間から、拘束3,300時間へと大幅に削減されたことにつきましては、我々、労働側の主張を酌んだものと評価をしております。例外の関係について幾つか発言をさせていただきたいと思っています。例外の年間拘束時間3,400時間については、貸切バスと同様の時間でありますが、高速貸切バスについては1か月の拘束時間が294時間と、時間外労働、休日労働が100時間を超えない時間設定となっているということです。それと、もう1つは、令和3年の脳・心臓疾患による労災認定件数について、乗用自動車運転者およびバス運転者は0件だったということですが、それに対して、我々貨物自動者運転者は53件という状況です。1か月の拘束時間を310時間まで延長することは、国が定めた脳・心臓疾患の労災認定基準を超える、単月100時間超の時間外労働を許容することになります。
これは厚労省に質問なのですが、今回、1か月の時間外・休日労働時間を100時間未満にする努力義務が追加提案されました。トラック運転者の労災件数を踏まえ、この確実な健康確保のために、本来は義務化ということがベストだと思っています。行政としてトラック運転者の健康をどのように確保していくのかをお伺いしたいということで、御質問は2点です。よろしくお願いいたします。
○藤村部会長 分かりました。まず、国土交通省に対して質問が出ておりますので、お答えをお願いいたします。
○国土交通省オブザーバー 国土交通省自動車局安全政策課でございます。従前から、デジタコにつきましては補助制度などを入れてきているところもありまして、こういったところを引き続き活用しながら適切な労働管理をやっていただくことになるかと考えております。
○藤村部会長 監督課長、どうぞ。
○監督課長 監督課でございます。拘束時間が月294時間を超えた場合に、時間外・休日労働が100時間を超える水準を許容するのではないかとの御指摘です。前回も申し上げましたが、拘束時間には休憩時間が含まれますので、拘束時間が294時間を超えることをもって、直ちに時間外・休日労働が99時間を超えることにはならないこと。それから、月294時間を超えた場合でも、年間の拘束時間3,400時間の範囲で運用されるということがあります。それに加えて、今回の御提案では、月の原則である284時間を超える月が3か月を超えて連続しないようにするという案を示しております。
 その上で、前回、労側から御懸念があったことも踏まえまして、今回、新たに「1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める」との規定を設ける案を示しています。これについて、義務化というお話がありましたが、これは自動車運転者の特性から拘束時間を規制しているという観点で、義務化することはなかなか難しいと考えておりますが、これらの規定をもって、長時間労働の是正を図り、健康確保に努めていくということを考えております。以上です。
○藤村部会長 世永委員、いかがですか、今の回答に対して。
○世永委員 拘束時間の関係で、特に310時間について、休憩も時間外以外に入っているんだということを、使用者側もずっと主張していますが、労側としましては今までの主張は主張として考えつつも、いろいろな意味で行政も踏み込んだ回答をしてくれたのだろうと思っています。そういう意味では、本当に実効性のある行政指導等、監督指導をきちんとやっていくということを、担保として取っていただければと思います。
○藤村部会長 ということは、拘束時間について、今日出されている案で、労働側としてもこれでいいということでよろしいですか。
○世永委員 100%大賛成ということではないのですが、渋々ということで、御理解していただければと思います。
○藤村部会長 首藤委員、何かありますか。
○首藤委員 ありがとうございます。まず、労使で歩み寄れるような案ができたことで、ちょっと安心して、ほっとしているという部分があります。冒頭で委員長が申し上げたとおり、やはり労災を減らせるかという点がすごく重要なわけですが、今回、赤字で追加された「時間外・休日労働時間数を100時間未満になるよう努める」というところが、これは過労死基準ですので、これを「努める」という表現をされているところが少し気になるといえば気になるところではあります。今後の、この後の議論も含めて、期待したいなと思っているところです。
 もう1点、質問なのですが、先ほど、世永委員から、デジタコの未装着の車両が30万台ぐらいあるというお話がありましたが、使用者側に教えていただきたいのですが、デジタコが付いてない場合の労働時間管理というのは、実態としてどのようにして行われているものなのでしょうか。
○加藤委員 基本的に、デジタルタコグラフはほとんどの大手さんでは付けていると思いますが、多分、中小企業等で付けていない場合は、基本的には日報があります。走行していた時間、荷役をしていた時間、休憩時間、これをそれぞれ棒グラフのように、例えば一番上が運転時間、真ん中が荷役時間、下段が休憩時間というように、時間の経過を横軸として始業から終業までをチャートのような形でグラフ化していますので、その合計を見て、こういう勤務だったというのを把握するのが実態だと思います。
○首藤委員 それは労働者による自己申告であるということですか。
○加藤委員 結局、出発した時間と帰着した時間というのは、運行管理者というのがおりまして彼らが把握していますから、その間の時間というのは自己申告になりますが、始点と終点は、間違いなく現認されている状況です。
○首藤委員 とすると、そのデジタコで拘束時間については分かるけれども、その間については自己申告ということですね。
○加藤委員 そうですね。
○首藤委員 分かりました。
○藤村部会長 労使双方から、今日の案について、100%ではないが、これで合意をしようという御発言をいただきました。拘束時間については以上でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、次の2ページです。「1日の休息期間について」です。これも使用者側からお伺いします。加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 今回、総量としては8時間から9時間になったものの、これは規制強化ということですが、例外として私どもから常々主張してまいりました、自宅で休む時間を長くしてほしいということの主張を取り入れていただいたことについては、厚生労働省の皆さん方の御努力に感謝申し上げたいと思います。基本的にこちらの内容で理解をしたいと思います。
○藤村部会長 労働側はいかがでしょうか。
○世永委員 今、加藤委員が言われた「ただし書き」のところ、泊を伴う長距離貨物運送に関する規定が新たに示されましたが、引き続き8時間というのが長距離貨物には残ることは課題だと受け止めています。行政の方に、この提案の背景、理由を再度、こういう形で考えたということについて、答弁いただければと思います。
○監督課長 監督課長でございます。前回、基準を長距離と近・中距離で分けられないかといった御指摘や、長距離・泊付きの場合には、トラックで寝るのと家で長時間休むのと、どちらがよいのかといった御指摘がありました。こうした指摘を踏まえて、近・中距離では下限9時間を確保するとともに、長距離・泊付きの場合には、限定的に下限8時間を可能とし、代わりに、運行終了後に12時間の休息を確保するということで御提案させていただきました。
○世永委員 ありがとうございます。原則に対して、意見として受け止めていただきたいのですが、勤務終了後、継続11時間以上を与えるように努めることを基本として、継続9時間を下回らないものとするということにつきましては、労働者の1日の生活時間と睡眠時間、それと労働時間との関係ということからも、継続11時間の確保に向けて、荷積み対策も含めた好事例を展開するとともに、再度のお願いですが、行政としても11時間が確保できるよう、労働者の健康確保の観点からの監督指導の徹底を是非お願いしたいということです。
 もう1つは、これが一番問題だと思っているのですが、深夜から早朝にかけて、日々、出発時間が変わるトラックドライバーの脳・心臓疾患の労災支給決定件数が多いと認識しております。出庫時間が毎日、深夜から早朝にかけて業務に従事しているドライバーに対する健康確保措置は重点課題だと考えています。昼夜が逆転することが心身に与える影響を十分踏まえ、休息期間に係る内容について、今まで以上の行政の指導を強く求めたいということで、この内容で受けていきたいと思います。
○藤村部会長 ありがとうございます。今、行政への要望というのが出てまいりましたが、監督課長、いかがですか。
○監督課長 今回、休息期間の原則として、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないということをお示ししていますが、やはり、この原則は重要なものだと思っておりますので、世永委員から、監督指導や好事例の収集・普及ということで御指摘を頂きましたので、これはできる限りしっかりやっていきたいと考えております。
○藤村部会長 分かりました。この1日の休息期間についても、今日、御提示いただいた案で、労使双方の合意ができるということでよろしいですね。ありがとうございます。
 では、次にまいりたいと思います。次は、「1日の拘束時間」です。これに対して使用者側はどのようにお考えか、どうぞ、お願いいたします。
○馬渡委員 では、私のほうから。原則は変わらないわけですが、最大拘束時間を16時間から15時間とするという形になりましたが、例外規定を設けていただいていることで、本当に、勤務実態で長距離と近・中距離、それからミルクランをしたりする者と長距離というのはすごく違うものですから、こういうふうにしっかり分けて提示をしていただいたというのは嬉しいと思いますし、有難いと思っています。
 当該1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすると、反対側の休みが8時間になるわけですが、先ほど加藤委員から話がありましたように、やはり、外に出たらできるだけ早く帰りたいと。それから、結局、外に出ると通勤時間がほぼなくなりますので、8時間でもひょっとしたら家に帰るよりゆっくり休めるのかもしれないという実態もあると思います。
 こういった形で、「当該1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができる」というふうに、荷主さんにも、こうならないように、とにかくしてくださいというお話は当然すると思いますが、長距離の場合には、市場の開始時間とかいろいろなものがあるものですから、そういったところで、やむを得ず最大拘束時間が増えることに配慮をしていただいているのは本当に有難いと思ってます。
 こういった形で、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めようということで、ほかの業態と同様に、3回と書いていただきたいところなのですが、これはいろいろな面で緩めていただいているというか、実態に合わせていただいている部分がありますので、この形で1週間について2回以内を目安ということも、これから通達を書かれる中において議論をさせていただきたいと思います。以上です。
○藤村部会長 それでは、労働側委員、いかがでしょうか。世永委員、どうぞ。
○世永委員 原則、1日の最大拘束時間が15時間ということで、現行より1時間削減されたことは評価できると思っています。例外の2番、これは先ほどの2番と同じような答えになるかもしれませんが、泊を伴う長距離運送に関する規定が新たに示されたということで、まずは、その理由について教えていただければと思います。
○監督課長 こちらの規定は先ほどの休息期間の規定の裏返しであって、先ほども申し上げましたが、長距離・泊付きの場合は、トラックで寝るのと家で長時間休むのとどちらがよいのかといった指摘がありまして、こうした指摘を踏まえ、下限8時間を可能にする一方で、12時間の休息は確保するという御提案です。
○世永委員 ありがとうございます。3番で、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めることが規定されて、通達において、1週間について2回以内を目安とするとなっています。単なる目安にとどまることがないように、行政として監督指導の徹底ということを受けながら、この内容で「了」としていきたいと思っています。
○藤村部会長 馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 その3番のところについてもいろいろなケースバイケースがあると思っていて、荷主さんが連続して10時間を超える指示を出されるような場合は、それこそ、厚労省さんのほうに、荷主対策をしっかりと実効性があるように、こういうふうに決まっているのだからこうですよという要請をしっかりやっていただくことで、少し、商習慣が変わっていかないかなという期待もありますので、その辺のところも話しながら、通達のほうを出していただければと思っています。
○藤村部会長 首藤委員、この休息と拘束について、何かございますか。
○首藤委員 休息と拘束について、今回、長距離貨物運送が例外規定として設けられたのですが、長距離貨物運送の労働時間が特に長いということが調査の結果からも分かっているところで、こうした実態に合わせた規定にしないと、なかなか守れないという現実があるのもよく分かります。ただ、実態としては、やはり労働時間が長いので労災も相対的に多い傾向もあり、労災を減らせるのかという問題はどうしても残ると私は思っています。ただ、1日の休息期間に12時間規定が新たに設けられましたので、それらをきちんと守っていただくことによって少しでも労災の減少につながるといいなと思っております。以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございました。では、この「1日の拘束時間」についても、今日、案として示されたもので、労使双方の合意ができたということでよろしいですね。ありがとうございます。
 では、次の「連続運転時間」です。4ページです。これについて、まず使用者側の御意見を伺いたいと思います。加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 こちらも、我々が常々主張してきました例のサービスエリア・パーキングエリア等の問題、あるいは10分以上となっているところが、実は7分半で出てしまったというようなこともあるという実態を踏まえて、修正いただいたということについて評価をさせていただきたいと思います。私どもとしては、これで「了」としたいと思います。
○藤村部会長 労働側、どうぞ。
○貫委員 ありがとうございます。我々とすると、我々の主張していました運転の中断に関する部分で、原則、「休憩」という言葉が入ったというふうなことについては、有り難いなと思っています。この休憩という部分なのですが、原則という部分がありますので、特に長距離のドライバーについては運転離脱のところで休憩というところが確保できると思いますが、以前から主張していますように日勤の中距離運転者、この方々の休憩時間の確保といった部分が重要だと思っています。その辺の実態をきちんと監督指導の中で、どのように行っていただけるのかなというのが、まず1点です。
 あと、運転離脱の時間ですが、「概ね10分以上」という表現になりました。今までは10分以上というところであったのですが、この概ね10分ということについては、あくまでも、10分が原則であるという理解でよろしいのかというのが1つ、行政側にちょっと御質問させていただきたいと思います。併せて、休憩が取れているのかどうなのか。先ほど少しお話させていただきましたが、それをどのような運用実態として確認していくのか。もし、手立て等、お考えがありましたらお伺いしたいと思います。以上です。
○藤村部会長 では、監督課長。
○監督課長 まず、1点目の「概ね10分」についてですが、やはりこれは概ね10分ということですので、社会通念上の10分ということで、当然ながら1分、2分ということは認められないということはしっかり周知をしていきたいと思っています。
 それから、どのように実態を把握して監督指導をしていくのかということですが、これについては、先ほど使用者側からもありましたが、デジタコや運転日報など、そういったことを通じて実態を把握して確認をしていくということになりますので、こうしたことを通じて適切に監督指導をしっかり行っていきたいと考えています。以上です。
○貫委員 ありがとうございました。あと、例外のところで少しお伺いしたいと思うのですが、この例外のところで「サービスエリア・パーキングエリア等」という表現になっています。サービスエリア、パーキングエリアは明確に分かるのですが、「等」という部分については、どういうものをお考えなのかということを少しお伺いしたいなと思うのと、「やむを得ず4時間を超える場合には、30分まで延長することができるものとする」という部分なのですが、原則として4時間の堅持に向けていくことが重要だと思いますが、ここの部分で安易に、ドライバーの方々が4時間30分までOKだと、安易に4時間30分の連続運転とならないようにするには、何か施策というか、どういうお考えがあるのか、もしあればお伺いできればと思います。以上です。
○監督課長 2点の御指摘を頂きました。まず1点目は、「サービスエリア、パーキングエリア等」の「等」について、何が含まれるのかということですが、これは事前に労使に御意見をお伺いする中で、コンビニエンスストア、それからガスステーション、道の駅ということで考えています。こうしたことは通達で示していくということを考えています。
 それから、もう1点は「やむを得ず4時間を超える場合には30分まで延長」ということを、どのように担保していくのかということですが、これはあくまでも原則は4時間という考え方は変わりませんで、4時間30分の連続運転を広く認めるものではないということですので、こうした趣旨はしっかり周知をしていきたいと考えています。以上です。
○藤村部会長 世永委員、どうぞ。
○世永委員 繰り返しになりますが、概ね10分、休憩の関係ですが、これは通達で原則10分ということの指導ということで理解していいのでしょうか。
○監督課長 この「概ね」は、具体的には通達で示していくことを考えていまして、その例示としては資料にもありますように、「例えば、10分未満が3回以上連続しないこと等を示すこととする」としています。範囲が広がり過ぎないようにすることが重要と考えていまして、労側の御懸念も踏まえ、ほかにどのようなことが示せるかというのは引き続き検討していきたいと思います。
○世永委員 労側としては、やはり10分原則ということに拘っていますので、そこを配慮した指導とされたいということです。あと、もう1つは、非運転時間は必ず休憩である必要はないという解釈は、実は全ト協さんの発刊されているQ&Aには記載されています。今回の取扱いとの整合性を図る観点からも、これはお願いなのですが、全ト協さんにも行政にも、そういった整合性を含めて対応していただきたいということについて、お願い申し上げます。
○藤村部会長 貫委員から最初に出された、近・中距離のドライバーの中断が休憩になっていないという、この辺りは、行政としてどう考えるか、その点はいかがですか。監督課長、どうぞ。
○監督課長 御指摘を頂いたのは、日勤でルート配送などの場合に、なかなか休憩が取得できないということで理解していまして、ただ、そうした場合でも休憩を取ることは重要ですので、そうした考え方の下に今回、原則休憩という考え方をお示ししたものです。併せて、日勤のルート配送において、実際に休憩が取れるようにするための環境整備は、しっかり進めていきたいと思います。
○藤村部会長 分かりました。
○馬渡委員 この部分については、ずっと我々も話していたのは、デジタコが付いていないものもあるとは思いますが、デジタコが付いたがゆえに、1秒出ましたとか、若しくは9分50秒で出発してしまったというようなものは、運転手もやはりストレスの原因になっているので、その辺のところは「概ね」という形で示していただいたものだと思っています。基本は、やはり4時間を超えないものとするという形ですので、計画はそういう計画で休ませるようになると思います。ただ、先ほど申し上げたように、道路の状況や、荷主さんの所で若干遅れて、こうなりましたというときに、どうしても1分1秒で「これは違反になるから」というような無駄なストレスは与えたくないなというお話をずっとしてきていますので、こういうふうな書きぶりをしていただいて、細かな指導はあると思いますが、やむを得ずということで、30分延長をできるものとすると書いていただいたのは非常に有り難いです。本当に実態は、何度も申し上げますが、例えばバスは路上に止まっていても、お客様を路上で降ろされることは大いにありますので、それはあまり不思議ではないのですが、やはり大きいトラックがハザードを点けて止まっていると、一般の方は路上で休憩されることはあまりないと思いますので、何でこんなところに止めているのだというのが、やはり一般の方の、自家用車を運転されている方の反応でもあります。トラックは自家用車よりも大きいわけですから、できるだけ邪魔にならない所に、先ほどおっしゃったようなコンビニや道の駅などに停めるということを日常茶飯事、運転手たちがしていますので、こういった形で少し、道の実態なども合わせていただけるというのは非常に嬉しいと思います。
 反面、先ほど話がありましたが、業務実態で、やはり仕事の中身によっては、しっかり仕事をしてもらって、しっかり休みを与える、そういう業務のものも大いにありますし、途中途中できちっと休憩を取らせながらやるという場合もありますので、そこのところは全体として休憩をきちんと取らせるようにしなさいというような指導はできるのかなと思います。ケースバイケースにはなりますが、全体としてきちんと休みを与えなさいという場合のことを示せればいいのかなと思っています。
○藤村部会長 世永委員、どうぞ。
○世永委員 例外のSA・PAについては、原則30分という回答を頂いていますので、そういう形で把握していきたいということと、やはり労側としては、ずっと使用者側から言われている「概ね10分」の関係ですが、これは指導と運用との違いなのだろうと思いますが、やはり原則は10分だということで、指導をしていただきたいということで、それが担保を取れるのかということを確認したいのですが。
○藤村部会長 これは、監督課長にお願いしましょう。
○監督課長 これは先ほども申しましたとおり、通達で定めていくということになると考えています。今、労側から御意見がありましたので、労使双方の御意見を伺いながら通達に何を書いていくかということは、引き続き検討していきたいと思います。
○藤村部会長 いろいろ労側からも御要望が出ていますが、そういった通達その他で、正に原則は原則で、それが守られるようにしていくこと、それが担保されることを前提に、この案でいいということで、よろしいでしょうか。
○世永委員 そこはペンディングと言いますか、本当に担保できるのかどうかということもありますので。あと、これが決まらないと通達まで進まないということもありますから、近々に判断したいと思います。
○藤村部会長 分かりました。それでは、次に5ページ、特例1の分割休息についてです。使用者側から御意見を伺いましょう。いかがでしょうか。
○加藤委員 こちらについても、先ほどの話ではないですが、長距離運行のところと同じで、8時間になっていることもありますし、3分割についても我々がずっと主張してきたところを認めていただいているということで、当然努力義務として、3分割される日が連続しないというものがありますが、3分割を認めていただいたことについては評価をさせていただきたいと思います。また、継続3時間ということにしていただいたことについても、大いに評価をさせていただきたいと思います。以上です。
○藤村部会長 では、労働側、どうぞ。
○世永委員 前回、資料では全く示されていなかったということで、休息期間が1回当たり継続3時間以上と、現行より1時間緩和された提案と受け止めています。現行の通達では、休息期間は直前の拘束時間における疲労の回復、さらに睡眠時間を含む労働者の生活時間であり、休憩時間や仮眠時間とは本質的に異なるものだということが明記されています。現行、告示の解釈では、3時間は休憩の取扱いとなっていると私は思っていますが、仮眠的な時間を、なぜ休息期間の取扱いとするのか、疑問があります。そこで現行、分割休息を事業者はどれぐらい活用しているのか、実態調査における内容を把握しているのであれば、お伺いしたいと思います。
○監督課長 分割休息特例の実態ですが、令和3年度の調査で、休息期間分割の特例が適用される運行があったと回答した事業者の割合は21.1%となっています。
○世永委員 今の御回答ですと、分割休息は全体で約2割だということですね。そのうち、やむを得ず継続3時間が必要というケースは非常にレアで、限定的ではないかと。そんな数パーセントのために、全体を緩和するというようなことになるということについては、ちょっとクエスチョンだということです。
 継続3時間を示されたということで、これは使用者側のほうにですが、どういうふうなケースがあるのか、ちょっと教えていただければと思います。
○藤村部会長 馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 緩和とおっしゃっていますが、10時間というのは変わらないので、4時間と6時間になるのか、3時間になれば7時間の休息が取れるという形になりますので、我々としても、片方が短くなった場合は、片方を長く休ませることができるのかなと。ただし、業務の特性上どうしても分割せざるを得ないという場合にやる行為ですので、3分割をした場合には3、4、5などと、2時間多いわけですが、12時間を休ませるというようなことになりますので、3分割も認めていだいたというのは非常に有り難いなと。運行計画を組む上でも、3時間が取れて、片方が7時間になるという形が有り難いのですが、4時間だった場合も、荷主さんから「今、下ろせ」とか、そういうような御指摘があって、「4時間休んでいるのですよ」という話をしても聞いてもらえないというケースもありますので、そういった意味では、荷主さんにも4時間が原則ですというお話をしますが、継続3時間できちんと分割して、このように継続してという形で書いていただくと、我々も運行計画を組みやすいなと思います。荷主さん側にも、これは絶対に、この時間は休ませますということも言いやすいということもあって、非常に有り難いなとは思っています。以上です。
○世永委員 行政のほうにお聞きしたいのですが、今回、「継続3時間」と示された理由というのは、使用者側の説明以外に何かあるのでしょうか。
○監督課長 この下限3時間とすることについては、使用者側の御意見を踏まえたものということですが、1つの事例として、例えば2分割する前提で、前半に6時間30分を取得する。合計10時間ということであれば、後半に3時間30分でいいのですが、下限は4時間ですので4時間を取得しようとする。そうした場合に、今、馬渡委員からもありましたが、例えば3時間50分経過したときに、荷主の指示でどうしても動かなければならないとなった場合に、合計10時間を超えているにもかかわらず、下限の4時間を超えていないということで違反になってしまうという場合があるということで、こうしたケースを想定したと、使用者側から聞いているということです。
○世永委員 非常に限定的なケースだということについては、改めて申し上げさせていただきたいということと、やはり先ほど言いましたが、直前の拘束時間における疲労の回復ということがきちんと担保されなければ駄目だということについては、再度申し上げさせていただきたいと思います。
 それと、3分割の関係については、トラック運転者の健康を確保するために、やはり着・発の運行、これをできなくするような形の制限ということが再度必要だということです。それと1つ、2つ戻りますが、一定期間の関係で、バスは1か月になっています。「1か月程度」ということではなくて、トラックも「1か月」と限定をしていただきたいということを申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 使用者側、どうですか。この1か月程度というものを、1か月というふうに、「程度」を取るというのは、いかがですか。
○馬渡委員 今は2か月程度ということになっていますが、これを1か月程度と。社会通念上、2か月程度が1か月程度になれば厳しく管理をしていくという形になりますが、「程度」を取ると、先ほどの話と一緒なのですが、がちがちになってしまうと、運行計画通りに動かせる場合はそれで何とかしますとお答えはしますが、ずっと議論があったように、不確定要素のほうが、これからいろいろ国交省の御指導もあり、それから厚労省さんの御指導もあった上で少しずつ意識を変えていただくという期間があると思いますので、程度というのは残していただきたいと思っています。ただし、その2か月程度ではなくて、1か月程度というのはやむを得ないかなと考えます。
○世永委員 どうしても、この4時間を3時間に緩和するということは、無理があります。ですから仮に、もし3時間を入れるということであれば、先ほど言われたような制限ですね、そういった限定の指導ということができるのかどうかをお伺いしたいのですが。
○監督課長 今回、見直しをして、その分割休息の案がまとまりましたら、それに基づいて指導していくということになりますが、そもそも、この分割休息特例については、現行でも業務の必要上、継続8時間以上の休息期間を与えることは困難な場合の特例とされています。休息の与え方として、本来、好ましいものではないということは、そのとおりだと思っています。こうした考え方についてもしっかり周知していきたいと考えています。
○藤村部会長 世永委員、いかがですか。
○世永委員 どうしても、3時間が下限ということが引っ掛かりますので、これも先ほどと同じく近々に判断しますが、今この場では「了」とはできないということを申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 はい、分かりました。それぞれ主張がありますよね。
 では、次にいきましょう。特例の2の2人乗務、6ページになります。ここについてはいかがでしょうか。使用者側の加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 これも使用者側からずっと主張してきましたが、馬匹輸送に関して御配慮いただいたことに関して感謝申し上げたいと思います。
 また今回、これに準ずるということでお示しいただきましたが、ベッドの規格です。これは伺ったところによると、旅客船の基準をもとに作られているということなのですが、実際にトラック、馬匹輸送車は特注ということであったので、ある程度そういうつぶしはきくのですが、いわゆる一般的な規格型の大型車両については、当然、車両の幅等について道路運送車両法にて規定をされていますので、ある程度の制約があると思います。そういった意味では、旅客船の既存のものが適用になるということでもなさそうですので、この運用に当たっては、当然、これは通達等でお示しをいただくことになると思いますが、若干、柔軟な対応をお願いしたいというところです。以上です。
○藤村部会長 分かりました。では、労働側、どうぞ。世永委員。
○世永委員 これも前回まで記載のなかった文章です。「又はこれに準ずるもの」ということですが、正直に言って、馬匹に限定ということで理解していたのですが、今、加藤委員が言われたようなことですと、スーパーマルチルーフのようなケースもこれに入ってくると、やはり飛躍しすぎになります。安全装置の関係も含めて、トラック事故は最近多いですので、そういった状況になったときに、本当にドライバーの命、あるいはツーマンの人の命を守れるのかということには疑問符が付きます。労側としては、「又はこれに準じるもの」については、削除していただきたいということを申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 監督課長、いかがですか。
○監督課長 今回の案でお示ししたベッドの基準ですが、6月の部会で使用者側から説明がありました馬匹輸送の事例を念頭に、加藤委員からもお話がありましたが、旅客船における基準を参考に設けたということです。「これに準ずる」については、通達で示すということを考えていましたが、今、労側からの御指摘もありましたので、どのような示し方をするかについては、引き続き検討していきたいと考えています。
○世永委員 今日の段階では、我々としては、削除というものを求めていますので、この内容では「了」としないということで、また行政なりと相談しながら、これも次回までには判断できるような形にしていきたいと思っています。いずれにしても、安全装置等々が必要だということですから、それは担保がないと駄目だろうと思っています。
○藤村部会長 はい、分かりました。それでは、この件はよろしいでしょうか。馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 「準ずるもの」というふうに書いていただいて、何でもかんでもいいですよという理解は我々もしていなくて、単純にですが、ベッドの幅等については、通常であれば60cm程度なのですが、80cmの横幅は確保できるような場所で、そういったベッドを作ると。ところが、想像されたら分かりますが、人間は横に寝るのです。トラックの場合はバスと違って、横に寝るとなったら、その198cmを物理的に取れるかというところは、やはり今はドアにも衝突安全やいろいろで、昔で言うと漁船が板子一枚下は地獄みたいなことは今はもう全くないので、きちんとアローワンスを両側に取ってありますので、こう寝ようと思ったら、なかなか内寸で198cmというのは難しいと。メーカーさんによっても、すごくばらつきがありますので、この辺のところの問題意識が我々のほうとしてはあります。ありますが、ほかの法令で規制がありますから、そういったものも考えて多分、「準ずるもの」というふうに書いていただいていると理解をしていますので、これを取ってしまうということになると、そもそも論のところに戻らなくてはいけなくなりますので、その辺のところをどうするかは、また厚労省さんや労働者側とお話をしながら決めさせていただければなと思います。本人さんたちの安全確保や、そういうことは当然大事なのですが、物理的にどうかという部分が非常に引っ掛かっているものですから、その辺も含めてペンディングにさせていただければと思います。
○藤村部会長 分かりました。この「2人乗務」については、労使双方からもう少し議論が必要だという御意見だと受け止めました。
 次に、特例3のフェリーは、現行どおりで決着しているかと思います。最後の「予期しえない事象」、8ページです。これについて、まず使用者側の御意見を伺いましょう。どうでしょうか。加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 先ほどの御説明で、バスと同様の規定を新設いただいたということでございます。我々としては当初、これに荷主都合を入れていたのですけれども、さすがに、それはやりすぎかなという感もありますし、逆にサービスエリアの問題ですとか、長距離運送の時間を、別規定が生きているとして作っていただいたことから、こちらの案で「了解」ということにしたいと思います。以上です。
○藤村部会長 労働側はいかがでしょうか。
○世永委員 この提案どおりで、「了」としたいと思います。
○藤村部会長 今、ひととおり御意見を伺いまして、まだ、もうちょっとという項目もございますが、決着が大分見えてきたかなと思います。これから先、どのようにこれをまとめていくかですけれども、事務局にもう少し頑張っていただいて、労使双方の隔たりを埋めていただくということでお願いしたいと思います。全体を通して何かございますか。加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 実は前回、初めてお話をしたところで申し訳ないのですけれども、この告示自体ではございませんが、例のダブルカウントの問題ですが、これについては引き続き御検討のほうをよろしくお願いしたいと思います。
○藤村部会長 監督課長、どうですか。
○監督課長 ダブルカウントについては、前回も御指摘いただきましたが、拘束時間、休息期間を計算するときに、始業時刻から起算して24時間で計算をすると、翌日の始業時刻が早まった場合に、その早まった分が前日と当日の両方にカウントされるという、その取扱いを何とかできないかという御指摘でございました。これについては、休息期間を確実に取得するという趣旨だと理解しておりますので、それが担保できれば、運用を見直していくということはあり得ない話ではないと思っていますが、具体的にどのようなやり方があるのかということは詰めないといけませんので、労使双方の御意見を踏まえながら、引き続き検討していきたいと考えております。
○藤村部会長 よろしいですか。労働側から、世永委員、どうぞ。
○世永委員 今後の検討に向けた対応ということで、何点か申し上げさせていただきます。今回の見直しの議論に先立ち、厚生労働省に対し、脳・心臓疾患の労災保険の支給対象者の属性の資料の提出を求めたところ、「過労死等防止対策白書」からの分析資料だったということで、やはり議論としては、大枠の議論しかできなかったと思っております。重点的に取り組むべきところは、やはり大型、中型、準中型といった種類で異なるのかどうか、あるいは業務内容、長距離、近・中距離といった距離別、更には、業務時間帯などについても詳細な資料ということが必要だったのだろうと思っています。労働者の健康確保という観点から、正確な議論ができたかということを考えると、これも必要性について、改めて申し上げたいと思います。
 2024年4月1日から、時間外労働時間の上限規制が導入され、同時に、今、議論している改善基準告示の見直しが施行されます。今回の見直しによって、脳・心臓疾患に係る労災事案が減少すること、これは望ましいことであり、是非、そうなっていただきたいということなのですけれども、告示の遵守状況等の検証が必要だというように思っています。本作業部会の経過も含め、トラック労働者の命と健康を守るためにも、施行後3年を待たずに実態調査、検証等を開始していただきたいということと、そういった行政の姿勢も含めて、労側としては、最終的に判断を、今回の提案の内容について判断していきたいと思っています。
○藤村部会長 分かりました。労使双方から、それぞれ御意見が出てまいりまして、もう少し詰めが必要な部分というのが明らかになってまいりました。今日は、ここまでということでよろしいですか。まず、加藤委員から。
○加藤委員 先ほど、労側の世永委員のお話で、また調査という話が出てきていると思いますけれども、当然、次の720時間を踏まえて、また改善基準告示の見直しというのを検討することになると思いますけれども、実は実態調査自体、別に反対するものではございませんが、拙速に行うのではなくて、やはり実態をよく見て、一度見た上で行うべきではないかと考えているということが1点です。
 それと、調査に当たって、単純に労働時間がこうなりました、拘束時間が減りましたというだけの調査ではなくて、例えば、次の3つ、今例示しますけれども、こういう調査もしていただきたいというお願いです。1つ目は、荷主都合によって労働時間にどういった影響があったのか。2つ目は、荷主との取引における商慣行がどのように改善されたのか、荷待ち時間がどのようになったのかという調査、あるいは今回、厚生労働省の御努力で導入されますけれども、厚生労働省における荷主対策の実施状況についてはどうだったか。例えば、何社に指導したのかといったようなことの調査項目も、併せて御検討いただきたいと思います。以上でございます。
○馬渡委員 今後の話になるのかもしれませんけれども、改善基準告示そのものはですね、緑ナンバーのドライバーさんだけではなくて、白ナンバーのドライバーさんにも適用されるのかどうかということをお聞きしたいですね、まずは。
○監督課長 馬渡委員から御質問がございました、いわゆる白ナンバー、自社の荷物を自社の車で運ぶ、自家用ということですけれども、これについては改善基準告示の対象になります。
○馬渡委員 そういうことであれば、我々はトラック運送事業をやっていると、いろいろな規制があります。これは労働者の健康を守ったりとか、特に車両であれば安全を守ったりとか、いろいろな規制がございますけれども、緑ナンバーよりも白ナンバーのほうが規制が緩いという実態でありまして。それでは、緩い白ナンバーのほうを利用しようという方が、雨後の筍とは言いませんけれども、結構増えてきています。これは今までもいろいろな業態の中で、建設業等も含めて、そういう白ナンバーを使っていると。常態としてそういう実態がありました。今の課長のお話であれば、我々としては同じ土俵に立っているわけですから、白ナンバーを使うのではなくて緑ナンバーに変えていただくのが一番いいなということで、自営転換というようなことも、自家用車から営業車のほうに変えましょうと。厳しい規制の中で労働者を守ったりとか、同じ土俵でいろいろやりませんかというお話をしているのですけれども。やはり今の話ですと、白ナンバーを利用する荷主さんたちに同じなのですと、改善基準告示が自社の白ナンバーの車両も、それから我々のような緑ナンバーを使う場合も一緒ですよということを、やはり明確に認識をしていただくように、その必要はあると思っています。それを今回の告示に、こういう方々も対象ですよということを書けないのでしょうか。これも質問です。
○監督課長 確認なのですけれども、今の御質問は白ナンバーのお話ということでよろしいでしょうか。
○馬渡委員 はい。改善基準告示が対象になるのは、ややもすれば、荷主さんたちは自分たちは関係ないとか、それから、白ナンバーで我々が運びますと言ってきたときに、そちらのほうが緩いから、そちらを使おうかみたいな話にならないように、改善基準告示の適用対象をきちんと明示できないのかなという話です。
○監督課長 白ナンバーと荷主についてのお尋ねということで、分けてお答えさせていただきます。白ナンバーについては、先ほど申し上げたとおり、改善基準の告示の対象になるということですので、このことについては、しっかり周知していくことを考えております。
一方で、荷主については、改善基準告示というのは自動車運転者の労働条件の向上を図ることを目的に、主に使用者の責任を定めるということですので、荷主を主体とする規定を告示上直接設けることは、なかなか難しいというように考えておりますけれども、一方で、トラック事業者の取引環境改善を図るということは非常に重要と考えております。先般来、申し上げておりますけれども、厚労省として新たな荷主対策に取り組むということで、荷主に対する周知啓発ということは、しっかりやっていくということで考えております。
○馬渡委員 そういうことであれば、厚労省さんのほうでも荷主対策をしっかり御一緒にやっていただけるというのは非常に有り難いのですけれども、荷主さんもですが、やはり我々が呼ぶ、いわゆる水屋さんですね、自分で全然車を持たないで、利用運送事業さんが荷主になるということは非常に多いわけです。結局マンションの一室で電話だけ持って、あっちに行け、こっちへ行けと言って、さやを稼がれる方がたくさんいらっしゃるのですけれども、そういった方々も改善基準告示を自らが守って、又は利用する運送事業者に守らせる責任があるということが分かるように明確にできないのだろうかと思っているわけです。そういう人たちが、掟破りではないですけれども、いつも世永さんたちと対局にあるように見えるのですが、実は目の前の人ではなくて、どこか、別の所にいらっしゃる方が横紙破りをされている場合が多くて、それに苦慮しているというのも多いのですけれども、せっかく荷主対策をやっていただけるとなってきたので、その辺の方々も、守るとか守らせるという対象になりますということを、どこかに明示できないかなと思っているわけです。
 そう思った理由も1つありまして、先般、トラックだけではなくて、バス、タクシーの3団体の方々と一緒に、議連の方々といろいろな懇談というか、議論をさせていただいたり、陳情をさせていただいたりしたのですが、その中で、改善基準告示に関してもお願いさせていただいたのですけれども、やはり荷主対策も含めてトラック事業者が守りやすいように、厚労省さんの御指導に当たっても、その事情に配慮して丁寧に対応していきたいというようなお考えを示していただいたので、我々としては非常に、国会の附帯決議がありましたけれども、やはり多様な勤務実態、業務の特性を十分に検討して決めなさいということを附帯決議にも書いてありましたので、多分その辺のところもお考えになった上で、一緒に、きちんと丁寧にやっていこうというお答えを頂いていると思いますので、何とか、その横紙破りをする人も守らなければいけないのですよということを明らかにできないかなと。そういうことが明らかになっていると、その方々に、厚労省さんも言えるし、労働組合も言える、もちろん我々経営者も言える、業界団体も言えるということなので、ちょっと考えていただきたいのです。
○監督課長 今、馬渡委員から、最初に利用運送事業のお話がございまして、貨物利用運送事業者に対して周知啓発をするということは重要なことだと考えておりますけれども、何ができるかということについては、国交省とも協議しながら考えていきたいと思います。
 2点目として、監督指導のお話がありましたけれども、これについては、我々としても荷主対策をしっかりやっていく、改善基準告示の改正後速やかに実施していくということでお答えさせていただいたということですので、こちらも実効性が上がるような形で進めていきたいと思っております。以上です。
○藤村部会長 労働側委員から、何かございますか。
○世永委員 使用者側の方から言われたように、専業水屋、利用運送会社、それと、真荷主、元請、これらの全ての対応ということをしていかないと、影響というのはドライバーにきます。ので、やはりそれはやっていかなければいけないということは、労側も数年来、政策で各行政に要請しておりますので、この具現化が大事だということについては申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 首藤委員、どうぞ。
○首藤委員 この審議会で、当初から議論になっている荷主の問題というのが、まず根底に多分あると思っております。商慣行を変えていかないといけないということで、その働きかけ、国交省、厚労省を含めて様々やっていただきたいと思うのは当然で、そうなのですけれども、ただ同時に、この業界では様々な制度、政策が、今日でも荷主勧告制度等もありますので、作られてきたことも事実です。でも、なかなか変わってこなかったというような状況があるのだと思います。
もちろん行政に働きかけをお願いするのも当然重要なのですけれども、事業者及び労働組合もそうだと思いますが、やはり当事者が荷主にきちんと物を言っていくというような形を取らない限りは、なかなか変わらないのではないかなという思いを私は抱いております。
 先ほど、分割休息のときに、4時間だと3時間50分で荷物を下ろせと言われたときには、休憩は十分取れないということがあるという話がありましたけれども、そういうときに、「でも、4時間休憩を取らないといけないのです」ということをきちんと言えなければ、いくらこれを3時間にしても2時間にしても、どうせ荷主の言いなりになって、ずるずると法律が破られていくということが当然起こり得るのだと思います。やはり、これをどうするのかということがない限りは、いくら行政がいろいろな制度を作っても、それを使い手がきちんと使うかどうかという問題が大きいのかなと私は思っています。ですので、商慣行を変えていくことがすごく重要なのですけれども、トラック協会として、今後、商慣行を変えるために何をしたい、何をされたいというように考えていらっしゃるのかということを、もちろん労働組合も、そのために働きかけをしていかないといけないと思いますけれども、一事業者が荷主に物を言うというのは、やはり怖いと思うのですよね。ですので、協会を作られているのだと思いますので、協会としての御意見ということを最後に是非聞きたいと思います。
○藤村部会長 馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 全ト協の全部を代表しているわけではなくて、私は佐賀の協会長なので、佐賀県の例を言いますと、大きな荷主さんで、ある程度普段から現場でいろいろ御意見を吸い上げていただけるような荷主さんというのは、中央は中央協議会がありますが、自動車運転の地方協議会というのがあります。その地方協議会にきちんと出て来ていただいて、ふだんからきちんと聞いていただける方が出て来られますので、「こうしなければいけませんね」と言って、「分かりました」ということで、そこは終わるのです。
でも、実態としては、これは運輸局、地方の運輸支局のほうからお声を掛けていただいて、我々としては、いわゆる悪名高いというと言いづらいですけれども、ノートリアスな方々を呼んでいただけませんかと。我々は全部分かっているので、Aさん、Bさん、Cさんという荷主さんの実態がどうしても変わらないので、我々はこういう場で、地方協議会の場でやりたいのですと言ったのですが、全部断られました。それで何回か、支局のほうからも言っていただきましたけれども、やはり、我々は忙しいとか、我々はそういう話をする権限はいただいていないとか、それは本社に言ってくれとか、そういう形で、全部地方協議会の場には、ふだんから全然守っていただけないような荷主さんには来ていただけない。ほかの県にも聞きましたけれども、概ね同じです。中央協議会だけは、やはり政府のほうから言われますので、仕方ないなと思って出て来られるのではないかということで出て来られていますけれども、そういった細かい議論にはどうしてもなりませんので、社長さんとか、会長さんが出て来られますけれども、いや、それは守らなければいけませんねとおっしゃるけれども、地方では、現場の方が、今、首藤先生がおっしゃったように、全然守っていないし、そういう場には出て来ませんという形で、今のところは済ませてしまわれています。ですから、本当なら荷主対策をこれからやっていただけるようになって、各地方でこの会社というのは全然配慮がないなと、運送事業者に対して厳しいというか、ブラックだなと思われた場合は、地方協議会に出てくださいというようなことも、1つの方便なのかなと感じております。それ以上は、本当は中央協議会のときに、きちんと守らなければいけないのですと。今回、このようなことがあって、厚労省さんも荷主対策として本腰を入れていただくのですというお話をしていただくと、トップダウンで、きちんとやってくださいと。そうすれば、やると言っていただけるかもしれないなと、少し淡い期待ですけれども、思ってはおります。
○世永委員 首藤先生から、商慣行の見直しということで、これは貫委員の産別もそうですし、私が所属しています産別には元請といわれる大手もかなりいますので、今後、会社の方と労働組合の代表の方が、責務としてきちんと対応していくことが第一だと思っています。この告示が決まり次第、元請としての責務について、情報共有していくということが必要と受け止めています。
 それと、今まではドライバーから8,000人、9,000人から対面でアンケートを取って、労働環境等をチェック、集約してきたのですが、コロナ禍でできなくなっています。それに代わるものを、今、Web上でやっていますので、集約情報を明らかにしながら、また皆さんと情報共有していければと思っています。
○藤村部会長 ありがとうございます。いろいろな意味で情報が伝わりやすくなっている社会なのですが、実は大事な情報は、あまり伝わっていないと思います。例えば、このようなひどい荷主がいるという情報は、ごく一部の人たちは知っているけれども、社会の中でそういう情報は共有されていないように思います。これは、別に運送業だけではなくて、消費者としての行動をどう決めるかというときに、きちんと法律を守っていないような会社の製品は買わないとか、そういうのが少しずつ起こってきていると思います。トラック運送に関しては、このようなひどいことを運送業者に求めているような企業であれば、そういう会社のものやサービスを買うのは止めようという行動を起こす消費者が現れてきて然るべきだと思います。しかし、そういう情報が十分に伝わっていないために、消費者の行動が変わるところまではきていないと思います。これは、これから取り組むべき課題と思っております。
 労使双方から御意見が出ておりましたけれども、今日はこの辺りで終らせていただき、次回、最終的なとりまとめにもっていきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
では、最後に事務局から事務連絡等があればお願いします。
○副主任中央労働基準監察監督官 次回の作業部会の日時、場所につきましては、調整の上、追って御連絡させていただきます。以上です。
○藤村部会長 それでは、これをもちまして、第9回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を終了いたします。本日は、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

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