経産省・新着情報

2022年11月1日(火曜日)
10時04分~10時24分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

電力需給に関する検討会議/冬季需給対策

おはようございます。初めに私から1点申し上げます。

本日、電力需給に関する検討会議を持ち回りで開催をいたしました。前回6月の開催以降、この冬に向けて供給対策を行ってきているところでありますが、その結果、マイナスでありましたこの冬の予備率は安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しとなっております。他方、依然として電力需給が厳しい状況にあることを踏まえまして、2022年度冬季の電力需給対策を決定いたしました。

供給対策としては、休止電源の稼働確保、追加的な燃料調達などの対策を着実に実施していきます。また、需要対策として夏と同様、節電の数値目標は定めませんけれども、全国を対象として無理のない範囲での節電、省エネに御協力をお願いしたいと思います。例えば重ね着などをして室温を下げること、使っていない部屋の照明を消すこと、お湯の出し過ぎに注意をする、こういった無理のない範囲での節電、省エネに御協力をお願いしたと思います。

また、この冬に向けた省エネ、節電の取組については、対価支払型の節電プログラムに参加をして、一層の省エネに取り組んでいただいた家庭や企業に対して電力会社による特典に国による特典を上乗せするなどの支援を行ってまいります。

更に、先週末決定されました総合経済対策においては、今後3年程度、集中的な支援期間として企業向け、家庭向け、経産省の支援策で数千億程度の大胆な省エネ対策を強化することを盛り込みました。企業向けには省エネ補助金、これは最大15億円まで支援をいたしますが、これを抜本的に拡充いたします。複数年度の事業を可能にすることで、中小企業の投資需要もこれを掘り起こしていきたいと考えております。また、家庭向けの省エネ対策、これについても国交省、環境省とも連携し、住宅全体の断熱改修、高効率な給湯器など含めて支援をしてまいります。各省の予算も合わせれば先ほどの数千億を更に上回ることになっていきます。この3年間、集中的な支援を行ってエネルギーの危機に強い、そうした体質に変えていければと考えております。

詳細、事務方から後ほど説明をいたします。

私からまず冒頭、以上です。

質疑応答

半導体

Q:よろしくお願いします。

半導体政策についてお伺いいたします。岸田首相が先日の記者会見で日米共同による次世代半導体開発など1.3兆円を措置して半導体の国内投資を全国展開すると御発言がありました。これまで経産省としてTSMCやキオクシア、マイクロンに補助金を支給して投資を後押ししてきましたけれども、これ以外に具体的に念頭にある新たなプロジェクトがあるのかということと、また7月の日米「経済版2プラス2」で合意した日米による半導体研究拠点について、この秋をめどに詳細を発表するという御説明がありましたけれども、この進捗状況についても教えてください。お願いいたします。

A:半導体は、御案内のとおり、デジタル化、脱炭酸化、そして経済安全保障の確保の観点から極めて重要なキーテクノロジーであります。市場の高い成長も見込まれるということから、主要国は巨額の予算を投じて半導体産業の支援を行っております。我が国で申し上げると、足元での円安の進展もあって国内での投資環境が大きく改善をしております。海外から国内投資をするのも円安で非常に効率がいい状況にありますので、我が国としても引き続き、各国に匹敵するような支援を行っていくと、これが産業競争力の強化、さらには経済安全保障の観点から極めて重要であると考えています。更に言えば、我が国の経済の中長期的な発展に不可欠な産業構造の改革にも資すると考えております。

今般の経済対策では、岸田総理が先般御説明しましたとおり、1.3兆円を措置することとしておりますけれども、正に経産省でこれまでお示ししてきたような半導体の戦略の実現に不可欠な予算を盛り込んでおります。一つには、御指摘もあった日米共同での次世代半導体、この技術開発の推進。それから二つ目には、これも御指摘ありました先端半導体の製造基盤整備、国内の立地を支援していく、投資を支援していくというものであります。そして3番目に、不可欠性の高い半導体のサプライチェーン、この強靱化、半導体メーカーのみならず、それを支える部材、素材、こうしたサプライチェーン全体の強靱化。この三つの予算を盛り込んでおります。具体的な支援先についてはこれから補正予算も審議がこの後あるわけでありますし、現時点で決まったものはありませんが、所要の手続を経て決定をしていきたいと。より効果の高いところに支援をしていきたいと考えております。

そして、御指摘の半導体の研究開発拠点についてでありますが、2020年代後半に2ナノ以降の次世代半導体の製造基盤、この確立に向けてできるだけ早期にNSTCを立ち上げるという方針で、今関係機関と調整をしております。近い時期に必要な体制、そして技術開発の概要など、お伝えをできればと考えております。このNSTCの取組とも連動させながら、この予算を効果的に活用し、しっかりと支援していきたいと考えております。

引き続き、次世代半導体の研究開発を始めとして、我が国の半導体・デジタル産業戦略の実現に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。

米国半導体輸出規制

Q:半導体政策について関連してお伺いいたします。先月なんですけれども、アメリカが中国に対する半導体の輸出規制強化策を発表されました。このことが日本の半導体関連企業にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。

また、この輸出規制策について、日米ではどのような連携を取っていく方針で、日本もアメリカ同様に、この中国を念頭に置いた規制策を導入するというお考えはありますでしょうか。よろしくお願いします。

A:10月7日にアメリカ商務省が、中国向けの先端半導体、それから製造装置などに関する輸出規制の強化を発表いたしております。その内容を私どもも、アメリカともちろんコミュニケーションを取っておりますし、それを踏まえて、これまで国内企業にもヒアリングなどを行ってきておりますけれども、これまでの調査では、日本企業には大きな影響が生じているとの報告は受けておりません。

他方、アメリカ当局による今後の運用を見極めながら、引き続き情報提供、影響調査などを行っていきたいと考えております。

かねてより、国際協調、国際的な協調の下で、外為法に基づく厳格な輸出管理を実施してきております。この方針の下、引き続き、アメリカを含む各国の規制動向なども踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

【サハリン1/節電要請】

Q:よろしくお願いします。

サハリン1の新会社移行についてなんですけれども、一部報道では、日本政府が参画する方針を固めたとするものもありましたが、今週中が期限となると思われますが、政府の現在の方針についてお伺いしたいというのが1点と、冒頭、節電要請について御説明がありましたけれども、最低限必要な予備率3%を確保しているのに節電を求める背景と、改めて意義について、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

A:まず、サハリン1についてであります。現輸入の9割超、95%前後を中東に依存している状況であります。そうした状況の中で、中東以外の貴重な調達先でありますので、サハリン1ですね、エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクトであると認識しております。

これまでのロシアの大統領令に関する具体的な条件、手続などの確認を進めてきているところでありますが、日本政府としては、サハリン1の権益を維持する方針を固めたところであります。

昨日、SODECOの大久保会長、それから藤田社長ほか取締役の方々とも面談をしまして、民間株主の方々ともよくコミュニケーションを取りつつ、新たに設立されるロシア法人への参画同意について、前向きに御検討いただきたい旨を私からお伝えいたしました。

引き続き、エネルギー安全保障の確保に万全を期すべく、官民で一体となって、よくコミュニケーションを取りながら対応していきたいと考えております。

それから、節電に関する御質問でありますが、22年度の冬期の電力需給は、10年に一度の厳寒も想定した需要に対して、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保することができているものの、依然、東北、東京エリアでは4.1%であります。引き続き厳しい見通しであります。

加えて、想定した最大電力需要を上回るリスクもあり得ますし、また国際情勢いかんによっては、更にこのエネルギーを取り巻く状況は厳しくなることも頭に置きながら、燃料が確保できないそうしたリスクにも備えて、しっかりと対応していかなきゃいけないと。電力の安定供給に支障が生じないように、対応していかなければならないという中で、この冬についても、夏に続いて、無理のない範囲での節電の協力を呼び掛けることとしました。

繰り返しになりますが、重ね着などをして室温を下げていただくとか、あるいは、使っていない部屋の照明は消していただくとか、お湯の出し過ぎには注意をしていただくなど、それぞれ御無理のない範囲で省エネ、節電、御協力いただければ有り難いと思います。

電力料金

Q:電力事業者からの家庭向け規制料金の値上げ申請の動きが相次いでいることについての受け止めをお願いします。

また、関連で、先週公表された総合経済対策で、電気料金のキャンペーン策を打ち出していますが、それによって事業者側が、どちらかといえば、値上げをしやすいといいますか、心理的なハードルが下がっているような状況にも見受けられますが、値上げ申請の呼び水になっているような印象があるので、その辺についての受け止めをお願いします。

A:ウクライナ情勢などに伴って、御案内のように燃料価格が高騰してきている中で、電力事業者の経営状況は大変厳しいものになってきております。各電力事業者、今年度の業績予想として大幅な赤字を予想しております。その第2四半期の決算発表のタイミングと合わせて規制料金の値上げにも言及したものと承知しております。

総合経済対策の中身に関わらず検討は進められてきたものと考えておりますし、いずれにせよ、仮に電力事業者から規制料金の値上げ申請があった場合には、一つには経営効率化の取組がしっかり行われているかどうか、更には燃料調達の費用見込みが妥当であるかどうか、また、保有資産の活用は適切であるかどうか、こうした内容について厳格に審査を行ってまいりますので、何か安易に値上げをするということにはならないと思います。

節電

Q:節電に関して御質問させてください。

冒頭でも節電の要請についてですね、御発言があった一方で、総合経済対策においては電力の使用量については特に上限は設けられなかったと思います。ここのところ政策に対しての矛盾という指摘がある中でですね、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

A:まず、電気料金の負担軽減策については、もう既にかなり上がってきている家庭で、平均で2割、企業向けで3割程度は上がってきております。更に今後も値上がりが想定される、特に来春以降の更なる値上げが想定されると、その激変を緩和して増加する家計などの負担を軽減することを目的としております。

各世帯、そして中小企業、大変厳しい状況にあると認識をしております。その負担を軽減するというものであります。

今回、特に電力使用量に上限を設けるわけではありませんけれども、電力料金の負担が今回の支援策で下がったとしても、いまだ相当程度の自己負担はあります。また、様々なそれ以外の物価、食料品なども上がっておりますし、中小企業においては原材料費も上がってきておりますので、全体としてやはり節約をしていく、この姿勢は変わらないものと考えております。

さらに、節電プログラムの事業ですけれども、この冬も厳しい需給が見込まれるという中で先ほども申し上げたとおりです。無理のない範囲での節電に御協力いただくということで、これも負担の軽減にもつながるものであります。全体として以上のような措置、負担軽減をしていくことを目的としたものであります。電力需給対策という目的と、何か矛盾するものとは考えておりません。

自動車

Q:また、一部報道についての確認をさせてください。

明日ですね、明日、総理と西村大臣とトヨタ自動車の豊田章男社長ら、自動車業界の経営トップとの会談を開催されるということですが、この開催事実について確認させてください。

また、自動車業界、脱炭素化とか自動運転などの新たな技術の開発など、様々な課題があると思いますが、会議の開催の狙いについて伺えないでしょうか。

A:岸田総理と関係閣僚とともに、自動車産業を中心とした経団連のモビリティ委員会の方々と、幅広く意見交換をする予定であります。

日程は最終の調整をしておりますけれども、早ければ明日にでも開くということで調整がなされていると承知しています。

御案内のとおり、自動車産業は、正にDXがあり、GXがあり、100年に一度の大変革の時代にあると言われております。危機感と同時に、新しい時代を切り開いていく大きな可能性が隣り合わせになっている、両面あるんだと思います。

こうした中で、産業の垣根を越えたプレイヤーの参入、あるいは私もシリコンバレーでトヨタの自動運転車に試乗させていただきましたし、福島県浪江町で日産自動車のスマホによる配車サービスというんですかね、住民サービスもオンデマンドで行われている、そうしたものも試乗させていただきました。正にそれぞれの地域、実情に応じながらモビリティの新たな可能性、新たな価値、これが生まれてきているんだろうと思います。

こうした動きを官民でより大きくしていくこと、そして脱炭素の大きな世界の潮流の中で日本の自動車産業が引き続き世界をリードしていく、そのための次のモビリティ政策につながる骨太な議論をできればと考えております。

Q:ちょっと1点、この会議自体を定例化する、毎年開くような、定例化する予定なんでしょうか。

A:施策の進展状況、あるいはこの変化も非常に早いですから、何か決めて定期的にやるというよりかは、むしろ状況を見ながら必要に応じてということになっていくと思います。

                                                                                                                                                                                 以上

最終更新日:2022年11月1日

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