外務省・新着情報

令和4年10月25日
日・EUハイレベル経済対話に参加している林外務大臣の様子
日・EUハイレベル経済対話がオンライン形式で行われている様子

 10月25日、午後3時30分(日本時間)から約1時間45分、日・EUハイレベル経済対話が、オンライン会議形式にて開催されました。

  1. この対話には、日本側から林芳正外務大臣、西村康稔経済産業大臣が、EU側からはヴァルディス・ドムブロウスキス欧州委員会上級副委員長兼貿易担当欧州委員(Mr. Valdis Dombrovskis, Executive Vice President of the European Commission for an Economy that Works for People, European Commissioner for Trade)、マリード・マクギネス金融担当欧州委員(Ms. Mairead McGuiness, European Commissioner for financial services, financial stability and Capital Markets Union)が出席しました。
  2. 冒頭、ドムブロウスキス上級副委員長及びマクギネス委員からの開会挨拶を受け、林大臣からは、新型コロナの影響やロシアによるウクライナ侵略を受けたサプライチェーンの混乱や物価上昇等の現下の国際経済の重要課題に対応するにあたって、日・EUの連携を一層深めていく必要がある旨、また、経済安全保障上の課題に関して日・EU間で更なる相互理解を深めたい旨述べました。また、西村大臣からは、自国の利益のために経済力を背景として威圧する試みへの対応や、地政学的観点を踏まえた経済安全保障の推進や途上国との連携強化に向けて、日・EUで連携して取り組んでいくことの重要性について述べました。
  3. 4閣僚は、ロシアによるウクライナ侵略は断じて許容できないこと及び、G7を始めとする国際社会との連携の上で、対ウクライナ支援を継続していくことを確認しました。また、4閣僚は、エネルギーや食料などの安定供給の確保が重要であるとの認識を共有しました。その他、4閣僚は、国際秩序が挑戦を受ける中で、基本的価値を共有し、自由貿易を共に推進する戦略的パートナーである日・EUが、国際社会における自由で公正な経済秩序をリードしていくことが重要である旨一致しました。
  4. 4閣僚は、(1)経済政策の協調、(2)サステナブル・ファイナンス、(3)レベル・プレイング・フィールド(公正な競争条件)確保と経済安全保障上の課題への対処、(4)グローバルな経済課題への対応について議論を行いました。林大臣、西村大臣の発言概要は以下のとおりです。
  • (1)経済政策の協調
     林大臣から、「新しい資本主義」を掲げる日本と「次世代のEU」政策を掲げるEUは、経済政策において共通する部分が多く、「日・EU連結性パートナーシップ」に基づく協力を推進したい旨述べました。西村大臣より、現下の情勢で、特に多大な影響を受けているグローバルサウスに代表される途上国経済の持続可能な成長に向けて連携していくことの重要性について提起しました。
     また、両大臣は、EUによる日本産食品等に対する輸入規制措置の早期撤廃を改めて申し入れました。
  • (2)サステナブル・ファイナンス
     西村大臣から、クリーンエネルギー中心の社会構造へ転換し、脱炭素と経済成長の同時実現を目指すGXの実現のためには、各国の経済的・地理的事情を踏まえた幅広い技術やエネルギー源を活用したトランジションの加速が重要であることや投資を呼び込むための適切な情報開示が必要であることを提起しました。
  • (3)レベル・プレイング・フィールド(公正な競争条件)確保と経済安全保障上の課題への対処
     西村大臣より、権威主義国家による国際秩序への挑戦に対し、不透明な産業 補助金等の市場歪曲的措置への対応、機微技術管理等の経済安全保障での同志国連携の強化やグローバルサウスへのアウトリーチの重要性について提起しました。林大臣からは、経済安全保障分野に関して、安全保障の観点を踏まえた国際経済秩序の更なる強化が必要な中、日・EU・米を始めとする同志国間の連携が重要であり、日本が議長国を務める来年のG7広島サミットに向け議論を進めていきたいと述べました。さらに、国際ルール・スタンダードを遵守した透明で公正な開発金融の重要性等についても述べました。また、両大臣は、経済的威圧への対応の強化の重要性につき言及しました。
  • (4)グローバルな経済課題への対応
     林大臣から、WTOの諸問題を始めとする国際貿易上の課題等につき、来年の日本議長国下のG7を見据えて、協力を強化する重要性を述べました。西村大臣からは、自由で公正な貿易投資環境の推進に向けて、MC13に向けてWTO改革等の議論を推進していくと共に、EUが検討する炭素国境調整措置(CBAM)に関して各国との貿易紛争を招かないことの必要性を提起しました。
     また、両大臣は、グローバルなデータ・ガバナンスの議論において主導的役割を果たすべく、日・EU経済連携協定に「データの自由な流通」に関する規定を含めることに関する正式交渉の開始を歓迎しました。

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