外務省・新着情報

トラス英国首相の辞意表明

【NHK 岩澤記者】英国保守党の党首選について伺います。英国のトラス首相は、昨夜、与党保守党の党首を辞任し、次の党首が決まり次第、首相も辞任することを明らかにしましたが、こうした英国の情勢について大臣の受け止めと、今後の日本政府の対応を伺います。

【林外務大臣】トラス首相の発表については承知しておりまして、政府として、他国の内政に関わることにコメントすることは差し控えたいと思いますが、トラス首相とは、外相時代にG7のカウンターパートとして共に働き、首相としての活躍を期待していただけに、個人的には残念な思いを持っております。
 いずれにいたしましても、英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであります。我が国としては、ロシアによるウクライナ侵略への対応や、「自由で開かれたインド太平洋」、この実現に向けて、引き続き、英国と緊密に連携していく考えでございます。

ウクライナ情勢(イランによるロシアへのドローン供与)

【時事通信 田中記者】ウクライナ情勢についてお伺いします。ロシア軍がウクライナのインフラ攻撃で使用している、いわゆるカミカゼ・ドローンなんですけれども、あれはイランが供給しているというふうに欧米各国が非難していまして、国連安保理決議にも違反する可能性があるということなんですが、日本政府として、この問題に対する見解というのをお願いします。

【林外務大臣】首都キーウを始めといたしまして、ウクライナ各地で無人飛行機等による攻撃が行われて、死傷者が出ていると承知しております。
 我が国として、ロシアの攻撃によりまして、ウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めております。民間人や民間施設への攻撃は、国際法違反であり、断じて正当化できないものでありまして、強く非難いたします。
 イランによるロシアへのドローン供与の事実関係につきましては、現時点で確定的にお答えすることは困難でありますけれども、日本としては、先月の日・イラン首脳会談を含めて、あらゆる機会を捉えて、イランと、ウクライナ情勢については意見交換を行い、地域・国際社会の平和と安定に向けて、イランが建設的な役割を果たすよう、働きかけを行ってきております。今後もこのような取組を継続していく考えでございます。

在キーウ日本国大使館の安全対策及び邦人支援

【NHK 岩澤記者】関連して、キーウの大使館について伺います。大臣、おっしゃったように、ウクライナでは首都キーウなど各地で無人機などによる攻撃が続いていますが、大使館員の安全は確保されているか、またどのように業務を継続しているか伺います。また、在留邦人の被害や邦人からの要望があるかなどを含めて、支援状況を伺います。

【林外務大臣】キーウの日本大使館員は、ウクライナ政府やG7各国との連携等により得られた情報を踏まえて、十分な安全対策を講じた上で大使館業務を行っております。
 また、外務省といたしましては、ウクライナ全土に退避勧告を出した上で、それでもウクライナ国内に在留する邦人に対しましては、累次にわたり、情報提供を行いまして、自身の身の安全を最優先とした行動をとるよう注意喚起を行っております。また、確認されている全ての在留邦人との連絡を維持しておりまして、現時点までに邦人の生命・身体に被害が及んでいるという情報には接していないところでございます。

トラス英国首相の辞意表明

【読売新聞 阿部記者】英国のトラス首相の辞任の関係で、改めてお聞いたします。トラス首相は外相時代から、対ロシアについては厳しい経済制裁を主張する人で知られていますけれども、そのトラス首相の辞任表明を受けて、今後、G7におけるロシア対応についての影響をどのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、英国は基本的価値を共有するグローバルな戦略パートナーであります。この、ロシアによるウクライナ侵略への対応についても、引き続き、英国と緊密に連携していく考えであるわけでございます。
 他国の内政に関わることについては、コメントは差し控えたいと思いますが、基本的には、この我が国の基本的な姿勢は変わらないということでございます。

在外公館職員の勤務環境

【毎日新聞 宮原記者】在外公館に勤務する職員の生活環境についてお伺いします。円安や海外での物価高が急速に進む中で、在外公館の職員の生活が逼迫しており、自民党の総合経済対策の提言でも、職員の勤務や生活環境の強化が盛り込まれました。政府で検討している総合経済対策を含め、外務省として、どのように環境強化に取り組んでいくか、お考えをお願いします。

【林外務大臣】国際的な物価高騰に加えまして、最近の為替相場での急速な円安の進行の影響、これは大変甚大でありまして、在外職員がかかる影響を直接的に被っているわけでございます。
 こうした厳しい勤務環境下においても、在外職員がその職責に応じて、能力を十分に発揮することができるよう、適切な水準の手当を支給するということが重要であると考えております。
 在外職員の手当については、物価高騰や円安の影響を反映した手当額を支給するため、今年の8月に、為替変動が特に激しい公館の増額改定を行ったところでございます。現下の足元の為替変動の状況も踏まえながら、今後更なる増額改定を調整していきたいと考えております。

ホフマンスキ国際刑事裁判所(ICC)所長の訪日

【朝日新聞 野平記者】国際刑事裁判所が日本に事務所を開設するとの報道があります。昨日、総理とも面会されましたけれども、調整状況や今後の検討について教えてください。

【林外務大臣】現在、ホフマンスキ国際刑事裁判所所長は、国連アジア極東犯罪防止研修所の創立60周年記念行事への出席のため、訪日中と承知しております。本日、私(林大臣)も面会予定であります。
 我が国は、ICCの最大の分担金拠出国でありまして、裁判官を継続して輩出するなど、ICCの活動に様々な形で協力してきております。ICCはアジアにおける広報等の強化に高い関心を有しておりまして、我が国における拠点設置の可能性も含め検討していると承知しております。
 ICCの地域事務所設置については、現時点では何も決まっておりませんし、予断をもってお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、今後ICC側の考えを聞きながら、どのような協力が可能か検討していきたいと考えております。

日中関係

【香港フェニックステレビ 李記者】中国で党大会が開催されていまして、明日閉幕する予定になっています。中国の習近平(しゅう・きんぺい)総書記が中国の外交について自主平和外交をこれから推進していくと、覇権を唱えないということですが、これについては日本側がどう受け止めているのか、更にその中で、台湾については武力行使の放棄を約束しないということを明言しています。台湾については日本政府の立場、改めてそのスタンス、「一つの中国」についてまだ日本政府としてこの立場なのかどうかということを教えてください。

【林外務大臣】他国の政党の活動や、その日中関係への影響につきまして、予断をもってコメントすることは差し控えたいと思いますが、我が国としても、党大会の動きについては注視しております。
 その上で、中国との間では主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」これを双方の努力で構築していく必要があるというのが我が国の一貫した立場でございます。
 また、台湾についてでございますが、台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の、従来からの一貫した立場でございます。
 台湾海峡の平和と安定の重要性については、引き続き中国側に直接しっかりと伝えると共に、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信してまいります。今後とも両岸関係の推移をしっかりと注視してまいります。

在アフガニスタン日本国大使館臨時事務所

【読売新聞 阿部記者】一部報道でアフガニスタンの大使館を再開したと伝えられていますが、事実関係について教えてください。

【林外務大臣】在アフガニスタン日本国大使館は、現地の治安状況の悪化に伴って、2021年8月15日に一時閉館し、在カタール日本国大使館内に設置している在アフガニスタン日本国大使館臨時事務所で業務を行っております。
 一方で現在カブールにおいて、最小限の体制で必要な大使館の業務を限定的に行っております。職員の安全にも鑑み、これ以上の詳細は差し控えたいと思います。

国家安全保障戦略等3文書の改定

【共同通信 植田記者】国家安全保障戦略等3文書改定についてお伺いします。自民・公明両党は、ワーキングチームの初会合で中国をめぐる情勢認識について意見が一致しませんでした。自民側は安全保障上の重大な脅威を主張し、公明側は米国の国家安全保障戦略との整合性を取るように訴えましたが、政府として中国の情勢認識についてどのように考えているのか、見解をお伺いします。

【林外務大臣】中国は、国防費の高い伸びを背景に、核・ミサイル戦略や海上・航空戦力を中心に軍事力を広範かつ急速に強化しつつ、宇宙・サイバー・電磁波領域といった新たな領域に関する能力の強化や、いわゆるゲームチェンジャー技術の開発にも注力していると見ております。また、東シナ海、太平洋、南シナ海などにおける活動を引き続き拡大・活発化させております。
 こうした中国の軍事動向等は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。
 これまでの王毅(おう・き)国務委員との日中外相電話会談において、私(林大臣)からも、中国の軍事的活動についての懸念を直接、率直に提供してきております。
 引き続き、関係諸国とも連携しながら、安全保障分野における様々な対話や交流を通じて、中国に対して、国防政策や軍事力の透明性向上、国際的な行動規範の遵守を働きかけていく考えでございます。
 日本の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの決意の下で、主張すべきは主張しつつ、今後とも冷静かつ毅然と対応してまいります。

ウクライナ情勢(イランによるロシアへのドローン供与)

【テレビ朝日 澤井記者】話が戻りますが、ロシア軍によるイラン製のドローンの使用に関連してお伺いします。EUに続いて、米国もイランへの制裁を検討しているということなんですけれども、ウクライナの外相もイランへの制裁を求めていまして、G7としての連携という意味で、日本政府としても、今、イランへの制裁ということを検討しているのか、検討状況を教えてください。

【林外務大臣】ドローンについては、先ほども申し上げたとおりですが、この情報収集や分析、これを進めておるところでございまして、現時点でこの事実関係について、確定的にお答えすることは困難であります。
 現地時間の19日午後、安保理において、本事案が議論され、米仏やロシアがそれぞれの立場を述べていたということを承知しております。
 政府としては、今後とも情勢を注視するとともに、引き続き、イランに対して建設的な役割を果たすよう働きかけをしていきたいと考えております。

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