厚労省・新着情報

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和4年7月22日(金)13:57~15:23

場所

経済産業省別館11階1115号会議室

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  稲葉 由之
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  •  眞子 武久 (東京都総務局統計部人口統計課)
事務局
  •  岸本政策統括官
  •  田中政策立案総括審議官
  •  牧野参事官(企画調整担当)
  •  野口統計管理官
  •  井嶋労働施策情報分析官
  •  藤井統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  前原雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 令和4年1月分調査におけるベンチマーク更新等の影響について(報告)
  2. 2 母集団労働者数の推計について
  3. 3 その他

議事

議事内容
○藤井統計企画調整室長
 定刻より少し早めですが、皆様おそろいのようですので、ただいまから、第5回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開会いたします。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。私は本年4月に統計企画調整室長を拝命いたしました藤井と申します。どうぞよろしくお願いします。
 本日の出席状況ですが、全ての委員の方が御出席です。また、本日は審議協力者として、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生、東京都総務局統計部人口統計課の眞子課長様にも御出席を頂いております。どうぞよろしくお願いします。
審議に入る前に、新たに事務局のメンバーに変更がありましたので御紹介します。政策統括官の岸本です。政策統括付参事官の牧野です。
 それでは、会議の開催に当たりまして、政策統括官の岸本より御挨拶を申し上げます。
 
○岸本統括官
 冒頭、お時間を頂きまして一言御挨拶申し上げます。6月から政策統括官を拝命しております岸本です。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 また、毎月勤労統計の改善につきましては、平素より多大なる御理解、御支援を頂きまして厚く御礼申し上げます。
 毎月勤労統計調査における課題については、これまでもいろいろ御議論、御指導を頂きながら、順次見直しを進めておりまして、後ほど御説明するベンチマーク更新については、本年1月確報において実施しました。一方で、まだ残る検討すべき課題はいろいろありまして、引き続き、本ワーキンググループにおいて専門的な見地から御議論、御助言を賜りまして、一つ一つ丁寧に進めてまいりたいと考えております。何卒、よろしくお願いします。
 
○藤井統計企画調整室長
 それでは議事に入ります。以後の進行については、加藤主査にお願いいたします。よろしくお願いします。
 
○加藤主査
 皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。これまでオンライン等々でしたので、委員の先生方、事務局の皆様方のお顔を直接拝見するのは久しぶりということで、どうぞよろしくお願いします。それでは議事を進めてまいりたいと思います。
 本日の議題は、1.令和4年1月分調査におけるベンチマーク更新等の影響について(報告)、2.母集団労働者数の推計について、3.その他となっております。なお、本日のワーキンググループは16時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと存じます。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構です。まず、議事1の1.令和4年1月分調査におけるベンチマーク更新等の影響について(報告)です。これまで本ワーキングでは、ベンチマーク更新についての検討を進め、第4回ワーキングにおいて、ベンチマーク更新に係る議論の取りまとめを行いました。本年4月5日に公表した令和4年1月調査分から、予定どおりベンチマーク更新が行われたと厚生労働省から聞いております。本日は、その内容について御報告いただければと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。よろしくお願いします。
 
○野口統計管理官
 資料1について御説明します。この資料の位置付けは、今回のベンチマーク更新、標本の一部入替え、基準年更新等の一連の作業の結果を解説するとともに、厚生労働省のホームページに公開していた毎月勤労統計調査の概要の資料を含めて整理をして作成しております。そのために、既に昨年のワーキングなどで御説明させていただいた、毎勤の概要なども含まれている資料となっております。
 今回は、この資料のうち、昨年御審議いただいたベンチマーク更新の方法について、実際に作業させていただいた結果を中心に御説明いたします。
 最初に、資料1の構成を御説明いたします。次のページに目次がありまして、「毎月勤労統計調査の概要」、「令和4年1月調査で実施したベンチマーク更新等について」、「ベンチマーク更新等による影響の分析について」となっております。目次の1番目は、昨年、第1回のワーキングで毎月勤労統計調査の概要について御説明した資料などを取りまとめたものです。目次の2については、昨年、御審議いただいたときの資料から、ベンチマーク更新がどういうものかということを整理しております。3番目に、ベンチマーク更新による調査結果への影響について整理しております。本日は、この3を中心に御説明いたします。
 資料の18ページ、令和4年1月調査の速報・確報について、それぞれの調査結果をまとめたものです。いわゆる標本の一部入替え前、ベンチマーク更新前に公表した速報が実際の0.9からの列の数字です。令和4年1月のベンチマーク更新等を実施した後の数字と比べるために、同じように確報時点で数字をもう一回集計しております。それが括弧内の数字ですので、併せて御参照いただければと思います。
 調査結果としては、現金給与総額で、速報で0.9%であったものが、令和4年1月確報でベンチマーク更新、標本の一部入替え等の作業を実施した結果1.1%となっております。この結果の分析については、19ページ以降に掲載しております。
 19ページは、標本の一部入替え、ベンチマーク更新を実施した結果を表にまとめたものです。要因を分解しております。上の表の中ほどに、サンプル入替えとあるのが、標本の一部入替えによる影響。ウエイト更新という名称で掲載しているのが、今回のベンチマーク更新を実施した影響です。全体で賃金が1.1%となっておりますが、実際の差分の金額を見ますと、きまって支給する給与、就業形態計で1,517円、差分として0.6%となっております。この内訳について、標本の一部入替えによる影響が0.8%、ベンチマーク更新による影響が-0.2%となっております。なお、今回、影響していると思われるものとして、横の参考にあるパートタイム労働者比率の新旧差のうち、サンプル入替えのところを御覧いただくと、-0.55%とパートタイム労働者比率が減少しております。この結果から申しますと、今回、サンプルの一部入替えの影響によって、パートタイム比率が低下した結果から、サンプル入替えによる影響が賃金にはプラスの影響を及ぼしている。ウエイト更新については、ワーキングの中でも試算して議論いたしましたが、産業構成の影響によって賃金が若干減少するという結果となっております。
 サンプル入替えについては、資料の20ページに産業別の寄与と新旧の変化をまとめております。パートタイム労働者比率の新と旧のところを比較しますと、旧から新にかけて卸売業,小売業、宿泊業,飲食サービス業を中心にパートタイム労働者比率が低下しております。
 一番右の列、これを賃金の変化に対する寄与で見ますと、賃金を引き上げるのに寄与しているというところです。何が起こっているかということですが、今回の産業別の結果から見ると、令和4年1月時点ですので、新型コロナウイルス感染症による経済への影響において、事業所のパートタイム労働者の雇用の状況の影響を受けていると分析しております。
 旧サンプルについては、令和元年の1月から3年1か月間調査を継続して、調査に御回答いただいております。それが3分の1分抜け、今回、令和4年1月から新たに事業所を抽出して、3分の1の事業所が加わった結果となっております。この結果から類推されることは、継続して回答していただいた調査対象事業所について、一定程度パートタイム労働者の雇用が継続していたものの、実際の世の中の実態としては、まだ令和4年1月時点でパートタイム労働者の雇用が進んでいなかったことが、パートタイム労働者構成比を引き下げる要因となったのではないかと考えております。
 資料の21ページ、サンプル入替えの影響を事業所規模別に見ますと、きまって支給する給与など、500人以上から、100~499、30~99と規模が小さくなるにつれて、一部入替えの影響がプラス側に大きく出ていることが分かっております。
 資料の22ページ、ベンチマーク更新の影響をお示ししたものです。常用労働者の欄を御覧いただくと分かるように、今回、ベンチマーク更新では卸売業・小売業の労働者の構成が大きくなっております。この労働者の構成変化の影響により、昨年の試算と同様に、賃金が低下するという影響が生じていたことが分かっております。これは、ベンチマーク更新に利用したデータが、平成28年経済センサスですので、平成28年センサス時点の労働者の構成の影響が生じたものと考えております。
 以下、23ページ以降ですが、パートタイム労働者構成比の前年同月比を要因分解した資料。24ページにベンチマーク更新により、常用雇用の労働者数、指数がどういうふうに推移しているか。25ページ、季節調整の改訂も、毎年やらせていただいていることは御案内しているかと思います。この季節調整値の変更について、どのような影響があったかということを、主に使われる製造業・所定外労働時間を代表にして、季節調整値の変化を掲載しております。
 最後に、26ページに共通事業所についても、今回の実施においてどういう数字の変化があったかを御紹介しております。資料について、今回はベンチマーク更新というよりは、標本の一部入替えによる影響によって、数字が少し動いているというところです。今回、1月にベンチマーク更新、標本の一部入替え、基準年更新等を実施させていただいた結果、毎月勤労統計調査の数字がどのように変化したかまとめたものです。以上、資料について御報告させていただきます。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。それでは、御質問も含めて、委員の皆様方からコメント等を頂ければと思います。どなたからでも、どうぞよろしくお願いします。稲葉先生、お願いします。
 
○稲葉構成員
 では、私から質問させていただきます。今回、ベンチマーク更新によって統計表が置き換えられたと思うのですが、シート内にベンチマークに関わる情報は、私が見た限りにおいては、ないように感じるのですが、情報について統計表の中に記載する所はなかったのでしょうか。それとも、どこか細かいところまで見たら、統計表の中に更新の情報について付け加えられているのでしょうか。
 
○野口統計管理官
 まず、調査結果を公表させていただいております概況については、一番後ろの利用上の注意のページに、ベンチマーク更新を令和4年1月に実施させていただいたこと、実際に記載した金額は手元にないですが、それによる現金給与総額の影響額がいくらであって、どのくらいの変動幅があったかということを記載させていただいております。
 一方で、e-Statや厚生労働省のホームページに、実際に、御利用の皆様がよくお使いになる統計表を掲載させていただいております。統計表については、従前から特にベンチマーク更新でどの程度の影響があったかというのを、時系列表などにも掲載しておりません。その分を補うこともあって、毎月勤労統計調査の概要やベンチマーク更新、一部サンプル入替えについては、今回のような資料を作成して、現在ホームページに、更新しながら公表させていただいている状況です。
 
○稲葉構成員
 分かりました。ありがとうございます。ユーザーとしての立場から言うと、ファイルをダウンロードして、それを使うときは、その統計表のファイルが、いつのベンチマークを用いた結果なのかという情報が付け加えられていたほうが、後の整理がしやすいと思います。それぞれのシートの所に、何年のベンチマークを用いた結果であるという注記がなされていると、使いやすいのではないかと今回感じました。
 
○野口統計管理官
 ありがとうございます。公表について、本年の議案の中で取り扱うように御議論いただいておりますので、そういった中で頂いた御意見なども踏まえながら、どこまでできるかというところは、御意見を賜れればと思っております。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私から1つ教えていただきたいのですが、最後のところで、季節調整をやられて、これは季節調整をベンチマーク更新を含めて過去の値を改定したことだと思うのですが、これについては特に何か影響があったとか、また、毎年やっているということですので、過去の遡求された値に対して大きな影響があったとか、そういうことは特になかったということでよろしいでしょうか。
 
○野口統計管理官
 今回、季節調整を変えさせていただいた中では、ベンチマーク更新が1月時点でやっておりますので、12月までのデータで季節調整をやらせていただいております。季節調整の中に影響があったという分析は、現在のところありません。今後、御議論の中でそういったことも含めて、資料を御提示したり御意見を賜れればと思っております。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。確か1月からですので、失礼しました。ほかにベンチマーク更新等、何か御質問、コメント等はありませんか。
 
○高橋構成員
 サンプル入替えの影響とコロナの影響なのですが、表現としてはサンプル入替えの影響だと記述されているのですが、コロナの影響でパートタイムが減っているという情報は、付け加えなくていいのですか。全部がサンプル入替えの影響ではないのではないかと思うのですが。
 
○野口統計管理官
 説明が不足していて申し訳ありません。3分の1の客体が入れ替わったことで、結果としてパート比率が下がっているという現象がサンプル入替えの影響です。その上で、では、古い客体が3分の1抜けて、新しい客体が3分の1入ったことで、起こっていることとして類推できることを分析として実施させていただいたところ、ほかの研究会などでも言われていますが、毎月勤労統計調査が継続調査ですので、ある程度事業所が調査票を書いて出してくださる所が、しっかり経営ができている事業所であるという御意見も頂いております。そうすると、ある程度の雇用の維持力とか、賃金であれば、賃金を支払う能力が、ある事業所が継続して回答しているのではないかという御意見を頂いたこともあります。そういったことから類推しますと、新しく入ってきた事業所が、時期から言うと新型コロナウイルスの影響によって、パートタイム労働者を中心に雇用が減少したという評価もありますので、そういった影響を受けた事業所が3分の1の中に多くあったことが類推されるという趣旨で、御説明申し上げたところです。
 
○加藤主査
 ほかによろしいでしょうか。樋田先生、お願いします。
 
○樋田構成員
 私から、1点細かい点ですがお伺いします。18ページでの特別に支払われた給与が速報では7.6%、確報では2.3%と、かなり変化しています。特別に支払われた給与なので、このような変化が起きやすいような気もするのですが、どのような要因で起きたのかを、わかる範囲で良いので教えていただければと思います。以上です。
 
○野口統計管理官
 手元に資料がないので明確なことは申し上げられませんが、全体的に考えられるのは、賞与の支給が1月にずれ込んでいる事業所が考えられます。賞与集計、年末賞与については、11、12、1月などで実施させていただいており、1月の調査で賞与を支払っている事業所が、全体に比べれば比率は小さいにしろ、一定程度ありますので、今回、特別給与が支払われている事業所が、旧サンプルの3分の1にはあったけれども、新サンプルになったときに、その比率が減少している可能性があると思っております。そこの点は調べてみて、何かわかりましたら機会を改めて御報告させていただきたいと思います。
 
○樋田構成員
 よろしくお願いします。
 
○風神構成員
 私も細かい点ですが、21ページでお伺いしたいです。5~29人は、サンプルの入替えはないということについて、6事業所が旧サンプルではないという説明があります。これは(※1)に「(新旧差は新旧の集計時点のずれによるもの。)」とあるのですが、これは集計時点で何か変化が起きて6事業所出てきているのか、そうではなくて、単純に回答者の事務的なミスとかなのでしょう。6しかサンプルがないので、非常に細かいことですが、時点のずれによるものというのが、うまく理解できなかったので、教えていただければと思います。
 
○野口統計管理官
 この点ですが、まず、5~29人規模ですが、30人以上規模と同じように、3分の1ずつ入替えはさせていただいているのですが、こちらの規模については、1年6か月終わった段階で、プラス1か月で新旧比較ができる入替えをしておりませんので、ここについては、いずれもサンプルが変わった後の状況を調査したものです。6事業所がずれている、金額にして9円ずれているというところですが、これが30人以上の入替え前、入替え後の集計時点と同じ時点で取ったため、6事業所分だけ新事業所のほうの5~29人に追加のものが入ってきてしまったがために起きているものでして、実質的にはベンチマーク更新、サンプル入替えによる影響の5~29人というのは、発生をしません。重複した事業所を取って比較をすることをやっておりませんので、ここについては差分が出てこないところですが、両方集計するのが、時点がずれているために、一部調査票が追加で提出され、この比較をするために集計をした数字だと、6事業所分9円が発生してしまっているので、それを表に記載させていただくとともに、注釈を入れさせていただいたものです。
 
○加藤主査
 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。もし、よろしければ、また何かありましたら、この後で御質問等を頂ければと思います。
 続いて、議事2.母集団労働者数の推計についてです。前回のワーキンググループにおいて、母集団労働者数の推計方法、季節調整法手法、統計調査の公表方法を、本ワーキンググループにおいて引き続き検討することが了承されております。今回のワーキンググループでは、事務局で母集団労働者数の推計方法について、今後の進め方の資料を準備していただいております。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○野口統計管理官
 資料2について御説明させていただきます。昨年の御審議で令和4年度は母集団労働者数の推計、それから季節調整法の変更、公表方法の整理を御審議いただくこととなっておりました。今回第5回では母集団労働者数の推計について、現行の推計方法を御整理して、今後の検討の方向性を御審議いただきたく資料を御用意させていただいております。
 資料2の1ページ目ですが、既に御説明させていただいている資料かと存じます。毎月勤労統計調査はベンチマーク更新後、次のベンチマーク更新までの間、毎月母集団労働者数を推計し、調査結果より得られた労働者数を、賃金労働時間の加重平均のウエイトとして用いています。改めて、母集団労働者数の推計がどういう位置付けかということを御理解いただくために、整理のために入れさせていただいた資料です。
 2ページ目は、母集団労働者数の推計がどのように行われているのかを整理したものです。推計のプロセスとしては3つに分けて整理をしております。まず、丸1では、前月の集計に用いた母集団労働者数を、イメージ図で御覧いただきますと、イメージ図のN月の母集団労働者数という、一番左のものとして表記させていただいております。
 この母集団労働者数に、調査結果で得られる増加労働者数、減少労働者数、これらを用いて母集団労働者数を増減させています。3ページに具体的な推計方法をまとめています。式を御覧いただきますと分かりますように、毎月勤労統計調査の当月の常用労働者数の集計をして、計算をしているというものです。
 2ページにお戻りいただきまして、2つ目のプロセスとしまして、丸2ですが毎月勤労統計調査では把握できない、事業所の新設・廃止等による労働者の変化を母集団労働者数に反映するために、雇用保険データを用いて、事業所の新設・廃止等による労働者の変化数を推計するというものです。それから2ページ目の上にあります丸3については、毎月勤労統計調査の結果によりまして、事業所の労働者数の変化が調査票情報から把握でき、事業所の規模の層に変化が生じている場合に、変化前の層の母集団労働者数を減少させ、変化後の母集団労働者数の層を増加させるという推計を行っています。
 この3つのプロセスを経まして、2ページのイメージ図の一番右側にあります、翌月に使う母集団労働者数として数字を作成しているというものです。以降、この3つのプロセスについて、それぞれ御説明させていただきます。
 3ページ目ですが、先ほど御覧いただきましたとおり、前月末労働者数を調査結果に基づき増加労働者数、減少労働者数を増減させ、本月末の労働者数を推計するというものです。これはいわゆる、毎月勤労統計調査の集計に用いている方法です。4ページ目は丸2の雇用保険データの事業所新設・廃止等による、母集団労働者数への推計について御説明しています。具体的には雇用保険データにより、5人以上規模事業所の新設・廃止等が把握された場合、その規模に応じて対応する毎勤の層区分の母集団労働者を推計しています。
 更に細かく申しますと、新設による増加労働者数、廃止による減少労働者数、これに加えまして5人以上に規模が上昇した事業所の労働者数、それから5人未満に規模が縮小した事業所の労働者数を足し引きしまして、対応する雇用保険の本月末労働者数で除して、その比率を母集団労働者数の推計に用いるというものです。
 ただし、この比率には、適用率というものを用いています。この適用率が、資料のポンチ絵の真ん中より少し下にありますKというもので、Kを0.5という係数にして、雇用保険のデータによる補正を実施しています。
 資料5ページ目の丸3のプロセス、事業所の規模の変更についてです。毎月勤労統計調査の調査票に前月末労働者、それから増加労働者数、減少労働者数というものを記載していただいていまして、事業所の労働者数の増減が調査票により把握できるようにしています。この調査票の情報を使いまして、労働者数の増減の変化が、いわゆる母集団労働者数を推計する規模の層区分を超えて変化している場合に、その労働者数の増減を、層の区分の労働者の推計に用いるということが丸3のプロセスです。
 具体的には資料の表Aというところにありますように、毎月の事業所の労働者数が層の境界にあって、労働者が増減する場合などが調査の中では発生してきます。こういった場合に労働者が層の区分、境界のところをうろうろするということになりますと、調査の結果や層の労働者数の増減に不安定になるということがありますので、一定の閾値を設けて、その閾値を超える場合に層の移動として、労働者数の変化を母集団労働者数の推計に用いるという方法をとっています。
 調査票情報を用いて母集団労働者数の推計に労働者を反映させる際には、調査票のデータに、抽出率逆数を乗じて母集団労働者数に反映させるという仕組みをとっています。このプロセスでも丸2の雇用保険のデータの適用と同様に、適用率としまして、資料の中ほどの式の一番右にありますように、Lという適用率を設けて適用しています。現行このLについては、0.5という適用率を用いているところです。
 関連しまして資料の6ページを御覧ください。母集団労働者数の推計とは別に、毎月勤労統計調査の集計においても、事業所の労働者数が大きく変化した場合に、層を変えるかどうかという取扱いをしています。調査結果の集計において、事業所規模の層の区分の取扱いですが、6ページの一番上にありますように、集計に用いる事業所の規模は、原則として変更しないということを基本として取り扱っています。
 ただし、下に丸1から丸4として記載していますように、事業所の労働者数が大きく変化した場合、集計においても事業所の層の変更を行っています。具体的には事業所規模が2段階以上変化した場合、その変化が安定したと見込まれた場合に、集計における事業所の層を変更しています。特に事業所規模が大きく増加した場合については、速やかに事業所の層の変更を行っています。なお、30人以上規模の調査である第一種の調査と、5~29人規模の調査である第二種、この一種と二種の間では層の移動を行わないという取扱いをしています。
 母集団労働者数の推計を御議論いただくに当たりまして、母集団労働者数と集計に用いる層の取扱いが違うということについて、7ページ目に事業所の規模が変化した場合の基本的な考え方としまして、今の論点を比較できるように整理しています。
 まずプロセスの丸3で御説明しましたように、母集団労働者数の推計におきましては、可能な限り実態を反映して、サンプルの規模区分が境界付近で変動していて、一定の閾値を超えた場合には、速やかに母集団労働者数の推計に反映させています。一方、集計に用いる層につきましては、原則として変更を行わず、集計に用いる層の変動によって、賃金・労働時間の集計結果が不安定にならないようにと措置をしているところです。
 下に基本的な考え方として、今御説明した点を、母集団労働者数の推計、それから集計に用いる層の変更について、基本的な考え方と、それぞれで用いている抽出率逆数について整理をしています。抽出率逆数の考え方につきましては、層の変更が発生した場合に、小さい層から大きい層に行ったときに、大きな倍率を持って移動することがないように、いずれの状況におきましても、集計時点における層の抽出率逆数を使うという考え方で整理をしているところです。
 ここまでが母集団労働者数の推計と、特に事業所の規模の層の変更につきまして、母集団労働者数と集計における考え方の違いというところがありますので、現行の推計のやり方や考え方を整理したものです。
 資料の8ページ目ですが、これを踏まえまして、母集団労働者数の推計について、検討すべき点がどういう点があるかというのを整理しています。まず○の1つ目、母集団労働者数の推計を行う必要性の最も基本的な考え方の基になっている、比推定の推計について、毎月勤労統計調査が、毎月の賃金・労働時間・雇用の変動を明らかにするという目的であるということを考えると、抽出時点の母集団を固定して、毎月この母集団に復元するとした場合に、産業や規模の変化を反映できないなどということが発生します。
 一方、現在の比推定のやり方では、集計に一定の意義がありますが、実際に経済センサスが行われた、ベンチマーク更新をやる2点間での母集団労働者数は、経済センサスのトレンドと一定の乖離が生じていると見込まれています。
 こうしたことから、この比推定をどういうふうにするのか、それからどのような補助情報を用いて実施すべきなのか、その効果の検証はどういうふうにすればいいのかというのが、論点の1つと考えています。
 次に、丸2の母集団労働者数の推計について、補助情報、雇用保険データを使って母集団労働者数を推計しており、その補助情報の性格によって影響を受けていることから、現行は適用率というのを用いているということになっています。これをどのように考え、どういう水準でやればよいのかということ。それから現在は層の変更が生じるために、母集団労働者数の推計に抽出率の逆数として集計時点のものを用いていますが、その必要性について、どういう抽出率逆数を使うのが適切なのかというのを、検討する必要があるかと考えています。
 最後に、丸3として、事業所の規模が変化した場合に、母集団労働者数と集計によって層の移動の考え方が異なっています。母集団労働者数に加えて、集計における層の在り方についても検討していくということが考えられると思っています。
 以上、事務局のほうで論点として3つ挙げられるかと思って検討しています。なお、事務局といたしましては、丸1や丸3の論点につきましては、調査の設計や調査全体広範な影響が生じると考えていまして、まず、今年度のワーキングで、2番目の母集団労働者数の推計方法について、御審議いただくということではどうかという整理をしておりますので、この点、御検討、御審議いただければと思っています。
 なお、資料の9ページ目には、事務局の提案に基づきまして、丸2の母集団労働者数の推計について、今申し上げた点を御審議、御議論いただくに当たって、私どもとして検証すべき内容というものの案を御提示しています。まず、雇用保険データの適用について、雇用保険データと経済センサス、この2つのデータに事業所の規模、それから事業所の規模別の労働者数、それから事業所の分布などの違いがあるかと思います。そういったものを、データ的に検証してみてはどうかと考えています。
 これを踏まえまして、雇用保険データの補正の影響を検証して、Kとして、どういう値がいいのかということが検証できるのではないかと考えています。一方、事業所規模の変更について、層を移動する事業所について、どの程度の頻度でどのような規模間を移動しているのか、これらの情報を把握して明らかにするとともに、これらの影響がどういうものなのか、更に申しますと丸4の適用度合いのLというのを、どういうふうに定めるのがいいのかというのを考えて、検証しながら資料を御提示すべきではないかと考えています。
 なお、KとLというのは、相互に組み合わせていくつなのか、それともそれぞれ独立なのかというところもありますので、こういった点も含めて、いくつかの推計をしてみながら御提示して、御審議いただくこととしてはどうかと考えています。
 それから丸5としまして、抽出率逆数について、抽出時点のものを用いた場合と、集計時点の現行の取扱いで推計した場合に、どういう影響があるかというのも検証の対象として御提示しながら、御審議いただいてはどうかと事務局で考えて、丸2で今年度の御検討を進めていただける場合には、こういった作業をやってみてはどうかということを整理しています。
 最後に3ページですが、3ページに参考資料として母集団労働者数の推計について、毎月勤労統計調査で過去の取扱いを整理しています。ポイントとして申しますと、母集団労働者数の推計の取扱いについて、平成元年以前については、年1回、母集団労働者数の推計を行っていました。平成2年の段階から、現行の毎月の母集団労働者数の推計を行うという方法に変えています。その際に、現在の適用率のKとLを設けて、その時点でそれぞれ0.5という値を設定して、現在に至っているというところを、参考としてお付けしたところです。資料の説明は以上です。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。今、野口統計管理官から説明いただきましたように、毎勤の問題は非常に多岐にわたっております。また、現在の3つの課題のそれぞれについて議論をしていく中で、今年度のワーキングについては、2番目の母集団労働者数の推計について、注力をするというようなお話がありました。質疑を行うに当たり、方向性の話もこの後お伺いしたいと思うのですが、まずは今、御説明いただきました資料の内容についての御質問を頂き、その後に、事務局から御提示いただきました方向性について、御議論をさせていただければと考えております。なかなか2つに分けることは難しいのかもしれませんが、まずは今の資料2についての御質問等がありましたら、お願いいたします。
 
○稲葉構成員
 主たる論点から離れてしまうのですが、最後の参考について質問いたします。平成元年までの状況として、母集団労働者数の補正は年に1回のみであったと御説明いただきましたが、その際の雇用指数の動きというのはどのようなものだったのでしょうか。今資料がなくて、すぐには判断できないのですが。
 
○野口統計管理官
 手元に資料を御用意できておらず、申し訳ございません。当時においては、年1回の母集団労働者数の推計をしていく中で、いわゆるバブル経済期であったにもかかわらず、常用労働者数なり常用雇用指数が減少傾向であって、他の経済統計の労働者数のトレンドと合わなかったというようなことなど、過去の担当者等からの状況を聞いているところです。
 
○稲葉構成員
 そうすると、それが問題点となって変化があったと解釈してよろしいわけでしょうか。
 
○野口統計管理官
 私どもも何を端緒に切り替えたかというところは、明確には分かりかねますが、そういったことも1つの要因として、今の状況に切り替えていると考えております。
 
○稲葉構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 補足いたします。今、減少傾向と申し上げましたが、例えば労働力調査の動きと、趨勢が合っていなかったということで、もしかすると減少まではいっていなかったかもしれません。それから、実はこの平成元年までは事業所規模が30人以上の調査結果を出しており、当時サービス経済化が言われていて、小規模の所の動きが反映されていないのではないかということで、平成2年から5~29人の所を付け加えていました。ここの部分もあって雇用の動きが合っていなかったということです。
 それから、年に1回補正をしていると言いましたが、そういうことで、1月分で雇用指数の修正を毎年毎年やっていたため、1月になると12月と雇用の動きが変わるということがあり、これは不便だと言われていたと記憶しております。
 
○稲葉構成員
 分かりました。ありがとうございます。今年度のワーキンググループの検討課題として、母集団労働者数の推計といったものがあるわけですが、私は、雇用指数への影響というものが最も大きいと考えております。以前、年1回だった場合との比較として質問させていただきました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。西郷先生、お願いいたします。
 
○西郷審議協力者
 かなり細かいことについての質問になるのですが、雇用保険でカバーされている労働者数の範囲に関して質問させていただきます。先ほど最初の説明で、新設の事業所などについての情報が毎勤の調査の中では取り入れられないので、それを取り込む意味もあって、雇用保険の労働者数を取り入れているというような御説明であったかと聞こえました。そうすると、資料2の1ページの真ん中より上の所に式が書いてあって、最初の等号の右辺で、基本的には総額を計算するときには抽出率の逆数を掛けるという形で、事業所ごとの現金給与総額なり何なりの合計値に、事業所の抽出率の逆数を掛けて総額を計算するという形になっていたと思います。毎勤では無回答というものがもしあったときには、それはもうゼロ回答と同じに扱うような形、つまり集計には含めないということなのですが、それは現金給与総額などに、無回答の事業所の現金給与総額などはゼロであったというようにして集計することと、実質的には同じになりますよね。違いますか。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 比推定で計算をしていて、推計比率で無回答分なりを膨らませて推計をするので、どちらかというと平均値で補填されるようなイメージかと考えております。
 
○西郷審議協力者
 それは、分子と分母とで、結局実際に膨らませているのですか。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 例えば無回答の所があっても、母集団労働者数というものが正しければそこに戻しているので、推計比率で膨らませているということにしています。
 
○西郷審議協力者
 すみません、論点がはっきりしなくなってしまったかもしれないのですが、この式の分子の給与支給総額を推計するときには、廃業のほうは考慮されるけれども、新設の事業所は考慮されないような形での母集団の総計が推定されているとなっているのか。ちょっと図を書かないで説明するのがすごく難しいのですが。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 雇用保険で前月新設や廃止されたものを推計するという意味では母集団労働者数に入ってきます。
 
○西郷審議協力者
 いや、労働者数ではなくて、分子のほうは新設というのが入らない形での総額の推計となっているという理解でよろしいのですか。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 新設分は把握できないので入らないです。
 
○西郷審議協力者
 それに対して分母のほうは、もし調査情報だけで分子と同じように推計していれば、同じく新設のものは入らないという形になるのですが、雇用保険のデータを使って分母の数字は0.5という係数があるので、大体半分は調査結果から推計がされていて、残りの半分が雇用保険のデータから推計されていて、それが合わさるような形で分母が推計されている。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 おっしゃるとおり、調査結果と雇用保険データから労働者数が算出されます。
 
○西郷審議協力者
 そうすると、分母の一部には新設の事業所の労働者数が少し入っていることになって、分子のほうで推計している数値と、分母のほうで推計している数が若干ずれているのかなというのが、説明を伺いながら思いついた疑問なのですが。ちょっと私がきちんと捉えきれているかどうかが分からない。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 いえ、おっしゃるとおりなのですが、そこが平均値の分だけ膨らまされて分子にも入るというイメージかと思っています。
 
○西郷審議協力者
 そうですか。分子も分母も同じだけ膨らまされていると。しかし、分母のほうは約半分が雇用保険のデータで推計されているので、そこの部分は膨らましはないわけですよね。無回答がない。調査データから計算されているものではないので。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 調査回答された平均値が入るようなイメージなので、おっしゃっているとおり入らないのですけれども、仮想的に平均値を入れてしまっているということになっているかと思います。
 
○西郷審議協力者
 ああ、そうですか。ちょっと説明を伺っていて、新設の事業所の労働者数の数が、どのように分子、分母とで折り合いがついているのかなというのが分からなかったものですから、細かいことですが質問させていただきました。回答どうもありがとうございます。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。風神先生、お願いいたします。
 
○風神構成員
 意見と質問とごっちゃになってしまいそうなのですが、規模のことについて今後議論していくということなので、そこに結構関心を持っているところです。コロナで今、いろいろと中小企業が大変で、今後合併させていこうという動きがあったり、あるいはスタートアップのほうも、もっとこれまで以上に頑張ろうという話が世間的にあったりする中で、幾つか教えてください。5~29人規模について、集計では層の変更は行わないというのは、小さくなってしまったときには、調査対象外とするということが資料2の6ページにあるのですが、大きくなったときには、例えば38人とかになっても、小さい規模の実態として調査されているということなのでしょうか。
 2点目としては、平成2年の改正のご説明部分で、当時は集計に用いる産業規模区分と母集団推計を行う産業規模区分は一致していたのがしなくなっているということなのですが、どの時点で一致させなくなったのでしょうか。3点目として、先ほど説明の中で、KとLの組み合わせ、あるいは別々に考えていくのかということが、今後議論になるということでしたが、Kは雇用保険データをどう反映させるかであり、Lは事業所の調査データを元にしたときのデータを、どの程度反映させるかというもので、性質が異なるのかと理解したのですが、この辺りはどのように理解すればいいのかを教えていただければと思います。
 
○野口統計管理官
 まず1つ目の第二種事業所で、労働者の規模が5~29人を超えた事業所があった場合であっても、現行は第二種事業所として調査をして、調査結果を集計しております。2つ目の、当初、母集団労働者の推計と集計のときの層の移動の考え方が、一致していたのではないかという御質問について、そこは過去には、当初はそのように取り扱っていたと聞いておりますが、いつ、どの時点で変わったかということについては、現在調査しております。過去のもので資料が残っていない部分はあるのですが、分かりましたらまた報告をさせていただければと思っております。
 最後に、KとLの関係について、これをインディペンデントかディペンデントなのかというのも、今回審議いただく論点として取り扱っていただければ有り難いと思っております。先生御指摘のように、KとLの効果の性質が違うので、それぞれインディペンデントにKやLを決めればいいのか、それとも今、偶然両方とも0.5ということですが、これを何かディペンデントにどちらかに応じて決まるのかというのも、現在のところは、今回9ページで挙げさせていただきました、データの性質も見ながらデータをお示して御審議いただいて、その結果に応じながら考え方を整理いただければ有り難いと思っているところです。
 
○加藤主査
 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。高橋先生、お願いいたします。
 
○高橋構成員
 母集団労働者数の推計方法で、いろいろやった後に、結局、推計結果の適切性の検証で、何をもってこの方法がベターかというのが、加入条件がある雇用保険のデータと毎勤の関係だけを見ていると、やはりちょっと分かりにくいのかなと思います。手数が増えてしまうし、また使いものになるか分からないのですが、私としては加入条件がほぼ無い労災保険のデータでも母集団を確認したほうがいいのではないかと思います。労災保険データがどのようなデータなのか分からないのですが、雇用保険データと毎勤だけで見ると判断がつかないのではないかと思って。ですので、もう1つデータがないといけないのかなと思っています。
 
○野口統計管理官
 まず、どのように検証というか、どこが一番適切であるというように見るかという考え方の御質問だと思っております。未来に向かってというのはちょっと難しいと思いますので、過去のベンチマーク更新2回の間を、どのようなトレンドで動いたかというものを見てみるというのが、今すぐにお答えできる手法の1つだと思っております。それ以外に手法等があれば御示唆いただければ有り難いと思っております。
 それから、労災保険のデータを使って何か補完ができないかという御指摘に関しては、すぐに労災保険のデータがどういう性質でどういう更新をしているかが明確ではありません。ただ、労災部分については、年に1回の年度更新で、年間の労働者数をまとめて保険料がいくらかというような更新方式でしたので、毎月勤労統計調査のように月の動きを把握するものではないのかなというのが印象ではあります。ただ、御指摘いただきましたので、どのような手続で、どういうデータが取れているかは把握させていただければと存じます。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 よろしいでしょうか。樋田先生、お願いいたします。
 
○樋田構成員
 2点あります。1点目ですが、調査結果の中で、事業所の層移動が起こるような規模の変更があった場合に、母集団については母集団サイズの推計でそれを反映させていて、標本については従来の層で集計をするというご説明だったと思います。そうすると、結果としては、標本については反映させていないという整理でよろしいでしょうかということが1点目です。それに加えて、各層で層移動を認めたケースはどのくらいあるのでしょうか。毎月どのくらいの事業所が層移動をしているのか。あるいは規模別や産業別で、どのくらいの数があるのかということを教えていただければと思います。
 2点目は、雇用保険データによる補正についてです。この点が理解できていないかもしれませんので教えて下さい。30人以上の規模の事業所については、雇用保険の対象にほとんど全てなっているのではないかなと思いますが、雇用保険の対象外の事業所があるのでしょうか。つまり、この適用度合いKというものが1を下回っているということは、1にしてしまったら、その母集団サイズの変更をし過ぎてしまうから、0.5にしているのかと解釈しました。この辺りを私が理解できていないので、追加の御説明をお願いできればと思います。以上です。
 
○野口統計管理官
 層の移動については、先生が御指摘のとおり、母集団労働者数の推計においては事業所の規模が拡大したときに、その拡大した規模の労働者数を現行の層から抜いて、本来、次に属するであろう層の労働者数に加味するという形でやっています。一方で、実際に集計をするときの層については、その事業所は移動せずにその層の中にとどまって、集計の対象となるという取扱いをさせていただいています。
 変化する事業所の数のデータについては、今の集計方法の中で、今回9ページの丸4で母集団労働者数の推計について御議論いただけるということになった際には、その移動状況や頻度などについては、改めて把握をしてお示ししたいと考えています。現状、十分に把握ができていないというところです。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 雇用保険で捉えている人数、被保険者数と、それから毎月の統計調査の人数とで、やはり一致はしていなくて、例えば被保険者が30人といったときは、実は20時間以下のパートというものがそこに含まれていないので、毎勤で言うところのもう少し大きな規模に当たっている場合があります。そのときに本来は層の中から外れているのですが、雇用保険を集計すると入ってしまうというもの、そこの適用率が0.5ぐらいというようなイメージで設定をしていると思います。
 
○前原雇用・賃金福祉統計室長補佐
 1つ目の集計の際の層の移動の関係をちょっと補足させていただければと思います。7ページの集計に用いる層の変更は、原則として行わないということです。ただ2ランク以上の大きく変更があったときには、その集計層も変えるということが現行の取扱いです。この考え方と言いますか、背景的なところで1つ考えられますのは、労働者数はそれぞれ層ですので、その層の区分の範囲の労働者しかいないということで、ある程度決まっているというところですが、賃金というのは高い事業所、低い事業所がありますので、そういったところはこまめに層を移動してしまうと、賃金の結果に影響を大きく与え得るということがあるのではないかといったこともあり、こういった取扱いになっている。背景としてそういった事情もあるのだろうと思います。
 
○樋田構成員
 ありがとうございます。将来の検討をするときの話になってしまうのですが、層の移動というものと抽出率の逆数の扱いというものは、セットにして扱ったほうがいいのかなと思うので、例えば9ページの丸3と丸5というのは、整理としては分けていますが、一緒に検討したほうがよいのではないかなと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。今まで資料の内容についても御質問いただいたのですが、加えまして、先ほど事務局から御提案いただきましたように、今後の議論の方向性ということで、先ほど御提示いただいた8ページの論点の3つのうちの丸2の母集団労働者数の推計方法についてということを踏まえ、そして9ページの次回以降のワーキンググループの進め方についてという案を頂いているわけですが、いかがでしょうか。このような形での方向性でよろしいのか、今、樋田先生からの御質問はこれにも関連してくるかと思いますが、何かこの辺りについてコメント、あるいは御意見等がありましたら、あるいはもっとほかの調査票の設計についても考えるべきなど、あるいはほかにもやることがあるのではないかということでも結構ですが、何かあれば御提案いただければと思います。稲葉先生、お願いいたします。
 
○稲葉構成員
 まず、スライド9ページの進め方について、丸1~丸5まであるわけですが、これについては適切な検証内容であると考えています。今の時点では、私はこれ以外に考えるところはありません。
 関連して1点だけ申し上げたいことがあります。それは資料2のスライドの2ページと3ページに関して、現在、公開されている母集団労働者数の資料に基づくと、スライド2の丸1の過程が含まれているというのは、私は解釈できませんでした。ですので、このことについては現在、公開されている母集団労働者数の推計の資料といったものは、今回の資料に基づいて更新したほうがよろしいのではないかと提案させていただきます。
 それと、スライド9の検証内容との関連性があるわけですが、果たして先ほどのスライド2の丸1が含まれることによって、比推定という用語を使ってもよいかどうか。あるいは誤差を含んだ値を、母集団労働者数として扱っているということについての検証も含めて、様々な面での検証といったものが必要なのではないかと考えます。私が、今、意見として申し上げたいことは、公表されている資料が、今回提出された資料の内容と同様であるとは見えないため、それについては更新したほうがよろしいのではないかという意見です。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。
 
○野口統計管理官
 ありがとうございます。まず今回、母集団労働者数の推計について、過去の資料、年報などにおいても、断片的に記載があって、どういうプロセスでどういうことをやっているかということが、余り明確になっていなかったので、今回、御審議いただくに当たって、まとめさせていただいたところです。稲葉先生が御指摘の丸1の所が明示されていないのではないかという点について、丸1が明示されていないというよりは、丸1の作業は毎月の常用労働者数の集計ですので、その集計結果に雇用保険データを使った母集団労働者数の推計や調査票情報を使った層の移動を施しながら、母集団労働者数の推計をしているというのが私どもの理解です。そこを私どもなりには記述をして、そういったことも含めて御理解いただけると思って記載したところです。御指摘いただいたことも踏まえて、誤解を生じるような記載については、今後改めるように検討して、修正案などまた御意見いただければと考えています。
 それから、比推定や誤差を含む母集団の取扱いということの論点があるという御示唆、ありがとうございます。これから更に論点を、今回の御審議で決まった方向に合わせながら、頂いた御意見も踏まえながら、具体的な検証作業の材料を作らせていただければと存じます。ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。ワーキングの進め方等について、またそれに付随するコメント等も頂ければと思いますが。風神先生、お願いいたします。
 
○風神構成員
 付随したものもいいということなので、若干ずれるかもしれないのですが、進め方の案については私もこれに同意したいと思います。先ほどの稲葉先生の話にも関連するのかもしれませんが、毎月勤労調査のデータの公開のあり方というのが、以前から話題にはなっていると思いますが、それをどこかの段階で、確かに公開のあり方なので、9ページに載っていることよりは重要度が下がるのかもしれませんが、例えば今回の抽出率など、そういったものをどこまで細かく出すのかということも、利用者のほうから見ると、データ自体を使いたいのか、もっとこの中身が集計によってどの程度影響を受けているかまでを知りたいのか、人によって細かいことが知りたければ元に戻すことができたりするように、詳細に公開するということも、できるかどうかは別として考えられるので、それを議論する場がどこかであってもいいのかなと思いました。
 もう1点としては、これがどこに関係するのか分からないのですが、先ほど稲葉先生が指数に結構、影響が出てくるのではないかということは、私も使っていて思っていて、毎月勤労調査を使っている身からすると、労働者数というのは結構使いやすいのですが、指数や時間の時系列変化を見ていると、若干、使うときに「あれ?」と思うときがあって、労働者数に比べると使い勝手が悪いという表現は変なのですが、ちょっと使うには慎重になるところがあるので気になりました。以上です。
 
○野口統計管理官
 進め方については、ありがとうございます。それからデータの公表については、大くくりした話ではありますが、今年度の6回目以降のどこかで、昨年頂いた御指摘などを踏まえた公開のあり方について、一定の整理を今準備させていただいています。今、御指摘いただいた、今までなかったような細かいデータの公表の取扱いなどについては、できる限り検討はするようにいたしますが、まず今回、大まかな議論を今年度のワーキングではさせていただいて、その議論の中で不足しているものについては、改めて細かい点を御指摘いただいて、引き続き検討できるような宿題として整理をさせていただければと思っています。指数については、御感想と承ってよろしいのでしょうか。
 
○風神構成員
 今後の議論の中で、多分そういうことが影響してくると思うので、感想ということです。
 
○野口統計管理官
 いろいろなデータを御覧いただく機会があるかと思っていますので、そこでお気付きの点などあれば、改めて御指摘いただければ有り難いと思っています。よろしくお願いします。
 
○加藤主査
 もしかするとお手数になるのかもしれないのですが、もし可能であれば次回以降でそういった過去のデータ、あるいは時系列データもちょっとお見せいただければと思います。よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。この9ページを簡単にまとめてしまうと、KとLと抽出率逆数の話ということだろうとは理解しているのですが、この進め方全般については、委員の先生方、特にこの進め方ということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、今後のワーキンググループの進め方については、事務局から御提案を頂きましたように、9ページのような形の案で進めさせていただければと思います。この資料2について、もし、委員の先生方からまだほかに御質問、御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、最後に議事3として、その他となっていますが、事務局からお願いいたします。
 
○藤井統計企画調整室長
 それでは本日、参考資料としてお配りしています、ワーキンググループについてという資料です。ワーキンググループの構成員について、風神先生の御所属に変更がありましたため、この要綱の改正について、厚生労働統計の整備に関する検討会の座長にお諮りをして、7月4日付けで要綱の改正をさせていただきましたので、御報告させていただきます。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。それでは、本日、予定していた議題は以上となりますが、もし全体を通して御質問、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議題は全て終了となります。それでは、事務局にお返しします。よろしくお願いいたします。
 
○藤井統計企画調整室長
 委員の皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。これをもちまして、第5回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。本日はお疲れさまでした。
 

(了)
 

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)

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