厚労省・新着情報

日時

令和4年9月14日(水) 16:00~18:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)
  • (会議室)     ◎磯部哲
  • (テレビ会議)  伊豆津健一  泉祐子    内田信一  奥田真弘  ○佐藤嗣道
  •          花井十伍     森豊隆志
  •          ※◎委員長 ○委員長代理
行政関係出席者

 厚生労働省
 (会議室)
  浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
  大臣官房厚生科学課
    伯野 春彦(厚生科学課長)
    安濟 崇(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
    藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
  健康局
    和泉 誠人(予防接種担当参事官室ワクチン情報分析専門官)
    井本 成昭(予防接種担当参事官室評価分析専門官)
    浦部 夢子(予防接種担当参事官室長補佐)
    原田 自由(予防接種担当参事官室長補佐)
  医薬・生活衛生局
    松倉 裕二(医薬品審査管理課長補佐)
    浦 克彰(医薬安全対策課課長補佐)
    木下 裕貴(医薬安全対策課主査) 他

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について
  3. 3.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  4. 4.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 定刻になりましたので、ただいまより第9回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多用の折、御出席いただき、ありがとうございます。
本日の委員会は、ウェブ開催としており、磯部委員長を除く他の委員におかれましては、厚生労働省外から参加いただいております。
 また、傍聴に関しては、YouTubeでライブ配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答は、できるだけゆっくり、はっきりと御発言いただくようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合には、通信負荷軽減の観点から、資料の投映を中断する等の対応をとることがありますので、御了承願います。
 議事に入る前に、事務局に異動がありましたので、御報告いたします。
 6月28日付で、厚生科学課長に伯野が着任しております。
○厚生科学課長 よろしくお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 また、同日付で、私、安濟が医薬品等行政評価・監視委員会室長を拝命しております。
 どうぞよろしくお願いします。
 では、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 それでは、よろしくお願いいたします。
 聞こえますか。ここにいます。
 最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。
 また、利益相反の取扱規程に基づいて、各委員の申告内容の報告をお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 まず、委員の出席状況をお知らせいたします。
 本日は、戸部委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、9名中8名の委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 利益相反について御報告いたします。
 まずは、取扱規程に基づく、個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告です。
 今回は、議題1の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で、個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、寄附金等の受け取り状況について、あらかじめ申告いただいております。
 事務局にて確認いたしましたところ、本日は「退室」や「議決に加わらない」基準に該当する委員の方はいらっしゃいませんでした。
 なお、各委員の申告書につきましては、厚生労働省のウェブサイトで公表しています。
 続いて「委員会の議題によらない全般的な利益相反の定期的な開示」です。
 これは議題とは関係なく、薬事に関する企業や厚生労働省、PMDA、AMEDとの関係性を広く毎年一度申告していただき、利益相反の状況として公開するものです。
 項目としては、審議会への参画状況や研究費の受け取り状況などがあり、それぞれの該当の有無は、参考資料2-2に取りまとめておりますので、御報告いたします。
 また、各委員の申告書は、本日の委員会終了後以降に本委員会のウェブサイトに公開いたしますので、申し添えます。
以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、今、投映されているとおり、まず、委員の求めに応じた個別事項への対応として、HPVワクチン接種。
 2つ目、委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況として、先駆的医薬品指定制度、 医薬品の緊急承認制度の2つ。
 そして、医薬・生活衛生局からの定期報告に関して取り扱うこととしています。
 今回も、厚生労働省、事務局からの説明をいろいろといただきますが、簡素化、効率化に努めていただきますよう御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 まず、資料1を映していただいて「HPVワクチン接種について」です。
 この委員会では、これまでにも議題として取り上げており、直近では、積極的勧奨を再開する前の昨年12月に、HPVワクチンのこれまでの経緯等についての御説明をいただきました。
 今回、HPVワクチンの接種に関する積極的勧奨の再開に伴って、泉委員から、接種後の症状に寄り添った支援や安全性評価の状況等について取り扱っていただきたいとの御要望がありましたので、健康局予防接種担当参事官室、医薬・生活衛生局医薬安全対策課からそれぞれ御説明をお願いいたします。
 それでは、まず、健康局からお願いいたします。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 それでは、厚生労働省健康局予防接種担当参事官室より御説明申し上げます。
 まず、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援の現状についてですが、こちらは、右下のページ番号に書いてあるのですが、こちらの資料は、昨年11月に開催されました第72回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」と令和3年度第22回「薬事・食品衛生審議会安全対策調査会」の合同部会でございますが、こちらにおいて積極的な勧奨の在り方について議論が行われた際の資料の抜粋でございます。
 積極的な勧奨が差し控えられてから、この審議会の時点までにおいても、合同部会、審議会において、HPVワクチン接種後のこういった症状に苦しんでいる方に寄り添った支援という形で、上段の枠内に示しておりますが、マル1からマル5の5本の柱を整理した上で議論をしてまいりました。
 これらについて、この審議会は11月に行われておりますが、このように、10月の合同部会につきまして、下の段の「10月1日合同会議における主なご意見」と書いてあるところですが、そういった御意見をいただいた上で、HPVワクチン接種後に生じた症状に寄り添った対策ということで、例えばそういった症状を診療するための国で設置した協力医療機関の実態の把握、診療実態がどのようになっているのかとか、体制をどのように強化するのか。
 また、それを含めて、地域における包括的な支援、連携の在り方についての議論が行われた経緯がございます。
 ここでの議論を受けまして、3ページ目でございますが、こちらは、昨年末、12月に開催されました予防接種・ワクチン分科会、これは先ほどの合同部会の中で、厚生科学審議会副反応検討部会がありましたが、こちらの親会になります。こちらに提出された資料から抜粋してございます。
 このように、従来から連携の枠組みはあったのですが、それをさらに充実させて強化した形でございます。
 強化の例といたしましては、例えば協力医療機関での研修の充実に関しては、昨年末、そして本年3月に、協力医療機関、さらに接種する病院、クリニック等も対象とした研修会を実施しまして、こちらはウェブ会議で行いましたが、アカウントで言いますと数千ぐらいのアカウントで御登録いただいて、多くの医療機関に参加いただいたものでございます。
 また、自治体にある相談窓口との情報共有など、こちらと連携が取れるような取組。
 そして、それまで協力医療機関は、各都道府県に1つ以上設置していただいていたのですが、各協力医療機関同士とか、他の都道府県の協力医療機関との連携が必要であるというヒアリング結果がございましたので、より広いブロックとしての単位での情報共有ができるような仕組みを構築。
 こちらは、まさに今、ブロック別拠点病院事業として実施しているところでございます。
 このように、審議会での議論を踏まえまして、それまでも整理されてきましたが、こういった支援体制をソフト面、ハード面の両方で現状を把握して、課題認識を行いながら、適宜ブラッシュアップしているところでございます。今後も、審議会での議論を踏まえて、その在り方を検討してまいります。
 4ページ目になりますが、積極的な勧奨の再開、キャッチアップ接種は、基本的には今年度から開始しておりますが、それを受けての安全性の評価の取組でございます。
 こちらの資料といたしましては、令和4年、本年4月に、先ほど申し上げた合同部会において報告したものでございます。
 記載のとおりですが、本年度7月以降、こうした取組の実施の結果として、HPVワクチン接種数の増加が見込まれることから、これまで定期接種のワクチンは、大体3か月に1回の頻度でこういった整理をしてまいりましたが、HPVワクチンに関しては、月1回という形でやっていく形で頻度を上げて評価を行っているところでございます。
 今、大きく2点ございまして、1つ目が「安全性の継続的な評価」。
 こちらは、先ほど申し上げたとおりで、積極的勧奨を再開して、おおよそ半年程度という期間で、通常、3か月に1回行っている評価を1か月に1回にするという形で評価を行っております。
 こちらは、今のところ9月に行われたものが直近のものでございまして、おおむね毎月評価されているものでございます。
 2点目ですが、先ほど申し上げた「協力医療機関の診療実態調査」。
 こちらも、この後書いていますが、今年度の積極的勧奨再開後、研究班におきまして、全国の協力医療機関に対して、アンケートによる診療実態調査を現に今、行っております。こちらで診療実態を迅速に把握するとともに、受診する患者様の臨床像を丁寧に解析することを目的としております。
 現在、このような取組で安全性の評価を行っているところでございます。
 まず、予防接種担当参事官室としては、説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 続いて、医薬局から。
○医薬安全対策課長補佐 続きまして、医薬・生活衛生局医薬安全対策課より御説明申し上げます。
 HPVワクチンの安全性につきまして、副反応疑い報告の状況を先ほど御説明がありました合同部会で報告し、評価をいただいているところでございます。
 本日お示しさせていただく資料ですが、今月、9月2日に行われました合同部会の資料の一部を本日の資料としておつけしております。
 PDFの6枚目から2価ワクチンのサーバリックス。次のページに、4価ワクチンのガーダシル。そして、積極的勧奨の対象にはなっていませんが、合同部会で報告しておりますので、シルガード9(9価ワクチン)も参考としておつけしているところでございます。
 資料の真ん中ほどに医療機関、あるいは製造販売業者からの報告の数や報告頻度。下のほうには重篤例の転帰といったものをお示ししておりまして、こうした資料を合同部会でお示しした上で、これまでの副反応疑い報告によって、その安全性について重大な懸念は認められないという評価をいただいているところでございます。
 簡単ですが、以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 以上、御説明いただきまして、その後、議事2に進むようにしようということで、時間は20分ぐらい取ってありますので、どうぞ御自由に御発言ください。
 まず、泉さんに口火を切っていただけますか。
○泉委員 泉です。
 厚生労働省に聞きたいのですが、2021年12月21日の第6回の委員会で、予防接種室が科学的な評価の場ということで、これまでそういった健康被害を訴えられている方から、直接ヒアリングは実施していなかったという経過がございますと。
 さらに、同日ですが、同じ予防接種室から、厚労省として、個別に直接お声を伺う機会を設けることにつきましては、HPVワクチン自体は、訴訟の係争中ということもありまして、当事者の立場でもあるため、少し慎重に検討する必要があるかと考えておりますという発言をなさっているのですが、2021年12月21日以降、半年以上たちましたが、厚生労働省のこの担当部局は、その後被害者の実態の声を聞いたことがあったかどうかをまず教えてください。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 ありがとうございます。
 健康局予防接種担当参事官室でございますが、今の御質問のお答えとしては、個別にお話を聞くことは現在しておりません。というのも、これは同じ答えになってしまいますが、係争中であるということでございます。
 ただ、一方で、毎年8月に薬害被害の連絡会からお話を伺う機会は設けておりまして、そちらで御意見を承っているものでございます。
○泉委員 よろしいですか。
○磯部委員長 どうぞ。
○泉委員 全国薬害被害者団体連絡協議会、つまり、薬被連ですね。
 薬被連から毎回どういったお話を聞いて、どのようなお答えをしているのですか。
 ここ数年前のことですが、恐らく、HPVの被害者の方は、被害を受けた人の数を把握しているのだったら教えてくださいという意見を2~3年にわたって発言されているのですが、厚労省はお答えになっていませんよ。
 私は何が言いたいかというと、係争中という立場であるから、慎重に検討することは、もちろん、当事者であるから分かります。
 しかし、それとは離れて、あなた方は、いわゆる健康を害した人に対して、どういう状態で健康が害されているのかというのは、きちんと聞く義務がありますよ。それをなさっていらっしゃらない。私はそれがとても不思議でなりません。
 というのは、令和3年8月30日に、国会議員から検討部会、あるいは大臣、あるいは総理大臣に対して、早くHPVのワクチンの積極的勧奨を再開してほしいという議員連盟の申出が要望書として出されていますが、その後、検討部会が再開を検討したのは僅か2か月後の10月です。
 つまり、大臣や総理大臣に国会議員の先生が、2か月前に言ったら、2か月後には再開することを前提として、検討することを了承されているという出来レースみたいな形の中で、あなた方は、被害の方の声を聴く機会があったのに、それをしていないことはどのように捉えたらいいのか。今後も、その人たちの声を聴くことはないのでしょうか。裁判関係なく、お答えください。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 今の御質問ですが、声を聴く機会を設けるかどうかということに関しては、繰り返しになってしまいますが、現時点でお答えできるものではないと考えております。
 その理由は、先ほど申し上げたとおり、どうしても係争中という形で、双方で代理を立てているものでございますので、訴訟の場でお話をさせていただくという形でございます。
 一方で、昨年8月に議員からの要望があり、その後に審議会をしたということでございますが、何か外部からの圧力があって、審議会で積極的な勧奨再開を急いだということは全くございません。
 以前もお話しさせていただいておりますが、HPVワクチンに関しては、この9年間、審議会、先ほどの合同部会で複数回審議してまいりました。その中で、先ほど言った寄り添った支援の在り方とか情報提供の在り方、そして、何よりもHPVワクチンの安全性・有効性の評価、これは科学的な評価ですが、様々な専門家の先生方の目で見ていただいて決めてきたものでございます。ですので、何か急に政治的なものがあったから審議会を開いてやったものではなく、ずっと審議会でやっていて、そういう機が熟したということで、議論を始めたという経緯がございます。
○泉委員 分かりました。
 委員長、そのまま続けて質問してもいいですか。
○磯部委員長 そうですね。
 今のところについて、一言だけ私もコメントしていいですか。
 過去にやったことに対して、何らか問題があったりしたのではないかと言って、損害賠償を求めることと、今日も明日も明後日も、予防接種行政はやるわけですね、それがよりよいものになる、安全につながるためには、どういうプロセスが望ましいかということとは、本来分けるべきだと私は思います。
 それを言ったら、裁判判決が出るまで、原告の方々は、行政側と直接ヒアリングする、むしろそういう機会を奪うようなことをしたことになってしまうわけで、それはそれで被害を受けていると言っている方々に二重に苦しみを与えることになりかねないものではないかという気がいたします。
 もちろん、直接どういう形で行うかという工夫は必要だろうとは思うのですが、係争中なのでというので、それだけでいいかというと、それはちょっとどうだろうという感想を持ったことは一通りコメントさせていただきます。
 すみません。余計なことを言いました。
 では、泉さん、ほかの質問を続けてください。
○泉委員 では、今お示しくださった資料1の2ページ目の上の段に、最近の知見として、取組状況で、10月1日付の合同会議資料によって、救済に係る速やかな審査。これが1番目ですね。
 2番目が、基金事業で行われた接種による通院などに関しての医療費等の予算事業に対して措置ということなのですが、基金事業とは何でしょうか。
 そして、救済に関わる速やかな審査は実際にできているのでしょうか。ここはPMDAですね。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 そうしますと、基金事業が何かという御質問ですが、これは定期接種化されたのが平成25年4月でございまして、その前、平成22年11月から平成25年3月末まで、緊急促進事業という形で、HPVワクチンだけでなく、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種が行われたものでございます。
○泉委員 そのことを示しているわけですね。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 はい。
○泉委員 そうしたら、速やかなる審査は、PMDAですねと今お尋ねしたのですが、これはPMDAのほうで行われていると判断されていらっしゃいますか。
○医薬安全対策課長補佐 医薬安全対策課でございます。
 救済に関する副作用・感染等被害判定部会等を担当しているところになりますが、申請があったものについては、遅滞なく、しっかりと対応するということで、鋭意努めているところでございます。
○泉委員 分かりました。
 そうしたら、マル4に「相談窓口の設置など生活面での支援の強化」と書いてありますが、現実、この支援の強化に着手されていらっしゃるのかということと、マル5の「疫学的観点からの研究の実施など調査研究の推進」も行われているかどうか。2つ聞きたいです。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 マル4に関しては、審議会が終わった後も含めて、通知等で都道府県にお示ししていて、その後、各自治体にも相談窓口が設置されておりますが、それの体制支援の強化をお願いしているところでございます。
 マル5に関しましては、前からずっとやってきた疫学的な調査とか、現在やっているもので言いますと、先ほど申し上げた診療実態の調査とか、そういったものが含まれているものでございます。
○泉委員 今、何件くらい厚労科研費でそういう調査をされていらっしゃるのですか。
○予防接種担当参事官室長補佐 先ほど申し上げた岡部先生の研究班のものが、現状動いているものと認識しております。
○泉委員 岡部先生の研究調査は、たった40何名の方のデータですね。41名とか。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 協力医療機関の受診者数調査に加えて、今委員がおっしゃった調査研究についても、現在継続しております。
○泉委員 では、今、岡部先生が引き続きなさっているのは、もう少し詳しいデータ、いわゆる分母が多い形で出てくるだろうということでよろしいのですか。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 協力医療期間の診療実態調査については、今の時点では受診者数の把握をやっております。
 ただ、一方で、協力医療機関にお願いしていろいろとやっていただいておりますし、将来性という意味で言うと、もちろん、これは研究班でこれから考えていく形になると思いますが、そこでの診療の実態とか、そういったものの調査を追加できるような形に発展することも視野に入れております。
○泉委員 分かりました。
 委員長、すみません。私は資料を出しているのですが、続けて今の回答に合わせてそれをすり合わせてみたいのですが、いかがでしょうか。
○磯部委員長 そうですね。
 分かりました。
 これもそれなりに大部な資料なので、これに沿った御説明というか、質問ですね。
○泉委員 そうです。
 今、議題1をなさってくださって、私が資料の提供を受けましたのは、事務局ではなくて、先ほど説明していただいた方が言われた薬被連と、もう一つは、HPVワクチンの接種の副反応の被害者の報告で、全員ではないと思いますが、被害者が一人一人答えたものがあります。
 そういう方から話を聞くことは、今、係争中でできないということだったので、私からそういう資料をお見せするのは、別にヒアリングではないからいいと思いますので、お付き合いしていただきたいと思います。
 2枚目をお願いします。
 今、こちらで概要をお出しさせてもらったものなのですが、1~4といろいろな被害がありますが、こうした多様な症状が重層的に発現するという特徴があると。これは、ヒアリングしないと絶対に分からないことなのです。そのようなことがあります。
 そして、その下の「副反応の現状による困難な生活実態」の「治療の状況」で、多くの方が入退院をするのだけれども、副反応症状に今でも苦しんでいるという現状も、お話を聞かないと、いわゆる専門家の示した資料だけでは、多分、分からないと思います。
 2番のPMDA。
 すみません。その前です。
 2番の「PMDA等の受給状況」ですが、これに関しては、病態に応じた設定がなされていなくて、狭き門になっている。手続の改善をぜひ求めたいという声が非常に多いわけなので、お考えいただければと思います。
 4番目は「就労の状況」。
 就労できないか、就労しても退職・転職・休職。
 皆さん働きたいですよね。でも、こういう状態が病態によってできないという事実も一人一人の考え方であるわけなので、ぜひそこのところを。
 裁判は関係ないのです。専門家として、どれだけの人が苦しんでいるかというのを聞かないといけないです。
 次のページをお願いします。
 この中で、つまりは、副反応状態に苦しむ被害の実態を踏まえて、治療体制、救済制度の抜本的な見直し、副反応症状の社会的理解の促進や生活・就労の十分な支援が求められているのです。今、応援ではないのですが、委員長がたまたま言ってくださったけれども、求められているのをそのままほっておいてはいけないと誰でも思います。
 私は薬害被害の遺族ですが、こういうことで厚労省にどれだけ苦しめられてきたかというのを考えると、私はたまらないです。こういうことにちゃんと耳を貸してあげて、何かできることはないのかということを考えることが必要なのではないでしょうか。
 次のページをお願いします。
 治療の実態です。
 入通院は87%。
 その下のイは、入通院の84名のうち、協力医療機関。
 協力医療機関というのは、厚生労働省が各自治体に進めて設置してもらっているところですが、そこの入通院は、「無し」が71%です。協力医療機関の入通院の「無し」が71%。これは何を意味しますか。協力医療機関をちゃんと用意してあげたのに、そこに行っていない人が71%いる。
 その一番下に「協力医療機関に通院していない理由」として、マル1に「医療機関の対応に不満がある」。
 不満ということは、詐病扱いにして、なかなか認めてもらえないことがいまだにあるみたいです。
 3ページ目をお願いします。
 「治療に関する負担」ですが、何と53%の人が、医療機関までの時間で病気を抱えながら非常に苦しんでいます。2時間とか3時間以上という人がまだ53%もある。
 協力医療機関をつくったと言う厚生労働省に対して、こういう答えが、本当に被害を受けた人の答えなのです。だから、話を聞いてあげてほしいということは、そういうことなのです。
 その下のイ、家族の付添いが84%。一人ではもう立っていられない、途中でひっくり返ってしまうようなお子さんもいらっしゃるみたいです。
 その下のウ、交通費の負担は「とても大変」と「大変」で何と78%が積極勧奨によってワクチンを打ったために、こういう状況になって、本当に費用の負担に苦しんでいる。
 4ページのエ、医療費の負担も「とても大変」「大変」が81%。
 厚生労働省、どうしますか。積極勧奨をして、これだけの方が苦しんでいるのに、話も聞かないということでいいのかなと思います。
 4番の「治療について困っていること、国への要望」は、後で個別に出てきます。
 5ページ目、PMDAの手当に関しては、不支給が23%で、100%支給ではないということ。
 これは非常に残念ですが、どのようにやっているのかなと思います。
 (2)は、当然として、副反応として認めていない厚労省があるから、恐らく、障害者手帳は不支給なのでしょう。
 こういう形で、一体いつまで受けたくない被害を受けた人が自らお金を出し続けなければいけないのかということで、(3)にマル1、マル2、マル3、マル4とパーセンテージが書いてあります。これは、全部厚生労働省の責任で何とかできる問題だと思いますから、よくお考えいただきたいと思います。
 6ページ目をお願いします。
○磯部委員長 手短にしていただけますか。
○泉委員 分かりました。
 現在、無職か、短期間で働く人で44%以上です。こういう現状をつくられてしまっている。
 (2)、収入が10万円を超えていない人もいるということです。
 7ページの(2)、体調の悪い人、休みがちで自主退職した人が72%もいらっしゃいます。
 別紙、9ページをお示しください。
 これは一人一人からのお話なのですが、上から全部をお話しするわけにいかないですから、5番目の「確立された治療方法がないため、入通院しても有効な治療方法を提案してもらえない。現在の治療は対症療法に過ぎず、対症療法を繰り返す日々が数年続いている」とか、11ページの真ん中からちょっと上、11行目ですか、詐病扱いする協力医療機関。協力医療機関で詐病扱いするところがあるのですって。ぜひ見直してほしいということですから、これは善処してあげてほしいと思います。
 せっかく厚労省が医療機関を用意したのに、先生方でまだそういう方がいらっしゃることがありますから、ここはちゃんと考えてあげてほしいと思います。
 それから、13ページ、上から9番目で、下から5番目ですが「地元でも免疫吸着療法を受けられるようにしてほしい」と書いてあります。
 こういう方法は、少し体が楽になると発表されています。でも、どこもができるのではなくて、そういう療法が厚生労働省から発信されていないから、彼女たちはそういう医療機関をあちこち探しまくっているみたいです。
 20ページ近くまでありますので、ぜひこの資料をお読みいただいて、これは参考資料として出しているわけですから、ヒアリングではないので、読むには大丈夫だと思います。
 今の検討部会で続いてワクチンを進める形になったけれども、どういう問題があって、これはどのように解決したらいいかというのは、今お示ししていただいた1枚目にそれが書いてありましたね。ワクチンの検討部会で、検討するようにと委員からもあったと。
 ということで、私の話は終わりますが、最近の知見・取組のところにマル1「救済に係る速やかな審査」と、定期接種化の後の通院・予防等の予算のこと等、ここに全部書いてあるのです。だけれども、そのようになっていないと被害を受けた人たちは言っているのです。
 これは積極勧奨をした厚生労働省が何とかしなければいけないことであって、裁判中で、係争中だからどうのこうのの話ではございません。そのように強く思いますので、私の意見として出させていただきます。
 ほかの方も意見があるかもしれません。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、何かリアクションをお願いします。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 まず、先に申し上げたいのですが、今、係争中であることは確かにそうで、原告の方々御本人から直接お話をという意味では、先ほど申し上げたとおりなのですが、全国薬害被害者団体連絡協議会からは、8月にお話を承る機会があるということと、厚労省として、そうした症状になっている方から一切お話を聞いていませんということは全くなくて、例えば令和2年7月には、こちらは全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会でございますが、8組の御家族から直接お話を伺う機会を設けております。その前も、今、時期は明確には覚えていないのですが、たしか前の年度でやっていたと思います。
 あと、今回、泉先生からおっしゃっていただいたとおり、お示しいただいた資料は、我々が8月末に全国薬害被害者団体連絡協議会から頂いたものと恐らく同じものだと思いますが、係争中だから、これも全く受け付けないということでは全くなくて、もちろん、御意見といったものはしっかりと把握しておりますし、いろいろな御意見がある中で、こういったものをむげにしないのは、一貫した姿勢でございます。
 まず、前提をお話しさせていただきたいのですが、手短にお話しします。
 まず、HPVワクチン接種後の症状については、経緯を見ますと、平成26年の審議会で、その可能性も含めて、その当時の専門家の検討が行われて、結果として、機能性身体症状の可能性が高いと結論が得られております。
 もちろん、それ以降もいろいろな可能性を考えて、先ほど申し上げたように、審議会で科学的なエビデンスに基づいて安全性・有効性の評価を行ってきた中で、昨年11月、先ほどの審議会においてワクチン接種と慢性疲労症候群などの間に、これまで明らかな関連性は証明されていないと一度結論づけられたものでございます。
 これまでに報告されている先生がおっしゃるような症状は、個々の症例に応じて発症の時期とか症状の経過が多様であります。画一的な治療法がないのが現状でございまして、個々の症状に寄り添った対応を行うことが最も大事なことでございます。そのため、協力医療機関を中心とした医療体制の充実に取り組んでいかなければならない。
 先生にお示しいただいた資料は、先ほどの繰り返しになりますが、非常に貴重だと思っております。
 というのも、例えば協力医療機関で詐病だと言われたとか、診療を断られたといったものを踏まえて、この当時、昨年の審議会で、先ほど申したように、診療体制の強化という形でハード面をつくったり、ソフト面もバージョンアップさせるという形でこうした取組をしております。
 実際、先ほど申し上げた研修会は、かなりの医療機関、アカウントだけでいうと恐らく4,000ぐらいのアカウントの医療機関から御参加いただいておりますので、参加人数としては、それの倍になるものかと思いますが、そういった形でしっかりと実際に診療する方々、接種する医療機関といったところも含めて、研修会で情報共有したりということをやっております。
 さらに、協力医療機関1つだけだと、どうしたらいいか、なかなか分からないといったところがアンケートの結果でありましたが、それも踏まえて、例えば関東だったら関東、北陸だったら北陸というように、ブロックごとにそれぞれの協力医療機関でミーティングを開いて、お互いに情報を共有するという取組も今年度から始めたところでございますので、そういった課題等も含めてやっていく中で、また課題が出てくれば、合同部会で審議していく形になります。
 手短ではございますが、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 次は、医薬局。
○医薬安全対策課長補佐 医薬局から、救済制度に関する御意見もいただきましたが、まず、HPVワクチンの副作用被害救済の判定の在り方については、従来より実施しておりますが、合同部会の医学的・薬学的な判断だけではなくて、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象にするという従来の救済制度の基本的考え方に基づいて対応しているところでございます。
 申請手続についても、いろいろと大変だということでお届けいただいておりますが、我々救済の副作用・感染等被害判定部会の担当部局としては、制度趣旨にのっとって、申請があったものについて適切に対応していきたいと考えておるところでございます。
よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 その他、花井さん、お願いします。
○花井委員 今、幾つか言われた論点について全部やると、今回、これだけで時間がなくなってしまいますので、私からは、係争中の部分ということは、逆に言えば、原告団の症状はワクチンと関係ありませんと被告は主張しているわけだから、その関係ありませんと言っている群をアンケートして、これはワクチンの被害者ですという前提はできないということになるので、それがまさに係争中の問題だと思うのです。
 さて、そこに論点があるわけですが、今回、積極勧奨が進められて、これは参考までにですが、A類からは外れていなかったので、8条は、積極的勧奨ではなくて、普通の勧奨はしているのですが、その普通の勧奨はどんなものをしているのか、後で教えてください。勧奨しなければ8条違反なので、積極的ではないけれども、何らかの勧奨はしているのですね。それがどうかなというのはいつも気になっていたのですが、後でそれは教えてください。
 今回は、積極勧奨になって、接種率が上昇すると思われるのですが、今、一部は示していただいたのですが、私どもが一番気になるのは、2010年の促進事業、つまり、A類接種以前の人がほとんど裁判になっていて、接種以降は、その問題が浮上したせいで、積極勧奨をやめたという割とゆがんだ形でスタートしているところがHPVワクチンの問題だと思うのです。
 また、その行政措置というか、法の統治としての一貫性を変えた形で進行してしまったことが、以降の混乱を非常に招いていると思います。
 なので、今回、積極勧奨は、当然、A類になったままで、法律で決まっているのですから、本来、積極勧奨をするのが正しいということになりますが、2010年との比較が大事で、当時、急速に接種者が増えていって、そこに対してシグナルが返ってくるときに、今回と前回を比較できるデータをもうちょっとお示しいただけないかというのは一つあります。
 だから、直接ないとは伺っているのですが、例えば月別の接種者の増加とかが示せるものがあれば、何か探していただいて、それを比較する必要はあるし、当時、よく議論になったのは、名古屋市立大学の鈴木先生の調査論文があって、俗称で名古屋スタディと呼ばれているのですが、これは疫学調査というよりも、普通のアンケート調査論文なのですが、論文の結論としてはよく分からなかったということなのです。それは対照群がないというところで、対照群自体が少なくなったときに、対照群自体に特段事情、例えば病気だったとか、体が弱い人は打たなかったとか、対照群自体のバイアスによって比較も困難であったという事情もあります。
 今回は、前向きで見ることができるので、政策としては、2010年の促進事業以降の動きをなぞるわけです。なので、この前までコロナで対照群を置いた予防接種対象の比較ができるようにしましょうという議論が出ていると思うのですが、この機会に、このワクチンにおいても同様に、新しく積極勧奨をした以降の前向きの評価を特にやっていただきたい。
 今ある単なる返ってきたシグナルを分析するという手法だけではなくて、何らかのコホート的な、調査的な研究という形でそれを示していただければ、恐らく、まさに係争中の裁判の大きな資料になるでしょうし、因果関係論という非常に難しい問題にも、一定程度の知見を得ることができるのではないかと思いますので、ぜひお願いしたい。
 それから、救済の点ですが、確かに、救済制度はある程度の蓋然性で、割と幅広く救済できているという経緯があります。HPVに関しては、もともとA類前は、予防接種法ではなかったのだけれども、その後はPMDAの医薬品副作用被害救済基金に上乗せする形で特段の対応をしてきた。これも今回の特殊な経緯です。そういう経緯になっています。なので、本来はかなりセーフティーネットが張られた状態で裁判が起こってしまったという痛恨の薬害訴訟なのです。もともとある程度のセーフティーネットがあった中で、訴訟が起こってしまったと。なので、救済が本当にそのように運用されているか、疑問なところはあるのです。
 もちろん、特にHPVの人ははじいてやろうなんてことをやっているとは思えないのですが、難しいかもしれませんが、ほかのワクチンとか医薬品と比べてどうなのかというのが分かるものを探していただいて、申請に対する却下率は違わないかとか、そういったことも何らかのデータがないか、調べてほしいと思いました。
 意見は3つ、4つあるので、今日はこの辺にしておきますが、新たにデータとして出せるのであれば、追加で何らかの形でお示しいただいて、今後の積極勧奨が安全に進むことになるかどうかということを評価していきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 花井先生、ありがとうございます。
 研究についてなのですが、これは積極的勧奨を差し控えた後に、合同部会において、当時の先生方、参考人もいらしていただいた中で、どのような疫学調査ができるかということをかなり議論していただいた経緯がございます。
 そこで結局、その当時のデータベースを含めて、直接的な因果関係をつかめるようなスタディーデザインがなかなか組みにくいということで、その後に行われた調査につながっていった経緯がございます。
 緊急促進事業のときの接種につきましては、今、定期化されて接種されているといったものと少し仕組みが違うので、直接の比較はなかなか難しいかなと思っております。
 一方で、先生が言われたように、前向きという意味で言いますと、まさしく今、毎月安全性のデータをお示ししている中で、接種率というか、実施率と呼んでいますが、それについては、どうしても時間差で出てくるので、ここにはないのですが、今、合同部会の資料でも、例えばキャッチアップ接種も含めてですが、政令市でデータを集めて出していただいているとか、そういった取組をやったり、今、岡部先生の研究班で行っていることも含めて、そういったものを組み合わせたりしている。
 過去にできなかったものをいずれどうしていくのかという観点でいうと、非常に重要な視点かなと考えておりますので、そこについて、今、まさしく接種数が確実に上がってきている中で、まずは今の安全性の評価がある。その上で、そういったデータとかを使って何ができるのかというのを考えていくのがこれからのフェーズではないかと考えております。
○花井委員 ぜひお願いします。
 過去の経緯もあるから、実施率がそれほど上がらない可能性もあるのですね。
 そうすると、変な言い方ですが、良質な対照群が選択できるというメリットも出てくるので、そういったことも検討いただいて、新しいデータを蓄積していただきたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 貴重な御意見をいただきました。
 すみません。予定の時間を13分ほどオーバーしているのですが、ほかの委員の方々、よろしいでしょうか。
 では、HPVワクチンについての議題はここまでといたしますが、ワクチンに関しては、昨年12月に当委員会から発出した意見への施策の実施状況について、前回、6月の委員会で御報告いただきまして、あれから3か月というところでありますが、その後の進展などについて、この機会ですので、お願いします。
○予防接種担当参事官ワクチン情報分析専門官 健康局予防接種室でございます。
 今回、予防接種のデータベースの取組につきまして、間隔が3か月というところでございますので、その進捗を御案内できる範囲で幾つか御紹介させていただければと思います。
 背景といたしましては、御存じのとおり、6月、この前の委員会で新型コロナウイルスのワクチンの安全性評価に関する意見に関連した施策の検討状況といたしまして、予防接種に関する匿名データベースの構築と、NDB、いわゆるレセプトのデータベースとの連結解析を可能とすることに向けた検討を進めていることを御報告させていただきました。
 この間も、匿名データベースの構築等に関しまして、関係省庁あるいは関係者の皆様と調整、あるいは意見交換等を行ってきたほか、NDBとの連携に関する議論は、社会保障審議会のほうの専門委員会でございますが、そちらでも御議論を行うなど、検討を進めてまいりました。
 また、今般、当該データベースの構築に係る必要な法律側の措置を行うため、予防接種法の改正についても検討を進めておりまして、あるいは次年度以降、予防接種データベースの構築を段階的に進めるための予算についても、当室から要求することとしております。
 引き続き、関係者の皆様とも連携させていただきながらこうした取組を進めまして、ワクチンの安全性評価等に資するデータベースの構築に向けまして取り組んでまいりたいと存じますので、中間的な御報告でございますが、以上、当室から御報告さしあげます。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何か御質問、御意見がありましたら。
 ありがとうございます。
 データベースをつくるなら、現場の人が苦労しないように、いろいろなものに使い回せるようなというか、そういうシステムでということもいろいろとお願いしたいことはあるので、実際に時間はまだあるのですね。しっかりと関係各府省とヒアリングなどもして、うまくつくってほしいと私から話したいことはございますが、その他、もしよろしければ、この件。
○花井委員 1個だけ。
 さっき一つ聞いた、実際のところ、積極的勧奨ではなくて、普通の勧奨は何かやったのですか。8条があるから、何もやらないというと違法になってしまうのですが、そうは言いつつ、何もやっていなかったのですか。
 何か意地悪な質問になってしまうのですが、積極的勧奨をやめた時点で一切これを進めることはしなかったのですか。それだけ確認して、今回も現場をいろいろと見ているので、どう違うのか。
○磯部委員長 分かりました。
 では、その点をお願いします。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 ありがとうございます。
 積極的な勧奨は、法令としてというよりは、コンメンタールを示しているようなものでございますが、例えば個別に通知を送る、通知というのは、いわゆる予診票ですが、そういった行為を積極的な勧奨としている形になっております。ですので、積極的な勧奨の差し控えは、予診票が個別に送られない。実際、過去8年半の間、予診票が対象者に個別に送られなかった。
 そういった影響で、これはかなり大きなことで、予診票が送られないと、まず、そのワクチンがあることが分からないので、そういうワクチンを定期の枠組みで打てることすら知らなかったというお声も多くいただいてございます。
 積極的な勧奨の差し控えについては前例がありまして、HPVワクチンの前、日本脳炎ワクチンのときに、当時のワクチンの安全性の評価に基づいて、審議会で決められたといった経緯がございます。
○花井委員 なるほど。よく分かりました。
 ということは、積極的勧奨の前例があったということですね。
 すなわち、通知を個別に出さないということで、結局、9条があるから、一応、みんな努力義務はかかったままだということですね。
○予防接種担当参事官評価分析専門官 そうです。
○花井委員 ただし、そんなことは、通知がなければ何だか分からないから、結果的には誰も打ちませんでどんどん接種率が下がったと。そういう現象だということで理解しました。
 ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 急にすみません。
 それでは、どうしますか。
 今回、意見については、現状ということで、御報告というか、まとめていただいたのですが、この話はどうでしょう。
 毎回というのについて、皆さんの押し出し方といいますか、御相談という感じになるのですが、次が12月、ちょうど1年で、そのときにまた一度整理してということはあってもいいのかなという気もするのですが、あとは要所要所で動きがあるときに、ぜひまたいただいて、そこでもお話ししていただければいいので、委員長としては、特段毎回報告を求めるみたいなことはしないでいくことを考えておりますが、そんなことでよろしいでしょうか。
 動きがあれば議論しようということで、もしも関心があって、こちらから求めれば推していただく、お願いすることはあり得るという感じでお願いしたいと思います。
 また今後もそういうことで、この場で進捗状況を御説明いただくことになれば、適時適切にお願いしたいという感じになると思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 資料1に基づくお話は、大体ここまでということでよろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、資料2に基づいて、次の議題に行きましょう。
 「先駆的医薬品指定制度(医薬品の先駆け審査指定制度)について」ということで、委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況の一つ。
 このテーマは、もともと今日御欠席の戸部先生から御要望いただいたものではありますが、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課からの御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課の松倉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料2に従って説明させていただきます。
 「先駆的医薬品指定制度(医薬品の先駆け審査指定制度)について」ということで、名称が「先駆的」と「先駆け」と2種類ありますが、これは法制化に伴って言葉遣いが変わっているということで、実質的には連続した同様の制度を指していると御理解いただければと思います。
 次のページへ行きます。
 制度の基本的な説明になります。
 これにつきましては、名前のとおり、世界に先駆けて革新的な医薬品や医療機器、再生医療等製品を日本で早期に実用化すべく、そういった世界に先駆けて開発・実用化が見込まれる医薬品等を指定することによって、様々な優先的な相談対応、審査の迅速化といった各種の支援によって早期の実用化を目指す制度です。
 この制度は、先駆け審査指定制度という名前で、平成27年4月から試行的に開始されました。
 この頃は、法律的な根拠はなくて、通知に従って運用していたものですが、令和元年の薬機法改正におきまして、先駆的医薬品等の指定制度として法制化されました。「先駆け」から「先駆的」と表現が変わっているのは、「先駆け」という表現が法律上なじみにくいという理由からですが、基本的な意味は同じと御理解ください。
 指定制度というのは、承認するという意味ではなくて、指定して、開発を支援するという制度です。
 その指定の基準が、その下の水色のところに1~4までありまして、1つ目が「治療薬の画期性」。
 具体的には、既に承認された薬と比べて、今までになかった新しい作用機序であること。
 あるいは、同じ作用機序であったとしても、開発対象としている疾患への適応が初めてであること。
 あるいは、革新的な薬物送達システムを用いていることといった点を満たすことが画期性の要件となります。
 2つ目は「対象疾患の重篤性」。
 生命に重大な影響がある重篤な疾患、または根治療法がなく、症状が継続している疾患。
 3つ目として、極めて高い有効性が期待されること。
 既承認薬が全く存在しないか、または既承認薬その他の治療法と比べて有効性の大幅な改善が見込まれる、あるいは安全性の向上が認められる場合。
 4番目が、「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制」。
 具体的な計画があるかということが指定の基準となっております。
 指定されると、どういった優遇措置があるかということをその下に記載しております。
 マル1からマル5までございますが、1つ目は「優先相談」。
 これは、PMDAで製薬企業に対して様々な相談対応を行っておりますが、実際には、希望すればすぐに相談が受けられるわけではなくて、PMDAのキャパシティーが限られていますので、希望していただいてからしばらく順番を待つという形で、必ずしもすぐに相談対応があるというわけではありませんが、これについて、先駆的医薬品に指定された場合は、ほかよりも優先的に早く相談が受けられるものです。
 2つ目は「事前評価の充実」ということで、これは実際に申請する前の段階で、様々な品質とか有効性・安全性に関するデータなども含めて、PMDAが相談に応じる中で事前評価を行っていくものです。先駆的医薬品のための専用の相談枠がございますので、その中で事前評価をやっていく。それによって、実際に申請されてから、最終的な審査結果が得られるまでを短縮できることもあります。
 マル3は「優先審査」で、通常の医薬品ですと、12か月を目標に審査しておりますが、これが6か月になります。
 例えばオーファンのような薬ですと、これも優先審査になるのですが、それでも9か月です。それよりもさらに短い6か月を目標として審査するものになります。
 マル4は「審査パートナー制度」で、コンシェルジュなどと呼んでおりますが、これはPMDAの職員が、一つ一つの指定された品目について、コンシェルジュとしてPMDAとか厚労省、企業との間の調整を仲介したり、あるいは様々な開発上の相談に対して、コンシェルジュが間に立って円滑に進めるといったものです。
 マル5は「製造販売後の安全対策充実」ということで、再審査期間の延長を最大10年までの範囲で設定できることになっております。
 次のページへ行っていただきまして、そこから3枚ほどは、実際にこれまで指定された品目の一覧を示しております。
 3枚目と4枚目は、法制化される前の「先駆け」と呼ばれていた時代に指定されたものの一覧。
 最後の5枚目が、名称は「先駆的」に変わっておりますが、法制化された後になります。
 実際には、ここに一覧になったもの以外にも、指定してほしいとして希望が上がってきたものは多数あるのですが、PMDAの審査、あるいはその後の薬事・食品衛生審議会での議論の結果、最終的にこちらが指定されたものとなります。
 また、一覧の中で、一部グレーで表示されている部分があります。
 例えば今、映しているスライドですと、ペムブロリズマブが平成27年10月に一度指定されているのですが、平成29年9月に指定が取り消されています。
 ほかにも、灰色で塗ってあるところは、同じように指定が取り消されたものです。
 指定が取り消された理由としては、それぞれ違うのですが、一般的な理由として申し上げれば、先駆けの指定基準に合わなくなった。
 具体的には、同じメカニズムの別の薬が先に承認された、あるいは、有効性・安全性に関して臨床試験においてポジティブな結果を示せなかった、あるいは、日本よりも他の国で先に承認申請や承認がなされたといった、先駆けの指定基準に該当しなくなったものについては指定が取り消されております。
 説明は以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、この点はいかがでしょう。御質問、御意見があればどうぞ。
○花井委員 よろしいですか。
○磯部委員長 花井さん、どうぞ。
○花井委員 先駆け時代から先駆的になって、この制度自体は、企業の開発意欲と予見性を高めたということで、いわゆる製薬企業の開発モチベーションをかなり上げる制度設計のように思っています。
 問題なのは、指定基準なのですが、ずっと気になっていたことは「生命に重大な影響がある重篤な疾患」という概念は結構ぶれていて、もちろん、インフルエンザが入っていたり、今、インフルエンザ以外は、どっちかというとそんなにブロックバスター的な大きい市場にならない、難病というか、割とそういうもののイメージなのですが、ある種多くの患者がばっとたくさん使うような品目が入ってきてしまうと、それはそれでどうなのかという問題が結構あって、この疾病基準で、当時、インフルエンザについては、どういう議論があったのかなと。
 それから、取り下げられて、指定が取り消されてよかったと言ったら怒られますが、アルツハイマー病の進行抑制が本当に有効だったら、それはもうすごい市場で一気に処方される形になるわけですね。
 そうなったときに、この制度で通ったことによって、いろいろな面がどうなのかなというのはありますので、そうなると、いわゆるこの定義「重大な影響がある重篤な疾患」というときに、アルツハイマーのときとインフルエンザのときは、どんな議論で指定されたのですか。
○医薬品審査管理課長補佐 ありがとうございます。
 まず、インフルエンザのほうですが、平成27年に指定されております。
 そのとき、指定基準への該当性に関しては、まずは作用メカニズムについて、既存のインフルエンザ薬と比べて、異なる新しい作用機序によってウイルスの増殖を防ぐという新しい作用機序であったこと。
 それから、今御指摘のあった疾患の重篤性のところに関しては、インフルエンザは、特に高齢者とか小児では重症な肺炎あるいは脳症を引き起こしたりして、時に致命的になることもあるということで、該当すると判断されております。
 それから、高い有効性に関しては、その時点の評価として、既承認の薬と比べて高い抗ウイルス活性、あるいは既存のウイルス薬が抵抗性を示している場合であっても、そのウイルス活性が示されているということで、そういった点が有効性として評価されています。
 また、世界に先駆けて開発するところについても、指定した時点においては、国内の第1相試験が終わっておりまして、また、第2相試験について、具体的な計画があったということで、世界に先駆けて日本で申請される見込みが高かったということで指定されております。
 アルツハイマー病のほうは、手元に詳細な資料はないのですが、不可逆的に進行していく疾患であり、また、アルツハイマー病が進行すれば、様々な認知機能の障害とか、個人にとっても、社会的にとっても大きな負担になる疾患であるということで、実際、日本においても重要な病気と認識されていると思いますが、そういった点が対象疾患の重篤性として評価されたのだと思っています。
○花井委員 ありがとうございます。
 この指定基準は法律事項でしたか、省令でしたか。
○医薬品審査管理課長補佐 基本的なところは法律で要件が定められております。
 より細かい具体的なところについては、通知レベルで書き込んでいる形です。
○花井委員 なるほど。
 この委員会として、ほかの先生方の意見も踏まえて「生命に重大な影響がある重篤な疾患」というあたり、または「根治療法がなく症状が継続している疾患」は不治の病と大体分かるのですが、選ばれたものの中で、大体こういう相場観というか、こういうものが選ばれるのだと思って見ていて、インフルエンザとアルツハイマーだけが大丈夫かなと、ちょっと外れた印象があったので、質問しました。
 なので、この定義の在り方自体がこれでいいのかどうかというのは、今後、また何かいろいろなものが出てくる中で、ふさわしいものが選べるかどうかというのは懸念があるので、この委員会でも、先生方の意見を聞いて、もしもうちょっと的確な表現があるのであれば、またそういう組織に検討をお願いすることもあるかなと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 その他、何かあるでしょうか。
 今日は欠席ですが、一応、戸部委員からは、資料2については、話を聞く限り、うまく運用できているのかなという印象を受けるが、申請された品目数と実際に指定された品目数について知りたいとありましたが、今、何かお答えいただけますか。
○医薬品審査管理課長補佐 先駆けあるいは先駆的医薬品の指定については、1年に1回ぐらい募集して、その中で申請のあったものから最終的に指定していく形を取っております。
 最初に指定をしたのが平成27年ですが、そのときには、50品目について申請されて、評価の結果、6品目を指定しております。
 その次は、平成29年になりますが、47品目が申請され、5品目を指定しております。
 それから、平成30年は、医薬品25品目、医療機器等12品目、再生医療等製品13品目が申請され、指定されたのは医薬品6品目、医療機器等2品目、再生医療等製品3品目。
 平成31年は、医薬品40品目、医療機器等15品目、再生医療等製品13品目が申請され、医薬品5品目、医療機器等4品目、再生医療等製品2品目が指定されております。
 令和2年は、申請されたのが医薬品42品目、医療機器等12品目、再生医療等製品12品目で、指定されたのが医薬品3品目、医療機器等3品目、再生医療等製品1品目ということで、比率からいいますと、10件に1件か2件ぐらいの割合ではないかと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そんな感じですね。
 ありがとうございました。
 そのほかは。
○奥田委員 よろしいでしょうか。
○磯部委員長 奥田先生、どうぞ。
○奥田委員 先駆け、先駆的は、制度設計上、優先相談とか事前評価の充実、優先審査ということで、審査期間が短くなることはよく分かりますし、当初からそういうことは理解を得られていると思うのですが、これはパフォーマンスとして、実際に通常の審査を受けたものに比べてどのぐらい短くなっているかというデータを示していただくと、よりこの成果が分かりやすいかなと思ったことが一つ。
 もう一つは、余計な心配かもしれませんが、優先で審査するということは、限られた審査体制の中で、優先されるものに代わって優先されないものもあるわけですから、そういったものの審査体制に新しい審査制度が悪い影響を及ぼしていないかといった観点から御意見をいただければと思いました。
 よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 まず、審査期間の実績ですが、承認された13品目中、12品目で6ヶ月の目標を達成しております。
 それから、これを優先審査することによって、それ以外の医薬品が後回しになるのではないかということですが、確かにPMDAの審査官のリソースは限られていますので、あるものに重点的に力を入れれば、それ以外のものについてはどうしても対応が薄くなることはあるかと思いますが、実際には、PMDAの審査体制全体が拡充されて、審査官も増えて、キャパシティーとして大きくなっておりますので、実際にはその中で吸収されていると思っております。
 実際、通常品目の12か月の審査期間についても、毎年目標を設定しておりますが、今のところずっと達成を続けておりますので、特にほかのものが遅くなったという認識はございません。
○奥田委員 ありがとうございます。
 充実させることで悪い影響が出ないように対応されているということで、了解いたしました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、先駆的医薬品指定制度についての議論は、ここまでとさせていただきます。
 ありがとうございました。
 それでは、資料3に基づきまして、続いて、こちらも医薬品の承認制度に関するものとなりますが、戸部委員をはじめ、委員の先生方から御要望のございました「医薬品の緊急承認制度」について御説明いただくことにします。
 資料3に基づいて、引き続き、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課からお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 引き続きよろしくお願いいたします。
 資料3に沿って説明させていただきます。
 1枚めくっていただければと思います。
 医薬品の緊急承認制度についてですが、こちらは薬機法を改正しまして、今年5月から制度として設けられたものになります。
 その法律の中身ですが、今御覧いただいている記載の真ん中の「改正の概要」の1番を御覧いただけたらと思います。
 「緊急時の薬事承認」ということで、パンデミック等の緊急時において、必要な医薬品を迅速に薬事承認するためにはどうすればいいかといった問題意識がありまして、それに応える制度としてつくられたものです。
 具体的には、マル1「適用対象となる医薬品等の条件」としましては、国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延、その他健康被害の拡大を防止するために、緊急に使用されることが必要な医薬品で、これは今のようなパンデミックがまさに当てはまりますが、それ以外にもバイオテロあるいは原子力事故など、その他の重大な事態も含み得るものとなっております。
 その上で、医薬品について、他に代わる手段がないということ、つまり、既に承認されている医薬品では対応できない、あるいは別の治療法では対応できないといった、代替手段が存在しない場合が適用対象となります。
 マル2「運用の基準」ですが、有効性・安全性の評価については、安全性の確認を前提に、医薬品の有効性が推定されたときに、薬事承認を与えることができます。
 「推定」という言葉がポイントですが、通常の承認は有効性を「確認」と言っておりますが、それよりもより早い推定の段階で承認できるところがポイントになっております。この点は、後ほどもう少し詳しく説明したいと思っております。
 マル3「承認の条件・期限」ですが、そのような形で承認を行いますので、承認に当たっては、その医薬品の適正使用等の確保のために必要な条件を付したり、あるいは承認に短期間の期限がついているということで、具体的には、最大でも2年以内の期限を付します。その上で、1年以内の範囲で延長することが可能であるという期限の設定の仕方となっております。
 マル4「迅速化のための特例措置」ということで、通常であればGMP調査、あるいはワクチンなどであれば国家検定があったり、あるいは容器包装について日本語で書いていないといけないとか、様々な規制があるのですが、こういったことについて、特例的に緩和することができるという規定になっております。
 次のページへ行っていただければと思います。
 政府の様々な戦略文書を記載しておりますが、なぜこの制度が導入されたのかという背景の説明のためにつけさせていただきました。
 一番上に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」という令和3年の閣議決定文書がございます。
 これは、今使われている新型コロナのワクチンは、ファイザーやモデルナとかの海外で開発されたものが入ってきているのですが、実用化に至ったものが国内ではなかなか開発できていない。そういった反省に立ちまして、どのように開発や生産体制を強化していけばいいかといったことをまとめた戦略です。その中で、この緊急事態において、薬事承認を迅速に行うための制度も必要であることが指摘されているということです。
 その下の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太でも同様の趣旨が記載されておりますし、その下の成長戦略でも同様でございます。
 次のページをお願いします。
 先ほど法律の概略を申し上げましたが、もう少し具体的な緊急承認制度の承認審査の考え方について、通知でガイドラインを示しておりますので、その内容を御紹介いたします。
 まず「有効性・安全性の評価」ですが、先ほど申し上げたように、緊急時においては、有効性を推定するために、必要な臨床試験成績に基づいて評価が可能になる。
 そのときに、推定される有効性に対して、安全性が許容可能かどうかを確認する。そういう基本的な立てつけになっています。
 それをもう少し具体的に当てはめるということで「治療薬」と「ワクチン」に分けて記載しております。
 「治療薬」については、探索的な臨床試験で、臨床的意義の認められた評価指標によって一定の有効性が示されている場合は、有効性が推定できると考えております。
 探索的な臨床試験とは何かといいますと、第2相試験は前期と後期で分ける場合が多いのですが、後期の第2相試験までの結果で評価をするという考え方です。
 それから、海外で先行して開発されたものですと、通常は日本人データがあるかないかというところが評価上重要になってくるのですが、例えばパンデミックで想定されるような、ウイルスをターゲットとするような抗体医薬品などの場合は、外来因子であるウイルスをターゲットとしているということで、ここは人種差とかそういったことは比較的小さいのではないかということで、日本人成績は必要でない場合があるという考え方にしております。
 「ワクチン」については、基本的には、健康な方も含めて非常に多くの方に接種するものですので、第3相試験までやっていただくことが必要だと考えております。
 その第3相試験で何を評価するかですが、基本的には発症予防効果とか、その臨床的なエンドポイントで有効性を検証することが原則であると考えております。
 ただ、代替指標、例えば中和抗体価とかの別の指標で予防効果との関連性が明らかになっているとか、そういったことがあれば、中和抗体価を代替指標に用いて評価することも可能な場合があると考えております。
 ただ、第3相試験を実施していただくのですが、通常ですと、例えば半年や1年とか、長期のフォローアップをするのですが、そこまで待っていては感染症が広がってしまうということであれば、途中の中間解析、例えば接種してから2か月までのデータなどで有効性を推定できる場合もあるのではないかという考え方です。
 それから、日本人データにつきましては、こちらも海外の大規模な臨床試験で顕著な成績が得られている場合には、日本国内での臨床試験を改めて実施する必要はない場合があるという考え方です。
 これらは、基本的な考え方としてお示ししておりますが、実際には個々の医薬品、あるいはそのときに置かれたパンデミック等の状況によって、最適な当てはめは多少変わってくるかもしれませんので、一つの基本的な考え方としてお示ししています。
 右側に移っていただきまして、先ほど説明した「緊急性の要件」と「代替性の要件」です。
 緊急性のところは、先ほど申し上げたように、感染症のアウトブレーク(パンデミック)、原子力事故、放射能汚染、バイオテロなどを想定しております。
 代替性のところは、既承認の薬が全くない場合はもちろん当てはまりますが、既承認の薬はあるのだけれども、複数の治療選択肢が必要である場合、例えば既承認の薬が禁忌で使えないとか、あるいは肝臓、腎臓が悪くて使えないといった様々な制約がある場合が一般的にありますので、そういった場合、あるいは重症の人には使えるけれども、軽症者には使えないなど対象者が限られている場合もありますので、既承認薬があっても、複数の選択肢があることに意義がある場合もあると考えております。
 それから、供給が不十分。量が足りないということです。
 今回のパンデミックでも、様々な医療製品が世界的に不足することが起きましたが、どれだけ承認されていても、実際に物が足りないことは考えられますので、そういった意味で、複数の製品が安定的に供給される、特に、国内で製造することができれば、様々な輸出規制などがあっても対応しやすいということで、そういったものも代替性の評価要素になってきます。
 それから、極めて高い有効性・安全性。既承認薬に比べて優越しているという点です。
 それから「期限内の本承認申請の際の取扱い」ということで、先ほど申し上げたとおり、緊急承認の期間を限定しておりますので、その期間が到来すれば、承認としては失効されます。ですので、引き続きその製造販売を続けるためには、原則として、第3相試験を実施していただいて、改めて通常の申請をしていただく必要があるということになりまして、第3相試験を速やかに実施していただくのが原則となります。
 ただ、感染者が急速に減少するなど、第3相試験の実施が現実的に困難である客観的な状況、合理的な状況があれば、その他のリアルワールドデータなどで有効性を確認していくことも検討可能ではないかと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 緊急承認制度も含めて、様々な承認制度の関係性を整理したものになります。
 一番左側が「通常承認」です。
 そこから右2つは、医薬品の性質に応じた平時の承認ということで、これは緊急事態ではなくて、平時において用いられる制度ですが、まず「条件付き承認」は、希少疾病薬あるいは医療上の必要性が特に高いものなどで、第3相試験、検証的な試験を行うための十分な人数が集められないとか、その試験を実施しようとすると非常に長い期間がかかってしまって、その医薬品へのアクセスが極めて遅くなるといった状況において、第3相試験がなくても、それ以外の試験データから有効性・安全性が確認されれば承認するという制度です。
 その1つ右側の「再生医療等製品条件・期限付き承認」は、再生医療等製品は均一な品質のものとして作ることがなかなかできないような場合を想定していますので、こういったものについて、その有効性を試験で検証するのは難しいこともあります。こういった場合には、有効性が推定の段階で承認することができる。ただし、その条件や期限がつくという制度です。
 その右側の2つが緊急時の制度ということで「特例承認」と「緊急承認」がございます。
 「特例承認」は、外国、特に日本と同等以上の水準の薬事制度を持っている先進国において先に使用されている医薬品であれば、一番下にありますGMP調査とか国家検定などの一部の薬事規制を緩和して、迅速に承認ができるというものです。
 ただし、その有効性・安全性については、通常と同様のレベルで確認していく形になっております。
 「緊急承認」については、先ほど御説明したとおりです。
 次のスライドをお願いします。
 参考としてつけておりますが、欧米において、迅速に医薬品の使用を認める制度としてどういうものがあるかということで、アメリカでは緊急使用許可制度、EUAと言っておりますが、これは承認ではなくて、未承認のものでも流通させることができる使用許可ということになっております。
 一方で、右側のEUは、条件付販売承認ということで、これは承認制度の一つですが、様々な条件がつくというものです。
 最後のスライドになります。
 「緊急承認制度の運用状況等について」ということで、これまでの法律の審議の経過などを書かせていただいておりますが、成立の経緯の部分、上の●が5つぐらい並んでいるところですが、まず、3つ目で、5月13日に可決・成立しまして、20日から公布され、その後、適用されております。
 これまでに緊急承認制度として申請されたのは1件ありまして、塩野義製薬の新型コロナ治療薬について、これはもともとこの制度ができる前に通常の申請があったのですが、制度が成立した後に、緊急承認に切り替えて適用が申請されたという形になります。
 こちらについては、6月と7月に2回、薬食審において審議しましたが、現状としては、現時点では有効性が推定されたとは言えないということで、引き続き継続審議という扱いになっております。
 こちらは、今、第3相試験を実施しておりまして、この秋にも結果が出てくると聞いておりますので、その結果を見て、再度審議を再開することを見込んでおります。
 最後に「なお」のところですが、緊急承認制度の周知広報のために、分かりやすいリーフレットを作成中で、8月中に完成予定ということで、時点が古いまま更新されておりませんが、既に完成して、厚労省のホームページで掲載しています。
 御説明は以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明について御意見、御質問があれば、御発言をお願いします。
 森豊先生、どうぞ。
○森豊委員 御説明ありがとうございました。
 1点質問です。最後に御説明があった薬事・食品衛生審議会のゾコーバに関する審議で、今回、緊急承認がかなわなかったということですが、その一方、現在、3相試験が実施されていて、その結果待ちとのこと。
 仮にですが、緊急承認されていた場合は、並行して走っている国内での検証試験への組入れが極めて困難になるのではないかと思います。
 そうなると、いつまでも3相試験の結果が出なくなることが懸念されるわけですが、このような状況が生じることは、今後も、緊急承認という制度を用いる際は、新型コロナウイルス感染症に限ったことではないと思うのです。
 この制度においては、一旦承認された場合、国内での治験はできなくなることが想定されて、緊急承認後に、改めて例えば海外での治験で検証することを想定して承認するのかとか、本承認をする際に、どういう状況を想定されている制度なのか、その点について教えていただければと思います。
○磯部委員長 お願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 ありがとうございます。
 一般には、第2相試験が終わって、その結果が非常によい結果であれば、通常の企業の開発方針としては、引き続き第3相試験に移るのが基本的な開発の進め方だと思います。
 今回の承認の場合もそうでして、第2相試験が終わって、当然、その結果を薬事申請のために取りまとめたり、あるいは申請された後にPMDAで審査をしたり、一定の月日がかかります。
 その間に、実際には第3相試験がスタートしておりまして、実際、この7月20日に薬食審で2回目の審議を行った時点で、第3相試験は大分進んでいるという状況でした。ですので、仮にこの時点で緊急承認がなされたとしても、第3相試験が成り立たなくなる可能性は低かったかと思います。
 なので、一般的には、第2相試験の終了後、それほど間を空けずに第3相試験が走っている場合が多くございますので、そういう意味では、第3相試験の実効性が全くないという可能性は、そんなに多くはないのだと思っております。
 ただ、一方で、感染症などの場合ですと、例えば感染の波が収まって、感染者が非常に少なくなってしまって、そういった形で治験の遂行ができなくなるとかは、ほかの薬でもそういった事情があると聞いておりますので、そういった場合もあると思います。
 あとは、御指摘のように、第3相試験の途中段階から患者のリクルートがうまく進みにくいみたいなことも可能性としてはあるかと思いますので、海外の治験と御指摘をいただきましたが、日本と海外での国際共同治験とか、そういったもので補完してくことも考えられます。
 いずれにしても、通常の申請を改めて行っていただかない限り、緊急承認されたものは時限的に承認が失効しますので、そういう意味では、何らかの形で必要なデータを集めていただくことになると考えていますが、先ほど申し上げたように、第3相試験に実現性が全くないということはそれほどないと思います。
○森豊委員 ありがとうございます。
 ただ、現実には、患者数の問題も当初はありましたけれども、患者数が増えても、諸外国に比べてなかなか組入れが進まなかったりということもありましたので、何かきちんとした臨床試験が実施できる制度設計を考えていかないと、日本からしっかりとしたエビデンスレベルの試験結果が発信できなくなるのではないかということが懸念としてあります。引き続き、具体的に承認された事例が出た後には、それを参考に、この制度の見直し等も含めて考えていただければありがたいと思います。
 以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 私も、森豊委員と全く同じ懸念を緊急承認制度について思ったのですが、承認のタイミングで第3相試験がどの程度まで進んでいるかによると思うのですが、それほど進んでいない段階で承認された場合には、そこから先の第3相試験は、多分、成立しないだろうと思いますので、そういうエビデンスがないまま薬が使われることは十分に想定され得ると思います。
 それから、安全性に関してのことなのですが、第2相までのデータで安全性の確認はできないと思うのですが、安全性は確認ということが要件になっていますが、そういう点でも極めて不十分な制度というか、限界のある制度だろうと思います。
 安全性に関しては、まさに承認後のリスク管理計画が非常に重要になるわけですが、これは以前、森豊委員がこの委員会の場で特例承認の場合についても言及されていたかと記憶しておりますが、リスク管理計画は、通常の承認の薬とは別に、特別なものとして計画する必要があるのだろうと思うのです。
 どうもそのことについて検討されている形跡がないものですから、私は、この委員会として、特例承認制度あるいは緊急承認制度における医薬品リスク管理計画の在り方について、委員会としてこうあるべきという提言みたいなものを何かしてもいいのかなと思った次第です。
 これは質問というよりも、意見というか、提案として出させていただきます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今のに、何か。
 お願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 前半の安全性の確認のところについて説明させていただきたいと思います。
 安全性の確認の意義というか、趣旨なのですが、これは通常の承認の場合でもそうですが、医薬品の効果から期待されるメリットと比較したときに、その副作用のリスクが許容できる場合を安全性が確認されたと言っております。
 緊急承認制度における安全性の確認も同じ趣旨でして、第3相試験を実施していないので、その部分のデータが少ないのは確かです。
 一方で、そのリスク・ベネフィットバランスがプラスに傾いているかどうかについては、第2相試験までの結果、推定ですが、どの程度有効性が期待されるか、それとのバランスにおいて安全性が許容できるかどうか。データが相対的に少ないことによる不確実性のリスクも含めて、リスク・ベネフィットのバランスを確認し、それが許容できるかどうかというところを安全性の確認として評価することになりますので、そう御理解いただければと思っております。
○磯部委員長 どうぞ。
○医薬安全対策課長補佐 続きまして、安全対策課から、審査とも関わりが深いと思いますので、適切なお答えになるかどうかはわかりませんが、市販後の安全性監視計画に関して、佐藤委員から重要な御意見をいただいたと思っております。
 ご指摘の点について、緊急承認だからということで考えられる部分と、それぞれ個々の製品の特性を踏まえながら考えていかないといけない部分の両面があるのかなと思っていまして、特に後者の部分も十分に考慮しながらやっていかないといけないのかなと感じているところでございます。その製品に応じて、どういったリスクがあるのか、それを最小化するためにどうしていくべきなのか、あるいは潜在的なリスクはどのようなものが想定されるのかといったものを一つ一つ見ていくことも大事なのかなと考えているところです。
 また、付け加えになりますが、安全性監視計画の設定とか安全性に関する情報収集、収集した情報の専門家による迅速な評価を実施するといったことは、国会の附帯決議にもなっているところでございますので、我々はそうした認識を持ちながら安全対策にしっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 私は、医薬品リスク管理計画の在り方と申し上げたので、安全性監視計画のみならず、リスク最小化策についても、緊急承認制度あるいは特例承認制度の限界に沿ったものであるべきであると思うのです。
 つまり、安全性については、2相まででは症例数が少ないということもあるのですが、観察の期間が短いということもありますが、長期的な影響が分からないということも非常に大きな問題です。
 そういうことに関して、安全性に関する情報が不十分であることも踏まえて、いかにリスク管理、リスク最小化を行うのかということがとても重要だと思うのです。
 つまり、そういう安全性に関する情報がまだまだ不十分であるという前提に立った上での患者さんへの説明の仕方とか、場合によっては、本当に必要な患者さんに限定した使用をしながら、トリアージではないのですが、そういう形で誰にでも使うのではないというリスク管理の在り方もあり得るわけで、まさに製品と疾患の状況に応じて個別に考えていくべきことではあると思うのです。
 そういうことも含めて、こういうときに薬の使用というか、効果のほうだけが非常に過大に強調されて、前のめりでどんどん使った結果、後で思わぬ事態が起きたということが薬害の教訓としてあるわけですから、そのことを踏まえたリスク管理計画の在り方をきちんと考えるべきであるという意見です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
○医薬品審査管理課長補佐 ありがとうございます。
 実際に緊急承認されたものはまだないので、実績という形では申し上げられませんが、制度上は、承認に際して、様々な承認条件を付すことができます。
 例えば特例承認されたものですと、先ほど御指摘のありました、患者さんに対して、そういった一定程度簡略的な形で承認されたものであることについてきちんと説明して、文書で同意を取るといったことについて、製造販売業者から医療関係者にきちんとそれを周知するような義務もかかっておりますし、添付文書においてもそういった趣旨が明記されておりますので、そういった個々の品目の有効性・安全性に対するデータが相対的に少ないみたいな点も含めまして、必要な承認条件などで適正使用を確保していきたいと思っております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、緊急承認制度に関する議論は、この辺りでということでよろしいですか。
 では、花井さん。
○花井委員 時間がないので、先ほど5ページの表で一覧表を出してもらっています。
 平時の承認に関しては、先ほど議論した先駆的医薬品の一部を除いては、比較的専門家が限定した患者に専門的に対応するものが多いのです。なので、一定程度見切り発車的というか、再生医療等製品は特にそうなのですが、そんなに心配していないわけではないのですが、厳密に対応しているイメージです。
 ところが、緊急時は一気に、つまり、1,000倍、1万倍の患者が使う可能性があるわけですね。そうすると、まれな副作用頻度がぐんと上がる可能性が出てきたりするという問題が生じるのです。だから、左側と右側では、市場規模というよりも、患者数の劇的な違いがあるのです。そこが心配なのです。
 もちろん、国会でもEUAと横並びで議論されたこともあるので、緊急承認品目については、そんなに増えるとは思えないので、緊急承認品目については、特段定期的に見ていくことをこの委員会に提案したいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 これは私もどうしても関心を持たざるを得ない制度であって、今日のやり取りでもありましたが、制度の枠組みで、品目について一つ一つケース・バイ・ケースで判断するというのもそうなのですが、今、花井さんがおっしゃったように、緊急承認というのはどういう場面で使われ、どういう効果を持つのかといえば、大分特例承認などとは違う話だと。それを例えば安全性確認と同じ言葉で言っていいのかということは、直ちに心配になってくるだろうと思うのです。
 ですので、また引き続き機会を持って、議論することにしましょう。
 そうすると、予定の時間まであと5分ということなのですが、資料3についてはここまでということにさせていただきます。
 ありがとうございました。
 それでは、資料4と資料5、定期報告と個別医薬品の海外調査について、医薬・生活衛生局から御説明をお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 こちらの文書は、私ども事務局、厚生科学課から御説明させていただきます。時間がありませんので、非常に手短に説明させていただきたいと思います。
 まず、資料4の定期報告になります。今までと同じような形で構成されておりますが、今回は、緊急安全性情報とか安全性速報、いわゆるイエローレターとかブルーレターといったものにつきましては、前回の第8回の監視委員会、6月以降、新たに発出されておりませんので、定期報告の資料の中には入っておりませんということを御報告させていただきます。
 新しく承認された医薬品が、2ページに並んでおりますが、海外で承認されていなかったもの、特例承認の品目をこちらに記載しておりますが、今回は3品目となっております。詳細は省略させていただきます。
 それから、添付文書の改訂が行われたものも、今年3月から6月にかけてということで、27項目ほど改訂されたものを載せております。
 例えば最初の品目は、国内症例や海外症例が蓄積されたことから、重大な服作用のところを改訂したものになっております。
 そのほかは、少し進めていただきますと、内容が多いものがソマトロピンで出てきておりますが、簡潔に申し上げますと、こちらは、禁忌のところにあります糖尿病の患者さんについて、禁忌設定の経緯、海外の添付文書、各種ガイドライン等を確認の上で、禁忌を外して、十分な注意喚起の上で使用していくという内容になっております。これがこの後、4件続いております。
 以下、添付文書の改訂については省略させていただきたいと思います。
 最後に、定期報告の関係では、外国の措置も書かれております。
 こちらは全部で100品目超載せておりますが、特に安全性の懸念から販売の中止や不承認になった品目はございませんでした。
 また、措置区分が「回収」となったものもかなりありますが、そういったものは、特定のロットや特定の製造所で品質に問題があったものに関連するものが中心となっております。国内への影響はなかったものが多いということで「対応不要」が多いということになっております。
 こちらで定期報告は以上とさせていただきまして、海外調査もまとめて御説明させていただきます。今まで48品目できておりますが、今回、新たに承認された品目ということで、先ほど御説明いたしました3品目を新たに追加させていただいて、51品目という形になっております。
 どんどん増えていくこともありますので、メリハリをつけて調査をするという観点から、今回、右側に色をつけさせていただいておりますが、FDAで正式承認された品目を薄い青色、EMAで正式承認された品目を薄い緑色で塗っております。この調査の目的につきましては、基本的に日本で承認された品目について、海外、FDA、EMAといったところで審査をしていく中で、安全性上の懸念、問題がないかどうかを確認していくものですから、そういった意味で、FDA、EMAで、きちんとデータがそろって審査され、正式承認されたものは、調査完了として調査の対象から外していくことを今後やっていきたいと考えております。
 個別の品目につきましては、今回は御説明を割愛させていただきたいと思います。
 簡単ですが、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何かありますかと言うと、もう時間がないので、こちらで何かあればですが、こういうことでしたということで、引き続き、次回以降でお願いしようと思いますが、今回、注目すべきポイントとかは、今、特にということがなければ、なかったということでよろしくお願いします。
 本来、今日、これであと10分ぐらい残るはずで、自由討議をしようと思っていたのですが、一瞬資料共有をやめていただけますか。事務局、お願いします。
 第1期でやってきて2年間、この委員でやるのは最後ということになります。
 法制度的には、一遍に全員首とかもあり得るので、このままこのメンバーでやるのは、必ず次回があるわけではございません。
 そこで、何かコメントがあれば、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思っています。
 すみません。もう6時を過ぎた。あと10分ぐらいお付き合いいただければと思います。
 何かこれまでの感想、コメント、今後の宿題と思ったことを御発言いただきたいと思うのですが。
 森豊先生が挙げられてございます。お願いします。
○森豊委員 ちょうどこの委員会が発足して2年たったわけですが、発足時から新型コロナウイルス感染症の流行で、皆さんとほとんど直接お会いする機会がなくて、ウェブでの委員会となってしまいました。
 ただ、この間、新型コロナウイルス感染症に対する医薬品とかワクチンの開発が急速に進んで、思いのほかという状況かもしれないのですが、薬事制度に関しても、いろいろと変化もあって、この委員会でも、様々な観点から取り上げられましたことが大きな印象として残っているところです。
 そうした中でも、本日、参考資料6に挙げていただきましたように、この委員会で新型コロナワクチンの安全性評価に関する意見書を取りまとめて発出できたことは、今後の委員会の活動を考えたときに、大きな意義があったのではないかと思っております。
 また、後発医薬品等の製造管理や品質管理の問題等も生じて、今後も、こうした様々な課題に対して、この委員会が行政に対して適正な監視の役割を果たせるような活動をぜひ継続していただきたいと考えておりまして、また、その点が非常に重要ではないかと思っています。
 私からのこの2年間の感想としては、以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 本当に貴重な御意見で、意見を出しっ放しにしないで、またきちんと生かし続けていきたいと私も思っています。
 ほかに何かいかがでしょう。
 今日御発言がないのは内田先生、伊豆津先生あたり。
 内田先生、何かございますか。
○内田委員 私も今日、また非常に勉強させていただきました。
 いろいろな制度が混在しておりますので、我々でもこうやってレクチャーを受ける必要があるとなると、国民にはなかなか分からないのではないかというところがあると思いますので、そういったところの発信を分かりやすくしていくところが今後、重きになるかなと思っております。
 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、伊豆津先生、どうぞ。
○伊豆津委員 私も先生方と全く同じことを考えておりまして、特に今回の緊急承認のときに、その有効性の推定は、実際にどういうところで見ていくか、その基になっている分であったりということで、私たち自身も改めて関係をいろいろと見直すことをさせていただきました。できるだけ広く、理解を得ながらということができるように、行政とやっていくことが必要だと考えております。
 ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 この調子で当てていってしまおうかということで、次に、奥田先生、いかがですか。何かコメントがあれば。
○奥田委員 ありがとうございます。
 先生方がおっしゃったとおりで、この2年間、非常にいろいろな制度の改革が進む中での委員会という特殊な状況だったかもしれないなと思いながら、その中でいろいろなことを学ばせていただいたかなと思います。
 承認制度もそうですし、今後、この前から気になっているのは、医薬品のOTC化みたいなことの議論は、なかなか円滑に進んでいないような印象を受けている中で、そういったスイッチ化の制度に関する議論なども必要なのではないかと思いながら考えているところです。また機会があれば、提案させていただければと思っております。
 以上です。
 ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 確かにそう思います。
 どうしましょう。
 では、花井さんも何か。
○花井委員 いいえ。先生方と一緒に、この委員会はどういう仕事があるかというのが一定程度分かったぐらいかなと思っています。
 私としては、今、海外調査をして、日本の制度をよりよくするという中長期的なものを地道に積み重ねていく仕事と、先ほど意見を言いましたが、緊急承認医薬品については、まさに屋上屋で、ビジランスのビジランスとして、そこはちゃんと注視していくという2つの仕事を並行して進めていけば、何らかの形で医薬品行政に寄与できる委員会になるのではないかと考えています。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 佐藤さん。
○佐藤委員 本当に先生方の言われたとおりで、私も同感です。
 ワクチンの安全性評価に関する意見をまとめられたことも一つの意義があったと思っています。
 常々思っているのは、こちらからの質問と厚労省からの回答でほぼ2時間が終わってしまって、委員の先生方同士でのディスカッションがなかなかできないというのがとても残念なところで、本当はもっと深められるのではないかと思うことがたくさんあるということです。
 この問題は、一口に安全性と言っても、制度のこともあれば、品質のこともあれば、非常に幅が広くて、今後、どこに焦点を絞っていくのが最もいいのかというあたりも、すごく考えさせられるところだと思っております。
 それから、この委員会の限界をいつも感じているのですが、私も含めて、先生方はそれぞれ忙しい中で時間を割いていることもあるのですが、最初の会のときに、私は質問させていただいたのですが、例えば委員が自ら何か調査をするときに、旅費も出ないとか、その辺りもあるので、もう少し委員会として独自の調査なりが可能なら、必要な場合にはできるような予算措置もぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 泉さん、お願いします。
○泉委員 去年12月に先生方と一緒に意見書を出しました。
 その内容は、コロナに関してではありますが、国のこれからのパンデミックに対する考え方の根幹だと思いますので、ぜひ厚生労働省が進めていく試案を聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 貴重な御意見をいただきました。それをぜひ次期の委員会に生かしていただきたいと思っています。
 次回の委員会については、日程を調整の上で、改めて御連絡することになります。
 あと、事務局から何かありますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 委員長からもいただきましたが、次回の委員会につきましては、日程を調整の上、改めて御連絡いたします。
 また、議題につきましても、別途委員の皆様からの御意見を基に御相談させていただきます。
 以上です。
○磯部委員長 本当は自由に議論する場もぜひつくりたいですし、何か委員の方々から問題意識を発表するとか、しゃべっていただくみたいなことを入れたりしたい、話題を意識的に増やしていくみたいなこともしてみてもいいかなと急に思いつきましたが、次期の活動をまた御一緒できればどうぞよろしくということで、本日の第9回の委員会は終了したいと思います。
 長時間にわたり、ありがとうございました。
 延長してしまい、申し訳ありません。
 お疲れさまでした。
 ありがとうございます。

 

 

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