外務省・新着情報

令和4年10月13日
会談を前に、南アフリカのパンドール国際関係・協力大臣と記念撮影を行う林外務大臣
日・南アフリカ外相会談が行われている様子

 10月13日、午後6時15分から約1時間40分間、林芳正外務大臣は、訪日中のナレディ・パンドール南アフリカ共和国国際関係・協力大臣(Honourable Dr. Naledi PANDOR, Minister of International Relations and Cooperation of the Republic of South Africa)と会談及びワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭
     林大臣から、約3年ぶりとなるパンドール大臣の訪日を歓迎し、G20メンバー国であり、約160社とアフリカで最も日本企業が進出している南アフリカと、9年振りとなる日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラムを開催できたことは、非常に有意義であり喜ばしい、ロシアによるウクライナ侵略や、北朝鮮によるかつてない頻度の弾道ミサイル発射など、国際社会は多くの課題を抱え、不確実性を増している、TICAD8のフォローアップを通じ、南アフリカとの協力を深化させたいと述べました。また、林大臣から、故安倍晋三国葬儀にリンディウェ・ノンセバ・シスル南アフリカ共和国観光大臣(Hon. Ms. Lindiwe Nonceba SISULU, Minister of Tourism of the Republic of South Africa)が参列し、弔意をいただいたことに改めて謝意を伝えました。
     これに対し、パンドール大臣から、コロナ禍で延期になっていた訪日が実現できて嬉しい、TICAD8に続き、二国間の関係を着実に進展させる機会としたいと述べました。パンドール大臣からは、改めて安倍元総理大臣に対して弔意が示されました。
  2. 二国間関係
     両大臣は、「日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラム」(参考)で実施された各セッションにおいて、両国の間で有意義な議論が行われたことを確認しました。
  • (1)貿易・投資・エネルギー
     両大臣は、TICAD8で日本が発表した「アフリカ・グリーン成長イニシアティブ」の下、具体的協力が進んでいること、今後も再生可能エネルギーや水素等の分野における両国の企業間の協力を更に後押ししていくことを確認しました。
     また、林大臣は、南アフリカと持続可能な鉱物資源開発に向けた協力を進めつつ、日本企業による投資を後押ししていきたいと述べ、パンドール大臣からは、日本企業の投資を誘致するため、南アフリカのビジネス環境整備をさらに進めていきたいと述べました。
  • (2)科学技術
     パンドール大臣は、科学技術大臣を務めた経験に触れつつ、日本とは、科学技術分野において多くの協力が進められている、こうした協力を更に拡大したい旨述べました。
     その上で、両大臣は、グリーン分野で進行している両国の共同研究について確認し、引き続き両国で連携していくことを確認しました。
  • (3)人材育成
     林大臣は、8月のTICAD8で表明したように、日本が、アフリカと「共に成長するパートナー」として、「人」に着目したアプローチでアフリカ自身が目指す強靱な社会の実現を支援していく旨述べました。
     パンドール大臣は、ABEイニシアティブなど日本からの南アフリカに対する支援に感謝している旨を述べました。
     両大臣は、「人」こそが経済成長の基盤となるとして、両国で人材育成分野での協力をさらに前進させることを確認しました。
  1. 国際情勢・地域情勢
  • (1)林大臣は、ウクライナ国内における「住民投票」と称する行為やロシアによるこれらの地域の「編入」と称する行為、10日以降のウクライナ各地への攻撃は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、決して認められてはならない旨述べました。パンドール大臣は、ウクライナ情勢がアフリカにおける食料危機やエネルギー危機に繋がらないよう協力していくことが重要と述べました。その上で、両大臣は紛争の早期解決に向けて連携することで一致しました。
  • (2)林大臣は、北朝鮮について、4日に我が国上空を越える弾道ミサイルを発射するなど、9月末からの短期間で7回という極めて高い頻度で弾道ミサイルの発射を行っていることは、日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦である旨説明したところ、パンドール大臣から、状況を非常に懸念していると述べました。その上で、両大臣は核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応で連携していくことで一致しました。
  • (3)林大臣は、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに対する強い反対を表明しました。
  • (4)林大臣は、透明かつ公正な開発金融の重要性に関し、全ての債権国が国際ルール・スタンダードを遵守する必要性について述べ、両大臣はこうした問題の重要性を確認し、今後も議論していくことで一致しました。
  • (5)この他、両大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」や軍縮・不拡散、安保理改革を含む国連の機能強化等についても意見交換を行い、その上で、両国の連携を強化していくことを確認しました。
(参考)日・南ア・パートナーシップ・フォーラム

 1998年4月の日本・南アフリカ両首脳間の合意により設置された政府間協議。両国外相レベルが参加する政治セッションの他、貿易投資、開発、科学技術などテーマ別に実務セッションを実施して、二国間協力関係強化のために議論を行う。


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