外務省・新着情報

令和4年10月9日
外相会談を前に、サイフディン・マレーシア外務大臣と記念撮影を行う林外務大臣
外相会談終了後、共同記者発表を行う林外務大臣とサイフディン・マレーシア外務大臣

 10月9日、マレーシア訪問中の林芳正外務大臣は、サイフディン・アブドゥッラー・マレーシア外務大臣(H.E. Dato’ Sri Saifuddin bin Abdullah, Minister of Foreign Affairs, Malaysia)と外相会談を、また、アズミン・アリ上級大臣兼国際貿易産業大臣(Y.B. Dato’ Seri Mohamed Azmin Ali, Senior Minister / Minister of International Trade and Industry)との会談等を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 日マレーシア外相会談(現地時間9日午後3時(日本時間同日午後4時)から約1時間45分)

サイフディン大臣と座って懇談を行う林外務大臣の様子
日・マレーシア外相会談の全体会合の様子
  • (1)冒頭
     サイフディン大臣から、外交関係開設65周年及び東方政策40周年の節目の年における林大臣の訪問を歓迎するとした上で、日本との関係を極めて重視しており、より高みに引き上げたい旨述べました。これに対して、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略や、北朝鮮による我が国上空を越える弾道ミサイルの発射等に言及しつつ、法に基づく国際秩序の重要性が高まる中、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、戦略的パートナーであるマレーシアとの連携を更に進めていきたい旨を述べました。
  • (2)二国間関係
    ア 林大臣から、具体的な安全保障協力の議論を深めていくことの重要性、第三国研修を含む海上保安、経済安全保障といった分野での連携や、エネルギーや気候変動を含む経済面の諸課題について協力を深めたい旨述べ、両大臣は、両国関係を包括的に発展させることで一致しました。
    イ また、サイフディン大臣から、マレーシア政府及び国民は日本の水際対策の更なる緩和を大歓迎している旨述べ、両大臣は、この機会も活用して、青年も含む人的交流を通じた二国間の相互理解を更に深めていくことを確認しました。
    ウ さらに、両大臣は、東方政策はマレーシアの発展と良好な二国間関係の基礎であるとの認識を共有した上で、引き続き、東方政策について協力していくことで一致しました。また、林大臣から、筑波大学分校の早期開校に向けた引き続きの協力を要請し、サイフディン外相から、同分校が果たす役割に対し期待が述べられたほか、早期開校のため、引き続き協力したい旨発言がありました。
  • (3)地域情勢及び国際場裏における協力
    ア 林大臣から、ウクライナ情勢について、ウクライナ国内地域における「住民投票」やロシアによるこれらの地域の「編入」と称する行為を含め、ロシアによるウクライナ侵略は国際法に違反する行為であり、決して認めてはならない旨述べ、引き続き、ウクライナ情勢への対応で連携していくことを確認しました。
    イ 林大臣から、北朝鮮について、4日に我が国上空を越える弾道ミサイルを発射し、本9日にも弾道ミサイルを発射するなど、9月末からの短期間で7回という極めて高い頻度で弾道ミサイルの発射を行っていることは、日本及び地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦である旨説明し、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応で連携していくことで一致しました。
    ウ 林大臣から、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに対する強い反対を表明し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化や経済的威圧への対応の重要性を説明しました。両者は、こうした課題について意見交換を行いました。
    エ 林大臣から、マレーシアが国内手続を完了し、CPTPPの締約国となることを歓迎する旨述べ、両大臣は、地域の自由で公正な経済秩序の礎であるCPTPP協定のハイスタンダードの維持に向けて共に取り組んでいくことで一致しました。
    オ ミャンマー情勢、軍縮・不拡散、安保理改革を含む国連の機能強化といった諸課題についても両国の連携を強化していくことを確認しました。
    カ さらに、両大臣は、来年の日ASEAN友好協力50周年を見据え、コロナ禍を克服しつつある今、人的交流を含めた顔の見える二国間関係を再活性化し、両国関係を一層発展させていくことを確認しました。

2 アズミン・アリ上級大臣兼国際貿易産業大臣との会談(現地時間9日午前11時50分(日本時間同日午後0時50分)から約40分間)

会談を前に、アズミン・アリ上級大臣兼国際貿易産業大臣と記念撮影を行う林外務大臣
林外務大臣とアズミン・アリ上級大臣兼国際貿易産業大臣が座って懇談を行っている様子

 冒頭、林大臣から、アズミン・アリ大臣による故安倍晋三国葬儀への参列に謝意を表明しました。また、両大臣は、CPTPPやIPEFといった自由貿易、LNGを含むエネルギーの安定供給、ビジネスを含む人的交流等につき意見交換を行いました。さらに、本年40周年を迎える東方政策については、林大臣から、本年8月の東方政策40周年記念ビジネスセミナー主催に際するアズミン・アリ大臣の尽力に対し感謝の意を表明した上で、両大臣は、東方政策の更なる発展に向けて協力していくことを確認しました。

3 マレーシア日本国際工科院(MJIIT)視察

アブドル・ラティ・マレーシア工科大学(UTM)副学長代理から説明を受ける林外務大臣
マレーシア日本国際工科院(MJIIT)の研究室を視察する林外務大臣の様子

 林大臣は、マレーシア日本国際工科院(MJIIT)を訪問し、日本政府の円借款等を活用して設立された同工科院の視察を行いました。アブドル・ラティ・マレーシア工科大学(UTM)副学長代理等から、日本式工学教育を行う研究室の説明を受けた他、日本政府による支援への深甚なる謝意が表明されました。

[参考]マレーシア日本国際工科院(MJIIT)
 2011年に設立された日本式の工学教育を提供する大学。日本政府は、円借款の供与や日本人教員派遣等を通じて協力している。同工科院は、マレーシアの国立大学であるマレーシア工科大学内に設置されている。


4 その他

クアラルンプール日本人墓地において、献花を行っている林外務大臣の様子
元日本留学生との意見交換を行っている林外務大臣

 また、林大臣は、クアラルンプール日本人墓地への献花や、元日本留学生との意見交換を行いました。さらに、林大臣は、9日夜に現地の日系企業関係者と懇談を行い、日マレーシア経済関係や現地のビジネス環境等について意見交換を行う予定です。


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