外務省・新着情報

令和4年10月8日

 10月8日、シンガポール訪問中の林芳正外務大臣は、リー・シェンロン・シンガポール共和国首相(H.E. Mr. Lee Hsien Loong, Prime Minister of the Republic of Singapore)への表敬を実施し、また、ビビアン・バラクリシュナン・シンガポール共和国外務大臣(H.E. Dr. Vivian Balakrishnan, Minister for Foreign Affairs of the Republic of Singapore)との間でワーキング・ランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 リー・シェンロン・シンガポール首相表敬(バラクリシュナン外相同席)(現地時間8日午前11時 (日本時間正午)から約45分間))

表敬を前に、リー・シェンロン首相と握手する林外務大臣
林外務大臣が、リー・シェンロン首相と懇談している様子
  • (1)二国間関係
     冒頭、リー首相から、林大臣のシンガポール訪問を歓迎しつつ、両国関係が着実に進展していることは大変喜ばしい旨発言がありました。これに対し、林大臣から、本年は、シンガポールとの間で首脳間及び外相間の相互往来が既に実現しており、これは緊密な二国間関係の証左であると述べました。また、林大臣から、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、シンガポールとの協力を進めていきたい旨述べました。さらに、林大臣は、今回の日本の水際措置の緩和について紹介し、リー首相から、シンガポール人は日本訪問を楽しみにしており、大歓迎する旨述べました。両者は、来年の日ASEAN友好協力50周年を見据え、人的交流を含め両国で協力していくことを確認しました。
  • (2)地域情勢
    ア 林大臣は、ウクライナ国内における「住民投票」やロシアによるこれらの地域の「編入」と称する行為は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、決して認めてはならない旨述べ、両者はこの認識を共有し、これを強く非難しました。
    イ 林大臣は、北朝鮮について、4日に我が国上空を越える弾道ミサイルを発射し、6日も弾道ミサイルを発射するなど、9月末からの短期間で6回という極めて高い頻度で弾道ミサイルの発射を行っていることは、日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦である旨説明し、両者は核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応で連携していくことで一致しました。
    ウ 林大臣から、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに対する強い反対を表明し、両者は、こうした課題について意見交換を行いました。
    エ この他、両者は、ミャンマー情勢、CPTPPのハイスタンダードの維持、軍縮・不拡散、安保理改革を含む国連の機能強化といった諸課題についても両国の連携を強化していくことを確認しました。

2 日・シンガポール外相ワーキング・ランチ(現地時間8日午後0時10分(日本時間午後1時10 分)から約95分間)

ワーキングランチを前にバラクリシュナン外相と握手する林外務大臣
林外務大臣が、食事の席でバラクリシュナン外相と懇談している様子
  • (1)総論
     バラクリシュナン外相から、林大臣の外務大臣としての初めてのシンガポール訪問を歓迎する、地域における重要なパートナーである日本との関係を強化していきたい旨述べました。これに対して、林大臣から、自らのこれまでの日・シンガポール・シンポジウムへの参加についても言及しつつ、シンガポールは重要なパートナーであり、今後も、地域協力や経済連携を進めていきたい旨述べました。さらに、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮、東シナ海・南シナ海情勢について触れながら、法に基づく国際秩序の重要性が高まる中、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、シンガポールとの連携を更に進めていきたい旨述べました。
  • (2)二国間関係
    ア 両大臣は、地域の安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、防衛装備品・技術移転協定の早期締結を含む安全保障協力を強化していくことを確認しました。
    イ 林大臣は、経済安全保障に関し、地域のサプライチェーンの強靱化に向けて、日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム(JSPP21)を通じた第三国研修の実施が予定されていることを歓迎する旨述べました。
    ウ 林大臣から、日本の水際対策の更なる緩和について説明し、両大臣は、人的交流を通じた二国間の相互理解を更に深めていくことを確認しました。
  • (3)地域情勢及び国際場裡における協力
     両大臣は、リー首相表敬の際のやりとりも踏まえつつ、ロシアによるウクライナ侵略、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応、東シナ海・南シナ海情勢、CPTPPのハイスタンダードの維持といった地域及び国際社会における諸課題についても、意見交換を行いました。

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