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西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年9月30日(金)11:33~11:59  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は私のほうから3点冒頭に申し上げたいと思っております。
 1つは仙台市の再商品化計画の認定につきましてであります。本日、仙台市に対しまして、プラスチック資源循環法第33条に基づく再商品化計画の第1号の認定を行いましたので、御報告させていただきます。この再商品化計画は、市区町村が近隣のリサイクル事業者と連携して計画を作成することで、これまで市区町村とリサイクル事業者が別々に行っていた選別などを一体化できる仕組みであります。これによって地域に根差した効率的なリサイクルが可能となります。温暖化対策にも資するものであると承知しております。仙台市はこれまでもプラスチックの資源循環に率先して取り組んでいただいておりまして、今回の第1号認定となりました。こうした仙台市の取組を大変心強く思っているところであります。また、今般の再商品化計画の認定の外の取組でありますけれども、近年、市区町村と飲料メーカーが協定に基づいて、ペットボトルの水平リサイクルを進める動きが広まっております。このペットボトルは、仙台市の工場において、市内で回収したペットボトルを100%利用して製造したものであります。皆さんの手元のほうにありますけれども、これがその現物であります。今後も仙台市で、さらに全国各地でプラスチックの資源循環の取組が拡大していくことを大いに期待しているところであります。
 次に食品ロス削減月間及び食品ロス削減全国大会の開催についてであります。10月は皆様ご承知のように食品ロス削減月間であります。関係省庁、自治体と連携して食品ロス削減の普及啓発に集中的に取り組んでまいります。今年は、初めて消費者庁と合同で食品ロス削減を推進する取組を募集いたしました。食品ロス削減の日である10月30日にさいたま市で行われます「食品ロス削減全国大会」の中で優れた取組を表彰する予定であります。
また、政府広報と連携して、スマートニュース及びヤフーへのバナー広告を展開するとともに、自治体向けの取組マニュアルの最新版を公開して普及啓発のコンテンツの充実を図ってまいります。食品ロス発生量は事業者や国民の皆さんのご努力のおかげで5年連続で減少しております。2020年度は約522万トンとなりました。2030年度までに2000年度比で食品ロス発生量を半減するという目標の達成、これにとどまらず、更なる削減に向けて食品ロス削減月間を契機に御協力をお願いしたいと考えております。
 3点目は佐渡市への出張であります。10月1日、2日に佐渡市へ出張してまいります。今回の出張目的は、離島地域において地域脱炭素の取組を進める上での課題を把握すること、また、生物多様性条約のCOP15に向けまして、希少種保護の取組状況を視察することであります。本年の4月に、第一弾の脱炭素先行地域として選定されました佐渡市の関連施設であります佐渡市役所本庁舎やトキの飼育繁殖に取り組む佐渡トキ保護センターなどの視察を行います。また、渡辺佐渡市長にもお会いして、脱炭素先行地域やトキの野生復帰の取組状況についての意見交換を行う予定でもあります。地元の皆様の声をしっかりお聞きし、そして受け止めて、地域脱炭素やトキの共生に向けた今後の取組に生かしてまいりたいと考えております。冒頭は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、産経新聞の西村と申します。幹事社から質問1問あります。今、冒頭であったプラスチック資源循環法に関連しますけれども、この法律が4月に施行されて、約半年経過しましたが、その間、一部のコンビニとかでもプラスチック製フォークの提供を原則禁止するなど、企業でプラ削減の動きが出ています。こうした企業の取組をどう評価するか、また、プラ法施行後の成果、見えてきた課題について大臣の見解をお聞かせいただければと思います。
(大臣)プラスチック資源循環法におきましては、ストローやスプーンなどの12製品を対象として、代替素材への転換などの使用の合理化の取組をコンビニや宿泊施設などの提供事業者に求めているものであります。先般のインドネシアで行われたG20の環境大臣会合でも、宿泊施設において歯ブラシを含めた様々なものが木製であったり、そういった代替のものでやっておりましたけれども、こういったものを我が国として参考にしていかなければならないだろうと思っております。こうした資源循環法を受けましてですね、コンビニ等では木製またはバイオマスプラスチックを使用したスプーンやフォークなどへの切替えといった取組が進んできているものと承知しております。例えば、10月からはプラスチック製フォークの提供を原則禁止するというコンビニも出てきておりまして、そういったコンビニでは今年の3月から実証実験を行って、消費者の皆様からの好意的な反応も踏まえて、今回の取組を開始したというふうに承知しております。このように事業者の創意工夫、そして消費者の方の御理解によって取組が進んでいくということは大変喜ばしいことであろうと考えております。一方で、まだどういった取組を行うべきか悩んでいる事業者の皆さんもたくさんいらっしゃいます。環境省としては、こういった好事例の展開を含めて、より多くの事業者の皆様が、取組が進んで、しっかりやっていけるようにサポートしてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)共同通信の出崎です。再商品化計画の関連で1点お伺いしたいのですが、こうした取組の全国波及に向けた大臣の意気込みと、また、省として市町村をどのように支援していくのか、お聞かせください。
(大臣)今回、仙台市が第1号になりましたけれども、プラスチックの資源の分別収集やリサイクルに要する経費への財政措置を求める市区町村の声もございます。今年度からこうした経費につきましても特別交付税措置を講じて支援してまいりたいというふうに考えています。さらに市区町村モデル事業の公募を行いまして、16件の事業を現在採択したところであります。環境省としては、こうしたモデル事業の実施結果を公表して得られた知見の横展開をすることによって、プラスチック資源の分別収集、そしてリサイクルに積極的に取り組む自治体の取組、これをしっかりと引き続き支援してまいりたいと思っております。
 
(記者)新潟日報の渡辺と申します。よろしくお願いします。冒頭発言にあった佐渡への出張についてお伺いします。先ほど脱炭素先行地域の課題把握であったり、トキの野生復帰に向けた取組を視察したいという話があったと思うのですが、改めて佐渡市に期待するところなどがあれば教えてください。また、世界遺産登録を目指す佐渡金山の関連施設も視察される予定になっていますが、狙いといいますか、どういったところに注目して視察したいかというのが何かあれば教えてください。お願いします。
(大臣)まず冒頭申し上げましたように、今回の出張においては、離島における地域脱炭素の取組を進めていく上での課題といったものを把握してまいりたいと考えています。またCOP15に向けて、希少種であるトキの飼育繁殖に関する取組状況に関しても視察したいと考えております。佐渡市においては、これまでの経験を基にして、本州におけるトキと共生する地域づくりを進めておりますので、これに向けてこういった知見や経験をいかして御協力いただきたいと考えております。また地域脱炭素のトップランナーとして、着実に取組を更に進めていただくと同時に、離島特有のエネルギーの災害脆弱性、といったものを踏まえた離島における脱炭素のモデルとなっていただくことを強く期待しているところでございます。また金山については、昨日、佐渡金山の推薦書暫定版がユネスコに提出されたと承知しております。佐渡金山の世界遺産の登録へ向けては、関係自治体とも協力しつつ、まさに政府一体となって全力で取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、そういった視察とさせていただきたいと思っています。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。台風14号と台風15号での災害廃棄物対応について伺いたいのですけれども、現段階でどのくらいの量が出ているのか把握されている数字があれば伺いたいです。特に15号では静岡県内で被害が甚大になっていますので、そういったところで、環境省としては地元自治体とどう連携して対応を取っているかを教えてください。
(大臣)まず、一連の台風で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。現時点において、災害廃棄物の発生量というのはまだ各自治体から詳細な数字が来ておりませんので、現時点において発生量を申し上げることが現状困難ではありますけれども、台風の被害が大きかった自治体では、通常の収集体制を大幅に超える廃棄物が発生していると承知しております。特に浸水被害の激しかった静岡市の清水区においては、自治会や町内会ごとに災害廃棄物の集積所というものを設けて、順次収集対応していると聞いております。しかしながら、一部の集積所が満杯となって、災害廃棄物が道端に積まれている箇所もあると聞いておりますので、静岡市においては、現在の状況の改善に向けて収集運搬体制の拡充や、仮置場開設に向けて作業を進めていると承知しております。環境省とすれば、9月26日から、静岡県内の被災自治体に職員延べ11名派遣して、災害廃棄物の収集や仮置場設置等に関する助言等の支援を行っているところであります。静岡市には当面の間、職員を常駐させて継続して支援を続けていく考えであります。
(記者)ありがとうございます。あと、明日から10月ということで、今月1日にクマの被害対策に関する関係省庁連絡会議というのが開かれていますけれども、今年6月がクマによる人身被害が直近5年で最多ということだったんですが、例年10月にクマの出没が多くなるということで、注意喚起やまたクマ出没に対応する体制の構築など、進展があれば伺わせてください。
(大臣)今御指摘あったように、近年クマ類の市街地等への出没や人身事故というのが頻発してきつつあります。特に、今御指摘のあった10月のみならず春と秋にクマが市街地へ出没するということが多く発生しております。クマの出没を避けるために、特に山林近くにお住まいの方においては、1つは生ごみや果実などクマを引きつけるような物の管理・除去といったものをしっかりやっていただきたいと思っておりますし、もう1つが、クマが身を隠すところがないと警戒して出てこないというのもございますので、林の周辺の下草や灌木を切り払って見通しのいい状況にすることなどをやっていただくと、クマの出没が抑えられるのではないかということで、そういったことを推奨しているところでございます。また、登山などで山に入られる方につきましては、まず単独行動を避けていただきたい。そして鈴など音の鳴るものを携行していただきたい。そして悪天候や夕暮れ時の視界不良のときは注意するなど、十分に警戒していただくようにお願いしているところでございます。環境省としてはですね、クマ類の出没に対応するため、今年度も6道県を対象に出没時の体制構築や専門人材の育成等を支援するモデル事業を開始しているところでございまして、こういった事業の成果を普及することによって、各自治体のクマ類の出没対応の強化を推進してまいりたいと考えています。
(記者)最後に1点なんですけれども、このところ閣議後会見の場で発表が相次いでいた二国間クレジット制度(JCM)なんですが、13日ジョージアと署名して22か国がパートナー国になっていると思うんですけど、この温室効果ガスの削減量と吸収量について、目標としては30年度で1億トンというふうになっていますが、この22か国のJCMでどのくらいのCO2の削減を見込んでいるのか、数字等あれば伺わせてください。
(大臣)JCMに関しましては御指摘のように、昨年決定した「地球温暖化対策計画」において2030年までの累積で1億トンのCO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保、これを目標としております。これまでに22か国で223件のJCM事業を締結しておりますけれど、この部分においては2030年度までに累積で約2,000万トンCO2を見込んでおります。これからもJCM締結国は増えますし、既に締結した国においても、それぞれのプロジェクトが更に拡大したり増えたりしていく部分がございますので、こういったものを含めますとまだ内容が決まっておりませんので、削減量の数字そのものを今の段階で見通すことはできませんが、さらにですね、目標達成に向けて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。プラスチックの関係にまた戻るのですが、プラスチックごみの関係ですね。今回製品プラスチックということですが、大分以前から義務化されている容器包装プラスチックのほうの自治体の取組状況についてなんですけれど、まだ全国で3分の1ぐらいの自治体は容器包装プラスチックの回収を行っていないという状況だそうですけれども、量としては当然製品プラより容器包装プラのほうが多いので、いわばそういった本丸とも言うべき容器包装プラスチックの回収をより進めていくために、国としては今回の取組を契機にですね、どういった取組を強化していくのかお考えを教えてください。
(大臣)先ほど申し上げたように、プラスチック資源循環促進法を基にしてこういったものを含めてリサイクルや、代替素材への転換といったものをしっかり進めてまいりますが、こういった取組を進めることによって一人一人、また企業一社一社において、そういった意識が向上することによって、この容器プラスチックのみならず包装プラスチックに関しても取組状況が進んでいくものと承知しております。
 
(記者)電気新聞の湯川です。今週宮城県の村井知事が森林区域における再エネ開発に課税する方針を示されたのですけど、再エネ普及にブレーキかどうか分からないのですが、改めて大臣の御所見をいただければと思います。
(大臣)9月28日に宮城県議会において村井知事が、新たに森林を開発して再エネ施設を設置する事業者に課税をして、森林以外の適地に誘導する方法を検討している、そういった旨の発言があったことは承知しております。まだ詳しい状況が入っておりませんし、今後宮城県は審議会を立ち上げて、その中で議論されると聞いておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。環境省としては、再エネの最大限の導入を進めるためには、1つは環境に適正に配慮するということ、そしてもう1つは地域における合意形成というものを丁寧に行っていくこと、こういったことが重要だというふうに認識しておりますので、地球温暖化対策法に基づく促進区域の活用などによって、地域共生型の再エネといったものをしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。
 
(記者)NHKの安藤です。冒頭もありました食品ロスの関連でお伺いしたいのですが、今、ネット上で大変話題になっているんですけども、飲食チェーン店で人気ゲームとコラボして、そのグッズ目当てに大量に頼んで大量に食べ残しをする客がいたというツイートが大変話題になっているんですけれども、食品ロスの観点からこうした行為、またそういうビジネスについて大臣の御所感をお伺いできますでしょうか。
(大臣)そういった取組というのは今御指摘いただいたので、私もしっかり状況を把握してまいりたいというふうに思っておりますが、1つは経済活動としてやられていることだと思いますが、やっぱり意識として、先ほどからの関連でもあるんですが、一人一人、そして一社一社の皆さんが、こういった食品ロス、環境といったものに対する意識を向上させていただいて、それを基に行動していただくように、環境省としては是非お願いすると同時に、そういった活動・意識の高まりを期待しているところであります。
 
(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナル社の清水です。今日の紙を配っていただいたプラスチック資源循環法、伺いたいのは大臣として今後どう考えるかということですけども、プラスチックのみならず、他の商品というか製品というか、例えば小型家電とか家電製品とか、自動車とか、こういうものについて、資源循環、時代の要請である資源循環、都市鉱山という話もありますし、そういうことからやっぱり環境省は「循環経済法」、「資源循環法」という総合的な、今あるような個別の対応策じゃなくて、総合的な「資源循環法」というものを、これはもう審議会でも指摘されていたようですけれども、どうですか、そういう考えで、さらに今日出された再商品化計画にしろ、自治体との対応にしろ、進めていくというお考えはありませんか。
(大臣)今御指摘あったように、プラスチックのみならず、今、自動車にしても家電にしてもリサイクルを進めております。都市鉱山の話もありましたけれども、非常に資源の少ない我が国においては、そういった家電や携帯、そういったものに含まれている希少な金属類もございますので、こういったものを取り出す技術を更に進めて、今既に事業化しているところもあると承知しておりますので、こういったものをしっかり進めていくというのは御指摘のように大事なことだと思っておりますので、しっかり足元の課題の克服と同時に、日本が循環資源の、循環経済をしっかりやっている国というトップランナーになれるように、しっかりと旗を振ってまいりたいと思います。
(記者)今おっしゃったようなことの目的意識で、最終形としてはね、制度的な、今のある既存の制度を大きくスクラップアンドビルドするとか、そういうことも念頭にあるんでしょうか。
(大臣)そういった御指摘も踏まえて、しっかり今後検討を進めてまいりたいと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=laXfZAIrZ7g&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE 

(以上)

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