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 令和4年10月2日、岸田総理は、京都市内で行われたSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)第19回年次総会に出席しました。

 総理は、開会式の挨拶で次のように述べました。

「本日は、お招きいただきありがとうございます。小宮山理事長を始め、御参席の皆様に、対面でお会いできることをうれしく思います。
 この2年間、新型コロナウィルス感染症のまん延により、人々の移動は厳しく制限され、このSTSフォーラムも、オンライン開催であったと聞きました。3年ぶりに、対面でのフォーラム開催ができたことは、大変喜ばしいことです。
 まず初めに、本年惜しくもお亡くなりになったSTSフォーラムの創設者である尾身幸次元財務大臣と、名誉会長である安倍晋三(しんぞう)元内閣総理大臣に、改めて哀悼の意を表します。
 世界中の科学者のみならず、政策立案者、企業経営者、ジャーナリスト等が一堂に会し、科学技術と社会の対話を進めるというこのフォーラムのコンセプトは、彼らが何より大切にしたものであり、ますます意義を増していると思います。
 例えば、今回、こうして対面で皆さんとお会いできるのは、ワクチン開発を始めとする感染症対策において、世界が協力して科学技術を活用できたからに他なりません。正に、各国政府や企業、市民が手を取り合って、科学技術をもって、新型コロナウイルスという人類共通の脅威に、立ち向かってきた証(あかし)です。
 ルイ・パスツール(フランスの細菌学者)が言ったように、科学には国境がありません。その発展や活用には多くの人間の英知を結集することが不可欠です。そのための場として、STSフォーラムを一から築き上げてきたことは、科学技術に対する日本の大きな貢献と考えています。昨今の地政学的な変化は皆様の御認識のとおりですが、今回のフォーラムに多くのリーダーの方々に御参加いただいていることからも、世界各国からの日本の科学技術への期待が高まっていることを感じています。
 こうした期待に応えるためにも、私の政権では、気候変動などの社会課題を成長のエンジンとする『新しい資本主義』を掲げ、科学技術によるイノベーションを重要な柱としています。このため、イノベーションの源泉となる人への投資を含む基礎研究力を強化するとともに、価値観を共有する同志国と連携し、国際頭脳循環を促進します。
 また、経済安全保障の推進のため、量子、AI(人工知能)、バイオなどの分野において、国家戦略・国家目標を進め、官民連携により、投資を加速していきます。そして、科学を正しく利活用するための原則についても、各国と連携して検討を進めたいと考えています。
 科学技術が、社会課題の解決のきっかけとなるよう、ステークホルダーがどのような連携をすべきなのか。地球規模の課題を解決するために、各国政府はどのような政策を講じていくべきか。
 STSフォーラムが、こうしたテーマについての方向性を示す羅針盤となることを期待しています。
 最後になりましたが、本年の総会の成功、また、お集まりの皆様の御健勝・御活躍を心よりお祈りし、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」

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