外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日でニューヨーク出張の3日目になります。前回(19日)の会見以降、昨日、岸田総理による一般討論演説が行われました。私(林大臣)も国連本部で傍聴させていただきました。また、チェコ、チリ、アルメニア、キルギス、スリナム、コロンビア、ベルギーの外務大臣と会談を行い、英国のクレバリー外務・英連邦・開発大臣と立ち話を行いました。マルコス・フィリピン大統領と岸田総理との首脳ワーキングランチや、ライースィ・イラン大統領と岸田総理の会談にも同席をいたしました。その他、リッシュ米国上院議員による表敬を受けるとともに、コロンビア大学関係者との懇談も行いました。またクレッグMeta国際問題担当プレジデントの表敬も受けました。

 各国との会談ですが、私からは、ロシアのウクライナ侵略は欧州だけの問題ではなく、力による一方的な現状変更を防ぐために国際社会が一致をして声を上げることが重要であること、また食料やエネルギーの価格高騰の原因はロシアの侵略であり、この侵略を一日も早く終わらせるために、国際社会の結束した対応が必要であるといった日本の基本的立場をお伝えをしたところでございます。

 また、前回のぶら下がりで御紹介した、安保理改革を含む国連全体の機能強化に関する我が国の立場を伝えました。さらに、中国や北朝鮮といった地域情勢についても率直な意見交換を行いました。こうしたやり取りを通じまして、各国と認識を共有するとともに、今後の連携を確認するなど、非常に有意義な意見交換をすることができたと考えています。

 つい先ほどまで行われておりましたG7外相会合では、ウクライナ情勢について議論を行い、ウクライナ支援、食料・エネルギー安全保障への対応等々につきまして、G7の連携を改めて確認をすることができました。また、国連の機能強化、中国やインド太平洋といった地域情勢についても意見交換を行いました。ウクライナ情勢に関しては、私から、日本のこれまでの取組を説明するとともに、ロシアへの化学兵器等関連物品の輸出の禁止措置及び輸出禁止措置の対象となるロシアの軍事関連団体の追加を新たに講ずる予定である旨紹介しました。また、会合の最後に、長野県軽井沢町で行われる来年のG7外相会合につきまして、来年4月16日から18日の日程とすることを発表をさせていただきました。

 その他、昨日は、グローバル食料安全保障サミットに出席をいたしました。また、本日午前にはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フレンズの閣僚級会合を共催をいたしました。会合では新型コロナによるUHC推進への影響などに関する意見が示されまして、UHC推進へのモメンタムの維持・強化やUHC達成への取組をますます加速させていく方策などを議論しました。私からは、来年のG7広島サミットや国連総会UHCハイレベル会合に向けまして、日本政府としてUHCの達成のための国際的な取組を引き続き主導していく決意を述べたところでございます。

 私からは以上です。

質疑応答

【記者】G7外相会合についてお尋ねします。大臣から今、地域情勢についてお話されたというご紹介がありましたけれども、外務省の発表だと、中国やインド太平洋といった地域情勢について意見交換したとあります。大臣の方からこの会合の場において、中国、インド太平洋それぞれについてどのような発言をされたのか教えてください。

【林外務大臣】今回のG7外相会合では、中国やインド太平洋といった地域情勢につきましても意見交換が行われ、私からは、力による一方的な現状変更は認められないということを改めて強く主張をいたしました。また、会合では、台湾海峡の平和と安定の重要性、これについても改めて確認をしたところでございます。同時に、中国との間で、気候変動をはじめとする相互の利益になる部分において協力していくことの重要性についても確認をしたところでございます。 引き続き、地域及び国際社会の平和と安定を確保すべく、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら対応していく考えでございます。

【記者】私から2点お願いします。G7の会合なんですけれども、対ロ制裁の継続について、ロシアへのエネルギー依存度の高い欧州の国との立場の違いというのは議論の中で現れたのでしょうか。もう一つ、会合では、本日のプーチン大統領のビデオ演説の中で、予備役の部分的動員や、あらゆる手段でロシアを防衛するといった核の使用を示唆するような発言がありました。これについてG7での話し合いはあったのでしょうか。

【林外務大臣】会合では、ウクライナをめぐる様々な情勢について議論する中で、私からは、これから厳しい冬を迎える中で、強力な対露制裁、そしてウクライナ支援、これを継続していくためにも、G7の結束を維持することがますます重要である旨を述べました。その上で、我が国として、ロシアへの化学兵器等関連物品の輸出の禁止措置と輸出禁止措置の対象となるロシアの軍事関連団体の追加を新たに講ずる予定であるという旨を紹介しました。
 また、プーチン大統領が、状況次第では、利用可能な全ての兵器システムを使用する旨の発言を行ったことは、断じて容認できないと思っております。各国からも、最近のロシアの動きに対して、改めて深刻な懸念が表明されまして、G7として、一層緊密に連携しながら対応していくことを確認したところでございます。

【記者】話題は変わりますが、今日、日韓首脳による懇談が行われまして、日韓の首脳が初めて30分間にわたってある程度の時間、会話をするということがありましたけれども、この受け止めと、諸課題の解決、関係改善に向けて今後どのようにアプローチをしていくかお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】本日午後ですが、岸田総理は韓国のユン大統領と懇談を実施をいたしました。両首脳間ではですね、懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性、これを共有し、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づいて、日韓関係を未来志向で発展させていく、こういう考えで一致したというふうに承知をしております。そして、労働者問題に関してですね、現在行われている外交当局間の協議を加速化するように指示をすることとなったというふうに承知をしております。 また、北朝鮮がですね、核・ミサイル活動を活発化させる中で、日韓・日米韓で毅然と対応することが一層重要となっているという認識で一致をいたしまして、さらに、ユン大統領から拉致問題について改めて支持を得たというふうに承知をしております。このような首脳間のやり取りも踏まえまして、私とパク長官との間も含めて、外交当局間の協議をしっかりと行っていきたいと考えております。

【記者】追加で先ほどの経済制裁についてちょっと事務的な質問で恐縮なんですけども、G7の化学兵器等の輸出禁止の措置というご紹介がありましたけれども、これはロシア側の何らかの特定の行動を受けての措置、という理解でよろしいのでしょうか。それともプーチン大統領が動員令をかけたことに対する措置なのかどうか。この点を教えてください。それから、この措置をいつから始めるのか、ということも教えてください。

【林外務大臣】はい、先ほども申し上げましたとおり、我が国として、このロシアへの科学兵器等の関連物品の輸出の禁止措置と、輸出禁止対の対象となるロシアの軍事加盟団体の追加、これ新たに講ずる予定である旨を紹介いたしました。時系列的にいうとですね、この制裁措置については、必ずしもプーチン大統領が今回発表したものの後というわけではないと思っております。また、実際どういうふうに実施していくかについては、後ほど事務当局に聞いていただければと思います。

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