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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年9月20日(火曜日)10時49分~11時07分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)畜産・酪農の緊急対策について
  • (大臣から)福島県への出張について
  • 台風第14号による農林水産業への被害状況等について
  • 畜産・酪農の緊急対策について
  • TPP等関連政策大綱に基づく施策に関する会計検査の結果について

冒頭発言

大臣

  本日は、私の方から2点、御報告がございます。
  1点目でありますが、本日の閣議におきまして、「飼料価格高騰緊急対策」に関する予備費の使用が決定されました。さらに、子牛価格の下落による現場の不安に対応するため、肉用子牛対策及び和牛肉保管対策の変更等についても決定をいたしました。まず、飼料価格高騰対策でありますが、第3四半期に、配合飼料の実質的なコストを第2四半期と同程度の水準とするための緊急対策、それから輸入粗飼料等の高騰の影響を受けている酪農経営への急激なコスト上昇を緩和する緊急対策を講じることとし、予備費で504億円を措置することといたしました。次に、肉用子牛対策については、本年6月に措置した「優良肉用子牛生産推進緊急対策」を12月まで継続し、黒毛和種について、発動の判断を今まで全国平均だったのですが、これをブロック別の平均に見直すとともに、和牛子牛の産地強化に取り組む場合、奨励金に1頭当たり1万円を上乗せいたします。さらに、和牛肉保管事業については、10月末としていた冷凍保管開始期限を撤廃し、年度末まで活用可能とするほか、同事業の後継対策を引き続き検討してまいります。これは10月末としておりましたが、年度末までやって、その後の後継対策も引き続き検討するということであります。
  2点目でありますが、明後日22日、原子力災害被災地を中心に復興状況の現地視察を行うため、福島県に出張いたします。被災地の農林水産業の現場を見て、被災地の方々から直接お話をお伺いし、今後の復興を着実に推進してまいりたいと思っております。詳細は、この後、プレスリリースいたします。本日、私からは以上でございます。

質疑応答

  • 台風第14号による農林水産業への被害状況等について

記者

  台風14号による農林水産物への被害状況と、農水省としての対応策について現時点で検討しているものがあればお聞かせください。

大臣

  台風14号は、今まで経験したことのない風、雨ということで気象庁からも発表されましたが、特に私の地元・鹿児島に上陸したということで、いつも申し上げておりますが、鹿児島の場合は、「台風銀座」と言われるぐらい、毎年だいたい台風が来るわけであります。一昨日から、鹿児島の各地域のJAの組合長さん方に電話をかけてどんな状況か聞いておりましたが、いずれにしても、本当に今までに体験したことのないような雨風だったということでありました。幸いにして、大きな被害が出ていないということは今朝報告を受けております。しかし、この台風14号で、鹿児島だけが良ければいいというものでありません。他の地域では、人的被害も出てきているいうことでございましたので、心からお悔やみを申し上げたいと思います。農林水産関係の被害については、農業用ダムや防災重点農業用ため池などの施設を中心に調査を進めておりますが、まだ現時点では詳細がはっきりしておりません。今、農政局を中心に取りまとめをいたしているところでございます。我が省では本日から、大雨特別警報が発令された市町村等を対象に職員を派遣し、被害状況把握や応急復旧などの技術支援を行う予定でございます。農林漁業者の皆様におかれましては、引き続き、安全確保の徹底をお願いしたいというふうに思っております。いずれにしても、今後調査を行い、そしてまた後日発表することになると思います。

  • 畜産・酪農の緊急対策について(1)

記者

  冒頭の畜産・酪農対策の閣議決定の関係で伺います。今回、配合飼料の高騰対策とか酪農の対策とか、そういったものに対して緊急的な対策を打つことを決めたわけですけれども、緊急対策というふうに名前がありますように、なかなかこれですぐに経営が改善するとは言えない状況というか、今後も畜産農家は厳しい状況が続くと思われます。大臣、今後、どういった政策支援というのを当面続けていくことが必要というふうにお考えでしょうか。

大臣

  とにかく今畜産が置かれている状況というのは、いろんな意味で厳しい状況でございます。特に今回の飼料の高騰、これは各畜種に及ぶわけでありますが、酪農についてはヌレ子が格安であったりとか、肉牛については枝(肉)価格があまり冴えないというようなことであるとか、繁殖農家にとっては子牛の価格が下落しているとか、いろんな問題がありまして、大変厳しい状況であることは認識をいたしております。したがいまして、今おっしゃいましたように、これだけかと、十分な対策なのかという御質問だと思うのですが、今のところは、例えば先ほど申し上げました今回の緊急対策で、予備費から充当する餌だとか、また他のものについても、まず、飼料価格について、第3四半期においては、トウモロコシ(価格)がどうなるか。国際価格との関連で、為替等から鑑みれば、制度の仕組み上、補てん単価は減額するし、生産者の実質負担額が急増することが見込まれております。したがいまして、今後どうなっていくのかというのは、マルキンが発動されて、それによって農家の所得がどうなっていくのかということもありますので、もう少し様子を見させていただきたい。その後どうなっていくのか、トウモロコシの価格もずっと高止まりなのか。一方、今から出ていく肉牛というのは、子牛(価格)が高くなった時期でありますし、また、餌がこのままの状態であれば、生産者の実質負担額が急増するというようなことが見込まれますから、そうなると、当然マルキン発動ということになってきますので、マルキンが発動された場合のその金額とか、そういったことを勘案した場合にどういったような対策を打てばいいのかというのは、これから検討しなければならない事項だと思いますので、少しこの四半期は様子を見させていただこうというふうに思っております。それから酪農については一番厳しいわけでありますが、御承知のように、11月から(乳価が)10円高くなります。それによって、農家の収入がどうなっていくのかということもありますし、あるいはヌレ子(価格)が極安というか、非常に安い値段ですから、このまま推移していくのかですね、この辺のところも需要と供給の問題でありますので、見定めながら、今後どうしたことが検討できるか、引き続き我々は今内部で話をしているところでありまして、今何をするということは言えませんが、いずれにしても、これでもう一丁上がりで終わりということになるかどうか、今後の第3四半期を見極めながら、更に検討を進めてまいりたいと思います。

  • 畜産・酪農の緊急対策について(2)

記者

  予備費504億円の内訳についても、もし分かれば教えていただきたいんですが。

大臣

  配合飼料価格の高騰緊急対策、いわゆる第2四半期と同等の水準ということで、430億円でございます。それから国産の粗飼料利用拡大緊急酪農対策、これに74億ということで、これは御承知のように経産牛一頭当たり、都府県では1万円、それから北海道は7200円ということで、総額74億円ということになります。

  • TPP等関連政策大綱に基づく施策に関する会計検査の結果について

記者

  先週なんですけれども、会計検査院による検査報告で今回農水省の複数の基金に過大な残高があるとの結果が示されまして、背景として人手不足や手続きの煩雑さがあるということで、中には補助金の交付が大幅に遅れたことでその支援を辞退したという実態が報告されています。当初の目的と異なって適正な事業運営がされていないということだと思うんですけれども、大臣としてこの結果についてどう受け止めてらっしゃるか教えてください。また、その原因について人手不足や手続きの煩雑さというのが指摘はあるんですけれども、農水省として独自にその検証されるのか、また運用改善に向けてどういった対応を今後されていくのか、お考えをお聞かせください。

大臣

  前回も申し上げましたけれども、畜産基金について、会計検査院の報告書は、令和2年度までの状況を対象に記載されておりまして、支出見込額に辞退分を含んでおり、基金管理が十分にできていなかったということは、これは反省をしなければなりません。これについて、現時点では既に改善が行われておりますが、具体的には、審査期間の短縮に取り組む。これまでは非常に長かったんです1年ぐらいとか。そういう問題もありますので、基金管理団体から本事業の辞退額の報告を定期的に受けるということがまず必要なことだと思いますし、また必要な予算額を精査した上で、令和3年度補正予算において、基金への積み増し額の抑制を図ったところでございます。したがいまして、当初見込んだよりも、なかなか農家からの申請が上がってこない、上がってきても辞退が出てきた、そういったことで、多めの残高が出てしまったということであります。今後とも基金残高が過大にならないように、予算要求に当たって調整したいと思いますが、基金残高を的確に把握してやらなきゃいけないし、それから適切な執行をやらなきゃいけないと思っております。タイムラグというか、ずれが出てきて、最後の方になってくると農家がもう今頃承認されても遅いというのもあったりして、それで辞退が出てきたりするものですから、この事務的なところでのチェックがなかなか行き届いてなかったということもあります。したがいまして、これからはそういうことがないように、まずは、辞退のところをはっきりと的確に把握して、そしてそれに基づいて減額をしていくということをやってまいりたいというふうに考えております。

記者

  定期的に辞退などその執行状況把握されるということだと思うんですけれども、人手不足という指摘を受けている中で、その提案は今までよりも仕事量が増えるということになると思うんですけども、いかが対応されるんでしょうか。

大臣

  原因は、今御指摘のあったように、人手不足ということもあるだろうし、それからチェックの仕組みというのが、私も実際現場にいて、何でこんなに遅いんだと農家からも怒られます。これはまず農協なりでまとめて、それが県に上がってくる。そして県でチェックして、それを中央畜産会の方に送っていく。そういう3段階を踏むものですから、どこで引っかかっているのかということを調べたことがあるんです。そうしましたら、これはもう恥ずかしいことに、JAの段階で一番止まっているんです。ですから何でこういうことを早くやってくれないんだということを申し上げておるんですが、だんだんそこもやかましく言ってきたものですから早くなったんですけれど、今度は中央畜産会の方で最終チェックをかけていくわけですが、それも今おっしゃった人手不足なので、そういったようなことも相まってなかなか前に進んでこなかったという反省は持っております。したがってその辺のところを、各段階のところを今度は逆にチェックをして、どこで詰まってしまっているのか、あるいはどこがどうすれば早く申請書が上がってくるのか、そういったことも含めて、これは制度の在り方としても検討しなければいけない。こんなふうに思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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