外務省・新着情報

冒頭発言

(1)日印「2+2」及び日印外相間戦略対話の開催

 【林外務大臣】私(林大臣)から2点ほどございます。
 まず、9月8日ですが第2回の日印外務・防衛閣僚会合「2+2」を、浜田靖一防衛大臣とともに、東京において対面形式で開催する予定でございます。
 インド側からはジャイシャンカル外務大臣及びシン国防大臣が出席する予定です。また、同日、ジャイシャンカル外務大臣との間で、第14回日印外相間戦略対話を行う予定でございます。
 インドは、基本的価値や戦略的利益を共有する「特別戦略的グローバル・パートナー」であり、米豪と共にクワッドの重要なメンバーでございます。これらの会談を通じて、インド側との間で安全保障や貿易協力を始めとする二国間関係や、地域及び国際情勢等について率直な意見交換を行いまして、幅広い分野で日印関係を強化する機会としたいと思っております。

(2)パキスタンにおける洪水被害に対する緊急無償資金協力

 【林外務大臣】もう1件ですが、6月中旬以降、パキスタンの各地におきまして、大雨による洪水被害が現在に至るまで継続・拡大をしておりまして、今般、その被害に対する人道支援として、700万ドル規模の緊急無償資金協力、これを実施することにいたしました。
 今般の協力は、現地の支援ニーズを踏まえまして、国連世界食糧計画(WFP)、また、国連児童基金(UNICEF)といった国際機関を通じて人道支援を行うものでございます。
 なお、今回の支援に先立って、8月29日ですが、緊急援助物資としてテント及びプラスチックシート、これを供与することを決定し、物資は全て9月4日までにパキスタンに届けられております。
 引き続き、日本政府として、パキスタンの人々に寄り添った支援を実施してまいりたいと考えております。私(林大臣)からは以上です。

日露関係(四島交流及び自由訪問の合意の効力停止)

 【朝日新聞 野平記者】ロシア政府が、昨日、北方領土へのビザなし渡航の日本との合意について終了すると発表したのですけれども、これに対しての政府の受け止めと、今後の対応についてお聞かせください。

 【林外務大臣】ご指摘のありました発表は承知をしております。3月ですが、ロシア外務省がウクライナ情勢に関連して、日本が行った措置が一方的な非友好的措置であるとして、四島交流等の事業を中止する等の措置を発表いたしました。その際も、日本側からは、今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因しているにもかかわらず、日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の姿勢、これは、ロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受入れられないという旨強く抗議を行ったところでございます。
 そうした中で、今般、ロシア政府が、四島交流等の事業に係る合意の効力の停止に係る政府令を発表したということは、極めて不当なものであり、断じて受け入れられないと考えております。
 現在までのところ、本件に関するロシア側からの通知はないわけでございますが、9月6日に、欧州局参事官から在京ロシア大使館次席に対して、こうした考えを通達の上、改めて強く抗議したところでございます。

中国四川省の地震

 【毎日新聞 日下部記者】昨日ですね、中国の四川省の方で大きな地震がありまして、それに対する支援の検討状況などを教えてください。

 【林外務大臣】日本時間で5日の14時頃、中国四川省の甘孜(カンゼ)チベット族自治州で地震が発生いたしまして、死者も生じていると承知しております。
 犠牲になられた方々、またそのご家族に対して、心から哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた方々のご快復と被災地の一日も早い復興を心からお祈りするところでございます。
 これまでのところは、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるという情報には接しておりません。引き続き、現地情勢を注視するとともに、在留邦人の安全確保に万全を期したいと考えております。支援については、現時点までに決まっていることはございません。

英国情勢(保守党党首選挙)

 【NHK 岩澤記者】英国保守党の党首選挙に関連して伺います。保守党の新たな党首にリズ・トラス外相が選ばれましたが、今回の党首選挙の結果について、大臣のご所感をお願いします。また、今後、日英の外交関係をどのように進めていくかもお考えをお願いします。

 【林外務大臣】現地時間の5日ですが、英国の保守党党首選の結果が発表されまして、トラス外相が党首に選出されたと承知をしております。G7外相会合の場を含めて、これまで緊密に連携してまいりましたトラス外相が、首相として英国の舵取りを行っていくことを、私(林大臣)、個人的にも大変心強く思っております。
 英国は、基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーでありまして、我が国としては、引き続き次期政権とも緊密に連携をして、日英関係を一層強化をするとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現、また、ロシアによるウクライナ侵略への対応を始めとする国際社会の諸課題についても、共に取り組んでいきたいと考えております。

ロシア産石油価格の上限設定

 【テレビ朝日 澤井記者】ロシア産の石油への「プライス・キャップ」についてお伺いします。週末のG7の財務大臣会合で、ロシア産の石油に対して価格の上限を設定するようにということで、12月から行うようにということで合意しましたが、これの有効性を担保するには中国であったり、インドだったりを巻き込んでいく必要があると思いますが、その見通しについてお伺いしたいのと、先ほど発表ありましたとおり、今週には「2+2」でインドの外相が来日されますし、安倍元総理の国葬の際、下旬にはモディ首相も来日されると思いますが、日本政府として、ロシアへの制裁強化にインドを巻き込んでいく、働きかけていこうというお考えはありますでしょうか。

 【林外務大臣】今お話があったように、去る2日ですが、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議、これが開催されまして、ロシアのエネルギー収入を減少させながら、ロシアによる侵略が世界的なエネルギー価格の高騰やインフレの圧力になること、こうしたことを防ぐために、「プライス・キャップ」措置、すなわち、一定価格を上回るロシア産の海上輸送原油及び石油製品の輸入、及びそのためのサービスの提供を禁止する、そうした措置を導入することで一致したと承知をしております。
  価格の水準や、制度の詳細、これは今後、関係国と協議をしていくものだと承知をしておりますが、この「プライス・キャップ」は、ロシアのエネルギーによる収入を制限しつつ、各国のエネルギー安定供給を確保する方策としては、有用だと考えております。
  インドですが、この、先ほど申し上げました日印「2+2」では、主に安全保障・防衛協力を始めとする日印関係や、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日印、日米豪印での協力、地域・国際情勢、そういったものについて議論を行う予定でございます。具体的なインドとの議論の内容については、予断することは控えたいと考えております。

旧統一教会問題

 【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】旧統一教会問題について伺います。1991年以来、旧統一教会が北朝鮮に多くの支援を行ってきたことが明らかになっています。旧統一教会の主な資金源は、日本支部からの献金であることから、日本にいる信者からの献金が、最終的に北朝鮮の核ミサイル開発の資金として用いられた疑いも指摘されています。外務省として、旧統一教会からの資金の流れを究明するお考えはないでしょうか。林大臣のお考えをお聞かせください。

 【林外務大臣】個々の報道等の一つ一つにコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、この北朝鮮による核・ミサイル開発、これは我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えております。
 今後とも日米・日米韓で緊密に連携をして、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行、これを進めて北朝鮮の非核化を目指していきたいと考えております。

日韓関係(旧朝鮮半島出身労働者問題)

 【毎日新聞 日下部記者】日韓関係についてお伺いします。徴用工訴訟に関して、担当していた韓国の最高裁の裁判官が退官しました。それによって、現金化命令の再抗告に対する結論が先送りになるとの見方も出ています。また、解決のための官民協議会が一旦終わって、今後、韓国政府による解決の策定が進むと言われていますが、これらについてのお考え、受け止めを教えてください。

 【林外務大臣】韓国側の動きの一つ一つにコメントすることは差し控えたいと考えますけれども、この旧朝鮮半島出身労働者問題に関して、仮に現金化に至ることになれば、日韓関係にとっては、大変深刻な状況を招くことになりますので、これは避けなければならないと考えております。このことは私(林大臣)のレベルも含めて、これまでも韓国側に繰り返し伝えてきておるところでございます。
 7月の外相会談で、朴(パク)長官から、現金化が行われる前に、望ましい解決策が出るように努力をする旨述べられ、その上で、私(林大臣)と朴長官との間で、この問題の早期解決で一致をしたところでございます。これを踏まえて、外交当局間で緊密に意思疎通をしておりまして、今後もそうした意思疎通、これを継続していきたいと考えております。

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