外務省・新着情報

令和4年8月31日

 8月31日(現地時間同日)、フィリピン共和国の首都マニラにおいて、我が方、越川和彦駐フィリピン日本国特命全権大使と、先方シェイラ・ウェルツ-カノニコフ国際連合食糧農業機関(FAO)フィリピン事務所長臨時代表(Ms. Sheila WERTZ-KANOUNNIKOFF, International Representative ad interim, Food and Agriculture Organization (FAO) Philippines)との間で、供与額2億5,100万円の無償資金協力「台風により被害を受けた農家及び漁民の生計回復・強靭性強化計画」(FAO連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。
 また、同時に、我が方、越川大使と先方ブレンダ・バートン国際連合世界食糧計画(WFP)フィリピン事務所代表兼所長(Ms. Brenda Barton, Representative and Country Director, World Food Programme (WFP) Philippines)との間で、供与額5億100万円の無償資金協力「バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域における小規模農家及び漁民のための農業及び漁業バリューチェーン向上計画」(WFP連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。
 上記2件の概要は以下のとおりです。

  1. 「台風により被害を受けた農家及び漁民の生計回復・強靭性強化計画」(FAO連携無償資金協力:供与額2.51億円)
     昨年12月中旬にフィリピン中南部を通過した台風22号(フィリピン名:オデット)により、基幹インフラや経済活動に甚大な被害が発生しました。特に、農業については、ココナッツの収穫量が大きく減じたほか、漁業関係者の漁船や漁具が損壊して操業ができず、その後の生計維持が困難な状況にあります。同地域は、台風を始めとする自然災害の影響を頻繁に受けることから、農漁業の再開が遅れて住民が困窮する事態が生じないよう、災害に対する強靱性の高い農漁業を構築する必要があります。
     本計画で、台風22号による被害を受けたフィリピン中南部地域の農家及び漁業関係者に対し、農漁業再開に向けた投入資材(種子、肥料、漁船修復キット等)の供与、地方政府への気象情報提供体制及び早期警戒システム確立に向けた資機材の供与、及び災害に強い農漁業の構築に向けたトレーニングを実施することにより、被災地域の農漁業部門における復興と災害に対する強靭化を図り、フィリピンにおける包摂的な成長のための人間の安全保障の確保に寄与することが期待されます。
  2. 「バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域における小規模農家及び漁民のための農業及び漁業バリューチェーン向上計画」(WFP連携無償資金協力:供与額5.01億円)
     農業を主要な産業としながらも長年ミンダナオ紛争の影響を受けてきたフィリピン南部のバンサモロ自治地域では、これまで十分な農業インフラへの投資が行われず、農業収入が低く、また、地域の若年層の農業離れが進んでいる状況です。加えて、同地域住民は、食と栄養に関する知識へのアクセスの問題から、児童の発育不全や衰弱が見られています。同地域の農家の生計向上を図るバリューチェーンの強化や、同地域住民の食生活に関する啓発が課題となっています。
     本計画で、バンサモロ自治地域の小規模農家及び漁民に対して、市場へのアクセス道路・貯蔵施設の整備及びデジタル技術の利用を通じたバリューチェーンの強化、栄養に関する啓発活動を実施することにより、同地域の食料安全保障及び栄養状況改善の推進を図り、ミンダナオ和平のもたらす持続的な平和と開発に寄与することが期待されます。
(参考)フィリピン共和国基礎データ

 フィリピン共和国は、面積約30万平方キロメートル(日本の約8割)、人口約1億904万人(2020年、フィリピン国勢調査)、人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,640米ドル(2021年、世界銀行)。


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