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葉梨法務大臣初登庁後記者会見の概要


初登庁後の記者会見の様子

令和4年8月10日(水)

 この度、法務大臣を拝命しました葉梨康弘です。
 私は、これまで2年間副大臣を経験しました。また、2年間法務委員長を経験し、その前職も衆議院法務委員会筆頭理事をさせていただきました。そういった意味で、法務行政には様々な形で携わらせていただいたところですが、この度、法務大臣を拝命することとなりました。
 どうぞよろしくお願いします。
 法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護などの非常に幅広い行政の中で、国民生活に非常に大きく関わる基本的な部分を担っています。
 その意味で、国民の安全・安心を守りながら、国民生活の土台作りに携わっていくという重責に身の引き締まる思いです。
 本日、岸田総理からは、法務行政の課題について、次の6点について御指示がありました。
 1点目は、「国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて、司法制度改革を推進する。」。
 2点目は、「差別や虐待のない社会の実現を目指し、個別法によるきめ細やかな人権救済を推進する。」。
 3点目は、「関係大臣と協力し、『世界一安全な国、日本』をつくるため、犯罪被害者の支援、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援、組織犯罪対策など、社会を明るくするための施策を総合的に推進する。」。
 4点目は、「我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。」。
 5点目は、「関係大臣と協力して、一定の専門性、技能を有する外国人材を円滑に受け入れるとともに、在留管理を徹底し、技能実習生の失踪などの不適切事案を防止する。特定技能制度について、技能実習制度の在り方を含めて総合的な検討を行う。共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進める。」。
 6点目は、「ポストコロナの時代を見据え、観光立国に相応しい入国管理を実現する。」です。
 御指示はいずれも国民生活に密接に関わるものと認識しています。
 岸田総理からは、法務副大臣、法務委員長の経験を生かし、法務行政に精通した政治家としてしっかりと事を進めていただきたいとの指示がありました。
 全身全霊で取り組んでまいります。
 その上で、各閣僚に対する共通の発言として、旧統一教会との関係について、岸田総理から、国民の皆様の疑念を払拭するため、個々の政治家としての責任において点検し、厳正に見直すよう、御指示をいただきました。
 私について申し上げれば、知り得る限り、当該団体との関係はありません。
 法務行政においては、例えば外国人の労働者の問題、あるいは、所有者不明土地の問題のような政策的な問題、それから、先ほど申し上げたように、民事の基本法制、刑事の基本法制、国民生活の基盤を担う法律を持っています。政策的な課題については、関係省庁としっかりと連携しながら、力強い日本を作るために推進していくとともに、国民生活に密接に関わる課題については、より多くの国民の理解をしっかりと得るような努力をしていかなければならないと考えています。
 また、副大臣時代もそのことに意を用いさせていただきましたが、5万人を超えるマンパワーを持つ組織です。非常に多岐にわたっています。刑事、民事、矯正、保護、入管、更には公安調査、人権擁護と、多岐にわたったこの組織をどのような形でチームとして運営していくかということは、非常に大きな課題です。その意味で、しっかりとした風通しのよい組織を作っていくことができるよう、法務行政のトップとして尽力していきたいと思っています。
 いずれにしても、今の時代、社会にふさわしい法制度が整備され、それが国民の信頼を勝ち得ることができるように、しっかりと進めていきたいと思います。常に国民の目線に立ちながら、岸田総理の指示をしっかり踏まえながら、皆様と一緒に、国民のために考えていきたいと思っています。
 今後とも、記者諸君の御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。

旧統一教会に関する質疑について

【記者】
 今ほど言及がありました旧統一教会の関連ですが、確認になりますが、今回入閣されるに当たって、改めて調査を行っての結果ということでよろしいかという点と、旧統一教会と政治家との関係が問題視されている現状についての御認識をお伺いできますでしょうか。

【大臣】
 まず、再調査と言われましたが、私自身は先ほど申し上げましたとおり、認識している限りということで申し上げましたが、旧統一教会、団体等々と関係を持つような認識はありませんので、調査するまでもないということです。
 そして、政治家との関係ですが、今日も総理の記者会見にもありましたが、宗教団体で信教の自由は当然あります。しかし、だからと言って、違法行為を繰り返して良いということではありません。ですから、違法行為を繰り返すような団体とのお付き合いの仕方については、適切に対処していくことが必要なのかなと思います。
 また本日、総理の記者会見の中で、私の経歴だけではなく、法務大臣という言葉が2か所、旧統一教会関係で出てきた御記憶だろうと思います。やはり特に私どもは、被害救済という部門を多く持っていますので、関係省庁とも連携しながら、岸田総理の記者会見の発言を非常に重く受け止めながら、どういう形のものができるか、早速検討しなければならないと考えています。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 死刑制度について伺います。死刑制度については、国内でも存続・廃止について様々な意見があり、諸外国でも見直す動きがありますが、大臣就任に当たり、死刑制度に対する大臣自身のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 様々な議論があることは、私自身も承知しています。ただ基本的には、各国それぞれ国民感情、犯罪情勢、あるいは刑事政策の在り方を踏まえて検討すべきものであると考えています。

検察に対する指揮権に関する質疑について

【記者】
 法務大臣の検察に対する指揮権の在り方について、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 累次の法務委員会における質疑でも、私も副大臣として同席したり、あるいは委員長としてこの関係の質疑も聞いていますが、見解としてはずっと変わっていません。法務大臣というのは、検察庁法第14条の趣旨に鑑み、指揮権の発動については、極めて慎重に対応する必要があると考えています。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 先ほど冒頭の御発言にも少しありましたが、外国人労働者の受入れに関して伺います。古川前法務大臣は先月末の記者会見で、外国人技能実習制度について、目的と実態にかい離がない仕組み作りといった見直しに向けた考え方を示しました。また、「長年の課題を歴史的決着に導きたい。」とも述べていました。葉梨大臣はこうした考えを引き継ぐのでしょうか。また、労働力不足が更に深刻化するおそれがありますが、外国人労働者の受入れについて、葉梨大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 私自身も、技能実習の法律あるいは特定技能の法律のいずれも、法務委員長として携わらせていただきましたし、またその検討の段階においては、副大臣として関わりました。
 古川前大臣の問題意識はよく分かります。実態と目的にかい離が生じていないか、あるいは先ほどの総理の指示にもありましたが、様々な形で失踪事案などが起きている。そこをよく点検していかなければならないということで、勉強会を開催されて、非常に問題点を整理されたため、私もしっかりと受け止めていかなければいけないと思っています。
 今後、政府において、どういう形の制度として見直していくのかということを、関係閣僚会議あるいはその下に置かれた有識者会議で検討していくことになりますので、今現在、具体的な方向性について私が述べる時期ではないと思いますが、古川前大臣の問題意識は、非常に重く受け止めています。

【記者】
 先ほどの大臣のお答えにもありましたが、特定技能制度と技能実習制度の見直しについて、有識者会議で見直すことの検討を進めていくことになるだろうとのお答えがありました。とは言いつつも、技能実習については、問題が多い制度ということで、様々な指摘があります。そうした制度の存廃や統廃合について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 様々な形で問題点が指摘されているということについては、今もお答えをしましたが、副大臣時代あるいは委員長時代に、実際に野党の方々と様々な話合いをしながら、なぜこのような失踪事案が起こるのかということを、実際に公開されていない書類を秘密会の理事懇で見るといったことで調査を行ったこともありました。
 その上で、やはり様々な問題があることは間違いありませんが、それをどういった形で見直していくか、制度面なのか、運用面なのか、様々なオプションがあり、そういうことを私と官房長官がヘッドになりました「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」の下に有識者での検討を行っていこうという段階ですので、制度の統廃合あるいは何かを廃止するといったことを、今予断を持ってお答えできる段階ではないということです。また、有識者会議の議論を踏まえ、見守っていかなければならないと思います。

【記者】
 日本の難民の認定状況についてお伺いします。難民認定状況は国際水準を大幅に下回っているとの指摘がありますが、この現状について、改善の必要があると思われるかどうか、もしあるのであれば、どのような方法が考えられるかを教えてください。

【大臣】
 難民認定について申し上げますと、確かに日本の場合は、他国と比べて、数的には非常に少ないとの指摘がされていますが、中東の難民の方々は、どちらかというと、ヨーロッパの方に文化的な側面もありますので、そちらを指向するという要素もあるということですから、必ずしも数だけをもって、一概に少ないと判断するのはいかがかということを前提とした上で申し上げますと、UNHCRともしっかりと連携をとりながら、適切な難民認定ができるような形を、適正化に取り組んでいかなければならないと思います。
 そういった意味で、入管法の中で、あるいは今回ウクライナの話もありますし、また、真に庇護を必要とする方々をどういった形で、しっかりと庇護・援助していくかということも、場合によっては法律改正が必要になる場合がありますので、しっかり考えていかなければいけないところはあるだろうと思います。

【記者】
 入管難民行政について質問します。先ほど、技能実習制度・特定技能制度については、関係閣僚会議の中で、有識者会議で検討したいというお話でしたが、有識者会議の構成メンバーについて、古川前大臣はまだ検討中、年内にとのことでしたが、ある程度進んでいらっしゃるのかどうか。
 それから、昨年の通常国会の衆議院の法務委員会で、入管法改正案の審議が進まずに、結局改正案は廃案になりました。大臣は当時法務委員長をされていましたが、なぜ廃案になってしまったとお思いでしょうか。難民の問題とも関係するかもしれませんが、秋の臨時国会に、どのような法案を再提出するかということの前提であると思いますので、現時点での大臣の御見解をお願いします。

【大臣】
 事実関係を言いますと、入管法が廃案になったときは、私は農水省にいましたので、法務委員長ではありませんでした。その後、筆頭理事をしており、そのときの状況は聞いていますので、お答えできる面はあろうかと思います。
 まず、有識者会議の構成ですが、先ほども申し上げましたように、まだその段階ではないということで、現在、具体的なことは決まっていませんが、関係閣僚会議の下に有識者会議を持って、秋に検討を始めようということは決まっていますので、これからしっかりと人選も含めて考えていきたいと思います。
 そして、入管法のお話ですが、様々な議論があり、私の聞いている話では、おおむねのところで与野党で合意の寸前まではいった、当時、私は法務委員会の理事ではありませんでしたが、相当話は進んでいましたが、なかなかやはり入管の不祥事の問題等々があり、先に進まなかったという話は、当時私も伺ったことはあります。今、入管法で考えてみますと、もちろん必要性という意味では先ほど出ました、庇護を必要とする方の問題、あるいは強制送還、あるいは全員を収容するということが本当に良いのかという問題、様々な問題があり、それに対して何らかの解決策はとっていかなければならないのは間違いありません。ただし、今回の臨時国会は、会期がいつになるかということもありますが、例えば9月下旬から始まったとして、必ずやらなければいけないのが、裁判官、検察官の給与法、これが一つ入ってきます。そういう中で、どういう形のものが提案できるかということは、会期との関係もありますので、与党の国対とも相談しながら考えていかなければならないと思っています。

靖国神社への参拝に関する質疑について

【記者】
 まもなく終戦の日を迎えますが、靖国神社を参拝される予定はありますでしょうか。また、参拝される場合、どのような形式で参拝されるか教えてください。

【大臣】
 現在のところ、そういう予定はありません。

選択的夫婦別氏制度に関する質疑について

【記者】
 夫婦別姓制度についてお尋ねします。選択的夫婦別氏制度については、長年議論がされていて、国民的な関心も高まっているかと思いますが、葉梨大臣個人として、どのような法制度があるべきとお考えかお聞かせください。

【大臣】
 結論から申し上げますと、私が今大臣の立場で、どのような考えを持っているかというのは、政府の考えということになってしまいますので、なかなか申し上げづらいことは御理解を願いたいと思います。ただ、政治活動として、多分そちらの方は、一旦休憩をせざるを得ませんが、選択的夫婦別氏に比較的積極的な議連に名を連ねていることは事実ですので、私は否定はしません。
 その上でですが、やはりこの問題は、与野党が対決するとか、火種を生むような対決法案になるという問題とは違うだろうと思います。ですから、本当に国民的な議論をより深めて、国会において、忌憚のない議論がされるということが、私自身は望ましいと思います。その上で、しっかりとしたコンセンサスを作りながら、その状況を見ながら我々としても対応していかなければならないと思います。

法務副大臣時代に関する質疑について

【記者】
 法務副大臣時代を振り返られて、特に印象に残っておられること、副大臣時代の御経験を生かして特に注力したい施策についてお聞かせください。

【大臣】
 副大臣時代についてですが、計2年務めましたので様々なことがありました。一つは、先ほども申し上げましたとおり、チーム法務省として一つのマンパワー、組織として、力を持たなければならない。そういう意味では、現場の風通しを良くしていくことが大切なので、副大臣時代も相当出張しまして、検察、民事、矯正、保護、入管、あるいは公安庁、そういう方々が一堂に合わせて皆で連携をとってやっていきましょうということをお願いしました。
 それから民事の関係で言いますと、民事局はずっと法務局の職員が減らされていました。特に登記の職員。ただし、登記というのは、今、やはり所有者不明土地の問題もあるし、また登記の義務化も始まりました。また、オンラインもやっていかなければいけないということもあり、副大臣時代には、人員として増加に転じることができたということ、更に、民事法制の話で申し上げますと、かつて私は、憲法改正の国民投票法案を議員立法で、発議者として発議をさせていただき、民法及び公職選挙法の成人年齢を20歳から18歳にするというのを附則で書いて通したことがありました。それが、副大臣時代の民法改正で実現したことも、一つの大きなことだったと思います。
 矯正・保護の関係で言いますと、再犯防止も法律ができ、再犯防止の計画作りを、私がヘッドとなってさせていただき、その問題に非常に大きな注目が集まることができたというのも、一つありました。また、矯正分野について申し上げますと、非常に施設が老朽化していることを何とかしなければならないということで、様々な議員に働きかけをしながら、いわゆる「骨太の方針」に矯正施設の環境整備という文言を入れていただいたことも思い出として残っています。
 また、刑事の関係で言えば、刑事訴訟法大改正のときの副大臣でもあり、非常に長い時間法務委員会の椅子に座り、それなりに大臣を支えながら、答弁をさせていただいたことも、私自身が元々捜査をしていたこともあり、そのようなことも思い出されます。
 いずれにしても、様々な分野に法務行政は関わっていますので、それぞれの分野バランス良く、しっかりと前に進めなければなりませんし、その思いは大臣になっても変わらないということを申し上げたいと思います。

(以上)

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