厚労省・新着情報

 

 

医政局医薬産業振興・医療情報企画課

○日時

令和4年6月29日(水)15:00~17:00

 

○場所

AP新橋 D+Eルーム

○議事

○曽我流通指導官 
 ただいまより、第33回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催いたします。
 初めに、委員に交代がありましたので、新たに委員に加わりました4名の方を御紹介させていただきます。
 流通経済研究所、上原委員に代わりまして、同志社大学商学部、冨田委員。日本製薬工業協会、熊谷委員、原委員に代わりまして、森委員、武岡委員。日本ジェネリック製薬協会、伊東委員に代わりまして、村岡委員。
 また、全国自治体病院協議会、平川委員は御退任され、新たに委員となられる方は御欠席との連絡をいただいております。
 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
 座席図、議事次第、委員名簿、資料1から資料4、参考資料1から参考資料6が入っております。不備や御不明な点がありましたらお声がけいただければと存じます。
 ここで、開催に当たりまして榎本医政局長より御挨拶申し上げます。

○榎本医政局長 
 一言御挨拶申し上げます。
 6月28日付で保険医療担当の審議官から医政局長に就任いたしました榎本健太郎と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日御参加いただいております皆様におかれましては、日頃から、医薬・医療行政の推進、そして医療用医薬品の流通改善や安定供給に御尽力をいただいておりますことにまず御礼を申し上げたいと思います。
 医薬品の流通に関しましては、平成30年1月に医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドラインを策定したところでございますが、その後、また本日お集まりの皆様に御意見などを伺いながら、昨年11月に改訂したところでございます。
 改訂の主な内容につきましては、独禁法の関係法令等の遵守を徹底するといったこととともに、単品単価契約の推進、あるいは頻繁な価格交渉の改善、在庫調整を目的とした返品の是正のための取組を進めていくということとしているところでございます。
こうした改訂内容を含めまして、ガイドラインの内容を関係者の皆様方に広く周知徹底していくことで医薬品流通の諸課題の改善、安定供給が図られていくことを期待しているところでございます。
 一方で、医薬品流通を取り巻く環境につきましては、特に皆さん御承知のとおり、薬価の中間年改定など、非常に厳しい状況が続いているところでございます。そうした中で、6月14日に革新的医薬品等創出のための官民対話というものを開催したところでございますが、その場において参加いたしました私どもの後藤厚生労働大臣のほうから、国民に必要な医薬品を迅速かつ安定的に供給していくための流通制度や、あるいは薬価制度のあり方について検討を行うための有識者会議を設置するという旨の発言があったところでございます。具体的なスケジュールや構成員など詳細につきましてはこれから詰めていくこととしているところでございますが、準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
 皆様におかれましては、引き続き医薬品流通の諸課題の改善に資する御意見、いろいろあるかと思いますが、ぜひ忌憚なく賜りますとともに、本日のこの会議におきましても、ぜひ率直にまた皆様の御見識を御披露いただければ大変ありがたく思っております。どうぞ本日はよろしくお願い申し上げます。

○曽我流通指導官
 それでは、これより議事に入りますので、撮影はここまでとさせていただきます。
 以降の議事進行につきましては、三村座長にお願いいたします。

○三村座長
 それでは、本日の審議を開始したいと思います。
 本日の議題は、1.流通改善の課題と進捗状況について、2.その他であります。まず、議題1、流通改善の課題と進捗状況について、事務局から資料が提出されております。直近の取組や進捗状況について、事務局のほうから報告をお願いいたします。

○信沢首席流通指導官
 それでは、資料1「流通改善の課題と進捗状況等」について御説明します。資料の右下に記載のページ数で2ページを御覧ください。四角に囲ってある枠内は流通改善ガイドラインの抜粋です。ガイドラインにおいては、一次売差マイナスの解消、適切な一次仕切価の提示、また割戻しは卸機能の適切な評価等による整理を行うこととされています。その下にこれまでの取組について記載させていただいております。
 3ページを御覧ください。こちらの折れ線グラフは、メーカーが卸売業者に販売する価格である仕切価、それと卸売業者が医療機関、薬局に販売する価格である納入価、そしてメーカーから卸売業者に支払われる割戻しについて、それぞれ薬価を100としたときの割合とその推移を表したものです。データは、グラフの下に記載のとおり、5社の卸売業者の取扱い全品目について調査したものです。2021年度については、前年度と比較いたしまして、仕切価率が0.2ポイント上昇し、納入価率は0.3ポイント上がっております。また、割戻しは前年度と同じでございます。一次売差は仕切価と納入価の差でございますが、仕切価率が納入価率より高い状況ということは、一次売差がマイナスの状態であって、2021年度は差が0.1%縮小していますが、前年度と比較してほぼ横ばいという結果になっております。
 次に、4ページから6ページですが、医薬品のカテゴリーごとに仕切価の見直し状況をメーカーにお聞きしたものでございます。それぞれのカテゴリーについて旧薬価に対する仕切価の率と新薬価に対する仕切価の率について、旧薬価の際よりも新薬価になった際の率のほうが上がったものを上昇、下がったものを低下としております。
 少し分かりづらくて申し訳ございませんが、1つ目の新薬創出等加算品につきましては、上昇したものが19品目で、その理由としましては、製品価値を踏まえた対応、薬価引下げに伴う経営への影響を鑑みた対応ということでした。低下は10品目であり、市場実勢価の水準を踏まえた対応、その他となっております。
 右側の棒グラフを御覧いただきますと、ほとんどが同水準ということでございます。上昇についても昨年度より若干減少しているという状況になっております。
 続いて特許品ですが、上昇が30品目、低下が4品目で、右側の構成比の推移につきましても、新薬創出等加算品と同じような傾向を示しております。
 5ページ目ですが、こちらは長期収載品ですけれども、上昇が180品目で、減少が165品目でした。構成比の推移につきましては、上昇の割合が若干増えつつある傾向にあります。
その下、後発医薬品につきましては、上昇が2,641品目で、低下が1,351品目となっています。後発医薬品については、他のカテゴリーに比較して同水準の割合が低く、上昇の割合が増加傾向となっておりますが、低下のほうも増加しております。
 6ページですけれども、その他後発品のない先発品につきましては、前年度と比較して上昇の割合が急激に増加している状況になっています。
 その下、これらの合計を記載してあります。全体の傾向といたしましては、同水準の割合が多いながらも、上昇と低下が若干ながら増えているという結果になっております。
 次に7ページですが、こちらは割戻しリベートの運用基準の変更状況について、メーカー各社に調査を行ったものです。左側の円グラフは、2022年4月の薬価改定を受けて割戻しを見直した結果、変更を行った企業の数を示しております。今回は、95社中44社に変更があったということでございます。
 右側の円グラフはこれまで行った調査の累計で、2019年4月からこれまでに変更を行ったことがある企業が74社で、行ったことがないというのが21社という結果になっております。
 変更の内容といたしましては、円グラフの下のほうに、こちらは複数回答ということになっておりますが、最も多いのが下から2つ目の割戻しの算定率を調整・変更したというもので、次に多いのが割戻し項目の新設という結果でした。
 次に8ページですが、こちらは仕切価・割戻しのメーカーから卸売業者への提示時期についての調査結果です。左側の円グラフが仕切価です。95社から回答がございまして、その23%が告示日に、64%が告示日後3日以内に提示したということになっております。
右側の円グラフが割戻しで、91社から回答がございまして、こちらのほうは告示日に提示したというのが30%、告示日後3日以内というのが34%ということになっております。
 次に9ページを御覧ください。妥結率の推移についてですが、こちらのほうは、2014年、平成26年に未妥結減算制度が導入されて以降、各年9月末時点の妥結率を記載しておりますが、9割以上の水準となっております。その下が直近3か年度でございますが、3月時点の妥結率ということで、ほぼ100%となっております。
 次に10ページですが、こちら、平成29年度以降の妥結率の推移を折れ線グラフで表したものでございます。コロナ禍の影響で調査をしなかった令和2年6月を除きまして、3か月ごとに調査をしております。未妥結減算が導入されて以降、多くは9月までに妥結をしておりますが、その後、12月には一旦妥結率が下がっております。これは10月以降に価格の再交渉、再契約が行われているものと推定されます。年ごとに12月の妥結率を見てみますと、僅かながらですが、妥結率のほうが下がっている傾向が見受けられるように思います。妥結率が下がっているということは、下期において再交渉が増加しているのではないかということも考えられると思います。
 11ページですけれども、こちら、単品単価契約の推進ということで、内容は前回の令和3年12月の流改懇の資料と変わっておりませんが、こちらのほうも、下の※印にございますとおり、5卸売業者の協力を得て、これまで、200床以上の病院、20店舗以上の調剤薬局について調査を行ってきた結果ということになっております。
 以上です。

○三村座長 
 ありがとうございました。
 ただいま事務局からの説明に関連いたしまして、日本製薬工業協会から、資料2の説明をお願いいたします。

○森(英)委員
 ただいま御指名いただきましたエーザイの森でございます。土屋様の後任といたしまして、このたび、流通適正化委員会の委員長を拝命いたしました。改めまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 早速ではございますが、流通改善に向けたメーカーの取組と考え方につきまして御説明申し上げます。
まず初めに、流通改善ガイドライン、割戻しの整理に即した仕切価・割戻しの設定につきまして御説明申し上げます。本年1月に適用されました改訂版の流通改善ガイドラインにのっとり、仕切価へ反映可能な割戻しは、仕切価へ反映した上で整理・縮小することを業界内で周知するとともに、継続して割戻し基準の変更、仕切価への反映を行うよう徹底してまいります。今後も、実態等の把握に努め、緩むことなく取り組んでまいります。
 製薬企業の研究開発費につきましては、参考資料の1、2、3でお示しいたしました。純利益が下降トレンドにある中、研究開発費につきましては、毎年、売上比率で17~18%の水準を確保いたしております。また、参考資料2では、産業別の研究開発費の売上比率につきましてお示しいたしております。御覧のとおり、医薬品製造業につきましては、他の産業に比べて突出した研究開発費を投じていることを御理解いただけると思います。
 このような状況にあって、参考資料4でお示ししましたとおり、仮に乖離率8%で毎年薬価の改定が行われますと、10年目には薬価は6割未満となってしまいます。参考資料5は、2015年の薬価を100としたときの薬価、仕切価、納入価の金額推移につきまして、当時の経済課の資料をもとに作成したものです。
 仕切価率につきましては、上昇しているとの御指摘をいただいておりますが、仕切価の金額につきましては、御覧のとおり、毎年引下げを行っており、2015年の薬価を100としたとき、6年間で70.7%の水準となっております。中間年改定が行われ、毎年薬価が引き下がるなど大きな環境変化に直面している中にありましても、新薬創出等加算品目や特許品、長期収載品におきまして約9割の品目で、薬価改定率と同率で仕切価を引き下げております。
 このように、メーカーといたしましても、流通改善ガイドラインを強く意識した仕切価設定に努めていることを御理解いただきたく存じます。
 続きまして、単品単価交渉推進に向けました取組と考え方につきまして御説明申し上げます。薬価基準制度は、原則銘柄別収載を基本とし、市場実勢価格を新たな改定薬価へと反映していく仕組みでございます。現在議論されております単品単価交渉の推進により、個々の医薬品の価値が適切に評価されることは、薬価基準制度の趣旨に合致するものであるとの考えに変わりはございません。その中で、メーカーから卸への仕切価や割戻し提示の遅れが医療機関と卸との価格交渉の遅れにつながり、結果、総価交渉の一因となっているとの御意見がございます。
卸への仕切価、割戻しの早期提示につきましては、流通改善の観点からも非常に重要な事項であると認識しております。本年4月に実施されました経済課の調査によりますと、仕切価につきましては、7日以内の提示が96%、割戻しは14日以内の提示が96%となっております一方で、15日以上の時間を要している企業もございます。いま一度、薬価告示後速やかに卸への提示が完了するよう、会員各社へ周知してまいります。
 薬価基準制度や流通改善ガイドラインの観点からも、全品、単品単価交渉による取引が原則であると考えております。しかしながら、経済課による調査によりますと、単品単価交渉の実施率は、現在、全体で53%となっており、取引の類型別にも大きなばらつきが見られます。現状といたしましては、道半ばの状態にあると認識しており、この状況を一歩進めるために、最終的には「全品」とした上で、優先的に単品単価交渉に取り組む領域を行政主導で設定していくことにつきましては検討していく必要があると考えており ます。
 また、単品単価交渉を推進していくに当たりましては、これまで実現している単品単価交渉が後退することのないように、実施率の目標やタイムラインを設定するなど、行政による支援が必要であると考えております。
 3点目は、薬機法改正に伴う対応でございます。2019年12月4日公布の薬機法で、法制化されました添付文書の電子的な方法による提供の原則化に関しまして、添付文書の電子化並びにアクセスに必要なGS1バーコードの読取専用のアプリにつきまして、医療機関や薬局への普及啓発活動を継続して行ってまいります。
また、医療用医薬品の流通管理向上の観点から、添付文書の同梱を廃止した製品の出荷時や添付文書同梱廃止に伴い、包装サイズの変更等が発生する場合につきましては、可能な限り早い段階で卸への適切な情報提供を行うよう継続して周知してまいります。
 一方で、同梱廃止に伴う包装変更は、医療安全上の観点から制定された法律への対応でございます。加えまして、医療資源の有効活用の観点からも、添付文書の同梱廃止に伴い、包装サイズのみが変更された場合につきましては、変更前の製品を通常どおり御使用いただきたいと考えております。
2022年12月に施行期日が設定されております医療用医薬品を特定するための符号の表示につきましては、製薬協として推進を図ってまいりました。結果といたしまして、製薬協内部での調査によりますと、2021年9月時点でほぼ100%となっております。
 次に、4.の医薬品の安定供給につきまして御説明させていただきます。医薬品の安定供給は、一義的に医薬品メーカーの責務であり、会員各社に対し最大限の増産に向けて努力するよう周知いたしました。また、その流通につきましては、医療機関や薬局に対して適切な情報提供を行うことを目的として、日薬連から発出された供給状況を表す用語や考え方の中で提起された用語を必ず使用するよう周知いたしました。今後も、供給不安を少しでも解消すべく、日薬連の活動に即した取組を周知してまいりたいと考えております。
 最後に、流通改善ガイドライン及び法令の遵守につきまして御説明申し上げます。流通改善ガイドラインを周知・推進していく取組の一環といたしまして、製薬協では、本年1月にガイドラインへの理解をより一層高めることを目的といたしまして、首席流通指導官を招聘した説明会を開催いたしました。また、公正な競争の確保と法令の遵守につきましては、改訂版ガイドラインの発出に先駆けて、弁護士を招聘した研修会を2回実施いたしました。今後も流通改善ガイドライン及び関連法令の遵守に向けた取組を継続して実施してまいります。
 以上でございます。ありがとうございました。

○三村座長
 ありがとうございました。
 続きまして、日本医薬品卸売業連合会から、資料3の説明をお願いいたします。

○折本委員
 卸売業連合会の折本でございます。
 私のほうから、流通改善のさらなる推進について御説明いたします。1ページです。まず、本年1月から適用されました流通改善ガイドラインの改訂を受けまして、当連合会では、会員向けの冊子を作成し、説明会を開催するなどガイドライン徹底に向けた独自の取組を進めております。また、卸各社も、取引先の理解を得ながら流通改善の取組を進めておりますが、流通改善ガイドラインが目指すゴールに到達するまでにはいまだ道半ばの状況であります。
本日は、医薬品の流通や取引をめぐる医薬品卸の課題認識を改めて共有させていただきます。また、右には、医薬品産業ビジョン2021年で、28ページになりますが、流通の項目で卸業者の交渉支援の項目を抜粋させていただきました。
 一番下に少しマーカーを引いてございますが、その上に、「メーカーと医療機関との仲立ちを務めてきましたが、本質的な医薬品の価値に基づく価格形成力があったとは言い難く」と残念な表現の後で、「国においても流通改善ガイドライン等の改善と現場への指導・徹底や制度の見直し等を通じて、適切な価格交渉など流通改善の実現に向けた支援を行う」といただきました。
それに向けて、この流改懇でのさらなる議論によりまして、流通改善の実現に向けて努力もいたしますし、御支援をいただきますようお願い申し上げます。
 続きましてのページです。医薬品卸の課題認識-1です。A)といたしまして、総価交渉の取引慣行の是正。今回の調査でも示されているように、単品単価契約に至る価格交渉過程では、総価交渉の取引慣行が多く残っています。医薬品の品目数が年々増加し、その特性も多様化していることから、単品単価交渉に携わる川下取引の業務が複雑化しています。対応を御検討いただきたい項目といたしまして、総価交渉の取引慣行からの脱却を図るべく、単品単価交渉の対象拡大のためのロードマップを策定すべきではないか。今後、制度を見直すことで単品単価交渉のさらなる拡大につなげる仕組みを構築できないか。
次のB)といたしまして、頻繁な価格交渉の是正。現在議論されている中間年の薬価改定が仮に継続された場合、2年に1度だった価格交渉を新たな薬価を受けて毎年行うこととなり、業務負荷の恒常的な増加が危惧されることから、妥結価格の頻繁な変更は可能な限り回避すべきである。後発医薬品の需給調整の収束が見通せない中で、全ての流通当事者の業務負荷が増加しています。加えて、災害など不測事態への対応も考えると、今後も業務負荷には十分な配慮が必要である。
対応を検討いただきたい項目といたしまして、薬価調査の透明性を確保するためにも、未妥結減算制度を形骸化させかねない価格再交渉を防止する仕組みを検討できないか。
 続きましてのページです。医薬品卸の課題認識-2です。C)といたしまして、仕切価・割戻し交渉の改善。先ほども御報告がございましたが、仕切価に反映可能な割戻しが仕切価に転換され始めたが、全体としての仕切価率は下がっていない。集計はいたしておりませんが、最終原価も上がっておる状況であります。薬価告示後に変更される仕切価・割戻しの提示時期にばらつきがある。また、現状、メーカーと卸の間で仕切価・割戻し交渉の実態がない。ガイドラインにも示されましたとおりに、十分な交渉を行い、早期に設定することとありますけれども、残念ながら時間的な余裕がないこともあり、交渉する実態がない。数回も薬価改定を経験しておりますが、ほとんどこういった価格が変わることはございませんでした。こういう時間がないというよりも、そういう考え方で今まで至ったということを御理解いただければと思います。
 また、卸から取引先への見積書提示は3月下旬から4月以降にずれ込み、仮価格が多い商慣習になってしまっている。これも、そのメーカーの仕切価や割戻しがということよりも、そういう商慣習で9月が未妥結減算月ということもあり、見積もり提示が卸側も大変遅いという大変悪い商慣習になっていることを改善する意味でも、この点が問題であるという意味合いです。市場実勢価格を踏まえていない仕切価設定の品目が多く見受けられる。
対応を御検討いただきたい項目として、仕切価・割戻し交渉のあり方、期間について、検討する必要があるのではないか。いわゆる交渉実態も含めて、3月前半ぐらいまでには何とかならないものか。それに伴って卸も、早期の入札参加、あるいは見積書提示をする商慣習に変えていきたいという意味合いであります。
 続いてD)です。包装仕様の多様化への対応。包装仕様が多様化しており、包装変更の多発による返品を招く要因となっている。添付文書の同梱廃止に伴う包装変更や返品の発生により、流通上の混乱が生じることを懸念しております。経過措置は2023年7月31日までを期限としておりますから、今からかなりの数が出てくるものと思われます。
対応を検討いただきたい項目といたしまして、この機会に包装仕様の変更を必要最小限にすることを御検討いただくような必要があるのではないか、包装仕様の簡素化など議論をいただければというところであります。
 卸連からは以上であります。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、資料1から3までの説明が終わったわけですけれども、これまでの資料の説明を踏まえまして、一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定及び早期妥結、単品単価契約の推進等という課題に関しまして、皆様からの御意見とか御質問をお願いしたいと思います。
それでは、森委員、どうぞ。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
 この懇談会が始まる前に日本医師会の宮川委員と話していたのですけれども、榎本局長のほうからも、中間年改定等、医薬品を取り巻く環境は厳しいというお話がありましたが、後発品のみならず先発品の安定供給にも支障を来していて、なかなか先が見えない状況です。また、後発品の使用促進、高額医薬品の増加、それから、薬価制度の抜本改革、中間年改定、安定確保医薬品の確保など、医薬品流通を取り巻く環境が大きく変化している状況の中で、改めて流通改善の目的は何かということを意識共有した上で議論する必要があると思っております。流通改善の目的は、流通関係者が一体となって将来にわたる流通機能の安定性を確保すること、もう一つ重要なことは、保険医療の中で国民が良質な医薬品を長く安定的に使用できるようにすることだと考えております。そのため、流通関係者が個々の医薬品の価値に応じた透明な市場実勢価格の形成に努め、薬価調査における信頼性の高い市場実勢価格の把握を行うことが必要だと考えます。
 一方、今日の資料にもありますように、総価取引等は医薬品の個々の価値に見合った価格とならず、適切な市場実勢価格の形成に逆行するものです。後で見ていただければと思いますけれども、資料1の21ページの、医薬品卸における価格交渉に関するアンケート調査の自由記載の3つ目のポツにもあるように、他の品目で帳尻を合わせることとなり、その結果が薬価調査に反映され、予見しない薬価の引下げが起こり、医薬品のライフサイクルを壊すことになります。このようなことが続くと、将来的に国民が良質な医薬品にアクセスできなくなってしまいます。
 改めて流通改善の目的は、安定した流通機能を維持し、国民が良質な医薬品にアクセスできる体制の確保であり、そのためにはどうあるべきかということを念頭に関係者が議論すべきだと考えます。
 その上で、1点、資料2について、製薬協の森委員に質問があるのですけれども、よろしいでしょうか。
 2ページ目の2.の2つ目の(単品単価交渉優先領域)ということで、「優先的に単品単価交渉に取り組む領域を行政主導で設定していくことについて検討することは必要と考える」ということですけれども、ここをもう少し詳しくご説明いただければと思います。

○三村座長
 それでは、森委員、お願いいたします。

○森(英)委員
 森でございます。
 御質問ありがとうございます。
 今、御質問いただきましたのは、単品単価、具体的な領域があるのかということをお聞きになられたという理解でよろしいでしょうか。

○森(昌)委員
 そのことと、このような提案に至った経緯についてお願いします。

○森(英)委員
 やはり単品単価交渉の推進というのはとても重要な事項であるということは皆さんも御存じのとおりだと思いますけれども、その中で、今まだ道半ばにあるという、この経済課の資料を見てもそのように感じているわけでございまして、それを具体的に進めるという意味において、特定の領域というものを選定して、それはあくまで行政主導で選定していただいて、行政主導で議論をして、それで決めていけばどうかと理解しています。
 したがいまして、今、現段階で具体的な案を持っているかというところではございませんので、これはあくまで関係団体の皆様方と議論しながら、どの領域がいいのかというところは話し合って慎重に決めていきたいと考えております。
 以上です。

○森(昌)委員
 ありがとうございました。
 まず1点なのですけれども、もしこのようなことをするとなったときに、この領域をどう決めるのかという問題、それから、仮に決めたとすると、それ以外の領域への影響が考えられ、ここは慎重に考えたほうがいいのではないかと思っております。つまり、一部の領域だけ単品単価が進み、他で総価が進むようなことがあったら、それは総価で進んだところの医薬品に影響を及ぼすことになるのではないかと思いますので、ぜひ優先的に単品単価交渉に取り組む領域を決めて進めることは、慎重に議論すべきだと思います。
 以上です。

○三村座長
 どうぞ。

○羽柴委員
 製薬協の羽柴です。
 今、御質問ございましたとおりだと思います。御提案あったとおりだと思います。厚生労働省からお示しいただきました資料で、現在、単品単価契約53%というデータがあったと思います。これはやはり後戻りしてはいけないというのを製薬協の中でも思っているところでございますし、ガイドラインでも、前年より上回るという言葉が出ておりますので、それを進めていくというのは大前提でございます。領域を決めたからといって、そこだけでいいということになってはいけないと思っていますので、おっしゃるとおり、そこは注意していかなければいけないとは我々も思っておりますので、ちょっとつけ加えさせていただきます。

○三村座長
 どうぞ。

○長瀬委員
 私は病院団体に所属しておりまして、病院団体の会合でちょっとこの間、私は真面目に単品単価がいいのではないかと話をしたら、200床以上の病院の方々からそれでは全然どうしようもないではないか、総価でないとやっていられないよという話が出ました。どうしてかというと、ともかく、先ほどもお話が出たように、品数がどんどん増えて、これに対応する人件費が大きくなり、総価でないと実際にパーセンテージが分からないではないか。経営者としてね。したがって、もっと実情に目を配り、この場での議論を掘り下げたいと思います。
 これは経済課の問題だけでなくて、医政局の問題だけでなくて、単品単価交渉をやることによるメリットを、病院なり買う人たち、一応薬局でもそうですし病院でもそうですし、買う人たちにメリットがないと、単品単価のメリットがないと改善しないのかなあと、私、ずっとここに出ているのですけれども、ちょっと反省しております。
 これは提案ですけれども、できるかどうか分かりませんが医政局から保険局に言っていただいて、診療報酬上で単品単価交渉にメリットを与えるような診療報酬を出してもらわないと、総価交渉はなくならないのではないかという気がする。今これだけ言っているのに、病院団体の主立った人がそのように言うということは、かなりの病院の人たちがやはり総価交渉にメリットがあるからだと思うのですね。ですから、我々がここで幾ら一生懸命言ってもなかなか効果がなかったなあと思って、ちょっと今反省しております。小山先生、ちょっと御意見をお願いします。

○三村座長
 では小山先生。

○小山委員
 基本的な考えはそのとおりなのですよね。今日厚労省の出していただいたスライドの3ページ目ですか、この仕切価、納入価、割戻し、基本的な考え方は、この仕切価と納入価がもうちょっと近づかなければいけないということなのですね。ところが、全く近づかない。誰が悪いか。僕に言わせれば、仕切価出しているほうが悪いのではないかと。どうせそういう値段になるのだったら、割戻しを最初にしておいてくれて、これを残してくれればそれで済むわけですね。
 でも、いろんなことを言いながら維持しているわけですけれども、実はそのしわ寄せがかなり後発品メーカーにいっているのではないかという気がするのですね。後ろのほうのスライドの仕切価の見直しの状況が、新薬創出加算、特許品、それから長期収載品、後発品となっていますけれども、確かに上昇はしていないと新薬創出加算も特許加算もいっているけれども、しかしながら、今の後発品メーカーの状況を見ると非常に悪い。片や大きなメーカーは今期最高収益だなんてやっているし、片方の後発品メーカーは大赤字。病院はどうかというと、今回3兆円近いコロナの補助金が入っても全体でプラス0.4%になるかならないかというような状況なので、非常にアンバランスな状況ができてしまっていると思うのですね。
 これはやはり何とかしなければいけないと思うのですけれども、今まさにお話になったとおり、どちらかというと川上のところは余りいじられていないような気がするのですよね。川下は、やれ単品単価だの、それから未妥結減算になるだの、いろいろ条件がつけ加えられて、非常に苦労している。我々とすれば、私、私立医科大学協会の代表ですけれども、大学病院においては、これはなぜ単品単価でなければだめかということは、適正な薬価を構成するためなのだと。単品単価でなくて総価でやってしまうと、例えば安い100円の点滴が毎年10%ずつ下がってきてしまうともう提供してもらえなくなるのだというような話をしながら、病院の関係者、大学病院の理事長先生には御説明をしております。
 それにしても、僕らは病院の代表で来ますから、病院はすごく、いじめられてとは言いませんけれども、いろいろ努力しているのですけれども、どうもその上のほうが余りその努力が見えないような気がしてしようがないのですけれども、いかがでしょうか。

○三村座長
 それでは宮川先生。

○宮川委員
 日本医師会の宮川ですけれども、小山先生があらかた言ってしまったので。そういう意味で、先ほど森委員が言ったように、医薬品のライフサイクルをしっかり守るというか、医薬品の価値というものをしっかり見ていくということがすごく大事です。その話と流通の話というのは物すごく密着しているところもありますが、少し違っているところもあります。それを壊しているのが、やはり川上です。川上のことは、流改懇でずうっと問題にしています。その中でなお、この資料の中に道半ばと自分たちで記載しています。道半ばにしているのは自分たちの責任なのに、道半ばと堂々と資料の中に記載しているという、失礼な言い方ですけれども、こんなことを書いてはいけないと考えます。原因つくっているのは自分たちにあるということを考えながら、今、小山委員が言ったように、川下のところは少しずつ少しずつ改善し、具体策が見えてきている現状です。川上のところがしっかりとされていなかったらば、小手先の策で対応せざるを得ないのでしっかりと考えていかなければいけないと思います。
 メーカーの出された資料で、単品単価交渉の推進に向けたというところの中で、2.のところに行政主導で設定していただくとか、行政による支援が必要だとか、そのような書きぶりあります。では、行政が決めたら、行政が指導したり規定したら、それに対してしっかりと対応するのでしょうか。それでいいのだったら、私たちは全面協力して、それに対して議論していきたいと思います。メーカーがそのように言って、支援が必要だとか、設定していったことに検討することが必要だと言うのだったら、本当にそうしていただきたい。自分たちがちゃんと決めていただきたいと思います。もう少し自覚して毎年同じようなことを言っているのは時間の無駄だと思います。

○三村座長
 どうぞ。

○小山委員
 最近わたくし共の大学病院の薬剤部が問題視しているのは、一社流通品なのですよね。卸に一社しか卸さない。メーカーが。そうすると、これはまともな交渉はもうできないというのですよ。僕、最初に聞いたときには、高額な医薬品に関してはそれなりの理由があると理解しております。ところが、実態を調べたら、少ないところでも10品目以上、多いところでは80品目以上を一社流通品になって、価格の交渉はできないのですよという話になってくるのですね。
 だから、我々、一生懸命、単品単価やろうと努力しているのですけれども、それに輪かけて、一社流通品なんていう、こんなルール違反のことを出してこられてしまうと、本当にこれ、流通改善になるの。さらに一番心配なのは、そのことによって、薬が我々の手元に来なくなるということが最大の心配で、実際にその心配が今起きてしまっているということをもう一回この会の中で十分議論していただいて、流通改善するにはどうしたらいいのかということを本気になって考える必要があると思いますね。このままでいってしまったら、本当に薬が提供されなくなる可能性があるのではないかと思って、とても心配しております。
 以上です。

○三村座長
 どうぞ、宮川先生。

○宮川委員 
 今の事実というのをしっかりと見つめなければいけないのです。今、小山委員言ったこと。これは事実です。それを決めているのはメーカーです。卸に対してやってことは改善しなければなりません。もしそういうことに対して行政主導でと言うのだったら、行政のほうでしっかりと指導していただきたい。でなければ、私たち医療者は困ります。それに対して見解を教えていただきたい。

○三村座長 
 では、武岡委員、どうぞ。
○武岡委員 
 取り組む領域と限定流通の話が2つあったかと思いますが、一社流通、限定流通のほうについて、少しコメントさせていただければと思います。
 基本的にはメーカーの個社の考えに基づいて、個社の判断と考えますが、多くは、特別な施設要件のある、特殊な医療品、医薬品等の厳格な情報管理または対象患者数、対象施設が限られた希少疾病などの医療品の資源を考えた在庫管理や安定供給のためという認識をしております。
 以上です。

○三村座長 
 小山委員、どうぞ。

○小山委員  
 すごくよく分かるのです。そのとおりですよね。ただ、調べて、僕、そんなに多くないと思ったら、大学病院の中で80品目以上というのが幾つもあるのですよ。ちょっと多いのではないかなあと思う。今の条件に合わせるとね。いろんな流通のいろんなことを考えたときには、こうせざるを得ないというのは最初分かっていたので、それはこうなんじゃないのと言ったら、いや、先生違いますよと薬剤部から言われたのが、アンケート調査出てきたら、80品目を超える。えっ、こんな薬もと思うようなものまでそういう形をとっているのが事実だと思うので、ぜひそちらのほうで調べていただきたいと思います。

○三村座長 
 原委員、どうぞ。

○原委員
 保険薬局協会の原でございます。
 慢性疾患で使われるような血圧の薬や抗不整脈剤が、メーカーさんが販売移管した途端に一社流通に変わっていたり、流通が急に変わったりすることがあって、確かにレアな薬で、トレーサビリティをしっかりしなきゃいけないとか、情報提供活動しっかりしなければいけないもの、あちこちに置くような薬でないものに関しては一社流通に理解ができるのですけれども、そういうものまで今どんどん入ってきてしまっている。後発品についてもそういう形になってくるのではないかとか、いろんなことが我々心配で、そのたびに卸さんを変えなければいけないし、つき合っていない卸売業者にそれを頼むことによって、たった1種類の薬だけのために卸さんに納入してもらうと、それこそ流通上無駄な動きになってしまうとかそういうことが起きますので、そういうところも踏まえて一度御検討いただければと思っております。
 以上です。

○三村座長
 では、森委員。

○森(昌)委員
 日本薬剤師会の森です。
 一社流通について、私どもに、中小の薬局からよく寄せられる声が、卸が1社になってしまって、供給が不安だということです。というのは、取引をしていない卸、大手の卸が、当然一社となるのでしょうけれども、地方に行ったときにそこに卸の営業所がないこともあると思います。そのような場合にでも、きちんと入手できるようにしていただきたいと思います。中小の薬局はそもそも中々価格交渉ができないのですけれども、一番不安なのは流通が確保されるかということです。そこだけはぜひお願いしたいと思います。

○三村座長
 眞鍋委員、どうぞ。

○眞鍋委員
 卸連合会の眞鍋でございます。
 今ほどの一社流通なのですけれども、大手の広域の4社がそれぞれ一社流通品を持っているということは、その一社流通の医薬品を管理する上で何か特別な技術や装置が必要なのではなく、どの卸でも一社で流通ができるというと、果たして一社流通そのものの意味があるのかどうかということと、それから、独禁法上、一社流通に限るということの法的な正当性ってどうなっているのかというのは、よく一社流通以外、要は外されてしまうことの多い弊社からすると、ぜひ伺ってみたいと思いました。
 以上です。

○三村座長 
 ありがとうございます。それについて今はまだ事態や状況がよく分かりません。ただ、眞鍋委員の御質問の趣旨は、よく分かりましたので、これについては調べておきたいと思います。
 この後もワーキングチームの検討会の御報告とか、それから新しい検討会を厚労省が開始されるということがあるわけですが、やはり供給安定について皆様方が不安をお持ちであるということは大変よく分かりました。私の受けた印象ですが、特に病院の御関係者、医療の御関係者、あるいは薬局の御関係者からいろいろな問題提起があり卸さんのほうも、恐らく同じ問題意識を共有されていらっしゃると思います。ただ少しメーカーさんのほうと問題意識がまだ必ずしも一致していないところもあるという感じがいたします。しかし、流通が急速に変わりつつあるということだけは確かでありますし、それについての分析も情報もまだそれほど整っていないという話でありますので、こういう話を聞いたということだけで議論していますと議論がまとまらなくなってくる可能性もあります。しかし、大変重要な問題であるということは理解いたしました。
 そこで、課長のほうから何か一言お願いいたします。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長
 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 冒頭、薬剤師会の森委員のほうからお話ございましたけれども、この流改懇の皆様方でここに集まって議論していただいている目的ですね。それはまさにおっしゃられたとおりで、国民の皆様に良質な医薬品というものをいかに持続的に供給していくか。そのための適正な流通のあり方を皆さんで議論しながらつくり上げていくという、まさにそういうことだと思っております。
 そういった流れの中で、今、座長のほうにもおまとめいただきましたけれども、今しがた議論になっております一社流通の問題、これについてはまだ実態を我々もきちんと把握できておりませんので、まさにガイドラインの実効性を高めるために、今回ワーキングチームを設置いたしました。この後また議論になりますけれども、そこの中でしっかりと実態把握を進めた上で、多分何らかの流通自体が変わりつつあるという実態もあるということだと思いますので、それが果たして、先ほど申し上げた目的に照らしてどうなのかという観点から、しっかり関係者の皆様方でまずは議論した上で、改めてこの流改懇の場でも御報告させていただければと考えているところでございます。

○三村座長
 ありがとうございました。
 そのほかに何か御意見がありますでしょうか。

○小山委員
 この資料、厚労省が出した3ページ目の仕切価、納入価、割戻しのところですけれども、これは市場経済と我々やっている統制経済が混じるときにどうしても必要、必要悪とは言いませんけれども、必要なものだと認めてあげると逆にすごくやりやすくなるのではないかと思うのですよ。発想の転換が必要なのではないか。これをゼロにしようというのはどう考えたって無理だと思うのですね。発想を転換して、これはこれでよしと。その代わり、さっき言ったような一社流通する、何か違うところで姑息的なことをちょこちょこやりながら、我々病院は、だまされるとは言いませんけれども、病院のほうも今一生懸命勉強していますので、その闘いをやっているうちに、何か無毛な闘いをするような気がするので、これ、認めてしまったらどうなのかなと思うのですけれども、だめなのですか、経済課的にはこれは。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 
 ドラスティックな御意見だと思います。正直、実際問題として、先ほど宮川委員のほうからもありましたけれども、長らくこの場で、ずっと議論してきてなかなか進まないという実態がある中で、さらに実態ベースで見ますと、流通のあり方自体がいろいろ変わってきて、いろんな形が出てきているということもありますので、おっしゃることも踏まえて、とらわれることなく議論をして考えてみるというのも必要かという感じがしております。
 それとついでに、先ほど長瀬委員のほうからもございましたけれども、そのための様々な手段というものもやはり考えていかなければいけないのかと思っております。慎重に考えなければいけないという御意見もありましたけれども、製薬協なり、あるいは卸連のほうからも御提案がありました。実際に単品単価交渉自体もどう進めていくかみたいなところでの一定の進め方みたいなものを示していくべきではないかという御指摘だったと理解しましたけれども、そういったことも含めて、慎重に議論しなければいけない点があるということは重々認識しております。実際に進めていくための様々なインセンティブも含めた手段というものについても、そろそろきちんと考えていくことが必要なのだろうという認識でおりますので、その点も含めまして、まずもっては、何度も言って恐縮ですけれども、ワーキングチームのほうで関係者の皆様と議論させていただければと考えております。

○三村座長
 それでは、宮内委員、どうぞ。

○宮内委員 
 流通近代化協議会のときから参加している立場からすると、まず、あのときに一番問題になった医薬分業で処方箋化するという問題が解決して、その次に、この流改懇に変わって、未妥結減算の導入、それから過度な価格交渉、それが今回新しい一社流通の問題まで踏み込むとなると本当に流通改善の本筋に入ってきたかなと思え足掛け30年近く委員を務めさせてもらって、私は歯科流通の立場なのですが、そういう問題の解決をしていただくと医療費適正化には役立つと思います。お国の力とか学識経験者の皆様の力を借りないとやはり厚い壁は崩せないかなと思っております。古希を過ぎましたが残された人生、そういう難題に挑戦したて頂けると、歯科医師会の宇佐美先生と共に、私も業界を代表して、参加しておりますが非常にやりがいがあると思っております。どうぞ皆さん、フェアな立場で、医師会の宮川先生からもいろんな良い資料を頂いて利用させていただいており、皆様のご意見を聞いて参加していると勉強にも実になりますので、どうぞよろしく、先生方の御配慮をお願いいたします。

○三村座長
 ありがとうございました。
 大変貴重な御意見をいただきました。そのほかにいかがですか。
 眞鍋委員、どうぞ。

○眞鍋委員
 医薬品卸連合会の眞鍋でございます。
 小山先生の御指摘、私も同じように感じております。製薬協の提示いただいている資料の10ページ目に、仕切価は薬価の下がったのと同率で下げているよと。しかし、仕切価を引き下げても、仕切価率が上昇してしまうケースということでイメージがあります。これは多分累次の薬価改定で薬価が大きく下がったので、同率で仕切価を引き下げていくと原価割れを起こすということを書いているのだろうと思います。
 ところが、その次のページ、実際、医薬品の分類ってどのように推移しているかというと、その仕切価率が上がっても仕方がない長期収載品の構成比はどんどん小さくなっていって、ちゃんと薬価の引下げと同率に仕切価下げているよとおっしゃっておられる特許品がほぼもう6割になってきています。ということは、実際に仕切価率が上昇しているというのは、長期収載品ではなく、特許品の増加が影響していると考えるほうが妥当ですし、前回の流改懇においても、土屋委員のほうから、特許品は同一成分がない、競合がないから仕切価率が高いとおっしゃっておられましたので、仕切価率上昇の原因というのを正しく捉える必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
 
○三村座長 
 ありがとうございます。
 それも分析が必要な内容であると思いますが。
 森委員、どうぞ。

○森(英)委員
 製薬協の森でございます。
 眞鍋委員の御指摘ごもっとも、おっしゃるとおりでございます。この10ページ目のスライド、これはもちろん、長期収載品、あるいはジェネリック、後発品をイメージしたスライドでございます。一方で、次の11ページのほうは、御指摘のとおり、特許品のウエートが上がって、長期収載品のウエートが下がっているというところで、非常にこのところ、仕切価率の上昇に与える長期収載品の影響というのは軽微でございます。むしろこの特許品、仕切価率の上昇は特許品のウエートが上がっていること、そして後発品のウエートが上がっていること、そして、先ほど経済課から御説明がありましたとおり、後発品の仕切価が上がっていること、この点が主な原因で仕切価率が上がっていると我々も認識しております。そのとおりでございます。

○三村座長
 小山委員、どうぞ。

○小山委員
 だから、その影響が後発品メーカーにいっているわけですよ。仕切価一緒だということは。だから、後発品メーカー、さらに収益率はどんどん悪くなっているのですね。あと、本当に僕やっていて心配なのは、原価割れしている薬が結構出てしまっているわけですよね。それでもなおかつ安くしていかなければならないとなると、もうやめたという話にある日なってしまうのではないかと思うのですよ。それを起こしては流通改善のこの会議が何の意味もなくなってしまうので、仕切価と納入価のこの差は妥当であると言えば、そうすれば、無理してこれは下げる努力しなくて、もっと違うほうにいくので、そのほうが妥当なのではないかなと思うのですけれども、森委員、いかがでしょうか。

○森(英)委員
 検討させていただきたいと思います。
 今ここで、はい、そうですともなかなか申し上げられないところだと思いますので。ただ、仕切価が高いという御指摘、特に特許品の仕切価が高いという御指摘につきましては、いわゆる特許期間中に、今まで開発に投資してきたものを回収する、そしてまた次の新しい薬の研究開発に投資していくという原資でもありますし、これが新薬創出加算等の制度が入ったときのポリシーであったと私は考えております。ですので、そういった中で、新創品でありますとか特許品の仕切価が高いというところはこういうことに起因していると御理解いただきたいなと。これは新しい薬への投資でもございますので、これは患者さんにとってもプラスの利益につながると我々製薬メーカーとしては確信しているところでもございますので、ぜひその辺のところは御理解いただきたいなと思っております。

○小山委員
 十分それは理解しております。で、日本の製薬業界、とても大事だということは十分分かっています。それだったならば、単一の卸にしか卸さないとかいうようなずるいやり方、やめてほしいということなのですよ。日本は薬がつくれる数少ない国の一つですので、医者としてもこれはぜひ守りたいと思います。ということで、そこはやるのだから、そうでないところ、変なことしないでよというのが正直な気持ちなのですね。

○森(英)委員
 貴重な御意見として。といいますか、先ほど来お話ございましたとおり、一社流通についてはこれからまた議論、検討していただけるというお話ですので、その議論の中でしっかりと我々の考えもお話しさせていただきたいなと思います。ありがとうございます。

○三村座長
 ありがとうございました。
 基本的には、やはり品目構成、カテゴリー構成の変化が大きく、ある意味で流通改善のこれまでの枠組みが少し適用できにくくなっているのかもしれません。それについてやはり少し柔軟に変えていく必要がある。これは今日、製薬協からも、あるいは卸連からも、あるいは皆さんの御意見からも出てきたことではないかと思います。ただ、この議論、このまま続けましても、すぐに結論が出るものではありません。そろそろ終結させたいと思うのですが、このほかいかがでございましょうか。
ここで折角の議論を止めていいのかというお気持ちだと思いますが、むしろここでこのまま続けるより、一旦、例えばワーキングとかそういった場を使いながら、もう一度しっかりと整理していく必要があるとは思います。
よろしゅうございますか。
 それでは、この議論についてはここまでとさせていただきます。ただ、今日本当にいい御議論をいただきました。これは基本的には、現状と、そして取引改善の枠組みとがどこかでそぐわなくなっていることかもしれません。それから、小山先生からもお話ございましたけれども、もともとの制度そのものをどう見るかということにも関係してまいります。
ただ、そうは言いつつも、やはり流通の現場においてはこれまで取引改善に向けて頑張ってきたということがありますし、この努力をここでとどめてはいけないということがございます。やはり何よりも透明性がある取引、合理的な取引を進めるという、この基本原則を守りながら、取引改善について今後もぜひ努力を続けていただきたいと思っております。ただ、本日非常に良い議論をいただきましたので、厚労省と一緒に検討し、整理し、それを具体化していくという方向性が重要ではなかろうかと思います。
それから、今回は御議論が一次売差マイナス、仕切価の問題に集中したということなのですが、厚労省からの資料にも指摘されていましたように、過剰な値引き要請であるとか、あるいは薬価差の大きな偏りがあるという話も聞こえてきております。これにつきましても、先ほど森委員のほうからも、基本的に薬価制度は何であるかという根本的な原則に立ち返ってといったような御指摘ございましたけれども、薬価制度の公平性、透明性、正当性、これは非常に大事でございますので、そのことを踏まえた上で、やはり改善に向けた努力をぜひお願いしたいと思います。
 本日のここについての一応まとめはこれでよろしいでしょうか。ただ、議論が終わったわけではなくて、このことを踏まえた上でさらに検討を続けていくというふうにしたいと思います。
 よろしゅうございますか。
 それではそのようにさせていただきます。
 それでは続きまして、資料1-2「価格交渉等の実態について」ということで、事務局からの説明をお願いいたします。

○信沢首席流通指導官
 事務局です。
 12ページ、II.「価格交渉等の実態について(第1回流通実態等検討ワーキングチーム報告)」とございます。ここからは非公開で行いましたワーキングチームで使用した資料について流改懇に報告するものです。
それでは、13ページをお開けください。まず、ワーキングチームの設置についてですが、令和3年12月22日に開催した流改懇において、流通ガイドラインの実効性を上げていくために、価格交渉等の実態把握を行い、検討を進める流通関係者による実務的なワーキングチームを設置しようということで、今回設置することになりました。このワーキングチームでの検討事項については、2番にございますが、本日もいろいろ御議論いただきました、まずは特に問題意識の高い単品単価交渉、単品単価契約の実効性を上げていくために、価格交渉の実態把握、またその方策を検討していきましようということになりました。
 ※印にございますように、その上で、ガイドラインにはそれぞれそのほかにもいろいろと課題が記載されておりますので、順次その課題について取り組んでいきましょうと。その中で必要に応じて製薬企業担当者の方にも参加していただきながら検討していきましょうということになりました。
 3番に進め方がございますが、ワーキングチームで検討した結果は公開可能な範囲で流改懇に報告し、最終的に流改懇で了解を得るということを決めました。今回実施したワーキングチームでは、第1回目ということもございまして、いろいろな御意見等ございましたが、まだ公表段階には至っていないということで、次回以降も引き続き検討していく上で公開可能な段階で流改懇に報告していくということにしております。今回は、前回のワーキングチームで使用しました資料について御報告させていただきます。
 14ページです。今回、価格交渉のアンケート調査を実施しました。これには日本医薬品卸売業連合会加盟の卸売業者全社の協力を得て実施しております。
 ○の3つ目にございますが、今回の調査では、これまでは200床以上を有する病院、20店舗以上を有する薬局のみの調査だったのですけれども、それに加えまして、200床未満の病院、無床診療所、20店舗未満の薬局・個店との取引も調査対象とするとともに、それぞれについて価格交渉代行を行う者との取引についても調査を実施しました。調査を実施するに当たっての交渉契約取引の関係につきましては、左下にございますように、前回の流改懇で決めさせていただきました表を使用させていただきまして、マル1の総価取引からマル5の単品単価取引までどういった取引が行われているかということで調査を実施しました。調査結果が15ページになります。
 こちら、卸連加盟の卸売業者36社から得られた回答を取りまとめております。下のほうの朱書きで注1)にございますとおり、2021(令和3年度)の取引の実績、薬価ベースの金額の割合ということになっております。表の一番上のところですが、横に見ていきますと合計のところが100%ですので、取引先の類型ごとには、200床以上を有する病院では31.9%の取引がございましたというような形で見ていきます。
 それから、今度は縦のほうに見ていきますと、取引の類型ごとに割合を出させていただいております。例えば200床以上を有する病院のところで御覧いただくと、マル1の総価取引からマル5の単品単価取引までパーセンテージが記載されておりますが、ここで一番多い割合とすると、マル5の単品単価取引が45.1%ということで、それぞれの取引がトータルで100%ということになっております。
その下に、うち価格交渉代行を行う者との交渉を経た取引というのが、この100%の中には18.5%含まれていたというような形で見ます。この表でいくと、最終的には右側の合計のところですね。先ほどから単品単価53%というお話が出ていましたが、こちらに記載されている53%、取引全体として単品単価取引が53%を占めているというような形の結果となっております。
 次に16ページですけれども、こちらは円グラフで示させていただいております。若干数字の取り方が変わっておりまして、まずは200床以上を有する病院ということで、先ほどの表とどこが変わっているかというと、右側の円グラフですね。価格交渉代行を行う者との交渉を経た取引、これを100とした場合に、先ほどのマル1からマル5の割合はどうなっているかということを示しております。
結果としましては、若干、価格交渉代行を行う者との交渉を経た取引のほうが、緑色の単品総価取引が多くなっているという形になっております。
 17ページは、200床未満の病院・無床診療所を取引全体と価格交渉代行を行う者との交渉を経た取引というので比較したものです。こちらのほうも比較をしますと、ちょっと緑やピンクの部分が多くなっているという形になっております。
 18ページが20店舗以上を有する調剤薬局チェーンということで、こちらは黄色の部分の単品単価取引も大きく増加しておりますが、ピンクの部分が減少していて、緑の単品総価が若干増えているという結果になっております。
 19ページが20店舗未満の調剤薬局チェーン・個店の状況となっております。
 続いて20ページですけれども、交渉の状況としまして、総価取引の中でも除外しているものがあるとか、単品総価取引の中でも除外しているものがあるのはカテゴリーとして一体どういうものがございますかと質問して、複数回答で返ってきたものです。その取引実績の多い順番で上位3つまで回答してくださいというので、1、2、3位ということで、ちょっと見づらくはなっておりますが、回答としましては、マル1、マル2、新薬創出等加算品とか特許品といったものを、総価取引をする中でも、今現在でも除外して単品単価で行っているものがあるという回答をいただいております。
 あと、その他のところが多かったのですけれども、その他につきましては、先ほどからちょっと御意見が出ております一社流通品とか基礎的医薬品、そういったものが挙げられています。
 21ページですが、こちらは単品単価交渉を困難としている主な理由は何でしょうかということで、こちらも複数回答可ということで、「そうだと思う」、上位3つ、こういった取り方をしたので見づらくはなっているのですが、多くの回答が集まっているのは「購入側が総価での交渉にしか応じないため」というところが多い回答であった。あと、その他の回答のところも若干多かったのですけれども、自由記載の主なものを下のほうに挙げております。
 22ページにつきましては、今回行った調査についてですが、同じような調査を前回、令和3年10月にも実施しておりますので、今回行った令和4年5月実施のものと令和3年10月に行ったものを比較しております。
 22ページが200床以上を有する病院、それから23ページが20店舗以上を有する調剤薬局チェーン。令和3年10月のときはこの2つのものしか調査していませんでしたので、今回比較するのもこの2つということで比較しました。
 以上でございます。

○三村座長
 ありがとうございました。
 これはまだ1回開かれただけで、自由討議が行われた段階でございます。基本的には非公開を原則にしたということで、私も参加させていただきましたが、大変自由な議論がございました。皆様から何か質問ありますか。
 岩下委員、どうぞ。

○岩下委員
 ありがとうございます。
 製薬協の岩下です。
 若干細かい点で恐縮ですが、21ページのアンケート、その他のところで、もともとこれは全体のアンケート調査そのものが、代行のあるかないかというところについては特段ガイドライン上問題があるものではないと認識した上で、ここの中、21ページのその他の意見の中で、それこそ数が多かったものからというお話だったので、この中で、傾向としてこういう傾向があるので単品単価交渉が困難ですよというものに加えて、ちょっとそこははっきり分からないのですが、単品単価の統一価格を示して交渉されるケースがあるという記載があって、これは毎回しているベンチマークの取引に当たるものなのかなと解釈したのですが、それが正しいかどうかということと、それから、それであれば、今のガイドラインでも慎むべきであると規定されているかなと思いますが、こういったものをどのように  改善していくのか、もしその理解が正しければ改善していくというお考えがあればちょっと教えていただきたいと思います。

○信沢首席流通指導官
 事務局ですけれども、ベンチマークというよりは、単品単価の統一価格を示した表を見せられているということです。全国統一的な価格表みたいのがありまして、それを示されているという記載になっています。

○岩下委員
 それと、ガイドラインで慎むべきだとされているベンチマークの取引とは同じではないという理解でいいですか。

○信沢首席流通指導官
 厳密にいうと違いまして、価格表を見せられているのだけれども、その価格表というのが全国統一の価格になってしまっているという話です。

○岩下委員
 分かりました。ありがとうございます。

○三村座長
 小山先生。

○小山委員
 計算すれば出てくるのかもしれませんけれども、この15ページの資料で、200床以上を有する病院のうち、18%が代行者を使っているというのですけれども、実際には、18.5%って、これは何病院ぐらいになるのですか。

○信沢首席流通指導官
 すみません。病院数は手元にありません。

○小山委員
 ということは、母集団の数が分からないということですね。

○信沢首席流通指導官
 はい。

○小山委員
 そこら辺を教えてもらわないと、どう判断していいのか、多いのか少ないのか、さらにこれはこれ以上どんどん推進するのかしないのかも含めて、パーセントだけではちょっと分かりにくいので、ぜひ、どのぐらいの病院がやっているのか。もし調査していないのだったら、規模も教えていただきたい。200床以上といっても、今言った、200~400床、400床以上、あるいは大学病院、あるいは地域支援病院というようないろいろな分け方ありますけれども、そこら辺のところで、どこら辺が中心にやっているのかはぜひちょっと知りたいと思いますので、よろしくお願いします。

○三村座長 
 どうぞ。

○長瀬委員
 先ほどの薬価交渉について、代行業者に委託するとの話がありました。その業者に払うお金も必要ではないですか。それはどこかから捻出するわけですよ。それはそうすると、ここの21ページにあるように、薬価差益に依存した交渉経営先があると。これ、大きいだろうと思うのですね。我々も薬価差益を優先したいじゃないですか。これに優るいろいろな特典がないとなかなか難しいのかなと思います。
 代行業者使うのは、やはりその代行業者、お金払うわけだから、その代行業者のお金もどこかから出さなければいけないではないですか。そのお金はどこから出すのかなと思う。代行業者を使う薬のどこかから出てくるものが病院にとって利益があるからやるのであって、私の意見は、先ほど言ったように、そこにインセンティブを働かせる必要があると思うのです。
 以上です。

○三村座長 
 これについてはまだ議論は進行中というか、何かそういう質問と議論がございました。
 どうぞ、森委員。

○森(昌)委員
 ありがとうございます。
 日本薬剤師会の森です。
 今、三村座長が進行中と言われたように、初めて代行業者のことが資料の中で出てきたと思います。私が承知していた代行業者は2社ですが、実態は正直いって分かりません。
 今回、まだ全ては調べていないのだとは思いますけれども、実態が徐々に明らかにされてきたということと、それから、色々な意見がありましたが、代行業者に関しては、流通改善に向けた取組と相反するのではないかという意見も多かったと思います。その中で、今回、初めて一部価格代行業者が総価で取引している実態があることが出てきたと思います。
 それからもう一点、日本医師会の宮川委員のほうから、川下のほうは流通改善に取り組んできたというお話が冒頭あったと思います。当初、なかなか流通改善が進まなかったときに、長期の未妥結仮納入、それから、総価取引の是正に向けて進んだと思うのですけれども、長期の未妥結仮納入に関しては未妥結減算制度の導入もあり、一定程度成果を上げたと思います。残ったところが総価取引のところで、この15ページの表を見ますと、全体で1.5%、あとは、ここをどうしていくのか、その他、頻回の交渉とかありますけれども、1つは総価取引の是正がポイントになると思います。
 長瀬委員のほうから、単品単価で交渉するメリットは何なのかというお話がありましたけれども、逆にいうと、単品単価交渉をしないデメリットのほうが自分たちにとっては最終的にあるように感じています。冒頭お話しさせていただいたように、結局、医薬品の個々の価値に見合った価格とならず、医薬品のライフサイクルを壊し、そのため国民が良質な医薬品にアクセスできなくなってしまうというのが非常に大きい問題だと思っています。
 以前も何回かお話しさせていただいたのですけれども、そもそも未妥結減算制度の目的を考えたときに、本当に総価取引で妥結したものを妥結として扱っていいのかということをいま一度考えるべきだと思います。これが1点。
 それから、教えていただきたいのは15ページ目の表ですけれども、これを見ますと、左側のマル1からマル4までのところは、ここに当てはまるところは交渉の段階では総価交渉をしているということになるのでしょうか。そうなりますと、例えば20店舗以上の薬局では約8割が総価で交渉を始めている、20店舗以下の薬局でも2割が総価で交渉を始めているという理解でよろしいかどうか。

○信沢首席流通指導官 
 事務局です。
 森先生がおっしゃったとおりでよろしいかと思います。

○森(昌)委員
 そうすると、こういう言い方はあれですけれども、例えば20店舗以上の薬局で、8割で総価交渉しているが、最終的には単品総価または単品単価で契約しているという理解でよろしいでしょうか。

○信沢首席流通指導官
 すみません。最終的というのは。

○森(昌)委員 
 最終的な妥結のときには単品単価、単品総価で契約しているということですか。当初の交渉は総価交渉が行われて、最終的には単品単価契約であったり単品総価契約であったりの契約が行われたということ。

○信沢首席流通指導官
 そうですね。ここに妥結段階と書かれているところは、総価契約であったり、総価契約の中から一部除外があったり、あとは単品単価契約であったりという、ここに記載してあるとおりです。

○森(昌)委員
 分かりました。であれば、先ほどどこか卸のほうで、総価での取引を強く要望されたから聞いてしまったというのがあったと思うのですけれども、卸のほうも、もう少し頑張っていただいて単品単価で契約していただければと思います。
 以上です。

○三村座長
 宮川先生。

○宮川委員 
 宮川でございます。
 皆さんがお話しになっていたように、問題点の一つとして、やはりこの価格交渉の代行というのがこれから増えてくるのかどうかということが非常に大きな問題になってくると考えます。これをしっかりとこれから見定めて、どのように取り扱っていくのか、考えていくのかということを早期にある程度の考え方を出していかないと、大きな火種になっていくのではないかなあと思います。価格代行業者、ボランタリーチェーンも含めてですけれども、早期にしっかりと議論して、考えていかなければならないと思います。

○三村座長
 ありがとうございます。
 恐らくここでいただいた御意見を踏まえながら、ワーキングチームでさらにそれを検討していくという形になるだろうと思います。 卸さんのほう、よろしいですか。
 さらに続けていきたいと思っておりますが、座長を三浦先生にお願いしています。何かコメントありましたら。

○三浦(俊)委員
 中央大の三浦でございます。
 ワーキングチームで座長をやらせていただいていますので、簡単にお話しさせていただければと思います。
  単品単価、非常に必要な、経済の中では全ての商品が単品単価って基本なものですから、この薬業界でもやっていくというお話なのですけれども、ちょうど厚労科研、厚労省の科学研究費というのはもう実は4年間取らせていただきました。最初1年やりまして、その後3年やらせていただきまして、いろいろメーカーさん、卸さん、薬局さんとかにインタビューさせていただきながらいつも調査していたわけですけれども、ちょうど昨年度、最後の年だったのですけれども、それはまさにこの単品単価に絞って厚労省の皆さんとお話ししながら進めまして、そのときには、卸連さんとジェネリック販社さんと、あとNPhAさんに御協力いただきまして調査をやらせていただきました。
 その結果、簡単に申し上げますと今のお話だったのですけれども、卸さんのほうとしては、単品単価で全然問題ないという話だったのですが、むしろ保険薬局さんですとか買い手側の方のほうがなかなか簡単にいかないというお話がありまして、多かった御意見としましては、数が多過ぎるという話がありまして、この間もお話あったのですけれども、小さな薬局さんとか小さな病院さんもいらっしゃるわけで、そういった意味では、何千、何万とかいうのはなかなかやり切れないというお話もありましたし、あと、利益の話ですけれども、ビジネスとしてもやられているところがありますので、総価交渉したほうが、去年これだけもうかったので今年はどうしようかという計画を立てやすいということがありまして、そんなところから今のお話だったのですが、単品総価みたいな、一応総価でやって、最終的には単品で未妥結減算がありますので、落とし込むというのをやられているという感じがありました。
そういった意味ではなかなか難しい感じがあるわけですけれども、1つ思いましたのが、OTCとの違いみたいな、多くのメンバーのメーカーさんとか卸さんとか薬局さんというのがOTCもやられている会社もあったりするわけですけれども、何が一番違うかといいますと、数が圧倒的に多いので大変だという話と、あと、厚労省さんもまた中間年というお話になっているわけですが、毎年改定されるというのが一番大変なところで、これは本当にメーカーさん、卸さん、薬局さん、あと病院さんも皆さんですけれども、すごく御苦労されていて、普通の日用雑貨品なんかの場合でしたら、最初決まったらほとんど値段が変わらないみたいな商品も物すごく多かったりするわけですけれども、その点、医療用医薬品の場合には毎年変わると。それをメーカーさん、卸さん、薬局さん、病院さんが対応するもので、物すごく大変なことだと思います。
 ただ、三村先生もいつもおっしゃっているのですけれども、単品単価、基本なわけでして、どうするかというときには、長瀬先生がおっしゃった、私も同じような意見があったのですけれども、やはりメリット、デメリットみたいなお話で、未妥結減算というのは、大変恐縮な話で、ちゃんとしないとデメリットを与えるということで、割と対応いただいたわけですけれども、政策というのはデメリット与えるとメリットというのもあると思いますので、そのように考えると、長瀬先生がおっしゃったみたいに、単品単価することによって何かメリットがあるみたいな、そういった政策なんかもできればいいかなと。なかなか簡単ではないのかもしれませんけれども、そんなことを考えている感じです。
 やはりメーカーさん、卸さん、小売さん、薬局さんとか病院さん、立場がいろいろ違ったりするわけですから、いろいろな御意見を集めてやっていかないとだめかなという感じがしております。
 一応こんな感じでよろしいでしょうか。簡単なところですが。

○三村座長
 ありがとうございます。
 非常に重要な問題も出ておりますし、これ以上取引の現場を荒らしてはいけないという話がありますので、そのことを踏まえながら、皆さんで知恵を出しながら、新しいルールとか工夫をしていきたいというのがワーキングチームの基本的な総意でないかと考えております。ぜひよろしくお願いいたします。また今日も大変貴重な御意見いただきましたので、それをこのワーキングチームの検討の場に反映させて、流改懇にもう一度それを持ち帰って、皆さんと再び議論するという形でいけばいいのではないかと思っております。
 ほかに何か御意見ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、今の単品単価取引交渉の推進についてということにつきましての議論はここまでとさせていただきます。
 それでは、最後に資料4というのがございまして、それにつきましては安藤課長のほうからお願いいたします。

○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 
 6月28日付で、経済課長改めまして、医薬産業振興・医療情報企画課長を拝命させていただきました安藤でございます。
 ミッション自体は変わっておりませんので、引き続き皆様方の御支援をよろしくお願いできればと思っております。
 御案内のとおり、今回、組織再編ございまして、新たに、私の直接の上司になりますけれども、担当の審議官が設けられて、まだ着任はしておりませんけれども、今週金曜日付で着任されて、さらに組織的には増強する形で、よりバージョンアップした形でこの分野の検討課題について検討を進めていきたいと思っておりますので、引き続き皆様方の御支援をよろしくお願いできればと思っております。
 その上で、本日、資料4について、冒頭、局長のほうからも御説明ございましたけれども、簡単に御説明させていただきたいと思います。こちら、6月14日に開催されました官民対話のほうで大臣のほうから発表させていただいたものでございます。今日の議論の中でもかなり出てございましたけれども、我々も同じ認識でございまして、医薬品産業を取り巻く様々な環境変化がございます。そういった中で最も重要なということだと思いますけれども、国民の方々への医薬品の供給に影響を及ぼすような様々な課題が生じているのではないかということが背景にございます。
 その上で、今後の医薬品産業のあり方というのを見据えて、もとより国民皆保険の持続可能性というものについては確保しながら、 一体どうやったら国民に必要な医薬品を迅速かつ安定的に供給するための流通制度、あるいは薬価制度としてのあり方がどうあるべきなのかということについて検討を行うための、これは学識経験者の方々にお集まりいただく有識者会議というものを開催するというものでございます。
 検討課題等の詳細につきましては、まさに今さっき申し上げました新しい組織のもとでしっかりと検討させていただいた上で、その上で検討会自体をスタートさせていただきたいということで、本日時点でまだ具体的なところについては申し上げられる段階にはございませんが、1点だけ補足させていただきたいと思います。
 特に、今まさに流通制度の、本日もそうですけれども、実際の運用のあり方について御議論をいただいていると認識しておりますけれども、この流改懇との関係についてどう考えるかということについては、詳細については、この検討会自体どう進めていくかということについてきっちり整理した上で、改めてこの場でも御報告させていただきたいと考えておりますが、今、現時点における私の認識という理解で申し上げますと、本日の議論の中にもございましたけれども、今の薬価制度、基本的には市場実勢価方式という枠組みの中で、もとより公的医療保険制度という趣旨も踏まえながら、公正・適正な流通を確保するために、必要な取組ですとか、あるいは一定の関係者の間でつくられておりますコンセンサス、ルールに基づいて取引をどう行っていくかということについて検討するというのがまさにこの流改懇の目的でありミッションであろうと考えてございます。
 その意味において、今後とも流通の適正性を確保するためには、この流改懇での検討というものが中心となっていくということについて何ら変更はないと考えてございますけれども、先ほど申し上げましたように、例えば後発品の安定供給の問題ですとか、そもそもとして、あるいは財政審等で様々関係するところからも様々な指摘をいただいているということもございます。そういった状況も踏まえますと、そろそろ制度のあり方そのものについてもやはり議論をしていくタイミングなのではないかと私個人的には考えてございまして、そのための検討する場を開催するというものでございます。
 こちらは、もとより薬価制度については、最終的には中医協のほうで決定していただくということになってございまして、それ自体変わるものではございませんけれども、その前提として、学識の方々に集まっていただき、先ほども申し上げましたように、まさにその制度のあり方について、今の足元の課題、現状認識というのを踏まえた場合にどうあるべきかという観点から、より幅広い御議論というものをしていきたいと現時点では考えているところでございます。
 繰り返しになりますが、詳細については新しく来た審議官のもとでしっかりと検討させていただきたいと考えておりますので、またこの場でも追ってきちんとミッションについては御説明させていただければと考えてございます。引き続きよろしくお願いします。

○三村座長
 ありがとうございました。
 それでは、今日の議論全体を通してでも結構ですが。

○三浦(俊)委員 
 安藤課長のお話を伺いまして、やはり制度をしっかり変えていくというのをこれから考えていきたいと思いまして、すみません、さっき1点言い忘れてしまったのですけれども、先ほどの価格交渉なのですけれども、厚労科研いただきましていろいろやったときに、実はインタビューもやりまして、価格代行業者というのがさっきの資料なんかでは非常に悪みたいな感じになったりしておりましたけれども、ただ、1社インタビューしまして、ある意味で価格代行業者的なことをやられている会社ですけれども、そこの会社、完全単品単価だったのですね。そういった意味では、価格代行業者というと、なんか儲けるためにやっているようなイメージもちょっとあったりするのですけれども、いろんな種類があるみたいでして、非常に単品単価を徹底されている価格代行業者の方もいらっしゃったものですから、その辺も、さっき、病院もいろいろ細かくというお話があったのですが、細かく見ていく必要があるのではないかと思いました。
 すみません、ちょっと一言申し上げ忘れたので。

○三村座長
 ありがとうございます。
 この議論はその場でもう少しやってみたいと思います。また、基本的には、国民皆保険制度と薬価制度という基本原則の中における問題ということでありますから、そこのところでやったほうがいいと思います。ありがとうございます。
 それでは、全体につきまして、何か皆様から御意見等はございますか。
よろしゅうございますか。
 それでは、今日は大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。また、今、課長のほうからも御説明いただきましたように、制度全体をもう一度きちんと再検討していくという中で、今日皆様からいただいた御意見がいろんな形で反映されていくのではないかと思いました。
それでは、本日の議題は一応これで終了とさせていただきます。
 本日の議事録につきましては、事務局で作成し、委員の皆様に適宜御確認いただくということにいたします。その点、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、次回以降の開催予定について、事務局からお願いいたします。

○曽我流通指導官
 次回以降の開催については、座長と調整させていただいた上で決定させていただきたいと思います。

○三村座長
 それでは、これまででございます。
 今日は大変いろいろな形で御協力いただきましてありがとうございました。
 以上でございます。

(了)
 
 
<照会先>
 医政局医薬産業振興・医療情報企画課
 大島、曽我(代表電話) 03 (5253) 1111(2598)

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