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冒頭発言

【林外務大臣】ここプノンペンにおきまして一連のASEAN関連外相会議に出席をいたしました。昨日は日ASEAN外相会議及びASEAN+3外相会議に参加をいたしまして、本日はEAS参加国外相会議及びARF閣僚会合に参加をいたしました。これに加えまして、ASEAN議長国であるカンボジアを始め、スリランカ、ベトナム、韓国、パキスタン、東ティモール、ブルネイの各外務大臣やASEAN事務総長、次期事務総長と会談を実施しまして、日米豪閣僚級戦略対話を開催をさらにいたしました。この関連で、二点申し上げます。

 第一に、昨日、中国が発射した弾道ミサイルが我が国の排他的経済水域を含む我が国近海に落下しましたことは、我が国の安全保障及び国民の安全に深刻な影響を与える重大な問題です。我が国として、中国の行動を強く非難するとともに、一連の軍事訓練の即刻中止を強く求めているところであります。今回のASEAN関連の諸会合においても、昨日のASEAN+3外相会議に加えて、EAS参加国外相会議及びARF閣僚会合のそれぞれの場において、私から、このような我が国の立場を改めて明確に述べたところであります。台湾情勢につきましては、多くの国からも懸念が表明されたところでございます。
 また、昨日、ブリンケン米国務長官との間で、中国による弾道ミサイル発射を強く非難することで一致し、地域の平和と安定のため引き続き緊密に連携をしていくことを確認をいたしました。さらに、日米豪閣僚級戦略対話を行い、緊密な連携を確認をしたところでございます。各国とのバイ会談でも、我が国の立場を明確に説明をいたしました。

 第二に、ASEAN関連外相会議では、私から、新型コロナ対策支援を含めたASEANへの協力について説明をいたしまして、今後も「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」に沿った具体的な協力を着実に進めていくことを強調をいたしました。これに対し、ASEAN各国から幅広い日本の支援に対する謝意と期待が表明をされました。
 更に、来年の日ASEAN友好協力50周年には、日ASEAN友好協力関係の新たなビジョン、これを打ち出すべく、今後も緊密に連携していくことで一致をいたしました。日ASEAN外相会議の際には、50周年のロゴマーク、キャッチフレーズ「輝ける友情、輝ける機会」、これを発表いたしました。
 地域・国際情勢については、ロシアによるウクライナ侵略については、国際ルールに反するものであり、このような力による一方的な現状変更の試みは、アジアを含め世界中どこであっても絶対に許されないことを明確にしました。また、東シナ海・南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区、北朝鮮、ミャンマー、核軍縮・軍備管理等について、日本の立場をしっかりと説明をし、関係国との連携強化を図りました。拉致問題については、各国の引き続きの理解と協力を求め、支持を得たところでございます。
 一連の会議を通じまして、今般の中国の行動に対する強い懸念を含めて、我が国の立場を明確に発信するとともに、外交・安全保障分野から経済分野まで幅広く有意義な議論を行うことができました。本質的な原則を共有するFOIPとAOIPの実現に向けた取組を含めて、今後もASEAN各国と緊密に連携していく考えでございます。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今の言及もありましたようにですね、中国が弾道ミサイルを発射して日本のEEZ内に着弾した他ですね、予定されていた日中の外相会談も見送りとなりました。中国との関係が非常に悪化しているという状況ですけれども、今後の中国との関係についてですね、どのように対応されるお考えでしょうか。

【林外務大臣】日中外相会談につきましては、これを実施する方向で最終調整中でありましたが、昨日、中国側からG7外相声明等をですね、理由に行わないこととしたいと連絡があったところでございます。このような中国側の対応は遺憾であります。情勢が緊迫しているこのような時こそしっかりと意思疎通することが重要であり、我が国は中国側との対話については、常にオープンであります。日中関係については、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係、これを双方の努力で構築していくということが重要だと考えております。

【記者】今の質問の関連なんですけれども、今日の午前の会議の中でですね、中国の王毅(おう・き)外相と、ロシアのラヴロフ外相が大臣の発言時に退席されたと思うのですが、これについて大臣受け止めをお願いします。

【林外務大臣】本日のEAS参加国外相会議やARF閣僚会合において、私(大臣)から中国側の一連の軍事活動に対する重大な懸念を明確に述べたところでございます。昨日のASEAN+3外相会議の場においても同様の立場を明確に述べたところでございます。他国の外相の動きについて、私(大臣)からコメントする立場にはございませんけれども、自分(大臣)の発言の間を含むしばらくの間、王毅外相は席を外していたと思っております。その後、王毅外相から独自の立場につき発言がありましたので、同外相のいる前でしっかりと反論をさせていただいたところでございます。また、ラヴロフ外相についてですが、この自分(大臣)の発言の間を含むしばらくの間、ラヴロフ外相は席を外しておられました。その後、両外相からですね、これ王毅外相とラヴロフ外相ということですが、それぞれの立場についてご発言がありましたので、王毅外相同様、ラヴロフ外相のいる前でしっかりと反論をしたところであります。そして、いくつかの国からも、この中国側に対する反論、ロシア側に対する反論、これにつきまして、私(大臣)の発言を支持する発言があったところでございます。

【記者】今のお答えに関して確認なんですけれど、自分の発言の際、大臣ご自身の発言の際に席を立たれる、そういう場面が、大臣ご自身が確認をされたという理解でよろしいでしょうか。

【林外務大臣】私(大臣)は前を向いて発言をしておりましたので、同席していたスタッフが確認したということです。

【記者】大臣の発言中に。

【林外務大臣】私(大臣)の発言中を含むしばらくの間ですね。

【記者】先ほどの発言ありましたけれども、これまで日中関係については、建設的かつ安定的な関係を目指すと、これまで繰り返し述べられていますけれども、今回の事案を踏まえても、この方針に変わりはないという理解でよろしいでしょうか。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、情勢が緊迫している時こそしっかり意思疎通をすることが重要であり、我が国は中国側との対話については常にオープンであります。この日中関係については、先ほど申し上げたとおりですね、建設的かつ安定的な日中関係、これを双方の努力で構築していくということが重要であると考えています。

【記者】日韓関係についてお伺いします。昨日、韓国の朴振(パク・チン)長官と会談されたと思いますが、竹島の調査船の領海の航行等ですね、先月あった竹島をめぐるですね、関連の動きについて大臣から抗議されたということでよろしかったでしょうか。

【林外務大臣】先般の韓国軍による竹島に関する軍事訓練及び韓国調査船による竹島領海の航行ですね、これにつきましてはそれぞれ直ちに強く抗議を行ったところでございます。その上で、今次会談で私(大臣)から竹島問題に関する日本の立場を改めて伝達をいたしました。これ以上の詳細については差し控えたいと思います。

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