外務省・新着情報

令和4年8月5日
第29回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合に臨む、林大臣らの様子(林大臣の斜め前方からの写真)
第29回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合に臨む、林大臣らの様子(林大臣の斜め後方からの写真)
第29回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合の様子(会場全体の写真)

 現地時間8月5日午後2時10分(日本時間午後4時10分)から約4時間15分間、カンボジア・プノンペンにて、第29回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合(議長:プラック・ソコン・カンボジア副首相兼外相)が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要以下のとおりです。

1 冒頭挨拶

 林大臣から、アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、地域の安全保障環境向上を目的とするARFの重要性に触れ、今後も建設的な貢献を行っていく旨述べました。また、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取組を継続・強化する考えを表明しました。

2 地域情勢

(1)ウクライナ情勢

 林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、主権及び領土一体性の侵害かつ武力の行使を禁ずる国連憲章の重大な違反であり、厳しく非難する旨述べた上で、こうした力による一方的な現状変更は、アジアを含め世界中どこであっても絶対に許されない旨述べました。更に、ロシアによるウクライナ侵略は、世界のエネルギーや食糧価格の高騰をもたらしており、ロシアが直ちに侵略を止めるよう強く求めました。
 各国からも、ウクライナ情勢に関する深刻な懸念が表明された他、複数の国がロシアによるウクライナ侵略を非難しました。

(2)台湾情勢

 林大臣から、中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域を含む日本近海に着弾したことは、日本の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であり、中国の行動を強く非難する旨述べるとともに、台湾海峡の平和と安定は重要である旨指摘した上で、今般の中国の行動は地域及び国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、軍事訓練の即刻中止を改めて求める旨発言しました。
 各国から、台湾海峡の緊張の高まりに懸念が表明された他、林大臣の発言に応え、複数の国から中国の行動を非難する旨の発言がありました。

(3)東シナ海・南シナ海

 林大臣から、東シナ海及び南シナ海における、力を背景とした一方的な現状変更の試みの継続・強化への強い反対を表明するとともに、東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されていることを指摘しました。また、2016年の比中仲裁判断や南シナ海に関する行動規範(COC)に言及し、COCは国連海洋法条約に合致すべきであり、全てのステークホルダーの正当な権利や利益を害してはならない旨述べました。
 各国からも、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性等について発言がありました。 

(4)北朝鮮情勢

 林大臣から、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す方針に変わりはない旨述べました。また、岸田総理が、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意であると累次の機会に述べてきていることを紹介した上で、完全な非核化に向け、北朝鮮が関係国との実質的な対話を再開するよう求めました。
 各国から、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性等が指摘されました。また、拉致問題の解決に向けた取組を支持する旨発言がありました。

(5)ミャンマー情勢

 林大臣から、先月の被拘束者の死刑執行は、日本が一貫して求めてきた「被拘束者の解放」に大きく逆行するものであり、深刻に憂慮する旨述べました。また、人道支援を含む「5つのコンセンサス」の実施に向けたASEANの努力を引き続き最大限後押ししていく旨述べました。
 各国からも、被拘束者の死刑執行を含め、ミャンマー情勢につき、深刻な懸念が表明され、「5つのコンセンサス」の履行の重要性が強調されました。

(6)核の使用・威嚇、核軍縮・軍備管理

 林大臣から、ロシアが行っているような核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならない旨強調しました。また核兵器不拡散条約(NPT)の維持・強化に向けた各国の建設的な対応を呼びかけるとともに、地域における核戦力の透明性の向上に向け、中国が核兵器国として、また国際社会の重要なプレーヤーとして積極的な役割を果たすことを期待する旨述べました。

3 結語

 最後に、林大臣からARFがより効果的に地域における信頼醸成に資するフォーラムとなるよう、日本として引き続き貢献していきたい旨述べました。


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