厚労省・新着情報

(令和4年8月5日(金)10:00~10:15 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭発言はありません。

質疑

記者:
会計検査院からの指摘について伺います。会計検査院は昨日、2020~21年度に支給した雇用調整助成金と休業支援金などで計約3億1700万円の不適切受給が判明したとして、厚生労働省に対して「処置要求」を行いました。大臣の受け止めと今後の対応が何かございましたらお聞かせ下さい。
大臣:
雇用調整助成金等については、これまでに例のない特例措置を講じ、事業主の皆様の雇用の維持を強力に支援してきたところでありますが、併せて、不正受給に対しては厳正に対処するということにしておりまして、支給後の事後確認にも積極的に取り組んでいるところであります。今般、会計検査院からは、こうした不正受給等に係る事後確認についてご指摘をいただきました。
 具体的には、雇用調整助成金等と休業支援金等との重複支給に関する事後確認が適切に行われていないこと、2番目に、休業支援金等の二重支給に関する事後確認が行われていないこと、3番目に、雇用調整助成金等に係る実地調査の対象事業主の範囲が適切に設定されていないこと、こうした点についてご指摘がありました。ご指摘を踏まえた取扱いの見直しを、昨日、都道府県労働局に通知したところであります。
 今後とも、制度の信頼を揺るがす不正受給を見逃すことのないように、調査の充実とその結果に基づく厳正な対応に努めてまいりたいと思っております。
記者:
新型コロナウイルスに関してお伺いします。政府の(新型コロナウイルス感染症)対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が、2日に感染者数の全数報告の変更や、一般の診療所でも感染者を治療できる体制づくりなどを求める提言を発表しました。大臣は昨日新たなコロナ対策について発表されておりますが、改めて専門家有志による提言への受け止めと、その中で対策として実現可能なもの、あるいは実現には課題が多いものなどについて、見解をお聞かせ下さい。
大臣:
8月2日にいまご指摘のありました、尾身会長などの専門家有志から示された提言では、現下の感染拡大による医療ひっ迫の深刻化を抑えるために、医療機関対応、保健所・行政対応、感染状況の把握など5つのテーマにおけるそれぞれの取組について、オミクロン株の特性に合わせて今後2段階で移行すること等を提案されていると承知をいたしております。
 この専門家有志の提言や、全国知事会長の平井鳥取県知事、日本医師会の松本会長等からの緊急の申し入れも踏まえまして、昨日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部を開催いたしまして、「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減への対応」として、患者発生時の届出項目の更なる削減、「発熱外来自己検査体制」整備の更なる推進、効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策、救急医療のひっ迫回避に向けた対応を決定したところであります。専門家有志の提言の内容は多岐に及ぶわけでありますが、このうちステップ1、すなわち緊急に取り組むべきとされている事項のリストについては、今般の対応も含め、これまでの対応によりまして、概ね実施をしてきていると考えております。
 その他、ステップ2、これは法改正等を伴うとされているものなど段階的に進める事項というものが含まれているが、これらについては、今後、時期を見極めつつ、感染状況やウイルスの変異の可能性等も踏まえまして、専門家や都道府県の意見も伺いながら丁寧に検討してまいりたいと思っております。
記者:
別件で1つ前の質問で、会計検査院からの指摘に関して、指摘を踏まえた取り扱いの見直しを昨日、通知したというお話だったのですが、この具体的な内容を今言える範囲でお伺いできますか。
大臣:
処置要求に対する具体的な対応といたしまして、雇用調整助成金等それから、休業支援金等の重複支給が疑われる事業所等のリストの作成、それから、休業支援金等二重支給が疑われる受給者のリストの作成、不正な支給申請を行うリスクが高いと想定される事業所の範囲等につきまして、本省において、そうしたものを作成をし、そして各労働局にも提示し、労働局においてそれを精査して不正な事案の調査をしっかりやっていくという対応をいたしました。
記者:
全数把握の関連でお伺いしたいのですが、昨日届出項目の削減が発表されて、全数報告の見直しについては検討を進めるとされていました。理由として、感染症法12条に医師の義務とされていることや、患者に対するアプローチの起点になるということが挙げられていましたが、前提としての確認なのですが、全数報告の見直しというのは、感染症法の見直しというのが必ず必要になるものなのでしょうか。それとも、それ以外の方法というのはあるのでしょうか。
大臣:
全数報告をしないで済むようにするということについては、法律改正がいるかというと、省令の改正で対応ができるという意味では、法律改正がいるわけではありません。ただ、感染症法上の物の考え方として、全数報告というのが感染症対応あるいは診療の、まさに今ご指摘のあった、患者に対するアプローチの起点になる、そういう意味があるので、そういう意味では感染症法の体系と無縁で、手間がどうかとか、そういうことだけで、検討ができるものであるということは言えないと思います。例えば、全数把握を休止する場合に、例えば適切な感染拡大防止が効率的に行えるのかどうかだとか、患者がどこにいるかも把握できない状況で医療の提供がきちんといくのかと、元々感染症というのは一般の疾病とは違う病気であるからこそ、わざわざ感染症法として指定してあるので、そういうことについて、きちんとした対応ができるのかどうかということもあります。
 それから、定点観測をすることによって例えば一部の患者さんだけを捕捉したときに、例えばその患者さんにこういうような対応をお願いをしたいというような要請ベースでのいろいろなお願いをできるかということになると、全数を把握しながら、すべての患者さんに公平で平等にお願いをするのとは別に、定点観測で捕捉した方にだけお願いするということも難しくなるということもあります。そういうことも全体を含めてどうしていくか、それから、例えばデータから言っても、発症日というのはすごく大事なデータです。それから、いまの新型コロナで言えばまさにワクチンの接種回数とこうしたことも含めてですね、本当は感染者の状況を管理する感染対策を行うにとっては非常に重要な情報ですが、それを今回は個人を限定する情報に限って登録・届出をしてもらうこととしているので、その辺りの評価全体だと思います。例えば(全国)知事会や日本医師会からも、地域の実情に応じて感染者の全数把握に代わる事務負担の少ない仕組みに変更するようという要望をいただいているわけですし、それから専門家有志からの提案においても、ただちに全数報告を見直すべきとされてはいないのは、そういう点について、やはり感染症法上のいろいろな仕掛けの中で、やはり起点の全数把握というのは、感染症対策としては、非常に重要なものであるという認識はあると思います。
 一方で、足下医療提供体制がひっ迫し、保健所体制がひっ迫していく中で、回せないということになれば、それは足下の危機に対してどう対応するかということなのでその辺りのことをあわせてこうした対応をしていますし、検討すべきことというのは、そういうこともあると思います。
 それから、これは先ほどご指摘のあった専門家の提言の中にも書かれていることではありましたが、では全数把握をしなくなったときにどのように感染者の数を推計するのかと、これについてもまだ確立した手法が科学的にはまだ実行されていない状況にもありますから、そうしたことも含めてどうするのかということを、しっかりと専門家の意見も聞きながら、感染の状況あるいはどういう時点なのかということも含めて丁寧に検討していきたいと申し上げております。
記者:
いまのお話だと、全数把握の見直しは省令でもできるが、感染症法の改正にも関わっているということでしょうか。
大臣:
感染症法の物の考え方にかかわるということですね。
記者:
大臣としては全数把握をもし見直すのであれば、省令ではなく感染症法を改正して見直すのが望ましいとお考えでしょうか。     
大臣:
感染症法の改正というのは感染症全体の考え方の整理の中でやるので、全数把握をするかどうかということについて変えるだけ、ということであれば、省令で変えられると申し上げております。ただ、全体の考え方の中でそれを本当に実行に移すのか、ということで、今はまずは絞り込んで、これも全部の地域でルール化しているということではなくて、地域によって必要なところはそういう簡素化の選択肢をとることも可能であるということにしてあります。地域のデータも、できる限り、本当はHER-SYSの入力データを持っている方が、これはプロにとっては的確な感染対策の検討ツールとして非常に重要ですので、できるところはやっていただくことについては原則に基づいてやっていただき、どうしても実態の状況からみてできない場合は、地域の判断において、入力項目を減らすことが可能であるということで、そういう意味では感染症法の考え方を変えているというつもりもありません。
 ただ、いずれにしても、法律全体の見直しを今後していくということになっているわけですから、そうした中で、もちろんこれまでの経験を踏まえながらいろいろな検討は可能でしょうが、いま議論されているこのことについて言えば、感染症法の枠組みを守りながら、どうやって具体的な現場が回していけるか、そうしたことを現実的に考えながら対応する内容だと思っております。

(了)

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