外務省・新着情報

令和4年8月4日
発言する林外務大臣
ASEAN+3外相会議に出席する各国外相

 現地時間8月4日午前11時20分(日本時間午後1時20分)から約100分間、カンボジア・プノンペンにて第23回ASEAN+3(日中韓)外相会議が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 開会挨拶

 冒頭、林大臣から、ASEAN+3における日本の積極的な貢献の例として次の取組を紹介しました。

  • (1)日本は、ASEAN諸国への2300万回分以上の新型コロナワクチン供与、コールド・チェーン整備を含む累計約3億2700万ドルの無償資金協力等を実施。
  • (2)近年の自然災害の多発及び新型コロナ感染拡大により、食料安全保障の重要性が再確認される中、日本はASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)を通じ、コメ支援を実施。
  • (3)地域協力としてチェンマイ・イニシアティブの更なるルール整備に向けた議論の進展に貢献。
  • (4)海洋協力として、船舶通航支援業務(VTS)管制官育成等を実施。 その上で、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略によって、エネルギー・食料を始めとする物価の高騰、サプライチェーンの混乱など、多くの難問に直面している今こそ、法の支配による自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが一層重要であり、日本はASEANの一体性・中心性を支持し、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」に沿った協力を重視している旨述べ、本日、次の5年間の協力作業計画を採択することを歓迎する旨述べました。

2 ASEAN+3協力

  • (1)林大臣から以下のとおり発言しました。
    • ア 日本は、今後もAOIPの4つの優先分野における具体的協力を進め、ASEAN包括的復興枠組を強力に支援していく。
    • イ 第一に、海洋協力について、日本は引き続き、海上保安及び航行の自由に資する協力を進めていく。また、「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクションイニシアティブ」の下、国別行動計画の策定や人材育成などを支援していく。
    • ウ 第二に、引き続きASEAN連結性マスタープラン2025に基づき、日ASEAN連結性イニシアティブなどを通じ、質の高いインフラへの投資を強化していく。
    • エ 第三に、人間の安全保障の考えに基づき、SDGsの達成を支援していく。具体的には、 ASEAN緊急米備蓄(APTERR)を他のパートナーとともに引き続き支援していく。 持続可能な農業生産及び食料システムの構築に向けて、共同研究プロジェクトなどを通じたASEAN各国との協力を促進していきたい。 ユニバーサルヘルスカバレッジの達成に向けて貢献していく。ASEAN感染症対策センターが速やかに活動を開始することを期待。日本も全面的な支援を継続していく。 日ASEAN気候変動アクションアジェンダ2.0やアジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)の実施を通じ、ASEAN各国との協力を包括的に推進し、脱炭素化を目指していく。
    • オ 第四に、RCEP協定の完全な履行に向けてASEAN+3諸国と共に取り組んでいく。信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の実現に向けても協力していく。また、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)、日本が主導する金融デジタル化や自然災害リスクに対する財務強靱性の向上についても議論の進展を歓迎。来年の具体的な成果に期待。
  • (2)これに対し、各国から、本年、ASEAN+3設立25周年を迎えることや、同会議において採択されたASEAN+3協力作業計画(2023-2027))に言及しつつ、パンデミック後の経済回復、公衆衛生、食料安全保障、金融協力、デジタル経済等を始めとする、優先すべき協力分野について発言がありました。

3 地域・国際情勢

  • (1)ウクライナ情勢
     林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、主権及び領土一体性の侵害かつ武力の行使を禁ずる国連憲章の重大な違反であり、法の支配に基づく国際秩序の根幹を揺るがすものであって、厳しく非難する、いかなる地域においても力による一方的な現状変更は認められない旨述べました。
  • (2)北朝鮮
     林大臣から、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、「瀬取り」対応を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べました。また、拉致問題に関し、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
  • (3)ミャンマー
     林大臣から、先月の被拘束者の死刑執行は、日本が一貫して求めてきた「被拘束者の解放」に大きく逆行するものであり、深刻に憂慮している旨述べました。また、日本としては、人道支援を含む「5つのコンセンサス」の実施に向けた議長国カンボジアを始めとするASEANの努力を引き続き最大限後押ししていく旨述べました。
  • (4)これに対し、各国から、ウクライナ情勢や、被拘束者の死刑執行への強い失望を含むミャンマー情勢への言及がありました。また、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性に関する発言や、拉致問題の解決に向けた取組を支持する発言がありました。
  • (5)台湾情勢に関し、中国側から立場の主張があり、これに対し林大臣から、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定は重要であり、このような観点から、中国側が発表した一連の軍事活動については、我が国として重大な懸念を有している、我が国は、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する旨反論しました。

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