厚労省・新着情報

1 日時

令和4年6月14日(火)15時00分~17時00分

2 場所

航空会館 201号室
(東京都港区新橋1-18-1 2階)

3 出席委員

公益代表委員
立教大学経済学部教授 首藤若菜
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
労働者代表委員
全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
使用者代表委員
日本通運株式会社取締役執行役員 加藤憲治

公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題

  1. (1)改善基告示の見直しについて
  2. (2)その他

5 議事

議事内容
○副主任中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから第6回「自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会」を開催いたします。本日は御欠席の委員はおられません。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして、自動車局安全政策課の蛯原課長補佐、自動車局貨物課トラック事業適正化対策室の齋藤室長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
それでは、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村部会長にお願いいたします。
○藤村部会長 本日の議題に入ります。今日も、労使双方積極的に議論していただきたいと思います。議題(1)の「改善基準告示の見直しについて」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 過重労働特別対策室長の岡田でございます。まず、資料1「改善基準告示の見直しの方向性について」説明いたします。資料1の構成としては、項目ごとに現行の規定、前回までの主な御意見、最後に見直しに向けた考え方を記載しております。現行の規定については、これまでの説明と重複いたしますので割愛させていただきます。主な御意見については、前回の作業部会での御発言を踏まえまして新たに追加した箇所のみとし、今回は考え方を中心に御説明させていただきます。
1ページ目の「拘束時間」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、○の1つ目です。労側委員から、「トラック運転手の脳・心臓疾患の労災決定件数が最も多いことを踏まえ、バス・タクシーを大幅に上回る削減とすべき」との御意見がございました。
2ページ目の「考え方」を御覧ください。考え方としては、1年間、1か月の拘束時間を考えるに当たっては、脳・心臓疾患の労災認定基準である月平均80時間、月100時間といった時間を念頭に置くべきではないか。また、休日労働については、日数及び時間数をできるだけ少なくするよう努めることを考慮すべきではないか、としており、こちらは労基法第36条に基づく指針の第7条から記載しております。
また、参考となる数字として、例えば休日労働を月に1回行った場合の1年間の拘束時間として3,408時間、休日労働を月に2回行った場合として3,516時間、こちらは現行どおりとなります。例えば、1か月の時間外・休日労働を100時間に満たない時間とした場合の1か月の拘束時間として294時間、また、参考として、実態調査において、令和2年、令和3年ともに、7割以上の事業者が1年間の拘束時間について、「3,300時間未満」と回答していることを記載しております。3ページ目に参考として、タクシー・バスの見直し内容を記載しております。
次に、4ページ目の「1日の拘束時間、休息期間」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、○の3つ目と4つ目です。使側委員から、「事業者が調整できるよう、休息期間は2日平均の基準にしてはどうか」という御意見がございました。これに対し労側委員からは、「平均だと偏りが生じかねず運行管理も難しいのではないか。また、トラック等運転手の脳・心臓疾患事案の分析において、その要因として『不規則な勤務』が挙げられているが、休息期間を平均で管理した場合、『不規則な勤務』が生じてしまうのではないか」という御意見がございました。
5ページ目の「考え方」を御覧ください。考え方としては、脳・心臓疾患の労災認定基準において、長期間(発症前おおむね6か月)の過重業務の判断に当たっては、睡眠時間の確保の観点から、「勤務間インターバル」がおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされていること、特に、トラックの脳・心臓疾患の労災支給決定件数や比率は他業種に比べ突出していること。これらを踏まえ、1日の休息期間については、脳・心臓疾患の労災認定基準の見直しを踏まえて検討することとしてはどうか。また、現行の改善基準告示において、1日の拘束時間・休息期間については、タクシーやバスと同じ基準となっており、これら他の業態のとりまとめ状況も踏まえて検討することとしてはどうか、としています。また、参考として、タクシー・バスの見直し内容を記載しております。
次に、6ページ目の「運転時間、連続運転時間」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、連続運転時間の○の2つ目と4つ目です。労側委員から、「運行計画上予定していたサービスエリアに満車で入れず、次のサービスエリアまで移動せざるを得ない場合に30分は考慮すべきではないか。その場合は、45分の中断とすべき」という御意見がございました。一方、使側委員からは「運行計画上、休憩時間は明記されているため、休憩時間の概念を改善基準告示に記載する必要はないのではないか」という御意見がございました。
7ページ目の「運転時間」の「考え方」を御覧ください。まず参考として、ILO条約等の基準について記載しております。ILO第153号条約では、1日9時間、1週48時間、EU規則では1日9時間、週2回まで10時間に延長可、1週56時間、2週90時間と定められています。これらを踏まえて、ILO条約等においても、運転時間の基準が設けられていることから、存置すべきではないか、としています。
8ページ目の「連続運転時間」の「考え方」を御覧ください。こちらも、まず参考としてILO条約等の基準について記載しております。ILO第153号条約では4時間、各国において国内事情を考慮の上、1時間まで超えることを認めることができます。休憩時間の長さや分割方法は各国によると定められております。EU規則では4時間30分、45分の休憩。その場合、15分の休憩の後は4時間30分運転し、30分の休憩をすることも可とされています。EU規則においては、運転の中断ではなく、休憩(break)と定められています。バスの見直しにおいては、軽微な移動の必要が生じた場合の例外的な取扱いを新設しています。
これらを踏まえて、ILO条約等を踏まえ、連続運転時間数及び運転の中断の在り方について、検討することとしてはどうか。現行の改善基準告示において、連続運転時間については、バスと同じ基準となっており、バスのとりまとめ状況も踏まえて検討することとしてはどうか。このようにしております。
次に、9ページ目の「特例(休息期間の分割)」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、○の2つ目の3行目以下です。使側委員から、「ドライバーを早く帰宅させるために、間の休息時間を短くして、勤務終了時刻を前倒しするほうが合理的という考え方もある」という御意見がございました。
10ページ目の「考え方」を御覧ください。まず、参考としてILO条約等の基準について記載しております。ILO第153号条約では、休息期間は8時間を下回ってはならないとされていますが、分割に関する例外規定はございません。EU規則では11時間以上の休息期間を3時間以上、9時間以上に分割することができると定められています。これらを踏まえて、ILO条約等や、バスのとりまとめ状況を踏まえて検討することとしてはどうか、としております。
次に、11ページ目の「特例(2人乗務)」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、○の2つ目です。労側委員から、「2人乗務特例は、馬匹に限らず、全体の見直しを検討する中で議論していきたい」という御意見がございました。
12ページ目の「考え方」を御覧ください。こちらも、まず、参考としてILO条約等の基準について記載しております。ILO第153号条約では、各国において、2人乗務について、別途、1日の休息期間の例外を設けることができる。EU規則では、拘束時間開始から30時間以内に9時間の休息期間、21時間拘束、9時間休息と定められています。これらを踏まえて、ILO条約等や、バスのとりまとめ状況を踏まえて検討することとしてはどうか。バスについては、自動車運転者が休息する環境、つまりリクライニング方式の座席で休息するのか、車両内ベッドで休息するのかなどによって、拘束時間や休息期間の時間がそれぞれ定められているところです。
次に、13ページ目の「特例(フェリー)」を御覧ください。主な御意見について新たに記載した箇所はございません。考え方として、フェリーに乗船する場合の特例については、現行どおりとしてはどうか、としています。参考として、現行の休息期間の考え方を記載しております。
次に、14ページ目の「その他」を御覧ください。主な御意見として新たに記載したのは、○の3つ目です。使側委員から、「改善基準告示違反について、厚労省から国交省に通報する際に、荷主都合による違反の有無も申し送りし、国交省における処分において考慮してもらいたい。国交省、厚労省が連携して荷主に対してプレッシャーを与えることを検討してもらいたい」という御意見がございました。
「考え方」として、タクシー・バスにおいては、総拘束時間の短縮に伴い、新たに、事故、災害等の「予期し得ない事象」について例外的な取扱いとしたもの。拘束時間等の見直しと併せて、例外的な取扱い(予期し得ない事象に遭遇した場合)について、これら他の業態のとりまとめ状況も踏まえて、検討することとしてはどうか、としております。資料1は以上です。
次の資料2、「検討の視点」についてはこれまでの資料と同様ですので、説明は省略させていただきます。
続いて、資料3「荷主対策について」を御覧ください。こちらは前回の作業部会において、事務局より、厚労省としても荷主に対するアプローチを検討しておりまして、できれば次回にお示ししたいとお伝えしておりましたが、今回、資料3としてお示しさせていただいたものです。
1ページ目を御覧ください。「厚生労働省における対応(案)」として、赤枠の「労働基準監督署による要請」の所です。荷主企業に対し、労働基準監督署から配慮を要請することを検討しております。新規の取組となります。要請する内容としては、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないよう努めること、運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知すること、これらを予定しています。また、要請の対象企業選定に当たって、省内ホームページや立入調査時に収集した情報を活用し、それに加えて収集した情報を国土交通省にも提供することを予定しています。
概要を下の図で説明いたします。まず、労働基準監督署が立入調査を行い、労働時間や改善基準告示の違反が認められた際に、その背景に長時間の恒常的な荷待ちがあると運送事業者が主張されるような場合については、その状況を詳しくお伺いいたします。また、厚生労働省のホームページにそのような荷主情報を提供できる窓口、いわゆる目安箱のようなものを新たに開設し情報収集を行うこととしております。
次に、収集した荷主情報を基に、労働基準監督署が荷主に対して要請を行います。この場合の荷主については、発荷主だけではなく着荷主も含んでいます。また、収集した荷主情報については、国土交通省にも提供させていただきます。国土交通省におかれては、厚労省から提供された情報について、貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく、荷主への「働きかけ」等での活用を御検討いただくこととなります。ちなみに※の2つ目になりますが、国土交通省におかれても更なる働きかけ等の実施のため、地方適正化事業実施機関が行う巡回指導時の情報収集を本年4月から既に周知徹底されているところです。資料3の説明は以上です。
続いて、参考資料1「改善基準告示の見直しについて」については、今回、新しく追加、修正した部分のみを御説明いたします。まず、6ページ、7ページにある「労働時間以外の要因別にみたトラック等運転手の脳・心臓疾患事案数の割合」、「運行パターン別にみたトラック等運転手の脳・心臓疾患事案数の割合」を御覧ください。こちらは第4回の作業部会でお出ししたものですが、前回の作業部会において労側委員から、「脳・心臓疾患の件数が多いのは不規則な出勤が原因」との御発言がございましたので、それに関連する部分を、今回改めて掲載したものです。再掲ですので、説明は省略させていただきます。
続いて、18ページ、19ページを御覧ください。「諸外国のトラック運転者の労働時間の規制状況」です。こちらについても、これまでの作業部会でお出ししていたものですが、ILO条約やEU規則を中心にまとめ直しております。また、19ページ目の特例の記載は新たに追加したものです。内容については、先ほどの資料1の説明と重複する箇所が多いことから、説明は省略させていただきます。
続いて、29ページ目の「(参考)予期し得ない事象の考え方について(バス)」を御覧ください。こちらは資料1でも御説明いたしましたが、タクシー・バスにおいて、拘束時間等の短縮に伴い、新たに例外的な取扱いをしたものです。ここではバスの考え方について詳細に説明したものを新たに追加しております。一番下の考え方の四角囲みにありますが、1ポツ目の「予期し得ない事象に対応した時間について、1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間から除くことができるが、1年・1か月の拘束時間からは除くことはできない」、2ポツ目ですが「勤務時間終了後は通常どおりの休息期間を与える必要がある」、こういったことに御留意いただく必要がございます。
真ん中の図ですが、運転中に事故等の発生に伴い、3時間にわたって道路が渋滞などをした場合を示しているところです。この場合、1日の拘束時間は18時間になりますが、事故に対応した3時間を除くことができますので、18時間から3時間を引いて15時間となり基準を満たすこととなります。ただし、賃金や支払いの対象とすべき労働時間については、18時間引く休憩時間となります。つまり、事故対応の3時間も労働時間としてはカウントされ、賃金の支払いが必要となるということです。同じように、運転時間や連続運転時間からも、事故に対応した3時間をそれぞれ除くことができますので、これによって基準を満たすことができるということになります。
最後、33ページ目の「改善基準告示の変遷」を御覧ください。こちらは前回の作業部会において労側委員から、「運転時間の中断の1回連続10分以上について、背景を教えてほしい」という御発言があったことから、第5回の専門委員会にお出しした資料をベースに、運転中断の項目を追加で記載したものです。表の真ん中の辺りに連続運転時間の行がありますので、そこを御覧ください。運転時間の中断については、昭和54年12月27日付けの27通達から規制されておりまして、その当初から、1回連続10分以上という形になっております。参考資料1については以上です。参考資料2から参考資料6までは、これまでの資料と同様ですので、説明は省略させていただきます。事務局からの説明は以上です。
○藤村部会長 引き続きまして、使用者側委員から資料を提出いただいておりますので、これについて説明をお願いいたします。
○加藤委員 「馬匹輸送について」という資料を御覧ください。1ページを御覧ください。こちらが馬匹輸送に使用される車両で、いわゆる「馬運車」と呼ばれる車です。皆様方も、高速道路あるいは競馬場の近くで御覧になった方もおられると思いますが、トラックのシャーシに観光バスのボディが付いたような外観の車です。車両のサイズは一般的な大型車両とほぼ同じで、長さが約12m、幅は約2.5m、高さは約3.7mといったようなサイズです。
2ページを御覧ください。これが運転席です。これは一般のトラックとほとんど同じ状況です。この右側のほうにカーテンが見えると思いますが、この後ろに二段ベッドが設置されております。
3ページを御覧ください。二段ベッドの状況です。3ページは下段になっています。手前側が運転席、後ろ側が荷台ということです。こちらにあるとおり、長さが225cmと幅が95cmということで、一般的なシングルベッドと同サイズのベッドが備え付けられております。休息するには十分な寝台スペースということで考えております。ちなみに、一般の大型車の運転台の後ろにある寝台スペースは、これに対して210cm掛ける65cmですから、これは相当広い形になろうかと思います。1名が運転するときに、もう1名の方が、この二段ベッドの下段で睡眠を取るということです。ちなみに、黒く見えているのがベルトで、これで固定をする形になろうかと思います。
4ページが二段ベッドの上の部分なのですが、下に比べますと若干幅が狭く、225cm掛ける90cmとなっております。走行中は、当然1人は運転していますので使用することはございません。これはフェリーの乗船中、あるいは馬を乗せていないときに、2人で同時に休息を取るときにだけ使用するものでございます。
続きまして、5ページは荷台です。一般的に馬匹輸送では、通常は競走馬を4頭にしていると聞いておりますが、最大積載頭数は6頭ということです。6ページは、実際に馬が乗っている状況を撮影したものです。こちらのスペースは、5ページと併せて見ていただくとお分かりのとおり、1頭ごとに仕切りがありまして、それぞれの馬が重ならないように、こうした形でつないでおくという状況です。
7ページは、運転席に置かれている荷台のモニターです。運転中に馬が暴れたりすることはほとんどないようですが、運転席にモニターが付いておりまして、何かあれば確認ができるようになっているということです。
8ページがフェリー乗船時の状況ということで、実際に輪留めをして車両がフェリーの中に格納されている状況です。フェリーであれば、乗船後は客室に移動をする形になろうかと思うのですけれども、この馬匹輸送に関しては、生きた動物の馬を輸送するということですので、客室には移動せず、必ずこのベッドで休息を取るということです。ちなみに、北海道から本州に移る場合は、いわゆる馬運車が止まっている時間が最小限になるよう、函館と青森間のフェリーを利用することになっているそうです。約4時間ということです。乗務員は万が一に備え、車両ベッドで仮眠を取るという状況です。ちなみに、馬を乗せていない空車の場合では、中長距離、日本海側から小樽であるとか、比較的長い距離でフェリーを利用し、しっかりと休息を取っているということです。なぜ最少の停車時間にするかといいますと、馬が止まっていると非常に落ち着かなくなるということで、暴れたりする可能性が高いということで、なるべくこの時間を短くするということでリスクヘッジを取っているようです。
9ページは、少し暗くてぶれていますが、サービスエリアあるいはパーキングエリアで一時止まった際に、馬の状況の確認を目視によって行っているところです。
10ページは、車両の後部にスロープが用意してあるようで、このスロープを利用して競走馬を降ろしたり積んだりという状況になっていると聞いております。
11ページ、12ページが運行計画の想定例です。これは北海道発関東、あるいは北海道発関西です。こういうパターンを想定して書いておりますが、こちらにあるとおり、競走馬というのは、苫小牧であるとか、あのエリアで飼育されている例が多いのですが、こちらから積込みをして、競馬場のある函館あるいは青森、宮城といった所で降ろしながら運行するという状況で、必ずツーマンです。表の下段に仮眠時間が書いてありますが、運転手Aが車内ベッドで10時から18時まで仮眠を取ります。次のパターンでいくと、運転手Bが車内ベッドで仮眠を取るというような状況で交互に乗務をしています。ちなみに、14時から18時ぐらいの頃はフェリーに乗っていますので、2人ともベッドで休むという状況が見て取れます。
12ページは、同じく関西に向かっている場合です。当然、かなり運行期間が長く3泊4日になっております。関東と同じように、交互に休憩、あるいはフェリーの時間は2人とも休息を取るというような状況で運行をしているという実態です。簡単ですけれども、説明は以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございました。これからの議論は資料1を見ながら進めていきたいと思います。まずは各論点に入る前に、総論として全体的な御意見が、もしあれば御発言いただきたいと思いますが、使用者側はいかがですか。
○馬渡委員 ずっと言い続けておりました荷主対応をお願いしたいという件につきまして、厚労省さんのほうから、今日、資料3ということで出していただいたのは、非常に有り難いなと受け止めております。中身については、いろいろなやり方はあるのかもしれませんけれども、我々にとっては罰則があるようになって、荷主さんの行動は変わらないというのは、やはり不合理だなと。違反があったとして、荷主さん事由なのか、それとも我々の部分と荷主さんのを合算してなのか、もちろん我々が悪い部分は改めると。ただし、荷主さんがどこかで変わっていただかないと、この議論は延々と進まなければいけなかったというように思いますので、今回、荷主さんのほうに要請をしていただけるという道が開けたことは、厚労省さんの内部でいろいろな御議論があったのかもしれませんけれども、本当に有り難いと、御礼申し上げたいと思っております。
我々、今の実態が、これですぐ変わるとは思えないのですけれども、やはり一歩踏み出して、組合さんが言われているような、運転手の健康をしっかり守ろうという方向は、意見は同一でございますので、可能な限り寄り添っていきたいと思っております。
もう1つは、別の観点から言いますと、ILOとかバスとかタクシーとかと時間を合わせようという話になると、やはり我々としてはなじまないのかなという部分があります。我々、長距離で繁忙期とか、中・近距離の場合で閑散期とか、いろいろ、ものすごく幅がある業態ではありますので、それに加えて、荷主さんの部分がすぐに改まらないということを考えると、必ずしもバスとかタクシーにぴったり寄り添うことができるかどうかというのは疑問なのですけれども、いろいろ参考にしながら、これから前向きに議論は進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○藤村部会長 ありがとうございます。労働側委員はいかがでしょうか。総論です。
○世永委員 基本的には、バス・ハイタクも横を見ながら、自動車運転者ということで1つのくくりということは考えています。その中で、今、馬渡委員が言われたように、業種・業態もあるだろうし、あと、長距離の関係と近場の集配の関係、これをどうするかは労働側としましては、年間の総拘束時間の叩き台が出てから、ここらの具体的な数字については述べていきたいということも含めて話をしていきたいと思っています。そこで、やはり裏付けとなるのが、今回2回にわたってやった実態調査だと思いますので、それに基づいた趣旨で発言をしていきたいと思っています。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。労使双方から基本的な考え方をお伺いしました。
では、ここから資料1に従いまして、拘束時間という所から議論をしていきたいと思います。これまで出された意見によると、労使双方の1年、あるいは1か月の拘束時間について隔たりがあります。これをどのようにまとめていくかということになっております。具体的に言うと、労側は、1年の拘束時間は3,300時間、1か月の拘束時間は275時間で、上限は294時間にすべきだと主張されています。使側は、1年の拘束時間は3,408時間、1か月の拘束時間は284時間で、上限は320時間という主張です。これについて、その後何か意見の変更はございましたでしょうか。
○馬渡委員 変更というわけではないのですけれども、先ほど申し上げたように、この議論、部会が始まった冒頭に、やはり長距離の現状と近・中距離の現状とはかなり違うので、別々の基準を設けさせていただけないかというようなことを申し上げたと思いますけれども、いろいろな令和3年度の調査を見ても、我々は荷主さんの荷種によって、ものすごく拘束されているというか、繁忙期の長距離輸送では、例えば飲料、食料品の9割近くは275時間を超えていますと。それから、43.8%ですから、293時間超がそれぐらいいると。それが、すぐに切り替わってくれれば、これに越したことはないのですけれども、農水産品、建設資材、自動車、日用品と、これ全て網羅しているような状況なので、厚労省さんの調査で、明らかになっていると思います。ですから、我々としては、急激に舵を切って違反者を続出させることになるだけというのは、少し避けたいなと思っておりまして、繁忙期の部分については、1か月の拘束時間は320時間まで延長させていただいて、全体の年間の総拘束時間というのは3,408時間と。これは休日労働が込みでいくというような労働側の御意見に沿っていくと、我々としては、そういう意見が今のところ精一杯かなと思っております。
○藤村部会長 労働側、いかがでしょうか。
○貫委員 労働側とすると、馬渡委員の言われていることも重々分かる部分はあるのですけれども、長距離、近距離、これについては先ほど世永委員が言われましたとおりに、大まかな数字が出た中でどうするのかということは、やはり考えていくべき必要な部分があるのではないかなとは思っております。全く同じということでなくてもいいのではないかとも思っておりますが、月に320時間まで延長するということになりますと、どうしても脳・心臓疾患の認定基準を超えてしまう月を我々が認めてしまうということ、ルールの中で認めてしまうと、やはりそこは、我々とすると避けるべきではないのかと思っております。長短をつけることは構わない。それはやはり繁忙の関係がありますので、それは必要だと思いますが、逆に、先ほど馬渡委員がおっしゃられました3,408時間という中において、今までと同じ320時間まで延長することを認めるということにしてしまうと、逆に短い月の拘束時間が非常に短くなってしまうのではないかと思います。そうすると、今の運転者の賃金実態等を考えたときに、歩合の割合、運転時間の割合が高い賃金構造になっていることを考えますと、賃金の形態が変わればいいと思いますけれども、非常に賃金幅が大きくなりすぎて、運転者の生活を考えると、ちょっと難しい部分があるのではないかと我々は考えます。やはり脳・心臓疾患、ここの基準を超えるという部分については、我々としては、なかなか認め難い数字かなというのが今の正直なところでございます。
○藤村部会長 首藤委員どうぞ。
○首藤委員 今の御発言を踏まえて、使用者側に2点お伺いしたいのですが、まず、320時間を超えるかどうかというところはありますけれども、これも脳・心臓疾患の労災認定基準なので、この基準で働いていたらいけないのではないかという気もするのですけれども、これを念頭に考えたときに、使用者側の御提案で働いた場合、現行の脳・心臓疾患を減らせるというようにお考えであるのかどうかということが1点と、もう1つは、今、貫委員がおっしゃったような賃金の変動というのか、そのようなことについてはどのように考えていらっしゃるのかというところの2点をお伺いしたいと思います。
○馬渡委員 最初のほうは、脳・心臓疾患の認定の基準は、意識はちゃんとしています、使用者側としては。例えば運行計画を、最初からそれを超えるような計画をすることはまずありえない。しかし、待機時間がこれぐらいあって、渋滞がこれぐらいあってというような計画はしないので、基本的にはきちんと守られるような運行計画を作るのですけれども、要は、ずっと言っていますけれども、せっかく厚労省さんのほうの対応もしていただいて、少し荷主さんのほうも、これではいけないのだなと。我々経営者ではなくて、荷主さんのほうが脳疾患・心臓疾患を悪くしているのだなというのに気付いていただくまで、病気は待ったなしかもしれませんけれども、ただ反面、やはり使用者側というのは、処分基準になりますから、それをいきなり厳しくするというのは、やはり不合理な部分があると思いますし、賃金のことを言いますと、今、標準的な運賃を含めて一般の労働者の平均の賃金をもらえるように、要は、労働賃金の時間単価をアップするという考え方で一生懸命やっていますが、御存じかもしれませんけれども、コロナによって今、どちらかというと下がっている状況でございます。
本来の形は、残業代でもらうのではなくて、1時間あたりの単価をきちんと上げて、標準的な運賃をきちんと頂いた上で、労働者に短い時間で働いていただくという趣旨ではありましたけれども、残念ながら、今、実態としてそのようになっていませんので、多分、賃金形態を歩合を含めた形から変更されるという所は、まだ少ないのではないかと。本来だったら基本給のほうを多くして、歩合の部分を小さくするというのが本来の形だと思っておりますけれども、多分、労働組合がある所、ない所があると思いますが、労働者の側も、残業時間が急に減ってしまうのは困りますという意見もありますので、我々、それに甘んじるつもりはないのですけれども、我々で決められる時間はきちんと守ろうと。だけれども、決められない荷主さんの部分、超過部分というのは、すぐにパッと減るわけではないので、徐々にやっていこうかなと今のところは思っております。賃金の部分も、急に残業が減るわけではないので、そのように考えています。
○加藤委員 先ほどの脳疾患の認定基準というお話もありますけれども、320時間は現行でも年6か月までという区切りがあって、我々としては、320時間を仮に使うとしても、本当の、いわゆる商戦期、繁忙期ということになろうかと思いますけれども、繁忙期が、例えば半年、6か月連続であるかというと、そういうことはなくて、例えば年度末であるとか、引っ越しなどですと年度末が非常に多いと思いますが、あるいは中期決算ですと9月末とか、あるいは農産品であれば、いわゆる出来秋と言いますか、10、11月とか、お中元やお歳暮であれば、7月、12月だとか、割と単発的に起きていて、では、常にその人が100時間となっているかというと、そうではないわけです。
先ほど労働側委員からも話があったように、逆に、閑散期については早く帰ることができて、それが、ひいては先ほど言った歩合で非常に問題だというのもあるのでしょうけれども、必ずしも6か月連続で、じゃあ7~12月まで、ぶっ通しで100時間やっているということにはなりません。当然、12月単月で見れば85時間になったとかいうことはあるでしょうけれども、では、次の1月はどうだったかというと、44時間で帰っています、あるいは20時間しかありませんでしたというような実態であると考えています。
ですから、常に100時間超え、あるいは80時間超えになっているかというと、必ずしもそういう実態ではないということが1つあると思いますし、逆に、閑散期に関して、食べられないということになれば、それは先ほど馬渡委員からもお話がありましたけれども、やはり労働分配率ということでいけば、いわゆる所定労働時間内の賃金を上げていかざるを得ないでしょうし、実際に他業者、ある協力会社の話を聞いても、やはり稼げないで辞める方は確かにいらっしゃるようですから、各社さんはそういう意味では、本当の意味で労働力を確保するためには、やはり基準内のパーセントを上げていくということは当然念頭にあると思っています。そのための一助として、国土交通省さんに作っていただいた標準的な運賃、これを我々としても、更にお客様に説明して納得していただく必要があるかと思っています。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。労使双方がそれぞれ主張しておられて、今のところ、何らかの歩み寄りというのはどうもみられない状況かと思います。今日の資料1の2ページの一番下に参考ということでありますが、2度、トラックの調査をしました。7割以上の事業者が、1年間の拘束時間については3,300時間未満と回答しています。実態として、ちゃんとやっていらっしゃる所はたくさんありますが、そうでない事業者が3割弱いるわけで、その辺りをどのように考えるかですね。
先ほど馬渡委員は、違反をする所がどんどん出てしまう。それは避けたいという発言でした。ただ、違反をしないような経営をするように、経営を改めていくとはならないのかな思います。例えば、繁忙期というのは分かるのですが、繁忙期だから仕方がないではなくて、繁忙期でもちゃんとこの時間を守るようにすることです。場合によっては仕事を断るということも必要なのではないかと思いますが、そこはいかがでしょうか。
○馬渡委員 多分ですね、企業の規模、それから、体力の問題ともにありますが、10両以下の所が半分以上あるのかな。20両以下だとかなりの数あるということになると、今、藤村先生がおっしゃったように、どこか1つの荷主さんに入って、辞めますと言い難い事業者さんがたくさんいらっしゃいます。全部が全部拾うような議論をするつもりはないのですけれども、ある程度の方、7割は3,300時間を守られているとおっしゃっていますけれども、3割の方が業種・荷種によって、時間的にどうしてもはみ出していると、そういう所もいらっしゃいます。
一気にやって、事業者さんが断るとか、やれないのだったら、もう断りますと向こうの荷主さんから言われるとか、パターンはいろいろあると思いますが、私としては、運転手さんたちのことも考えると、急に荷主さんを切られるとやはり悲惨な結果になります。私どもの子会社で、急に荷主さんから、コロナだからもう来なくていいと、1か月予告すればいいでしょみたいな話で切られました。雇調金の特例がコロナであったものですから、何とか踏みとどまれましたけれども、普通の会社、5両、10両の会社だったら、もうとても踏みとどまれないだろうと思いますので、一気にやらなければいけないという部分は、我々で決められる運行計画は一気にやっていいと思いますが、でも実態として、残念ながらすぐにそうはならないと。
厚労省さんが今回働きかけとか要請を考えていただいて、荷主さんたちのほうにもそういう気運が出てきてくれるというのはうれしいのですけれども、では、2024年を境に、すぐそうなれるかというと難しいと思いますので、そこの部分は少しゆっくりやりたいなと。
いつも言っていますけれども、60時間以上の残業代が5割増しというのは、かなり経営者側にとっては厳しいのです。荷主さんのせいで、60時間を超えてしまうという部分に対しては、荷主さんに払っていただきたいと要請はしますけれども、払っていただけなかった場合でも、我々はどうしても払わなければいけないというのがありますから、そこでやはり経営者の意識というのは、当然720時間という意識に変わってくるのだろうと思っておりますので、ここで一気呵成に改善基準告示で縛ろうというように思わなくても、自然とそのようになっていくのかなと思いますので、私としては緩やかにいってほしいなと思っています。加藤さん、どうですか。
○加藤委員 今思い起こせば、2018年から19年頃だと思いますけれども、いわゆる宅配クライシスということで、いわゆるEコマースで荷物が届かないとか、遅延が出て、大手宅配業者が大幅値上げをしたりして、一時、そういう気運になったのは事実だと思うのですね。ようやくトラック運送事業者と荷主さんとの関係が少し縮まったかなと思った矢先にコロナになってしまって、せっかく国土交通省さんに標準的な運賃を作っていただいて啓発していたにもかかわらず、一時的に、かなりの経済の落ち込みということで、やはり、また立場が開いてしまったというのが実態だと思っています。
将来的には、先生方がおっしゃるように労働力不足が顕在化してきますので、引き続き荷主さんと我々運送事業者の立場は、また縮まっていくのでしょうけれども、アフターコロナと言いますか、その余波がまだ続いている中でいくと、もうちょっとお時間を頂く、最終的に短くするというのは、我々も意図していますし、やっていきたいと思いますけれども、馬渡委員がおっしゃったように、やはりソフトランディングのところがあってもいいのかなと少し思っております。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。では、監督課長どうぞ。
○監督課長 資料3ページにタクシー・バスの見直し内容を載せておりますが、バスのほうは今回特例を見直しまして、長いほうの月、もともと4週平均1週は71.5時間、これを月に直すと309時間くらいの水準になりますけれども、それが16週間まで可能ということだったのを、期間を延ばして6か月、高さを309から294に下げて、294時間を6か月まで可能という形で合意しております。一方で、最後、この場合においてということで、それは6か月までできるけれども連続は4か月までということで合意されたところでございます。今回、使用者側から、全体の枠は下げた上で、月ごとの高さはそのままでということで御主張がありますけれども、例えば、それがどうこうというのは置いておいて、仮に、今の高さのままだとして、連続を避けるという点についてはどのようなお考えかということをお聞かせいただければと思います。
○藤村部会長 いかがですか。
○加藤委員 先ほど申し上げたように、我々にとっての繁忙期というのがどれぐらい連続であるかというと、恐らく長くても、私が想定するのは農産物でして、多分、秋口の2、3か月、あと、それに対して年末の繁忙期が重なるとすると、やはり今、尾田課長がおっしゃったように、4か月ぐらいの、例えばキャップをはめるというのは可能かなと私は思いますけれども。
○藤村部会長 どうぞ。
○馬渡委員 これも荷種によります。一般的に節目節目のときに物量が多くなりますので、締め日の前に荷物の動きが多くなるということで、やはり6とか、9、12とか、そういったものは飛び飛びになるのでしょうけれども、今おっしゃったように荷種によっては、我々、九州だと、玉ねぎが2か月連続ですごく出るときがありますから、そこは2か月連続で出ていくのです。ですから、連続はいけないというのは当然分かるのですけれども、そのときに出る物によって、玉ねぎだったりスイカだったり、いろいろな物が、その旬の間の2か月とか、そういうのが連続するときがあるので、そこを細かく決めてしまうと、結局仕事がやりにくくなる。旬でないときは暇なのに、そのときを規制されるのかということもあるので、その辺のところは、あまり縛らないような形でやりたいと。
2か月間忙しくやって、ほかのときに、暇だから休みがたくさんあるのですけれども、休めるときに休んで、それでもやはり脳疾患とか心臓疾患がそこで蓄積されるのかというのが分からないのですけれども。事業者が、確かに統計とか調査はしていただいているので、その調査を別に疑うわけではないのですけれども、我々の事業者側の感覚で言うと、やはり荷種によったり、その会社の、先ほどおっしゃったような歩合に少しバイアスが掛かっているような場合は、一気に稼げるときに稼ごうという会社と、多分、加藤さんとか私の所はそうではない荷種を探して仕事をしているということで、そこまで、ずっと連続してさせることがないと。
藤村先生がおっしゃることはよく分かるのです。悪い荷主はみんな排除して、もう相手にしないという話になってくれると本当にいいのでしょうけれども、あまりよろしくない荷主はなかなか減らないので、ですから今回、厚労省さんのほうで要請をしたり働きかけをしていただくというのは、第一歩目としてはものすごく我々はうれしいなと。その模様も見ながら、厳しくしていくという方向でお考えいただくとうれしいと思っています。
○藤村部会長 どうぞ、尾田さん。
○監督課長 労災の認定基準の関係は、参考資料8ページにあります。これは昨年9月に改定された新しい認定基準ですが、左の改正前の所にあるとおり、平成13年に改正されて以降、「発症前1か月におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、80時間を超える時間外労働が認められる場合について業務と発症との関係が強いと評価できる」、こういう基準になっております。この認定基準を平成13年に作るに当たりましては、医学的な検討結果などを十分踏まえた検討会の報告書をベースにこういった基準を作ったという経緯がございますので、当然個人差等はあるかとは思いますけれども、業務と労災との起因、因果関係を認定するに当たっては、この基準を従来から使っている。ベースとしては医学的根拠を用いているということです。
もう1つ申し上げると、労基法36条に基づく指針を資料の15ページに付けておりますけれども、そちらの2段目の指針3条の所で労災の認定基準、旧基準が引かれております。使用者は労災認定基準、旧基準において、右に小さく書いてありますけれども、1週間当たり40時間を超える労働時間、すなわち時間外労働、休日労働が、月45時間を超えて長くなるほど業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まる。さらに、時間外・休日労働が月100時間又は平均で80時間を超える場合には、関連性が強いとされていること。要するに、この認定基準も踏まえながら、こういったことが示されていることに使用者としては留意して労務管理をしなければいけない。この指針が自動車運転者にも適用になっておりますので、今後は自動車運転者につきましても、こういった医学的根拠に基づく労災の認定基準の数字というものを意識して労務管理をしていただくことが必要になっているということでございます。
○藤村部会長 貫委員どうぞ。
○貫委員 先ほどから、繁忙期は連続しないのではないかというようなことを、馬渡委員、加藤委員もおっしゃっておられます。2か月ぐらいかなということを言っていますけれども、普通に考えて、全ての運送事業者がその荷種だけを運んでいるというわけではないと思いますので、当然他の荷種も併せて運ばれているのではないかと思います。そうすると、農繁期、農産品の出荷が激しい秋口において忙しい、そして、年度末に向けて今度は工業製品などの出荷が忙しくなる。輸送が多くなると、当然農産品を運んでいる車両等もそちらに回るのではないかと思っておりますので、320時間が連続しませんというのはなかなか。その荷種しか運ばないという事業者であれば納得はできるのですけれども、そういう実態というのは薄いのではないかと。我々の仲間の声を聞いても、これしか運ばないという仲間はあまりいないと思っています。
実態調査の中において、おおむね先ほどから出ておりますとおり、繁忙期においても、それぞれの荷種においても7割の事業者は293時間以下という回答が出ているということ。320時間を超えているという所も、農産品、農水産品とか工業製品、化学製品等の中にもありますけれども、こういうところは、やはり国交省さんや厚労省さん、経産省さん等で行われている、中央協議会の中での対策が必要になってくるのではないかと思います。
そういうところで、馬渡委員もお詳しいと思いますけれども、JAさんにいろいろやっていただいたりして、ある程度のパイロット事業の効果は出たのではないかと思っておりますし、それがやはり継続していただかないと、いつまでたっても同じ形になるのではないかとも思います。やはり、この7割以上の事業者が293時間で収まってますよという実態の中において、こういう調査結果があるにもかかわらず、緩やかなソフトランディングということは我々も望みますけれども、月320時間の天井は同じだというのは、やはり過労防止の観点から、忙しい月であっても少しは削減していかないと、過労防止の目的には届かないのではないかと、この会議の目的、主たる目的が逸脱されていくのではないかと思います。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。こればかりやっているわけにいかないので、次にいきたいと思いますが。
○馬渡委員 その件に関しては、293時間とも320時間とも関わりがあるのですけれども、293時間を少なくしていくということについては当然考えていかなければいけない。3,408時間を単純に12で割れば284時間になるわけですから、その辺は我々も意識しながらやっていると。しかし、悪い事業者で、320時間もとっくに超えているという事業者もいらっしゃるので、例えば293時間は3割ぐらいしか守れていない人はいないといっても、284時間ではその3割がみんな守れるかというと、そこはちょっと疑問がございます。今、現行の範囲内で皆さんきちんとやられている方が7割ぐらいいらっしゃるから、多分、7割ぐらいの方は、284時間になっても守ろうと思っていただけると思います。それも1つありますし、320時間に固執しようと思ってはいないのですけれども、いろいろな要素が絡んでおりますので、また次回か、我々もいろいろな御意見を聞きながら御回答したいと思います。
○藤村部会長 ありがとうございます。では、次の1日の拘束時間、休息期間に移ります。労働側の御主張は、6時間以上の睡眠時間確保の観点からも、1日の休息期間はバスやタクシーと同様に11時間を中心に行うべきではないかと。これに対して使用者側から前回、休息期間を2日平均の基準としてはどうかという意見が出てきております。この点をどのように労使双方が折り合いをつけていくかというところなのですが、やはり大事なのは資料1の5ページになりますが、脳・心臓疾患の労災認定基準の見直しが行われて、これをしっかり踏まえる必要があることです。勤務間インターバルという考え方でいくと、11時間未満になるといろいろな支障が出てくるようなのでという視点も必要かと思います。
タクシー・バスはどのようになっているかというと、5ページの一番下ですが、継続11時間以上の休息期間を与えるように努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。1日についての拘束時間は13時間を超えない。仮にそれを延長する場合があっても、15時間が最大でしょう。それから、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするということで、タクシー・バスは決着をしております。この辺りの1日の拘束時間、休息期間について、その後労使それぞれに検討されて、1歩前進しているかということですが。馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 前進になるのかどうか分かりませんが、運行上どうしても、我々が運行計画はきちんと決めていても、やむを得ない場合が多いと。発荷主さんから違った指令があったり、着荷主さんの指示であったりということを考えると、バスを参考にさせてはいただきたいのですが、バスのほうは、1日についての拘束時間は13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても最大拘束時間は15時間とすると書き切ってあるのですが、我々は波動がある業種であるということを考えると、1日の拘束時間については13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は2日平均で15時間とすると書かせていただければ、波動対応ができるのかなと考えました。
拘束時間については以上ですが、バスの附則が付いていますが、この場合において、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするように努めるものとするというのは、書き込ませていただいてもいいのではないかと。ただし、回数制限はなしにしていただきたいと思っています。
それから休息期間のほうは、それとパラレルになるかもしれませんが、バスを参考にさせていただくと、バスのほうは勤務終了後、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとすると書き切ってあるのですが、先ほど言った理由で勤務終了後、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、2日平均で継続9時間を下回らないものとすると書かせていただきたいと思います。
○藤村部会長 あくまでも、2日というところにこだわりたいということですか。
○馬渡委員 波動を我々が止められるのなら、もうバスのように書き込みます。しかし、止められない事由がたくさんあるので、それは2日平均にさせていただくと。どうしても、万やむを得ず何事かがあっても、次の日で調整するということが可能になりますし、バスなどの例を見ていると、1か月の部分と1年の部分はそのままですよと、万やむを得ない事由があったとしても、そのように書き込んでありますので、我々としては、そこの部分も少し情状していただきたい部分はあるのですが、そういうものもトータルで考えるとどうしても2日平均と、今日はお話をしていこうかと思っています。やはり他と、いろいろなものが絡んでいるのです。1年とか1か月が、特に1か月が、調整がかからない最後の辺りの日にそれがあると、次の日にきちんと短くしようと思っても、違反は違反でしょみたいな話になってしまうので、1か月というのは厳しいなと思っているのですが、一応バスにならったり、いろいろなものを参考にして、我々、最大限こういう書き方はできないかなとは思っています。
○藤村部会長 労働側はいかがですか。
○世永委員 休息期間について、インターバル11時間ということについては、原則にこだわっていきたいということは申し上げさせていただいたとおりで、現段階では、この表記にこだわっていきたいと思っています。
1日の拘束時間の関係については、13時間を超えないものとして、15時間を上限とするのが妥当だろうと思っています。ただ、バスもそうですが、よくよく見ると、では15時間未満でずっと拘束時間を続けられるのかというような労働側の内部の意見もありますし、そういう意味では15時間の拘束は例えば週2回までにするとか、そういった何らかの規制が別途必要かなとは思っています。バス・タクシーの14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるということの目安だけでは、労側としては不十分だなと思っております。理由としては、先ほど何回も言っていますが、5ページの所で、やはり労災の件数が突出しているということを踏まえた見直しにするべきだと思っています。以上です。
○首藤委員 休息期間2日平均のところなのですが、2日平均9時間を下回らないということですよね。ということは、1日では9時間を下回ってしまう可能性もあるなという話なのだと思うのですが、結局今回この休息期間の調査では、やはり休息期間と睡眠時間が非常にリンクしていると。休息期間を8時間とれていないと、睡眠が5時間を下回っていると、それが半分だという結果が出ていて、やはりこれが脳・心臓疾患に非常に強く影響している可能性があることが指摘されているわけで、そこは非常に懸念するのですが、その点はどうお考えですか。使用者側にお聞きしたいのですが。
○馬渡委員 8時間を下回らないというのを原則にすると、2日平均というのは結局、9時間というのは10時間と8時間で9時間ですから、そういうようになるかなと。しかし、脳疾患・心疾患のことだけを言えば、今、首藤先生がおっしゃったような形にすべきなのだろうと思います。要するに、自分たちで決められない要素が多ければ、結局そこに流されて、荷主さんの言うことを聞いたまま仕事をしている間は、結局は改まらないのかなという部分があります。その場合に、やはり使用者側としては当然のように罰則はありますから、違反をすれば、先ほど言ったように1か月とか1年の部分は何か特殊な事情があっても罰則は罰則ですよというような話になるのかと思いますので、そこはすぐに「はい」と飲み込むことができていない状況です。
おっしゃっていることは分かりますし、前回も言いましたが、自分の所の労働者が、ただでさえ人手不足なのに、脳疾患・心疾患でリタイアされるというのは決して望んでいませんので、しっかり使いたいと思っていますが。ただ、人手不足の中で、ワークシェアをすれば何とかなりそうな部分もなかなか何ともならなくてやっている状況ですので、実際に仕事をやって、労働者の方も職があってギリギリのところできちんと健康を守っていこうと、どうしても考えがちですね。健康は大事なのだけれども、会社が、仕事がなくなって、ひいては労働者の方も仕事がなくなるというのは、やはり使用者側の責任だと思っているものですから、そこはどうしても過度に踏みとどまって議論はさせていただきたいなと。
分かってはいるのですが、実際の経済合理性などのいろいろな部分を考えると、そこまですんなりと、こうしましょう、これなら亡くなる人はいませんよみたいにする話にはなかなかならないでいるということです。ですから、今話されたように、フリーハンドを少し与えてほしいという部分では平均してという話をしている状況ですが。
○藤村部会長 貫さん、どうぞ。
○貫委員 もう一度確認をさせていただきたいのですが、先ほど言われたのは最大拘束時間を2日平均で15時間ということですか。それで、休息期間が2日平均で9時間ということですか。ということは、1日の最大拘束時間は極端なことを言えば、1日は20時間走らせて拘束をして、翌日で調整を、2日平均ということは前後調整3日間で平均を取るわけですから、それで15時間とすると、無茶苦茶長い拘束時間でも認めてということで、3日でどこか基準日を作って、15時間になればいいでしょというような提案だということの理解でいいのですか。
○馬渡委員 極端な事例は、今後の議論で大体妥当な線に落ち着いていくのかなと思いますので、例外的に20時間働かせたらどうなるのという話はなしだと思います。ただ、インターバルの問題などもあると思いますが、たまたまいろいろな理由で、例えば適用除外になるような理由などで20時間になるということはあると思います。その場合にはこうしましょうとか、通常の場合は20時間というのはあってはいけないのだけれども、お客さんに5時間も6時間も平気で待たされたと、結果として、そういう事例が出てきたという場合はこうしましょうというのは、極端な部分はきちんとお話して、それを認めるためにそのようにしてくださいと言っているわけでは決してないので、そのようにお取りいただければと。今日議論が全部決まるのでしたら、そこまで全部決めて詰めなければいけないのでしょうが、今日は考え方を出していく話だと思いますので、そのような考え方でいきたいということです。
○貫委員 分かりました。ありがとうございます。今日の業界紙にも出ていましたが、やはりドライバーの睡眠時間の確保、これは十分に取るべきだと。最低でも6~7時間にするべきだというのが業界紙にも出ておりました。平均の考え方は今後の議論になるのかもしれないですが、最低、ドライバーの睡眠時間を何時間ぐらいは取らせないといけないみたいな部分は考慮した上でいかないといけないのかなと思った次第です。
○藤村部会長 2日平均が使用者側の主張であり、労働側はそれを認めるとまずいのではないかといったところで、今日は、歩み寄りはまだないようです。尾田課長どうぞ。
○監督課長 1点だけ、参考資料1の一番後ろで、新しく設けました改善基準告示の変遷の資料を御覧いただければと思います。昭和54年に前身の通達で、初めて拘束時間や運転時間の基準を定めたときに、拘束時間については2週平均1日13時間、ただし1日最大16時間まで延長可ということで、最大16時間。そして、休息期間が1日については連続して8時間以上と。ですから、この8時間と最大16時間というのは、昭和54年の通達から変更はありません。
これはなぜそうなっているかというと、参考資料1の18ページにILO条約の153号が昭和54年に策定され、その中で休息期間については連続10時間(平均でも可)。ただし、いかなる場合も8時間を下回ってはならないというところで、この連続10時間というところはなかなか当時の現実からして対応できないということであったかと思いますが、この最低基準である8時間については盛り込もうということで、休息期間8時間と。かつ、ここでは書いておりませんが、この連続10時間、8時間というのはEUと同様に、労働開始24時間以内においてということですので、これは我が国の改善基準の考え方と若干違うのですが、いずれにしても8時間休息期間ということであれば、それを引いた16時間がマックスの拘束、我が国で言うところの拘束時間ということです。ですから、それを踏まえた形で先ほど御説明したとおり、昭和54年の通達から我が国の基準も拘束は最大16時間、休息は最低でも8時間となってきたということで、当初からこの基準でやってきたことも踏まえて御議論いただければと事務局としては思っていますので、よろしくお願いします。
○馬渡委員 今の話を尊重すると、自ずと議論の終わりは見えていると思いますが、今日のところはこういう議論で終わらせていただきたいと思います。
○藤村部会長 はい、分かりました。では、次にいきましょう。運転時間、連続運転時間という所で、6ページからになります。運転時間については、労側は現行どおり、使用者側はむしろ運転時間は廃止すべきという御主張で、ただ、その次の7ページですと、ILO条約やEU規則では運転時間の基準が設けられているから、これをなくすというのはちょっとまずいんじゃないかというデータがあります。それから、連続運転時間については、使用者側から5時間に緩和してほしいと。それから、運転の中断は5分に緩和するという御主張があり、労側としては満車でサービスエリアに入れない場合、そこはある種の考慮が必要であると。ただし、中断時間は45分とすべきだという主張です。
それからもう1つ出てきたのは、いわゆる労働基準法の休憩時間の概念というのがうまく伝わっていないというか、運転をしていないときに荷積み・荷卸しをさせられるというか、しなければいけないドライバーがいる点です。これは、休憩時間が全く取れないということであり、これってやっぱりまずいんじゃないのという御主張ですね。この辺りいかがでしょうか。まず、使用者側から聞きましょうか。
○馬渡委員 運転時間については、ほかのものが細かく決まるのであれば、やはり省いてほしいと思います。ほかの規則で縛れば十分に可能だと思いますので、そうしていただきたいと思います。今日はそういう回答しか用意をしていません。
連続運転時間は、いろいろ議論はあるのですけれども、できれば4時間を超えないように努めることを基本としますよと。5時間は超えないものとするという書きぶりをさせていただけないかなと。というのは、4時間と5時間の間でいろいろなデシジョンができるようにさせていただきたいと思っていまして、なおかつ運転の中断は、以前から言っていますように5分以上であればよいと。10分じゃなくてですね。5分以上のものを取れば、10分のときもあれば7分のときもあると思いますけれども、それの総合が30分になればいいのではないかと思っていますので、4時間を超えないよう努めることを基本とし、5時間を超えないものとすると。5時間を超えたらアウトですよというのはそれでいいのかなと思っています。これは高速道路をずっと乗っていく場合でも5時間を超えないんですよと。それから、下道を行っていても渋滞にはまっても5時間を超えないんですよと。4時間から意識をしていただいて、5時間までの間にどこで休むかを考えてもらうというぐらいの運転手さんの判断に委ねていいのではないかという観点から、そうさせていただきたいと。
1回当たりは5分なのか10分なのかというのは御本人のバイオリズムの部分もありますので、5分でもいいよ、でも5分以上はちゃんと取ってくださいねと。10分でもいいし、まとめて取りたい運転手もいるのです。我々の所も、一生懸命に高速道路を走って、高速道路上の温泉施設というのがありますけれども、そこで30分以上お風呂に入りたいという運転手もいますので、それはその運転手の自由度に任せてあげていいのではないかと。その場合は5分でちまちま休むのではなくて、30分一気に取ろうというのは、それは4時間から5時間の間にちゃんとトラックを止める所を見付けてやりなさいよという指示を出せば守られるのかと思いますので、連続運転時間は今言ったような形でいかがでしょうかというように思っています。
○加藤委員 今の意見に補足ですけれども、自分もそうなのですが、サービスエリアで休むときは、たばこも吸いませんから、要はトイレに行ったらもう出てしまおうとする。せいぜいジュースかなんか買ってと。10分は掛からないですね。たばこを吸うのならば10分掛かるかもしれませんけれども、私のように、たばこを吸わないのでちょっとだけ休憩して行こうと思ったらやはり5分。一応今の規定では10分だけど、まどろっこしいな、どうしようかなという形になると。それは先ほど馬渡委員がおっしゃったように、ある程度ドライバーの裁量の自由度をもう少し入れてあげたほうが、逆に働き方改革につながるのかなという気もいたします。以上です。
○藤村部会長 前回、少し労使でやり合った休憩時間の概念というのは、これはどうですか。
○加藤委員 前回ちょっと言い過ぎたのは反省していますけれども、やはり、屋上屋を架すというのはどうなのかなということもあります。貫委員の御心配も分かるのですけれども、そもそも労働基準法違反になってしまうところに、もう既に監督署が入るというようになるわけですから、そこは無理して規定に載せなくてもいいと。逆に言うと、どちらかと言うと事業者に対する告知といいますか、教育といいますか、そういったところで対応すればいいのかなと思っています。以上です。
○世永委員 運転時間の関係については、やはり基準を設けておくことが妥当であろうと思っています。今まで現行どおりということで労側は発言してきましたけれども、ただ、ILOやEUの内容を踏まえて、平均をやめて時間を長くする等の考え方については検討の余地ありということは申し上げておきたいと思っています。
あとは連続運転の関係で、これも繰り返しになりますけれども、やはり現行どおり4時間、中断10分。それと労側のほうで、これも組織内でも大きな問題なのですけれども、サービスエリア、パーキングに入れないというようなこともありますので、そういった場合については4時間半ということで、休憩も45分と考えていたほうがいいのではないかと思っています。ただ、休憩の概念の関係については、やはりILO条約やEU規則では中断ではなく休憩というように表記されていますので、この間ずっと休憩の概念について話をしてきているとおり、我々としても、ここは休憩ということで10分ということについては再度主張しておきたいと思っています。
○首藤委員 まず、運転時間を規制するべきかどうかというのを、多分、そもそもは交通事故との関係だったと思うのですね、改善基準告示の中に書かれている根拠としては。やはり通常の労働ではなく、運転という労働には特殊な負荷が掛かっているというような考え方があったのかなと思っています。ですから運転時間、あまり長時間の運転時間というのは負荷が高いというような、私はそういう認識を持っております。ですので、それを廃止しても大丈夫だという根拠はどういうふうなことで説明できるのかなというところがまず1点と、あとは連続運転のところで、確かにサービスエリアの問題とか、なかなか入れないというような話をよく聞くのですけれども、4時間だと入れないけれども5時間だと入れるのかどうかというのが、ちょっとよく分からないのです。4時間で入ろうとすると、3、4時間の間でどこかで入ろうと探すわけですけれども、それが延びると入れるようになるというものなのかどうかというのが少しよく分からないと思うところです。
あと、実際に調査によると、連続運転は4時間未満がほとんどであって、それを超えている層はほとんどないのかなというふうにも、実態として守られているというようなこともあるかなと思います。
○馬渡委員 最初のほうは、根拠はどうなるのかという話だったと思うのですけれども。根拠はないのですが、我々も、なくてもほかの数字で縛られているので大丈夫ではないかなと思うのが、強いて言うならば根拠ですね。ほかの数字は結構がちがちに決まっていますので、それでなお運転時間を決めなければいけないのかというのは当然あります。
それから、これもずっと同じことを言わせてもらって申し訳ないのですけれども、運転時間はこの時間だけだから駄目だよと規定をしても、やはり渋滞にはまったりとかいろいろな部分というのは当然あるので、今のところ、それをはみ出たりする場合があるなと。そう考えると、運転時間をここでがっちり決めたら、それ以上は駄目よと言った途端に、休憩とか休息とかをずっと取らなければいけなくなりますから、そちらのほうが不合理が少しあるのかなと思っている部分が2点目です。
バスだけではなくて他業態さんを見ると、そういう縛りがない業態もありますので、我々もほかの部分で結構細かい縛りがありますから、それだったら要らないと。ある程度、運転手とか運転の状況に任せてもいいのではないかと思います。ほかの部分で結局違反だったら違反になりますから、と思っています。
○藤村部会長 それから、5時間にするとサービスエリアを見付けやすくなるのですかというのはどうですか。
○馬渡委員 これは、見付けやすくなるかどうかは別にして、運転手さんたちのバイオリズムの問題もあって、昔はゴー・ストップを繰り返しても、4時間にもなればくたびれ果ててというのがあったかもしれませんけれども、今は高速道路を運行するというのが多くなってきていますので、その場合は、4時間で休みたい方は休んでいいんですよ。4時間を基本としようという話をしていますけれども、5時間でも、例えば高速道路で休憩し、サービスエリアを探しながら、5時間を絶対に超えては駄目よという話をきちんとしてあげれば、運転手たちも4時間を超えたあたりから、意識しながら探しながら行けるのかなと。今はそれを実際に4時間でやろうと思えば、3時間ぐらいの運転で、探しながら、次に行くのに30分ぐらい見なければいけませんから、そういう作業がいるということで、高速と下道だけを走るところの違いもあるかと思います。
アローアンスを少し頂きたいというのと、最初のときに申し上げましたけれども、アナログタコのときに、4時間というのは少しアローアンスがあったのですけれども、今はもうデジタルタコに変わってきていますので、4時間1秒でも、「はい、違反ね」と言って終わりなんですよ。いろいろ解析のソフトが優れているものですから。そういうのでなくて、4時間から、5時間1秒になったらもうアウトねって言われてもいいと思うのですけれども、高速道路を走っていて、4時間を超したあたりから、ちょっと休むところを探しながら、5時間以内にはきちんと休めるようにするというように考え直してもいいのではないかと思っています。
○世永委員 我々としては、運転時間の関係は基準が必要だということを先ほど申し上げさせていただきました。ただ、ILOやEUの内容を踏まえての考え方で、長くしてもいいよということを、使側のほうもそこはちょっと受け止めてほしいなと思っています。議論はきちんとしていくと。ただ、基準はやはり必要だということです。
それと連続運転の関係です。これも先ほど申し上げたとおり、やはり最悪の場合4時間半でということですね。これは疲労の蓄積の関係もありますので、そこは再度主張しておきたいと思っています。ただ、サービスエリアの関係については問題もあるということで、これについても認めてほしいということです。あと休憩のほうですが、細かい面については、労側のほうとしては主張を変えるつもりはございませんということで発言をさせていただきます。
○藤村部会長 それぞれ出ました。まだ隔たりは大きいですね。
○馬渡委員 大きいように見えるのですけれども、言っていることは表裏一体のような気がします。どこかで運転手さんのことをきちんと思って決めると。運転手さんの受け取り方も様々ですので、我々もいろいろな事業者さんの運転手さんたちからヒヤリングをしたりしてこういう主張をしておりますので、労側も多分労組の方たちからいろいろなヒヤリングをして、これがきつい、あれがきついという部分があると思います。
先ほど貫さんがおっしゃっていましたが、私とか加藤さんが運転の中断の話をするときは、5分だろうが10分だろうが休みは休みなのですよね。ところが、おっしゃるように、その10分の間に荷役をさせようという事業者さんが確かにいらっしゃるものですから、我々からすると、何でそんなことするのかなというのが本音のところなのですけれども、そこをさせたいから5分にしようとかという話ではなくて、あくまでも普通にまともに守って休みを与えている人の感覚から言えば、5分以上で、10分を基本としというような言葉を入れてもいいと思うのですけれども、10分を基本として10分を割っていて7分ぐらいで出ても違反ではないですよと言ってあげたいなと思っているところです。
○藤村部会長 尾田課長どうぞ。
○監督課長 事務局としての考えなのですけれども、この連続運転時間、運転時間というのは、自動車運転者の基準の中でもかなり中核的な部分だと思っておりまして、先ほど首藤先生もおっしゃいましたように、自動車運転者の業務の特殊性、労働者の個人の健康管理のみならず、そのことが国民の交通安全、健康、生命にも影響するというところで、そこで重要となってくるのは、十分に休んでしっかりと健康に運転できるかということだと思います。
ですから、運転時間、連続運転時間を考えるに当たって、それがしっかり守れる基準になっているかというところと、仮にそこを緩めた場合に、緩めた以上にしっかりと健康を取り戻せるような基準になるかどうかというところが重要かと思いますので、今回資料でお出ししておりますとおり、ILO条約、EU規則では「break」ということで「休憩」、これはEU規則のほうでは、「break」は、はっきり定義されておりまして、「運転、あるいはほかの仕事をしておらず、完全に休養に当てている時間」と定義しております。そういったことも踏まえて、ここをどうするかということを御議論いただければと思っております。
○馬渡委員 今の話も踏まえて、持ち帰って検討したいと思います。
○藤村部会長 次は特例です。休息期間の分割という所で、労働側は、分割休息特例はバスと同様の見直しを行うべきではないかと。使用者側は、分割する休息の単位を2時間若しくは3時間、合計した休息期間の時間を8時間に緩和してもらいたいと。全勤務回数の2分の1を限度とするという制限は外してほしい。ドライバーを早く帰宅させるために、間の休息期間を短くして、勤務終了時刻を前倒しするのが合理的と。こういうのが現在の御主張になります。
10ページ、この場合、ILO条約、その他、またはバスの取りまとめ状況を踏まえて検討するのはどうだろうかということで資料ができております。この点はいかがですか。
○世永委員 労働側としては、今までの主張と同じです。勤務終了後9時間以上与えることが困難な場合は2分の1を限度に継続4時間以上、合計11時間以上が妥当と思っております。一定期間についても1か月、分割は2分割までということで考えております。
○馬渡委員 ほかの部分と関わるのですが、今日のところはと言いますと変ですが、業務の必要上、勤務終了後、継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合はというのは、先ほど申し上げたような2日平均の考えを言いますと、ここに2日平均と足していただいて、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1という規定はなくしていただきたいと依然として思っています。この場合において分割された休息期間というのは、1日において1回当たり4時間以上を基本として3時間を下回らないとしていただいて、合計10時間以上でなければならないものとすると変えていただきたいと思います。分割の制限については、トラックは現行どおり3分割をさせていただきたいと思いますので、この点に関しては労組さんとは溝が深いのかなと思っています。
○監督課長 御主張の全勤務回数の2分の1をなくしてしまうと、ずっとやっていいということになってしまいます。すなわち、毎月一定期間を設定するとずっとやっていいと。EU規則、ILO条約の規定をお出ししていますが、EU規則でも例外はありますが、3時間以上と9時間以上ということは、片割れが9時間以上ですので、ILOの最低基準を下回っていないのです。ところが、日本の改善基準では、合計10時間以上、4時間以上ですので、4と6ということで、8時間を下回っており、ILO条約の原則を満たしていないということになりますので、特例中の特例という、やむを得ずこういった特例を設けているという趣旨ですので、そういったことも踏まえていただきながら、御主張も含めて、どこまでこれを、例外中の例外ということを前提としてどこまで見直しをするのかということを御議論いただきたいと思います。
○馬渡委員 この場合3分割になると、3、3、4になると思いますが、11時間だと4、4、3です。そういう取り方も認めていただきたいと思います。これは皆さんの御要望も入っていますので、いろいろな議論をしながら、ILOの部分をそもそも外れていると言われますとどうしようもないのですが、特例中の特例で、どういうふうに認めるかという議論ができれば、そういう議論もしていただきたいと思います。これはお願いです。
○藤村部会長 分かりました。
○馬渡委員 いろいろ配車したりとか、実際にどうなるかは別にして、配車を組む人たちにとって、今回の改善基準告示というのは、もっと荷主さんにも説明しやすいように簡素化してくださいというのが、最初の時点からお願いしているのですが、どういう部分で簡素化できるのかが、まだ全容も見えていないのですが、できるだけ最後に決まった部分を荷主さんに説明したいのです。
ですから、荷主さんにもきちんと御理解をいただけるような形で、ILOが決めていますからと言って納得していただけると非常にいいのですが、一般の方も、前回も言いましたが、11時間は絶対に休まなければいけないということを決めてくださいという話になりかねない話なのです。8時間とか9時間ではなくて、EUみたいに11時間絶対に休みなさいよと。一般の労働者の方もそうなってくれていると、我々も荷主さんたちにも言いやすいし、いいのですが、なかなかそうはならないのです。荷主さんたちはたくさん休みますが、我々が休むのは。荷主さんたちが休んでいる間はちゃんと働いてねというのが、今のところ荷主さんたちから要請される最大の項目です。嘆いてもしようがないのですが、そういう部分も考えますと、今日、隔たりを縮めようというのはないのです。
○藤村部会長 分かりました。労使の主張が隔たるのは普通ですから、これを、これからどうやって縮めていくか、最終的にどう合意するかという、その辺です。次は、2人乗務の特例についてです。
○加藤委員 冒頭でもお話をさせていただいたとおり、今日の馬匹輸送について、実際のベッド等の内容についても御説明しましたが、従来からの主張を繰り返しますが、馬運車に車用のベッドを設けて、走行中の継続4時間以上の休憩時間について休息期間として取り扱っていただければと思っていますので、よろしくお願いします。
○藤村部会長 こういう仕事をしていらっしゃる方は何人ぐらいいるのですか。
○加藤委員 意外に多くて、この辺でも大井競馬場にも何社かありますし、弊社もやっていたのですが今はやめましたが、JRAさんの子会社が1番大きいと思いますが、結構な数はあると思います。
○藤村部会長 労側はいかがですか。
○貫委員 労働側は、20時間拘束と4時間休息が妥当ではないかと思います。ある意味、2人乗務の場合であれば、ベッドの大きさと休息場所の考え方もあると思いますが、特定の業種に限らなくてもいいのではないかと思います。バスと同じように、環境によって、時間の設定については検討する余地があるのではないかと思います。やはり、これから先、長距離運行がどうしても避けられない状況の中で、ワンマン運行であれば運行が賄えないとなると、2人乗務にならざるを得ないという状況も出てくると予想されます。そうしたときに、馬匹だけが認められて、ほかの荷種は認められないというのは、ドライバーからしますといかがなものかと思いますので、全ての荷種についても2人乗務に関しては、時間について検討したほうがいいのではないかと意見させていただきます。以上です。
○加藤委員 かなり踏み込んでお話いただいて有り難いのですが、たまたまこのようなベッドを備えている業者は馬匹輸送に限られていますので、当然、今後2人乗務、今回、拘束時間の関係や何なりが厳しくなる中で、今まで以上に2人乗務が増えるときに、トラックメーカーも、狭い簡易ベッドではなくて、本格的なベッドを作って、バスの見直しの参考資料が付いていますが、例えば、カーテンを導入して遮光しているとか、ドライバー同士の接触がないとか、一定の条件を満たした場合には、馬匹に限らずトラック運転者全体に広げていただくというのは一番だと思いますが、現状としては、こんなベッドを備えている車が馬運車しかないという状態ですから、今後そういう車が開発される、あるいは発売されるのであれば、そこに限る必要はないかとは思っております。
○首藤委員 教えていただきたいのですが、先ほどの資料は大変参考になりました。馬運車はこういったサイズのベッドが最低限、全てにおいてあるということと認識してよろしいのですか。これより狭いようなベッドだとか、そういうことはほとんどなくて、基本的には全ての馬運車にこのサイズ以上のベッドがあるという認識でよろしいわけですか。
○加藤委員 確認いたします。ただ、この意見を集めたときに、平均的な車両ということで上がってきていますので、あとは特殊車両で架装メーカーも限られていますので、そんなに実情が違っているとは思っていません。それはもう一回確認させてください。
○首藤委員 もう一点は、しっかりと遮光カーテンがあって、広さのあるベッドがあるならば休めるではないかというのも、確かにおっしゃるとおりだなと思いつつも、私もドライバーさんにお話を聞きますと、2人乗務に対するクレームが非常に多いという印象もあるのです。1人で乗るのが好きでドライバーになった人も多い中で、2人乗務は本当に嫌だみたいな話もよく聞くのですが、2人乗務というのは一般的に馬運車とか、特殊なものを運ぶ以外でもそんなに利用されているものですか。
○加藤委員 やはり、拘束時間の関係で、ワンマンでは無理、主に長距離に関しては、2人乗務はあると思います。今、おっしゃられた評判が悪いのは、多分、例えば個別の相性の問題とか、仲が良いとか悪いというのもありますし、片方が喫煙者のときは嫌だとか、そういった話は聞きます。特に特積み、宅配便等の特積み業者さんにおいては、中長距離の運行に関してはツーマンというのは非常に多いとは聞いております。
○藤村部会長 2人乗務について、労側の主張は、別にこれは馬匹輸送に限定しなくていいのではないかと。全体に広げるということでどうかという、そこは、使用者側は別に反対はしないということですね。
○馬渡委員 特に今、馬匹のほうで御意見があったので詳しく述べましたが、2人乗務の所は確かに長距離で九州から2人乗務して行っている所はありますので、特に例外的に少ないということはないと思いますが、私が知っている所はずっと2人乗務をされているので、結構仲の良い者同士を組み合わせて、ローテーションで回してやっていると。そのローテーションが崩れたときに、相性の良い人悪い人があると。ただ、2人乗務を前提に雇われているので、そういう面ではプロですから、タバコの話とか特別な事情がない限り、きちんと仕事をして帰ってくる。たまたまのときは結構あるのです。緊急で輸送したりとか、そういうときは直に2人乗務にして走らせますから、九州から東北まで走らせて、2人乗務して帰ってくるということはありますので、相性うんぬんの問題も会社内で解消するしかないかなと。
反対に、ある程度運転手さんとして快適な環境があれば、馬匹だけにとどまらなくてもいいのではないかと。これからいろいろな、車両の部分とか、改良が加えられていくと思います。EV化したりして、バッテリーをどこに置くかとか、いろいろな話が出ていますので、バスは屋根の上に置いたりされていますが、トラックはそういうわけにはいかないので、今のベッドの所をどうしようかとか、今の運転席の後ろのカーテンだけという所から、運転席の上にきちんとしたベッドを設けようと。これは既にありますから、その辺は一般的にと言っていただくのは非常にうれしいです。ただ、一定の要件をきちんとお互いに決めてからしたほうがいいのではないかと思います。
○貫委員 広げることに関しては労働側としても何とも言いませんが、1点だけ、休息期間の概念をどうするかです。ツーマン乗務のときの休息期間の概念をどうするのかということだけは議論していかないといけないかと思います。これは休息期間ということで解放される時間ということになっていますから、そういったような部分は、ほかの所でも大きく縛りを掛けるとか、そういうような必要性はあるのではないかと思います。
○監督課長 休息期間の概念自体は確定しておりますので、完全に労働から解放されて、自分で自由に対処できる時間ということは、EU規則では「rest」ですが、基本的に同じ考え方で変えようがないので、今回、御説明いただいた内容を踏まえて、どのような取扱いができるか。これを休息期間として見るのは概念的には無理ですので、こういった環境にある2人乗務について、どういう趣旨で、どういうところまで、今の基準をどうこうできるところがあるのかないのかというところを議論していくということだと思います。細かい技術的な話ですが、そういうことかなと思います。
○藤村部会長 残りですが、フェリーに関する特例については、現行どおりでどうだと。使用者側から、駐車場で休んでいる期間も休息期間として取り扱うよう緩和という意見は出ています。今日は、この点には入りません。最後のその他の所で、荷主都合の部分が使用者側から主張され、厚生労働省あるいは国交省も、それに対しては一定の歯止めといいますか、そういうことを考えたいということで御議論いただいていると思います。荷主関係の話で、尾田課長から何かありますか。
○監督課長 先ほど室長から資料3として御提案した内容も含めて、更に何ができるかということを考えてまいりたいと思います。今回お示しした案については、関係省庁や関係団体とも御協力いただきながら、単に監督署から個別にいくということではなくて、幅広く業界団体とか、そういった社会全体へのアプローチも並行してやっていくことによりまして、荷主への気付きを、運送事業者の改善基準を守るために荷主が自分の役割を果たしているということを社会全体でやっていきたいと思っております。今後とも、もっと何ができるかということは引き続き考えていきたいと思います。
○馬渡委員 荷主さんに対する働きかけというのは非常にうれしいお話ですが、さりとて、個別の部分については、違反は違反ですよと多分思われているのではないかと思いますが、そうであっても、これから細かい部分は詰めさせていただきたいのですが、基本的には保留して、1か月単位でやられるのを保留ができないかと思います。
年間の960時間というのは守らないといけないので、その人間に関わる部分の960時間をきちんと管理するというのは我々もできますが、1か月というのは締め日の関係もあって難しいことがあります。ですから、一定の要件の下で個別対応していただいたり、全体的な話をしていただけると今のところ認識しておりますが、その場合でも、きちんと事案がはっきりするまでは留保していただきたい。最終的に1年間でこうですよというお話は確かに我々も計画をして配車をするというのはできますが、1か月というのはなかなか難しいと思います。これを見て思った印象はそういうことです。
○藤村部会長 分かりました。どうぞ、尾田課長。
○監督課長 それは前回も御指摘のあった点ですので、それは受け止めさせていただきます。厚生労働省の対応としては、監督署のほうで監督指導させていただいて、実際調べた結果、改善基準告示に違反があれば、それを直していただきたいということを御説明して、実際直していただくまでしっかりとモニタリングさせていただくという対応です。これは罰則もない話ですが、やはり、自動車運転者の過労防止という観点から、ここは監督署としても法違反と同等なやり方でコミットさせていただいているところです。
ですから、その過程で事情があるということはお聞きしつつも、改善への意欲を見せていただければ、それはそこで完結しますので、監督署の対応としては十分事情を理解させていただいた上で、しっかりとその環境を良くすることのお手伝いをさせていただくということで、今後ともスタンスは変わりませんし、更に今回を契機としてこういったスタンスで取り組んでいきたいと思っておりますので、そこはよろしくお願いします。
○馬渡委員 しっかりその辺のところがお聞きできただけでも、長時間お話した甲斐があったなと思いますので、もう少し我々の議論も含めた上でお話はさせていただきたいと思います。
○藤村部会長 時間が過ぎましたので、この辺りで終わりたいと思います。労働側からどうぞ。
○世永委員 今回、事務局のほうから数字につながるようないろいろな取りまとめを提出されたことは感謝申し上げます。次回は具体的な数字の入った叩き台になるだろうと思いますし、是非、そういった御準備をしていただきたいと思います。
それから、今の適用猶予の業種ですが、令和6年4月からは960時間の上限規制になるのだということです。ただ、この間申し上げてきたとおり、そうは言っても、一般則ではないよということです。来年からは60時間、5割増しも始まります。いろいろな意味で労働側としては賃金体系の見直しと、ここは春闘1回では終わらないので、2回、3回やっていかないと直し切れないだろうという相談もきています。そういったことの対応も含めて、共通認識を持った上で、公労使で次回以降見直しの議論をしていただきたいということです。
その前提というのは、過労死防止を踏まえた見直しの議論になると思っておりますので、労働側としてはそういった形での姿勢で望みたいということを申し上げます。以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございました。最後に事務局から事務連絡等あればお願いします。
○副主任中央労働基準監察監督官 次回の作業部会の日時・場所については、調整の上、追って御連絡させていただきます。
○藤村部会長 これをもちまして、第6回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を終了します。どうもありがとうございました。

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