厚労省・新着情報

労働基準局労働条件政策課

日時

令和4年3月25日(金) 14:00~16:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員、両角委員
労働者代表委員
 梅田委員、北野委員、櫻田委員、東矢委員、冨髙委員、八野委員、世永委員
使用者代表委員
 池田委員、佐久間委員、鬼村委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、鳥澤委員、兵藤委員、山内委員
事務局
 吉永労働基準局長、青山審議官(労働条件政策、賃金担当)、石垣総務課長、松原労働条件政策課長、尾田監督課長、佐藤賃金課長、髙松賃金課調査官、尾﨑賃金課課長補佐、長澤労働条件企画専門官
オブザーバー
 眞下金融庁総合政策局フィンテック監理官、伊藤金融庁総合政策局資金決済モニタリング室長、玉川金融庁企画市場局総務課デジタル・分散型金融企画室長

議題

  1. (1)資金移動業者の口座への賃金支払について
  2. (2)2020年度 年度評価について

議事

議事内容
○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第172回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会も、会場からの御参加とオンラインでの参加の双方で実施いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の川野英樹委員が欠席と承っております。
なお、本日、安藤委員は所用のため途中で退席されると伺っております。
それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○荒木分科会長 本日の議事に入ります。
本日の議題1は「資金移動業者の口座への賃金支払について」です。
初めに、労働政策審議会運営規程第4条に、分科会長が必要と認めるときは、委員でない者の説明または意見を聴くことができるという規定がございます。
本件が金融庁の所管する事項に関係することから、本日は、金融庁総合政策局フィンテック監理官の眞下利春様、総合政策局資金決済モニタリング室長の伊藤公祐様、企画市場局総務課デジタル・分散型金融企画室長の玉川英資様にオブザーバーとして御出席いただいております。よろしくお願いします。
それでは、本議題につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○賃金課長 賃金課長の佐藤でございます。
私のほうから、資料No.1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思っております。「資金移動業者の口座への賃金支払について 課題の整理④」という資料でございます。
1枚お開けいただきまして、2ページ目を御覧いただけますでしょうか。資金移動業者の口座への賃金支払いに関しましては、一昨年8月に議論を開始させていただきまして、昨年4月まで5回ほど議論をさせていただいたところでございます。
この後御説明させていただきますけれども、昨年4月には骨子案と論点をお示しして、皆様に御議論いただいたところでございますけれども、その際に労使の意見の隔たりが相当大きいこともありまして、事務局においてよく検討をと分科会長からお話をいただいて、この間、我々としてもさらに検討を進めてきたところでございます。
一方で、2ページ目の下のところでございますけれども、昨年6月18日に閣議決定されました成長戦略フォローアップによりますと、賃金の資金移動業者の口座への支払いにつきまして、労働者の保護が図られるよう十分な保証制度等のスキームを構築しつつ、労使団体と協議の上、2021年度できるだけ早期の制度化を図ることとされております。既に年度末ということではございますけれども、こうした状況も踏まえまして、この場で改めて議論をさせていただければと思っておりますというのが本日の会合の趣旨でございます。
次のページに参りまして、3ページ目でございます。1年ほど開きましたので、委員で替わられた方もいらっしゃいますので、議論の振り返りも含めまして、前回からの経緯も含めて御説明させていただければと思っております。3ページ目とその後の5枚は、前回4月19日にお示しした資料をそのままおつけしております。
前回4月19日、3ページ目の制度の骨子案を御説明させていただきました。大きく3点ございますけれども、まず(1)にございますとおり、1点目といたしましては、使用者は労働者の同意を得た場合には、賃金の支払いについて、次の方法というのは資金移動業者の口座への支払いによることができるものとするということで、現在、現金払いが原則ではございますけれども、労働者の同意を得れば、銀行口座または一定の要件を満たす証券総合口座への支払いが認められているところではございますが、これに加えまして、3つ目の類型として、資金移動業者の口座への支払いについて御議論いただきたいということをお願いしてございます。
※印の2つ目に書いてございますけれども、当然のことではございますが、資金移動業者の口座への賃金支払いにつきましては、使用者が労働者に強制しないことが前提ということで、労働者の同意があるというのが大前提になっているということでございます。
次が(2)、大きな2点目でございますけれども、それでは資金移動業者の口座であれば何でもいいのかというとそうではないだろうということで、一定の要件を満たすものについてのみ認めることにする必要があるのではないかということで、一定の要件は、厚生労働大臣が指定する仕組みということが必要ではないかということで挙げさせていただいております。
その要件の具体的な内容といたしまして①~⑤を挙げさせていただいておりますけれども、まず①につきましては、資金移動業者が破産等をした場合に、債務の履行が困難になった場合に、労働者に対して負担する債務を速やかに保証する仕組み、いわゆる保証スキームをちゃんと有していることが1点目でございます。
②、2点目でございますけれども、不正な取引があった場合に、労働者の責めに帰することができない理由で労働者に損失が生じた場合には、その損失を補償する仕組みを有していることというのが2点目、不正取引の場合に、労働者に過失がない場合には、ちゃんと全額補償をするスキームということだと思っております。
③、3点目はいわゆる換金性ということかと思っておりますけれども、ATMの利用等によって口座への資金移動が1円単位で受け取りができて、かつ、少なくとも毎月1回は手数料の負担なく受け取りができる。口座の資金移動も1円単位でできるということを挙げさせていただいております。
④は、まさに資金移動業者自体について指定という仕組みをつくりますけれども、それがちゃんと指定の要件を満たしているかどうかをチェックするために、業務の実施状況、それから財務状況を厚生労働大臣に報告できる体制を有することを挙げさせていただいています。
最後に⑤といたしまして、いわゆるバスケットクローズ的ではございますけれども、賃金の支払いに関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有して、かつ、十分な社会的信用を有するこということで5点目を挙げさせていただいています。
こうした①~⑤の要件を満たす者を厚労大臣が指定して、その資金移動業者の口座への資金移動のみを認めるということでいかがでしょうかというのが大きな2点目になってございます。
3点目でございますけれども、2点目のところで厚生労働大臣が指定する仕組みを設けることになりますので、資金移動業者が指定を受けようとする場合には、要件を満たすことを示す申請書を提出しなければない。それから、要件を満たさなくなった場合には、厚生労働大臣は指定を取り消すことができる。いわゆる指定や指定の取消しの仕組みを並行して設ける必要があると考えておりますということでございます。
こうした大きな3点につきまして骨子としてお示しさせていただいたのが前回となっております。
4ページ目以降は、この骨子に対して、それまでの議論を踏まえまして、論点として5ページほど挙げさせていただいております。
まず、4ページ目の論点①という紙でございますけれども、先ほどの骨子の(1)労働者の同意に関する論点としては、ア、イ、ウと3つ挙げさせていただいております。
まず、アでございますけれども、労働者の同意を取るに当たっては、滞留規制や破綻時の保証方法など、資金移動業の口座が銀行口座と違うという違いを理解した上で同意できるというのが必要ではないかということを挙げさせていただいております。
次にイでございますけれども、労働者の同意を取る際に確認しなければいけない事項として、銀行口座とかでも必要となる①、②、③は当然必要になるのですけれども、それ以外にも資金移動業者固有の事項といたしまして、破綻時の保証の受け取り方法や、振込エラー対策の観点から必要な労働者の情報、もしくは上限を超え得る場合の代替の口座情報など付加的な事項も確認することが必要になるのではないかということを2つ目の論点として挙げさせていただいています。
3つ目の論点がウでございますけれども、銀行口座や証券口座につきましては、基本的に1行、1社に限定せず複数とする等の便宜に十分配慮して定めることとされておりますが、資金移動業者の口座への賃金支払いが労働者の自由意思に基づいて行われるためには、資金移動業者の口座以外の賃金支払手段も同意を取る際に選択肢として示すこと、そのような取扱いとすることについてどう考えるかということについて、論点の3つ目として挙げさせていただいております。
次のページに参りまして、5ページ目でございます。論点②という紙でございますけれども、こちらは先ほどの骨子で言うところの指定要件に関する部分になります。
まず、指定する資金移動業者の口座について、論点のエとして挙げさせていただいておりますのは、昨年5月の資金決済法の改正の施行の後は、資金移動業者は①高額類型、②現行類型、③少額類型という3つの類型になりますけれども、指定の対象として、資金移動業者の類型の範囲をどうすべきかを論点の1つ目、エとして挙げさせていただいております。この辺は後ほど詳しく御説明をさせていただきたいと思います。
続きまして、指定の要件の1つ目、いわゆる保証スキームに関する部分でございます。論点のオとして挙げさせていただいておりますけれども、指定資金移動業者が破綻した場合には、基本的には供託がなされているはずではありますが、供託額の不足があった場合であっても、労働者の口座にある賃金が保全されるというのが前提でございますが、さらに十分な額が早期に労働者に支払われることが必要であると考えております。供託が戻ってくるのを待っていると半年ぐらいかかるということがございますので、十分な額が早期に労働者に支払われることが必要という中で、この十分な額というのは、保証スキームとして挙げさせていただいているのは全額または上限を設ける場合は100万円以上、早期にというのは数日以内ということでお示しさせていただいておりますけれども、これで十分かというのを論点として挙げさせていただいているところでございます。
続きまして、要件②に関する部分でございます。こちらは不正取引への対応の部分でございますけれども、銀行の場合はインターネットバンキングが全銀協申合せでいろいろと行われておりますが、インターネットバンキングにおける不正引き出しの補償の取扱いを踏まえて、労働者が無過失の場合には損失の全額を補償することとしてはどうか。さらに、労働者に過失がある場合の補償の在り方についてどう考えるかというのを論点としてお示ししているところでございます。
次のページに参りまして、6ページ目でございますけれども、論点③という紙でございますが、ここで指定要件の③換金性に関する論点として、キ、ク、ケの3点を挙げさせていただいています。
まず、キでございますけれども、資金移動業者の口座に振込がなされた賃金は、所定の賃金支払日に換金できることが必要ではないか。これは銀行や証券との並びということかと思っております。
さらに、クといたしまして、換金の単位は1円単位とし、資金移動業者の口座への資金移動が1円単位でできるというのが必要ではないかということで、これは証券総合口座との並びということになっております。
ケは資金移動業者のみにかけるかどうかという論点になりますけれども、先ほども申し上げました賃金の支払いに関して少なくとも毎月1回は手数料の負担なく受け取りができることとしてはどうかということで、3つ目の論点として挙げさせていただいております。
以上が換金性に関する論点でございます。
次が④報告体制でございます。ここでコとサとして2つ挙げさせていただいています。
基本的にここのところは、資金移動業者に関しましては、まさに資金決済法に基づく規制、今まで御説明した資料の1階部分を金融庁さんがなされておりますけれども、さらに賃金の確実な支払いを担保するという観点から、その2階部分に関しては、厚生労働大臣が指定資金移動業者に対して報告させる仕組みを設けることとしてはどうかということを1つ目の論点として挙げさせていただいております。
さらに、サのところでございますけれども、報告させるのは資金移動業者だけで十分なのかという御指摘があったかと思います。実際に保証スキームを担う保証会社や保険会社などにつきましても、最初に申請をしていただくときに報告をしますという同意書を資金移動業者が取っていただき、申請時にそれをまとめて出していただくというようなことで、資金移動業者だけでなく保険会社や保証会社からも報告を求めることにしてはどうかというのが2つ目の論点でございます。
7ページ目が指定要件の最後、⑤の関係で、技術的能力や十分な社会的信用ということでございますが、ここで2つ挙げております。技術的能力や社会的信用というのは、具体的には以下の点を求めるべきではないかとして4つほど挙げさせていただいております。
まず、1点目といたしまして、セキュリティー不備による不正引き出しへの対策を講じていること。
2点目としまして、賃金の振込エラーへの対策を講じていること。
3点目は、個人情報について厳格な取扱いを行っていること。
4点目として、資金決済法に基づく行政処分がなされていないこと。
こうしたものを全て満たす者を技術的能力は社会的信用を有することにするということでいかがでしょうかという論点として挙げさせていただいております。
さらに、スでございますけれども、特にこれらの事項につきましては1階部分との関連が深いということもございますので、金融庁さんともよく連携しつつ、厚生労働省において指定要件を充足しているかどうかについて総合的に判断をするという仕組みが適当なのではないかということで、論点の2つ目として挙げさせていただいております。
以上が指定要件に関する論点となります。
8ページ目、論点の⑤、指定や指定の取消しの仕組みに関する論点として1つ挙げさせていただいておりますのは、指定を取り消すことは不利益処分に当たることになりますけれども、既に給与振込が始まってしまうとすると、指定の取消しというのは労使にとっても非常に影響が大きいことになりますので、指定の要件が満たされないことを確認してから指定取消しまでの間の手順等についてあらかじめ示しておくべきではないかということを論点として挙げさせていただいているものでございます。
以上が前回お示しした資料でございまして、こうした骨子と論点につきまして御説明をさせていただいたところでございます。前回までの議論といたしましては、詳細は10ページ目以降にございますけれども、まさに使用者側の皆様からは導入に当たっての企業実務に関しまして様々な御懸念をお示しいただいたと理解しております。
一方で、労側の皆様からは資金の保全がこれで十分なのか、不正引き出しの際の対策がこれで十分なのか、それから個人情報の保護が本当にこれで足りているのかといった辺りの御指摘、御疑問等々をいただいていたかと思っております。
そうしたこれまでの議論等も踏まえまして、この間、我々として検討を進めてきた部分を資料の9ページ目としてお示ししてございます。これがまさに今回新たにお示しすることになる資料でございます。
この間、我々として、いろいろな状況を踏まえまして、前回からさらに検討を進めた事項として御説明をさせていただきますけれども、まず(1)の労働者の同意に関する部分につきましては、1つ目の○にございますけれども、資金移動業者の口座への賃金支払いを行うに当たっては、労働者が強制されず自由意思に基づいて同意できるのが不可欠だと考えてございます。このため、労働者自身が銀行口座などのほかの支払方法もちゃんと選択できることを担保した上で、資金移動業者の口座への賃金支払いを同意できるとする方向で現在検討しているという、検討の方向性を掲げさせていただいております。
2つ目の○でございますけれども、労働者の同意を取る際、破綻時の保証方法とか、資金移動業者の口座ですと基本的にはあまり貯めるということを前提としていない中で、基本的に自分が毎月幾らぐらい使っているのかを把握した上で、それに対応する額を毎月入れるという使い方になるのが一般的かと思っております。労働者が自分の利用実績を踏まえて振込額とする必要があるといったことなど、銀行口座との性質の違いを理解した上で同意ができるようにする方向を検討しているということでございます。
以上が同意に関しての現在の我々としての検討の方向性となります。
次が大きな2点目でございます。資金移動業者の指定要件に関する部分でございます。指定対象とする資金移動業者の類型につきましては、先ほども申し上げましたように第1種、第2種、第3種とございますけれども、まず、第1種の高額類型は、総金額や送金日、送金先が明確な場合のみ資金を受け入れることができ、さらに直ちに送金をしないといけないという仕組みになってございます。
また、第3種の少額類型につきましては、利用者の資金の保全方法として、供託等だけではなくて預金管理という方法でも資金の保全が可能となってございます。しかしながら、我々が御提示申し上げている保証スキームは供託等がなされているというのが大前提になってございますので、高額類型や少額類型のそれぞれの状況を踏まえて、これらの類型が賃金支払口座として適切かどうかを検討しているところでございます。
残りの第2種につきましては、第1種や第3種に比べるとハードルは大分低いかと思っておりますけれども、第2種につきましても、資金移動業者が破綻した際の資金保全について、労働者保護の観点から保証を強化するような方策がないかを検討しているところでございます。
続きまして、指定要件の2つ目でございますけれども、要件②の不正引き出しの関係でございます。ここにつきましては、これまでも議論してまいりましたインターネットバンキングの全銀協申合せと基本的には同様の取扱いとするという方向で検討しているものでございます。
さらに3点目でございますけれども、要件の4つ目の報告体制につきまして、先ほども申し上げましたが、資金移動業者だけではなくて、資金保全に関わる保証会社や保険会社などにも報告できる体制を求めることとし、破綻時に資金保全が適切になされるようにするための方策を検討しているところでございます。
以上が、指定の要件に関して、前回に加えて我々としてお示しできる方向性、それから検討中の中身となってございます。
次に(3)でございますけれども、指定や指定の取消しに関する部分で前回に付け加えてお示しできそうなものが最後のところになります。指定の取消しに当たりまして、先ほども申し上げましたように、既に給与振込が始まってしまうとすると取消しをすることは労使にとって影響が大きいということがございますので、指定要件を満たさなくなった場合に自動的に取り消すということではなくて、実際に指定の取消しを行うに当たっては、要件を充足しない程度とか、改善の見込みなども含めて総合的に判断するという方向で検討しているところでございます。
前回に付け加えまして、我々として今お示しできるのがこういった状況ということでございます。
10ページ目以降は、前回までの議論をおまとめした、これまでもお示ししていたところに4月19日の議論を追加した資料になりますので、後でお時間のあるときに御覧いただければと思っております。
私からの説明は以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればお願いいたします。なお、オンライン参加委員の皆様におかれましては、御発言の希望がある場合には、チャットに発言希望と書いてお知らせください。いかがでしょうか。
鈴木委員。
○鈴木委員 ありがとうございます。
前回から1年近く経過しておりますので、まずは改めて使用者側の思いを申し上げたいと思います。
本件については、労働者の保護を大前提としつつ、本人の自由な意思に基づく選択を可能とし、多様な給与受取ニーズに応えていくことが大変重要だと考えております。我が国ではかねてキャッシュレス化の推進がうたわれており、コロナ禍における非接触ニーズの高まりと相まって、利用者の裾野が広がっていると思います。
本日の参考資料にもつけていただいております、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査によりますと、コード決済の月間アクティブユーザー数は右肩上がりで増加し、昨年9月には4,400万人を突破しています。また、昨年3月の分科会でも申し上げましたが、社員の経費精算や福利厚生の一部におきまして、資金移動業者のサービスが既に利用されている事例もあり、導入企業やその従業員の方から高い評価を得ていると聞いております。繰り返しとなりますが、労働者の選択肢を広げる観点から議論を前に進めていただけるとありがたいと思っております。
その上で、9ページに、労働者の同意を得る際、銀行口座等との性質の違いについて情報を提供して、労働者の理解を得るという提案がされています。この点は使用者側からも繰り返し指摘をさせていただいており、労働者の自由な意思に基づく同意を担保する上で大変重要なポイントだと思っております。
これに関連して、一度同意した後の情報提供も必要ではないかと考えております。前回も申し上げた内容で恐縮ですが、例えば資金移動業者から厚生労働大臣への報告がなされた事実について、当該資金移動業者を利用している企業の労使に何らかの形で伝わるようなことをルール化すべきではないかと考えております。
今回、追加で示された論点の中にはこの点の指摘がございません。こうした議論はしないということなのか、事務局に確認をさせていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○賃金課長 ありがとうございます。
ニーズが増えていて、選択肢を増やすという観点からの議論は我々もお願いできればと思ってございます。
最後の点でございますけれども、前回もお答えしているかと思いますが、資金移動業者から報告をしていただく報告事項というのは、一般的になかなかオープンにできないものも含まれているのではないかと考えてございますけれども、一方で、労使の皆様に対する情報提供が大事だというのも御指摘のとおりかと思っております。
まずは指定要件がどうなるか、そのためにどのようなものを報告していただくかということがある程度見えてからになるかとは思いますけれども、そうして報告していただいた事項の中からピックアップして労使の皆様に例えばホームページ等で情報提供できるものがないかというのは我々としても検討したいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいですか。
それでは、オンラインで北野委員が発言を希望されております。北野委員、どうぞ。
○北野委員 ありがとうございます。
遅参しまして大変申し訳ありませんでした。北野でございます。
資料の9ページの追加で検討中のところを確認しますと、個人情報保護に関しての記載がありません。前回の説明でも、銀行と資金移動業者が、監督指針、さらにはガイドラインにおいて同様の記載があるとのことだったと思いますが、把握する情報の内容、さらには量が異なることは、前回、労働側委員からも指摘をさせていただいております。この点についてどうお考えになっているのかということを教えてください。
さらには、個人情報保護について、ガイドライン及び個人情報保護法を遵守しているかどうか、厳格な取扱いがなされているかどうかは、資金決済法に基づいて金融庁が監督するのか、厚労省として上乗せで何かを取り組むのか、この辺りのお考えがあれば教えていただければと思います。
以上です。
○賃金課長 ありがとうございます。
個人情報に関しましては、今回の資料No.1の26ページを御覧いただけますでしょうか。こちらに銀行と資金移動業者の個人情報に関するどういった根拠に基づいてどのようなことをしなければいけないのかというのをまとめさせていただいたかと思います。
銀行と資金移動業者が把握している情報の内容や量は、それぞれの個者によっても全く異なるために、どちらがどうと一概に言うのは難しいとは思っておりますけれども、基本的には26ページ目にありますとおり、個人情報保護法令、個人情報保護法とその下にぶら下がっている様々なガイドラインに基づいて、ちゃんと法令に基づいた対応がそれぞれ銀行も資金移動業者も求められているということにつきましては、銀行と資金移動業者の両者に違いはないということなのかなと思ってございます。
こうしたガイドラインとか個人情報保護法を遵守しているかどうかというのは、資金決済法ではなくて個人情報保護法に基づきまして、基本的には個人情報保護委員会から金融庁さんが金融機関に関しては委任される形で適切にそのモニタリングが行われていると承知をしてございます。
そういった意味で、一義的には金融庁さんのほうでしっかりとモニタリングをされているということだと我々としては承知しておりますけれども、今、御指摘もございましたそれに上乗せして何か取り組むのかということでございますが、2階部分につきまして何か上乗せが必要かどうかというのは、今の御指摘を踏まえましてこの場で御議論いただければとも思いますし、我々としても何かできないかというのは検討してみたいと思ってございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○北野委員 ぜひ、お願いいたします。
○荒木分科会長 続きまして、使用者側の兵藤委員から発言の希望がございます。兵藤委員、お願いします。
○兵藤委員 ありがとうございます。兵藤でございます。
御説明ありがとうございました。その中で10ページです。過去の主な意見の中で、給与専用アカウント、賃金振込専用のアカウントの作成について可能かどうかということで御意見があったと確認いたしました。
これについて、9ページの追加での検討内容の中には盛り込まれていないようなのですけれども、この点について検討課題に入っていないというのは、どういったことで入っていないのかを確認させていただきたく、専用アカウントは破綻時の保証の範囲を明確にするだけでなく、必要以上にアカウントの残高が増えることの抑制にもつながっていくことだと思います。その専用アカウントの作成が難しいということで検討対象から落ちたのかどうかということについてお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。
○賃金課長 ありがとうございます。
まず、給与専用アカウントのようなものをつくるかどうかというのは、資金移動業者の判断かと思っております。こういったものをつくってやっていただくのを妨げるものではないということかと思っております。
一方で、指定の要件としてこういったものを設けるのかというと、そういったものではないふだん自分が使っているアカウントに振り込んでほしいというニーズもあることを踏まえますと、指定の要件としてこういったものを設けるというのはなかなか難しいのかなと思っているというところでございます。
給与振込専用アカウントに関しましては、まさにそういった観点で、こういったものもあれば進むということであるかと思いますけれども、まさにそれぞれの資金移動業者におきまして、こういったものをつくるかどうかを判断していただき、今度は個々の使用者側の方々におきまして、そういったものを使うかどうかを判断していただき、最終的に労働者が同意するかどうかということで、使うかどうかを決めていただくことになろうかなと思ってございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
続いてオンラインの池田委員、お願いいたします。
○池田委員 池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は去年からこの議論に参加させていただいており、当時と同じ内容の繰り返しになる部分もありますが、ご発言させていただきます。まずは、最初に鈴木委員のほうからも発言がありましたとおり、労働者の側として給与受け取りの選択肢が広がるという意味で、この受け取り方法を希望される方もきっといらっしゃるのだろうなと思っています。当然、保護や保証の問題は重要で、それがクリアされた前提ということではありますが、議論が進んでいけばいいなと思っています。
その上で、使用者側といいますか、企業で給与支給を実際にやっている側からしますと、このことで新たな負担が生じるというのを少し懸念しております。例えば資金移動業者のアカウントというのは上限額がある類型のものもあると理解をしていますが、例えば会社がそのアカウントを持って、実際に給与を支給する労働者のカウントに振り込むということになったときに、大勢の従業員がいれば、会社側のアカウントの上限額を超えるみたいなことは起こり得るように感じていて、そういったところで何か多重の手間が生じるようなことは非常に懸念をしています。
これは以前も申し上げていますが、銀行振込と同等のような振込の仕方に資金移動業者のアカウントも載せられるような形で実現していくと、企業側とすると実務があまり変わらないので、広がりやすいのではないかと感じています。
私からは以上です。よろしくお願いします。
○賃金課長 ありがとうございます。
確かに委員がおっしゃるとおりでございまして、特に第2種の中でも業者によっては上限を設けている業者もあったりということで、様々あるというのが今の状況かと思ってございます。そういった意味で、確かに上限のあるアカウントには、振り込もうと思っても上限に達すればそれ以上できないということが生じ得るというのはおっしゃるとおりかと思っていまして、そういった意味で、まさに前回お示ししました7ページ目でございますけれども、要件の⑤といたしまして、2番のところでございますが、振込エラー対策を講じていることを必須とさせていただくことが必要かと思ってございます。どういうところを類型とするかによっても、振込エラー対策がどこまで必要かというのは変わってくるかとは思いますけれども、まさに上限のようなものがある場合に、結果的に労働者の口座に振り込まれないということがないように、代替口座をちゃんと把握していただき、上限に達した場合はその代替口座に入れていただくということをしっかりやっていただくというのが要件の一つとして必要なのかなと考えてございます。
また、実務の観点で、今となるべく違わないような形にならないとなかなか難しいのではないかという御指摘をいただきました。指定要件ではなくて、まさに制度の普及に向けた御意見かと思っております。今の時点でこうということは申し上げられませんけれども、例えば全銀システムへの資金移動業者の参入などにつきましても、今、並行して別途議論をされていると伺っておりますし、そうしたところを含めて、要件とはまた別に普及に向けてどういったものが必要かというのを、皆様の御意見を伺いながら、併せて進めていきたいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○池田委員 ありがとうございます。
先ほど7ページ目の第2項のところを御説明いただきましたが、少し危惧しているのは、振り込む側の使用者側もアカウントの作成が求められた場合に、使用者側にも上限額があるとすると、上限が少ない類型もあるわけで、そのアカウントから多数の従業員に振り込むとすると、資金を補充しては払い、資金を補充しては払い、というような、多くの手間が生じるのではないかなということをちょっと心配しています。このことは、先ほどの発言の趣旨の一つでもございました。その点はいかがでしょうか。
○賃金課長 ありがとうございます。
資料の34ページ目を御覧いただきながら聞いていただくのがよろしいかと思いますけれども、恐らくここの真ん中辺にございます使用者の資金移動アカウントに1回入れてから労働者のアカウントに入れるとして、真ん中の使用者の資金移動アカウントに上限がある場合に、なかなか振込が難しいのではないかということかと思ってございます。
そういった意味で、基本的には今回の様々な議論というのは、労働者のほうの資金移動アカウントについてどんな制限を設けるかという議論でございますので、使用者側の資金移動カウントに今回の議論の中で何か制限を設けようというものではございません。
また、個々の振込につきましては、ほとんど同時に行われるのですけれども、行っては入れ、行っては入れというのを行われるような形で、恐らく処理としては可能なのではないかと思ってございます。
いずれにしても、そういった実務面につきまして、今、御指摘いただいたことも含めまして、ちゃんと対応可能なのか。もしそれが難しいのであれば、こういう形ではないほかの形も含めて、ちゃんと使用者側の皆様の御懸念が取り払われるような実務上の仕組みをしっかりつくりたいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○池田委員 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
私は結構です。ありがとうございました。
○佐藤(晴)委員 使用者委員の佐藤です。ありがとうございます。
私からは1点質問と、それから要望を申し上げたいと思っているのですが、質問は冒頭、労側の北野委員もおっしゃっていた個人情報保護の関係が9ページにない理由と検討状況のご説明があったのですけれども、約1年前の前回のときに、厚生労働省と個人情報保護委員会の連携の可能性を私から質問させていただいて、当時の賃金課長からは、必要な連携があるのかどうかというところを継続的に検討していきたいというお話があったと記憶しております。
先ほど金融庁でのモニタリングというお話がありましたけれども、金融庁のこと以外で厚生労働省と個人情報保護委員会の連携の観点で検討している状況がもし進捗しておりましたら、それを教えていただきたいというのが1点目の質問です。
もう一つは半分要望ということになるのですけれども、9ページの労働者の同意に関して、当然きちんと銀行口座等との性質の違いを理解して同意できるようにする方向、これは本当に必要なことだと思うのですけれども、ただ、手段として、例えば4ページのアに記載されているような滞留規制とか破綻時の保証方法といったことについて、使用者が義務として詳細に説明をして、それを労働者が理解をして同意を得ると。これはなかなかハードルが高いと思っていまして、何らか実務的にも比較的簡便な方法というのか、それほど大変な労力あるいは現実的ではないことをやらなくても済むような理解を得る方法というのを、ある程度多様で柔軟な対応から使用者が選択できるように、ぜひ決める際にはお願いできればありがたいというのが、同意に関して使用者の説明についての要望です。
私からは以上です。
○賃金課長 ありがとうございます。2点ほどお話があったかと思います。
まず、個人情報保護の関係ですけれども、また資料の26ページを御覧いただければと思います。基本的には、こうした個人情報保護法令に基づきまして、銀行とか資金移動業者のところに関しましては、個人情報保護委員会から金融庁さんのほうに報告とか立入検査の権限が委任されていると承知をしております。
一方で、個人情報保護委員会のほうも、勧告なんかは個人情報保護委員会が引き続き担うことになっているかと思っておりまして、この法令に基づきまして金融庁さんと個人情報保護委員会さんが連携をして様々なことをなされているということかと思っております。そういった意味で、金融庁さんを経由してになるのかもしれませんけれども、個人情報保護委員会が担当している部分につきましては、直接、個人情報保護委員会さんと厚労省のほうでいろいろと連携をさせていただき、金融庁さんがされている部分については厚労省と金融庁さんで連携をさせていただくということなのかなと思っております。
もう一点、同意が取り方のところでございます。まずはそもそもどのぐらいの説明をちゃんとしないといけないのかといった辺りも含めて、この場で御議論をいただければと思ってございますけれども、その際に、基本的には使用者の方から御説明をいただいて、同意を取っていただくということかと思います。そのバリエーションは物によっていろいろあるのかなと思っておりまして、そもそもどのようなことを説明していただくかも踏まえながら、どんなやり方があるのかを検討させていただければと思ってございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 続いて、オンラインの鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 ありがとうございます。鬼村でございます。
私から、質問と、1つ意見だけさせてもらえればと思います。
まず、1点目の質問なのですけれども、9ページの部分、不正引き出しの補償方法をインターネットバンキングと同様の取扱いとする方法という記載がございますけれども、この点は恐らく昨年来からの議論の中で使用者側の主張を踏まえて酌んでいただいているものではないかと思いますので、ぜひこの方向でお願いできればと思います。
その前提で1点御質問ですけれども、昨年4月の会議のときに賃金課長のほうから、過失があった場合には一律に保証外とするのは認められないと。これを2階部分で規定することもあり得るのではないかという御答弁をいただいたと思いますけれども、今ここで記載いただいているインターネットバンキングと同様の取扱いをするということで対応できるものなのかどうかという点について1点御質問させていただきたいと思っております。
もう一点は、先ほど池田委員からもあったコメントと非常に近しいものでございますけれども、一企業の立場として申し上げると、弊社も元請銀行を使って各給与支払いをしておりますけれども、全銀協さんのフォーマットに乗っかっていただくとか、資金移動業者さんについてもそこで同じような運用で回るようにしていただかないと、なかなか多くの方に実際の選択肢として提供してというのは難しいのだろうなと思っておりますので、今後この辺りの議論をしっかり詰めさせていただければと思っております。
私からは以上です。
○賃金課長 ありがとうございます。
まず、1点目の不正引き出しの際のところでございますけれども、前回も私の前任の大塚のほうから、まさに先ほど御指摘があったようなお答えをしていたかと思います。資料の28ページ目を御覧いただければと思いますけれども、こちらが不正引き出しの場合の補償について銀行と資金移動業者を比較したものでございまして、まさに無過失ではなく、過失や重大な過失がある場合にインターネットバンキングも個別対応となっていて、資金移動業者も個別対応となっているというところでございます。インターネットバンキングが個別対応となっているということを踏まえまして、同じ内容を今回要件として規定するのであれば、例えば一律に保証外としているということであれば個別対応にならないということで、一律に補償外とする場合は認められないようなことも考えられるというお答えをさせていただいたと承知をしております。
2点目の件でございますけれども、特に労働者数が多いような大企業様につきましてはおっしゃるような問題があるのだと思っております。先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、現在これとは並行して別途、全銀システムのほうに資金移動業者も参加するということについて議論がなされていると我々としても承知をしております。そういったことも含めて、なるべく多くの企業さんで御利用していただきやすいような環境を要件の議論とは別に我々としても検討していきたいと考えてございます。
以上です。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
この間、会場で佐久間委員、八野委員から手が挙がっておりました。まず佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 お先に申し訳ございません。ありがとうございます。
まず、今回の課題については期間が空いたわけなのですけれども、資料を拝見させていただいて、この間の厚生労働省 事務局の皆様のご努力により、課題への調整、進展がみられ、細かいところまで結構、取り組まれてきているな、というのを感じたところです。例えば手数料の負担の関係とか、1回は無料にできるような方向とか、1円単位での受払いが可能とか、そういうのが分かりやすく出ているのではないかと思います。これを実行に移すときに、本当に実現されるのか否か、確約していただきたいと思います。
払戻しについて、資料のほうでも十分な額が早期に労働者に支払われることになっています。当然だとは思うのですけれども、例えば27ページの払戻し・還付までの期間というところを見ますと、銀行と資金移動業者の関係性は分かりやすく明示していただいていると思うのですが、十分な額が供託されている場合であっても、「債権申出のための公示や配当表の確定等の手続のため、供託金の還付に半年程度が必要」と記載されています。それと37ページ、資金保全のスキームで、保証機関、保険会社、こういう制度ができるということですから、保証機関のほうも実際に責任をもって実施していく計画と、いろいろな仕組みが確立されると思うのですけれども、保険会社、保証機関からの支払い、供託金からの払戻しであっても手続は結構かかりますので、速やかな払戻し・還付がどのぐらいの期間でできるのかということを改めてお伺いしたいと思います。
あと、先ほど佐藤委員のほうからご指摘があった使用者側の説明についての点なのですが、外国人労働者等の賃金の受払いのためにということで使われることはご説明を賜ってきたわけですけれども、外国人技能実習生、監理団体、実習実施者、特に監理団体については事業協同組合組織で行っているのが今年の1月当初の段階で91.6%と多数を占め、非常に多いのが現状です。その組合員である実習実施者は、そんなに規模が大きい企業ばかりではないわけです。平均すれば従業員30人をちょっと超えたぐらいの規模が多いわけで、そこの方たちに、例えばパンフレットを作って周知をしたぐらいでは、なかなかこの制度は分かりにくいのではないかと思います。外国人技能実習生の方々の方が仲間の口コミ等で、自ら資金移動業者を選定し、口座払いをするということを理解しているほうが早い、多いということもあるかもしれません。そのため、労使双方に説明が十分できるかどうかは非常に不安なところがあります。
この事業者に対する理解、浸透を実務上どのようにやっていくのかというのを、今お考えになっている範囲でお示しいただけることがあれば教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○賃金課長 ありがとうございます。佐久間委員からも2点あったかと思います。
まずは資料の37ページを御覧いただけますでしょうか。保証スキームの場合に、労働者にお金が支払われるまでどのぐらいかかるかというところでございますけれども、保証機関というところの右側に※印で書いてございますとおり、保証機関から労働者への支払いにつきましては、設計上は4~6営業日程度でできるのではないかと考えてございます。
一方で、財務局、法務局から供託金が戻ってくるのは半年ぐらいかかるということで、保証機関としてはその間の資金をしっかりと手当てしていただくというのがまさに保証機関の役割ということになろうかと思ってございます。
2点目でございますけれども、まさに同意を取る際に、ちゃんと使用者側ができるような取扱いをということかと思ってございます。先ほど申し上げましたけれども、まずはどのような中身をちゃんと説明していただく必要があるのかということを御議論いただくというところからかなと思ってございますけれども、その上で、先ほどお話がありました外国人の方につきましても、ちゃんと外国人の方にも労働者として御理解をいただく必要があると思ってございます。
外国人の方につきましてもどんな形で御理解いただけるような仕組みできるかというのは、我々としても、前回も前任の大塚のほうから翻訳等々を含めて何ができるか検討したいとお答えしたかと思いますけれども、同じように現時点ではどういう形でできるかを我々としても引き続き検討させていただければと思ってございます。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
それでは、八野委員、お願いいたします。
○八野委員 ありがとうございます。
まず、労政審における議論を労基則の中に全部入れること自体、かなり無理があるのではないかと思います。例えば銀行に関しては、銀行法や監督指針などによって働く者の生活の糧である賃金保全の安全安心を確保し、また、銀行口座に対する信頼がつくられてきています。
資金移動業は安全性などがまだ十分ではないという認識を持っており、それが労政審だけで議論できるものなのかということに対しては、疑問がございます。
もう一つは、コロナ禍でキャッシュレス化は非常に進んできたと認識していますが、アンケートなどを見ても、対象者によってかなり答えが違ってくると思っています。給与にまで踏み込んだ調査はなかなか見当たらないですが、それは安全性などがはっきりしていないために、アンケートを受けた人たちも答えることができないという状況だと思います。
今回、9ページで様々な提示をいただきましたが、特に資金保全のスキーム等について質問をさせていただきたいと思います。
要は検討中と書かれているのが何なのかということなのです。それが出てこないと議論にならないと思っております。これが大前提です。
資金移動業者の類型について、第3類型は分別預金による管理も可能ということなので、資金保全としては全く不十分であると考えています。第1類型についても、賃金は生活のため、何かあったときのために貯蓄をしておくという性質がありますので、直ちに送金しなければならないという点では、適切ではないと考えていますが、何を検討されているのか伺いたいと思います。
その上で、第2類型について保証を強化する方策を検討中ということですが、資料の37ページにある資金保全スキームを指すということでよろしいのでしょうか。ただ、これは一例であると書かれておりますので、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。労側としては、供託では払戻しの時間がかかり、賃金は生活の資金であるということを踏まえれば、全額が速やかに支払われることが原則だと思っています。この資金保全スキームで本当に速やかな支払が担保できるのでしょうか。
それと、スキーム図にある保証機関については、以前の分科会においても、監督機関がないとの議論がありました。一定額を早期に支払うことのできる体制の有無について、一体どこが確認をしていくのかが分かりません。
特に、書類の形式的な確認でよいのか、保証機関の実効性は誰が担保するのか、保証機関が関与する以外のスキームはどのようなものが検討されているのかを伺いたいと思います。
厚労大臣に報告できる体制に関して、保証機関、保険会社にも報告できる体制を求めるということですが、それで資金移動業者の資金保全スキームが実効性あるものになっているか確認できるのでしょうか。具体的に実効性を担保するために何を検討しているのかが分かりません。
先ほど不正引き出しのこともありましたが、インターネットバンキングと同様とする方向で検討するということでした。これに関してはより具体的に提示をしていただきたいと思います。
ネットバンク並びということで言えば、資金移動業者の業界団体においても全銀協と同様に取り組むべき内容を提示していただく必要があると思います。要するにネットバンク並びというだけでは、これを受けることができませんし、予見可能性にかけるため、資金移動業者における取組を示していただきたいと思います。
長くなりましたが以上です。
○賃金課長 様々お話しいただきまして、漏れている部分がありましたらまたお話しいただければと思います。
まずは1階建て、2階建て部分の規制のところで、2階建て部分で全部を負えるのかという御指摘があったかと思います。基本的には賃金支払いのために必要なことであれば、2階建て部分のところでしっかり担保するというのが我々の考え方でございます。ただ、もちろん金融庁さんともしっかり連携をしないと分からない部分がありますので、漏れがないように、金融庁さんとしっかり連携しながらやらせていただきたいと考えているところでございます。
また、ニーズのところに関しまして、これまで何度もお示ししておりますけれども、36ページ目に公正取引委員会の報告書の中の消費者アンケートという中で、賃金の支払いが行われるようになった場合にどうかということで、4割ぐらいの方が検討するというデータがございます。
ただ、確かに保証スキームがどうかとかいう前提は全く捨象してのアンケートでございますし、あくまで検討するということでございますので、これが全部のニーズとは言いませんけれども、一定のニーズはあるのかなと我々としては考えておりまして、いずれにしても選択肢を増やすという観点から議論をさせていただければと思っているところでございます。
続きまして、資料の9ページ目を御覧いただきながらがよろしいかと思いますけれども、第1種と第3種はそもそも対象にならないのではないか、一体何を検討しているのかという御指摘があったかと思います。まさに八野委員がおっしゃったとおり、第1種、第3種それぞれ給与振込口座にするには超えなくてはいけないハードルが相当高いと考えてございます。我々としては、そのハードルが高いというのは認識しつつ、何か超える方策があるのかというのをまさに検討しているところではございますけれども、一方で、なかなか難しいという状況も理解しているつもりでございます。ただ、現時点ではまだ第1種、第3種はもうやらないと決めたわけではないという意味で検討中と書かせていただいたということでございます。
次に保証スキームの関係でいただいたかと思います。37ページ目がまさに今回お示ししている保証スキームでございますけれども、これまでも何度も御説明しておりますが、これだと最大100万円までは保証できて、4~6営業日程度で保証の履行が可能となっているということでございまして、こういう保証スキームをやれば、我々として大部分はある程度カバーできているということではないかと考えてはございます。
ただ、全額速やかにというのが大前提だという御指摘もございましたので、これにつきましてもうちょっと何かできないかというのは、今の御指摘を踏まえて我々も業界等とも相談しながら、何ができるのか検討してみたいと考えてございます。
また、この保証スキームの中で、下の注のところに上記は一例と書かせていただいております。このスキームの場合は、供託が戻ってくるまでのタイムラグを保証機関に担っていただき、供託が日時の関係で足りないリスクを保険会社に担っていただくスキームになっておりますけれども、一方で、保証機関と保険会社に代えて銀行のようなところが保証スキームを担うというようなことで検討されている会社もあると伺っております。
そういった意味で、保証機関が入ってくるスキームが絶対というわけではございません。いずれにしましても、そういったことを含めて保証スキームは十分な額が早期に払われるというのをいかに担保されるかをしっかりチェックするということかと思ってございます。
では、そのチェックが形式的なチェックにならないのかということもいただいたかと思います。例えばお示ししている保証スキームで、我々が今、もしこれで申請が出てきたらどのようなことをチェックすることになるかと申しますと、恐らくちゃんと保証しますという契約を結んでいるというだけではなくて、いろいろなことをチェックしなければいけなくなるのだと思っております。基本的には先ほど八野委員からもお話がありましたとおり、資金移動業者が仮に破綻した場合には、要履行額を全て保証機関で一時的な現金の支出をしてもらわないといけなくなるというふうになります。したがいまして、保証機関が一時的な資金需要にどうやって対応するのかというのも、申請をしていただくときにしっかりと併せて出していただく。
その保証機関にもよりますけれども、銀行などから何かあったときに借入れをする契約を結んでいただいて、その金額の範囲内で保証の契約を結ぶことになろうかと思いますけれども、そういったものがちゃんと措置されているのかを申請時点でもチェックさせていただきますし、定期的に報告をしていただく中では、もともと保証機関が銀行と結んでいる契約の上限を超えて資金移動業者が要履行額を積み上げたりしていないかというようなものを定期的にチェックさせていただくというようなことかなと思っております。
保証スキームによりまして、何をチェックするかというのはそれぞれ変わってくるかとは思いますけれども、このスキームの場合はそのようなものをチェックすることになろうかと思ってございます。
最後、不正引き出しの場合の取組でございますけれども、確かに今回9ページ目ではインターネットバンキングと同様の取扱いとだけ書かせていただいておりまして、これまで様々議論があった中で、これで足りるのかという御意見かと思っておりますし、確かにインターネットバンキングのほうは、全銀協さんのほうで協会としていろいろと取組もされているということは我々としても承知してございます。
今の時点で、ここにつきましては基本的に個社の資金移動業者の指定要件としての議論をしていただいていますので、このスキームの中で直接法令上、協会に何かを求めるというのは難しいと思いますけれども、ただ、今、実態として資金移動業界としてどんなことがなされているのか等々を含めて、どんなことをしていってということを、次回御説明できるようなことを我々としても考えたいと思っております。
大体お答えしたつもりですが、もし何か足りないところがあればお願いします。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 不正引き出しに関しては、ずっと同じ答えですが、それを聞いているのではありません。資金移動業者でガイドラインを出していますが、個社対応になっている部分に関し、インターネットバンクでは、個社対応の内容がある程度一定にそろっていると認識をしています。そのようなものをきちんと示してほしいということがまずあります。
スキームに関しても丁寧に説明をしていただきましたが、企業がある資金移動業者を選択するときに、厚労省が指定している中でどれを選択していくのかということになってくると思うのです。その時に一定の基準できちんとできていなければ、企業側が選択するのも非常に難易度が高まってくる。今、資金移動業者が80社ぐらいある中でしっかりと対応できるところはかなり絞られてくるという認識でよろしいのですか。
○荒木分科会長 では、金融庁からお願いします。
○金融庁総合政策局フィンテック監理官 ありがとうございます。金融庁でございます。
御質問ありがとうございます。私のほうから御報告できることをこの場で御紹介させていただきたいと思います。
まず、インターネットバンキングの不正アクセス、不正な引き出しに対する補償との関係でございますが、去年も御紹介させていただいている部分があるかもしれませんけれども、昨年4月2日に日本資金決済業協会のほうで策定していただきました資金移動サービスの不正利用防止に関するガイドラインのほうで、ちょっと読ませていただきますが、自ら提供する資金移動サービスの内容に応じて適切な補償方針を策定することが重要であり、特にこの後でございますが、消費者契約法その他の法令の趣旨に照らし、利用者や被害者の保護に欠けるような補償方針は許容されるものではない点に留意が必要と、まず総論ではっきり釘を刺させていただいております。
その上で、今、御指摘のように、個社というところがどうなのかというのはごもっともな御質問でございまして、こちらにつきましては、一つの事例ではございますが、御案内のように2020年9月に発生した資金移動業者を通じた銀行口座の不正出金事案がございましたが、不正利用の発生を公表した主な事業者の中にはドコモさん、PayPayさん、LINE Payさん、メルペイさんなどがいらっしゃいましたが、公表資料に基づいて御報告させていただきますと、顧客から第三者による不正出金があったと申出があった被害につきましては、基本的には全額補償されていると私どもは受け止めております。
ただ、例外がございまして、具体的には被害者の身近な人物が利用していたケース、あるいは警察に被害届が出されなかったケースというような、私どもとしては合理的かなというような例を除いては全額補償していると。個社とは言っておりますが、そのような運営がされているということはこの場で御報告できるかと思っております。
以上でございます。
○賃金課長 私のほうからも補足をさせていただければと思います。
実態として今、金融庁さんから御報告があったようなことかとは思いますけれども、確かにインターネットバンキングに関しましては、全銀協さんが協会として一部なり全部が支払われないような事例のようなものをホームページで公表されているとは私も承知をしてございます。確かに日本資金決済業協会のほうではそこまでなされていないということでございますので、法令上は難しいのですけれども日本資金決済業協会としてどのようなことをしていただけるのかは、協会のほうとも相談をさせていただければと思ってございます。
それから、保証スキームのところでございますけれども、80ある資金移動業者の中でどのくらいこの保証スキームに対応できるのかということでございますが、保証スキーム自体は契約を結んで、料金を払ってやっていただくということかとは思うのですけれども、そもそもまずは賃金支払口座というものに対してどのぐらい参入していただけるのかというのが、恐らく制度設計次第ということなのだろうと思います。
特に振込エラー対策のようなところも今回お願いをするということもございますし、これからこの場で御議論いただくところではございますけれども、ほかにもいろいろとやっていただかなければいけない部分があるのだろうと思います。
そういったものを見ながら、それぞれの資金移動業者個社さんにおかれまして参入するかどうかを判断されて、その上で保証スキームがちゃんとペイするかどうかを判断して、参入していただくということかと思っています。
そういった意味で、今の時点でどのぐらいになるかを憶測で申し上げるのは難しいということは御理解いただければと思っております。
○荒木分科会長 オンラインで山内委員から御希望がありました。どうぞお願いいたします。
○山内委員 使用者側の山内です。
すみません、途中、音声が聞こえなかったので退出してしまいました。もしかしたら質問が重複するかもしれないので、そこは御了承ください。
私からは1点です。先ほど36ページにありました内容のとおり、既にキャッシュレスの利用者が4500万人達成しているということで、国民の約2人に1人が利用しているということからすれば、多くの方々が利用ユーザーとなったことは認められる一方で、先ほどの質問にもありました上のアンケート、どれだけのニーズがあるかということの調査が、この5日間の調査で約4割というのが少し気になるところです。
1年経過しましたので、去年この提案をいただいたときには、早速、使用者側の課題とかを洗い出して御意見申し上げて、保証等を回答いただいたかと思います。残念ながら1年経過する中で、企業側で従業員からこれを早くしてくれとかという声は今のところ上がっていないのも現状かと思います。ここら辺の最新のニーズ調査みたいなものは何らかの形で取る予定なのか、既に取られているのか、それだけ教えていただきたいと思います。
○賃金課長 ありがとうございます。
この調査自体、公取さんでキャッシュレスに関する報告書をまとめるに当たってされたものでございまして、現時点でこれに代わるようなニーズ調査を我々として何か検討しているというところはございません。
ただ、今、御指摘もございましたので、ほかの調査等々でそういったものがあるかないか等を含めて、何か御報告できるものがあるようであれば、探して御報告させていただければと思ってございます。
○山内委員 ありがとうございます。
私からはその1点だけです。ありがとうございました。
○荒木分科会長 それでは、東矢委員、お願いします。
○東矢委員 ありがとうございます。
私からは、資金移動業者の指定、指定取消しについて3点ほど発言させていただきます。
資料の9ページ目、(3)で書いてある下の部分です。2行目に、指定要件を満たさなくなった場合に、実際の指定取消しに当たって労働基準法施行規則の指定要件だけを確認することで十分なのかどうかというところでございます。資金決済法に基づいた金融庁からの監督指導があった場合についてどう考えるのかというところをお聞かせいただけたらと思います。
2点目ですが、同じ9ページ目で、実際に指定取消しを行うに当たって要件未充足の程度や改善の見込みも含めて総合的に判断というところですが、金融の専門家ではない厚労省の方々に判断をするということがどれぐらいできるのか少し気になるところです。
最後、3点目が参考資料の18ページ目でありますけれども、規制のイメージに関して、金融庁が所管する資金決済法と、厚労省が所管する労基法関係法令について連携との記載がございます。指定や指定取消しに関しても必要な情報がきちんと連携されているのかというところが分かりません。こちらは以前の部会の中でも指摘をしているところでございますけれども、具体的にどう連携するのかというところをお聞かせいただければと思います。
以上でございます。
○賃金課長 ありがとうございます。3点ほど御指摘をいただいたかと思います。
まず、1点目の今回の労基則の指定要件だけを確認するので十分なのかというところでございますけれども、資料の7ページ目を御覧いただければと思います。まさに指定要件の⑤といたしまして、シの4番のところに書いてございますけれども、資金決済法に基づく行政処分とかを受けていないというのを、今回まさに労基則の要件にも組み込むという形にしてございます。そういった意味で、労基則の指定要件を確認すれば自動的に資金決済法上の問題がないかも確認できるというスキームに我々としてはさせていただいていると承知しておりますし、そこの確認に当たりましては、金融庁さんとしっかり連携をさせていただくということだと思っております。
9ページ目に戻りまして、まさに要件の未充足の程度とか改善の見込みを厚労省だけで判断できるのかということかと思いますけれども、資金決済法に関わる部分につきましては金融庁さんと連携をさせていただいて、金融庁さんからお伺いをするということだと思いますし、純粋に2階建て部分というところに関しましては、厚生労働省でしっかりと把握をさせていただき、判断をさせていただくということかと思います。
これから中身はまさに議論していただく必要があるわけですけれども、この制度の運用が開始されることになりましたら、そういったことをしっかり判断する体制も我々事務局のほうでしっかりとつくっていかないといけないと考えてございます。
3点目が18ページ目の連携の関係かと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、指定要件の中に資金決済法の話も含んできますので、基本的にはこの連携もまさに指定とか指定の取消しに当たって一番連携をしなければいけないということだと思います。
まず、指定の申請のときでございますけれども、ここは資金移動業者から申請がなされてくるわけでございますが、例えば金融庁さんにももちろん資金移動業者として届け出ていただいていますので、そういったところと齟齬がないかみたいなチェックのようなものから、あとは指定要件のところで行政処分を受けていないかを確認していただくというところでまずは連携をさせていただくことが必要になってくるのだと思います。
今度、指定後でございますけれども、基本的に定期的に報告をしていただくということかと思ってございまして、ここはどんなものを報告していただくかという要件にもよるとは思うのですけれども、報告していただいた事項につきまして、その間、何か問題が起きていないかということを含めまして、恐らく我々のほうも金融庁さんのほうもお互いに持っている情報を突合し合って、特に問題ないかということを最終的にチェックするということかなと思ってございます。
あとは、個別に何か問題が生じたような場合は、端緒がどこに来るかにもよるのですけれども、もし我々のほうで何か把握した場合には、個別に金融庁さんなりにお問い合わせさせていただくなり、金融庁さんのほうで把握されたときに、物事の関係上、どこまで我々に教えていただけるのかというのはケース・バイ・ケースかと思いますけれども、必要な連携をさせていただく。
最後は、指定の取消しの場面ということになろうかと思いますけれども、資金移動業として廃業する場合には、登録自体も取り消す必要がございますので、そことの並びの話とか、あとは本当に指定要件が外れてしまった場合に、どのぐらい外れているのかとか、ここに書いてあるとおり、回復の見込みみたいなものがどのくらいあるのかを含めて、よく連携をさせていただくということかなと今のところは考えてございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。
私は労働者の同意という点について幾つか申し上げたいと思います。
資金移動業者の口座は、そもそも送金のための口座ということで、滞留を想定したものではないことはこれまでも皆さんお話ししているところでありますが、資金移動業者によっては、アカウントに有効期限が設けられているものがあったり、金額の上限等の話もあります。同意に際しては、そのような違いを労働者がしっかりと理解していることが大変重要だと思いますので、銀行口座との違いを理解しないまま給与の振込口座とするということは適切ではないのではないかと考えるところです。
その上で、労働者が自由意思に基づいて同意できることが大原則だと思いますけれども、実際には銀行口座等のほかの選択肢が示されていたとしても形だけになってしまって、資金移動業者の口座を選ばざるを得ない場合が発生するのではないかと思っています。そのような選ばざるを得ないという状況で選択した場合でも、選択肢を用意したからということだけで自由意思とみなされてしまうということを大変懸念しています。
例えばそのようなときに、労働者から資金移動業者を選ばざるを得ない状況であったというような申告が労働基準監督署にあった場合に、事業主に対して指導等を行っていただけるのかということをお伺いしたいと思っています。
もう一点、9ページに示されています(1)労働者の同意の中の銀行口座等との性質の違いも理解の上で同意できるようにする方向で検討中と記載されておりますけれども、具体的にどのような内容を検討しているかお伺いできればと思っております。
私からは以上でございます。
○賃金課長 ありがとうございます。2点ほど御質問と御意見をいただいたかと思います。
まず、1点目の同意のところでございますけれども、労働者の同意というのは、もちろん形式ではなくて実態で判断すべきものだと思ってございます。そういった意味で、幾ら形式が整っていたとしても、労働者が強制されたということであれば、仮に強制的に使用者が特定の資金移動業者を選ばせているということであれば同意を得ているとは言えないということだと思っておりますので、そういうことで使用者が労働者の同意を得ることなく資金移動業者の口座に入れるということをしていますと、それは労働基準法の24条違反になるかと思ってございます。そういった意味で、申告があった場合には、もちろん実態を確認しつつではございますけれども、そういったことを踏まえて対応することになろうかと思っております。
2点目でございますけれども、今度は銀行口座と資金移動業者の口座の性質の違いをちゃんと理解した上での同意をどう担保するのか、今、何か検討しているのかと。これまで使用者側の皆様からもいろいろと御意見をこの場でもいただいてきたところでもございます。この場で申し上げるのがいいのかどうかはあれなのですけれども、一つの例ではございますが、同意を取っていただく際の様式の例とかフォーマットみたいなものを我々としてお示しするというのも一つの案なのかなと思っております。そういったところで、ちゃんと説明をするということとか、強制されにくいような文言を入れるとか、そういうこと含めて、ただのアイデアでございますけれども、そういったことも考えられるかなと思ってございます。
○荒木分科会長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。
川田委員。
○川田委員 今日、いろいろな形で議論になっております同意に関して、時間もありますのでごく簡単に考えることを述べたいと思います。
労働者の自由意思ということがキーワードになっているのですが、労働法的な考え方の中で、労働基準法などの強行法規で実現しようとしている内容に影響する可能性があるような場面で労働者が行った同意が法的に許容されるものであるのかということを考えるときに、幾つかの場面で同意が自由意思によるということについて、合理的な理由が客観的に存在するかという形で、客観的に見て合理的な裏づけがあるかどうかというところに着目するという考え方が見られます。今ここで議論している自由意思についても、そういう視点は必要なのではないかということです。
時間もございますのであまり深くは立ち入りませんが、こうした客観的合理的理由の具体的な内容については、整理の仕方は恐らく人それぞれだと思いますけれども、同意をさせるために強制に当たるような行為があってはならないというのはもちろんであるわけですが、労働者側が何に対して同意しているのかという意味を十分に理解して同意しているような同意に至るプロセスがあるのか。とりわけ、労働者にとって同意をすることが不利益に働く可能性があるところについて十分な説明がされているのかとか、逆に同意をすることによって労働者に有利に働く点があるか、すなわち労働者のほうが自分から進んで同意するのももっともだなと言えるような状況があるのかどうかなどに着目する。そのほか、選択肢があるような場面では、今の点とも関係して、同意をする労働者の側の利便性に沿ったような選択肢が示されているかとか、あるいは一旦行った同意を後で変更したり、撤回したりするようなことについても無理なく行えるかなどが例えば考慮要素として考えられるかなと思います。
具体的な中身、客観的・合理的な裏づけの中身として何を考えていくかということ自体も議論の対象にはなり得ると思いますが、基本的な考え方として、労働法における強行法規に関わるような場面での同意について自由意思が問題になる場合には、それに対する客観的・合理的理由による裏づけを見ていくという考え方はここでも参考になるのではないかということです。例えば9ページの論点の表面に出てくるようなものではないかもしれませんが、そこで出てくる要素について、これでいいのかどうかということを検証する際の一つの視点になり得るのかなと思っております。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
このテーマについては、昨年4月以来の議論ですが、前回、労使の意見の隔たりが非常に大きいので、そこも含めて厚労省において検討するということだったと思います。今日の資料の9ページの内容、また、今、労使の皆さんからの意見と、賃金課長や金融庁とのやり取りを伺っても、この間十分詰められたという印象はあまりなく、現時点で全体的なイメージが見えづらいという印象を持っております。
先ほど何人かの委員の方から、労働者の選択肢を広げるという意味で前向きに進めていただきたいというような話があったかと思います。先ほど八野委員も申し上げていましたけれども、労働者が労働の対価として得た賃金は非常に重要なものでございまして、これをダイレクトに預ける先の安全性や確実性が担保されているということは大前提であり、その上での選択肢だと思うのです。
そのように考えると先ほど申し上げたように、今日のやり取りを聞いた中では、これで安全性・確実性は何となく見えてきたと労働側として申し上げることは正直難しいと思っております。安全性・確実性を担保するために、今回も検討中であるとか連携をするというような言葉が多用されていたと思いますけれども、具体的にどうするのかというところがもう少し見えてこないと、議論を前に進めることも難しいと思っておりますので、その点だけは申し上げておきたいと思います。
以上です。
○賃金課長 ありがとうございます。
1年ぶりというわりに、あまり進んでいないのではないかということとか、全体像がなかなか見えにくいという御指摘をいただきました。我々としては9ページ目の資料で、前回までは論点という形である程度中立的にお示ししたものにつきまして、事務局として一定の方向性をお示ししたというのが今回進んだ点かとは考えておりますけれども、一方で冨髙委員からの御指摘はおっしゃるとおりの部分もあるかと思いますので、その点については我々としても率直におわびをしたいと思っております。
今、具体的に何か出てこないとなかなか進められないという御指摘もいただきました。次回、何をどこまで具体的にできるかというのは、我々もどこまで検討できるかにかかってくるのではありますけれども、いずれにしましても労使の皆様ともよく御相談しながら、より具体化の検討を進めた上でこの議論を進められるよう、我々としても努力をしたいと思っておりますので、引き続き御議論いただければありがたいと思っております。
○冨髙委員 ぜひお願いしたいと思います
10ページ以降に前回までの様々な意見があって、労使からもこのようなところがまだ取り上げられていないのではないかという指摘もありましたので、そのようなところも拾っていただきながら、全体が見えるようにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 オンラインの池田委員から発言の希望がございました。お願いします。
○池田委員 ありがとうございます。
皆さんのお話を聞いていてちょっと思ったので、今後検討しなければならない課題かなと思いまして発言させていただきます。
再三、私自身も含めて選択肢という言い方をさせていただいているのですが、仮に資金移動業者への賃金支払いが合意を得て導入されるとなったときに、事業者側が給与振込の選択肢として資金移動業者の賃金支払いのみを整備することに至った場合、それは厚労省として規制をするようになるのかどうか、というのは検討が必要と思いました。一部類型では上限を超えてしまう場合の代替の振込先が必要ということですから、資金移動業者以外の支払先を用意するのは必須なのかなと思うのですが、そういう類型ではない場合に、給与支払いは資金移動業者だけとか、もしくは単独の業者でなければ賃金が支払えないという条件で雇用するとかということが許容されるのかどうかということが是なのか否なのかというのは検討が必要かなと思いました。
もし検討が進んでいるのであれば教えていただきたいですし、そうでなければ今後この場でお話ができればなと思いました。
以上です。
○賃金課長 ありがとうございます。
資料の9ページ目を御覧いただければと思いますけれども、(1)の労働者の同意のところの1つ目の○で書いてございますが、ここで書いた意味は、まさに使用者が何かしら現金払い以外の方法を労働者に選択してもらうために同意を得ようとするときに、資金移動業者しか選択肢を示さないというのは駄目なことにするという方向で検討しているということをここで書かせていただいているということでございます。
つまり、資金移動業者だけを選択肢として挙げるのではなく、必ず銀行口座や証券口座等のその他の方法も選択肢として示し、選択できるようにした上で、労働者の同意を取らないといけないということで、労働者にもう現金か資金移動業者だけだからというような示し方は認めないという方向で検討をさせていただいているということでございます。
○池田委員 どうもありがとうございます。
失礼します。
○荒木分科会長 本日、資金移動業者の問題については様々御議論いただきました。したがって、この議論も継続してまいりたいと考えております。事務局においても、今回の議論を踏まえて、さらに準備をしていただきたいと思います。
それでは、オブザーバーの金融庁の方々におかれましては、ここで御退席いただいて結構でございます。本日はどうもありがとうございました。
(金融庁退室)
○荒木分科会長 それでは、次の議題に移ります。(2)といたしまして「2020年度年度評価について」です。事務局から説明をお願いします。
○労働条件企画専門官 労働条件政策課の長澤と申します。私から、政策評価の関係で御説明申し上げます。
まず、資料No.2「2020年度 年度評価 評価シート」を御覧ください。
ページ番号1の上部分でございますけれども、当分科会におきましては、2020年までの2つの目標を設定してございます。1つが、年次有給休暇取得率を70%以上とするもの、もう一つが週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とするものでございます。
週労働時間60時間以上の雇用者の割合の目標につきましては、昨年3月の分科会におきまして中間報告として御報告申し上げておりますので、本日は、もう一つの目標でございます年次有給休暇取得率を中心に御報告申し上げます。
年次有給休暇取得率の2020年の実績でございますが、1ページ目に記載しているとおり、56.6%となっております。
続きまして、1ページ目の下の部分でございますが、施策実施状況といたしまして、2020年度に実施いたしました主な取組を御説明申し上げます。
まず、働き方改革関連法の内容を御理解いただくということで、労使団体等が参画する協議会の場や働き方改革推進支援センターのセミナー等を通じまして、働き方改革関連法の周知を行ってまいりました。
2ページ目でございます。働き方改革推進支援センターによる相談対応、都道府県労働局に配置されております働き方・休み方改善コンサルタントによる相談対応や助言・指導、働き方改革推進支援助成金による、生産性を高めながら労働時間の縮減に取り組む中小企業や傘下企業を支援する事業主団体に対する助成の実施、中小企業庁や公正取引委員会と連携した「しわ寄せ」防止のための取組の推進といった、働き方改革に関する相談対応や各種支援を実施してまいりました。さらに、長時間労働の是正に向けた監督指導や、計画的な年次有給休暇の取得を企業等に働きかけるなどの年次有給休暇の取得促進に向けた取組も実施してまいりました。
続きまして、資料の3ページ目、2020年度の政策実施状況に係る分析でございます。
まず、①年次有給休暇取得率についてでございますけれども、先ほど御説明させていただいたとおり、2020年の年次有給休暇取得率の実績は56.6%でございまして、これは昭和59年以降、最高の数字でございます。しかしながら、目標である70%とは乖離がある状況でございます。
また、規模1,000人以上の企業と一部の産業におきまして、1年前と比較しまして取得率が減少してございます。これは1人平均取得日数が減少しているためでございますけれども、この要因の一つとしまして、コロナ禍により在宅で仕事をする方が増えたため、年次有給休暇の取得の抑制につながったことも考えられるところでございます。
一方で、年次有給休暇の計画的付与制度を設けている企業の割合につきまして、2018年の調査では22.2%であったところ、2019年調査で43.2%と上昇いたしまして、2020年調査では46.2%となったところでございます。これは御案内のとおりではございますが、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対する、年5日の年次有給休暇の取得が義務づけられたことが一定程度寄与したものと考えてございます。
なお、令和2年度の仕事と生活の調和の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査、労働者調査によりますと、全体の過半数であります52.7%の労働者が年次有給休暇の取得にためらいを感じているという結果が出てございます。その理由といたしまして、みんなに迷惑がかかってしまうといったことや、後々忙しくなってしまう、職場の雰囲気が取得しづらいといったことが挙げられております。引き続き、年次有給休暇を取得しやすい職場の環境、雰囲気づくりに取り組む必要があるものと考えてございます。
また、資料の4ページ目でございますが、企業規模が小さいほど年次有給休暇の取得率が低くなっておりますので、引き続き中小企業に対する支援に取り組む必要があろうと考えてございます。
続きまして、②の週労働時間60時間以上の雇用者の割合でございますが、先ほど申し上げましたとおり、昨年の分科会の中間報告で御報告申し上げておりますので簡単な説明とさせていただきますが、2020年の実績は5.1%と、目標をほぼ達成した状況でございます。
しかしながら、この背景には、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や事業の縮小等に伴っての労働時間の減少が影響した可能性も一定程度あるものと考えられますので、今後の状況を注視していきたいと考えてございます。そして、労働時間の関係につきましても、引き続き相談支援等の取組を行っていく必要があるものと考えてございます。
また、4ページのなお書きの部分でございますが、①の年次有給休暇取得率、②の週労働時間60時間以上の雇用者の割合、ともに2020年の統計の結果には新型コロナウイルス感染症の影響は一定程度あったことが懸念されますので、今後の統計調査の結果につきましては引き続き留意してまいりたいと考えてございます。
同じ4ページの下の部分、施策の達成状況を踏まえた評価と今後の方針でございます。ただいま御説明申し上げましたとおり、週労働時間60時間以上の雇用者の割合につきましては2020年までの目標をほぼ達成したところではございますが、年次有給休暇取得率の実績につきましては、目標である70%と乖離がある状況でございます。このため、目標の達成に向けまして、引き続き丁寧な周知啓発や相談・支援の実施等によりまして、企業における働き方・休み方の見直しに向けた自主的な取組を推進してまいりたいと考えてございます。
最後に、5ページ目の分科会委員の意見欄でございますけれども、本日の分科会でこの政策評価について御意見を頂戴した際には、その御意見を取りまとめてこの欄に記載させていただきまして、後日パブリックコメントにかけさせていただきますので、御承知おきいただければと思います。
ここまでが2020年度の年度評価の御説明でございまして、今、御説明申し上げましたように、本分科会の目標は2020年までとなっておりますので、新たな目標を設定する必要がございます。資料No.3を御覧ください。「労働条件分科会の新たな政策目標の設定について」でございます。
この資料のうち1につきましては、これまで御説明してきた内容の要約となっておりますので、説明は割愛させていただきます。
下の部分の「2.新たな政策目標の設定について」を御覧ください。新たな目標としまして2つ御報告させていただきます。なお、いずれの目標も2025年までの期限としてございます。
まず、目標1でございますが、これまでの目標と同じく、「年次有給休暇の取得率を70%以上」でございます。現時点で目標に達していないことを踏まえまして、引き続き目標として設定させていただきたいと考えてございます。
次に目標2でございますが、これまでの週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%という目標はほぼ達成した状況でございます。このことも踏まえまして、「週労働時間40時間以上の雇用者のうち週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下」としたいと考えてございます。これは長時間労働が懸念される方々の労働時間の削減が図られるようにということでございまして、ここで目標2についての現在の状況を説明させていただきます。本日お配りしている参考資料の5ページ目を御覧ください。
こちらの一番上の欄、「週労働時間40時間以上の雇用者のうち週労働時間60時間以上の雇用者の割合」でございますが、2020年実績を御覧いただきますと9.0%となってございます。2016年の実績から右に見ていただきますと、数字は年々減少している状況ではございます。
なお、今回お示ししております2つの新たな目標につきましては、昨年7月に変更が閣議決定されました「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で掲げられている目標と同じものでございます。この2つの目標を当分科会の新たな目標として設定させていただきたいと考えてございます。
私からの説明は以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればよろしくお願いいたします。
世永委員どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。
私のほうからは、長時間労働の是正と、年度評価そのものの話ではないのですけれども、自動車運転者の改善基準告示の見直しについて発言をさせていただきます。
まず、資料No.3に記載されています長時間労働の是正に関する目標を過労死等防止対策大綱の数値目標と合わせていただいたことにつきましては、過労死等防止対策推進協議会でも、労側から意見として述べさせていただいた内容を反映しているものと受け止めております。
その上で、参考資料No.1の5ページにあります週労働時間60時間以上の雇用者の割合についてです。実は運輸業、郵便業が全産業に比較して特に多い状況となっています。感染拡大による宅配等の業務増加の影響などもあり、多忙な状況が続いています。同じく3ページにある年休取得率も前年より若干減少していると受け止めています。
最後に、自動車運転業務につきましては、時間外労働の上限規制の適用が2024年4月に迫っております。現在、自動車運転者労働時間等専門委員会で改善基準告示の見直しの議論が行われています。そこでホワイト物流の推進運動等の荷主対策の推進とともに、勤務時間インターバルの確保の観点に立った1日の拘束時間や休息期間の見直しなど、実効性のある形で改善基準告示の見直しを進めていくことが非常に重要だと労側は受け止めておりますので、意見として申し上げさせていただきます。
以上です。
○荒木分科会長 オンラインの梅田委員、手が挙がっております。お願いいたします。
○梅田委員 ありがとうございます。
私のほうから年休の取得促進につきまして2点申し上げたいと思います。
今ほど説明もいただきましたとおり、年次有給休暇の取得率につきまして、業種別、それから企業別で見ても若干の増減が見られるということでございまして、これはコロナ禍による一時的なものなのか、それともこの間、働き方が変わったことによるものなのかということをしっかりと注視していただくとともに、きめ細かな実態の把握をしていただいた上で、今後の施策につなげていく必要があると思いますので、お願いをしたいというのが1点目でございます。
2点目でございますけれども、参考資料No.1の4ページ目の下段に意識調査の結果を記載いただいてございます。同調査における年休取得向上のための課題を見ますと、職場全体の雰囲気づくりや職場全体の制度づくりなどが上位として挙げられてございます。職場の雰囲気づくりにつきましては私たち労働組合として引き続き主体的に取組を進めてまいりたいと思っておりますが、厚生労働省におかれましても、とりわけ中小企業を中心に年休の取得率向上に資する積極的な支援をお願いできればと思います。
以上2点、よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
週労働時間60時間以上の雇用者の割合が2020年は5.1%で、前年比1.3ポイント減になったとの御紹介がございました。御指摘がございましたように、新型コロナウイルス感染症の影響も多分にあると考えられますので、その分析を今後もしっかりと行っていただく必要があると思いますが、他方、個人的には企業の労使が長時間労働を何とか減らそうということで、業界団体をはじめ産業別や個社別での様々な形で取り組んできた成果もある程度反映されているのではないかと思っているところです。
一方で、先ほど参考資料の5ページで週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合について御紹介がございました。ここ数年は毎年1%ポイントぐらい下がっているのですが、直近の1年間では減少幅が一気に小さくなっております。コロナ禍にもかかわらず十分な変化が見られないのは気になるところでございます。
いろいろと個別企業の声をお伺いしますと、各社とも突発的な事象の対応等で労働時間を週60時間未満にすることになかなか御苦労されているような状況もあるようです。とりわけ、先ほど世永委員からも御指摘がございました業種別のデータを見ますと、運輸業、郵便業、あと建設業でもいろいろと苦労をされている実態がうかがわれるのではないかと思っております。
これも世永委員から御指摘がございましたけれども、この2つの業種は2024年度4月をもって時間外労働の上限規制の適用猶予が外れる業種でございますので、ぜひ厚生労働省をはじめ広く政府からの手厚い政策的な支援をこれまで以上にお願いできればと思っております。
この両業種というのは、労側の委員からも以前御指摘いただいたように、1社だけではなかなか対応できないような長時間労働、特に商慣行が課題になっていると思っています。こうした課題を解決していく上では、経済界の役割が大きいとも認識しております。
その一環として、経団連では会長の十倉が昨年から今年にかけて、会員企業に対しパートナーシップ構築宣言の公表を繰り返し呼びかけており、適正な取引の徹底はもとより、御無体な発注をなくしていくよう取り組んでおります。まだ道半ばですので、なかなか胸を張って言える状態ではございませんが、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
これに関連して、昨年改定されました過労死等防止対策大綱に、国・自治体と民間企業との間の商慣行の是正に向けての政府のお取組についても記載を盛り込んでいただいたところでございます。今、経団連事務局において行政機関と民間企業との間の商慣行についていろいろと調べさせていただいておるところでございます。契約や手続に際して書面が求められるとか、デジタル化が後れているといった実態が、先ほど申し上げた業界だけでなく、メーカーも含めて依然として見られる状況でございます。行政機関の方々もコロナ禍で大変御苦労されているとは重々承知してはおるのでございますけれども、発注の仕方や業務の見直しについて、改めて御協力をいただきますよう、お願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。
世永委員、梅田委員、鈴木委員から発言いただきまして、ありがとうございます。
まず、2020年の目標につきまして達成できている部分とできない部分があるということでございますが、一定の進捗が見られているということにつきまして、私どもだけではなく、労使が現場において様々な御努力をいただいているという認識を持っておりますので、この場を借りて厚く御礼申し上げたいと思っています。
世永委員からお話がございました自動車の改善基準告示につきましては、御指摘のとおり今、専門委員会で検討させていただいている、労使にしっかり議論していただいていると思っておりますので、その結果を踏まえまして対応してまいりたいと思っております。荷主対策につきましては、基本的には労使双方からご指摘いただいているものでございますので、厚生労働省としましても国土交通省と連携をした上で、荷主に対しまして様々な働きかけ、もしくは御努力をお願いしてまいりたいと考えております。
年次有給休暇取得の状況でございますが、委員各位から御指摘のとおりで、コロナの状況が一定程度影響しているのではないかというのは、確かにおっしゃるとおりだと思っております。直近で申し上げますと1,000人以上の企業が大体横ばいで、中小企業は右肩上がりという状況にございます。この辺もコロナの状況がどう影響しているのかを見ていく必要がございますので、各種統計は申し訳ありませんが1年遅れで出てまいりますので、そういう意味で、統計調査などを用いまして、その状況については少し分析してみたいと考えております。
いずれにしましても、厚生労働省としましては、長時間労働対策や年次有給休暇の取得が働く方にとって非常に重要なものだと考えておりますので、労使の御協力をいただきながら、この目標に沿って進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、時間も超過しておりますので、本日の議事は以上とさせていただきたいと思います。
最後に、次回の日程について事務局からお願いします。
○労働条件企画専門官 次回の労働条件分科会の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 司会の不手際で時間を延長して、申し訳ありませんでした。
本日、第172回の労働条件分科会はこれで終了といたします。
お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。

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