外務省・新着情報

冒頭発言

(1)ODAによる「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画フェーズ2」支援の中止について

【小野外務報道官】本日は、私(小野外務報道官)から2点ございます。
 第1点目は、ODAによる「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画フェーズ2」への支援の中止についてです。
 我が国は、2021年6月のG7首脳会合において、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を、2021年中に終了することに合意をしました。
 その際に、既に実施に向けた手続を行っている案件については、「新規の支援」には当たらないと整理をし、相手国政府との協議を重ねてきたところです。
 そうした中、今般、バングラデシュの「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画フェーズ2」の事業について、石炭火力をめぐる国際的な議論の潮流も踏まえつつ、バングラデシュ側とも協議の上、円借款案件として、これ以上進めないこととしました。この事業は、バングラデシュ南東部のマタバリ地域に、出力約1,200MWの高効率の発電所を建設する案件でした。
 同時に、日本としては、マタバリ地域の開発を含むバングラデシュの経済社会開発に対して、今後も協力をしていく考えです。
 我が国としては、引き続き、途上国の固有の事情をも踏まえ、多様なエネルギー源や技術を活用しつつ、脱炭素社会に向けた現実的な移行を包括的に支援をしていく方針です。

(2)「こども霞が関見学デー」の開催

【小野外務報道官】2点目は、「こども霞が関見学デー」の実施についてです。
 8月3日と4日の両日、小中学生を対象に、「こども霞が関見学デー」が、霞が関の各府省庁等で開催されます。外務省は、国際交流基金及びJICA地球ひろばの参加も得て、6つのプログラムを開催します。
 コロナ禍により、一昨年は中止、昨年は、全プログラムをオンラインで開催しましたが、今年は、上杉外務大臣政務官が出演する「こども記者会見」、さかなクンによる講演等、3年ぶりに、一部のものを除き、対面でのプログラムを予定しています。
 在外公館、国際交流基金、JICAによるオンライン・プログラム等、各プログラムの詳細につきましては、お配りしたチラシや外務省ホームページをご参照いただければと思います。
 未来を担うこども達にとって、日本外交の現場に触れる非常に貴重な機会となると考えています。何れのプログラムも、プレスの皆さまにも開放しますので、ぜひご覧いただければと思います。私(小野外務報道官)からは以上です。

ODAによる「マタバリ超々臨界圧石炭火力発電計画フェーズ2」支援の中止について

【朝日新聞 相原記者】最初発言のあったODAの件ですね、これは、中止に至ったのはどちらからの申入れなのかというのが一つと、もう一つは、似たような案件で、去年のG7では対象外とされながらも、今回このように、バングラデシュと同じように、中止の方向で検討しているような案件というのはあるのでしょうか。この2点、教えてください。

【小野外務報道官】まず1点目ですが、先ほど冒頭で申し上げましたとおり、我が国としては、昨年のサミットのタイミングで、2021年中に、排出削減対策が講じられていない石炭火力への、新規の国際的な直接支援を終了することに合意をしたところであり、それを踏まえて、実施に向けた手続きを行っている案件については、相手国政府との協議を重ねてきた、ということであります。その結果として、今般このような実施に至ったということです。
 それから2点目ですが、既に円借款供与に向けた手続きを行っていた案件としては、インドネシアにおける「インドラマユ石炭火力発電所」という案件があります。
 しかしながら、このインドラマユ石炭火力発電計画については、インドネシア政府自身が、これをもう実施しないという方針であり、日本政府としても、円借款支援はこれ以上検討しないということとしました。
 日本としては、インドネシアを含む各国の実情に応じた脱炭素化とエネルギー移行を支援していく方針です。

ウクライナ以外の避難民支援

【毎日新聞 日下部記者】アフガニスタンからの避難民についてお伺いします。今、ウクライナ避難民に対する支援は、政府を始めとして、自治体でも非常に広がっているんですけれども、アフガニスタンからの避難民との支援の格差が、いろいろと指摘されていまして、日本語教育ですとか、就労支援とか、生活支援とか、多方面に及ぶんですけれども、アフガンというのは、元々日本が、JICAの留学プログラムとかで、非常につながりがある国だと思うんですが、アフガンの避難民に対する支援について、今後、どうしていくお考えなのか教えてください。

【小野外務報道官】ウクライナの避難民に対する我が国の対応は、国際秩序の根幹を揺るがすロシアの侵略による危機的な状況を踏まえた緊急措置として、政府全体として取り組んでいるものです。そのため、現在のウクライナへの方々への対応と、それ以外の方々への対応を、一概に比較できるものではないと認識しております。
 その上で、外務省としては、我が国に避難をしたアフガニスタンの方々に対しましては、個々の事情を考慮しつつ、引き続き、政府として可能な支援を行い、適切に対応していく方針です。

在外投票(方針・準備体制)

【朝日新聞 相原記者】お話変わるんですけれども、参院選が公示されました。去年、衆院選のときに、在外投票で、確かコロナの影響や治安悪化で、15公館では投票を見送ったということがありました。今回は、このような見送りの方向で検討しているような、そういった公館はあるんでしょうか。そこら辺、今の準備体制を教えてください。

【小野外務報道官】選挙権は、日本国憲法で保障された国民の権利であり、また、在外選挙は、公職選挙法に規定された法定事務であります。外務省としても、在外選挙にあたっては、遺漏なきよう、万全を期して準備を進めているところです。
 また、在外選挙の実施に際しては、公示前及び公示後に、外務省及び在外公館のホームページ、領事メール、メールマガジン、ダイレクトメール、テレビやラジオのCM、現地情報紙等を通じた投票の呼びかけを行っており、更に、NHKの協力により、海外日本語放送を通じた広報も行っているところです。
 ご質問の、在外投票を実施しないところという点ですが、今般の参議院議員通常選挙におきましては、計234の在外公館で、在外公館投票を実施しますが、合計8つの在外公館では、在外公館投票を見送ることとしました。
 具体的には、在ウクライナ大、在アフガニスタン大、在イエメン大、在シリア大、在リビア大につきましては一時退避中であり、また、在イラク大、及び在エルビル領事事務所は、現地の安全上の理由により、在外公館投票の実施が困難と判断しました。この他、在バチカン大につきましては、投票実施のための十分なスペースがないということと、隣国である在イタリア大で投票が可能であるということから、在外公館の投票を見送ることとしたものであります。

中国による東シナ海での一方的な資源開発

【読売新聞 金子記者】昨日、大臣会見でも出たんですけれども、中国のガス田開発について伺いたいと思います。今年の5月に、日中中間線の西側に、新たに構造物が見つかって、だいぶ久しぶりに見つかった後に、急速に建設が進んでいる状況なんですけれども、これを今、外務省としてどのように分析されていらっしゃるのか、これについて伺いたいと思います。

【小野外務報道官】東シナ海における日中間の排他的経済水域及び大陸棚の境界は未確定であり、日本は地理的中間線を基に境界の確定を行うべしとの立場であります。
 このように、境界が未だ確定していない状況下で、中国がかかる海域において、一方的な資源開発を進め、2013年6月以降で新たに14基の構造物が確認されていること等は、極めて遺憾であります。
 中国は、海洋権益の獲得等を目的として、石油や天然ガスの採掘に関連する活動を継続をしていると認識をしています。
 我が国としては、中国に対しては、改めて強く抗議をするとともに、「2008年合意」に基づく、国際約束締結交渉を早期に再開をし、その合意を早期に実施するよう強く求めたところです。
 我が国としては、引き続き、関連の動向を注視をするとともに、中国側に対し、一方的な開発行為等を行わないよう、強く求めて参る方針です。

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