財務省・新着情報

1.日時 令和4年6月8日(水)13:30~14:30

2.場所 財務省 国際会議室(オンライン開催)

3.内容
    (1) 個人向け国債の販売動向等について
    (2) 個人向け国債の広告について
    (3) 個人向け国債販売にあたっての取組事例
    (4) 個人向け国債の取扱事務に係る注意事項
    (5) 令和4年度の取組方針

理財局から議題(1)~(5)について、資料1に基づき以下のとおり説明を行った。

(1)個人向け国債の販売動向等について

  • 令和3年度における個人向け国債の発行額は約3兆円と令和2年度と同水準であった。令和3年度の各月の販売額についてみると、変動10年債は初回利率が0.05%を超えた月の販売額に増加がみられる。個人向け国債の購入者は高齢者が多く、女性の購入者が多いものの、1回あたりの購入金額は男性が多い。

(2)個人向け国債の広告について

  • 令和3年度までの方針として若年層への認知向上に重点的に取り組んできたが、購入者層の多くは高齢者であることから、この層に対しても訴求する必要がある。そのため、令和4年度の広告では、「国債の販売促進」をメインの方針として、ターゲット層を年代や性別で絞らず、金融商品の購入経験の有無でアプローチを変えていく形で進める予定。

(3)個人向け国債販売にあたっての取組事例

  • 前回のトップリテーラー会議から紹介している個人向け国債の販売に関する好事例について、令和3年度に実施した取扱機関へのヒアリングでも複数確認できた。今後のヒアリングにおいて同様の悩みを抱えている取扱機関に紹介できればと思っている。

(4)個人向け国債の取扱事務に係る注意事項

  • 令和3年度、取扱機関が行う募集、中途換金に係る日本銀行への応募金額の報告、国債売渡の申込みの事務に関して、銘柄誤りや金額誤りが数度発生している。こうした誤りを防止する観点から、取扱機関におかれては、複数者による銘柄、金額の確認及び参加者口座(顧客口)と顧客口座との突合を徹底していただきたい。

(5)令和4年度の取組方針

  • 令和4年度については、最近の個人向け国債の販売状況を踏まえ裾野の拡大、情報発信、連携の強化を重点的に行っていく予定。
  • 裾野の拡大については、個人向け国債の購入を増やすため、ヒアリングを効果的に実施し、個人向け国債の販売方針、課題等を聴取するとともに、職員向け開催の提案など販売を支援していきたい。
  • 情報発信については、令和4年の広告方針を認知から販売促進へ変更し、金融商品購入経験者・未経験者それぞれに適したアプローチで広く個人向け国債の魅力を伝えていきたい。
  • 連携の強化については、令和3年度に引き続いて好事例の収集展開、ポスター配布、動画配信等の広告施策実施の際にはタイムリーに周知するとともに、地方プロモーションは、対象地域の取扱機関へ直接情報を展開する等連携を密にして効果的に進めてまいりたい。

また、議題(3)については、トマト銀行、宮崎中央農業協同組合より資料2に基づき以下のとおり説明が行われた。

  トマト銀行

  • 昨年の事例発表では、2020年1月から個人向け国債の販売に注力、行員の意識を変えることに成功し、個人向け国債の販売体制が定着したことを説明した。
  • 当初は販売実績もなく、システム対応にコストはかけられない状況であったが、販売体制の定着と販売実績により次のステップに進むことが出来た。
  • システム面においては、2021年10月にタブレットの販売支援システムで国債、公共債が販売できるようにした。
  • 営業店ではお客様と一緒にタブレット端末上で必要データを入力した後に本部へ一括送信してオペレーションを行うようにしている。営業店でのオペレーションを廃止したことにより、事務が大幅に削減された。
  • 併せて、チェックリストや意向確認書等を廃止し、債券取引口座申込書を一枚に集約。用紙の一元化、集約化により、お客様並びに行員からも好評であり、本部への徴求書類の問い合わせも大幅に減少した。また、データ化により本部のモニタリング対応も効率化された。
  • 販売面において、2021年度はコロナの影響による営業自粛期間が長かったこともあり、前年度に比べ販売額は減少したものの、安定的に募集、販売が出来るようになった。2021年度は64億円の販売実績を残すことが出来、残高は191億円まで積み上げることが出来た。
  • 今後の展開としては、安全資産でローリスクを希望するお客様のニーズに適した商品として引き続き残高を意識した取組みを継続実施したいと考えている。
  • それに加えて、6月1日より定期預金と個人向け国債または積立投信をセットで申し込んでいただいたお客様に対して定期預金の金利を上乗せするキャンペーンを実施している。

  宮崎中央農業協同組合

  • 昨年の発表では定期貯金とセットの個人向け国債のキャンペーンについて説明した。
  • 昨今の低金利環境下での資金調達と資金運用、それによる利息・売却益の減少が課題としてあった。ここに個人向け国債の手数料収入と定期貯金の増強を図ることとし、取組を継続している。
  • 前回会議後の経過としては、金利面での優位性や満期保有による元本保証が顧客ニーズを着実に捉え、令和3年度の残高は前年対比133%となった。
  • 今後の展開としては、令和4年度も取扱いを継続し、資産形成、運用の1つとして顧客ニーズの獲得に繋げるとともに、手数料の確保に努めていきたいと考えている。
  • また、渉外担当がお客様のニーズを汲み取り、提案が出来るように取り組んでおり、こうしたことも引き続き行っていきたい。

出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

(1)個人向け国債の販売動向等について

  • 昨今のマイナス金利の情勢、新型コロナウイルスの拡大による景気後退により定期預金の金利水準が大幅に下がり普通預金と変わらない状況が続いている。定期預金については、お客様からの関心が薄れていると感じているが、かと言って投資に関しても積極的ではないと感じている。
  • 個人向け国債は、お客様から定期預金より高い利率の商品は無いか照会があった際に提案している。具体的には、窓口や渉外において、低金利を理由に定期預金の解約を検討しているお客様に対し、個人向け国債の3年債から順次提案しており、最低金利保証といった点をアピールしている。
  • 今後はミドル層や若年層に対しても、安心、安全な商品として個人向け国債を勧めていきたいと考えている。
  • 令和3年度は引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動は制限されていたが、電話を活用して活動を実施した。商品としては前年度と同様に3年債を希望するお客様が多く、全体の87%を占めている。当社ではお客様のご意向を伺った上で適切な商品やサービスを提案することを基本方針としている。また、個人向け国債の償還を迎えるお客様に対しては国債償還前のフォロー活動を行うようにしている。広告関連については、毎年御省から提供されるもののほかに金利発表後に作成している独自のリーフレットを使用している。今月から使用している新リーフレットについては、当社の主たる販売層である60歳以上のお客様に対してもよりわかりやすい内容となっており、積極的に活用することを考えている。また、ペーパーレスの観点から当社ではデジタルサイネージを活用しており、個人向け国債の配信データを使って定期配信している。
  • 個人向け国債が増加している要因としては、安定志向が高いお客様が多かったことが挙げられる。お客様のご意向を確認した中で最適な商品が個人向け国債になったことが販売増に繋がったと考えられる。
  • 引き続き訪問活動と基本方針を徹底した取組みを実施していきたいと考えている。
  • 当社では個人向け国債の販売に関してキャンペーン等は行っていない。お客様本位の姿勢で、お客様にとって最善の商品を提案していく中でリスク許容度が低いお客様から金利が低い定期預金等の代替商品として選択されていると考えている。当社ではコンサルティングの1つの方法としてお金の色分けを行っており、その中で個人向け国債はどちらかというと何年か先のライフイベントのために貯める位置付けにしている。ニーズに応じた提案を実施しているため、リスクを取りたくないお客様に対して販売することになり、お一人お一人のライフプランに合わせて何年か先のライフイベント用に貯める資金が個人向け国債の販売に繋がったのではないかと思う。個人向け国債は定期預金よりは比較的金利が良く、投信、保険よりは元本割れリスクの少ないローリスクの中核商品としてお客様のニーズ、意向に合わせて提案していこうと考えている。今後も情報交換を密にしていただけると有難い。
  • 個人向け国債はローリスクの中心的な商品としてお客様に購入いただいてきた。特に70歳以上の高齢のお客様に購入いただいている。昨今の為替相場や株式相場の変動が高まっている状況下において、ローリスク商品を希望するお客様に対して提案していくこととしている。なお、当社の業績評価における預かり資産保有先数や残高について、個人向け国債は投信等他の金融商品と同列の評価としている。
  • 当社における預かり資産の販売において、特定の商品を販売するようなインセンティブは設けていない。幅広い商品の中からお客様に合った商品を提案することに気を配っている。当社では個人の預金が増加傾向にあって、低金利下における安定的な資産運用として個人向け国債をご案内している。昨今、資産形成の流れの中で特に投資未経験者の方の背中を押してあげることも仕事だと思っている。そうした中で、投資の入り口商品として個人向け国債は鍵になると思っている。引き続きお客様のニーズに合わせて提案していきたい。また販売動向としては、持ち切れる年数で個人向け国債を選ばれるお客様が多く、3年債が中心ではあるが、10年債の金利の上昇を受けて10年債を選ぶお客様もいる。また広告に関しては幅広い年代に提案できるかたちになったと感じている。
  • 当社では2017年度から個人向け国債のキャンペーンを実施していたが直近1年ほどは大きなキャンペーンは実施していない。2017年のキャンペーンで購入された個人向け国債の償還が随時始まっており、その際再投資先として個人向け国債をご案内して成約いただいている状況となっている。足もとでは10年債の金利が上昇しており相対的に魅力のある商品になっていると思う。お客様にとって0.1%を超えたということは今までよりは魅力的に映っているので、積極的に提案できる体制としていきたいと考えている。

(2)個人向け国債の広告について

  • 当社としては御省と連携を図り、個人向け国債のマーケティングを行っていきたい。特に御省で注力している都道府県単位での地方プロモーションについては、地域著名人の起用や地域住民を対象としたセミナーのほか、各種プロモーションを行うことから有効なプロモーションだと感じている。対象地域には当社店舗もあることから、連携させていただければと考えている。
  • また、御省の金融資産、ポートフォリオの中核商品として個人向け国債をアピールすることについては、当社でもポートフォリオコンサルティングに取り組んでいるところであることから、そうした商品の1つとして取り扱っていきたい。特に御省でリスク分散の重要性を謳われたバナー広告を活用していくことでかなり効果が高まるものと考えている。
  • 御省で実施する地方プロモーション実施の際にはあらかじめ営業職員に対して取組に関する情報を展開し、営業職員を通してお客様に伝えることで地域広告イメージの向上に貢献できると考えている。
  • 個人向け国債の販売に際して特にキャンペーン等は行っていないが、窓口で安全志向やリスク性商品の購入を好まないお客様に対するアプローチや満期を迎えたお客様への案内を行っている。その中で、御省が行っているPR媒体を展開していただければ、窓口でお客様への提案を積極的に行えると感じているので、引き続き御省と連携していきたいと考えている。
  • 当社では個人向け国債を貯蓄から資産運用への重要な商品として位置付けている。販売にあたってキャンペーンを展開しているが定期的に購入しているお客様が多く、購入層は高齢者層である。当社では安定的に販売があることから、個人向け国債のニーズは捉えていると考えている。当社は令和4年度の地方プロモーションの対象地域に店舗を構えていることから連携して取り組んでいきたいと考えている。
  • コロナ禍において顧客の生活スタイルが多様化したことに伴い、従来の対面営業に加えて非対面営業が可能になるようにした。その一つとしてホームページに各種金融商品の紹介を載せているところ、当初個人向け国債については載せていなかったが御省が出したYouTubeの個人向け国債講座動画がわかりやすかったことから商品紹介サイトに掲載し販売促進に繋げている。今年度予定されているインターネット広告、SNSの充実を図る際には情報提供をお願いしたい。
  • 個人向け国債はお客様目線ではもちろんのこと営業職員にとっても販売しやすい商品であり、間違いなく投資の入り口になる商品だと思っている。御省で行っているプロモーションに加えて自社でもデジタルを活用したプロモーションを含めて積極的に販売していきたいと思っている。一方で、どこで買えばいいかわからないといった方がいるかもしれないので、証券会社でも気軽に買えることを加えていただけると有難い。
  • 当社では総合資産コンサルティングを実践しており、個人向け国債は安定的な運用を望まれるお客様に非常に有効的な商品として、ご提案している。対面でのコンサルティングの場合、60代前後のお客様が非常に多くなるため、幅広い年代にアピールできるような落ち着いたイメージの広告を展開していただいたことは、我々としても有難いと思っている。このような広告はお客様との話題になることもあるので、活用しつつ推進してまいりたいと思っている。
  • 当社では引き続きキャンペーンを利用した個人向け国債の販売を促進し、投資初心者の方へ入口商品として利用し、そこからリレーションを構築して運用ニーズを引き出して裾野を広げていくこととしている。実際に個人向け国債を購入したお客様の預かり資産が拡大しているというサンプルデータもあり、個人向け国債は投資初心者の方の入り口としての実績も出ている。個人向け国債の広告については、当社の取組方針である個人向け国債を投資初心者の入り口商品として利用していただくことと合致していることから、販売促進に活用できるのではないかと考えている。
  • 個人向け国債は窓口でお客様に説明しやすい、お客様もエントリーしやすい商品としての位置付けで取り扱っている。足もとの販売動向として特に高齢の方、人数ベースで60代を超える方が7割5分占めている。それに加えて将来的に資産を使う予定があるということで3年債の購入が多い。一方で若年層の方になると10年債の需要が見込め、年代によっては3年債と逆転することもある。これから貯蓄から投資への流れで裾野の拡大に取り組んでいきたいと考えている。そうした中で全年代に向けた資料、若年層に向けて訴えやすいツールの拡充といったところは有難い話であるのでよろしくお願いしたい。
  • 先日いただいた新しいポスター、パンフレットは非常に雰囲気の良い感じになっていて有難い。当社の販売動向としては変動10年債の金利が上昇していることから窓口で売れており、事務がスムーズに流れるよう努力している。
  • 最近新型窓販国債のパンフレットが欲しいと声があるので出来れば作っていただけると有難い。

(3)個人向け国債販売にあたっての取組事例

  • 当社の取組としては、数年前にお客様に記入していただく書面について枚数を削減し事務の簡素化を図った。これによりお客様が申込みを行う際の時間の大幅な削減や後方事務の削減が図られ、お客様、職員双方にとって効率的な体制になったと考えている。また、従来は窓口で事務手続きのみを行っていた事務担当の職員に対して、個人向け国債を含めた運用商品のコンサルティング業務を担えるよう体制を整え直し、運用担当者の裾野を拡大している。個人向け国債については、商品性が難しくなく、前述の事務の簡素化が図られていることから、従来の事務担当者でも販売を伸ばしてきている状況である。今後も担当者の裾野を拡大して販売に取り組んでいきたいと考えている。
  • 当社の取組事例としては、お客様のリスク許容度に応じた提案の1つとして個人向け国債の販売を行っている。投資商品の案内については迅速な事務処理が不可欠と考えており、個人向け国債についても同様と考えている。そのため、個人向け国債については、販売時にもたつくことが無いようにEラーニングや社内の電子掲示板を活用して迅速な案内や事務処理ができる体制を整備している。Eラーニングは半年に一回の受講を必須としており、中途換金の計算方法や事務フローが身に着くようにしている。また、事務フローは必須質問等を社内の電子掲示板にアップし担当者がちゃんとできる体制をとっている。これによりお客様と担当者が迅速なやり取りができるようになり、個人向け国債の販売についてもサービス向上が図られていると考えている。

(4)個人向け国債の取扱事務に係る注意事項

  • 特になし。

(5)令和4年度の取組方針

  • 令和4年度の取組方針の中でも情報発信に特に力を入れていただきたい。今後は家計資産を貯蓄から投資へ促す政策が進んでいくと考えられることから、個人向け国債は預金からステップアップする際の最初の商品であると認識している。より多くの方に認知していただくことが販売促進に繋がると考えていることからよろしくお願いしたい。
  • 個人向け国債の販売については積極的に行っているが、高齢でやめる方が増えてきており減少傾向にある。安全性の高い商品であるが10年になると高齢者の方には少し難しく、相続の関係もあるようだ。その中で裾野の拡大ということであれば、SDGsの観点も注目されているところであり、ニーズが高いと思われる。以前個人向け復興国債を出していたが、金利だけではなく世の中に役立っているという観点で国債を考えていただけると新しいお客様が増えてくると思われる。

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