厚労省・新着情報

日時

令和4年3月18日(金) 16:00~18:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)
  • (会議室)     ◎磯部哲
  • (テレビ会議)  伊豆津健一  泉祐子    内田信一  奥田真弘  ○佐藤嗣道
  •          戸部依子   花井十伍     森豊隆志
  •          ※◎委員長 ○委員長代理
行政関係出席者

 厚生労働省
 (会議室)
  浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
  大臣官房厚生科学課
        佐々木 昌弘(厚生科学課長)
    鷹合 一真(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
    藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
  健康局
    鶴田 真也(健康課予防接種室長)
    西田 浩孝(健康課予防接種室長補佐)
    山口 敏弘(健康課予防接種室ワクチン対策専門官)
  医薬・生活衛生局
    柳沼 宏(医薬品審査管理課長補佐)
    高橋 暁子(医薬安全対策課安全使用推進室長)
    塩川 智規(医薬安全対策課長補佐)
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
 (会議室)
    井口 豊崇(医薬品安全対策第二部長)
 海外調査業務委託先
 国立医薬品食品衛生研究所
 (会議室)
    斎藤 嘉朗(医薬安全科学部長)
    青木 良子(医薬安全科学部主任研究官)


 

議題

  1. 1.医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について
  2. 2.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  3. 3.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  4. 4.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 それでは、ただいまより第7回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催します。
 皆様にはお忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。
 本日の委員会は、対面ではなく、ウェブ開催としており、磯部委員長を除くほかの委員には、厚生労働省外から参加いただいております。
 また、本日は議題に関連して、厚生労働省の担当部局から資料の説明を行うことを予定しておりますが、並行して開催しております会議等の関係から、順番を入れ替えて実施する可能性がありますので、あらかじめ御了承くださいますようお願い申し上げます。
 また、傍聴に関しては、ユーチューブでライブ配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくり、はっきりと御発言いただくようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から、資料の投映を中断いたしますので、御了承ください。
 資料については、厚生労働省のホームページに掲載されております。
 それでは、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いします。
○磯部委員長 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 ここにおります。
 最初に事務局から委員の出席状況の報告を。
 声は大丈夫ですか。聞こえますか。
 いつもと違ってマイクを持っていないのですが、大丈夫ということで。
 では、報告をお願いするのと、あと、利益相反の取扱規程に基づいて、各委員の申告内容の御報告もお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 事務局です。
 まず、出席状況についてです。
 全ての委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを報告いたします。
 続いて、利益相反についてです。
 まずは、取扱規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告です。
 今回は、議題3の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で、個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、関連企業からの寄附金等の受け取り状況について、あらかじめ申告いただいております。
 その申告結果について、御報告いたします。
 確認結果ですが「小児への新型コロナワクチン接種に関する議論」の関係で、内田委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以上500万円以下の受け取り、アストラゼネカ株式会社より50万円以下の受け取り。
 奥田委員より、ファイザー株式会社、アストラゼネカ社より50万円以下の受け取り。
 「ラブゲリオの安全性に関する議論」の関係で、内田委員より、MSD社から50万円以下の受け取り、中外製薬より50万円以上500万円以下の受け取り。
 奥田委員から、MSD社及び中外製薬から50万円以下の受け取りと申告いただいております。
 したがいまして、内田委員におかれましては、議論にて意見をいただくことは差し支えありませんが、個別の議題のうち「小児へのコロナワクチン接種に関する議題」及び「ラブゲリオの安全性に関する議題」に関して、仮に何らかの議決を行う場合は、当該の議決に加わることはできません。
 その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わることができます。
 なお、各委員の申告書につきましては、厚生労働省のウェブサイトで公表させていただきます。
 また、規程に基づき、申請資料作成関与者等の確認を行っておりますが、該当する委員はいらっしゃいませんでしたので、併せて御報告いたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の主な議題は、海外調査に関する今年度の報告及び来年度の調査方針。
 医薬・生活衛生局からの定期報告。
 委員の求めに応じた個別事項の対応として、小児用の新型コロナワクチンと新型コロナの経口薬に関して議論することとしています。
 今回は議論の対象が多くなっておりますので、先ほどできるだけゆっくり御発言くださいと言ったのとは矛盾するようですが、できるだけ説明は効率よく、手短に進めていただければと思いますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、本委員会で独自に行った海外調査に関する議題です。
 今回は、年度最後の会議となりますので、令和3年度の薬事制度に関する調査結果についての御報告があるとのことです。
 調査結果の報告の後、令和4年度の調査方針について議論していきたいと思います。
 まず、資料1-1について、事務局から説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 御報告に先立ちまして、まず、事務局から今年度の調査方針について簡単に説明いたします。
 本日は、資料として御準備いただいておりますとおり、参考資料4になりますが、昨年6月の第4回監視委員会で取りまとめていただいておりまして、欧米の薬事制度に関する調査と、個別医薬品に関する調査の2部構成で調査を行うことといたしております。
 欧米の薬事制度に関しましては、今年度は、3の(1)に書いてあります市販後安全対策に関係する3つの項目の調査を行っております。
 それでは、資料1-1になりますが、調査を担当いただきました国立医薬品食品衛生研究所から調査報告をさせていただきます。
 なお、19ページ以降の2の個別医薬品の調査につきましては、次の議題の定期報告と併せて別途御説明させていただきます。
 それでは、よろしくお願いします。
○国立医薬品食品衛生研究所 今年度の海外調査を実施いたしました国立医薬品食品衛生研究所の医薬安全科学部でございます。
 今日はこのような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
 本日出席しております斎藤と青木から御説明申し上げます。
 2ページ目を御覧ください。
 欧米の市販後安全対策を中心とした薬事制度に関する調査でございます。
 委託に対します内容でございますが、下のスライドの記載にございますとおり、FDAとEMAの以下の情報についてということで、まずは「ア 市販後における医薬品の副作用情報収集および評価のシステム(日米欧における副作用情報の報告対象範囲の比較を含む)」でございます。
 2番目は「イ 市販後安全対策に関連する安全性の評価および措置の検討を行う会議体(具体的な議題内容の最近の例を含む)」でございます。
 その上でございますが「ウ 医薬品リスク管理計画(RMP)およびそれに準ずる制度(日米欧における制度の比較を含む)」でございました。
 それに従いまして、御説明を申し上げます。
 まず「市販後における医薬品の副作用情報収集および評価のシステム」でございます。
 まず、EUでございますが、EUは、企業に医薬品の安全対策の実施責任がございまして、EUはそれを管理監督する関係となっております。
 御覧いただいております3ページ目の下のスライドでございますが、2012年にEUで新たに成立いたしました法律で、医薬品安全性監視法がございます。
 この法律で、新たな科学委員会でございます医薬品安全性監視・リスク評価委員会(PRAC)が設立されました。
 また、この法律では、欧州での医薬品の安全性や有効性モニタリングに関与する全関係者の役割と責任を明確化して、協調を強めることにより、EUの意思決定を強化・迅速化するということ。
 また、患者及び医療従事者が規制プロセスに参画すること。
 医薬品に関する主要な情報の収集を強化すること。
 さらに、透明性及び情報伝達を向上させることが規定されております。
 この規定によりまして、PRACの議事予定及び議事録が公開されておりまして、EUに関しましては、私どもも調査がやりやすかったことがございます。
 4ページ目でございます。
 「EUの医薬品安全性監視システム」の流れを示しております。
 「リスク最小化活動の策定」「副作用収集」「シグナル検出」「エビデンス評価」「規制措置」その規制「措置の伝達」、そして「規制措置の有効性を測定」して「査察・監査・改善」につなげるということでございまして、この流れは、日米欧3極で同様でございます。
 一方で、担当する部局が少し異なりまして、EUの場合はEMAのPRAC、各国の規制当局などが担当いたします。
 「シグナル検出」の段階は、アメリカの場合は、FDAが担当いたします。
 そして、青の背景でお示ししましたとおり、各段階に応じてそれぞれ指針が公表されておりまして、4ページ目の下でございます。
 各国のGood Vigilance Practiceの各モジュールで、主なものを示しております。
 続きまして、EUの制度でございます照会(Referral)について御説明申し上げます。
 EUの加盟国などの要請によりまして、安全性が懸念される医薬品に関しては、PRACがレビューを開始いたしますが、要請できるのはEU加盟国、欧州委員会、製薬企業でございます。
 PRACが要請を受けますと、5ページ目の下にございますプロセスでシグナル管理、評価などがなされます。
 「検出」「検証」「確定」「解析および優先順位付け」「評価」がなされまして、それらの担当機関が記載されてございます。
 EUでは、規制当局及びMAHと書いております製造販売業者がいずれも担当いたします。そちらはシグナルの「検出」と「検証」の段階でございます。
 また、PRACには、各案件に関しまして、PRACの担当者(rapporteur)もしくは主導的な加盟国がシグナルの「確定」を行います。
 さらに、シグナルの「解析および優先順位付け」「評価」はPRACが担当いたします。
 上のスライドに戻っていただきまして、評価が出ますと、PRACによる勧告が行われます。
 ヨーロッパの場合は、中央審査方式、すなわちEMAが承認した医薬品に関しましては、欧州のEMAのヒト用医薬品委員会(CHMP)に勧告がなされます。
 一方で、各国レベルの承認薬、例えばフランスとかドイツなど、各国での承認薬に関しましては、EMAの委員会の一つでございます相互認証方式及び分散審査方式の調整グループ(CMDh)に勧告がなされます。
 さらにCHMPによる最終決定は、EC(欧州委員会)により最終決定されております。
 6ページ目を御覧いただければと思います。
 米国のFDAの制度でございます。
 アメリカに関しましては、FDA自らが安全対策を実施する主体でございまして、FDAが収集したデータで不十分な場合は、企業に安全性監視などが課されます。
 6ページ上の2007年のFDA改革法の内容でございますが、これによりまして、市販後医薬品の安全性・有効性を確保するための規制権限が強化され、また、リスク評価・リスク緩和戦略、いわゆるREMSの作成が企業に要求可能となりました。
 また、市販後臨床試験/研究、あとで言いますPostmarketing Requirements(PMR)と言われるもの、また、添付文書の改訂を製造業者に要求可能となりました。
 また、リスクコミュニケーションを強化も図られまして、MedWatchと言われる医薬品安全性情報のポータルサイトが開設されております。こちらは基本的に医薬関係者、患者から安全性報告を受けるサイトでございます。
 6ページの下のスライドでございますが「米国の医薬品安全性監視システム」でございます。
 担当する医薬品の種類に応じまして医薬品評価研究センター(CDER)、生物製品評価研究センター(CBER)に分かれておりますが、このスライドはCDERの場合を示しております。
 CDERで「安全性情報の収集・分析・評価」を担当いたしますのは、監視・疫学部でございまして、こちらでリスク管理計画の作成指導や、データベース等を利用した疫学分析、データマイニングなどがなされております。
 そして、添付文書の改訂が必要となりますと、新薬審査部に伝達されまして、添付文書の改訂が行われます。
 7ページ目でございます。
 上下に3つの指針が記載されております。
 上の2つが「Guidance for Industry」企業向けの指針でございまして、一番下がFDAにおける実施手順に関するFDA職員向けの指針でございます。
 上の指針は「ワクチンを含む医薬品・バイオ医薬品の市販後安全性確保について」でございまして、市販後安全性報告の「報告義務者」「報告事項」タイプ、また「特殊な状況での報告」といたしまして、科学文献や市販後の臨床試験/調査研究などの報告について、それぞれ書いております。
 2番目は「医薬品安全性監視と薬剤疫学的評価の方法」という指針でございまして、主に薬剤疫学的な研究などの方法が記載されております。
 3番目は「FDAにおける市販後安全性監視方法」でございまして、FDAの内部で「安全性シグナルの特定」や「シグナルの評価と記録」さらには「規制措置」としてどのような方法が取り得るかについて記載されております。
 8ページ目の上のスライドでございます。
 こちらは過去の制度でございまして、2007年以降に承認された新薬、生物製剤に関しまして、市販直後の安全性問題の検出を目的に使われた制度です。新たな重篤な有害事象や安全性の懸念に関しまして、医薬品の承認後18か月または使用者が1万人に達した時点のいずれか遅いほうで実施するとされておりました。
 しかしながら、2017年9月で終了しております。他の監視活動と重複する、また、オーファンドラッグなどの多くは、評価開始の基準である使用者1万人という条件を満たせずに、柔軟性に欠けることから廃止されたものでございます。
 ここで、14ページの別添の資料を御覧いただければと思います。
 別添の「市販後における医薬品の副作用情報収集及び評価のシステム」ですが、時間の関係で、日米欧で異なっている内容について詳しく御説明申し上げます。
 1番目の「市販後の副作用報告」でございますが「報告フォーマット」は、一律にICH E2Bのフォーマットで「報告対象医薬品」も3極でそれほど差はございません。
 一方で「報告対象副作用」に関しましては、欧州と日本では医薬品と有害事象の間に合理的な因果関係、もしくは因果関係が否定できない症例が対象となっております。
 また、日本は「重篤な症例」となっております。
 一方で、アメリカの場合は「未知・重篤の有害事象」となっております。
 「報告期限」でございますが、アメリカは「未知・重篤の有害事象」は15日以内、それ以外の既知・重篤及び非重篤の有害事象に関しましては、定期安全性報告として提出することになっております。
 欧州は、重篤な疑わしい副作用の場合は15日以内、非重篤な疑わしい副作用の場合は90日以内となっております。
 日本の場合は、未知の重篤な副作用に加えて、承認後2年以内の医薬品の既知・重篤の副作用は15日以内、承認後2年以上の部分に関しましては30日以内となっております。
 「症例に関する重複報告の扱い」「有効な症例報告の条件」につきましては、それほど差はございません。
 15ページでございますが「市販後の安全性定期報告」でございます。
 アメリカの場合は、定期的有害事象報告(PADER)として報告することになっておりまして、承認3年以内は四半期ごとで、それ以降は1年ごととなっております。
 また、定期的ベネフィット・リスク評価報告、ICH E2Bに規定されましたPBRERと呼ばれるものですが、この様式に置き換えての報告も可能でございます。
 一方、欧州と日本は、PBRERの様式で作成することとなっておりますが、欧州につきましては、定期的安全性最新報告(PSUR)という名前になっております。報告頻度は、日本、欧州のいずれも承認から2年間は半年、それ以後は1年ごととなっております。
 2)、副作用の報告データベースでございます。
 「データベースの名称」は、アメリカはFAERS、欧州はEudraVigilance、日本はJADERという名前になっております。
 「収載されている副作用情報源」は、それほど差はございません。
 「個別症例データセットの公開」でございますが、日本とアメリカは、所属機関による制限はなく、アクセス・ダウンロードが可能でございまして、更新頻度は、アメリカが四半期ごと、日本は毎月となっております。
 欧州の場合は、アクセス可能なレベルが製薬企業、規制当局などによって異なっております。
 したがいまして、日本は非常にオープンな制度になっていると考えております。
 「ラインリストまたは集計データの公開」も、差はございませんでした。
 3番目の「副作用情報からの安全性シグナルの検出・評価プロセス」でございますが、まず「副作用の評価担当部門/委員会」の記載でございます。
 アメリカの場合は、CDERの監視・疫学部とCBERの生物統計・疫学部でございまして、欧州の場合は先ほど出てきましたPRAC、日本の場合はPMDAの医薬品安全対策第一部・第二部が担当しております。
 16ページでございますが「シグナル検出」、「検証」、「評価」、「規制措置の実施」、「特定された安全性シグナルの公表」について、おまとめしております。
 「シグナル検出」は、安全性シグナルを探索・同定することでございますが、それぞれのデータベースを使ってシグナル検出することは、差はございません。
 日本の場合は、死亡・未知重篤なもの等、15日報告に相当する場合は、原則として翌執務日中に因果関係等の評価を行うということで、日本が非常に手厚い制度になっていると考えております。
 「シグナル検証」は、検出したシグナルを裏づけるデータを評価するプロセスでございますが、こちらも多少の違いはあれ、差はないと考えております。
 欧州の場合は、PRACが検証シグナルの受け取り後30日以内にシグナル確認を実施するとなっています。
 一方で、日本の場合は、原則週1回、スクリーニングされたシグナルについて、関連情報を踏まえて分析するとのことで、こちらも日本が非常に手厚い制度となっていると考えております。
 「シグナル評価」は、全てのデータを評価し、規制措置の必要性を決定するものでございますが、3極に差はございません。
 「規制措置の実施」でございますが、いずれも規制当局が判断して行うことになっております。
 日本の場合は、専門協議などで専門家の意見を聞く機会がございます。
 アメリカの場合は、CDER各部から重要な新規の安全性事案が出された場合、医薬品安全性監視委員会(DSB)が、その取り扱いと周知方法について議論し、医薬品評価研究センター長に助言がなされます。
 また、特定されたシグナルの公表でございますが、アメリカの場合は四半期ごとに1度、特定したシグナルが公開されております。
 欧州の場合は、PRACで討議した結果、勧告の概要がウェブ上で公開されております。
 日本の場合は、適宜、評価中のシグナルがウェブ上で公開されております。
 別添は以上でございまして、すみませんが、9ページ目にお戻りいただければと存じます。
 次に「市販後安全対策に関連する安全性の評価及び措置の検討を行う会議体」について御説明申し上げます。
 9ページ目の下から御覧いただければと存じます。
 欧州のPRAC(医薬品安全性監視・リスク評価委員会)でございます。
 PRACの責務といたしましては、有害反応のリスクの検出、評価、最小化及び情報伝達、市販後安全性研究のデザイン及び評価、安全性監視の査察を担当いたします。
 また、安全性監視活動に関わる問題、リスク管理システムに関する勧告を行うことがあります。
 そして、その流れでございますが、上のスライドで、先ほど少し申し上げましたとおり、PRACから中央承認薬、EMAが承認した医薬品につきましてはCHMPに、各国承認薬につきましてはCMDhに勧告がなされて、最終的にEU全体で拘束力のある決定を行う場合は、欧州委員会(EC)が決定を行います。
 10ページ目でございます。
 PRACの議事内容の最近の例を5つほど挙げさせていただいております。
 例えばJAK阻害薬トファシチニブの安全性レビューにつきましては、心臓リスクのある患者ではがん、血栓等のリスクが高かったということでございました。
 次に、アメリカの担当部局につきまして御説明申し上げます。
 FDAの中に、CDER、CBERとして、医療機器につきましてはCDRHが担当いたします。
 そのセンター部分に医薬品の安全性監視を担当している部局がございます。
 ここでCDERとCBERの担当する医薬品につきまして御説明申し上げます。
 CDERでございますが、従来より化学医薬品を担当しておりましたが、2022年3月7日までに、もともとCBERが担当しておりました治療用タンパク質医薬品も、CDERに担当が移管されております。
 また、CBERでございますが、ワクチン、血液製剤、日本の再生医療等製品に該当する細胞加工製品や遺伝子治療用製品、アレルゲンエキスなどを担当しております。
 CDRHは、医療機器でございます。
 11ページ目で、CDERの監視・疫学部でございますが「ファーマコビジランス」「薬剤疫学」「リスクマネジメント」などを担当しており、シグナルの検出や評価などを行っております。
 最近の評価例といたしましては、JAK阻害薬の枠組み警告の要求ということで、トファシチニブに加えて、同クラスのバリシチニブやウパダシチニブに関しましても、そういった警告の追加を要求しております。
 その他に3つほど挙げさせていただいております。
 12ページ目で、FDAには医薬品安全性監視委員会(Drug Safety Oversight Board)がございます。
 2007年のFDA改革法で法的に位置づけられたもので、構成は、FDAの各センターの部局と、CDCなどの7つの連邦政府機関の代表者が入っております。
 CDER各組織または担当者からの要望で事案が決定いたしまして、例えば新規リスク、安全性懸念の事案とか、医薬品の安全性に関する一般方針などが委員会で話し合われて、CDERのセンター長に助言されるという流れとなっております。
 最後に、医薬品リスク管理計画(RMP)につきまして、スライド13に日本の制度の概要を記載させていただきました。
 欧米との制度の違いにつきましては、別添のウで説明させていただきますが、内容を申し上げますと、欧州につきましては、比較的日本と類似しております。全医薬品が対象です。
 アメリカの場合は、FDAが必要と判断した場合に、安全性監視活動はPMR(市販後義務事項)もしくはPMC(市販後コミットメント調査)、リスク最小化はREMSとして作成されております。
 続きまして、17ページを御覧いただければと思います。
 まず、制度の名前でございますが、アメリカはREMS、欧州と日本がRMP(医薬品リスク管理計画)でございます。
 「対象品目」でございますが、先ほど申し上げましたとおり、欧州と日本は新医薬品、バイオ医薬品、後発医薬品など、ほぼ全てでございまして、一方でアメリカは、新医薬品及び既承認医薬品のうち、FDAが必要と判断したもの、安全性の懸念があるものとなっております。
 「作成者」は、いずれも製薬企業でございます。
 また、先ほど申し上げましたとおり、アメリカの場合は、安全性監視に関しましては、PMRやPMCといった制度がございまして、REMSには記載がございません。
 一方で、欧州と日本に関しましては、安全性検討事項、安全性監視計画、承認後有効性研究の計画、リスク最小化計画という内容で、それほど差はございません。
 一方で、欧州の場合は、こちらにございますとおり、疫学データとか非臨床データ、臨床試験における暴露、臨床試験で研究されていない集団などに関しましても、RMPに記載することとなっております。
 「安全性監視計画」でございますが、日本と欧州では、通常の医薬品安全性監視活動と追加の医薬品安全性監視活動ということで、差はございません。
 「承認後有効性試験」につきましても、実質的な差はないと考えております。
 18ページ目でございます。
 「リスク最小化計画」でございますが、日本と欧州に関しましては「通常のリスク最小化活動」で添付文書の改訂とか患者向けの医薬品ガイドの作成、また「追加のリスク最小化活動」として、教育プログラムやアクセス制御プログラムなどがございまして、こちらも欧州と日本でそれほど大きな差はないと考えております。
 アメリカにつきましても、実質的に差はないと考えておりますが「REMS計画の効果に関する評価」が、4点目としてこちらに記載がございます。
 「評価方法」でございますが、欧州とアメリカの場合は「プロセス評価」と「アウトカム評価」となっておりまして「プロセス評価」は、例えば患者向けの医薬品ガイドなどが作成された場合、それが実際にどれぐらい患者に行き渡っているかどうかを評価する制度であり、「アウトカム評価」は、実際にその制度によって、どれぐらい副作用の発生頻度が低下したかなどを評価する制度でございます。
 日本の場合は、医薬品、副作用の特性に応じて、ケース・バイ・ケースでやることになっております。
 PMDAのMIHARIプロジェクトやMID-NETなどを活用して、評価されていると考えております。
 見直しの時期でございますが、アメリカの場合は、承認から少なくとも1.5年、3年、7年後に評価した結果により、変更・削除することとなっております。
 欧州の場合は、初回承認から5年後、さらに、最初の定期的安全性最新報告を提出するときで、大体8~9年後でございます。
 日本の場合は、再審査申請時、さらには計画に明記された各活動の節目の時期となっておりまして、3極で多少違いがございます。
 長くなってしまいましたが、以上、委託いただきました対応につきまして、御報告させていただきました。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 大変詳細な調査結果を御報告いただきました。
 御質問、御意見があれば、手を挙げてしゃべり始めてください。
 まず、森豊先生からどうぞ。
○森豊委員 詳細にありがとうございました。
 事前にも質問しているのですが、資料番号では、10ページ目の上に「EMA PRACの議事内容の最近の例」、それから、11ページ目の下に「監視・疫学部の最近の評価の例」があがっていますが、具体的な指摘とかがなされた後、どのように展開して、どのように反映されたかとか、そういう情報まで追えるのでしょうか。
 このスライドの例に限らず、他のことも含めて、指摘として挙がったことがどのように反映されるのかということについて、その活用のされ方を慮っての質問です。
○国立医薬品食品衛生研究所 御質問賜りまして、ありがとうございます。
 EMAに関しましては、詳しい議事録が公開されておりますので、どのような議論がなされて、どのような勧告がなされたかに関しましては、調査可能でございます。
 詳しい調査内容につきましては、今回、手元に資料がありませんので、もしよろしければ、宿題とさせていただければと考えております。
○森豊委員 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、花井さん、お願いします。
○花井委員 大変重要な調査をありがとうございます。
 制度的には、3極で一定程度整合しているとは思っていて、興味の中心は実践的運用に関わるところで、今日のお話の中でも、その辺についての質問は山ほどあるのですが、時間の都合上、こういうことは、調査チームとこの委員会で別途一回テーブルを持って、次の調査の戦略も含めてディスカッションする場を設けていただけたらと。そこで実際の情報はどうなのかとか、細かいところをお話ししたいと思います。
 それから、質問ですが、日本の場合ですと、使う場合、例えば医薬品に添付文書適応外使用とかいろいろとあったとしても、多分、一応保険療養で間接統制しているのです。
 例えばオフラベルだったら保険償還しないとか、そういったことがあって、もしくは、もっと強い統制としては、いわゆる医療課長通知のような形で、保険療養における間接統制はあると思うのです。
 ただ、実際問題として、添付文書あるいはそういう情報があったときに、現場でそれの遵守はどういう制度によってやっているかが分からないと、単純に薬事統制だけの比較では分からないところがあるので、今後の課題かと思いますが、分かれば今日教えてほしいのですが、医師、薬剤師に対する規制と薬事規制の接点はどうなっているのかというのが一つのテーマかなと。
 もう一つは、患者参画ということで、EUがかなり進んでいると承知していて、PRACにも患者が参画していると聞いているのですが、実際問題として、どのように具体的に参画しているかは、実態として分からないところがあります。
 もちろん、EUに関しては、もっと下流のHTAとか最初のGCPから結構参画していると聞いているのですが、患者の参画の度合いを今分かる範囲で教えてほしい。
 特にPRACに参加しているのは、かなり日本と違うなと僕は認識しているのですが、実際問題として、どのような感じかというのは知らなくて、それがもし分かれば教えてほしいという以上3点です。1つ目は要望で、2点が質問かと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 1点目はまた後で、2点目、3点目の薬事統制と患者参画の実際の内容を教えていただけますか。
○国立医薬品食品衛生研究所 御指摘いただきましてありがとうございます。
 統制につきましては、調査をしておりませんでしたので、また今後の課題とさせていただければと存じます。
 また、患者参画につきましても、PRACの議事録に、患者の要請によりということで記載がございますので、調査することは可能でございますが、今回、具体的にそこまで深掘りして調査しておりませんでしたので、これも今後の課題とさせていただければと考えております。
○花井委員 ありがとうございます。
 ぜひ今後の課題としていただけたらと思います。
○国立医薬品食品衛生研究所 ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 1点目の件については、何かそういう機会を設けたいと。何らかの形でやりたいと思っています。
 では、泉さん、どうぞ。その後に戸部さんで。
○泉委員 ありがとうございます。
 3つ質問があります。
 まず、7枚目の下段に、アメリカの製造販売後の安全性監視指針とありますが、2005年のところに「医薬品安全性監視と薬剤疫学的評価の方法」という形で書かれているのですが、日本におけるPMDAは、どこの部門でこれをやっているのか、やっていないのか。これが1点です。
 2点目は9ページで、今の花井さんの質問とかぶるのですが、PRACには患者団体と医療従事者が、専門家と同じようにリスク評価委員会に参画していると聞いています。どういう形で参画しているのか、どういう立場で意見を言っているのかが分かったら、教えてください。
 特に欧州の場合は、大変な副作用がたくさん出て、こういう形で力を入れていると聞いているので、そこのところの一般市民、使う側がどういう形で一緒に審議しているかを知らせてください。
 3つ目は11ページ目で、監視・疫学部はアメリカですね。
 CDERは、かなりの人数が働いていると言われていますが、実際にどのぐらいの人数が働いていて、それに比べて日本のPMDAにおいては、どういう形で、人数もどのぐらいでやっているのかを教えてください。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 実際に運用のところで非常に気になるところです。
 今、お答えいただけることはありますか。
○国立医薬品食品衛生研究所 PMDAに関しましては、MID-NETを担当しております部局が、疫学的な御検討をされていると伺っているのですが、今すぐに答えられず申し訳ございません。
○泉委員 そうですね。時間もないことなので。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 事務局から失礼いたします。
 先の話になりますが、資料1-2で、患者さんがどのぐらい参画しているのか、そういった面につきましては、来年度もまた調査することにしておりまして、そういった中で、できる部分についてはやっていく形になろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○泉委員 分かりました。
○磯部委員長 戸部さん、どうぞ。
○戸部委員 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。
 私は、17ページの別添の資料に関して、教えていただきたいことがございます。
 一番下の行なのですが、本論とは外れてしまうかもしれないのですが「承認後有効性試験」について、米国は(該当なし)なのですが、確かに安全性に着目すると、ここはそんなに重要でもないのかもしれませんが、安全性と有効性のバランスを考えたときに、米国の有効性の試験は(該当なし)とありますが、何かこれに代わる制度はあるのでしょうか。
○国立医薬品食品衛生研究所 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 今回の17ページの表は、アメリカのREMSに関しましてそのような内容が記載されていることを記したものでございます。
 また、戸部先生が御指摘のとおり「承認後有効性試験」に関しましては、先ほど少し申し上げましたPostmarketing Requirements(PMR)という制度がございます。こちらも有効性の試験を課すことが可能となっておりますので、米国ではこちらで対応しております。
 以上でございます。
○戸部委員 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今、手を挙げている方はいらっしゃらないのですね。
 ありがとうございます。
 私もいろいろとあるのですが、時間もあれなので、令和3年度の調査に関する質疑応答は一旦ここまでにして、その後の令和4年度の海外調査方針は、前回の委員会で花井先生から提案された内容を含めて、事務局のほうでたたき台を準備していただいておりますので、その資料についての説明をお願いし、また後でまとめて議論することにしたいと思います。
 それでは、事務局、お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 それでは、資料1-2に基づきまして、医薬品等行政評価・監視委員会が行います令和4年度の海外調査の方針について、たたき台を御説明させていただきます。
 まず、2のマル1にありますが「基本的な考え方」といたしましては、本年度の調査方針を踏襲したものといたしております。
 「1 目的」にありますとおり、調査の目的は、医薬品等行政評価・監視委員会の議論に活用するためということにしておりまして、これは変わるものではないと考えております。
 「2 調査テーマ」ですが、引き続き「(1)欧米の薬事制度」と「(2)個別医薬品の欧米での承認状況等」の2本立てとさせていただいております。
 まず「(1)欧米の薬事制度」につきましては、先ほど御議論いただきました、資料1-1の前半部分を成果物としてイメージしていただけると分かりやすいと思いますが「基本的な考え方」にありますとおり、インターネット上の情報等を調査して、この評価・監視委員会に御報告するものとなっております。
 マル2の「令和4年度の調査内容」を御覧ください。
 来年度の調査内容といたしまして、これまでの評価・監査委員会の御議論の状況を受けまして、大きく3つを挙げております。
 1つ目は「医薬品の品質管理・製造管理に関連する製造所への調査の状況」となっています。
 こちらは、前回第6回の評価・監視委員会で後発医薬品の品質管理・製造管理について御議論いただいた際に、花井委員から御提案があった内容になっています。
 製造所への査察の状況について、欧米の実態をインターネット上の情報を基に整理していくものと考えております。
 2つ目といたしまして「行政機関における医薬品の安全性確保の施策の実施状況を評価・監視する体制」と記載しております。
 こちらは、今回の参考資料4で、昨年6月の評価・監視委員会で取りまとめられました今年度の調査の中で、今年度に追加して調査をするか、来年度、令和4年度の調査対象とすることを想定していたものですので、来年度の調査内容としてここに挙げております。
 医薬品等行政評価・監視委員会と同様の体制が欧米に存在するのか調査して、ある場合は、その内容をまとめることになります。
 3つ目につきましては、先ほど先生方から御議論いただきましたが、その内容に重なるところがあるかと思います。
 「医薬品の安全性確保に関する患者・消費者の参画状況」と題しております。
 こちらも、今年度の調査方針の中で、本年度に追加して調査するか、来年度の調査対策とすることについて、内容を整理して、項目として考えております。
 医薬品のユーザーという考え方でいきますと、患者に加えて、消費者の方も併せて調査することは効率的と思いますので、その部分については、若干追加させていただいております。
 また、具体的な調査内容につきましては、括弧書きの部分になりますが、患者さん等からの副作用報告について、また、安全性関係で患者等が参画している会議体について調査することを想定しております。
 調査結果につきましては、まとまり次第、評価・監視委員会に御報告させていただく予定です。
 2の「(2)個別医薬品の欧米での承認状況等」に参ります。
 こちらの成果物のイメージといたしましては、直近2回の評価・監視委員会で報告させていただいておりますが、今回の資料では、次に御報告いたします資料1-1後半の19ページ以降でお示ししているものになります。
 1ページ最後から2ページにかけてのマル2を御覧いただきたいのですが、調査対象につきましては、a~dの先駆け審査指定制度、条件付早期承認制度、欧米未承認、特例承認のいずれかに該当する品目といたしまして、「調査内容」の欄にありますような「承認の有無」「安全性に関する情報」を整理するとなっております。
 「調査対象品目」につきましては、来年度については、今年度の調査品目に新たに承認された品目を上乗せして、本年度と同様に、毎回の評価・監視委員会で情報を更新した上で御報告することを予定しております。
 「3 調査の実施体制」になりますが、今年度に引き続きまして、国立医薬品食品衛生研究所の御協力をお願いすることを考えておりますが、民間調査研究機関への委託を含めて検討して、実施することを考えております。
 来年度の海外調査の実施方針の御説明につきましては、以上となります。
 よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。御質問、御意見があれば、お願いします。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 これは確定ではなくて、またディスカッションをして変えるという趣旨なのですか。
 今発言できるところで言っておけば、薬機法改正のときに大きく議論になった情報提供問題で、MRとMSLで機能分化しているようでもあり、同じようなものでもあると。
 そこは薬機法上の規制が難しいということで、かなりディスカッションがあったものの、いまだに法的な措置はしていないのですが、諸外国はどうか、リエゾンとMRの違いとかその活動の実態ということです。
 それから、先ほど申し上げた国の医制について全部調べろということは、ここの所掌と違うと思うのですが、薬機統制と接点が関係ある部分についてはやっておかないと。
 イギリスはNICEなどが保険療養においてかなり役割を果たしているし、アメリカは、オフラベルでも、売っているものは使ってしまおうみたいなところも割とあるし、保険者によって償還する、しないは、民間なので一律ではないとか、事実上、利用現場を見て、薬事上の規制のあり方が定まる部分もあると思うので、関連するところは調べてほしいと思いました。
 以上、2点です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 泉さん、お願いします。
○泉委員 今の資料1-2の1枚目の2の「マル2 令和4年度の調査内容」の下の「FDA及びEMAの以下の事項について調査する」の下のi)ですが、括弧で薬事承認後の法令遵守を確保する観点から確認すると書いてあるので、日本においては、ここは行動規範の違反が大分続きました。
 他国はここをどのようにやっているのかということをぜひ知りたいので、ここはしっかりと報告していただきたいことが1点です。
 もう一点は、(2)ですが、承認状況等のところで、FDAは査察の結果を全て公開しているそうなのですが、日本はそういう査察の結果まで全て公表しているのかどうか分からないので、それを教えてもらいたいことと、アメリカは、臨床試験の治験実施の施設に関する情報も公開しているということなのですが、日本は同様にする考えはあるか、ないか、この2点を教えてください。
 今日は時間がないですから、宿題でよろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 お答えいただくのは、またということでいいですね。
 あと、ほかに御意見は。
 ありがとうございます。
 恐らく、制度についての議論をしっかりと深めたいという意味では、薬事制度に関する海外調査は非常に重要で、何をどういう順番でやっていただくか、ぜひ議論、相談しながらやっていきたいと思うのです。
 一度、次回の前までに、私たちで何か勉強会をしましょうか。
○花井委員 お願いします。
○磯部委員長 可能ならば調査をご担当くださった国立医薬品食品衛生研究所にも入っていただいて、少し議論して、せっかくですから非常に詳細で興味深い調査結果を生かしたいというのもありますので、それは私たちのほうで内輪でやりましょう。お誘いします。
 ただ定期報告とかに関わる話は、6月の委員会に関わるので、早めに決めたいところは決めたいということになります。
 ですので、今の令和4年度の調査内容は、一応、大筋では御了解いただいたことにして、さらに付け加えるものがあれば、限られた予算の中で、最後にどうするという調整はあるかもしれませんが、基本的には令和3年度の成果も考えながら、幾つかのテーマは令和4年度に付け加えてやっていくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○磯部委員長 それでは、改めてどのように記載していくかといったことを検討したり、また整理して、皆さんに御確認いただくというプロセスを取りたいと思いますということでよろしいですか。
 ありがとうございました。
 では、次の議題に進みたいと思います。
 資料2の定期報告です。
 資料1-1の海外調査の個別品目の調査と併せて、事務局から御説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 それでは、事務局から資料2の定期報告、資料1の海外調査の後半部分について、併せて御説明いたします。
 まず、資料2の「医薬・生活衛生局」からの定期報告を御覧ください。
 表紙にありますとおり、今回は、書類審査関係の報告として「1 製造販売承認された医薬品の情報」に関して資料を取りまとめております。
 市販後安全対策関係として、※に記載しておりますが「国内における市販後の安全対策の措置状況」「外国での新たな措置の報告状況」の2つにつきましては、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会への報告など、対象の情報を取りまとめた上で、次回の評価・監視委員会で御報告させていただく予定です。御了承くださいますよう、お願い申し上げます。
 なお、市販後安全対策の関係では、緊急安全性情報とか安全性速報、あるいはいわゆるイエローレター、ブルーレターといったものは、緊急に安全対策を取るべき必要がある場合に配布されますが、昨年12月の会議にあたって取りまとめた際からこの会議が開催されるまでの期間に発出はありませんので、併せて御報告いたします。
 2ページ「1 製造販売承認された医薬品の情報」を御覧ください。
 前回となります第6回、昨年12月の会議で御報告いたしました後、新たに承認されたもののうち、3ページになりますが、※1のマル1からマル4の要件に該当するものが報告対象となります。
 今回は、承認時に海外で承認されておらず、日本で初めて承認された医薬品、それから特例承認された医薬品の計6品目をここに記載しております。
 今回は、ナンバー1のラゲブリオカプセル、ナンバー6のパキロビッドパックが、新型コロナ感染症の飲み薬として特例承認されております。
 また、残りのナンバー2~5の4品目につきましては、コロナ以外の効能効果のもので、いずれも本年1月20日に承認されたものになります。
 それぞれ承認日、効能・効果、承認条件、医薬品リスク管理計画の主なもの等を記載しておりますので、御参照いただきますと幸いです。
 資料2の御報告は、以上になります。
 続いて、資料の1-1を御用意ください。
 19ページ以降になります「個別医薬品の欧米での承認状況等」につきまして、御説明いたします。
 今回は、新たに承認された品目で、承認の際に海外でまだ承認されていないもの、それから、特例承認等の対象品目について、欧米での承認状況等を調査した結果を御報告するものになります。
 調査対象品目につきましては、19~21ページにかけて一覧表でお示ししております。
 昨年12月の第6回の会議で結果を報告した37品目のほかに、先ほど資料2の定期報告で報告いたしました6品目を加えまして、計43品目が対象となっております。
 21ページの通し番号38~43の販売名が薄い黄色に塗られておりますものが、今回から新たに調査した品目になります。
 残りは、前回からの継続調査品目になりますが、情報の更新がありました場合には、22ページ以降に個別シートがついておりますが、この情報を上書きしております。
 前回から更新があったものにつきましては、新型コロナ関係を中心に、通し番号23のコミナティ、26のスパイクバックス、27のバキスゼブリア、32のロナプリーブといった品目で情報の更新がなされております。
 定期報告関係の御説明といたしましては、以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 さて、今の御報告について、何かお気づきのこと、御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、なかったということで、次の委員会では、市販後の安全対策の措置状況等についても整理をお願いするということで、お願いします。
 それでは、進めてまいりますと、次が資料4になって、モルヌピラビルの安全性についてということです。
 厚生労働省の説明をいただく御担当部局の御予定を踏まえてという割には、随分お待たせしていて申し訳ないのですが、お待たせしました。
 資料の順番とは異なるのですが、佐藤委員から要望がございましたテーマのうち、資料4の新型コロナ治療薬のモルヌピラビルについての議論から始めたいと思います。
 それでは、医薬・生活衛生局から御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 資料4を御覧ください。
 モルヌピラビル(ラゲブリオカプセル200mg)の安全性についてというところです。
 本品ですが、MSD株式会社から承認申請された新型コロナの経口薬でございます。
 12月24日に特例承認したものでございます。
 その下に「基本的な情報」とありますが、効能・効果はSARS-CoV-2による感染症で、重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与することとしております。
 また、本剤の投与対象については、最新のガイドラインも参考にすることとしております。
 用法・用量ですが、こちらに記載のとおりでございます。
 用法・用量の関連注意としまして、感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始することとしております。
 3に「『承認時』における主な安全性確保の施策」を記載しております。
 「(1)承認条件」になります。
 主なものを要約しておりますが、一番上は、医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
 2番目ですが、本品ですが、投与が適切と判断される症例のみを対象にすることは当然なのですが、後ほどまた御説明しますが、安全性上の情報もございますので、そういったところを患者もしくは代諾者に文書をもって説明し、文書によって同意を得てから投与することという対策を取っているところでございます。
 また、本品は特例承認されておりますが、安全性とか製造時の品質のデータといったところについては一部猶予したものがございますので、そちらを6か月を猶予期間として提出していただくことにしております。
 (2)にリスク管理計画が記載されておりますが、実際のものは、資料の後ろにも付けていますし、ホームページでも公表しております。
 まず「安全性検討事項」の中段ですが「重要な潜在的リスク」として、骨髄抑制、催奇形性がございます。
 これらに対する対策を取っているわけですが、その下になりますが「医薬品安全性監視計画」で市販直後調査での情報提供とか、特定使用成績調査といったところを定めております。
 その次に「リスク最小化計画」でございますが、その内容としましては、市販直後調査による情報提供とか、先ほども申し上げたとおり、投与に際しての患者への説明と理解ということで、同意説明文書、もしくは患者ハンドブックなどを用意して御説明して、同意を得た上で投与することになります。
 また、医療従事者向けの資材なども用意していて、こちらの方に妊娠している女性、もしくは妊娠している可能性のある女性に投与する場合の注意事項などを記載しているところでございます。
 後ろのほうに、別添資料としまして、審議結果報告書とか添付文書、RMPそのものを添付しておりますので、御覧いただければと思います。
 簡単ですが、資料は以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見があれば、御発言をお願いします。
 今見えないので、佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 モルヌピラビルについては、催奇形性が報告されておりまして、私としては、添付文書で妊娠している方、あるいは妊娠している可能性がある方を禁忌とするだけで、本当に胎児への被害を防ぐことができるのかということに関しては、大変心配しております。
 アビガンに関しては、まだ承認がされない段階でも、観察研究の段階でそこについての配慮を相当した上で行われたと認識しております。
 だからこそそれに対する逸脱に関して、マスコミをにぎわすようなこともあったわけですが、アビガンの場合には、基本的に入院患者に限定することがありましたし、妊娠している方に使わないのはもちろんなのですが、使い始めたら妊娠しないことが重要な点です。
 妊娠検査が陽性になる期間は、ある程度たってからですので、サリドマイドの場合もそうだったわけですが、妊娠検査で陽性になる直前の段階でも、過敏期、危険な時期が少しあるわけで、その辺りをどうするかということが十分に検討されないまま承認されてしまったという感じが否めないのです。リスク最小化策をもう少しきちんとしたものとして、承認条件にすべきではなかったかというのが私の疑問です。
 例えば、胎児への影響に関して、文書で説明して、文書で同意を得ることになっていますが、それをやってくださいとなっているだけで、実際にそれを全ての医師がきちんとやったかどうかの確認を取るシステムに全くなっていないわけですね。
 サリドマイドの場合、あるいはその類薬であるレナリドミドなどの場合には、そこの確認をやっているわけですが、そういうことも全然やられていないので、現場任せで、医師がちゃんとやらなくても、そのまま放置されることが想定されます。
 特にこれは新型コロナウイルス感染症の治療薬ですので、しかもすぐに使い始めなければ効果がないことがありますので、どうも今の状況の中では、医療現場で十分な説明がないままに使われてしまう危険が、ほかの薬に比べると高いこともあると思うのです。
 ですから、そういうことに関して、私は非常に心配しているところで、本来、そういうことをすべきではなかったかというのが質問です。これは意見でもありますが、何か厚労省のほうでお答えいただけることがあれば、お願いできればと思います。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 催奇形性のリスク最小化方策として十分か、サリドマイド等の取扱いとの違いには合理的な根拠があるかという質問だと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長補佐 
 御指摘ありがとうございます。
 先生が御指摘のとおり、リスク管理をどのように実施するかということなのですが、まず、先ほども御説明したように、承認条件として、リスク管理計画の作成・実施と投与に当たって同意を取得することを明記した上で、リスク管理計画の中で、医療従事者もしくは患者への個別の説明の資材などを用意する等、安全性を確保するための施策を取っていただく体制を取っております。
 本件は、新型コロナの薬ということもありまして、いろいろな場面で広報ということで、本品の安全性・有効性に関する情報を発信しておりますが、その中で、催奇形性は非常に重く受け止められていると思っておりまして、そういった情報はかなり浸透しているのではないかと考えておりますが、投与の際には個別に文書で御説明することとしています。
 また、本品は、国が買い上げて流通させているものでございますが、その際には、処方に当たっての適格性のチェックなどもやっていただいているところでございます。
 こういった安全対策を取っていって、必要な患者に安全性を確保した上で薬剤を提供していくという考えでおります。
 御指摘ありがとうございました。
○磯部委員長 そのほかはいかがでしょうか。
 花井さん、戸部さんの順番でどうぞ。
○花井委員 今の佐藤委員の懸念は当然だと思うのですが、知識がなくて、参考までに聞いておきたいのですが、サレドカプセルの場合は、添付文書で妊娠または妊娠の可能性のある女性には決して投与しないことと警告欄にして、赤字ですね。
 今回の場合は赤枠ですね。
 赤枠と赤字の差なのですが、これを赤字に持っていくには、それなりの基準があるのですか。
 例えば別に今回でも、決して投与しないことと警告欄で赤字表示でもあり得たと思うのですが、赤枠にするか、赤字にするかの判断はどの辺で決まっていくのでしょうか。
○磯部委員長 そういう質問ですね。
 では、戸部さんも先にまとめて御発言ください。
○戸部委員 ありがとうございます。
 私も添付文書に関わるところの質問なのですが、今、佐藤先生、花井先生がおっしゃっていたように、添付文書に関わる情報がどう正確に伝わって、医療現場でのアクションにつながっているのかということは、御説明いただいた薬剤にかかわらず、これまでの状況も含めて、添付文書の活用実態の検証も必要であると思いました。
 そのときに、薬剤としてのアセスメント結果、要はリスクの程度と添付文書の書きぶり、あるいは活用の状況の関係性を検証することが重要と思った次第です。
 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、今の意見をお願いします。
○医薬安全対策課長補佐 医薬安全対策課でございます。
 添付文書の記載についてでございます。
 添付文書のどこを赤字にするかというのは、記載要領に書いておりまして、禁忌であれば赤枠に黒字で、警告となれば全部赤だったと思います。
 どこまでのレベルで注意喚起を行うかというのは、実際に審査の過程で非臨床も含めて判断しており、恐らくその辺りの違いではないかと思います。
○医薬品審査管理課長補佐 続きまして、戸部先生より、添付文書の情報をどうやって医療の現場に浸透させていくのかといった点を御質問いただいたと理解しておりますが、時間のない中で、添付文書そのものの内容を簡単に理解できるように、例えば今回のものですと、禁忌は非常に重要な情報ですので、最初に持ってくるとか、そういった添付文書自体を読みやすくする形で対応しています。
 それに加えて、先ほど申し上げましたが、添付文書以外に、患者向けもしくは医療従事者向けの様々な資材を用意しておりまして、詳細な情報を提供する形を取って、添付文書に書いてある内容、要するに承認内容に沿った使用方法ができるように努めているところでございます。
 簡単ですが、以上です。
○磯部委員長 今の点に関しては、戸部さん。
○戸部委員 ありがとうございます。
 今、いかに添付文書に関して注意を払って、取り組まれているかということは分かったのですが、その結果どうなのか、現場に伝わって、対応がとられているのかどうかを知ることが必要と思ったということです。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 その問題意識はよく共有できて、本当にどうなのだろうというのは考えてみたいと思いました。
 時間もあれなので、花井さん、佐藤さんの順番で。
○花井委員 ありがとうございます。
 意見としては、催奇形性は重篤で、取り返しがつかないので、妊婦には使わないこととして、警告、赤字とするのもよかったのではないかというか、催奇形性は全部警告にしたらどうかと、意見として申し上げておきます。
 先ほどから議論されている添付文書の現場の実行性ですが、今はポリファーマシーが言われる中で、先ほどのパキロビッドパックでもリトナビルというブースターが入っているのです。
 これについて、僕らHIVの患者はリトナビルというブースターは何十年もよく知っているものなので、相互作用の注意は骨の髄まで分かっているのですが、どうやらこれによって、現場、特にクリニック等で使うのは結構大変となっているようで、ポリファーマシーについて薬剤部あるいは薬剤師の関与をもっと強くしないと、忙しいお医者さんに相互作用等を全部管理させるのは、とてもではないけれども、現実問題として厳しいのです。
 なので、ここでの意見で、薬事行政だけではないのですが、医薬品を安全に使うための薬剤師の人的投入をもうちょっと図るように保険制度なのか、何の制度なのかは分かりませんが、強く要望しておきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 サリドマイドの場合は、多発性骨髄腫などに使われるということで、基本的には認定を受けた専門医が使うということで、使える医師自体も限定された中で使われるわけですが、モルヌピラビルについては、医師であれば誰でも処方ができるということですね。
 その中で、単に患者さん向けの説明文書を使って説明してくださいというだけで、本当に全ての医師がそれをちゃんとやってくれるのかということに私は重大な疑問を持っているということです。
 医薬品のリスク管理の考え方は、医療従事者にそうやってくださいねとお願いすれば、性善説できちんとやってくれるということでは被害は防げないという過去の教訓があるからこそ、医薬品リスク管理計画の考え方が出てきたわけで、医療現場で説明すべきことがきちんと説明され、文書による説明が行われ、文書による同意が得られたかを確認する仕組みがないと、極めて危険だということです。その仕組みをつくるべきであると、意見として申し上げておきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何かコメントがあれば。よろしいですか。
○医薬・生活衛生局医薬安全対策課長補佐 安全対策課でございます。
 御指摘は非常によく分かります。
 我々としても、情報提供を行う際に、現場で生かすことが重要ですので、できる限り生かしていただけるように、工夫して資材も準備していますし、企業にも情報提供をお願いしている状況でございます。
 ただ、実際に現場がどれだけ理解しているかという点になりますと、どういった形で調査・把握すればよいのか、難しいところもございますので、これまでもいろいろと悩んできているところでございますが、引き続き検討したいと思います。
 どうもありがとうございます。
○佐藤委員 そういうこと言っているのではないのです。
 サリドマイドの場合は、それを使う医師は、全員が登録していないといけないのです。
 かつ、患者さんも、個人情報に配慮しつつも、いつ、どの患者さんにどれだけ使ったかということを全部登録した上で、患者さんにやるべきことを説明し、同意を得たかという記録を全部残して、それを後で確認できるようにしておくという仕組みがつくられているわけです。
 そういう仕組みをつくらないまま、野放しにこの薬を使わせていいのかということを言っているので、全然お答えになっていないと思うのです。
 ちゃんとやっているか、後で何らか調査すればいいとか、そんな生易しいもので胎児への被害が防げると思っているとしたら、サリドマイド事件の教訓を何だと思っているのかということになると思うのですが、いかがでしょうか。
○磯部委員長 お願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 
 御指摘ありがとうございます。
 現状、どのような対策を取っているか、少し御説明させていただければと思っております。
 佐藤先生がおっしゃるように、サレドだとか幾つかの薬剤については、流通も含めたかなり厳しい管理を行っているのが現状でございます。
 一方で、動物試験の段階において、催奇形性を疑わせる結果が出る薬剤は幾つかございまして、それぞれの薬剤の特性とか動物試験の結果などを踏まえまして対応してきています。
 確かに一番厳しいのは、流通まで管理するところになるわけですが、本剤に限らず、それ以外のものに関しても、禁忌もしくは警告といった形で医療現場に情報をフィードバックして、そのような特性の薬剤であるとお伝えしているといったことをこれまでも行ってきております。
本剤については、ラットの動物試験において、催奇形性を疑わせる結果が出ています。審査報告書もございますので、後で御覧いただければと思っておりますが、一方、ウサギでは催奇形性がなかったといった結果も出ています。
 薬剤によっては、いろいろな動物種で催奇形性が出るものもあり、また、動物で催奇形性が生じた場合の薬剤の濃度と、実際に臨床で使う場合の濃度の間にどの程度安全域があるかといったところも様々でございますので、それらを鑑みて対策を取っているのが現状でございます。
 現時点でそのような対応を取っておりまして、最も厳しいのは流通管理になりますし、物によっては警告とか現場への情報提供、もしくは患者さんから同意を得る等の対応があります。
 今回の場合は、患者さんに文書で説明して、その上で同意を得て使用する形になりますが、それぞれ安全対策を講じているという現状になります。
 簡単ですが、説明は以上です。
○佐藤委員 お言葉ですが、私も審査報告書を読んでいますが、今回のラットでの催奇形性に関しては、使用量の数倍程度の量で催奇形性が現れているわけですね。ですから、安全域は、今の使用量でほぼ存在していないのです。
 10倍では不十分で、通常の使用量の100倍程度を使って催奇形性が出たというのなら、あまり人には起きないかもしれないということは成り立つのですが、数倍で出ているということは、当然人にも起こり得るという前提で考えなくてはいけないことですね。
 そこの点はいかがですか。
○磯部委員長 手短に、今お答えがあったところを。
○医薬品審査管理課長補佐 
 安全域がどの程度あるのかということなのですが、本品については、審査報告書にあるとおり、3倍とか8倍といった数字が出ております。それ以下である薬剤もございまして、薬によって様々な状況にあります。
 どの程度安全域があるかといったことのほか、服薬の期間とか薬剤の特性などに応じて、安全域の数字だけで物事を決めるのではなくて、使われ方なども踏まえて対応を考えるという状況でございます。
 安全域が数倍程度というのはどれほどのものなのだろうという御指摘も非常によく理解するところですが、技術的な議論になりますので、その点については、また御説明の機会をいただければと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 時間があれですので、もし次に議論する機会があれば、またお願いするということでよろしいでしょうか。
 私も、そこでいう同意とはどういう意味なのだろうということは、倫理的に考えるとなかなか難しい。リスクを承諾するということなのか、でも、安全な品質にしないとということなのですから。
 だとして、それがなぜ代諾でいいのかということは、私にはよく分からないという具合で、いろいろと議論するべきことはあるような気がするのですが、議事を先に進めさせていただきます。
 貴重な御指摘をありがとうございました。
 続いて、資料3-1と資料3-2を併せてということでよろしいですね。
 新型コロナワクチンの小児への接種です。
 小児用コロナワクチンに関連して、資料3-1と資料3-2を続けて御説明いただきます。
 まず、資料3-1の薬事承認関係について、医薬・生活衛生局から御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 続きまして、資料3-1に沿って「新型コロナワクチン(コミナティ筋注5~11歳用)の承認について」を御説明いたします。
 「主な経緯」でございますが、本品は、既に成人用を令和3年2月14日に特例承認しております。
 その後、小児用の製剤が開発されました。
 成人用と同じくバイアル製剤ですが、薬液の濃度とか投与量が異なる製剤となります。
 下の四角の5~11歳の小児に係る用法・用量及び剤形の追加ですが、令和3年11月10日にファイザー社から承認申請がございまして、1月21日に特例承認を行ったものでございます。
 2の「基本的な情報」ですが、成分等は同じなのですが、用法・用量が若干違うのと、製剤の濃度が少し違って、成人ですと30マイクログラムの投与、5~11歳の小児ですと10マイクログラムの投与となります。
 その下ですが、3に「『承認時』における主な安全性確保の施策」を記載しております。
 「(1)承認条件」ですが、医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
 2番目ですが、承認時において、長期安定性に係る情報は限られているため、これを収集し、報告すること。
 3番目ですが、副反応情報等、安全性に関するデータをあらかじめ定めた計画に基づいて早期に収集することなどを記載しております。
 下から2番目ですが、予防接種ですので、文書をもって説明するとありますが、予診票等で文書による同意を得てから接種されるようにしています。
 また、資料の猶予期間は9か月となっております。
 その下に、リスク管理計画がございますので、こちらについて説明します。
 リスク管理計画ですが「重要な特定されたリスク」として、ショック、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎。
 潜在的なリスクとして、疾患増強がございます。
 これに基づきまして、安全性監視計画が立てられています。
 5~11歳の小児の被接種者を対象とした市販直後調査とか、その下にありますが、5~11歳の小児を対象とした特定使用成績調査などが市販後の取組として行われています。
 また「リスク最小化計画」ですが、市販直後調査による情報提供や、小児の被接種者と保護者の方への資材を作成し、提供すること、副作用情報の定期的な公表を行うこと、といった対策を取っているところでございます。
 簡単ですが、以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料3-2の説明を健康局からお願いいたします。
○予防接種室長補佐 健康局でございます。
 新型コロナワクチンの5~11歳に対する接種などにどのように考えるべきか、書いている資料になります。
 5~11歳の子供への新型コロナワクチン接種につきましては、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において緊急のまん延予防のために実施する必要があり、今後流行する変異株の状況、ワクチンの有効性・安全性に関する一定程度の知見、諸外国における子供への接種の対応状況などに勘案しまして、総合的に判断し、特例臨時接種として実施することができることとされました。
 審議におきましては、今後、オミクロン株に代わる重症化リスクの高い変異株の流行や、デルタ株の再流行といった可能性もあり得ること、ワクチンの有効性につきましては、既存株に対する大人への新型コロナワクチンの有効性においても発症予防効果や重症化予防効果が期待できること、5~11歳までの子供において、新型コロナへの感染及び肺炎以上の重篤な症状を呈する症例数は、オミクロン株の流行後、増加していることなども踏まえて議論いただいております。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、適宜、御意見、御質問をお願いします。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 予防接種法の理解が難しくて、教えてほしいのですが、予防接種法の8条、9条関係で、かつてHPVの場合は、8条の勧奨義務は、無故意ながら積極的に8条の義務を果たさないという制度で、9条における努力義務は残していますね。
 今回、8条は生きていて、勧奨するけれども、9条における努力義務は緩和していると。今回は9条違反にはならないのですか。どういう法律、段階なのですか。
 つまり、8条、9条は素直に分かりやすいのですが、勧奨は積極的にしないけれども、本人の努力義務は残るとか、干渉はするけれども、本人の努力義務、9条は解除するとか、何か恣意的に運用されているように見えて、法との整合性が全く理解できないのですが、どのようになっているのでしょうか。
○磯部委員長 お願いします。
○予防接種室長 予防接種室ですが、今回、新型コロナワクチンのために、予防接種法で特例臨時接種の附則が新たに規定されています。
 予防接種法の附則の中で、今回の新型コロナワクチンについては、開発して間もないということで、いわゆるデータがしっかりと十分にそろうかどうかという論点はありますので、制度改正をした際に、努力義務と接種勧奨を適用しないこともできることが法律上、規定されています。
 今回の新型コロナについていえば、最初に導入した際に、妊婦さんの努力義務の適用が除外されています。このときの議論では、妊婦さんについては、治験の際に妊婦さんも含めてデータが取れていなかったところもあって、データがないので、努力義務を外すという判断をして、運用してきたという経緯があります。
 今回、小児に適応するに当たっては、リスク・ベネフィットを踏まえると、特例臨時接種として実施することについては、審議会の意見を踏まえて適応したわけですが、オミクロン株に対する小児の有効性は、まだデータとしては十分ではないと審議会でも御意見いただきましたので、データがまだ不十分であるという点と、小児に関しては、感染動向がこの後、どうなっていくかというところがまだ見極め切れていないという2点をもって、努力義務を外すといった運用しております。
 接種勧奨につきましては、特例臨時接種は、緊急の蔓延予防の観点から実施するものですので、法の趣旨を踏まえますと、接種勧奨については適用すべきということで、接種勧奨は適用した状態であります。
 以上です。
○花井委員 法的には分かりましたが、周りは勧奨するけれども、保護者が9条だから、努力義務も外れていることになると思うのですが、国民からは分かりにくいことは確かです。
 今回、結果として、努力義務を外したことは、極めて日本的な配慮ではあるものの私はよかったかなと思うのですが、かといって、有効なワクチンを無料で接種する機会をつくるのも国の義務と言われるでしょうから、国で自治体がちゃんとワクチンを接種する環境をつくる話と、それを打てという話と、本人が打つ努力をする話は、もうちょっと分けて分かりやすい法律に今後、検討してほしいかなと。
 そうではないと、薬事でいえば、安全かどうかという問題と、公衆衛生上の対応の境界線にワクチンは存在するので、薬機統制と予防接種統制が明示的でないと、制度全体の不信感、ひいてはワクチンの不信感にもつながるので、そこは医薬と健康局の話なのですが、今後、そこは国民に分かりやすい、また、制度的に説明が整合するものになっていくことを期待します。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 私の提出した参考資料5を映していただきたいのですが、私の懸念は、今、花井委員も言われましたし、事務局からもありましたが、参考資料5の…。
○磯部委員長 参考資料の話は、また時間があったらお願いできませんか。
○佐藤委員 意見を言うときの根拠としてなのですが。
○磯部委員長 手短にお願いします。
○佐藤委員 要は、オミクロン株に対する有効性は十分なデータがないし、オミクロン株は今、収束に向かっていますので、その次の波が来るとしても、それに対する有効性のデータが全くない中で、20歳未満の方は、今、トータルで8人亡くなっていますが、そもそも新型コロナウイルス感染症による死亡のリスクはほぼゼロに等しいのです。
 実はワクチン接種後の死亡は、10代で既に6人報告されているわけです。これを5~11歳まで拡大したときに、どういうことが起こるか、非常に心配です。
 20歳未満の方に対しては、COVID-19による死亡のリスクがほとんどない中で、接種後の死亡が数例でも起きるのならば、私はそれだけで薬害と言っていいレベルではないかと思うわけです。
 要するに、有効性に関するエビデンスが十分にない中で、20歳未満の方にワクチンの接種を勧奨することは、一方的にリスクを負わせることにならないか。死亡という一番重篤な結果についてのことですが、そういうことすら懸念するわけです。
 この委員会は、薬害を防止することが目的なので、私自身もそうですが、かなり安全側に立った観点で考えていかないと。想定される最悪の事態を考慮した上で、どういう対策が必要かということを考えていかないと、薬害は未然には防げないわけです。
 結果的にそこまで心配する必要がなかったということならいいわけですが、全部結果が分かってから、やはりこれは薬害でしたねでは、この委員会の役割が果たせないわけで、私自身はそのことを非常に懸念していることを意見として申しておきます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、泉さん、お願いします。
○泉委員 言葉尻で大変恐縮なのですが、特例の承認とあります。
 資料3-1の1の下の段に、アメリカでは10月29日に緊急使用許可がなされたと書いてあります。
 医薬品の製造承認に有効性・安全性が確保されていないものに承認制度という言葉を使うことは、私はおかしいと思っているのです。だから、アメリカの緊急使用許可のほうが正しくて、緊急使用許可はするけれども、承認はしていないということなのではないのですか。だって承認できないもの。有効性・安全性が確保されていないわけですから。
 そういう言葉尻を取って大変恐縮なのですが、制度部会も、国も、もうちょっと考えて言葉を使ってもらいたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、お願いします。
○医薬品審査管理課長補佐 
 泉委員、御指摘ありがとうございます。
 本品について、少し御説明させていただければと思っておりますが、まず、本品の有効性という点ですが、臨床試験を行っておりまして、発症予防効果、もしくは抗体価の上昇といった有効性は認められております。
 また、副反応、安全性の面ですが、既に承認されております成人用、もしくは年齢でいうと12歳以上の小児も含まれますが、そこで使われているワクチンと同じ成分でありますが、副作用の情報を集めてみますと、5~11歳の小児で特別な安全性上の懸念はなく、既に承認されているものと同様と評価されています。この両者を確認した上で、特例承認を行ったものでございますので、決して安全性・有効性が確認されていないものというわけではありません。
 一方、アメリカでございますが、アメリカは緊急使用許可といった独特の制度がございまして、そちらにおいても有効性があると推定され、リスクに比してベネフィットが勝る状態を確認して緊急使用許可しているものでございます。ですので、決して安全性・有効性がないといったものではなく、また、欧州におきましては、条件付承認という形ですが、同じように承認が行われている状況でございます。
 制度が若干違いますので、その言葉も異なりますが、安全性・有効性の評価がなされているものと御理解いただければと思います。
 以上です。
○磯部委員長 そろそろよろしいでしょうか。
 重要な御指摘をいただいたと思いました。
 ただ、特例承認のことなのですが、本来の使い方なのかどうかとか、いろいろと悩ましい問題がもっとあると私も思っております。
 今、資料3-1から資料3-2、そして資料4に戻って、いろいろとお話がありましたが、担当の方には、各委員から様々な懸念が示されたことはぜひ頭に入れておいていただいて、しかるべき施策に必要なことは迅速に対応するといったことを御検討いただければと思います。
 それでは資料3-3に基づきまして、議題としては最後です。
 新型コロナワクチンの心筋炎関連事象の安全性評価について、健康局から御説明をお願いいたします。お待たせしてすみません。
 よろしくお願いします。
○予防接種室ワクチン対策専門官 よろしくお願いいたします。
 今回、新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象に係る安全性評価について御説明するよう仰せつかっておりますので、新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象について、これまで副反応合同部会で御議論、御審議いただいた内容を資料として添付させていただきました。
 心筋炎関連事象につきましては、接種開始となりました2021年2月17日以前の審議会より常に御議論いただいてきたところ、どうしても資料が多くなってございますので、今回、御説明については、要点のみを御説明してまいりたいと存じます。
 まず、2~6ページ目でございますが、2021年2月15日、新型コロナワクチン接種開始の直前に開催された審議会の資料でございます。
 この会におきましては、新型コロナワクチン接種後の症状として、その報告を義務づける副反応疑い報告基準の設定や、ワクチンによるものと疑った場合については、積極的にその報告を求める症状等の範囲について御議論いただいたところです。
 5ページ目の下段を御覧ください。
 心筋炎については、WHOにおきまして、新型コロナワクチンのプラットフォームの関係上、ワクチン接種後に心筋炎が生じる可能性が示唆されておりましたことから、6ページ目の○の3つ目にお示ししておりますが、局長通知といたしまして、心筋炎は積極的に副反応疑い報告をいただくよう周知する対象疾患とするとの御意見を頂戴いたしまして、同方針に基づきまして、情報収集していくこととなりました。
 7~9ページを御覧ください。
 6月9日の審議会でございますが、この頃より、国内外において、特に若年男性において、ワクチン接種後に心筋炎あるいは心膜炎を疑う事例の報告が見られるようになりました。
 この状況を踏まえまして、10ページ目以降にお示ししております6月23日の審議会におきましては、ワクチン接種後の心筋炎について御議論いただくに当たって、そもそも心筋炎という疾患はどのような疾患であるのかを含め、日本循環器学会の循環器専門医の参考人にお越しいただきまして、心筋炎について御解説いただきました。
 専門家からいただいた御見解といたしましては、22ページ目にありますとおり、心筋炎は、新型コロナウイルス感染症の合併症としても報告されており、また、ワクチン接種後の心筋炎は軽症が主体であり、また、コロナウイルス感染症後の頻度と比較してもまれであること等から、ワクチン接種による感染・重症予防を図るメリットのほうが、ワクチン接種後の心筋炎に対する懸念よりも圧倒的に大きい等の御意見を専門的見地から頂戴いたしました。
 事務局からは、少し戻りますが、16ページ目にございますように、NDBを用いまして、令和元年度における心筋炎関連事象の発生者を非ワクチン接種群の発生頻度としてお示しするとともに、17ページ目では、国内の新型コロナ感染症の入院患者を対象として研究されているCOVID-19 Registry JAPANのデータのうち、心筋炎が合併したと考える者の状況についてお示しし、23ページ目におきましては、これらの知見等をまとめたものについて、審議会にお諮りしたところでございます。
 25ページ目では、Q&Aや添付文書によりまして、ワクチン接種後に心筋炎が報告されていることについて周知、注意喚起を行っているものでございます。
 また、性・年齢別の接種状況を分野ベースに算出が可能となった9月の審議会におきましては、27~30ページ目にお示ししておりますが、国外においても、特に若年男性において、ワクチン接種後の心筋炎の頻度が高いことをお示しするとともに、32ページ目におきましては、Q&Aで具体的な報告頻度の最新情報について周知、注意喚起しているものをお示ししております。
 31ページ目におきましては、若年男性におけるコロナウイルス感染症後の心筋炎の合併について、海外からの文献として報告されていることを紹介しております。
 少し資料が飛びますが、10月15日の審議会におきましては、41~45ページ目の報告状況を踏まえまして、最終的に48ページ目にございますように、
・心筋炎関連事象については、いずれのワクチンにおいても、コロナ感染による発生率と比較して、ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると評価でき、全年代においてワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えてよいか。
・ただし、10代及び20代の男性については、ファイザーに比べ、モデルナの心筋炎関連事象が疑われる報告頻度が明らかに高いことから、ファイザー社ワクチンの接種を推奨することとしてはどうか。
・なお、本人がモデルナワクチンを希望する場合は、コロナ感染症に合併する心筋炎の頻度より低いことから、接種可能のままとしてはどうか。
ということでお諮りしたところ、審議会からは、ファイザー社ワクチン接種後の若年男性においても、一定程度心筋炎が発生すること等から、ファイザー社ワクチン推奨とはせず、ファイザー社ワクチンを選択できることとするとの御意見を頂戴したため、その御意向に沿って運用することとしております。
 以降も、引き続き心筋炎に係る報告の動向を注視していたところ、12月3日時点の審議会におきましては、64ページ目からございます国内の最新の報告状況に基づきますO/E解析。
 O/E解析は、ワクチン接種後の発現率を、ワクチンの接種と関係なく、期待・予想される発現率で割ったものでございますが、こちらをしましたところ、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンともに、10代及び20代の男性については、一般人口と比較して報告頻度が高いことから、68ページ目、69ページ目の添付文書において、心筋炎、心膜炎を重大な副反応として位置づけ、さらなる注意喚起を促すとともに、71ページ目に示しますとおり、調査票を設計するとともに、72ページ目にお示しますように、副反応疑い報告基準に位置づけることで、接種後の心筋炎に係るさらなる情報収集及び評価をしていくこととなりました。
 なお、本日も同審議会がございましたが、現在も引き続き、3回目接種後等の心筋炎の発生状況等を収集しつつ、副反応部会にて御議論、御審議いただいているところでございます。
 資料3-3の説明は、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それかは、資料3-3について、御意見、御質問等を。
 では、佐藤さん、花井さんの順でお願いします。
○佐藤委員 今の御説明をありがとうございます。
 注意喚起をするようになったことは大変いいことだと私は思っているのですが、もう少しきちんとそのことを強調する必要があるのかなという観点で御意見を申し上げます。
 先ほどの説明資料3-3の42ページに、国内でのCOVID-19による入院患者における心筋炎の発生割合、あるいはこれは米国だと思われるのですが、海外でのCOVID-19感染症患者ですから、恐らく発症している症状がある方の中での心筋炎の発生割合ということだと思うのですが、それと比較しているのですが、まず、この比較の表自体が非常にナンセンスというか、ミスリーディングです。
 要するに、比較しなければいけないのは、834とか450という数字が出ているのは、日本の場合は、COVID-19を発症して入院した中での心筋炎の発生割合ですので、リスクを考える場合には、そもそもCOVID-19を発症して入院するリスクを掛けて比較しないと、意味をなさない比較であるということなのです。この図が独り歩きして、マスコミなどでも使われていて、非常にミスリーディングです。ですので、この資料に関しては削除するなり、こういう比較は適切でないとお認めいただけないかというのが一つです。
 むしろ先ほど出していただいた一般における心筋炎の発生率と接種後の発生割合を比較するほうが非常にリーズナブルな比較であるということです。
 とにかく、この図を使うのは明らかに誤っていると思いますが、いかがでしょうか。
○磯部委員長 では、今の点はいかがでしょう。
○予防接種室ワクチン対策専門官 先生、御指摘ありがとうございます。
 御指摘のように、データにつきましては、実際に直接的に比較できるデータがなかなかない中、制限がありながらも、あくまで参考となるデータとしてお示ししたものでございまして、それを審議会の資料としてお示しした上で、御覧いただいたところでございます。
 実際、副反応合同部会におきましても、そのデータが本質的に持つ制限も御理解いただいた上で、リスク・ベネフィットとして御評価いただけるものとして御判断いただいたところでございます。
 また、御指摘のリーフレットやQ&Aは、上記の審議会の評価の結果を踏まえて作成いただいているところでございます。
 また、注意喚起という点に関しましては、その更新の内容やQ&A等、最新の状況を踏まえて、引き続き常時アップデートして、注意喚起と情報提供をしているところでございます。
 御指摘の接種を伴う副反応の早期発見、リスク回避の観点から、心筋炎に関する注意喚起については、7月2日、御指摘のQ&Aのタイミング以前の更新のQ&A等によりましても、国内でも海外と同様に、ワクチン接種後、特に2回目接種後の若年男性において、心筋炎の報告がなされていることを明示するとともに、典型的な症状として、ワクチン接種後4日程度の間に見られるため、こうした症状が出る場合は、医療機関を受診することを勧める等、具体的に注視すべき点や、対応方針まで分かりやすくお示ししているというところで、我々としては、できることをしているところでございます。
 以上でございます。
○磯部委員長 どうしましょう。
 多分、佐藤さんとしては満足しない回答かと思いますが。
○佐藤委員 時間がありませんので、私の意見として、それを申しておきます。
○磯部委員長 専門家の人は専門家として分かる、そして、全体として情報提供がうまくいくかどうかについて問題にしているというよりは、端的にこういうミスリーディングな資料が独り歩きしてしまうことのリスクはありますねということ。公開されている資料ですのでね。そこはひとつ慎重であるべきではないかというのは、割ともっともな御指摘だと思いますので、よく承知おきいただければと思います。
 あとは花井さんですね。
 お願いします。
○花井委員 佐藤委員と全く同じ根拠です。
 46ページのリーフレットで、ワクチンを受けた場合とかかった場合の心筋炎ですが、普通に考えると、右側の図は、感染率を掛け合わせて、発症率を掛け合わせて、心筋炎率を掛け合わせるべきですね。掛け算が2つないわけです。
 私がこれを見るとしたら、個人が利己的な理由によってワクチンの接種を考えます。それを許しているところが日本の制度のいいところだと思っていて、利己的な理由で、私が得するのかどうかといったときに見るとすれば、これはミスリードになります。
 もちろん、厚労省としては、利他的理由によってこのパンフレット作っているのです。あなただけの問題ではないですよ、感染症を防ぐためにみんな打ちましょうと言っているところで、趣旨は違うのですが、逆に、あなたのリスクはそんなに大きくないかもしれないけれども、みんなのリスクも考えて打ちましょうという話をするときに、わざわざこんなグラフをつけると、不信感を招くと思うのです。
 だから、さっき佐藤委員が言ったとおり、データについては、ちゃんと科学的に比較できるデータを出した上で、それでも打ってくださいと言うなら言うことにしないと、さっきの小児の場合もそうですね。
 だから、利己性、利他性はそれぞれなのですが、日本はある程度利己性を許容している感染症対策で、これ自体は自由の国としていいことなのだと思うのですが、リードするときに、利己性には損かもしれないけれども、打ってねというのと、このように打っても得をしますよというのは、ごまかしになってしまうのです。
 こういうパンフレットを作るときに、丁寧に国が言うことと、個人の利益がどうなっているかということを踏まえて作ると、こんなグラフは作らないだろうということで、右側のグラフは、感染率、さらに発症率の2つを掛けるのが正しいのではないかと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今の御意見に対しても、どうしましょう。 佐藤さん、手を挙げていらっしゃるのは、さらにコメントですか。
○佐藤委員 ワクチン接種後の心筋炎との因果関係の評価において、私が参考資料を出させていただいた法医病理学会の声明について、簡単に御紹介させていただければと思いまして、手を挙げたのですが。
○磯部委員長 端的にお願いします。
○佐藤委員 参考資料1ですが、日本法医病理学会という学会がホームページ上に出している声明なのですが、接種後の死亡事例の因果関係の評価において、解剖することである程度解明できるという声明をされていて、積極的な解剖の実施が求められることがあって、御紹介させていただきます。
 学会の理事長の先生に直接お伺いしたのですが、心筋炎の事例についても、亡くなった場合に、そのための検査をすれば、心筋炎が原因であるかどうかについてはある程度分かるだろうということです。
 それから、虚血性心疾患による死亡に関しても、血栓があったかどうかも分かるということで、この委員会としては、接種後の死亡に関しては、接種者と非接種者の集団での比較をすべきとの意見を出させていただいたわけですが、一例一例の評価においては、解剖を積極的に行うことが必要であるという意見があることをこの場で御紹介させていただいて、心筋炎に関しても、恐らくそれが役に立つだろうということを御紹介させていただきます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 さっきのリーフレットについて、何かありますか。よろしいですか。
 御指摘は承ったということで。
 ちなみに私は、予防接種・ワクチン分科会にいたものですから、むしろ臨時の予防接種を推進する側にいたので、ここで司会をやっていていいのかなと、悩みながらしています。
 ただ、リスク・ベネフィットを評価して、とにかく進めながらでも、全方位的にできることはやっていただきたいのです。
 安全確保のためにいろいろな情報を得て、評価して、止まるべきときには止まるものなのだろうと思うので、大変お忙しいことはよくよく承知しているのですが、先ほど佐藤さんが安全のために硬めに対応すると言いました。できることは、できるだけ最大限の安全を目指してやっていただくことも大事だと思いますので、改めてそういう意見にも耳を傾けながら、予防接種行政を続けていただけたらと思います。
 今、参考資料1について御説明いただきましたので、全て終わったという感じです。
 むしろ御発言がなかった先生方を優先的に、今日の議題、議事全体を通じて何かコメントし損ねたことなどがあれば。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、以上で本日の議論は終了となります。
 事務局から何かありますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 事務局です。
 次回の委員会については、日程は調整の上、御連絡いたします。
 また、議題については、委員の皆様からの御意見を基に、別途御相談させていただきたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 それでは、これで本日の委員会を終了いたします。
 長時間にわたり、ありがとうございました。
 

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