議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 田名部匡代 君外五名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2022-06-06
公布年月日

要項または提出時法律案

第二〇八回
参第二九号
   水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するための交付金の交付等に関する法律案
 (目的)
第一条 この法律は、水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するための交付金の交付等に関し必要な事項を定めることにより、水田の有効活用等を図りつつ、水田に係る農業経営の安定を図ることを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「農業者」とは、次に掲げる者をいう。
 一 農産物の販売を目的として農業を営む者であって農林水産省令で定める要件に該当するもの
 二 委託を受けて農作業を行う組織であって農林水産省令で定める要件に該当するもの
2 この法律において「水田活用作物」とは、水田において生産される農産物であって主食用米(主食用として生産される米穀をいう。次条第三項及び第四項において同じ。)以外のもののうち、水田における生産が広く行われ、かつ、食料自給率又は飼料の自給度の向上を図る上で特に重要なものとして政令で定めるものをいう。
 (水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するための交付金の交付等)
第三条 政府は、毎年度、予算の範囲内において、水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するため、当該農業者に対し、その者の水田活用作物の作付面積に応じて交付金を交付するものとする。
2 前項の規定による交付金の金額は、農業者ごとに、水田活用作物についての種類別の面積当たりの単価に、その者の当該年度における当該水田活用作物の種類別の作付面積をそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額とする。
3 前項の単価は、第一項の規定による交付金の交付により主食用米に係る標準的な所得の額と水田活用作物に係る標準的な所得の額との差額の補塡を図ることを旨とし、水田活用作物に係る種類別の標準的な収入及び費用の額を考慮して、農林水産大臣が定めるものとする。
4 政府は、第一項の規定による交付金のほか、毎年度、予算の範囲内において、水田の有効活用及び地域の農業の振興を図るため、主食用米以外の農産物のうち農林水産大臣が都道府県ごとに当該都道府県知事の意見を聴いて指定するもの(以下この条及び第五条第一項において「地域作物」という。)の生産を行う農業者に対し、地域作物の作付面積に応じて交付金を交付することができる。
5 前項の規定による交付金の金額は、農業者ごとに、地域作物についての種類別の面積当たりの単価に、その者の当該年度における当該地域作物の種類別の作付面積をそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額とする。
6 前項の単価は、水田を有効活用して地域作物の生産の振興を図ることを旨とし、地域の特性を考慮しつつ、農林水産大臣が、都道府県ごとに、当該都道府県知事の意見を聴いて定めるものとする。
7 農林水産大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、第二項又は第五項の単価を改定することができる。
8 農林水産大臣は、第二項又は第五項の単価を定め、又は改定しようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならない。
9 農林水産大臣は、第二項の単価を定め、若しくは改定したとき、又は第四項の指定をし、若しくはその変更をし、若しくは第五項の単価を定め、若しくは改定したときは、遅滞なく、これらを告示するものとする。
 (調査)
第四条 農林水産大臣は、この法律の適正な運用に活用するため、農産物の生産及び販売の状況その他必要な事項について定期的に調査をするものとする。
 (地域農業協議会)
第五条 地方公共団体及び農業に関する団体その他の地域の関係者は、地域作物の生産の振興その他地域におけるこの法律に基づく措置の円滑な実施に資する事項について協議するため、地域農業協議会を組織することができる。
2 地域農業協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、地域農業協議会が定める。
 (交付金の交付の申請等)
第六条 第三条第一項又は第四項の規定による交付金(以下単に「交付金」という。)の交付を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農産物の生産又は農作業の受託に関する計画書その他の農林水産省令で定める書類を添付して、農林水産大臣に交付の申請をしなければならない。
2 前項に定めるもののほか、交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
 (交付金の返還)
第七条 偽りその他不正の手段により交付金の交付を受けた者があるときは、農林水産大臣は、その者に対してその交付を受けた交付金の全部又は一部の返還を命ずることができる。
2 前項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しない者があるときは、農林水産大臣は、期限を指定してこれを督促しなければならない。
3 前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに第一項の規定により返還を命ぜられた金額を納付しないときは、農林水産大臣は、国税滞納処分の例によりこれを処分することができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
 (報告及び検査)
第八条 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、交付金の交付を受け、若しくは受けようとする者若しくはこれらの者からその生産した農産物の加工若しくは販売の委託を受け、若しくは当該農産物の売渡しを受けた者に対し、必要な事項の報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
 (罰則)
第九条 偽りその他不正の手段により交付金の交付を受けたときは、その違反行為をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
第十条 第八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第十一条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、令和五年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
 (施行前の準備)
第二条 農林水産大臣は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)前においても、第三条第三項、第八項及び第九項の規定の例により、同条第二項の単価を定め、これを告示することができる。
2 前項の規定により定められた第三条第二項の単価は、施行日において同条第三項の規定により定められたものとみなす。
3 農林水産大臣は、施行日前においても、第三条第四項、第六項、第八項及び第九項の規定の例により、同条第四項の指定をし、同条第五項の単価を定め、これらを告示することができる。
4 前項の規定によりされた第三条第四項の指定及び前項の規定により定められた同条第五項の単価は、施行日において、それぞれ同条第四項の規定によりされ、及び同条第六項の規定により定められたものとみなす。
 (食料・農業・農村基本法の一部改正)
第三条 食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
  第四十条第三項中「及び環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(令和四年法律第三十七号)」を「、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(令和四年法律第三十七号)及び水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するための交付金の交付等に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)」に改める。
 (政令への委任)
第四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

     理 由
 水田の有効活用等を図りつつ、水田に係る農業経営の安定を図るため、水田活用作物の生産を行う農業者の農業所得を補償するための交付金の交付等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

   この法律の施行に伴い必要となる経費
 この法律の施行に伴い必要となる経費は、平年度約三千五十億円の見込みである。