法務省・新着情報

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年5月20日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、ウクライナ避難民の方々と受入れ自治体等とのマッチングについてです。
 先週に引き続き、昨日(5月19日)、一時滞在施設に滞在中のウクライナ避難民3世帯4人の方々について、新たに、東京都、神奈川県内の自治体及び大阪府内の企業での受入れが決定しました。
 今後とも、避難民の方々の希望・ニーズをきめ細かく酌み取りつつ、最適なマッチングをスピード感を持って進めてまいります。
 2件目は、「特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会」についてです。
 5月17日に勉強会を行い、タレントのパトリック・ハーラン氏からお話を伺いました。
 ハーラン氏は、約30年前に来日し、長年にわたって情報番組のコメンテーターや大学講師など、多方面で御活躍されています。
 勉強会では、ハーラン氏のこれまでの御経験等を踏まえ、在日外国人から見た日本社会の良し悪し、外国人労働者を受け入れるメリットなどについて、貴重なお話を伺い、大変有意義な意見交換ができたと考えています。
 今後、菅野志桜里氏や谷垣禎一氏などから御意見を伺う予定です。

民事訴訟法等の一部を改正する法律の成立に関する質疑について

【記者】
 今国会で民事裁判の全面的なIT化を盛り込んだ改正民事訴訟法が成立しました。大臣の受け止めと、これから国民が利用しやすい民事裁判を実現するためにどう取り組んでいくか教えてください。

【大臣】
 本月18日に成立した民事訴訟法等の一部を改正する法律は、インターネットを用いた訴えの提起、訴訟記録の電子化、ウェブ会議を利用した口頭弁論期日等を実現し、民事訴訟手続を全面的にIT化するほか、法定審理期間訴訟手続や氏名等を相手方当事者に秘匿する制度を設けるものです。
 この改正は、自宅や事務所からも訴えの提起等が可能となるなど、民事訴訟を利用する国民の利便性を大きく向上させ、訴訟手続の迅速化・効率化を図る上でも重要な意義を有するものです。
 今後は、円滑な施行に向けた取組が重要であり、法務省としては、関係機関等とも連携しつつ、改正法の内容や関係機関等の取組の周知に努めるなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えています。

難民認定制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 昨年廃案になった入管法改正の政府案に関して、国会審議中の昨年4月9日にUNHCRが、複数回の難民申請者に対して送還停止効の例外規定を設けることや、日本国内で犯罪歴がある者に対しても、その理由のみで強制送還を可能にすることに対して、強い懸念表明を出しています。
 その解決策として、現行の入管難民制度の限られたリソースの中で、2014年12月に、法務省で「難民認定制度に関する専門部会」の提言を作られましたが、その完全な実施も含めた公正・効率的な難民認定制度の確保のための更なる取組が必要であり、かつ効果的であると、UNHCRも表明の中で述べています。
 専門部会の提言の中には、「適正手続を保障する観点から、行政庁の判断の適正性について第三者によるチェック機能が必要である。」ともあります。
 大臣は、UNHCRの見解や2014年の専門部会の提言をどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
 入管法改正案の次期国会提出前に、UNHCRの見解や2014年の専門部会の提言に即した内容になっているかどうか、きちんと第三者によるチェックが必要であると考えていらっしゃるかどうか、長期収容問題と送還忌避問題の大きな原因として、入管制度と一体となった現行の難民認定制度そのものに問題があるという御認識を大臣が持っていらっしゃるのかどうか、この2点についてお伺いします。

【大臣】
 御指摘の昨年のUNHCRの見解に対しては、意見の相違はあるものの、入管庁において、改正法案の趣旨・内容について、UNHCR本部に赴き、丁寧に御説明・意見交換を行うなど、真摯に対応しています。
 「難民認定制度に関する専門部会」からは、保護対象の明確化による的確な庇護、手続の明確化を通じた適正・迅速な難民認定、認定判断の明確化を通じた透明性の向上、認定実務に携わる者の専門性の向上の四つの論点について、それぞれ提言をいただいています。
 入管庁では、これらの提言を踏まえ、いずれの論点についても取組を進めてきているところです。
 それから、入管庁が難民認定を行うことについてお尋ねがありましたが、難民認定手続とその他の出入国在留管理行政上の様々な手続とは密接に関連していますので、難民の認定に関する業務を出入国在留管理庁において行うことには、合理性があるものと考えています。
 その上で、入管庁においては、制度と運用の両面から難民認定手続の適正性を確保しています。
 まず、制度面においては、不認定処分に対する審査請求では、外部有識者である参与員が3人1組で審理を行い、その意見を必ず聴いた上で判断をしています。さらに、難民には当たらないとの判断に不服があれば、裁判所に訴えを提起し、司法判断を受けることも可能です。
 運用面においては、先ほど述べた専門部会からの提言も踏まえ、難民該当性に関する規範的要素の明確化、難民調査官の能力向上、出身国情報の充実を三つの柱として、UNHCR等の協力も得ながら、運用の一層の適正化に取り組んでいるところです。
 その上で、出入国在留管理制度全体を適正に機能させ、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するとともに、送還忌避・長期収容問題という喫緊の課題の一体的解決に必要な法整備に向けて、着実に検討を進めていきたいと考えています。

【記者】
 UNHCRの見解の中では、送還停止効に例外規定を設けることが現行の難民認定の制度の実施・運用の中で非常に懸念が多く、複数回難民申請もそうですが、このことについては送還忌避の問題でも非常に大きく関係してくると思います。やはり、難民認定制度の在り方そのものを見直すことが入管法改正の前提として必要だと思いますが、それについての大臣の考えを再度お聞かせください。

【大臣】
 日本人と外国人がお互いに尊重し合って、安全・安心に暮らしていける共生社会を実現するためには、大原則があると考えています。
 それは、人権に十分配慮しつつ、ルールにのっとって外国人を受け入れ、そして、ルールに違反する者に対しては厳正に対処するということです。
 これを適正に行うことが出入国在留管理行政を預かる者としての責任であると考えています。これが基本原則です。

(以上)

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