法務省・新着情報

令和4年5月17日(火)

法務大臣閣議後記者会見の概要

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から1件報告があります。
 「成年後見制度の見直しに向けた検討」について、本年3月に閣議決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画には、法務省に関連する施策の一つとして、制度の見直しに向けた検討が盛り込まれています。
 このような中、本年6月に、民事法の研究者や成年後見制度に関わる専門職等を構成員とする研究会が立ち上げられ、法務省からも、研究会に担当者を参加させることとしました。
 この研究会では、成年後見制度をより利用しやすい制度とするための方策等について、幅広い検討がなされるものと承知しており、法務省としても、積極的に議論に参加し、検討を深めてまいります。

刑法等一部改正法案に関する質疑について

【記者】
 侮辱罪厳罰化を盛り込んだ刑法改正案について、与野党で修正合意がなされ、施行から3年後にインターネット上の誹謗中傷に対して抑制効果があるか検証を行うとした附則が盛り込まれることになりました。
 これについての受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 刑法等一部改正法案について、与野党間で修正協議が行われていることは承知しています。
 現段階で、法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、できる限り速やかに国会において法案を可決していただけるよう、引き続き、真摯かつ丁寧な説明に努めてまいりたいと考えています。

外国人観光客の受入れに関する質疑について

【記者】
 岸田首相は外国人観光客の受入れをめぐり、6月にも実証実験を始める方針を示しましたが、入管行政を所管される大臣として、観光客の受入れをどのように進めていきたいか、お聞かせください。

【大臣】
 水際措置については、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスをとりながら、段階的な緩和を進めており、連休後の感染状況を見極めた上で、6月にも、G7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう、政府全体として検討しているところです。
 そうした中で、今後、訪日観光客にどの時点から入国していただくかは、重要な検討課題の一つと認識しています。
 訪日観光客の受入れに向けた準備として総理からも言及があった実証事業については、現在、観光庁などで実務的に検討しているものと承知しています。
 今後も、政府全体として、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスをとりながら、適切な水際措置を講じてまいりたいと考えています。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 ウィシュマさんの事件の関係でお聞きします。
 今年の4月1日付けで、当時名古屋地検刑事部本部担当係だった検事が法務省の訟務部に異動されています。
 検事は、遺族の代理人たちが殺人罪で昨年11月に刑事告訴したときの受け取りの担当者であり、20年3月以降、ウィシュマさんが亡くなってから、厳しく地検の中で捜査されてきた担当の検事です。これまで入管が、見たいと言っても拒否されていた司法解剖所見とか、様々な医師の供述、こういったものも全て見ている検事です。
 この方は訟務部という、いわゆる民事で訴訟した場合、相手方になる担当部署に異動されています。おそらく、直接の担当から外れている可能性がありますが、これまで遺族代理人が様々な話をして、被害者側のことを聞きながら捜査をしてきたこの担当検事が、いわゆる民事訴訟では国側の代理人になるような訟務部に異動されたということに、弁護団体や支援団体の方たちが非常に不信感を抱いています。
 なぜ、この検事が、今年の4月から訟務部に異動するということになったのか。おそらく古川大臣は初めてお聞きしたことかもしれませんが、お答えいただけるようならお答えいただけますか。

【大臣】
 個別の人事や捜査活動についての言及は差し控えます。

【記者】
 個別人事は答えられないと、差し出された紙を読まれていました。詳細を知らない可能性がありますが、これまで官房長官会見で、佐川理財局長の国税庁長官への就任に関して、「個別は答えられない。しかし適材適所だ。」と言っていた菅さんを思い出します。
 では、この検事の人事は適材適所だという認識なのか、遺族側代理人はこれから検察を信用していいのかと、なぜこのような人事をさせているのかと疑いを持たれないためにも、国側の代理人となる訟務部に地検の刑事を担当していた方を異動させるというのは、非常に卑怯なやり方だと思います。疑いを持たれかねない人事だったと思います。
 もう一度適材適所だということなのか、答えられないということだけでなく、もう少し踏み込んで、経緯も含めて調べていただきたいと思いますがいかがですか。

【大臣】
 個別の人事についてはお答えできません。

難民認定制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 (本年5月)13日に、昨年の難民認定者の人数が公表されました。難民認定の一次審査での認定率は1.5パーセント、それから審査請求での認定率は0.1パーセントと、相変わらず認定率は非常に低いですが、ミャンマー国籍の難民認定者の32人に次いでいるのは中国国籍の18人です。中国の人権状況に対する日本政府の政策的な意図が反映されていると考えてよろしいのでしょうか。
 それから、ミャンマー国籍に次ぐ難民申請件数のトルコ国籍の難民申請者は、昨年も一人も難民認定されませんでした。その大半がクルド人と思われますが、トルコ国籍のクルド人は今までも一人も難民認定されていないということは広く知られています。トルコ大使館や在日の大使館のクルド人に対する監視は厳しいものがありますが、過去には日本政府に対して、在日のクルド人の行動を監視するような働きかけも、かつて政府に対して直接ありました。
 その他の国の難民申請件数の上位の国というのは、認定されているのはパキスタン国籍の一人だけですが、特定技能の受入れにおいて、二国間の協力覚書を交わした国や、既に技能実習生や留学生の受入れ人数が多い国ですが、これらの出身国者が難民認定されないのは、そもそも難民認定しないとか、難民認定できないという政策的な観点や、外交上の理由があるのでしょうか。
 今言った中国国籍、それからトルコ国籍のクルド人、それからその他の国々の難民認定について、大臣の基本的な考えを聞かせてください。

【大臣】
 難民の認定は、特定の国籍を有し、又は特定の民族に属することのみに基づいて判断しているものではなく、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者かを個別に判断するものです。
 難民認定者数は、このようにして個別に判断された結果の積み重ねです。
 御質問の中でいくつか言及がありましたが、それらは飽くまで質問者の見解として伺います。個別事案の事実関係についてはお答えすることはできません。

【記者】
 秋の臨時国会で、いわゆる送還忌避問題を念頭に難民申請者の複数回申請を制限したり、送還停止効の例外を認めるような内容の入管法改正案の国会提出が予想されています。大臣は常々、補完的保護制度の制定についても言及されています。今、難民認定は国籍によって判断しないとおっしゃっていましたが、現状として、今言ったような現状があるということと、シリア、アフガニスタン、ミャンマーなどの緊急避難措置の状況を踏まえ、ウクライナ避難民の受入れを踏まえて、現状の難民認定制度の在り方、それから難民保護制度の在り方をまずきちんと検証することが、入管法改正の前にやるべきことなのではないかと思いますが、法案の国会提出前に今回の難民認定状況について、専門的な第三者によって分析するようなことは考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】
 法務省では、真に庇護を必要とする者に対して適切に保護ができる制度の在り方について、不断に見直し、改めるべきところがあれば改め、必要な制度があればその創設を目指していくという姿勢で取り組んでまいります。
 難民認定については、UNHCRとも協力しながら、運用の一層の適正化に取り組んでいるところです。
 その上で、出入国在留管理制度全体を適正に機能させ、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するとともに、送還忌避・長期収容問題という喫緊の課題の一体的解決に必要な法整備に向けて、着実に検討を進めてまいりたいと考えています。

(以上)

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