外務省・新着情報

令和4年5月15日
G7外相会合後の記念撮影に応じる、各国外相らの様子
G7外相会合開始前の、各国外相の様子

 5月12日から14日にかけて、ドイツのヴァイセンハウスにおいてG7外相会合が開催されたところ、概要以下のとおり。会合には、林外務大臣を含むG7各国の外相(注:ブリンケン米国務長官は欠席)及びEU外務・安全保障上級代表が出席した。本年は既に臨時で外相会合が6回開催されており、今回は7回目である。今回の会合は、年初から予定されていた会合であり、3日間にわたり、主にウクライナ情勢やインド太平洋について、G7外相間で突っ込んだ意見交換が行われた。
 会合を通じて、以下の成果文書が発出された。

1 ロシア・ウクライナ

(1)総論

 林大臣から、ロシアのウクライナ侵略を改めて非難した。核の使用・威嚇は決して認め得ず、国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化が重要である旨強調し、G7の連携を呼びかけた。また、アジアの視点も踏まえ、各国への丁寧なアウトリーチが重要である旨指摘した。
 G7として、ウクライナ支援の継続を確認した。また、更なる制裁を含め、ロシアに対する経済的・政治的圧力を強める決意を再確認した。ロシアのウクライナ侵略の経済的影響を受けている各国と協力し、G7として支援していくことで一致した。

(2)ウクライナ及び周辺国への支援

 ウクライナのクレーバ外相とモルドバのポペスク外相が一部セッションに参加し、G7による支援への謝意表明と支援継続の要請があった。G7は、ウクライナへの経済・財政及び防衛面での支援や人道支援の継続、復興も含めた支援へのコミットメントを再確認した。G7として、モルドバを含む周辺国による避難民受入れを称賛し、短期的・長期的な課題への対応支援を表明した。
 林大臣からは、日本はウクライナ及びモルドバを含む周辺国との関係で決定済みの人道支援や財政支援を着実に実施し、引き続き必要な支援を検討していく旨発言した。

(3)侵略の国際的影響(食料・エネルギー安全保障を含む)

 林大臣から、侵略の影響を受ける国々への実質的な支援・協力が重要であると指摘し、食料等の課題への対応におけるG7の連携を呼びかけた。G7として、食料価格の高騰と人道支援ニーズの拡大の中、全ての人々の食料やエネルギーへのアクセス確保の取組を支援する決意を共有した。
 インドネシア(G20議長国)のルトノ外相が一部セッションにオンライン参加した。食料・エネルギー問題やG20について緊密な意思疎通の継続を確認した。G7とインドネシアの間で、主権や領土一体性、法の支配等の原則堅持の重要性につき一致した。

2 中国、北朝鮮、インド太平洋(注:林大臣がリードスピーカーとして議論を主導。)

 中国について、林大臣から、東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みの継続・強化への深刻な懸念と反対、台湾海峡の平和と安定の重要性等について提起し、G7での連携継続を呼びかけた。G7各国からは、中国をめぐる様々な論点について懸念の表明があった。
 北朝鮮について、林大臣から、3月のICBM発射や5月12日の弾道ミサイル発射を含め、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化は国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦である、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、国際社会による毅然とした対応が益々重要と述べた上で、G7の緊密な連携を呼びかけた。G7各国からは、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念が示され、G7として、北朝鮮に対し全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルのCVIDを改めて求めることで一致した。また、林大臣から拉致問題の即時解決に向けた全面的な理解と協力を求め、各国から賛同を得た。
 ミャンマーについて、林大臣から、「5つのコンセンサス」の実施に向けたASEANの取組の後押しが重要、また、国際機関やASEANと連携し、ミャンマー国民への人道支援を継続するとともに、ミャンマー国軍には安全で阻害されない人道アクセスを求めていく旨発言した。G7として、平和的解決に向けたASEAN及びASEAN議長特使の取組支援で一致した。

3 中東・北アフリカ及びサブサハラ・アフリカ

 イラン核合意(JCPOA)への復帰をめぐる交渉の状況、リビアの政治情勢、タリバーンとの関与やアフガニスタンをめぐる地域協力等について意見交換した。G7として、中東・北アフリカにおける様々な課題について引き続き連携していくことを確認した。
 ウクライナ情勢のアフリカへの影響、G7とアフリカの安全保障面を含むパートナーシップ強化、サヘル諸国やエチオピア等の地域情勢も議論した。G7として、アフリカへのアウトリーチを強化し、困難な状況に直面するアフリカへの支援継続で一致した。

4 パンデミック及びインフラ開発(注:ブリンケン米国務長官が一部に電話で参加。)

 G7として、ワクチン格差是正の支援や将来のパンデミックへの備えに向け、様々な面での協力強化で一致した。林大臣から、途上国の経済社会の活性化と人的往来の再開のため、日本として、ワクチン接種データ管理、国境管理体制及び感染性廃棄物処理に係る支援を、インド太平洋地域を中心に最大1億ドル規模で実施していく考えを表明した。
 G7として、特にアフリカ及びインド太平洋におけるインフラ投資のギャップを埋めるとの目標を共有しつつ、質の高いインフラ投資に関連する国際的なスタンダードを促進し、全ての関係国に対しその遵守を求めていくことで一致した。

5 気候危機

 気候変動や環境悪化が安全保障に与える影響を議論した。G7として、気候及び環境関連のリスクによる安全保障上の影響を最も受けている国・地域への支援を確認した。林大臣から、本年開催予定の第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の機会も活用しつつ、人間の安全保障の観点から気候に関する議論に貢献していきたい旨発言した。


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