外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】昨日夜から、ここ、ドイツのヴァイセンハウスにおいて、G7外相会合に出席しています。今回は本年7回目のG7外相会合となりますが、3日間にわたる本来のG7外相会合であり、じっくりと、率直な意見交換ができていると感じています。

 まずこれまでに、昨晩のワーキング・ディナーと4つのセッションを行いました。
 昨晩のワーキング・ディナーでは、ウクライナ情勢につきまして、今後の見通しを含め、率直な意見交換を行いました。私からは、ロシアによるウクライナ侵略を改めて非難し、核使用はもちろん、その威嚇も決して認めることはできず、核軍縮・不拡散体制の維持・強化が重要であると指摘をいたしまして、今年のNPT運用検討会議において成果を挙げるべくG7で連携したい旨を述べたところでございます。その上で、G7として、引き続き結束してウクライナを支援していくこと、ロシアに対して、ウクライナへの侵略をやめ、直ちに軍をウクライナの領土から撤退させるよう改めて求めることで一致を致しました。また、更なる制裁を含め、ロシアに対する圧力を強めていく決意を再確認をしたところでございます。

 本日午前のセッションですが、ウクライナのクレーバ外相とモルドバのポペスク外相も参加をされまして、両外相から説明を受けた上で、ウクライナへの支援や、モルドバを始めとした周辺国への支援について議論しました。クレーバ外相、ポペスク外相からは、G7の支援への感謝、謝意が表明され、支援継続の要請がありました。
 ワーキングランチでは、食料やエネルギーの問題を始めとする、ロシアのウクライナ侵略の国際的影響について議論を行い、ロシアの侵略によって食料などの価格が高騰し、世界中が影響を受けていることを受け、全ての人々の食料やエネルギーへのアクセスを確保するための支援を行っていくことを確認をしたところでございます。

 午後、まず、本年のG20議長国インドネシアのルトノ外相のオンライン参加を得たセッションを行いました。ルトノ外相からは、本年のG20会合に向けたインドネシアの考え方について説明があるとともに、ウクライナ情勢及び食料問題を含むその影響についてのインドネシアの見方についても説明があり、G7として、G20や、食料・エネルギーをめぐる問題について、インドネシアと引き続き緊密に意思疎通していくことを確認しました。
 その後、インド太平洋に関するセッションが行われまして、私がリード・スピーカーとして議論を主導しました。私からは、ウクライナ情勢を受けた中国の動向に関する日本の見方について発言するとともに、東シナ海・南シナ海情勢等について提起し、引き続きG7で連携していくことを呼びかけたところでございます。各国からは、私から提起した点を含む中国をめぐる様々な論点について、懸念の表明を含む発言がありました。
 また、北朝鮮について、私から、昨日の発射や3月のICBM発射などの弾道ミサイル発射を含む北朝鮮の核・ミサイル活動の活発化は国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、深刻に懸念している旨述べ、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、国際社会が一体となって毅然とした対応を取ること、安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を指摘し、G7の緊密な連携を呼びかけ、各国の賛同を得たところでございます。
 また、私から、拉致問題の即時解決に向けたG7各国からの全面的な理解と協力を求め、G7各国から賛同を得ました。
 その他、ミャンマーやASEANとの協力についても議論となりました。詳細は追って発出される報道発表を御 確認いただければと思います。

 なお、今夜のワーキング・ディナーでは、コロナ対策についても議論が行われます。私からは、途上国の経済社会の活性化と人的往来の再開に向けまして、ワクチン接種データ管理、国境管理体制及び感染性廃棄物処理に焦点を当てた支援を、インド太平洋地域を中心に最大1億ドル規模で実施していくことを表明する考えでございます。
 G7外相会合は明日午前まで続きますが、今後のセッションにおいても、積極的に議論に貢献していきたいと思います。
 また、今回、会合の合間を縫いまして、フランスのル・ドリアン外相、カナダのジョリー外相、英国のトラス外相、ウクライナのクレーバ外相、ドイツのベアボック外相、モルドバのポペスク外相との二国間会談を実施しました。
 これらのカウンターパートとの間では、ロシアによるウクライナ侵略を含む国際社会の諸課題や二国間関係の強化について議論をいたしまして、相互理解を深めることができたと考えております。

 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今回の外相会合ではウクライナ情勢を巡る対立の軸について議論されました。また各国とのバイ会談がありました。日本として一連の日程でどのような成果が得られたとお考えになっているのか。また今後、日米首脳会談やクアッド、G7首脳会議などが控えています。その中で今回のG7外相会合はどう位置づけられるか。

【林外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略が止まらない中、今次会合においても、G7外相が率直な意見交換を通じて情勢認識をすり合わせ、一層の連携強化を図ることができ、G7の政策調整や対外発信に日本の考えを反映させる上で意義のある機会となったと考えております。ロシアによるウクライナ侵略には国際社会が一致して力による一方的な現状変更は認められないことを示し、連携して対応していく必要がある訳ですが、今回のG7外相会合における議論も踏まえ、近く行われるバイデン大統領の訪日や日米豪印首脳会合での議論、更には6月のG7サミット、7月のG20外相会合、こういったものにに繋げていきたい。

【記者】インド太平洋のセッションの関係でおたずねします。今回の貼り出し一連の二国間会談の中では、欧州とインド太平洋地域の安全保障は不可分であるという考えを示されていたと思うんですけれども、先ほど少し紹介されました中国への対応についてG7の中で何か認識で共有したことですとか、方針で一致したこと等、中国についてありましたら教えてください。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、このインド太平洋に関するセッションは私がリードスピーカーとして議論を主導いたしました。この中国をはじめとするインド太平洋については各国とも非常に関心が高く、本日午後のセッション、約1時間半にわたって議論が行われたということでございます。
 私からは、ウクライナ情勢をめぐる中国の動向に関する日本の見方について発言するとともに、東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みの継続と強化への深刻な懸念と反対、台湾海峡の平和と安定の重要性等について提起をいたしました。その上で、日本の考えとして、中国との関係において、原則の問題については妥協せず主張すべきことをはっきりと主張していく旨述べ、引き続きG7で連携していくことを呼びかけたところであります。
 他国の発言については原則として紹介しないのがG7のルールであり、各国の具体的な発言について申し上げることは差し控えますが、G7各国からも、こうした様々な論点について、懸念の表明を含む発言があったところであります。

【記者】大臣は御出発前の会見で、これまでの外相会合で、日本はアジア唯一のG7メンバーとして政策調整ですとか、対外発信に貢献してきたと述べられました。今回大臣からの紹介ありましたけれども、インド太平洋セッションではリードスピーカーを勤められたということでしたけれども、日本として今回議論にどのような存在感を示したと考えられておりますでしょうか。

【林外務大臣】日本がアジア唯一のG7メンバーであることも踏まえてですね、私からは、アジアの視点からのウクライナ情勢の見方、これを説明をいたしました。また総理や私の各国訪問、ここ一ヶ月近くにわたっていろいろなところに行ってまいりました。また総理も会談を含めて訪問されておりますので、そういうことを含めて、各国に丁寧にアウトリーチしていることを説明したところでございます。
 インド太平洋に関するセッションでは私がリード・スピーカーとして議論を主導し、東シナ海・南シナ海情勢等を含む中国を巡る様々な論点や、北朝鮮による核・ミサイル開発・拉致問題等について提起し、引き続きG7で連携していくことを呼びかけ、各国の賛同を得たということでございます。

【記者】インド太平洋のセッションにおいて日本の見方というところでお伺いなんですけども、大臣先ほどご紹介あったように、ウクライナ情勢を受けた中国の動向に関する日本の見方を色々G7各国に説明したということなんですけど、具体的にどういった見方を伝えられましたでしょうか。

【林外務大臣】この外交上のですね、率直なやりとりであり、詳細差し控えたいと思いますが、ウクライナ情勢を巡る中国の動向についてはですね、各国とも関心が高く中国に責任ある行動を求めていく必要がある、こういう認識に基づいてですね、率直な意見交換が行われたところであります。

【記者】念のため確認させてください。各国から中国を巡る様々な論点について、懸念が表明されたというご説明あったかと思うんですけども、こうした様々な論点についてG7として連携して対応していくということにおいては一致したという理解でよろしいのでしょうか。

【林外務大臣】この先ほど申し上げましたようにですね、この各国から、私から提起した点を含む中国を巡る様々な論点についてですね、懸念の表明を含む発言があったということでございます。詳細は最終的にコミュニケというものがでますので、G7としてどういう総括をしたかはそちらをご覧になっていただけたらと思います。

【記者】インドネシアの参加したセッションについてお伺いします。アジアの見方について、大臣から説明あったということですけども、アジアの中でもASEANの諸国ですとかG7とG20でも温度差があったりということもあると思うんですけど、今回、セッションの中で具体的にどういったやりとりが交わされたのかという点と、プーチン大統領の参加について何らかのその意見交換というのがあったのかどうか教えてください。

【林外務大臣】このインドネシアとの間でですね、インドネシアのルトノ外相からG20会合に向けたインドネシアの議長国としての考え方について説明を受けました。G7としてもですね、G20の成功に向けて議長国であるインドネシア、これをですね、最大限支援をしていくと、こういう旨を伝えた上でですね、このG20のロシアの参加を含む様々な問題につきまして、インドネシアと引き続き緊密に意思疎通をしていくということを確認したところです。

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