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令和4年5月12日
第28回日EU定期首脳協議前に記念撮影に臨む、ミシェル欧州理事会議長(写真左)、岸田総理大臣(写真中央)、及びライエン欧州委員会委員長(写真右)の様子 日EU定期首脳協議(写真提供:内閣広報室)
第28回日EU定期首脳協議の様子(全体会合) 日EU定期首脳協議(写真提供:内閣広報室)
ミシェル欧州理事会議長(写真左)、岸田総理大臣(写真中央)、及びライエン欧州委員会委員長(写真右)による、共同記者発表の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 5月12日、午前10時30分から約60分間、岸田文雄内閣総理大臣は、訪日中のシャルル・ミシェル欧州理事会議長(H.E. Mr. Charles Michel, President of the European Council)及びウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長(H. E. Dr. Ursula von der Leyen, President of the European Commission)との間で、第28回日EU定期首脳協議を行いました。
 更に定期首脳協議後の共同記者発表に続いて、午後0時から約60分間、ワーキングランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。また、今回の定期首脳協議に際し、共同声明及び日EUデジタルパートナーシップに関する文書が発出されました。

1 冒頭

  • (1)冒頭、岸田総理大臣から、ミシェル議長及びフォン・デア・ライエン委員長の就任後初めての訪日に歓迎の意を示しました。
  • (2)岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、日本はEUと協調して強力な対露制裁を実施すると共に、ウクライナへの支援を強化しており、引き続き断固とした決意で対応していく旨、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ断じて許されないこと、基本的価値を共有する日EUで「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、連携していきたい旨述べました。
  • (3)ミシェル議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員長から、東京で対面協議を行うことができ嬉しい旨述べると共に、ロシアのウクライナ侵略に対し日本が取っている厳しい対露制裁やウクライナ及び欧州への連帯への謝意が述べられ、基本的価値とルールに基づく国際秩序を共有するパートナーとして、日・EU間で貿易、気候、デジタル、インド太平洋等についての協力を強化したい旨述べました。

2 日・EU関係

  • (1)双方は、ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化のためにも、日EU・EPAを礎として日EU経済協力を更に進めていくことで一致しました。
  • (2)岸田総理大臣から、EUによる日本産食品に対する輸入規制措置の早期撤廃を改めて要請しました。
  • (3)双方は、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」を始めとして、貿易、プライバシー、セキュリティ、トラスト、データ利活用、インフラ等幅広い分野にまたがる日・EU間のデジタル分野の包括的協力枠組みである、デジタルパートナーシップの立ち上げに合意し、これを歓迎しました。
  • (4)双方は、航空分野の日EU水平協定交渉が実質合意に至ったことを歓迎しました。
  • (5)岸田総理大臣から、EUが昨年12月に策定した「グローバル・ゲートウェイ」を評価する旨述べ、双方は、日本とEUが、質の高いインフラ整備を通じた連結性向上に向けて連携して取り組むことは重要であり、日EU連結性パートナーシップに基づき、引き続き連携していくことで一致しました。
  • (6)岸田総理大臣から、我が国は「新しい資本主義」の中心に気候変動対策を位置付けていると述べつつ、昨年立ち上げた日EUグリーン・アライアンスのもとで、水素、エネルギー移行、環境保護、サステナブル・ファイナンス等の分野で日EU協力が進展していることを歓迎する旨述べたのに対し、先方からEUとして「新しい資本主義」を称賛しているとして発言があり、双方は、引き続き、日・EU間で気候変動、環境分野の取組を加速し、国際社会をリードしていくことで一致しました。
  • (7)双方は、日・EU間で共同訓練や能力構築支援の分野で協力が進展していることを歓迎し、3月に発表されたEUの「戦略的コンパス」も踏まえて、日・EU間の安全保障・防衛協力が更に進展することへの期待を述べました。

3 国際・地域情勢

  • (1)双方は、ロシアによるウクライナ侵略は、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす深刻な事態であるとの認識の下、G7始め国際社会が結束・連携して対応することの重要性を改めて確認しました。また、岸田総理大臣から、アジア諸国への働きかけに積極的に取り組んでいることを説明したのに対して先方から日本の取組に感謝する旨述べました。双方は、世界の食料安全保障の観点も踏まえつつ、アジア、アフリカ諸国等に働きかけていくことの重要性につき一致しました。
  • (2)双方は、東アジア情勢についても意見交換し、東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試み、急速かつ不透明な形での軍事力の強化及び地域における軍事活動の活発化への強い懸念を共有しました。また、台湾海峡の平和と安定、両岸問題の平和的解決が極めて重要であることで一致し、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況への深刻な懸念を共有しました。双方は、一方的な現状変更の試みや経済的威圧に対し一致して毅然として対応していくことを確認しました。
  • (3)双方は、北朝鮮情勢についても意見交換し、一連の弾道ミサイル発射を始めとする核・ミサイル活動の活発化に深刻な懸念を共有すると共に、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。
  • (4)この他、双方は、イラン情勢等についても意見交換を行いました。

4 国際場裏における連携

  • (1)双方は、経済安全保障、エネルギー、食料安全保障、新型コロナなど国際社会が直面する課題について議論し、日・EU間でこれらの分野においても協力を推進することで一致しました。
  • (2)岸田総理大臣から、「核兵器のない世界」に向け、EU及びEU加盟国とも連携していきたい旨述べ、双方で連携していくことで一致しました。また、ミシェル議長が12日から広島を訪問する機会に被爆の実相と平和への強い願いに触れて欲しい旨述べました。
[参考]別添PDF


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