文科省・新着情報

1.日時

令和4年1月24日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 防災科学技術政策の現状等について
  2. その他

4.出席者

委員

上村主査、小原主査代理、大原委員、大湊委員、熊谷委員、小室委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、関口委員、中北委員、前坂委員、前田委員、三隅委員、目黒委員、森岡委員

文部科学省

真先研究開発局長、原大臣官房審議官(研究開発局担当)、鎌田研究開発局地震・防災研究課長、福田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、山田研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐 他

オブザーバー

国立研究開発法人防災科学技術研究所西田企画部長(説明者)、宮城理事長補佐(説明者)

5.議事録

【山田防災科学技術推進室長補佐】  定刻となりましたので、始めさせていただきます。 初めに、事務局からお知らせいたします。ただいまから、第54回防災科学技術委員会を開催いたします。このたびは、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。本日は、委員16名中、現時点で14名御出席いただいており、定足数を満たしております。本日はWeb会議となっておりますので、会議資料につきましては、お手元のPCで御参照ください。議事録作成の都合上、御発言の際は、前回同様、冒頭にお名前をおっしゃっていただきますよう、お願いいたします。 なお、本日は内閣府防災担当及び内閣府科学技術政策担当の方にもオブザーバー参加いただいております。 それでは、以降の議事の進行は、上村主査にお願いいたします。【上村主査】  皆さん、こんにちは。第54回防災科学技術委員会、始めさせていただきます。 それでは、本日の議題でございますが、防災科学技術政策の現状等についてということですので、特段非公開とすべき事項はないものと思います。これ以降の議事につきましては公開としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【上村主査】  ありがとうございます。それでは、傍聴される方がおられる場合には、事務局のほうで接続手続をお願いします。
(傍聴者入室)
【上村主査】  ありがとうございます。 それでは、早速ですが、議題(1)に入りたいと思います。初めに、本日の配付資料及び審議の進め方等について、事務局より説明をお願いします。【山田防災科学技術推進室長補佐】  御説明いたします。本日の執り進め方といたしましては、防災科学技術委員会におけるこれまでの主な御意見、そして、令和4年度予算案について、この2点について事務局より御説明した後、防災科学技術研究所、西田企画部長、宮城理事長補佐より、第5期中長期計画に関する防災科研における検討状況の進捗報告を御紹介いただき、残りの時間で自由に意見をいただければ幸いと考えております。 併せて、このたび文部科学省に人事異動がありまして、本年1月1日付で真先研究開発局長が着任しております。 事務局からは、以上です。【上村主査】  ただいまの事務局の説明について、御質問等ございましたら、お願いします。 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本日はこの段取りに沿って審議を進めてまいります。 先ほど御紹介のありました真先研究開発局長のほうから、一言、御挨拶をお願いします。【真先研究開発局長】  先ほど御紹介いただきましたように、1月1日付で研究開発局長を拝命しました、真先でございます。どうぞよろしくお願いします。 新型コロナの感染状況もなかなか大変なので、Web開催が基本となっております。委員の先生方におかれましては、改めましていずれかのタイミングで御挨拶などをさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 御案内のとおり、防災といいますのは国民にとって、直接影響もあるということもあり、大変関心の高い分野であるということでございます。また、政策的にも、国土強靱化の観点、あるいは科学技術振興の観点からも大変重要な分野と、このように認識してございます。このような状況を踏まえまして、この防災科学技術委員会におきましては引き続き、防災分野におきます研究開発施策、課題の評価でありますとか、防災科学技術政策の推進ということに関しまして大変様々な御意見を頂戴いたしまして、今後の政策に結びつけていきたいと思いますので、どうぞ闊達な御審議のほど、よろしくお願い申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。【上村主査】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、事務局のほうから、資料1、2についての説明をお願いします。【福田防災科学技術推進室長】  失礼いたします。事務局でございます。 まず、資料1でございます。資料1につきましては、これまでも御案内でございますけれども、今期、昨年4月から始まっておりますが、これまでの主な御意見をまとめさせていただいているものでございます。こちらは御参考でございますので、詳細のほうは割愛させていただきたいと思っております。こちらが資料1でございます。 引き続きまして、資料2のほうでございます。令和4年度予算案ということでございまして、これは予算案でございますので、これから国会のほうで御審議いただくものでございますが、そのうち防災科学技術関係の資料について、抜粋しているものでございます。 1枚めくっていただきまして、概要でございますが、基本的には、関係する事業でございますけれども、これまでも進めている事業、これをしっかりと着実に進めていくというような内容でございまして、これまでも何回か御説明さしあげたことがございますので、1個1個の事業についての詳細は割愛させていただきたいと思いますが、1点、この場で御報告・御了承いただきたいことといたしまして、この紙の右側の真ん中辺りに国立研究開発法人防災科学技術研究所の運営費交付金に関する記載がございます。一番下の青字のところに産学共創と総合知によるレジリエンス研究開発というものがございますけれども、この中で下線が引かれているところが幾つかございますが、そのうちの後段のほうに「デジタルツイン等の最先端技術の開発など、災害対応DXに関する研究開発も含め、総合知を活用した研究開発を実施」という記載がございます。この記載に関しましては、既に御案内、また、昨年の本委員会におきまして、いわゆる新規事業の事前評価ということで、表題が「総合知による災害対応DX推進事業」という事業に関しまして、評価をいただいた経緯がございます。その当時は、この事業、私ども文部科学省のいわゆる直接執行、内局の事業で進めていくことを想定していたものでございますけれども、その後の政府部内の予算編成に関する調整におきまして、ここに記載があるように、防災科学技術研究所の運営費交付金の中でその内容の多くの部分を行うというような調整がなされたというものでございます。したがいまして、事前評価をいただいた際の事業の進め方という点からは変更というところがございますけれども、引き続きその内容に関しまして、しっかりと文部科学省あるいは防災科学技術研究所も含めて進めてまいりたいというものが予算案の内容となってございます。 事務局からの説明は、以上です。【上村主査】  ありがとうございました。 ただいまの事務局からの説明内容につきまして、コメント等ございましたら、委員の皆様から、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。 私の方からよろしいでしょうか。資料1はこれまでの議論の概要をまとめていただいたものですし、資料2は予算ということで、前の会議等で御議論いただいた、「デジタルツイン等の」という辺りが防災科学技術研究所の運営費交付金の中で実施されることになったというところが重要なポイントかと思っております。 よろしいでしょうか。それでは、後ほどお気づきのことがあれば、御発言いただければと思います。 次に進めてまいりますが、防災科学技術研究所、西田企画部長、宮城理事長補佐より、資料3について説明をお願いいたします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  防災科研企画部長の西田です。本日は、よろしくお願いいたします。説明につきましては、画面に共有させていただいています概要版を中心に御説明をさせていただければと考えております。 防災科研といたしましては、2035年頃に想定されております南海トラフ地震など、重要な災害に対しまして、次の7年間というのは非常に重要な期間になると考えております。また、昨今、科学技術・イノベーション基本法ができ、人文社会科学とあわせた総合知といった考え方も出されているということがありますので、次の基本計画につきましては、こうした新しい考え方も取り入れながら、新たな展開のリーディングケース的な計画として作っていきたいと考えているところです。 また、この中長期計画自体は防災科研の取組の計画ですけれども、達成すべき目標につきましては、日本全体として何が求められるのかというような観点を基に、その中で、それぞれの組織、そして防災科研の取組という形で考え方を整理していきたいと考えているところです。これまで防災科研におきましては、この中長期計画のための基本戦略、施策の柱、施策の項目というような構成を計画として作っていくという形で検討を重ねておりまして、この基本戦略につきましては、昨年、所全体の全所員が参加したワークショップを計4回開催させていただきまして、考え方の整理をさせていただいているところです。そうした考え方の整理を踏まえまして、昨年4月に次期中長期計画検討委員会を設置いたしまして、これまで9回開催してきたところです。本日は、その概要について御説明をさせていただくとともに、今後、防災科研が取り組む中長期計画につきましては、ぜひオールジャパンとして達成すべき計画という形にしていきたいと考えておりますので、我々の検討状況、あるいは検討中の計画につきまして、政府の審議会においてぜひ御審議をいただいて、いろいろな御提言をいただきたいと考えているところです。 それでは、資料の概要に基づきまして、宮城のほうから御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。【宮城防災科学技術研究所理事長補佐】  それでは、現在、防災科研で進めております、第5期中長期計画検討委員会における検討状況についての御説明をいたします。私、検討委員会の事務局を担当しております、理事長補佐の宮城と申します。よろしくお願いします。次、お願いします。 今、西田部長のほうからもお話がありましたとおり、令和5年度から新たに7年の第5期中長期計画がスタートすることを想定いたしまして、現在、第5期中長期計画に関する検討を所内で進めております。今年度の4月に立ち上げられまして、同じく6月に第1回目の委員会を開催いたしました。本検討委員会のメンバーは、第5期に研究事業を担うことが可能な職員を中心としまして、構成されております。これまで9回、委員会を実施してまいりました。また、このほかに、これも部長からお話ありましたが、全職員参加型のワークショップも実施しておりまして、所全体での議論・検討を進めております。今後の検討の大まかな予定をこちらのスライドにお示ししております。まずは年度内に素案の作成を目指し、国の審議会における検討結果も踏まえて議論・検討を進め、文部科学大臣の中長期目標に関する指示に従い、来年度、令和5年2月までに中長期計画を提出いたします。次、お願いします。 本検討委員会における議論・検討の進め方ですが、このスライドのように進めております。最初に、目指すべき社会として、防災科研が目指すレジリエントな社会の定義を明確にし、そこをスタートとしてバックキャスト的に議論・検討を進めるという形です。次に、防災科研が目指すレジリエントな社会を実現するために解決しなければならない社会的課題は何か、その社会的課題を解決するための研究上の課題は何かを明らかにします。そして、その研究上の課題を解決するために必要な研究開発につきまして、新規テーマも含む研究テーマや、その研究開発に臨む手法・体制について、提案をしてもらいました。次、お願いします。 こちらは防災科研が目指す「レジリエントな社会」の定義です。こちらのスライドは、これまで検討委員会で議論し、現段階で共有されている、防災科研が目指す「レジリエントな社会」の定義案です。これは、国連防災機関(UNDRR)によって2017年に公開された、ディザスター・レジリエンスの定義を参考にしたものです。この定義案が中長期計画に関する議論・検討の出発点となります。定義案の内容ですけれども、「災害に対してレジリエントな社会とは、自然由来のあらゆる種類・規模の災害に対して持続可能な社会である。これは、社会を構成する多様な主体により、予測・予防、応急対応、復旧・復興の各過程において、科学的な知見に基づき意思決定や合意形成がなされる社会である。また、各主体が自助、互助・共助、公助により、災害に耐え、復元し、時にはより新しい形に変容して、災害をしなやかに乗り越えることのできる社会であり、進展する科学技術の成果を最大限に活用し得る知の基盤が根付いている社会である。そのために防災科研は、あらゆる自然災害を的確に把握するとともに自然環境を社会環境のあり様を計測することで、レジリエンスの評価を行い、客観的データや科学的知見を活かし各主体が適切に意思決定できる基盤を作り、各主体のレジリエンス能力の持続的な向上を支援する」。少し長いですが、これが定義案です。この文章の前半部分にはレジリエントな社会のビジョンについて書かれておりまして、後半部分には防災科研が取り組むミッションについて記載をしております。次、お願いします。 次に、定義の概念図が、こちらのスライドの上半分になります。まず、概念図の右半分を御覧ください。レジリエンスレスポンスの辺りです。社会を構成する様々な主体は、災害をもたらす自然現象、いわゆるハザードに遭遇することで様々な振る舞いをします。この振る舞いがレジリエンスレスポンスです。ここでは、レジリエンスレスポンスのパターンとして、三つに分けて定義しています。一つ目は耐える。これはハザードによる被害を抑えるという振る舞いで、英語で言うとResistやAbsorbになります。二つ目は復元する。これは、ハザードによって一時的に被害が出ても元に戻るという振る舞いで、英語で言うとAccommodateやRecoverになります。三つ目は、ハザードによる被害を受けて、より新しい形に変容するという振る舞いで、英語で言うとTransformやAdaptになります。こういったレジリエンスレスポンスのパターンは、災害前、災害中、災害後の社会の状態を計測し、把握することで明らかになります。主体が、この三つのうち、どの振る舞いをするか。それを規定しているのは、一つは外力として作用するハザードであり、もう一つは、社会の側、主体の持つレジリエンス能力です。それは例えば、主体の中の個人が持つ自助能力であったり、コミュニティの持つ互助・共助能力であったり、国の持つ公助能力などになります。ここではハザードもレジリエンス能力も一定ではなく、この図の左側にある、科学技術の進展、自然環境の変化、社会環境の変化、これは、レジリエントな社会の背景、または社会を取り巻く環境のことですが、これらによって直接的または間接的に変わり得るものです。ハザードを計測し把握することや、レジリエンス能力を向上させるということが、科学技術や、自然環境、社会環境への主体的な働きかけというふうに考えております。防災科研としましては、ハザードを研究することはもちろん、レジリエンス向上アクション、レジリエンス能力の持続的な向上のための取組を充実させることが大事であるというふうに考えているところです。 続いて、このスライドの下半分は、先ほどのレジリエントな社会の定義の特に1段落目を詳しく説明したものになります。定義の中にある自然由来のあらゆる種類・規模の災害というのは対象とする自然災害のことで、近い将来の発生が予想される大規模災害――これは、国難級災害を含む、巨大災害です。それから、気候変動など長期的に蓄積する影響、毎年発生する可能性がある中~小規模の災害、これらのことを意味しております。また、同じく定義文の中にある社会を構成する多様な主体としましては、個人、コミュニティ、国家と、3種類の主体を区別しております。これは、人間の最小単位としての個人、個人が集まってできる様々なコミュニティ、そして、より抽象度が高い存在、ルールや制度等も含みますが、これらを国家としまして、三つのレベルを主体として想定しているところです。そして、目指す社会の構成要素として、あらゆる自然災害を的確に把握できる社会、自然環境や社会環境のあり様を計測することでレジリエンスの評価を行える社会、客観的データや科学的知見を活かし各主体が適切に意思決定できる社会、各主体のレジリエンス能力が持続的に向上する社会の四つを挙げました。以上が、防災科研が目指すレジリエントな社会の定義の概要の説明になります。次、お願いします。 続きまして、こちらのスライドは、現時点までに検討委員会で共有された課題や、提案された課題解決のために必要であると思われる研究要素について、お示ししております。青い部分がバックキャスト的議論の基になる部分です。先ほどのレジリエントな社会の定義及びその構成要素です。そして、そういった社会の実現に向けた社会的な課題、それから、研究上の課題というのを明確にし、それが中段の緑色の部分で、検討委員会のメンバーからそれらの課題を解決するための研究テーマについて提案をしていただき、それらを整理して抜き出した、骨子案に盛り込むべき研究要素が、下段のオレンジ色の部分になります。これらの研究テーマは、新機軸のテーマや、所全体で分野横断で取り組むテーマ、そして、もちろんこれまで防災科研が培ってきた研究テーマをどう発展または加速させていくかということも含めて、提案をしてもらいました。次、お願いします。 そして、これらの研究要素を盛り込んだ形の骨子案がこちらのスライドになります。大きく四つ、IからIVに分けられたうちのIの部分が、これまで議論・検討の中心となってきた研究開発の中身に関する部分で、1ポツ目がレジリエントな社会の実現のための研究、2ポツ目がレジリエントな社会を支える研究基盤の安定運用・利活用・高度化の促進、3ポツ目がレジリエントな社会を支える中核機関としての取組の高度化となっており、それぞれに先ほど検討委員会で提案されて整理された研究要素が盛り込まれております。各項目の詳細は本資料の前半部分で書いてございますが、そちらは後ほど御確認いただきたいので、ここでは割愛をさせていただきますが、1点、検討委員会で提案された新機軸のテーマの多くは、分野横断で取り組むテーマでありました。いわゆる総合知による取組であるというふうに、我々は考えております。そして、その総合知による取組の代表的な形として、1ポツの(1)デジタルツイン技術を駆使してデータ・情報を有効活用する研究というものが挙げられております。次、お願いします。 こちらのスライドが、デジタルツイン技術を駆使してデータ・情報を有効活用する研究の構成(案)を示した図になります。デジタルツイン技術を駆使した研究とは、皆さん、デジタルツインの意味は御存じだと思いますが、一応、我々の考え方としましては、リアルな世界で得られたデータを基にしたデジタルな世界でのシミュレーションを通じて、リアルの世界の問題解決、課題解決がなされるということを目指した研究モデルのことです。ここでは、リアルな世界からデジタルな世界に様々なデータや情報を取り込む必要があり、そのためセンシングという部分が重要になってまいります。防災科研では、このセンシングの部分について、DIKWセンシングという形で扱っていくことを考えております。なお、DIKWとは、御存じの方もいらっしゃると思いますが、Data、Information、Knowledge、Wisdomという、情報を解釈する四つの概念の頭文字を取った思考モデルで、全てのデータ(Data)を比較しやすい情報(Information)として整理し、そこから知識(Knowledge)を蓄積していくことで、主体の知恵(Wisdom)を高めていくというようなモデルです。また、様々な情報をセンシングしていく上で大切な情報基盤の一つとして、高度地理空間情報が重要になってまいります。これは、3次元プラス時間という四つの軸を基本として、様々な情報を含む情報基盤で、デジタルな世界で様々なデータを統合する機能を持っております。このデータ統合機能を踏まえまして、デジタルな世界でより幅広い、様々なシミュレーションを行う機能がこちらの総合シミュレーション機能でありまして、その成果を情報プロダクツとしてリアルな世界に返していく。つまり、リアルな世界の問題や課題を解決するというループを考えております。次、お願いします。 今後の計画の策定に向けてですけれども、まずは骨子案のIの部分につきまして、項目ごとに検討チームを設け、防災科研による取組の状況、政府の方針や社会・国民からのニーズ等を考慮し、素案作成のための起草作業を進めてまいります。それらの検討に当たっての方針としましては、「第5期中長期期間(7年間)で実現させる研究内容と成果を意識して検討を行う。研究成果の社会へのインパクトや、産業力・科学技術力をどう進化・強化できるかを想定する。防災科研の強み(観測網、実験施設、データベース等の研究基盤)や重点的に伸ばす部分を意識して検討を行う。防災科研が担う研究と所外に任せる研究の区分け、また防災科研が中核的機関となるために必要なことを意識して検討を行う。研究に関連するステークホルダーを想定し、マーケットイン型の研究を意識して検討を行う。研究を遂行し、また研究基盤を強化するために必要な制度、体制、予算面での改善すべき課題等への取組に関する検討も行う。」といったことを考えております。 簡単ではございますが、以上、防災科研の第5期中長期計画に関する検討状況の進捗を報告いたしました。部長のほうにお戻しいたします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございました。こちらの資料のほうで骨子案という形で簡単にまとめておりますけれども、それの詳細につきましては、Wordの資料3ページ以降に記載をさせていただいております。ここに書いてあります骨子の詳細版でございますけれども、防災科研の次期中長期計画検討委員会におきましては、まず、新しい研究開発項目を中心に議論をさせていただいておりまして、これは計画の骨子というよりは取組事項の骨子というようなイメージで、今、作らせていただいているような状況でございます。ここに書いてございますように、大目標といたしましては「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」ということでございますけれども、我々の取組の基本的な考え方といたしましては、2番目にございますように、「総合知による防災科学技術の中核的拠点としての取組」ということをまとめていきたいというふうに考えてございます。 具体的な研究開発項目につきましては、少し下に行きまして、先ほど宮城のほうから申し上げました、レジリエントな社会といったものをつくっていくための研究でどういうものがあるかというのを簡単にまとめさせていただいております。(1)にございますように、デジタルツインを駆使してデータ・情報を有効活用する研究。先ほど、レジリエンスの向上という意味では、様々な主体、これは、国でありますとか、個人でありますとか、あるいは、企業、コミュニティといった主体がございますけれども、そうした様々な主体に対してレジリエンス能力を向上させるための情報でありますとか、知見でありますとか、そういったものをこういったデジタルツイン技術を駆使して提供していくような研究ができればという形でございます。具体的には、その下に1)から4)まで書いてございますけれども、多様なセンシング・モニタリング手法の開発、データ統合基盤の構築、シミュレーション技術の活用による総合的な研究、情報プロダクツの生成と有効活用に関する研究、こういった研究を組み合わせまして、レジリエントな社会の実現のための研究を進めていきたいというふうに考えてございます。 また、次のページに行きまして、(2)の国難級災害に対応するためのオールフェーズの研究でございますけれども、これにつきましてはこれまでも防災科研として実施してきたところでございますが、これは、いわゆるシミュレーションとか機械科学的なことだけではなくて、ここに書いてございますような、被害の軽減に向けた予測・予防の研究、効果的な応急対応・復旧・復興の標準化対応など、そういった社会科学的な、いわゆる手法開発も含めた研究開発といったものをすることによって、災害対応機関、場合によっては個人というところもあると思いますけれども、そういったものへの支援機能の開発を行っていきたいというふうに考えているところでございます。 また、次の(3)でございますけれども、先ほどレジリエントな社会をつくり上げるというようなことを我々の大きな目標として掲げているわけでございますが、じゃあどういうことをすればレジリエントが向上するのかというのは指標として測らないといけないという形でございます。現時点では、社会の状態を図るといったものについては指標も評価体系もなかなか整理をされていないという状況の中で、ここに書いてございますように、レジリエンスの評価体系の整備や指標の開発といったものも並行的に行う必要があるだろうという形で、今回、芽出しをさせていただいているところでございます。 それから、その下の(4)でございますけれども、こちらはレジリエントな社会の実現のための基礎的・基盤的研究という形でございまして、先ほどの1ポツの(1)から(3)まではどちらかというとこれまでよりも新しい取組というのを中心にまとめさせていただいていますが、防災科研におきましては、従来、基礎研究・基盤研究を担っておりますので、そうした部分はこういったところでより発展的な取組というのを定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 また、次のページに行きまして、防災科研として取り組んでおります研究基盤の安定運用・利活用・高度化の促進でございますけれども、これは既にMOWLAS等の観測網などを防災科研として整備しているところでございますので、その安定運用、利活用方策、それから、今後、老朽化などもあり得ますので、そういったものの高度化・更新といったものも考えていかなければいけないというふうに考えているところでございます。 また、(2)の実験施設、これは、E-ディフェンス、大型降雨実験施設などございますけれども、そうした施設の安定運用・利活用・高度化の促進、こういったものも計画の中で定めてまいりたいというふうに考えてございます。 3ポツといたしましては、レジリエントな社会を支える中核機関としての取組の高度化という形で、我々、総合知の拠点を目指すということを申し上げているわけでございますけれども、そういったものをつくり上げるための幾つかの考え方をここに整理をさせていただいています。まず一つは、知の統合拠点といたしまして、従来の防災科研の研究だけではなくて、外部の知見を取り入れるような枠組みというものを新しくつくって展開していくべきではないか。そういう観点で、1)社会実装のための共創拠点、2)グローバルな課題に対する国際的な協力拠点、3)人材育成の拠点といった考え方を整理していきたいというふうに考えてございます。 また、(2)にございますように、これまでも内閣府防災のISUT活動を通じまして防災行政への貢献というのをしてきたわけでございますけれども、そうした行政の対応力への貢献というものにつきましては、さらに発展させていきたいというふうに考えているところでございます。 次のページでございますけれども、そのほかにも、ここに書いてございますように、こちらは研究というよりは体制的な問題でございますが、業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置、財務内容の改善に関する目標を達成するためにとるべき措置、その他業務運営に関する重要事項、こういったものは、今、事務側で並行的に検討をしておりますので、これらにつきましても計画として素案を作ってまいりたいというふうに考えてございます。 以上、骨子の考え方でございますけれども、今、この骨子をベースに防災科研の中でそれぞれの項目ごとに検討チームを立ち上げてございまして、具体的な素案作成を議論させていただいているところでございます。一応、目標といたしましては、年度内にある程度の素案を作らせていただきまして、全体的な計画素案といったものをまとめていきたいというふうに考えているところでございます。本日の議論、あるいは御意見なども参考にしながら、その素案作成に生かしてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。 我々からの説明は、以上でございます。【上村主査】  西田様、宮城様、ありがとうございました。 本日の議題といいますか、本日、皆様に御説明する資料はここのみでして、残りの時間を全て使って、これについての意見交換を進めてまいります。 まず、御説明いただいた内容についての御質問、コメント等ございましたら、どうぞよ ろしくお願いいたします。いかがでしょうか。 鈴木さん、よろしくお願いします。【鈴木(靖)委員】  ありがとうございます。口切りとして幾つかお聞きしたいのですが、資料3の防災科研の第5期中長期計画の1ページに「今期の計画は防災科研だけで策定した感が否めません。」と書かれております。これについてお聞きします。他省庁との連携が、研究開発を進める上で重要になってくると思います。特に、気象庁をはじめとする他機関との役割分担や、研究開発の連携が大切であると思われます。それに関して、二つほど、具体的な質問があります。 一つは、今回のトンガの火山噴火に伴う津波に関してです。防災科研のホームページに、S-net、DONETの観測成果がニュースリリースで出ております。これによると、沖合で最大10数センチ程度の水位変動が観測されています。東日本大震災のときには、沖合水位変動を約6倍したものが沿岸の津波高さとなっていて、10数センチを6倍すると大体90センチぐらいです。おおむね観測された津波第一波と合っていると感じています。そうすると逆に、このデータをリアルタイムで速やかに活用して防災に役立てていただくことが重要だと思います。今回の事例では具体的にどのような活用がされたのでしょうか。特に気象庁との連携について、お聞きしたいと思います。 もう一つの質問は、線状降水帯についてです。資料2の5枚目に線状降水帯の研究開発に関して書かれています。これに関連して、気象庁では令和3年度補正予算で、線状降水帯に関連する観測施設、実験設備、スパコンの整備などに、大幅な予算がつきました。それに対して防災科研では、線状降水帯の研究を以前から一生懸命やられていたと感じています。気象庁との研究開発の役割分担や連携について、具体的にどのように考えていらっしゃるのかという、この二つをお聞きしたいと思います。お願いします。【上村主査】  ありがとうございます。これはどなたにお答えいただけるでしょうか。よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  防災科研企画部長の西田です。一つ目の、トンガの火山爆発による、津波といいますか、波動の影響につきましては、我々、研究機関という形ですけれども、S-net等のデータについては気象庁とも共有をさせていただくなどの観点で協力はさせていただいております。また、防災科研のホームページの発表等につきましても、気象庁と連絡を取り合って、間違った表現がないかは調整した上で発表をさせていただいております。次期中長期計画におきましても、ぜひ気象庁との連携というのは積極的に進めていきたいと考えております。【鈴木(靖)委員】  そうしますと、トンガのときも、S-net、DONETのデータがリアルタイムで気象庁に使われて、津波注意報・警報に活用されたということでしょうか。【西田防災科学技術研究所企画部長】  はい。S-netのデータなどについては共有をさせていただいているところでございます。【鈴木(靖)委員】  分かりました。【西田防災科学技術研究所企画部長】  それから、線状降水帯の件ですけれども、こちらも、実は予算化するに当たって気象庁から防災科研のほうには相談が来てたりしているところです。研究者ベースでは密接に情報共有なり交換をさせていただいておりまして、どういう形にするのがいいかという辺りは、相談をさせていただいているところです。したがいまして、気象庁のほうの予算で、最終的にはどうなるのかというのは向こうの判断ではございますけれども、基本的には連携・協力しながら進めていきたいと考えているところです。【鈴木(靖)委員】  分かる範囲でいいのですが、具体的に線状降水帯に関する研究のどの部分を防災科研が重点的にやるとかいう、そういう内容を、もし御存じであれば教えていただきたい。【西田防災科学技術研究所企画部長】  基本的に、今、防災科研のほうが取り組んでいる線状降水帯については、水蒸気量を、地上からのレーダーなり、水蒸気量を測る観測器で測って、シミュレーションの精度を高めるといったような研究に取り組んでいるところです。今回、気象庁が予算を取ったところについては、地上観測器で全ての地点を賄うというのは難しいと聞いていて、我々の取組とは違った形でやる方向というふうに聞いておりますけれども、我々としてはぜひ、研究自体は協力しながらやっていきたいと考えております。【鈴木(靖)委員】  ありがとうございます。よく分かりました。【上村主査】  よろしいでしょうか。【鈴木(靖)委員】  はい。【上村主査】  ありがとうございました。 次に手が挙がったのは、中北先生かと思います。よろしくお願いします。【中北委員】  どうも、御指名いただきまして、ありがとうございます。 御説明、どうもありがとうございました。すごく大きくかじを切られて、レジリエントな社会を実現して、それをキープするという大々的な、そちらの方向から全部を見直しされたという、大きな変革と言うとあれですけれども、新しい計画を拝見させていただいて、まずは敬意を表したいと思います。特に、様々な知を統合する拠点というのを目指されているというところは、すごく大事な点を表明いただいたのかなと思っております。その新しい部分と今まで進められてきた部分のつなぎというか、融合というか、あるいは、新たな部署を構築、新たな人に来てもらって構築するとか、そこら辺のニュアンスをお聞きしたいのと、それから、私関連で言いますと、気候変動のこともバックの大事な部分として(2)の国難級災害というところの中に掲げていただいておりますが、今の時点では気候変動を直に扱っておられるグループはもしたらいらっしゃらないかなと思いながら、ここらをどう育てていかれるおつもりか。研究所という立場で言いますと、そのようなところも一緒にタイアップさせていただくのは大事なことかなと思いましたので、加えて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。【上村主査】  では、西田部長、お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  防災科研企画部長の西田です。御質問、ありがとうございます。防災科研の次期中長期に向けた体制整備については、今、研究課題について議論をさせていただいていますので、それを踏まえて議論をしていきたいと考えております。従来、防災科研として様々な観測データを取得しているわけですけれども、そういったものを、防災科研の中でも自由に連携して、例えば災害対応に生かすとか、そういった枠組みが現時点では必ずしもできてない部分がございます。次期中長期に向けては、そういった防災科研の中のデータだけではなく、さらにオールジャパンとしてのデータを統合して、それが災害対応に生かせるような拠点といったものをですね。【中北委員】  より生かせるだろうというスタンスですね。【西田防災科学技術研究所企画部長】  目指したいと考えているところです。【中北委員】  分かりました。【西田防災科学技術研究所企画部長】  あと、国難級災害につきましては、まさに我々の議論の中でも、気候変動といった、長期的な影響の災害については議論をさせていただいているところでして、残念ながら今の防災科研の研究者の中で気候変動を専門に研究している研究者の数はあまり多くないですけれども、そういった中でも、防災科研としてどういう取組ができるか、災害という観点から見て気候変動に対してどういう取組ができるのかというのは、ぜひ次期中長期の中でも検討していきたいと考えております。【中北委員】  ぜひよろしくお願いします。あと、復旧・復興の絡みで図も使っていただいていましたけど、復旧・復興適応(気候変動×防災)が環境省から、おととしの6月ぐらいに小泉環境大臣と武田防災担当大臣より発せられていますが、それとすごく関連していると思っており、環境省もそれを大事にされていますので、そういうのとのタイアップとかできればいいなというふうに思いましたので、これからもよろしくお願いいたします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございます。【中北委員】  以上です。どうもありがとうございました。【上村主査】  ありがとうございました。 次は、小室先生、よろしくお願いします。【小室委員】  ありがとうございます。委員の小室です。よろしくお願いいたします。今回は1週間ぐらい前に資料をお送りいただいて、大変ありがとうございました。お礼申し上げます。 今日の初めの御挨拶で、局長が国土強靱化ということを強調されました。国土強靱化については、私が内閣府などから伺うところによると、ハードだけではなく、ソフトも非常に大事な面である。ハードとソフト、両輪があるということを伺っております。それで、今までも議論にあったのですが、ソフトについては、特に人文社会系の学問の蓄積あるいは知見が役に立つと思うのですね。今回も総合知ということを非常に前面に出していただいて、総合知イコール分野横断というふうに捉えることができると思うんです。ただ、分野横断の分野を横断するところがどうしても理系的な学問の分野の横断に、これまでの蓄積もありますので、そちらに傾きがちではないかという危惧はちょっとしております。そこでお伺いしたいのは、総合知を追求するに当たりまして人文社会系の学問との分野連携も実際の研究のプランとして具体的に挙がってきているのか。それが防災科研の中だけでできなかったら外の方も含めて行うなど、その辺のプランをもしお示しいただけるのなら、お示しいただきたい。あるいは、まだざっくりとしかないということなら、ざっくりでよろしいのですけれど、お伺いできればと思って、お尋ねいたします。よろしくお願いいたします。【上村主査】  ありがとうございます。 これも西田部長でしょうか。よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  防災科研企画部長の西田です。先ほどポンチ絵で御説明した中で防災科研が今後目指していく概念図といたしまして、デジタルツイン技術を駆使してデータ・情報を有効活用する研究の構想を御説明させていただきましたが、先ほどの社会科学的なものにつきましては、こちらの図の中の基盤のところでDIKWセンシングデータと書かせていただいていますけれども、これは、言葉としては、センシングデータみたいな、何か機械的な形で書いているのですが、ここで言いたいところは、データとかインフォメーションというのはまさに観測値なんですけれども、KNOWLEDGEとかWISDOMにつきましては社会科学的な観点から研究をしていかないと適切な情報提供なり判断材料になっていかないだろうということを考えておりまして、我々としては、こういったデータ統合、それから、情報プロダクツの作成、そういった中に社会科学的な研究というのを入れていく中で、例えば、手法の標準化でありますとか、あるいは、データを活用していく上でどういうような活用の仕方をしていったらいいのかといった辺りについては、ぜひ社会科学的な観点というのを取り入れていきたいと考えているところです。【小室委員】  ありがとうございます。【上村主査】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。 次は、小原先生、よろしくお願いします。【小原委員】  御説明、ありがとうございました。私も鈴木委員が冒頭に発言されたことについてちょっと気になっていまして、具体的に言うと資料の1ページの「残念ながら今期の計画は防災科研だけで策定した感が否めません。」というところですけれども、基本的に防災科研の観測網のデータと気象庁のデータをいろいろ交換しているであるとか、それから、当然ながら、今の計画を策定する際には、そういった他省庁との連携、もちろん法律、あとは各審議会における提言であるとか、そういうものも反映して計画は策定されているというふうに理解するのですが、どういう自己批判があり、それをどういう形で改善していきたいのかというところを御説明いただければと思います。【上村主査】  ありがとうございます。 西田部長ばかりですけれども、よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。言葉としてはかなり強い言葉で書いてしまったというのは我々も少し反省をしているのですけれども、ただ、現在の計画でも、各省連携とか、いろんな機関との連携を前提に作成されているというのは、御指摘のとおりだと思っております。そういった意味で、必ずしも今の計画は防災科研だけというふうには思っていないのですけれども、ただ、これを書いた理由といたしましては、計画をつくるに当たって、防災科研ができることというのを前提に計画をつくってしまったきらいがあったのではないかといったところが反省点でございまして、そういった意味で、先ほど今回の計画策定の手順のときに御説明したように、防災科研で何ができるかというところから出発するのではなくて、日本全体として何が必要かというところから出発して、その中で防災科研が担うべき役割を検討していったほうがいいだろうという形で検討を今進めているという状況ですので、そうした反省点を込めての一文と御理解いただければと思っております。【小原委員】  分かりました。ありがとうございます。【上村主査】  ありがとうございます。やれることで計画するのではなく、やるべきことで計画を立てていこうということですね。ありがとうございます。 次は、大原委員、よろしくお願いします。【大原委員】  ありがとうございます。大原です。私から、2点、コメントを申し上げたいと思います。 1点目は、小室先生も社会的研究との連携について発言してくださいましたが、防災科研は、今年度、社会的期待発見研究という公募を出されていて、所外の研究機関と一緒に研究をやっていく事業を開始されているかと思います。これは人文系の方も応募できるものとしては結構な予算規模だったので、私としては、防災科研は学際的研究について非常に新しい試みを始められたのだなと思って、高く評価していたところです。しかしながら、今回の計画には社会的期待発見の話が全然出てこなくて、研究拠点に社会的期待発見研究とかの言葉だけ出てくるのですけれども、コンセプト的にレジリエンスというのが何だか分からない中で社会にとって希望を与えるような要素とか取組はそもそも何なんだというのを模索する研究として社会的期待発見というのは非常に大きなものだと思っています。せっかく公募プロジェクトをされているので計画に書いたほうがいいんじゃないかなと、私は思う次第です。 あともう1点は、スライドでレジリエンスの3要素の図とかを出されていまして、先ほどの資料3のスライドの5ページ目なんですけれども、画面に出ますでしょうか。第5期中長期計画に関する検討状況のスライドです。多分、この図を描いた方は割とステレオタイプな地震と津波を意識して描いていらっしゃって、災害が起こったらほぼ直角に社会機能がバーンと下がるのですけど、これはとても旧タイプな図なんですね。簡単にするために防災科研はこの三角の図をよく使っていらっしゃるのは存じ上げているのですが、社会機能がバーンと下がる直角の前に南海トラフ地震臨時情報なんかが出たら、社会機能を停滞させるけど、頑張って備えて被害を最小限にするという備えるというフェーズがあるのですね。図には、それが全然なくて、一気に被災して社会機能がドロップダウンするという図になっているのですけど、本当に重要なことは、一気にドロップダウンしないように、耐え忍ぶというか、頑張るというフェーズです。地震だったら南海トラフ地震臨時情報が出たときがそれですし、水害だったら予測情報を出しますから、こんな一気に100からバーンと下がらないで、広域避難したりして、徐々に社会機能は停滞するけれども、被災しない状態をつくっていくわけですね。ですので、耐えるの前に備えて頑張るというのが本来あるのに、それが全くない図を使ってレジリエンスと言っているので、私は、本当はその4番目の要素があるのに図に描かれてないなというのが、すごく気になっています。 以上です。【上村主査】  ありがとうございました。 こちらも、西田部長、お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。ありがとうございます。社会的期待発見につきましては、我々、先ほどの説明の中で総合知の拠点を目指したいと考えておりますが、これは、防災科研の知見だけではなくて、外からの知見をどううまく生かせるかという形でございまして、そのためにも社会的期待発見研究事業というのを始めた経緯がございます。そうしたものについては次期中長期の中でもぜひ生かしていきたいと考えているところです。 また、御指摘いただいたレジリエンスの図のほうでございますけれども、申し訳ございません、こちらにつきましてはまさに分かりやすさを観点に少しステレオタイプ的な形を描かせていただきましたが、当然、災害対応の前に被害を受けないための予備行為・予防行為があるだろうというのは御指摘のとおりですので、そういったことも取り入れて計画を考えていきたい考えております。【大原委員】  ぜひよろしくお願いします。【上村主査】  ありがとうございました。 それでは、目黒先生、お願いします。【目黒委員】  東大の目黒です。よろしくお願いします。今、図が出ていたので、そちらからお話した方がいいと思ったので、まずその話をさせていただきます。三つのパターンに、それぞれ、靱性とか、弾性とか、塑性という言葉がありましたが、それは防災科研の中では普通に使っていらっしゃる言葉でしょうか。材料力学的な常識に私がとらわれすぎているかもしれませんが、それらの言葉から普通にイメージされることからすると、言わんとしている内容がその言葉では伝わりにくいのではないかという印象を持ちました。それが1点です。 それから、次がより重要だと思うことですが、先程来、ほかの委員の皆様も何度かおっしゃっていますが、従来、防災科研は予算計画をつくる上で、自分たちが少し頑張り過ぎたのではないかという反省から、自分たちができることから積み上げるのではなくて、オールジャパンとしてあるべき姿をまず考えて、それに基づいて予算措置を考えるように変えられた。私は、これ自体はとてもいいことであり、高く評価させていただきたいと思います。その上で、次のポイントとして、それでも依然として、防災科研がやることとか、やりたいことの主張がまだ強過ぎるんじゃないかなという印象も持ちました。それはどういうことかというと、組織防災研という組織の特性を踏まえた得意、不得意とか、人材のキャパシティーなどを考えた上で、本当に防災研究のあるべき姿を考えた場合に、もっと防災科研以外の、防災科研とあまり関係の深くない先生たちも含めた大学の研究者、ほかの組織の人たち、そして民間の人たちを、もっと巻き込んだほうがいいと私は思います。それがオールジャパンとしてのあるべき姿により近いと思うので、まだそこが弱い気がします。防災科研が主として担当するべきところと、サポーターに回ったほうがいいところを明確にするとともに、防災科研が他の研究者が参入しやすい環境をつくっていくことが、我が国の防災研究のあるべき姿とおっしゃっているものに近づくんじゃないかなという印象を持ちました。 以上です。【上村主査】  ありがとうございました。 2点ありましたが、西田部長、お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。御指摘の靱性・弾性・塑性のところにつきましては、必ずしも普段からこういう言葉遣いをしているわけではなくて、実は今回の中長期の検討の中で出てきた言葉です。これも先ほどのグラフと同じように三つの違いを分かりやすく説明するためにつくった言葉ですので、計画にする際には、この言葉をそのまま使うというよりは、少し解釈して書き下していきたいと考えております。 それから、2点目の、防災科研だけがやるのではなくて、外の知見、大学・企業等の知見なり人材を生かしていくべきという指摘については、まさにそのとおりでして、我々としても、総合知の拠点というのを目指していくに当たっては、外の方の知見なり能力といったものをどうやったら生かせるのかという辺りを考えていきたいと思っております。計画の中でそこら辺の役割分担をどこまで書けるのかというのはちょっと難しいところはありますが、ただ、今、我々、こういった計画を基に、具体的な事業、プロジェクト的なものの検討を中でも議論しておりますけれども、その中では、まさに目黒先生から御指摘があったように、防災科研としてできるところと外にお任せするところの役割分担というのをある程度明確に考えた上でプロジェクトを検討しなければいけないという意識の共有はさせていただいているところですので、そういった考え方で今後とも引き続き、御指摘を踏まえた検討を進めていきたいと考えております。【目黒委員】  近年では、我が国の防災研究において、予算の多くの部分が防災科研を中心としてつくりこまれて、結果として防災科研を中心に研究が回っているという印象を受けます。しかし私は、関係者に、このような印象を持たれない工夫をしたほうが、結果的に防災科研がうまく回っている、あるいは回っていくと思われると感じます。防災科研の皆様の頑張りの成果ではあるのですが、最近はいろんなものが防災科研に集中し過ぎて、防災科研とあまり関係のない大学の先生方とか、民間の防災研究者たちが、防災科研に対して良くない印象を持っているというに声も聞こえるので、この点はぜひ注意したほうがいいという趣旨で先ほどのコメントを申し上げました。 以上です。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございます。【上村主査】  ありがとうございました。拠点ということですから、いろんなリンクを含めての拠点というところのニュアンスで、大いにセンターとしてやっていっていただけるといいかと思います。ありがとうございます。 それでは、前田委員、よろしくお願いします。【前田委員】  NTTの前田です。お世話になっています。ちょっとコメントがございまして、資料3の3ページに「デジタルツイン技術を駆使して」という言葉を書いていただいて、非常にいいなと思っているのですが、ここの3)のところの総合的な研究、デジタルツインを使ってシミュレーションをいろいろやって、「総合的な」というところが具体的に全然書かれてないので、ここをもう少し具体化されたほうがいいかなと思いました。というのは、環境問題とか気候変動もあるのですが、デジタルツインの世界でいろいろシミュレーションして検討すると、今までのシミュレーションとは違って、サイバー空間上でいろいろ未来予測をするわけですから、未来変革の方向の計画もできると思うのです。今、どう見てもこの資料は防災という感じで、私から見ると、何かが起きるのでこうしなきゃいけない、起きたからこうしようって、受け身に全部見れるのですけど、デジタルツインの世界に行けば、受け身ではなくて、プロアクティブなことが可能になってくると思います。なので、先ほどの「総合的な」というところにそういった点も書き加えて、ぜひそういった検討を進めていただけると、地震はちょっと無理なんでしょうけど、気象に関しては、こういうところがこう変わってくると気象も変わってくるんだというような、プロアクティブな対応ができるようになるかと思いますので、ぜひそういった観点も入れていただければと思った次第でございます。 以上です。【上村主査】  ありがとうございます。 西田部長、コメントございますでしょうか。お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございます。前田先生の御指摘のとおり、まさに我々としてもプロアクティブ防災といったものを目指したいと考えておりますので、デジタルツイン技術を生かした形で、ぜひ検討をしていきたいと思っております。ありがとうございます。【前田委員】  よろしくお願いします。【上村主査】  防災科研も、今期というか、前期というか、攻めの防災という言葉をかなり積極的に使われていたような記憶があるのですが、まさに攻めの防災のニュアンスをぜひ残してくださいという御意見かと思います。ありがとうございます。 それでは、大湊委員、よろしくお願いします。【大湊委員】  資料3の9ページ目に「バックキャスト的に検討」と書いてあるところを出していただければと思うのですが、これは結局、防災科研だけでなくて、日本の社会としてどんなものが理想像かというところから始めて、だんだん左に落とし込んできたという話だったと思うのですけれども、もう既に今の中長期計画で防災科研はいろんなことをやられていますよね。今やられているものを今後も継続するというやり方と、今回やったみたいに、まず理想像をつくって、そこから何が必要かというのを考えて、そこでどれができそうかと考えるという、二つのやり方があると思うのですけれども、今回やったような理想像からやってくると、やらなければならないことがたくさん出てくるじゃないですか。その中で自分たちは何ができるかというのを探すという手順だったという説明だったと思うのですけれども、そのときに、今やっていることであっても、それよりももっと優先度が高いことを、必要なことをやるために、今やっていることをやめるというふうな判断もするぐらいの覚悟でこういう手続で計画を立てようとしているのか。それとも、今やっていることをやめるのはなかなか難しいから、結局のところ、今やっていることも目指すべき社会の重要な要素をやっているのだから続けなきゃいけないんだという、今やっていることを続けるための理由づけに使うのかというのは、同じやり方でも大分違うと思うのですが、今やっていることを相当入れ替えるような覚悟があっての中長期計画なのか、それとも、そこまでは難しいから、新しいこともある程度始めるけれども、今既に始めている、動いている、成果を出しつつあるものの意義づけのために使うとか、その辺はどういう重みづけでこの考え方をしたかというのをちょっと説明してもらえませんでしょうか。【上村主査】  では、西田部長、よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。大湊先生、大変厳しい御質問をいただきましたが、まさにそのとおりでして、我々は今、理想を掲げてやらなきゃいけないことという形で新しい取組というのを中心に検討をさせていただいているのですけれども、実際にこれを防災科研としてできることという形にまとめ上げるところが非常に大変だと我々も認識しております。そういった意味で、今やっていることを発展し継続していくというところも当然あると思いますし、あるいは、今やっているところについては、今、我々が考えている新しい取組の中に入れ替わっていくというところも当然あると考えております。そうした意味では、我々の心としてはあくまで、新しい取組というのを打ち出しておりますので、できるだけこれが実現できるようにしていくということを考えておりますけれども、予算も研究人材も無限ではありませんので、そういった中で、どう今の研究者の取組や予算と組み合わせて新しい取組を打ち出していくかという辺りは、今、研究者とも膝を詰めた議論をして、これからやらなきゃいけないという話をさせていただいているところです。ただ、気持ちとしては、やっぱり新しいことをやっていきたい。今回、次の計画になるに当たって、新しい方向性を打ち出していきたいと思っております。【大湊委員】  ありがとうございます。中長期計画、7年というのは多分、長いようで短くて、物すごく大きなことはなかなかできなくて、先ほど国難級災害で南海トラフの例を挙げましたけど、2035年というと次の中長期計画が終わったら来ちゃうぐらいの時間スケールじゃないですか。だとすると、説明であったような、やるべきことはたくさんあるけれども、優先順位をつけて、迫っているものから順にやるしかないねということになっちゃうかもしれないし、あと、せっかく目指すべき社会という理想像からスタートしたのだから、そうすると、今、防災科研はやってない、あるいは、今のマンパワー的には厳しいけれども、日本としてはやらなきゃいけないから、そのためにはほかの機関がここの部分を埋めてくれと。そのために防災科研も手伝いますみたいなことをやっているといいと思うのですけれども、まだ計画を立てている途中経過ということですが、すごく面白い、新しいことが出てくるからいいなと思って期待していますので、よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございます。【上村主査】  ありがとうございました。 関連して少しだけコメントさせていただきますが、今回、バックキャストという概念を持ち込まれたというのはとてもよかったと、私も思っています。難しいかもしれないけれども、「こうならなければいけない」というのを掲げつつ、そこに向かってやるべきことを整理し、これまでの蓄積も大いに生かしということで、整理し直す上で非常に重要な概念を導入されたなと思っております。 一方で、目指すべき社会というのは、究極の目指すべき社会というよりは、7年後の目指すべき社会なんだろうと。そう考えると、資料の中で御説明もありました、レジリエントな社会、これは文章としてしっかり定義をされておりますが、7年後に実現できているレジリエントな社会を想像できる程度には具体的に描かなければいけない。そこに向かって何をすべきかということで、7年後に目指すべき社会の像を見せていただけると、こうなるんだな、そのためにはこれをしなくちゃいけないんだなと。また7年たつと次の7年後に目指すべきレジリエントな社会と、アップデートされていくものなのかと思います。この辺り、次回以降に7年後はこういう状態を目指しますという御説明をいただけるようになるとありがたいと思っています。コメントです。ありがとうございました。 それでは、鈴木委員、いかがでしょうか。【鈴木(博)委員】  今日の御説明の中で「あらゆる自然災害」というフレーズが何回か出てきました。パワーポイントの5ページ目の防災科研の取組みに「自然由来のあらゆる種類・規模の災害に対して」とあり、この内容として三つほど枠の中に記載があります。ここで言う「あらゆる自然災害」というのは、具体的にどのくらいの範囲になるのでしょうか?三つ目の枠に中~小規模災害と書いてあり、具体例が記載されていますが、小規模災害にはここにないようなもっと小さい、例えば落石などもあると思います。例えば落石のように防災科研では研究されていないものを対象にするのであれば、部外の機関とタイアップして研究するというようなことなのでしょうか?人的資源もありますので、あらゆると言いつつ、どこかで区切るのか、その辺のイメージを教えていただければと思って、御質問させていただきました。【上村主査】  それでは、西田部長、お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。ありがとうございます。確かに、「あらゆる種類の災害」というふうに書かせていただいているのですけれども、我々といたしましては、ここに書いてございますような、国難級災害、気候変動など長期的に蓄積する影響、それから、最近、毎年発生するような災害でも激甚化・広域化が進んでおりますので、そういったところへの対応ということで書かせていただいております。ただ、細かい災害までもちろんあるのですけれども、防災科研のマンパワーとかも考えますと、どこまでできるのかというのは、やっぱりプライオリティーを考えざるを得ないと考えております。【上村主査】  よろしいでしょうか。「あらゆる」という言葉のスケール感が難しいですね。【鈴木(博)委員】  先ほど毎年繰り返しているような災害というお話でしたけど、小規模災害と入っているところも気にはなりまして、今、例を挙げた落石みたいなものは毎年毎年至るところで発生するようなもので、この定義だと当てはまるのかなという気もします。その辺、どういうふうに表現されるのが適切なのかはよく分からないですが、イメージとしては分かりました。ありがとうございました。【上村主査】  ありがとうございます。 それでは、森岡委員、よろしくお願いします。【森岡委員】  ちょっと見苦しくて申し訳ありませんが、私は人文社会系の研究の話としてお伺いしたいのですけれども、デジタルツインをつくられるという話で、デジタルツイン的な研究をなさるということなんですが、そこの中にどれくらい社会的なデータが入るのかなというところは、とても興味のあるところです。例えば、携帯電話の発信情報を見ていけば避難行動がどれくらい進んだかも分かるかもしれないし、今、ドローンなんかで基地局を飛ばして、空中移動する基地局を災害時なんかに使えないかなんていう話も出ていますよね。人が移動したときにどういうところに基地局があったら連絡が取れるのかなんていうふうな研究にも、つながっていくと思うんですよ。それから、車の移動データ、これも集められますよね。そういうものを蓄積して、文系というか、人文系の研究と、そして、そこでつくられていく理化学系のデジタルツインとリンクしていくような、そういう仕組みを初めから考えておいたほうがいいと思うんですよ。私たち人文社会系の研究者は、被災地に行って、アンケートを取ったり、いろんな人に話を聞いたりして、点の情報は集められるんです。でも、その点がどれくらいの大きさだったのか、人は、災害が起きたとき、大きな塊としてどう動くのか、なぜそう動いたのか、そこを追求していきたいんです。今回のトンガの津波であっても、宮古島で渋滞が起きています。あんな小さな島だって、渋滞が起きちゃうんです。だったら、津波が何回か起きたらどれだけの渋滞が起こるか、分かりますよね。そういうデータを蓄積して、人文社会系と理化学系の研究者が一緒に議論できるような、そういう研究のベースみたいなものにデジタルツインがなってくれたらいいなあと思って、お聞きしております。そこら辺もお考えになっているかもしれませんが、一応、質問させていただきました。【上村主査】  部長、よろしくお願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。森岡先生、ありがとうございます。我々もまさに、デジタルツインというものの中では、今言われた理学系と人文系とがきちんと融合した形で知見あるいは知恵が出てくるような形の研究開発を進めていきたいと思っておりますので、当然、そういった融合がなされるということを前提に考えていきたいと思います。【森岡委員】  ぜひ、いろんな人文社会系が参加できるようなデータベースになってくれたらいいなと思っております。よろしくお願いします。【上村主査】  このレベルまでデジタルツインと言われるサイバー空間に現実社会が再現できるようになるのか、正直、想像し切れない部分もありますけれども、多分、渋滞のデータだとか、通信のデータというのは、比較的入れやすいほうのデータなんだろうと思うのですね。そういう意味では足がはやく実現できるんじゃないかと、期待をしています。【森岡委員】  それを基に今度はレジリエントな都市計画につながっていく話だと思うので、ぜひこの取組、頑張っていただきたいなと思いながら、お伺いしておりました。【上村主査】  ありがとうございます。 ちょっと絡めて、私のほうで、質問というか、コメントというか、答えられる範囲でお答えいただければと思うのですけれども、今回の計画案の中で「国難級災害」という言葉が繰り返し出てきております。かなり具体的に特定の災害で特定の被害を想定し得るような国難級災害というのをイメージされているのだろうと推測します。「国難級」と言ったときには、災害の規模がどれぐらいではなくて、どれぐらいの方が亡くなるとか、どれぐらいの家が被害を受けるとかよりも一歩進めて、今のような、どういう渋滞が起きるのかとか、物流にどれだけの影響が起きるのかとか、日本の株がどれだけ下がるのかとか、人文科学と言っても非常に広範囲な学問範囲がございますけれども、経済学も含めてあらゆる学問範囲で国難級と言われる災害で何が起きるのかというところをまさに把握したいなというふうに考えます。かなり大きな話になりますので、「国難級災害」というところの想定というか、考え方について、もし何か追加のコメントをいただけるようでしたら、お願いします。 西田部長、お願いします。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。今御指摘いただいた話は、実は防災科研の中でもまさに議論をしているところでして、国難級災害としてどこまで考えるのかという形で、恐らく、南海トラフとか、首都直下とか、そういったところは何の異論もないのですけれども、例えば、火山の破局噴火であるとか、あるいは隕石が落ちてきたようなものまで考えるのかとか、いろんな議論がございます。ただ、我々、事務局といいますか、ここから先は個人的な考え方になるのかもしれないですけれども、国難級災害で何が防災上求められるのかということを考えると、恐らく、県とか自治体レベルだけではなくて、国全体レベルでの対応が求められる。そういった中で、国全体の資本なり、人なり、あるいは防災資材なりを使ってどう対応できるかというところが国難級災害対応に求められることだと思いますので、そういったところをまさに研究開発で円滑にできるようにするということがそこら辺の一つの答えなんじゃないかなと思っておりまして、災害の規模自体を定義するということにあまり労力をかけても、実際起こるかどうか分かりませんので、しようがないのかなと、事務局としては考えているところですが、そこも含めて計画の書きぶりは少し考えていきたいと思います。【上村主査】  ぜひよろしくお願いします。BCPは各企業がどんどん入れていっていますけれども、国難級となると、Government Continuityというか、GCPはどうするぐらいの議論になるのかなと。そうなってくると、まさに総合知、総合的な知を集めてこないと、想定もできないし、この国が傾かないために何をすべきかというのは本当に重要な課題になってくるかなと。すみません、大き過ぎる話でなかなか難しいのですけれとも、ぜひよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。遠慮なく御発言いただいて結構です。 熊谷委員、よろしくお願いします。【熊谷委員】  消防局の熊谷です。いろいろとお話を伺わせていただいて、私は市民代表のような内容になるのですが、骨子案も拝見させていただいて、今後は、データ、研究、システム、いろいろなものが向上していくとは思うのですが、骨子の中にもあるような、例えば、コミュニティに対しては、これからは、向上するというよりも、人口減少や高齢化地域のコミュニティの希薄化が進み、また、行政は職員の削減等が加速していくことも考えられ、そういうところの兼ね合いがすごく難しいと思っております。人文社会系の先生方もいらっしゃるので、実際に、市民、行政が活用できる具体的な検討も引き続きお願いしたいと思っているところです。大きな研究の中ではあるのですが、市民目線としては、今後具体的に市民にどのように下りてくるか、下ろしてくるか、私たち行政が使えるかというところの研究の進捗状況について説明があると、私たちも市民の方に、国ではこういう研究をしているということをお伝えできるのではないかと思っています。 以上です。【上村主査】  ありがとうございます。重要な御指摘をいただいたと思います。コミュニティ、防災が大事、言葉はそのとおりですが、現実、コミュニティの弱体化だとか、行政職員の削減だとか、もっと言うと、過疎化だとか、高齢化だとか、少子化だとか、いろんな意味で社会の側のリソースがこれからますます減っていく、弱っていくという想定は十分にし得るのですね。要するに、社会的背景というところをしっかり踏まえた上でのレジリエントな社会というところを意識して御研究いただきたいというメッセージかなと思いました。 西田部長、いかがでしょうか。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。ありがとうございます。御指摘のとおりだと思っております。これまで防災科研の研究成果というのは、どちらかといいますと、国でありますとか、あるいは県の自治体でありますとか、そういったところを中心に情報提供をしてきたわけですけれども、今言われましたような、これまでの議論の中でも、レジリエンスの主体という意味では、別に国・県や自治体だけではなくて、個人、コミュニティ、企業といったものがあるわけですので、そうしたところのレジリエンス能力を向上させるというのは今の我々の取組の中では若干薄いところであります。これからの新しい方向はそうしたところにもあるのではないかというのは、我々の中でも議論をさせていただいているところです。ぜひ参考にさせていただきたいと思います。【上村主査】  ありがとうございます。全ての主体というキーワード、これも何回も書いていだたいておりますので、いろんな技術、仕組み、行政だとか、そういったものに依存をしてしまって肝腎なときに自立して行動が起こせないというような御指摘も、最近は各所で聞くようになっております。ですから、そういった自助・共助・互助と言われるボトムアップのほうのレジリエントという部分についての促すやり方、その辺りのところについても非常に重要な研究課題になっていくのかなと思って、伺っておりました。ありがとうございました。 そのほか、いかがでしょうか。大体、皆さん、御発言いただいたようですが、2回目の発言でも結構です。 目黒先生、お願いします。【目黒委員】  今、最後にお話があった点について補足したいと思います。まさにおっしゃるとおりで、自助・共助・公助の中で、従来型の公助が主体となって進める公助防災は、少子高齢・人口減少や財政的な制約の中では、今後ますます難しくなってきます。つまりその割合が減っていくということです。なので公助の不足分は、自助と共助で補う必要がありますが、従来のように、自助や共助の担い手である個人や法人の良き心「良心」に訴えかけるは限界です。だから、今後の公助は、公金を使っ行政が行う公助から、個人や法人、あるいはそのコミュニティが自発的に防災活動をし易くなる環境整備として公助に変化しなくてはいけないのです。行政の皆さんは、公助に対しての質的な変化が求められていることを自覚すべきです。 では、具体的にはどうすればいいのかというと、前回の委員会でももし上げたことですが、一つは防災ビジネスの奨励です。防災対策をすることが、物理的にも、金銭的にも、あるいは精神的にも大きなプラスとなる魅力的な防災ビジネスの市場を国内外につくる努力をすることです。社会的な意義があり、高収入な市場には若い優秀な人材が参入し、それが公助が目減りする中で我が国や諸外国の防災活動を維持する方法です。そういう方向に向かっていかないと、我が国の防災は成立しないし、巨大災害までの時間的な余裕はないです。今回の計画が、そのような認識に立ったものになっているか、という視点からは私は不十分だと思います。日本の防災のビジネスの奨励をもっと強く前面に出していくべきです。その時に、重要なキーワードは、この会議でも過去に述べたと思いますが、防災対策への意識の改革で、一つは「コストからバリュー」という考え方、そしてもう一つは、「フェーズフリー」な防災対策です。従来は、行政も民間も防災対策をコストだとみなしているから、継続性が低いだとか、防災対策は実施しているけど、この効果は実際に災害が起こってみないとわからないと言っているわけです。これがコスト型の防災対策で、「一回やれば終わり、継続性がない、効果は災害が起こらないとわからないもの」なのです。しかし、バリュー型の防災対策は「災害の有無にかかわらず、平時から組織や地域に価値やブランド力をもたらし、これが継続されるもの」になります。災害時と平時のフェーズを分けないフェーズフリーな防災対策は、平時の生活の質を向上させることが主目的で、それがそのまま災害時にも有効活用できる防災対策です。こうすることで、時間的・空間的に非常に限定的な災害時にしか機能しない対策に投資しにくいという課題を改善するのです。 また防災ビジネスの市場をつくる上で重要なことは、既存の小さな市場をみんなで食い合うのでは魅力がないので、防災の市場を魅力的に大きく広げることですがポイントになります。しかし、私が防災市場を拡大すべきだと言ってもGDPが急に増えるわけではないので、新しい考え方が必要になります。それは、事業化を検討する際の行う費用便益分析(B/C)において、Cの削減に注意を払ってきた従来の発想を変え、新たなBの掘り起こしに注力することです。従来の限定的で直観的な防災効果に加え、平時利用を含めた新たな便益を考えれば、トータルとしてのB/Cは大きくなるし、GDPの増加が無くても防災ビジネス市場の拡大が可能となります。その意味からは、ここで組まれている防災関連の予算がどう防災ビジネスに貢献するのかという視点から確認していくと、経産省をはじめとする他の省庁も協力するようになります。同様の文脈で、防災科研の人たちが防災予算を組むときに自分たちのテリトリーのことばかり考えていると他への影響力の小さなものになるので、もう少し広い視野で戦略的に考えていただいたほうがいいと思います。少し前の政権で仕分によって、局所最適解を狙うような風潮がありましたが、あれはいい成果につながったのでしょうか。国民にとっては公のお金は、単体の特定の目的のみならず、様々な意味で有効活用されたほうがいいわけなので、ある省に関わることは他の省は関わっていけないなんて言うのではなく、トータルとしてグロスベネフィットが最大になるように考えたほうがいいので、ぜひそのように考えていただきたいと思います。 以上です。【上村主査】  ありがとうございます。減っていくリソースを補うためにも、民間ビジネスとしてある部分の防災が担われるようになっていく。さらに言うと、もっと人々の日々の生活が豊かになる、幸せになるというところまで見せた防災というところ。それを、各セクターではなく、横断してみんなでしっかり考えていくべきだということかなと思います。 西田部長、何かコメントございますか。【西田防災科学技術研究所企画部長】  ありがとうございます。まさに御指摘のとおりだと思いますので、我々としても、ぜひそういった方向に伸ばしていければと思っております。【上村主査】  資料3の4ページの真ん中よりやや下にあるのですが、(3)に「自然や社会の状態を踏まえたレジリエンスの定量評価手法の開発」と書いてありますけれども、まさにレジリエントな社会って何なんだと、どうやってそれを継続するんだと、この辺りがダイレクトに効いてくるような気がして、聞いておりました。この辺りでどういうものに注目していったら本当にレジリエントになるのか、それは平時であってもちゃんと計測できるものとして指標がしっかりと定義されていくといいのかなと思っております。 目黒先生、ありがとうございました。 今の絡みで、各省庁の横のつながりというお話もありましけれども、もし差し支えなければ、今日御参加いただいております内閣府防災の方のほうで今までの議論に関連してコメント等あれば、無理には申し上げませんが、お願いします。いかがでしょう。【内閣府防災(風見)】  内閣府防災の風見と申します。ありがとうございます。先ほど御発表いただいたものの中で、私どもと防災科研さんとで共に進めております災害時情報集約支援チーム(ISUT)の関係の話で、次の7年も注力して取り組んでいただくという方針が示されていましたので、とてもありがたい次第でございます。私どもも、SIP4Dを活用させていただくとともに、災害時にどうやって情報流通していくべきかというような観点で防災デジタルプラットフォームという検討をデジタル庁様と取り組ませていただいております。防災科研さんの今後の取組についても、ぜひ、防災研究の継続、社会実装、あとは、先ほど申し上げたISUTの活動についても、引き続き御協力いただきたいと思っております。 以上です。【上村主査】  急に振ってしまいまして、失礼いたしました。【内閣府防災(風見)】  ありがとうございます。【上村主査】  この辺り、関連でもし御発言あれば、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 よろしいでしょうか。 では、小室先生、よろしくお願いします。【小室委員】  恐れ入ります。2回目ですが、発言させていただきます。委員の小室です。先ほどの熊谷委員の御発言に続いてということで、コメントさせていただきます。 目下、デジタルツインというのが非常に強調されております。となりますと、人文社会系の学問では、データ化しにくいもの、まだデータ化されていないもの、あるいはしにくいもの、もしかしたらされないもの、そういう質的なものもあると思うんですね。ですから、総合知と言ったときに、デジタルツインを強調するのはすごく大事なんですけど、そこにまだ至らないもの、あるいは、もしかしたらしにくいものもあるというところ、そこもちょっと考えに入れていただくべきことかなと思いましたので、コメントです。 以上です。【上村主査】  小室先生、例えばで結構ですが、データ化しにくいというのは、どんなものがありますでしょうか。【小室委員】  例えば、データ化できるという御意見もあるかもしれませんけれど、人が避難をするか、しないかというときに、どういう要素があれば避難するか。もちろん、それはアンケートを取っていろいろデータは出てきますけれど、では人が判断をくだすときの心理的メカニズムは複雑で、データで解析しきれていないと考えております。 あるいは、先ほど熊谷委員が少し触れてくださったように、コミュニティの特質というのもあると思うのですね。大都市、地方、山村部、農村部で、違うコミュニティの資質があり、それはまだデータ化されていないかもしれない。これからできるのかもしれませんが、現状のところで必ずしも全てがデータ化されているのではないのではないかと感じております。【上村主査】  ありがとうございます。多分、その御指摘はすごく重要で、なかなかデータ化し切れていないとか、あるいは、そもそもできないんじゃないかとか、そういうものを、それこそ人文社会の先生と、ある種、最近の理系の、データマイニングだとか、ビッグデータだとか、データサイエンスだとか、そういう先生方がもし協力したときに、こういう可能性があるよねという議論が広がっていくとすると、私なんかはすごくわくわくするんですけれども、小室先生、いかがでしょうか。【小室委員】  逆に言えば、そこにギャップがあると感じております。私などは、データマイニングするためにはどうしたらよいかなんていう発想には至らず、入力できないんじゃないかという思い込みがあると感じます。【上村主査】  そうですよね。だから、まさに総合知というのは、今まで難しかった問題に踏み込んでいくのにすごくいいチャンスじゃないかなと思っているんですね。その辺りの意思決定のプロセスとか、人間という理不尽な生き物の意思とか、気持ちとか、不安とか、感情とか、そんなものがどんな要因に支配されるのかという研究の知見をベースにしたときに、もしかすると計測し得るデータである程度予測ができるのかもしれないとか、可能性の広がりをすごく感じるんですね。ぜひ先生方から、こんなことはできないのかという御意見をいただけると、みんなが知恵を出し合って、こんな可能性はないかななんていう広がりが出てくる気がするんです。ぜひよろしくお願いします。【小室委員】  こちらこそ、よろしくお願いします。ありがとうございました。【上村主査】  せっかく御発言いただいたので、この辺りのデータというところで、さっきの、DIKWだったでしょうか。 ああいうモデルで言うと、入り口がどうしてもデータになってしまっているのですけれども、データにならないデータをいかにデータにしていくかというところも一つの課題になっていくのかなというような御指摘かなと思いました。この絡みで、関係で、何か御発言ある方はおられますでしょうか。 よろしいでしょうか。 もうちょっと時間がございます。2回目、3回目、遠慮なく御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。今日は割と時間がありますので、たっぷりと議論ができます。【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。内閣府の防災担当に加えて、科学技術政策担当の方も参加されておられますので、御意見を伺えますと幸いです。【上村主査】  ぜひよろしくお願いします。【中北委員】  すみません、中北です。関連で先に申し上げたかったことがあるんですけど。【上村主査】  では、関連ということでそちらから先にご発言をお願いします。【中北委員】  目黒先生もおっしゃっていた内容なんですが、少ない予算をどう有効に活用して、より防災関連のパイを増やすということなんですけれども、今回の予算とか、あるいは、JST絡みの未来社会であったりとか、ムーンショットであったり、SIPであったり、いろんなものが掲げられているのですが、今、どうなっているか分からないので、もちろん、そうだったら、それでいいのですけれども、全体的に最適化していただいて、それぞれの中での面白いだけじゃなくて、統合的にそういう公募を考えていくということをぜひこれからより進めていただければというふうに少し思っていたので、ちょうど今、目黒先生がおっしゃったので、私も賛同の意見を述べさせていただきました。内閣府の方も皆さんいらっしゃるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。【上村主査】  いろんなスキームでの予算という部分、個別最適じゃなくて全体最適のような考え方はいけないのかなという御指摘かなと思いますが、この辺りを絡めて、内閣府科学技術政策担当の方からも、そこに限らなくて結構ですが、コメントをいただければと思います。いかがでしょうか。【内閣府科技(近藤)】  内閣府科技の近藤と申します。ビデオがオンにならないので、音声だけで大変失礼いたします。 私、内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局というところで、PRISMというプログラムの窓口をしております。そこに、防災科研、文科省、御参画いただきまして、年間を通して研究開発を進めているところでございます。今日、この会議に初めて参加させていただきまして、実は別の会議とバッティングしておりまして全部を聞き切れてないところもあるのですが、私の観点から質問をさせていただければと思います。 私は、防災というところも一部、研究開発の中身にはなっているのですが、どちらかというとインフラ部門のところの担当でして、どちらかというと災害時というよりも平時のところのインフラをいかに強くするか、いいものをつくるかといったところが、割と専門というところになっています。インフラの分野につきましてもデジタルツインという言葉は同じように出てきていて、今後、どうやっていくのかというところの入り口に立っているかなというところですが、今日いただいた資料なんかを拝見させていただきますと、デジタルツインというのはデジタルデータを基にしてサイバー空間上にいろいろ実空間を再現していくという中では、センサーというところは非常に重要な技術かなと。同じところにもインフラは課題として立っているかなと思うんですけれども、これまでの知見、あるいは今後やられていく研究開発の中で、センサーに関しては、これまで非常に課題であったことであるとか、今後、どのようなことを進めていくかとか、我々はどういったところから手をつけていいのかなというのがちょっとあったものですから、もし知見などありましたら、ポイントとなるようなことが、考えられていることがありましたら、教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。【上村主査】  これは西田部長にお願いしていいのでしょうか。【内閣府科技(近藤)】  雑多な質問で申し訳ありません。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。まさに、災害対応という意味でセンサーというのは初動対応で非常に重要だと思っております。現在でも様々な、地震計はもとより、衛星も使った様々な観測技術を使ってやっているわけですけれども、これらについても、高度化なり、新しいやり方というのはぜひ研究開発していく必要があるのではないかと考えております。今の観測網もだんだん老朽化が進んでいく中で、単に更新ということを考えるのではなくて、新しい研究開発を進めつつ代替していくという観点も必要ではないかと、そういった観点も次期中長期の中ではぜひ検討していきたいと考えているところです。【上村主査】  センサーという部分も当然重要なんですが、センシングという考え方で、今も既に、様々な機関が持っているデータを集めてきて、うまく集約をして活用すると。さらには、様々な情報を適切に加工しながら防災情報としてうまく生かしていくという動きは出ておりますし、センサー自体もどんどん性能が上がって安くなってという状況もありますので、その辺り、技術開発の動向等を見ながら、引き続き研究に組み込んでいっていただければなと思います。ありがとうございました。【内閣府科技(近藤)】  ありがとうございました。【上村主査】 そのほか、いかがでしょうか。【福田防災科学技術推進室長】  失礼します。事務局でございます。今日出席されている委員の中で、前阪委員と三隅委員はまだ御発言いただいていないようでございます。【上村主査】  ありがとうございます。今日は時間がありますので、ぜひ御発言いただければと思いますが、前阪委員、いかがでしょうか。【前阪委員】  特に質問という趣旨ではないのですけど、今現在、コロナ感染状況が割とピークに近い状況、その中で、企業のBCPといいますか、社会活動制限の話が、昨今、本部会議の中でよく出ます。今回の防災科研の話の中でも、持続可能なレジリエンスの話、必ずしも公共自治体だけじゃなくて、企業におけるレジリエンス能力の向上とか維持というのは大きなテーマの一つになっているのかなと思います。もしかしたら、自然災害だけじゃなく、今回のコロナの件で学べるところというのは、特に人間行動についても大きく何かあるのかなと思っておりまして、そういうのも何らかの参考になれば自然災害においても活用できるのかなと思っておりますが、別に質問というわけではございません。よろしくお願いします。【上村主査】  ありがとうございました。 西田部長、手が挙がっておりますね。どうぞ。【西田防災科学技術研究所企画部長】  企画部長の西田です。ありがとうございます。まさに企業に向けた、災害対応といいますか、事業継続性の対応というのは、これから重要課題だと思っています。先ほど目黒先生から話があったように、防災だけの目的だとどうしても非経済的なものになりますので、いかに普段の事業に使え、かつ防災にも活かせるという観点が対企業では重要ではないかと考えております。そういった意味で言うと、我々が持っているデータもできるだけ企業に使っていただく形というのを考える必要があると思っているのですが、ただ、そうなりますとデータのビジネス利用的な観点になってしまいますので、今まで我々が研究として使っていたデータの使い方と、ビジネスとして使うという話とは、ちょっと話が違ってくるということもあります。今、我々としては、I-レジリエンスという、我々の研究成果をビジネスとして使うための新会社を新たに立ち上げたところでもありますけれども、そういった形での利用というのも、関係者とも話合いながら工夫していきたいと思っているところです。【上村主査】  ありがとうございます。感染症の話もありましたけれども、自然現象とは全く違いますが、コロナ感染という、我々の経験といいましょうか、こういうものの中で災害対応との類似性というところも多々あるような気がしておりまして、学ぶべきことはすごくたくさんあるな思っております。感染症はちょっと違うとはいえ、そこで得られる知見というところをしっかりKNOWLEDGEとかWISDOMにしていただいて、生かせるところは生かしていただければなと思います。ありがとうございました。 それでは、三隅委員、よろしくお願いします。【三隅委員】  三隅でございます。私も防災科研の職員として、今日、いろんな先生方の御意見を拝聴させていただきました。今回、西田部長から説明されたことというのは、目指すべき社会を考えて、そこからバックキャストで作ったということで、正直申し上げますと防災科研内部の職員にも戸惑いがある部分があります。というのは、今までやってきたことの継続では必ずしもないということで、改革しようとすると抵抗勢力というのは必ず出てくるわけですけれども、実際、このとおりに進めようとするところでまたいろいろと内部で議論がある可能性があります。ただ、世の中の動きって非常に速くなっていますので、常に改革していかないと世の中の動きから外れていってしまいますから、これでいいんだとは思うのですけれども、いろんな先生方から御指摘があったように、自分たちだけではできないことは積極的に外の先生方を巻き込んで、ですから、今、骨子を作って、これをどう進めていくかという具体的な話をするときには必ず外の先生を入れてやっていかないと多分もたないのかなという感じがしております。 以上です。【上村主査】  ありがとうございました。新しいことをやるというときには、いろんな乗り越えるべき壁が出てくるということです。目指すべきところははっきりしておりますので、そこに向かっていろんな方の力をお借りしてというお話かなと思います。ありがとうございました。 そのほか、いかがでしょうか。もうちょっと時間がありますので、言い足りない部分があったということであれば、御発言をお願いします。 よろしいでしょうか。 若干、時間は残っておりますけれども、今日は、御参加いただいた委員の先生方は全て御発言いただきましたし、かなり活発に踏み込んだ議論をさせていただいたかなと思います。 防災科研の西田企画部長をはじめ、参加いただいた皆さん、本当にどうもありがとうございました。 それでは、本議題に関する意見交換はこの程度にとどめたいと思います。事務局においては、本日いただいた意見を踏まえ、今後の委員会の運営や防災科学技術政策の現状等について検討を進めていただければと思います。 それでは、事務局より、連絡事項等ありましたら、お願いします。【福田防災科学技術推進室長】  事務局でございます。次回の委員会の日程につきましては改めて御連絡・御相談させていただきたいと考えておりますが、事務局といたしましては、基本的には本年度における本委員会の開催は今回をもって終了とさせていただき、次回の開催は次年度に入った段階での開催を検討させていただきたいと考えております。 併せて、委員の皆様には既に御説明・御了承いただいたところでございますけれども、本委員会における研究評価に関しましては、本日、参考資料としてお配りしております「防災科学技術に関する施策マップ」に記載のとおり、昨年4月23日に開催した第49回の委員会でお認めいただいているところでございます。このうち、この紙の右下のほうにございますが、「南海トラフ海底地震津波観測網の構築」につきましては、今年度、中間評価を実施するとされているところでございますが、現在、本事業の進捗等につきまして技術的な整理を行っていることから、この中間評価の実施につきましては改めて御連絡をさせていただきたいということとともに、このマップにおける表記の上では、今は中間評価の実施を今年度というふうに書いておりますが、来年度行う形で記載させていただきたいと、このように考えております。 事務局からは、以上となります。【上村主査】  ありがとうございました。 最後になりますけれども、委員の方から、もう一言発言をしたいということがあれば、伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 よろしいでしょうか。 それでは、以上をもちまして、本日の委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。―― 了 ――

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