外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】まず、本日夜から5月15日まですが、G7外相会合に出席するためにドイツのヴァイセンハウスを訪問をいたします。
 今回の会合では、ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の諸課題について様々な側面から議論がされる予定でございます。
 国際情勢の不透明さが増す中で、基本的価値や原則を共有するG7の連携は益々重要になっておりますが、特にウクライナ情勢をめぐり、今年だけでもG7外相会合は既に6回開催されておりまして、日本は、アジア唯一のG7メンバーとして、G7としての政策調整や対外発信に貢献をしてまいりました。
 今回の会合は、ロシアによるウクライナ侵略の発生前から予定をされておりました3日間にわたるものであり、日本としては、ウクライナ情勢のみならず、インド太平洋における諸課題等、様々な論点についてG7のカウンターパートと率直な議論を行い、改めてG7としての連携強化を図りたいというふうに考えています。

 それから2件目でございますが、今年の5月15日は、1972年の沖縄の本土復帰から50周年の節目の日となります。
 沖縄は、先の大戦において悲惨な地上戦を経験し、また、1952年のサンフランシスコ平和条約の発効以降も、20年間の長きにわたり、我が国の施政権の外に置かれるという苦難の歴史を刻みました。
 このような苦難を耐え抜かれた沖縄の方々の心情に思いを致すとともに、今もなお、大きな基地負担を背負っていただいている事実を重く受け止めております。外務省としては、沖縄の基地負担の軽減に、引き続き全力で取り組んでいく考えです。
 戦後、日米は一貫して、相互理解と友好信頼関係を増進させてきました。今やその強固な同盟は、日米のみならずインド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の礎となっております。引き続き日米で緊密に連携し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現と国際社会の諸課題に積極的に取り組んでまいります。
 外務省としては、この50周年を記念する事業として、「『沖縄返還協定』の原本の外交史料館における特別展示」、そして「『日本外交文書』の「沖縄返還」シリーズ第1巻の編纂・刊行」、及び「米国における琉球泡盛を中心とした沖縄の産業振興」を行います。これらの事業が、沖縄返還の歴史に改めて思いを致すとともに、沖縄の魅力を世界に発信する契機となることを期待をいたしております。

 また3件目でございますが、昨日、イエメンに対する人道支援として1,000万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定をいたしました。7年以上紛争が続き、「世界最悪の人道危機」に直面するイエメンでは、多くの国民が食料不足の状況にあり、ウクライナ情勢を受けた食料価格の高騰等の影響により、人道状況の一層の悪化が懸念されております。
 今回の支援は、WFPを通じてイエメンの人々に対して食料支援を行うことで、緊急の人道ニーズに対応するとともに、グランドバーグ国連事務総長特使の仲介努力によって実現した停戦合意、これを支えるための取組の一環として行うものであります。日本政府は、この機会に、改めて全ての関係者に対して、停戦合意の遵守を呼びかけます。
 日本政府は、イエメンの人道支援に積極的に取り組んできておりまして、今後も、国連及び関係国と連携しつつ、引き続きイエメンの平和と安定の実現に取り組んでいく考えでございます。

質疑応答

【記者】オーストラリアの公共放送が、中国の王毅外相が近くソロモン諸島を訪問する可能性が高いと報じました。中国とソロモンは先月安保協定を締結したと発表しています。今回の王毅外相の訪問に対する受けとめと自民党部会では太平洋諸国のプロジェクトチームが発足などしています。中国が太平洋島嶼国での影響を強める中、今後どう対応していくのか、教えてください。

【林外務大臣】王毅国務委員についての報道は承知しています。ご指摘を含めて中国の関連動向については注視しているところでございます。太平洋島嶼国地域は日本と豪州を繋ぐシーレーンと、インド洋から南シナ海を抜けて太平洋へと抜けるシーレーン、これが交わる戦略的に重要な地域であります。我が国としては、従来から、太平洋・島サミットの開催等を通じて、太平洋島嶼国との間で率直な意見交換を行ってきたところでありまして、今後も各国のニーズに寄り添いながら、オールジャパンでの取組を強化していく方針でございます。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、引き続き、米国、豪州、そしてニュージーランド等の同志国とも連携しながら、太平洋島嶼国との協力を推進していきます。私もフィジーとパラオを先般訪問して、有意義な議論を行ったところでございます。

【記者】ウクライナへの要人の派遣と、大使館の再開について伺います。各国の首脳や外相などがウクライナ現地に入りまして、ウクライナへの連帯を示すために訪問が行われていますが、日本の政府として要人の派遣の検討を行う可能性はありますでしょうか。また、キーウでの大使館再開、こちらについても各国動きが出ていますけれど、日本の大使館の再開の見通しについてもお願いします。

【林外務大臣】ロシアの侵略を受けまして、我が国のウクライナとの連帯を示すべく、これまで、首脳電話会談に加え、私自身も、累次にわたってクレーバ外相と電話会談や対面での外相会談を行ってきているところでございます。その上で申し上げれば、ロシアによる侵略を一刻も早くやめさせるために、G7を始めとする国際社会とも連携しながら、現地の状況も踏まえつつ、総合的に勘案し、我が国としての対応を不断に検討していく考えでございます。
 また、大使館の再開についてですが、現地情勢について情報収集を行うと共に、現在、在ポーランド日本大使館及びジェシュフ連絡事務所を拠点としてウクライナにおける在留邦人に対する情報提供や安全確保、出国支援に最大限取り組んでいるところでございます。在ウクライナ大使館の再開については、引き続き、現地の情勢などを不断に注視しつつ、総合的に検討してまいりたいと考えております。

【記者】東アジアの安全保障情勢についてお伺いします。今月に入ってから、中国の空母が連日艦載機の訓練を行っていますけれども、G7外相会合では、この東アジアの安全保障についてどのように説明されるのか伺います。

【林外務大臣】今回の会合では、ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の諸課題について様々な側面から議論される予定でございます。その中で、中国についても話題となることが予想されますが、現時点で議論の内容について予断することは差し控えたいと思います。その上で申し上げますと、今、御指摘のあった中国軍の活動、これは、太平洋等のより遠方の海域、また、空域における統合作戦遂行能力を高めるための活動である可能性がありまして、政府としては、中国軍の我が国周辺海域における動向について、引き続き注視をしていく考えでございます。

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