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令和4年5月10日(火曜日)
教育

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教員不足への対応について、教員免許更新制の発展的解消、私立学校法改正法案について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年5月10日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年5月10日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年5月10日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。記者会見、始めさせていただきます。
 今日は私からは冒頭発言ございません。よろしくお願いします。

記者)
 1問、お伺いします。教員不足に関してなんですけれども、昨日、教員経験者らの皆さんが、教育不足への対応を求めるとして記者会見を開きました。で、この間、大臣のお話にあった特別免許状の活用ですとか、今進めている働き方改革と併せて、制度面では、義務教育費国庫負担制度に関して、国の負担を1/3から1/2にまた戻すことですとか、あと、教員に占める非正規教員の割合に上限を求めることなど、そういう抜本的な改革も提案されました。特に、国庫負担割合に関しては、国が教員確保に責任を持つとか、教員採用の地域格差を埋めるという意味でも重要かと思われるんですけれども、これらの2つの提案に関して大臣の見解をお聞かせください。

大臣)
 昨日「#教員不足をなくそう緊急アクション」のメンバーの先生方がお見えになりまして、記者会見をされたということを伺いました。昨日示されました「緊急提言」につきましては、今、記者さんから話がありましたように、子供たちのための教員不足の状況を改善したいという思いでご提言をいただきました。いろんな面でご意見をいただいたり、ご心配をおかけしております。本当に、常日頃のご苦労に感謝を、私の方から、まず申し上げたいというふうに、先生方に思ってございます。その上ででございます、義務教育費国庫負担制度というのは、地方公共団体の財政力の差によって教育水準に格差が生じさせないために、教職員の給与費について、国が義務教育費国庫負担金として1/3を、そして、都道府県と政令市に所要の地方財政措置を踏まえて2/3を、それぞれ負担することで、教職員給与費の全額を保障するということを決めております。極めて重要な制度でございます。義務教育費に係る費用の国の負担割合の在り方についてですけれども、国と地方の役割分担や財源配分の在り方をどのように考えるのかという重要な課題であるために、政府全体としての検討が求められる課題であるという、そういう認識をいたしてございます。というのも、私が当選して間もない平成18年に、実は、この義務教育費国庫負担金の国庫負担割合、1/2から1/3に引き下げられたんですけれども、その際、地方分権の観点から、国と地方の役割分担を整理、国から地方への税源移譲、8,500億円だったと思うんですけれども、これが行われた経緯があるんですけれども、それは、自民党の文教部会でですね、大論争があったことは十分記憶をいたしてございます。すごい長い時間をかけたという記憶がございます。従って、この負担割合を1/2に戻すということにつきましては、相当の再整理が必要であるという認識がございますので、先生方から、いろんなご意見、こうやったらどうかというご提案をいただいておりますんですけれども、非常に、この時間を要する、しかも、十分な検討を要する話でございますので、政府全体として受け止めなきゃならないテーマになってまいります。2につきましてですね、公立学校の教員のこの任用、配置につきましては、任命権者であります教育委員会の権限と責任に基づきまして行われておりますけれども、全国的に見ましたら、記者さんもご存知だと思うんですけれども、義務教育の義務標準法に基づきまして、教員定数に対する正規教員の割合が9割を超えておりまして、この割合そのものは、近年は、大きくは、実は変化をしていないんです。もちろん充足もされております。全体としては、教員としては101. 8%ですね、全体としては充足をされておるんですけれども、でも、正規教員として最近を見た場合には大きく傾向は変わりませんけれども、平成のときから、92.9%、そして臨時的任用教員としてですね、7.3%あるんですけれども、ただ、これは平均でありまして、表で見ましたら、例えばこう、相当凸凹が、各県生じてございます。臨時的任用教員の先生が多いのは沖縄であるとかですね、例えば鹿児島も大きいし宮崎も大きいように思います。そういうような状況で、かなり都道府県に差があるという状況でございます。ばらつきがございますので、文部科学省としては、特に、臨時的任用教員の割合が大きい自治体につきましては、それぞれの事情や今後の見直しをどうやっていくのかということにつきまして、状況を把握しながら、ご提案の点も含めまして、効果的な方策というものを、これをしっかりと検討していきたいという、そのことを、今、文部科学省として考えているところでございます。なお、各教育委員会が見通しを持って教員採用計画が作成できるように、文部科学省においては、小学校における35人学級の整備であるとか、高学年の教科担任制の推進など、引き続き定数改善を計画的に進めるとともに、各教育委員会に対して、より一層計画的な、まずは正規教員の採用・人事配置を行っていただくように、引き続き強く促してまいりたいと、そういうように考えております。これが、文部科学省、私の考えでございます。

記者)
 1点質問します。教員免許更新制を廃止する関連法案の国会審議が大詰めを迎えています。成立すれば7月に更新制を廃止して、来年4月から新たな研修制度がスタートします。国会では新制度について様々な指摘もありましたが、更新制を廃止しても、教員の質を確保し向上させていくためどのように取り組まれるのか。特に、ガイドラインなどにどのようなことを盛り込み現場に浸透させていくのか、スケジュール感を含めて、お考えをお聞かせください。

大臣)
 今回提出をいたしました法案では、これからの時代に必要な教師の学びを実現をさせるということとしまして、これに伴いまして、教員免許の更新制を発展的に解消することにいたしました。いろんな意見がありますけれども、発展的解消については、賛同される先生方が多いかなというように認識をいたしてございます。様々な分野で予測のできない非連続的な変化が起こっていく時代です。用意されていない時代でもありますし、回答のない時代でありますから。これはもう、記者さんの方が表現力が豊かだと思うんですけれども。教師自身が、こういった時代に継続的に新しい知識とか技能というのを学び続けていくことで、子供一人一人の学びを最大限に引き出すということが一番大事なことでありますから、その上で、教師自身が一層やりがいを感じて、教職生涯をより充実したものとなるようにというように考えてございます。法案の成立をしました後はですね、改正内容を踏まえまして、お話がありましたように、個々の学校現場や教師のニーズに則した新たな研修システムを整備することで教師の質の向上に取り組んでいきたいという、これは中央教育審議会の答申にもうたわれておりますので、このことを、今、提案をいたしているところでございます。今回の法改正に伴いまして、文部科学大臣が定める資質向上に関する「指針」の改正とかですね、それに基づきます「ガイドライン」を新たに設定することを予定しております。この中で、特に学習指導とか生徒指導等に加えまして、特別な配慮・支援が必要な子供への対応、特別支援、非常に、自閉症の子供たちも増えてきましたので、予想以上の増加でございました、支援を求める子供たちが多ございます。こういったことであるとかですね、これは、現場の先生方とも意見交換を、結構、私もさせていただきましたけれども、やはりICTとかデータ利用を活用して欲しいということで、どうしたらいいんだという声もあるんですけれども、こうしたICTやデータ利活用を資質能力の柱としてですね、明記をしていくほか、研修等に関しまして、記録内容や校長による指導助言の方法などを定めることにいたしているところでございます。特に、研修につきましてはですね、様々な意見がまだございますし、今日も委員会で意見を頂戴しなきゃならんと思っておりますので、この夏に具体的な内容を示せるように検討いたしていきたいと、そのように考えているところでございます。

記者)
 教員不足の話題に戻ってしまうんですけれども、昨日の会見で長期的な対策だけでなくて、目の前に、この4月で教員不足が発生して非常に困っているという意見が現場から寄せられているという話がありまして。文科省からも、特別免許の活用を促したりとか、大臣から各地方の方に直接対応されたりとか、いろいろやられているとは思うんですけれども、更に加えて何か対策を追加したりするご予定があるのか。例えば昨日だと、休眠状態にある方のリクルートをもう少し強化した方いいんじゃないかとかアイデアはあったりしたんですけれども、当座の教員不足を解消するために何か追加的な対策を考えておられるか、お願いします。

大臣)
 4月28日にですね、記者さんも入っておられたと思うんですけれども、都道府県あるいは指定都市の、教育長さんですね、が集まっていただきまして、会議を臨時に開かせていただきました。オンラインで結びました。そのときに、今ご指摘がありました、特別免許状の積極的な活用とか、教員養成大学等とですね、連携をいたしまして、卒業生とか同窓会に情報提供をしてほしいということ。それと、離職された先生方や免許状を有する社会人の任用など、ありとあらゆる手段を講じて教師の確保に取り組んでいただきたいということを直接要請をいたしました。任命権者であります都道府県教育委員会においては、教師の確保に全力で取り組んでいただきたいと考えております。それとですね、これはもう、私が、それこそ30年以上前、県議会議員をずっとやっていたわけですけれども、やはり教員採用選考試験、これを早期化を図るべきじゃないか、あるいは複線化を図るべきじゃないかと思っておりますんですね。民間企業が、卒業予定者ですね、就職希望者を先に内定を出してしまってから、まだ、試験をやっているというようではね、時代にやはりマッチしてない、追いついていないと思うんですよ。やはり、人材として、教育界も、良い人材がやっぱり必要であれば急ぐべしと、そういう考え方でございますから、これを1つ、中教審から方針が述べられるでしょうけれども、私としては、早期化というものを、3年に一応試験を受けていただいて、4年生になってから内定をしていくということになろうかなという、そういう想定もあるんですけれども、早期化を図って、やはり、人材について獲得していくということ、悠長なことを言っていては駄目ということ、そういうことを考えておるところでございます。特別免許状につきましては、220件ぐらいですかね、先生方、20万人の方々が毎年採用ということで教師になられる資格を持たれるんですけれども、200ですかね、数が、普通免許は20万です。で、特別免許状としては200強ですけれども、わずかなものですから、いろいろなところで、学級活動で活躍される先生方とかいろんな方がおられると思うんですよ。外国に行かれていた商社の方とか、そういった方々とかいろんな方がおられると思いますので、広く人材をあたっていただきたいと。いろんな方が入っていく中で、教育界を活性化していくと、良い化学反応を起こすと言うのかな、そういう面も、ちょっと私は、少し考えております。そういうことです。

記者)
 学校法人のガバナンス改革に向けた私立学校法改正案の骨子案に関するパブリックコメントの募集が、今月の3日で締め切られたかと思います。で、このパブコメで、どのような意見が集まり改正案にどう反映させていきますでしょうか。また、今後のスケジュールにつきましても、今の通常国会への法案提出を目指すというこれまでのお考えに変わりはないのか、大臣のお考えを改めてお聞かせください。

大臣)
 今、ご指摘いただいたのですけれども、学校法人のガバナンス改革につきましては、学校法人制度改革特別委員会の報告書であるとかですね、自民党からいただきました提言を踏まえまして、おっしゃる通り、私立学校改正法案骨子案を作成しまして、5月3日までの間でですね、任意の意見募集をいたしました。国民の皆様から、私はまだ中身は全部精査していないのですけれども、300件を超えるご意見をお寄せいただいたと聞いております。本当に感謝を申し上げたいと思います。頂いたご意見の内容につきましては、今精査中ですけれども、改革の必要性が高まっていく中で、本骨子案に基づき適切な制度設計を行うべきである等、改革の方向性に賛同するご意見のほかですね、所轄庁や規模の違いを踏まえまして、それぞれの実態に十分配慮しまして、十分な準備期間やきめ細かな経過措置を検討していただきたいなど、現場の実態に即した慎重な検討を求めるご意見も中には入っておると、そのように聞いております。現在、頂いた意見も踏まえつつ、法案の提出に向けました法制化の作業を進めておりますが、条文の詳細な検討につきましては、なお時間を要するものでございます。今ご指摘があった話ですけれども、今国会の法案提出は厳しい情勢にあるという認識をしてございます。仮に今国会へ法案の提出がかなわないとしましても、我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼と支援を得て一層発展していくために、社会の要請に応え得る、実効性のある改革を進める必要性があることには全く変わりはございません。今回の特別委員会においても、私学の関係者等との間で一定の合意形成が図られたということは大変画期的なことでございます。職員も大変な苦労をしました。皆さんのご尽力に、心より感謝を申し上げたいと思います。文部科学省としては、まず月内に、改正法案の骨子を取りまとめるとともに、引き続き法制化の作業を着実に進めて、できるだけ早期に法案が提出できるように最大限の努力はいたしてまいりたいと、そのように考えております。以上でございます。

(了)

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