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第34回独立行政法人評価制度委員会 議事概要

日時

令和4年2月22日(火)10:00~11:50

場所

ウェブ会議にて開催

出席者

(委員)澤田道隆委員長、梶川融委員長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、島本幸治委員、高橋伸子委員、浜野京委員、野﨑邦夫委員、原田久委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局)白岩行政管理局長、阪本官房総括審議官、方管理官他

議事

1. 「目標策定指針」及び「評価指針」の改定について(諮問案件)
2. 令和4年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(諮問案件)
3. 「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」について
4. 独立行政法人制度改正フォローアップ調査について
5. 法人の取組事例

配布資料

資料1-1
資料1-2
資料2-1
資料2-2
資料3
資料4
資料5

議事録

【澤田委員長】  皆さん、おはようございます。大変お忙しい中、ありがとうございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第34回独立行政法人評価制度委員会を開催したいと思います。
 残念ながら、本当はリアルでできればよかったのですが、今回、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ウェブ会議にて開催させていただきます。よろしくお願いいたします。
 今日は、5つ議題があって100分ということですので、時間が限られている中でいろいろな御意見を伺いたいと思います。一つは「目標策定指針」及び「評価指針」の改定について、これは諮問案件になっております。2つ目は、令和4年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について、これも諮問案件になっております。それから3番目が、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」について、それから4番目が、独立行政法人制度改正フォローアップ調査について、最後が5番目、法人の取組事例と、この順番で進めていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず議題1についてですけれども、「目標策定指針」及び「評価指針」の改定について、令和4年2月18日付で総務大臣から委員会に対して諮問がありました。内容につきましては、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【方管理官】  説明申し上げます。「目標策定指針」及び「評価指針」の改定についてでございます。
 「独立行政法人の目標の策定に関する指針」及び「独立行政法人の評価に関する指針」の改定について、資料1-2のとおり、2月18日付で総務大臣から委員会に対して諮問がございました。本日は、この内容について御審議をお願いいたします。
 改定の内容を資料1-1「「独立行政法人の目標の策定に関する指針」及び「独立行政法人の評価に関する指針」の改定について(概要)」に沿って御説明します。
 今回の主な改定内容は、デジタル庁において、「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」が定められたことから、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」にのっとり、独立行政法人の目標策定及び評価においても、同方針を踏まえて実施するよう、目標策定指針及び評価指針を改定するものとなります。
 また、これに合わせて、実務的な改定といたしまして、情報セキュリティの関係で、目標策定指針において名称を記載していた会議体が活動を終了していたことから、当該箇所を後継機関の名称に修正するほか、評価単位となります「一定の事業等のまとまり」を目標内に明示すべき旨を明記する改定を行いたいと思います。
 説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見等がございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
 天野先生、どうぞよろしくお願いします。
【天野委員】  内容に関しては、異議ありません。
【澤田委員長】  よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、本件につきましては、委員会として「意見なし」とすることで御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。では、本件につきましては、意見なしということで、その旨総務大臣に答申いたしたいと思います。答申の手続につきましては、委員長の私に御一任願いたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは続きまして、議題2、令和4年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案についてです。これは、資料が2-1、2-2、2-3とございます。本年度の対象12法人のうち11法人に係る目標につきまして、各省から諮問がございましたので、審議を行いたいと思います。
 また、医薬基盤・健康・栄養研究所の目標案につきましては、正式な諮問がまだ来ておりませんけれども、事務局と調整中の現時点の案につきまして、併せて審議を行うことにしたいと思います。なお、医薬基盤・健康・栄養研究所の目標案に関する資料は、今はまだ調整中のために非公開としたいと思いますけれども、皆さん、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。それでは、そのように取り扱いたいと思います。
 それでは、これまでの評価部会における審議の状況につきまして、原田評価部会長から御報告をお願いしたいと思います。
【原田委員】  承知いたしました。原田でございます。
 先月26日でございますが、評価部会を開催いたしまして、これまで委員会として指摘してまいりました視点に基づきまして、当該時点における目標案を点検したところでございます。目標案の概要及び評価部会の審議の状況については、事務局から報告をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  まず、冒頭、医薬基盤・健康・栄養研究所の目標案に係る諮問手続の遅れにつきましては、事務局としておわび申し上げます。現時点の案について、他の法人分の正式に諮問された案を併せて説明いたしますので、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、御説明いたします。
 昨年11月の委員会におきまして、次期目標策定に向けての留意事項を委員会決定としてお示しいただきました。委員会決定においては、各法人共通の留意事項として、デジタル対応、人材の確保・育成、関係機関との連携、資源配分の重点化、いわゆるメリハリ付けでございますが、この観点からそれぞれ3点ほどの留意事項をお示しいただくとともに、個別の法人についてもそれぞれ留意事項をお示しいただいておりました。
 1月の部会では、おおむね委員会決定の趣旨を踏まえて対応がなされているとの御意見をいただいた一方、特に共通留意事項につきましては、個々の法人における対応状況を改めて確認していく必要があるといった御意見をいただいております。
 その後、主務省におきまして、諮問までの間にさらに目標案をブラッシュアップしていただきましたが、委員会で御指摘いただいた事項に対する対応を変更するような修正は行われておりません。
 本日は、委員会決定への対応状況として、主だったものを幾つかピックアップして、簡潔に説明させていただきたいと存じます。
 まず、(1)のデジタル対応について、3点の留意事項をお示しいただきました。
 まず、1点目の業務手法等の見直しと、2点目のデジタル技術の活用に係る留意事項への対応状況をまとめて御説明いたします。
 例えば科学技術振興機構(JST)や日本原子力研究開発機構(JAEA)の目標案では、デジタル技術を活用することで、業務プロセスを見直して職員の業務環境を向上させるとともに、法人経営の品質向上や、オープンサイエンスといった新たな価値実現に向けた取組も進めるといった記載がございます。また、個別にも指摘していた建築研究所におけるコンピュータシミュレーションの活用、土木研究所の現場の課題解決に向けたデジタル技術の活用、自動車事故対策機構(NASVA)の自動車事故被害者への訪問支援のリモート化等についても、目標に盛り込んでいただいています。
 3点目の情報システムの整備・管理については、先ほど御審議いただいた指針改定の趣旨を次期目標案に盛り込んでいただいたものです。「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」にのっとってシステム整備等を行う旨を全法人統一的に記載いただいております。
 続いて、(2)の人材確保・育成についてです。3点、留意事項をお示しいただきました。
 最初の留意事項は、法人内の人材についての御指摘でした。例えば、国際協力機構(JICA)や建築研究所では、人材確保の観点を含め、目標に明確に盛り込んでいただいています。また、水資源機構では、デジタル人材の確保・育成について方針を立てて戦略的に取り組む旨記載いただいています。また、JSTやJAEA、NASVAでは、ダイバーシティへの配慮や、適正な人事評価等を通じた役職員のモチベーション向上についても、目標に明確に盛り込んでいただいております。
 次に2点目、外部人材の活用に係る御指摘です。例えば国際交流基金では、改善が必要な分野について他機関との連携・協働を一層進めるよう個別にも指摘いただいていましたが、その旨目標に盛り込んでいただきました。
 人材の関係で最後、社会全体の人材育成への貢献についてです。この点、例えばJAEAでは、我が国全体の原子力人材育成に貢献する旨、水資源機構では、他機関への技術支援やノウハウの伝達を進める旨、目標に盛り込まれています。
 続きまして、(3)関係機関との連携についてです。こちらも3点の留意事項をお示しいただきました。
 まず、法人の知財やノウハウの活用についての御指摘です。この点、土木研究所や建築研究所では、我が国企業による国際市場の獲得につながる国際標準化の観点について、水資源機構では、海外へのインフラ展開について個別にも指摘いただきましたが、それぞれ目標に明確に盛り込んでいただいております。一方、例えばJSTやJAEAでは、技術管理等の研究インテグリティの観点もしっかりと押さえていただいております。
 次に、幅広い機関との新たな価値実現につながる連携についての御指摘です。例えば労働政策研究・研修機構(JILPT)では、働き方に関する新しい団体と幅広く意見交換を行うことについて、個別にも指摘いただいていましたが、その旨目標に盛り込んでいただいております。
 連携の最後、情報発信についてです。JSTやJAEAでは、連携関係の構築や国民理解の増進に向けた情報発信について、土木研究所や水資源機構では、災害対策の強化に向けた自治体等への情報発信について、御指摘の趣旨が目標に明確に盛り込まれております。
 最後に、(4)メリハリ付けについてです。まず、業務の重み付けについては、例えばJSTでは、業務が増加する中で事業の効率化や統廃合を進めるよう個別に指摘いただきましたが、そうした取組を目標に明確に盛り込んでいます。このほか多くの法人において、個別の留意事項も踏まえ、目標に「重要度」の設定を行っていただいております。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組については、国立研究開発法人をはじめとする多くの法人の目標で、重点的に取り組むべき分野として明示されております。
 最後に、リスクを取った取組とそのガバナンスについては、例えばJST・JAEAの目標においては、困難な研究開発課題へのチャレンジを促すとともに、法人において達成状況の分析・評価と取組の見直しをしっかりと行うように記載いただきました。
 以上、駆け足になってしまいましたが、今紹介し切れなかった法人を含め、委員会決定の趣旨も踏まえ、それぞれの法人の特性や現状を踏まえて、目指すべき姿を目標に盛り込んでいただいているところです。
 事務局からは以上となります。
【原田委員】  御説明、ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がございましたように、私ども評価部会におきまして、目標案を点検いたしました。その結果、先ほど説明がございました留意事項につきましては、おおむねご対応をいただいているという認識でございます。したがいまして、当部会といたしましては、先ほど委員長から言及のございました医薬基盤・健康・栄養研究所を含めまして、目標案について意見なしとする結論に至りましたので、御報告申し上げます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告につきまして、御意見等がございましたら、御発言いただけますでしょうか。
 なお、いつものお願いとなりますけれども、日本原子力研究開発機構の監事を務めていらっしゃいます天野委員及び、自動車事故対策機構の「業績評価のための特別なタスクフォース」の委員を務めていらっしゃいます樫谷先生におかれましては、申合せによりまして、当該法人に関する意見をお控えいただくとともに、議決には参加しないこととされておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、皆さんのほうから本件に関して御意見等をいただければと思います。どなたからでもよろしいですが、いかがでしょうか。
 皆さん、よろしいでしょうか。大体、我々委員会からお示しした方向性で、しっかりと盛り込んでいただけると思います。
【高橋委員】  高橋でございます。
【澤田委員長】  では、高橋委員、よろしくお願いします。
【高橋委員】  一言だけ申し上げたいと思います。郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)の担当ユニットに参加しておりました。委員会決定で示した各法人共通の留意事項につきましては、どこの組織もほとんど対応していただいているところ、郵政管理・支援機構に関しましては、外部人材の連携等を通じた社会全体の人材育成とか、法人が持つ知的財産等の活用に関する取組とか、新しい分野の機関の連携といった項目については記載がされていないところでございますけれども、郵政管理・支援機構の業務の性質上、対応することが難しいということで了解しておりますので、その点を申し添えておきたいと思います。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 そのほか御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
 私も細かく見させていただきましたが、表現はいろいろありますけれども、委員会決定の趣旨をしっかりと目標に盛り込んでいただいたと思います。目標に盛り込んだだけで終わるというのでなくて、これをしっかりと具体化していっていただくということのほうが重要かと思いますので、それを踏まえて、きちんと進めていただいているかをまた確認できればと思います。よろしいでしょうか。
【澤田委員長】  それでは、医薬基盤・健康・栄養研究所を除く各法人の目標につきまして、当委員会として「意見なし」とさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。それでは、本件につきましては「意見なし」とし、その旨各主務大臣に答申いたしたいと思います。答申の手続に関しましては、委員長の私に御一任願いたいと思います。
 また、医薬基盤・健康・栄養研究所の目標案につきましては、追って正式な諮問を受けたところで、委員会を持ち回りで開催して、委員会としての対応を決定することにしたいと思います。
 いろいろ皆さんから方向性を明示いただいて、きちんと目標に盛り込んでいただいたのですけれども、私のほうから最後に一言、少し締めくくりのお話をしたいと思います。
 まず、各委員、主務省におきまして、見直し対象法人のヒアリングから見込評価や新目標案の点検まで、丁寧に対応いただいた結果、時代のニーズに的確に対応した中(長)期の目標になったと思います。これらの法人は、今後、実施状況の評価や点検の段階に移ります。まずは、これまでの各位の取組に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 私自身、幾つかの法人と意見交換を行って、法人の幹部が社会課題を認識し、その解決に向けて取り組もうとしている姿勢を感じることができております。本当は、コロナ禍でなければ、もっといろいろなところに出向いてディスカッションを行いたかったのですけれども、限りがある中でしたが、そのように感じました。こういった取組を引き続き後押ししたいと思います。
 それから、来年度は、見直し対象法人が24法人となって、かなり多くなりますけれども、主務大臣が考える法人の中(長)期のミッション、それから法人が考える中(長)期のビジョン、そしてその実現に向けたマネジメント・ガバナンスの現状といった本質的なところから議論を行って、また、主務省、法人、委員会のコミュニケーションを重視するという委員会の姿勢は変わらずに続けてまいりたいと思います。皆さん、引き続きよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは続きまして、議題3、独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方について審議を行いたいと思います。
 本件につきましては、昨年7月の委員会で議論いたしましたとおり、委員会として、年度評価等の点検等を通じて、委員会の視点や評価の意義など、主務大臣評価全般に関するスタンスを改めて整理する必要があるという認識に至ったことから、評価部会におきまして、評価書の点検作業等を通じて議論を進めていただいていたものでございます。評価部会での議論の内容につきまして、原田評価部会長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【原田委員】  承知いたしました。私ども評価部会では、今回、評価という役割を切り口にして、委員会による調査審議全般の在り方について議論を重ねてまいりました。さらに、その前提といたしまして、そもそも独法の業務運営というのはどうあるべきなのか、またそれに対する主務大臣のガバナンスはどうあるべきなのかということについても議論を重ねてまいったところでございます。
 こうした議論の成果につきまして、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」という文書に取りまとめて、各主務大臣・法人に向けて発信することで、委員会と主務大臣、さらには各独法とのコミュニケーションの質の向上につなげていければと考えているところでございます。
 つきましては、本日、この文書の素案につきまして、委員の方々から御意見を賜りたいと存じます。
 詳細につきましては、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  資料3、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方(素案)の全体像」に基づき、説明をいたします。
 まず、今回この文書を作成する狙いに即して、本日御議論いただきたいポイントについて御説明したいと思います。
 今回の文書の目的は、主務省と法人とのコミュニケーションの場、具体的には、ヒアリング等でのやり取り、評価の点検あるいは目標案への留意事項の発信などの場面において、委員会がどのような視座・問題意識の下、意見を述べているかをあらかじめ明らかにすることで、主務省・法人との間で、より一層活発な質の高い議論が行われることを期待するものでございます。こうした観点から、主務省・法人へのメッセージとしてより明確にすべき部分がないか、さらに検討を深めるべき論点がないかなどについて御意見を賜れれば幸いでございます。
 また、今回の文書は、最終的に委員会で決定いただき、公表ということで予定しております。委員会自体の社会における立ち位置や、期待されている役割は何かという観点からも、「府省・法人横断的」、「活性化を主導」といったキーワードが適当かどうかも含めて、御議論いただければ幸いでございます。
 それでは、内容について御説明いたします。先ほど御説明した本文書の狙いを踏まえ、最も重要と考えられる「(3)独立行政法人評価制度委員会の調査審議の在り方」のところから御説明させていただきます。
 委員会の業務は、各主務大臣が行った評価の点検から、目標案のチェックまで幅広くございますが、主務省・法人に対するスタンスとしては、目標見直しの機会を中心に、ヒアリング等を通じて主務省・法人と緊密にコミュニケーションを取りながら、目標案の策定過程に積極的に関わっていくということを明らかにしたいと考えております。そうした活動を通じて、独立行政法人全体としての運営の改善・活性化や制度の改善において、主導的な役割を果たしていくことが期待されているとしております。
 そのための基本的視座として、最初に、府省・法人横断的に求められる対応の促進が重要と考えております。社会課題が複雑化する中、個々の独法の枠を超えた、それゆえに各主務省・法人では容易に捉えることができないような、独法全体に共通して対応が求められる社会経済環境の変化等がございます。委員会は、各委員の皆様の専門性を存分に発揮していただくことで、そのような環境変化や政策動向を的確に捉え、各主務省・法人に対して必要な対応を促したり、支援したりしていくことが期待されているとしております。
 次に、主務大臣・法人間の連携確保、各法人の組織運営の改善促進についてです。独立行政法人制度は、主務大臣と法人が連携してPDCAサイクルを回す仕組みであること、各法人は企業的組織形態を持ち、KPI等の民間企業におけるマネジメントの方法論が取り入れられていることが、制度の大きな特徴となっております。こうした制度の機能を最大限に発揮するため、委員会は、ヒアリング等を通じて主務大臣と法人とのコミュニケーションを促進し、両者の意識の共有を促すこと、また組織風土や統制環境等の現状を把握し、必要な対応を促すことが期待されているとしております。
 以上の基本的視座を踏まえて、今後取り組むべき活動の方向性を幾つか挙げております。
 まず、「府省・法人横断的に求められる対応の促進」を踏まえて、これまで目標策定に当たっての共通的な留意事項として毎年作成してきたものを、社会経済環境の変化や、民間における組織・業務の運営の新しい考え方を取り入れた、独法の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を示す基本的な文書として再整理して、全ての法人の計画策定等にも活用できるような形で発信すること、
 また、「主務大臣-法人間の連携確保」を踏まえまして、調査審議の力点を両者のコミュニケーションの重要な局面である見込評価及び目標見直しに重点化すること、
 「各法人の組織運営の改善促進」を踏まえて、目標管理・評価の手法の技術的側面、すなわち目標と実績の比較可能性の確保や、他機関との比較を可能とする手法等に着目した検討を行い、その結果を各主務省・法人へ展開するとともに、見込評価への意見や目標見直しへの提言に反映することとしてはどうかと考えております。
 さらに、制度自体の改善を主導するという役割を踏まえ、制度改善につなげるべき課題がないかという視点から、主務省・法人の取組の状況や制度の運用状況を幅広く注視していくこととしてはどうかと考えております。
 ここまで御説明した委員会の在り方を導くための前提として整理したのが、(1)独立行政法人内のマネジメント及び内部統制の在り方と、(2)主務大臣によるガバナンスの在り方でございます。(1)及び(2)の部分は、法人又は主務省に対して直接的に要請するというものではないということには御留意いただければと思います。
 以下、簡単にこの点について説明いたします。
 主務大臣は、法人に対し、目標期間を超えた将来的なあるべき姿としての使命や、政策体系上の法人の役割としてのミッションを明確に示す必要がありますが、法人としてもこれらを踏まえた長期的なビジョンを持つことが期待されます。
 こうした将来像を持つことは、法人のネットワーク構築に有効であるとともに、主務大臣と法人のコミュニケーションにも活用され、両者が目標期間の積み重ねによる長期的な発展の方向性について意識を共有するためにも重要なものと考えられます。
 また、近年、国内外の環境変化の速度が増していることを踏まえれば、当初設定した目標や計画に必要以上に固執することなく、時々の環境変化に応じて、機動的かつ柔軟に見直しを行うことが期待され、その際には、こうした環境変化についても、主務大臣・法人間で認識を共有することが重要と考えられます。
 最後に、独法がその業務を遂行するに当たっては、何よりも国民の信頼を確保することが不可欠でございます。単なる業務経費の縮減だけではなく、業務プロセス改革等の手法によりまして、コストを抑制しつつ、業務の質を維持・向上させることや、良好な組織風土を醸成することにより、全体的なパフォーマンスを向上していくことが期待されます。こうした観点は、各法人の組織運営の改善促進という委員会の視座につながっております。
 説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、どなたからでも結構ですから、御発言いただけますでしょうか。
 天野委員、よろしくお願いします。
【天野委員】  ありがとうございます。全体的な考え方は、こういう方向性でよろしいと思います。前回の部会で議論のあった、もっと横断的な視点があるべきだというようなことも盛り込まれていますので、良いと思うのですが、残念ながら、私の立場からすると少し記載が弱いかなと思う部分があります。独立行政法人というのは87あるのですが、そのうち27の独法が国立研究開発法人です。約3割を占める国立研究開発法人の成果の最大化をこれまでかなり強く打ち出していたと思うのですけれども、今回の基本的考え方では、その国立研究開発法人の在り方のようなものが少し薄れた感じになっているのではないかなと感じています。
 と言いますのも、CSTIで国立研究開発法人の評価指針を作ったときには、各国立研究開発法人は、各主務省の中の評価委員会にお任せしてしまうと、どうしても縦割りの中で、その主務省としての成果の評価というようなことになってしまいがちなため、研究開発の成果を国民全体のために役に立てるような国全体の視点からの成果の展開の仕方のようなものをもっと盛り込むべきだということを強く打ち出していたと思います。これまでの各国立研究開発法人の評価などを委員会として点検する中では、国全体としての監査役的な視点からそうした点をかなり強く押し出していたと思うのですが、今回は独立行政法人全般の中に少し埋もれてしまったような気がしますので、文書の中には恐らくキーワードとして「研究開発成果の最大化」というのはどこかに盛り込まれていただいているのだろうと思うのですけれども、この全体像の中にも少し国立研究開発法人独自の評価の仕方というのも入れていただいてもいいのではないかなと思っています。
 その背景としては、今、第6期科学技術・イノベーション基本計画が動いていますが、国としても、この科学技術・イノベーション基本計画が、いろいろな研究開発成果に対して、それぞれの分野で成果をきちんと出しているのかということを、デジタル庁を使ってデジタル的に見ていこうという方向性になっている中で、独立行政法人評価制度委員会としても、先ほどの目標策定・評価指針の改定もありましたので、ある程度そういうことを意識しながら、国立研究開発法人の研究開発成果を有効に役立てて、将来の日本の外貨を稼ぐ手段として育てていくというところを少しでも見せていただけるとよいのではないかなと感じています。よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。その辺り、事務局のほうはどうですか。
【方管理官】  御指摘、ありがとうございます。今日お示ししている資料の冒頭にも書いてございますように、各法人には使命、ミッションあるいはビジョンがありまして、その中では恐らく国立研究開発法人であれば「研究開発成果の最大化」ということが主題となってくるのだろうと感じております。先生の御意見も踏まえて、本文の立案を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
【天野委員】  そうですね。研究者の方に、研究開発成果の最大化や実用化に向けて取り組んでいただけるよう発破をかけていく必要があるのではないかなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 私もずっと研究を会社で32年やってきましたが、技術開発するだけではなくて、それを社会実装して、社会にいかにお役に立てるかというところまで持っていって初めてそれが意味あることになりますから、うまくこれを盛り込んでいっていただければと思います。
 では次に、島本委員、お願いします。
【島本委員】  私からは、意見というより全体的な感想になります。まず前回の部会の議論をうまく盛り込んでいただいていると思います。どうもありがとうございました。
 私自身は、前回申し上げた通り、この主務大臣のガバナンスとは違う視点が、我々委員会のレゾンデートルになるといいますか、大事だと思うので、今回(3)の記載がすごく充実したことで、そこが明確になったなと思います。特にこの3つの枠の中で一番左の社会環境の変化であるとか、法人横断的に横串を入れてチェックしていくというところが、我々の強みになるのかなと認識していますので、ここを盛り込んでいただいてありがとうございます。
 あと、この3つの枠の一番右の組織運営については、よく最近言うESGのガバナンスもそうなんですけれども、このマネジメントとか内部統制、ガバナンスフレームワークというのは、民間でもすごく重要性が高まっていると思います。ガバナンスの目標の一つとして、例えばダイバーシティ&インクルージョンというキーワードが代表するような、マイノリティも含めた職員のモチベーションを高めることで、その組織の風土をよくしていく、風通しをよくしていく、あるいはいろいろなリスクを抑えて、成果もしっかり高めていくという考え方が今広がっているので、ここには明示的には書いていないですけれども、そうしたエッセンスが恐らくこの趣旨には含まれているのだろうなと受け止めたいと思います。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局、そのように捉えていいということですね。どうでしょうか。
【方管理官】  そのとおりでございます。内容をしっかり反映させていきたいと思います。
【島本委員】  ありがとうございます。
【澤田委員長】  それでは次に、浜野委員、よろしくお願いします。
【浜野委員】  しっかりとおまとめいただいて、ありがとうございます。特に今回は、当委員会の調査審議の在り方について、受動的な役割にとどまらない、もっと独法全体としての制度や運営の改善・活性化に踏み込んで主導していくといったところが盛り込まれたところは、我々の議論の結果ですので、大きな変化かと思っております。
 先ほど御説明がございましたように、委員の皆様も様々なバックボーン・専門性をお持ちでいらっしゃいますので、そういったところがさらに生かせるのではないかなと思いますし、今後また委員をお選びいただくときにも、こういったところも非常に参考になるのではないかなと思います。
 それを踏まえて、国際的に変化が早いので、その変化にどうやって対応していくかといったところがポイントになってくるかと思いますが、その中で、独法の将来像の明確化というのは、主務大臣と法人間で連携して検討いただいていると思いますが、そこについても私たちの専門性も少し生かせるのではないかなと思います。また、よりスピーディーにその変化に対応していくことが独法に求められるところですが、それについても(1)にはっきりと明示していただいていますので、大変によくまとまっているなと思っております。感想になりますが、ありがとうございます。
【澤田委員長】  浜野委員、ありがとうございます。
 私も、この素案の全体像を見たときに、そのように感じました。我々の独立行政法人評価制度委員会は、守りというか、きちんとやっているかどうかということだけではなくて、攻めの後押しというか、攻めと守りの両面からサポートするということがここに盛り込まれているように思いますので、委員のおっしゃるような形で進めていくことができればと思います。貴重な御意見、ありがとうございます。
 次は、樫谷先生、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  樫谷でございます。ありがとうございます。
 私も、感想というか、お礼ということであるのですけれども、我々、評価制度委員会の役割は、その制度上、大きなPDCAサイクルの中に位置付けられると思いますが、その中でここで一番私が評価しているのは、(2)の「ガバナンスの在り方」の中にある「将来像を踏まえた目標設定」という記載です。この将来像を踏まえた目標設定について、法人はそれぞれの業務について十分なノウハウを持っているはずですから、そことコミュニケーションを取りながら、目標設定をどうするかを考えていくというのがここに書かれているのは、高く評価したいと思っております。
 それからもう一つ、(3)の一番右側の枠、「組織運営の改善促進」のところで、「個々の法人内の組織風土」と書いていただいているんですが、この改革をしようというカルチャーについて触れられたというのは、非常にすばらしいことかと思います。島本委員からも御指摘がございましたように、この単なるマネジメントということも大事なことですけれども、その組織風土・カルチャーの改善、つまりモチベーションをどう上げるかということが一番大事だと思いますので、その点について書いていただいたというのはすばらしいと思います。
 それからもう一つ、天野委員がおっしゃった社会実装については、これもいろいろ今まで指摘してきたわけですが、主務省や法人において、社会実装というのがどういう意味か分かっていないのではないかと思うようなことも私の経験上ありますので、社会実装というのはどういうものなのか、どういうことをするのが社会実装なんだということを、もう少し強く言ってもいいのかなと思います。もう少し細かく見て、独法は特許など良いものをたくさん持っていますので、それをどう活用するかというのを積極的に見直していかないといけないと思います。「来たものは何とかします」というようなスタンスだけではいけなくて、今までの特許等を改めて掘り下げて考えるようなことをしないと、本当の意味での社会実装にならないのではないかなと考えています。もう少し、今後も我々はいろいろな国立研究開発法人にもお邪魔することになると思いますけれども、その点についてもう少し理事長などと意見交換したいなと思いながら聞いておりました。
 以上です。ありがとうございます。
【澤田委員長】  樫谷先生、ありがとうございました。すばらしい御意見だと思います。おっしゃるとおりだと思います。
 この組織風土のところについては、目的と手段を間違えないようにする必要があると思います。法人の大きな目的を果たすために、どういう組織風土であればいいのかを考えて、その手段としてモチベーションを上げてやっていけるような方向性をしっかりと法人の中で構築していくのが非常に重要なことかなと思います。ありがとうございました。
 それでは次に、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  高橋でございます。私からは1点、提案を申し上げたいと思います。
 (3)にある「委員会の調査審議の在り方」について、先ほど来、ほかの委員の方もおっしゃっているように、我々委員がその多様な専門性を生かすという形が非常に必要であると思うんですが、今までヒアリングしてきた際に、各委員が自分の専門性とか知識とか経験をまずお話しした上で、それでこういうことを申し上げるんですよという場面が非常に多かったと思います。この委員会や部会の会議の場でもそういう場面が非常に多いのですけれども、主務省や法人と円滑にコミュニケーションをしていく上で、我々が何者なのかということをもう少し、肩書だけではなく、示していけたらなと思っております。例えば、コーポレートガバナンス・コード等で今、上場企業の取締役会にはスキル・マトリックスの提示が求められています。どういうものを作るかというのはこれから検討していきたいと思いますが、我々それぞれがどういうところに関心を持ち、どういう専門性を持っているのか、どういう経験をしてきたのかということをまとめて主務省や法人に伝えておけたら、円滑なコミュニケーションができるのではないかと思います。
 それから、独法役員の方々もいろいろな経験をしていらっしゃると思います。我々は略歴などを見せていただくことがあるんですが、直接お話してみると、それ以上にいろいろやっていらっしゃることなどがあるので、その円滑なコミュニケーションの前提として、スキル・マトリックスのような分かりやすいものというのを今後作っていくと、さらにヒアリングや我々の委員会の議論を充実させていけると思いますので、意見として申し上げたいと思います。
【澤田委員長】  高橋委員、ありがとうございました。すばらしい意見だと思います。
 事務局のほう、いかがでしょうか。最近民間企業では、スキル・マトリックスのようなものを作って、株主総会などで提示しているのですが、こうしたものがあったほうがコミュニケーションを取りやすくなるようにも思いますけれども、いかがでしょうか。
【方管理官】  高橋委員、御指摘ありがとうございます。東証のコーポレートガバナンス・コードにも示されておりますように、取締役の知識、経験、能力、こういったものを一覧化したスキル・マトリックスのようなものをあらかじめ提示してヒアリング等を実施することは、非常に意味のあることだと思っておりますので、委員の皆様とよく御相談の上、対応したいと思っております。
 以上です。
【澤田委員長】  原田評価部会長、どうぞ。
【原田委員】  ありがとうございます。これまで委員の方々から御意見を改めていただいて、感じたことを申し上げたいと思います。
 まず、天野委員と樫谷先生のお二方からいただいた意見についてですが、平成26年の独法通則法の改正の目玉は、主務大臣中心のPDCAを回すという縦の関係と、法人の類型に応じた独法と主務大臣の関係を構築するという横の関係といいますか、3つの法人類型というのを打ち出したというところが大きいのだろうと考えています。今回(3)でお示しした調整審議の在り方というのは、どちらかというと縦の関係をどのようにダイナミックなものにしていくのかということを意識してまとめられたと私は受け取っているのですが、その際に、法人類型に関する議論が文書の中にどのように反映されているのかがやや分かりにくくなっているのではないかと思います。「政策実施機能の最大化」という場合でも、国立研究開発法人については、研究開発成果の最大化、とりわけ社会実装をどう進めていくかということが重要になってまいりますので、横の観点、3類型に応じた調査審議の在り方というものがより分かりやすく示される必要がもっとあるなというのが、今回私が感じたところでございます。
 以上でございます。
【澤田委員長】  原田評価部会長、ありがとうございました。
 梶川部会長のほうから何かコメントはございますでしょうか。
【梶川委員】  梶川でございます。今回の素案は、今までの課題が非常にクリアにまとまっていると思います。これから詰めていくのだと思いますが、全面的に賛同させていただきます。評価部会の先生方と事務局においては、議論をまとめていただいて本当にありがとうございます。
 その上で、私は委員会に少し長いこと携わってきた中で、先ほど来何人かの先生がおっしゃられている「主務省と法人の関係」にフォーカスを当てていただいているのは、前から申し上げているように、私は非常に重要なことだと思っております。(2)のPDCAサイクルのところや、先ほど樫谷先生もおっしゃっていたように、目標設定に主務省が積極的にコミットメントするということは、非常に重要な、基本中の基本でございます。ただ、今まで実態を見せていただいてきた中で、主務省の担当部署の意識には少し精粗があるのではないかという気がしています。法人を政策体系の中にどう位置付けるかといったことは、基本的には担当部署で検討いただくことにはなるんですが、委員会としても、この「基本的考え方」を実践に移していくに当たっては、この辺りを工夫していくことが非常に重要になるのではないかと思いまして、感想としてお話しさせていただきました。
 担当部署の意識が高ければ高いほど、政策体系全体の中の独法が的確に位置付けられます。先ほどどなたかの先生がおっしゃったように、国全体としての位置付けなどという話になると、府省を超えた政策的意味付けのディスカッションをしていただいた上で独法に落とし込むということにもなると思います。研究開発などでは今そういった分野が多くあると思いますので、そういったことに留意しながら、評価制度委員会がお役に立っていければいいのかなという気がいたしました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 この法人の位置付けの認識というものも非常に重要だと思いますけれども、事務局のほうで何か補足はございますか。
【方管理官】  (3)にも記しましたとおり、府省・法人横断的に求められる対応の促進というところで、そういった委員会の考え方を多様なチャンネルを使って伝えていくべきであろうかと思っています。御指摘、ありがとうございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。大体、皆さん、よろしいでしょうか。
 本件につきましては、次回4月の会議で、委員会としての考え方を文書に取りまとめて決定したいと思います。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、成文化の作業を進めていただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、議題4、独立行政法人制度改正フォローアップ調査についての審議を行いたいと思います。
 新しい独法制度の運用状況等につきまして、昨年度末に調査を行っていただきましたけれども、本日はその結果を報告書として取りまとめたいと思います。評価部会での議論の内容につきまして、原田評価部会長から報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【原田委員】  それでは、この議題4について御報告申し上げます。
 評価部会におきまして、このフォローアップ調査の結果の分析を進めてきた結果、委員会や主務大臣・法人における幾つかの課題や、主務大臣・法人の参考となる事例というものが幾つも確認できましたので、資料4のとおり、フォローアップ調査の概要として、本日おまとめしてお示しするところでございます。
 内容については、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【小野企画官】  資料4、独立行政法人制度改正フォローアップ調査結果(概要)について説明いたします。
 本調査は、平成26年の通則法改正から6~7年経過したところで、多くの法人において目標策定と評価のサイクルが一巡したという時期を捉えて、主務省・法人が制度改正についてどのように考えているのか、制度改正によって法人運営がどのように変わったのか、新たな制度がどのように活用されているのかといったところを調べたものでございます。全87法人とその主務省114主管課、これは複数の主務省を有する法人がございますので、主管課の数のほうが多いのですが、これらの御協力をいただきまして、昨年2月から書面調査を行い、夏から秋にかけて一部の主務省・法人に対してはヒアリング調査なども行ってまいりました。その結果を基に、評価部会において昨年7月以降4回御議論いただき、調査結果として取りまとめたものでございます。
 調査の結果から、制度改正の柱については、おおむね肯定的に受け止められているものの、幾つかの課題が確認できましたので、御報告いたします。
 以下、概要資料に沿って説明いたします。
 「1 平成26年制度改正の柱についての認識」についてです。
 まず(1)です。制度改正の柱の一つは、法人類型を中期目標管理法人・国立研究開発法人・行政執行法人の3つに分類したことです。3分類としたことについて、5割以上の主務省・法人が、中でも国立研究開発法人では約9割が、目標達成に役立っていると回答しております。
 (2)です。主務大臣が目標を策定し、評価を行う仕組みへの変更です。以前は、各省に置かれた府省評価委員会が評価主体でしたが、これが主務大臣が直接評価する仕組みとなりました。図1のとおり、約6割の主務省・法人が、主務大臣の下でのPDCAサイクルの機能が強化されたと回答しております。
 (3)です。内部統制システムの整備です。9割以上の法人が、内部統制システムの整備が内部ガバナンスの強化に役立っていると回答しております。
 こういったところから、制度改正の柱についてはおおむね肯定的に受け止められているものとしております。
 「2 調査結果から確認された主な課題」についてですが、調査結果からは課題も確認されております。
 (1)です。図2のところにありますように、約6割の法人が、A以上の評定の取得が困難な事務・事業があると回答しております。具体的には、人事・会計などの管理業務や、基礎研究のような成果の発現までに時間を要する事務・事業です。職員が幾ら頑張ってもよい評価が得られないということでありますと、職員のモチベーションの低下につながるということになりますので、こういった業務においても、取組や成果に応じた正当な評価が得られるようにする必要があると考えております。今後、委員会において、民間や海外の評価手法・指標等の事例を調査して、主務省・法人に展開することとしております。
 (2)ですが、図3のとおり、約4割の法人とその主務省との間で、A以上の評定の取得が困難な事務・事業の有無についての回答の不一致がございました。
 (1)の調査結果と同じ設問についての分析ですが、主務省では「A以上の評定の取得が困難な事務・事業がない」と回答しているものに対して、法人では「ある」と回答していたり、またその逆のパターンだったりということで、主務省と法人の回答が一致していないというものが4割で見られました。目標設定や評価について、主務省と法人との認識の共有が十分に行われていないために生じていると考えておりまして、目標設定・評価における主務省と法人とのコミュニケーションが不十分との課題について、その改善を要請しているというものでございます。
 (3)ですが、主務省と監事との意見交換が約4割で未実施となっておりました。主務省においては、法人評価を適切に行うためには、自己評価書のみならず、多様な情報を基にして、法人の実態を踏まえて行う必要がございます。法人の実態を把握するツールとして、監事が監査等で把握した法人の運営実態や問題点等についての意見を監事から直接聴取することが効果的と考えておりまして、監事の機能強化について行政管理局長から通知を発出して実施を求めているところですが、約4割で実施されていなかったということでございます。そういったところから、主務大臣評価における監事機能の活用が不十分との課題について、その改善を要請しているというものでございます。
 「3 参考となる事例の紹介」です。こちらは、調査を通じて把握した事例の紹介となっております。
 1つ目は、総合評定の判断基準に評価ウエイトを設定している例です。主務省では、総務大臣が定める評価指針を踏まえて評価基準を定めているのですが、その中で、総合評定における各評価項目にウエイトを設定しているという例でございます。主務省と法人との調整を経たことで、法人において取り組むべき課題が明確になったということでございました。
 2つ目が、管理業務においてA評定を取得している例です。これは年度評価の例でして、通例、120%以上の目標達成でA評定となるところ、困難度が高いものについて「困難度:高」というものを設定して、100%以上の目標達成でA評定としたものというものとなっております。
 3つ目、運営方針・倫理行動指針の役職員への浸透状況の確認を行っている例です。運営方針や倫理行動指針は、策定したり、周知を行ってそれで終わりということではなくて、役職員に浸透して初めて機能するものとなっております。全法人においてこれらの諸方針・指針については策定され、周知は行われていたのですが、浸透状況の確認まで行っているものは半数未満となっていましたので、職員意識調査などを実施している例を紹介するものとしております。
 このほか、この概要資料には記載しておりませんが、調査結果を踏まえまして、来年度以降、委員会として取り組むべき事項として、例えば、法人における財務データの活用の事例収集や、法人の役員向けの研修やシンポジウムの開催などといった記載もございます。また、本調査結果の今後の状況や新たな課題確認のため、継続的にこのフォローアップ調査を実施することとしております。
 概要の説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御発言等はございますでしょうか。
 樫谷先生、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  樫谷でございます。ありがとうございました。
 気になるところが2つほどございました。まず1の(1)で、制度改正の柱についての認識について、6割が「PDCAサイクルの機能が強化された」と評価されていて、これはいいのですが、逆に4割はそうではないと、「変わらない」と思っているということになります。私は主務大臣が評価するというのはPDCAサイクルが非常に強力になったのではないかと思うのですが、それが変わらないというのは、なぜ変わらないと思っていらっしゃるのかが気になります。できれば、残りの4割について、どういう類型の法人がそう思っているのかなど、もう少し突っ込んで分析ができれば良いと思っているのがまず一つです。
 それからもう一つ、主務省と法人のコミュニケーションについてです。6割が「質・量とも増加した」と言っているのですが、そのコミュニケーションをどことやっているのかということが非常に重要だと思います。例えば法人の企画部門と主務省の間のコミュニケーションは増えていたとしても、できればもう少し現場の方と主務省との間でコミュニケーションができれば、より法人の実態が立体的に分かるのかなと思っておりまして、できれば今後、窓口同士のコミュニケーションだけではなくて、もう少し現場にも下りたようなコミュニケーションを取っていただくと非常に良いのかなと思っております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 結果の理由の明確化等なのですが、事務局のほうで、いかがでしょうか、今の御意見に対して。
【小野企画官】  1の(2)のところ、残りの4割はどうなのかという点につきましては、これは、中期目標管理法人と行政執行法人については、比較的高い割合で「機能が強化された」という回答を得られておりました。割合が比較的低かったのは、国立研究開発法人でございます。国立研究開発法人には、国立研究開発法人を審議する委員会が従前と同じように各府省に置かれているというところもあって、法人側・主務省側の見方としては、あまり変わらないというような意見が多かったのかなと、事務局としては推測しているところでございます。
 それから、より現場の声を聞いたほうがよいのではないのかというコミュケーションの関係につきましては、こちらは今回の調査では把握しておりませんでしたので、今後、継続的なフォローアップを行う際には、配慮して取り組んでいきたいと考えております。
【樫谷審議協力者】  ありがとうございました。
【澤田委員長】  よろしいでしょうか。
 では次に、浜野委員、お願いします。
【浜野委員】  今、樫谷先生がおっしゃった以外のところで、2の(3)の「監事との意見交換が約4割で未実施」というのは、少し驚いた結果でした。というのは、私たち委員会の委員も、それぞれの独法にお邪魔して意見交換を行うときには、必ず外の目から見た監事の御意見も拝聴することになっておりまして、委員会もそういったところに気を遣っているのに、主務省と監事との意見交換がないというのは、この監事機能の活用という点で、本当に不十分だなと感じております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局、今の御意見に対して、いかがですか。
【小野企画官】  この項目については、基本的に法人を対象に調査したものでして、主務省と監事とのコミュニケーション・意見交換はございますかということを確認したので、主務省としてなぜ意見交換をしていないのかといった点は、深く確認できていないというところでございます。ただ、監事と主務省とで意見交換をする場はあるのだけれども、実質的な意見交換をしていなかったということで「意見交換していない」と回答してきた監事もいる様子でしたので、そういったところについては、もう少し今後注視していきたいと思っています。
 なお、この点については、行政管理局長通知で発出している内容が守られていないという面もございましたので、事務的にも、主管課に文書等で実施を求めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
【浜野委員】  ありがとうございます。是非改善していただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 では、河合委員、お願いします。
【河合専門委員】  先ほど樫谷先生から御指摘いただきました概要の1の(2)のところで、事務局からも御説明がありましたが、私からも簡単に補足をさせていただきたいと思います。
 事務局からお話があったとおり、約4割の「強化された」と回答していない法人には、国立研究開発法人が多く含まれておりました。ただし、個別の自由回答記述を確認しますと、従前からPDCAサイクルを十分回していたので変化がないという意味で「変わらない」を選択したと書かれていた法人が幾つかあった次第です。
 また、今回のこの質問は、変化したかどうかということを問うているものでありまして、どの程度機能しているのかということを問うているものではありませんでした。その辺りの言葉遣いと申しますか、アンケート調査上のワーディングというところで、もう少し別の表現で質問を設定して、実際のところPDCAサイクルがどの程度機能しているのかということも確認できるように、今後また調査を行う場合には検討する必要があるように思っております。
【澤田委員長】  河合委員、補足をありがとうございました。
 では次に、会計基準等部会の野﨑委員のほうから手が挙がっていますので、よろしくお願いします。
【野﨑委員】  御指名、ありがとうございます。この調査結果についての感想を述べさせていただきたいと思います。
 まず一つは、2のところの(1)です。管理業務でA評定がなかなか得られないような事業はたくさんあって、これを正当に評価するというのは、通常の民間企業でも本当に同じ悩みがあります。しかし、例えば、先ほど事務局からの御説明でありましたように、人事や経理等、そういった業務というのは、普通にやっていて当たり前みたいなところがあるのですが、組織運営の基盤となる部門なので、そこの基準は、何かやらかしてマイナスということではなくて、やらかさなかったことによってプラスということを是非考えていただいて、A評定を頑張れば取れるという形にしていただきたいと感じました。
 それからもう一つは、我々の会社でも、研究開発のベースとして非常に大事なこととして、安全ということがあるんです。安全というと、けがをしないとか、事故を起こさないとか、そういうこともなかなか目標にはしにくいです。会社では目標にするのが普通なんですけれども、こういう公的なところでなかなか目標にしにくくて、達成しても何もなかったら良いということになってしまうので、その辺りも評価基準に加えていただくような検討をされたらいかがかなというのがまず一つでございます。
 それから2点目は、先ほど浜野委員からもございましたが、監事とのコミュニケーションが十分できていないということの深掘りがもう少し必要なのではないかなと思います。要するに監事というのが、会計監査とか、法令に違反していないかというだけの監査ではなく、もう少し積極的に、ガバナンスが正常に機能しているかとか、デシジョン・メーキングのプロセスが正しいかとか、そのようなところまで監事の機能を強化していくというのが方向性だと思いますので、そういうところでしっかり監事の機能が強化されていればコミュニケーションするのか、なかなか今のところそこまで行っていないから、コミュニケーションする必要がなくて、監査報告書さえ見ていればよいということになっているのか、その辺り少し深掘りが必要ではないかなと考えています。このフォローアップの調査結果の所感のところには、もう少しコミュニケーションしてくださいということを書いてあるんですが、そこをもう少し突っ込んでいったらどうかなというのが、少し私の感想です。
 以上です。
【澤田委員長】  貴重な御意見をありがとうございました。
 続いて、清水委員、お願いいたします。
【清水専門委員】  清水です。よろしくお願いします。
 皆様のお話と近いかもしれませんが、私は去年4月から関わっていますので、ちょうど今のタイミングでお伝えしておいたほうがよいかなと思ったのですが、私は最初に主務省の御担当者から説明を受けたときに、法人の方がどういう課題を認識しているかとか、先ほどの「基本的考え方」にあった将来像を考えているのかといった部分が、主務省からの御説明では一切伝わってきませんでした。この法人はこういうことをやっています、というのは教えていただいたのですが、主務省側が、この法人はどういうところに向かっていって、次にどのような社会貢献をしたいのかというところが捉えられていないのではないかなと正直、率直に、去年聞いたときに感じまして、それは主務省と法人のコミュニケーションが不十分ということの結果として出てきているんだろうなと思っています。ですので、「基本的考え方」をしっかり突き詰めて、それと照らして評価をきちんと回していくという姿勢も委員会で必要なのかなと思って聞いていました。個人的には、もう少し主務省に、やっていることの把握だけではなくて、方向付け等も含めてもう少ししっかり関わってほしいなというのが、去年思った感想ですので、私もそういう目線でこれからもう少し見ていきたいなと思ったところでございます。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。法人の重要性、役割、意味合い、こういうものをしっかりと踏まえた中で、評価を見てみる、あるいは、関係、コミュニケーションを考えてみるというのは非常に重要かと思います。ありがとうございました。
 続いて、金岡委員、お願いします。
【金岡委員】  金岡でございます。私からは、感想を一つ申し上げます。
 一般事業会社との比較で申し上げますと、恐らくこの主務省そしてまた独立行政法人は、御担当が替わる頻度が一般事業会社より多いのではないかなと思っています。そうしますと、恐らくコミュニケーション不足に陥る理由の一つが、御担当が替わられたときに、その引継ぎと申しますか、どのような形で独立行政法人と主務省との間の過去の履歴とか、どういう形でコミュニケーションを取っているかということが、もしかすると各主務省によってはうまく伝わっていないのではないかなと思っています。ですから、その御担当が両者で替わるときに、どのような形でこれまでの関わりを伝えていくかということにも少し配慮すると言いますか、そういう形での指摘も必要なのかなと感じた次第です。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。そうですね。
 事務局は、今の御意見に対してどうでしょうか。
【小野企画官】  今回はそういったところを調査しておりませんでしたが、法人・主務省の担当者における、この制度改正を踏まえた前後の変化についての回答については「異動して当時の担当者がもういないので、その状況が分からない」という回答を比較的多くいただいていたところで、引継ぎという点については非常に課題があるのかなと感じたところでございます。引継ぎの重要性を主務省や法人にどのようにして伝えられるか検討させていただければと思っております。
 以上です。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、天野委員、お願いします。
【天野委員】  ありがとうございます。ちょうど金岡委員に指摘していただいたのですが、私も幾つかの法人で監事を携わっているのですけれども、中(長)期計画というのは基本的に替わらないのですが、主務省の御担当の方は、大体2年ないし最近は1年半ぐらいでころころ替わってしまうのです。ですので、本当にそこは大きな問題だろうなと思っています。
 そこのところも含めてなのですが、河合先生には本当に御苦労をおかけし、せっかくこのようにフォローアップ調査の結果をまとめていただいたので、先ほどの議題にありましたが、この委員会の在り方にこの結果を何らかの形で反映していただきたいなと感じています。文書の中に直接入れるということはいかがかなという気がしますが、それに基づく一種のチェックリストのようなものに仕上げる等、何らかの形で今回の成果がこの委員会の在り方のようなところに、次のステップアップに役に立てられるとよいのではないかと感じています。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。おっしゃるとおりですね。
 原田部会長、今の天野委員の御意見を含めて、どうでしょうか。
【原田委員】  ありがとうございます。2点ございまして、天野委員を含めて、もう少しここを突っ込んで聞いてほしいという御意見も多かったと思いますので、足りないところについては引き続き調査するということが1点目です。
 2つ目は、分かったことと言いますか、例えばA評定がなかなか取りにくいといったところとか、今御指摘いただいた人事のローテーションにより法人の位置付けを担当者があまり理解していない可能性もある、そうしたことについては、評価指針や目標策定指針に反映できるものはできる限り反映していく、あるいはそこまでいかないものについては、我々の手持ちのリストのような形で頭の中に入れておくということはすごく大事なことかなと思います。御指摘、ありがとうございました。
【天野委員】  よろしくお願いします。
【澤田委員長】  では、大体よろしいでしょうか。
 河合先生には大変御苦労いただきました。せっかくまとめられた調査結果は生かさないといけませんので、これをどうやって生かすか、先生方のたくさんの意見をいただきましたので、それを踏まえて進めていきたいと思います。調査結果の取りまとめとしては、こういう概要の方向性で今まとめていただいているので良いと思いますけれども、御意見も少しずつその中に入れ込みながら、生かしていきたいと思います。
 皆さん、御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。では、そのように取り扱わせていただきたいと思います。
 今回の調査を通じて得られた知見は、事務局を通じて各主務省によくお伝えいただくとともに、委員会としても今回の知見を踏まえてさらに調査審議を進めていければと思います。主務省及び法人の皆様におかれましては、調査に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 これで議題4を終わりたいと思います。
 ては、最後の議題5、法人の取組事例について、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【小野企画官】  資料5、法人の取組事例でございます。
 法人の取組の成果・結果のみならず、取組を実施するに当たっての工夫に注目することで、このような工夫が少しでも他の法人の参考となるよう情報提供できればと考えております。
 今回は、防災科学技術研究所(防災科研)とニセコスキー場のある倶知安町・ニセコ町との地域連携の事例、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とこれまで関係なかった非宇宙分野の企業等との共同研究の事例、及び、農畜産業振興機構(alic)の事業の見直しを行って、実施方法の見直しやデジタル化にチャレンジしている事例の3事例としております。
 まず、防災科研でございます。雪崩事故防止という課題について、防災科研の視点からの取組に加えまして、地域の課題を視野に入れて地域の課題解決に取り組んだことで、法人の研究開発に新しい価値を生み出したという事例でございます。
 ニセコは、御存じの方も多いかと思いますけれども、有名なスキー場ということで、スキー場外のバックカントリーにおける新雪・パウダースノーを求めて、国内外から多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れております。かつては、バックカントリーということもありまして、国内で最も雪崩による死亡事故が多かったということで、防災科研では、約20年前からニセコで防災や雪崩の予測に取り組んでおり、研究は進んでいたのですが、どうやってそれを社会実装するか、社会に役立てるのかというところが課題になっておりました。
 一方、地元では、地元の有識者の経験則を基に雪崩の危険度を判断してバックカントリーに通じるゲートの開け閉めを管理するニセコルールというものを行っておりまして、死亡事故をほぼゼロといたしました。国内外からスキー客などがさらに訪れるということで、良かったということなんですけれども、反面、多様性の高まりに伴って、その地元の経験則には従えないという方が出てきて、ニセコルールに科学的根拠を求める声が高まったということ、それから、ニセコルールを継続的に運用するためには有識者の経験則を引き継ぐことが必要なんですが、そこが少し難しく、後継者の確保といった2つの点が課題になっていたということでございます。
 そうした中で、防災科研では日頃の情報交換等で地元の有識者との信頼関係を構築しておりまして、その有識者との会話の中から、地域の課題解決に防災科研の研究成果を活用する可能性といったところに気づきまして、地域の課題解決のために地域との連携協力を始めることとなります。
 まず、地域の課題の把握に当たりまして、防災科研では、地元の有識者から経験則による雪崩予測の判断方法とそれに必要なデータが何かといったところをしっかりと聴いたということでございます。地元の関係者と一緒に協力の対象や内容等を検討して、雪崩事故防止に集中して取り組むこととしました。また、検討を通じて、そのゲートの管理に科学的知見が加味されれば、より安全なスキー場となって、スキー客等がまた増えて、ニセコエリアの価値が一層高まるというイメージを関係者間で共有します。
 この検討を実行に移す段階におきましては、観測機器の追加やその維持管理というところが必要になりますが、地域に役立つというイメージを地域と共有できていたということで、倶知安町・ニセコ町との地域協力協定を締結することとなりまして、ニセコなだれ関連情報提供システムの構築を始めます。
 構築に当たっても苦労はあったということでございますが、結果として、経験則を客観的データに基づいて「見える化」して、現況の観測情報と予測情報を地元の関係者にパソコンで提供するといった社会実装ができたということでございます。地域においても、科学的根拠を加味した高度なゲート管理が、地元の有識者のみならず、スキー場関係者でも行えるようになって、防災科研と地域双方の課題解決が図られたというものでございます。
 本件は、法人からの視点だけでなく、地域との対話の中で地域の視点に気づき、地域の課題解決に取り組んだことで、法人の取組に新たな価値が生まれたという事例であり、こうした姿勢や取組は他の法人にも参考となるものと考えております。
 続きまして、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の事例でございます。
 本件は、JAXAとこれまで関係のなかった非宇宙分野の企業や大学からアイデアを広く集め、それを基に研究テーマを決めて共同研究を行った結果、宇宙探査のみならず、地上での実用化に結びつけたオープンイノベーションの事例です。
 従来のJAXAの研究開発ですと、宇宙探査のミッションを確実に実施しようということで、コストが高くなったり、使う機会・対象が限定的であったり、あとはその実現までに時間がかかるといったことで、結果として参加者が限定され、新たな産業への広がりが見られないという課題がございました。
 そういったところを踏まえまして、JAXAでは、宇宙探査イノベーションハブという新たな組織を新設して、Dual Utilizationということで、10年~20年後の宇宙探査に必要な技術と、地上での実用化・製品化を目指した共同研究を始めます。
 成果の例が資料右下の超軽量建機ですが、地球から月面等で稼働する建機を輸送するには軽量化が必要ということで、民間企業との共同研究によって、一部を炭素繊維強化樹脂というものに置き換えて軽量化を図ったというものが製品化されております。
 こうした取組を可能としたのが、「宇宙分野以外の企業等の参加を得るための独自の工夫」のi)、ii)、iii)でございます。
 まずi)ですけれども、これまではJAXA側の発注型の共同研究としていたのですけれども、共同研究の実施の前に、情報提供要請と研究提案募集というプロセスを導入いたしました。これは、コンピュータの調達などでは一般的な仕組みですが、JAXAのほうから研究費を支出するタイプの研究開発のテーマ設定に導入したのは、JAXAでは初の試みということでございます。
 情報提供要請から研究成果創出までの流れで少し説明させていただきます。まず、JAXAのほうから、(1)情報提供要請ということで、JAXAが必要とする技術に関するキーワードを幾つも示して、企業や大学のニーズやシーズに基づくアイデアを募ります。それらとJAXAのニーズをマッチングさせた上で、(2)研究提案募集で、共同研究課題を示して申請を受け、企業や大学発の研究テーマで共同研究を行うという仕組みでございます。
 ii)でございます。企業からの様々な提案に対応できるように、企業の目標に合わせて研究期間・研究費の異なる3つのタイプを用意して、事業化を目指すものから挑戦的なアイデアの発掘まで対応しているということでございます。
 そしてiii)、地上での製品化のために共同研究で得られた知財というものは基本的に参加企業側で自由に使えるということにしております。もともとの狙いである地上での製品化を目指すことと相まって、参加企業の意欲も高くて、参加企業からの自己投資・リソース提供は、JAXAが支出する研究費以上となっているということでございます。
 こうしたことで、先ほど建機の例を出しましたけれども、それ以外にも、住宅、農業、おもちゃ、化粧品といった多様な分野との共同研究を行っておりまして、2015年から2020年の6年間で128件の共同研究に201機関が参画し、このうち9割がこれまでJAXAとは取引のなかった企業・大学となっているということでございます。
 この取組は、もともとは科学技術振興機構(JST)の委託事業から始まっておりまして、JAXAにおいても挑戦的な取組であったと聞いております。ですが、JAXAのほうでは委託事業終了後も積極的に実施していくということでして、他の法人においても、これまで関係のなかった企業等とのオープンイノベーションを検討する際に参考となるものと考えております。
 最後に、農畜産業振興機構(alic)でございます。
 従来から行ってきた事業について、業務の見直しを行って、事業の実施方法の変更やデジタル化にチャレンジしていくという事例でございます。
 外食や総菜などで利用される加工用・業務用野菜につきましては、需要は増えているのですが、輸入野菜のシェアが高くなっているというところで、alicでは、国産の加工用・業務用野菜の需要拡大を図るために、対面式の商談会「国産やさいマッチングフェア」を開催しております。
 対面式の特徴としまして、来場者との意思疎通を図りやすいので、その場で信頼関係の構築ができる、またサンプルを提供して商談を早くまとめられるといった長所がございますが、一方、alic単独での開催でしたので、会場設営コストが高いとか、来場者が開催地中心となってしまって、全国規模の集客が困難、それから開催時期によって、商品の作物の関係で生産者が限定されるといった課題がございました。
 alicでは、普段から業務の見直し、改善、効率化といったところについて検討しておりまして、まず着手したのが、見直し(1)のところでございまして、2020年3月のマッチングフェアをこれまでの自前開催から他社主催の大規模イベントに参加する手法に切り替えて、開催コストの低減、それから集客数の拡大を図ります。開催コストの低減の関係については、大体400万円程度のコスト削減に加えて、自前開催の場合は応援職員を多数配置する必要があったものが、それがなくなって労務管理コストの削減ができるようになったということでございました。ただ、これは2020年3月ということで、コロナ禍の関係で対面式のイベントの開催が困難な状態になりまして、このイベントは中止となりました。現在は再開の時期を慎重に検討中ということでございました。
 コロナ禍では、外食の需要が大幅に減少して、外食向けの野菜の行き場がなくなってしまい、加工用野菜生産者が大きな影響を受けておりました。alicでは、生産者を何とか応援したいということで、見直し(2)として、生産者と実需者とを結ぶ無料のオンライン商談サイト「ベジマチ」を立ち上げます。遠方の生産者と実需者が移動せずに商談できるということ、それから、これは毎月1回開催しているのですけれども、年間通して商談会を開催するということで、課題でありました全国規模の集客が困難であるとか、開催時期で生産者等が限定されるといったものにも対応するものとなっております。
 両事業の今後の展開につきましては、コロナが収まれば、対面式のよさを生かして「国産やさいマッチングフェア」を再開するとともに、「ベジマチ」も継続して、コロナ前よりも生産者と実需者とのマッチング機能を強化していくということでございます。
 本件は、事業の実施に当たって、課題に対応するために見直しを行って、新たなことにチャレンジしたという事例でございます。他の法人におかれましても、新たなチャレンジは推奨されるものであり、少し失敗のリスクもありますけれども、失敗を恐れずにチャレンジしてほしいと考えております。
 資料については以上です。
 なお、今回は時間の都合で紹介できなかったのですけれども、このほかにもヒアリングを何法人かにさせていただいておりまして、少し紹介させていただければと思います。日本スポーツ振興センターの国立大学等に設置した寄附金付き自動販売機の事例、それから海洋研究開発機構のオンラインテーマパーク開催、サンリオ・任天堂等との連携の話、それから日本貿易振興機構の中小企業等の海外展開支援、石油天然ガス・金属鉱物資源機構のダイバーシティ推進、水資源機構の統合ダム管理システム開発、環境再生保全機構の企業自身の社会貢献活動とPRできる寄附メニューなどの取組を教えていただいております。どれもすばらしく、工夫のある取組でしたので、機会を見つけて紹介できればと考えております。御協力に感謝いたします。
 説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 今回の3例だけではなくて、ほかの取組も簡潔に紹介いただきましたが、こういう良い取組事例というのは、ほかの取組に対してもすばらしい影響を及ぼすと思います。本当はこれはコロナ禍でなければ、いろいろな形で皆さんと一緒にこういう事例をお聞かせいただく場が設けられるのですが、そうしたことができず残念ではあります。今後またそういう機会を作れれば良いと思います。
 それから、私が所属している会社の取組を紹介させてください。日用品を取り扱う花王は、JAXAと取り組むことができました。私たちはJAXAなどとはちょっと御縁遠いと思っていたんですが、協働の取組により、地球の清潔な環境づくりというのが、宇宙での環境づくり、特に宇宙ステーションでの環境づくりに生きる、またその逆もあるということが分かりました。例えば、シート上の洗浄剤を宇宙ステーションの中で使ってもらうような試みです。また、競合他社のライオン株式会社とも一緒になって、もう少し違うことができないかとか、JAXAとの取組によって同業の中での広がりも出てくると思います。先ほど事例紹介がありましたけれども、私自身、結構事例のインパクトを実感しておりまして、良い取組ができつつあるなと思いました。
 少し長くなりましたが、皆さんのほうから今の御報告につきまして、御意見、御発言等はございますでしょうか。
 横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】  ありがとうございます。具体的な事例でいろいろな広がりがあり、成果の共有はもちろん、仕組みや座組みなども含めてとても参考になりました。ありがとうございます。
 その上で、大きく2点、申し上げます。まず、好事例について、一部数値も御紹介いただいていましたが、特に費用面で、例えば開始時や自主事業化するときの事業規模や、費用削減効果が見えると、小さく始めても良いなど他の団体も非常に参考になると思います。また、いずれ持続可能性を考えると出口もイメージしていかなければいけないので、ある一定の実績を積んだ後に、連携している中での成功をどう他の案件に移転していくのかというのも是非御共有いただけたらうれしいです。
 2点目は、特に連携協約などを意識してお話しします。連携協約は本当に難しくて、良い事例もあると思いますが、頓挫するものも実は多いのではないかなと思っています。失敗事例の共有や、全体の中でうまくいっている案件の割合とともにある程度失敗するものだということも共有していく必要ではないか。また、失敗事例をどこまで共有するかは別ですが、何が継続しなかったポイントなのかや、逆に継続のために不足していたものも含めて、まとめていけると非常によいと思います。
 以上になります。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。良い事例もいいんですが、うまくいかなかった事例、そういうところからまた良い事例に持っていける、そういうきっかけになれば良いなと思いますね。
 事務局のほうで、何か今の御意見に対してコメントはありますか。
【小野企画官】  ありがとうございます。そうですね。費用面のところについては、防災科研ですと、地域の協力を得られて、観測機器の維持管理等を地元で負担していただけるようになったという話は承知しております。
 それで、あと、その失敗事例のほうですけれども、こちらは我々も教えてもらえれば把握したいと思っておりますが、なかなか聞きづらいというところもありまして、少し工夫が必要かなと考えております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  そうですね。ありがとうございます。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。これまで数年間、この新しい制度が始まって、このコロナ禍でなければ、シンポジウムを開催し、各独法の理事長をお呼びして講演をしていただいたりする等、いろいろ行ってきたと思うのです。ですので、先ほどの制度改正フォローアップ調査ではないのですが、その時々の良い事例などをきちんとこちらの委員会として発信できるような仕組みというのはあるのでしょうか。以前は「ホームページに載せています」などというお話は少しあったかと思うのですが、今のこのコロナ禍の中ではどんな感じになっているのでしょうか。
【澤田委員長】  どうでしょうか、事務局のほうでは。
【小野企画官】  取組事例は、昨年度も行っておりますけれども、ホームページには掲載させていただいております。
 また、先ほどのフォローアップ調査ではないですが、シンポジウム等の開催というところも検討していきますので、そういったところでも積極的にPR、情報発信に取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
【天野委員】  ありがとうございます。ホームページで載せるといっても、階層の下のほうに入っていたりするとなかなか見づらかったりするのではないかと思います。ですので、総務省は広報誌を定期的に出していたりするので、内容全部ではなくても、例えばURLを紹介するとか、何か少しプラスアルファの工夫をしてもよいのではないかなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。リモートをうまく使うという手もあると思うんです。これまでは限定されていたものが、結構、好事例なら皆さんに聞いていただくというのもできると思いますので、いろいろな手段を使って広めていくことが大切かなと思います。ありがとうございます。
 では次に、清水委員、お願いします。
【清水専門委員】  ありがとうございます。alicのところで、まさに今のお話に近いかもしれませんが、このオンライン相談なども、1回ではなかなかうまくいかなくて、ツールだとか、やり方の善し悪しというのもすごくあると思いますが、だんだんそれに慣れていくと、オンラインはフィードバックが早いので、もう少し、今までではない新しいこの生産者さんも見つけられるツールになるかもしれませんので、1回で一喜一憂するのではなくて、長い継続的な取組として是非チャレンジしてほしいなと思っています。本当にイメージだけで言うと、例えばインスタライブみたいにする等、やり方はたくさん考えられると思いますので、これを一過性のものにせずに、是非育ててほしいなと思ったところで意見をさせていただきました。
 あともう一つだけ、先ほどのJAXAの件で、JSTの委託事業からの発展というところは、すごく何か重要なことなのかなと感じました。どういった経緯でそのような発展に至ったのか、少しそこはお聞きしたいなと思って、質問だけですけれども、よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 では、事務局のほうでお答え願います。
【小野企画官】  JSTの委託事業について御説明させていただきます。こちらは、JSTのほうで2015年から5か年間ということでやっておりましたイノベーションハブ構築支援事業というところの支援というか、委託費を受けてJAXAのほうで取り組んだということでございます。その中では、地上での実用化・製品化というところについて、いろいろと知見のある方をJSTのほうから派遣してもらって、一緒に検討したりするという取組をされたと承知しております。
 以上でございます。
【清水専門委員】  そういう交流もすごく良い成果の一個だと感じています。ありがとうございます。
【澤田委員長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では、南雲委員、お願いします。
【南雲臨時委員】  ありがとうございます。こういう良い事例というのは、その独法の外に良い影響を及ぼすという意味で、クレジットをあげないといけないと思います。まさに業績評価というのはこういったものを拾うべきであって、主務大臣とかからエキストラクレジットということで定性的に加点があるというようなものがないと、広がっていかないと思います。ですので、まずはその評価制度において、何かこれを拾い上げていくようなことができないかどうかという視点が必要かと思います。
 それと、こうした取組は、法人全体としてやったというよりも、その中にいるチームが多分貢献したんだろうと思うんです。なので、そのチームの人たちを褒めてあげるというものがないと、インセンティブが高まっていかないと思いますので、法人の中のチームにカスケードダウンして、「あなたたちはよく頑張った」とうまく持ち上げてあげるようなもの、そういう視点を何か組み込めないかなと思いますが、いかがでしょうか。
【澤田委員長】  大切な意見ですね。事務局のほうで、どうでしょうか。
【小野企画官】  そういったところについて、確かにこれはチームとして取り組んで成果を出しているというところも多々あると思っておりますので、そういったところも含めて、今後、評価指針等の検討の際には検討していきたいと思います。
【澤田委員長】  そうですね。恐らく南雲委員がおっしゃっているようなところは多少盛り込んでおられるとは思うんですけれども、もう少しその辺をきちんと評価してあげると、本当にモチベーションアップにつながるのかなと思います。貴重な意見だと思います。ありがとうございます。
【南雲臨時委員】  一言だけ、よいですか。今言った点は、恐らくその当初の計画を超えてエキストラの価値が出たという部分もきっとあるんだろうと思うんです。それをどう拾い上げるかというところが一つのポイントだと思いますので、その法人そのものと、それからチームと2段階で何か褒めてあげるというところの視点が必要かなと思います。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 では、浜野委員、お願いします。
【浜野委員】  ありがとうございます。今いろいろな委員の方から御意見が出ましたように、以前でしたらこの独立行政法人評価制度委員会に来て、御発言・御発表いただいたのですけれども、オンラインも活用して、皆さんがたくさん気付きを得られるような機会を設けていただければなと思います。
 それともう1点なんですけれども、防災科研の場合もalicの場合も、様々工夫していただいて面白いと思ったんですが、ニセコの場合には、もう既にニセコに住んでおられる外国人の方も結構いらっしゃいます。そういった意味の防災というものもなさっていると思うんですが、alicの場合も、これを国内だけで消費するのではなくて、牛乳も含めて、国内の消費だけではもうなかなか先がないので、海外とどうやってつなぐかといったところが、国外のお金をどうやって稼ぐかというのが日本全体の喫緊の課題ですので、そういった海外の展示会のオンラインサイトなど、様々なツールがありますので、次のステージとして、是非海外との連携あるいは海外からの学びとかといった事例を紹介していただくとよいのではないかなと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。そうですね。おっしゃるとおりだと思います。
 もう時間が過ぎておりますけれども、最後に原田評価部会長から手が挙がっていますけれども、よろしくお願いします。
【原田委員】  手短に申し上げます。先ほどの防災科研は、大変興味深い事例だと思いました。是非、他の法人におかれましても、現場の声をよく聞いた研究開発に努めていただきたいと思います。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 大体よろしいでしょうか。
 このような他の法人の参考になる取組の紹介というのは、いろいろな形でいろいろな視点から今後も取り組んでいければと思っております。
 それでは最後に、事務局から報告事項があればお願いしたいと思います。
【方管理官】  先ほどの議題4のフォローアップ調査結果の関係でございますが、本日いただきました委員の皆様の御意見等を十分踏まえて、主務省によく伝えてまいりたいと考えております。それが1点目でございます。
 2点目は、医薬基盤・健康・栄養研究所の目標案につきましては、正式な諮問が参りましたら、持ち回りでの御審議をお願いしたいと考えております。
 最後ですが、次回の会議につきましては、4月8日金曜日14時からということでございます。年度当初の委員会となります。場所等につきましては、追って連絡したいと考えています。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第34回独立行政法人評価制度委員会を閉会したいと思います。
 次回4月8日は、恐らく現状のコロナの状況も少しはよくなっていると思いますので、皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
 本日は、皆さん、本当に御出席いただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。
 
(以上)

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