厚労省・新着情報

労働基準局労働条件政策課

日時

令和3年7月19日(月) 10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室 中央合同庁舎5号館9階(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員
労働者代表委員
 川野委員、北野委員、櫻田委員、仁平委員、八野委員、森口委員
使用者代表委員
 池田委員、佐久間委員、佐々委員、鈴木委員、鳥澤委員、兵藤委員、山内委員
事務局
 吉永労働基準局長、小林審議官(労働条件政策、賃金担当)、石垣総務課長、黒澤労働条件政策課長、尾田監督課長、吉田労働条件確保改善対策室長、安里医療労働企画官

議題

  1. (1)「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」の成立について(報告事項)
  2. (2)裁量労働制に係る実態調査及び新たな検討会の設置について(報告事項)
  3. (3)「経済財政運営と改革の基本方針2021 」等について(報告事項)

議事

議事内容
○労働条件政策課長 定刻になりましたので、ただいまから第169回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日は本年4月27日付の分科会委員改選後初めての分科会となりますので、冒頭は事務局において進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
なお、労働基準局長の吉永は他の公務のため、遅れて出席いたします。御了承ください。
それでは、議事に入ります前に、分科会委員の交代につきまして御報告させていただきます。お手元の参考資料1といたしまして、労働条件分科会委員名簿を配付しております。名簿の順番により、新しく委員に就任された方々3名につきまして、お名前を御紹介させていただきます。
公益代表委員として、法政大学キャリアデザイン学部教授の佐藤厚委員。
労働者代表委員として、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長の梅田利也委員。
使用者代表委員として、株式会社大丸松坂屋百貨店人財開発部部長の兵藤美希子委員にそれぞれ御就任いただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日は分科会委員改選後初めての分科会となりますので、分科会長を選出する必要があります。分科会長は、労働政策審議会令第6条第4項に基づき、当該分科会に属する公益を代表する本審の委員のうちから、当該分科会に属する本審の委員が選挙することとされております。当分科会におきましては、本審の委員は荒木委員のみが該当されます。したがいまして、荒木委員が当分科会の分科会長に就任されることとなります。
それでは、以後の議事進行は荒木分科会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 引き続き、労働条件分科会長を務めることになりました荒木でございます。委員の皆様の御協力を得ながら議事を進行してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、分科会長の就任に際しまして、分科会長代理の選任をさせていただきたいと思います。分科会長代理につきましては、労働政策審議会令第6条第6項により、当該分科会に属する公益を代表する本審の委員または臨時委員のうちから、分科会長があらかじめ指名することとされております。この規定に基づきまして、藤村委員に分科会長代理をお願いしたいと存じます。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の両角道代委員、労働者代表の梅田利也委員、世永正伸委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。
次に、事務局から定足数の報告と本日の議事運営について説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
続いて、本日の議事運営について申し上げます。本日の労働条件分科会につきましても、感染防止の観点から会場参加とオンライン参加の双方による開催方式とさせていただいております。また、会場の皆様におかれましては、会場備付けの消毒液の御利用やマスクの着用に御配慮いただけますようお願い申し上げます。
以上です。
○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題の「(1)『良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律』の成立について」、これは報告事項でございます。それでは事務局より説明をお願いいたします。
○医療労働企画官 労働条件政策課医療労働企画官をしております安里でございます。私のほうから資料の1-1と1-2を使いまして、本件御報告させていただきます。
まず資料の1-1を御覧いただければと思います。1枚おめくりいただきまして参考というのがございます。医師の労働時間の上限規制については、これまで本分科会に2回にわたって御報告を差し上げてきました。医師の上限規制については、医療界の参画も得て、どういう内容にするのか議論をすることとしておりましたが、今見ていただいております1枚目の参考とさせていただいている資料が、有識者にお入りいただいた検討会で議論いただきとりまとまった将来の図であり、これまでに分科会にご報告さしあげてきた内容でございます。
2024年4月から医師にも時間外労働の上限規制がスタートいたしますが、その上限時間数としては、年960時間、又は年1,860時間ということを考えており、高い上限が適用される医師については追加的な健康確保措置などをお願いするという制度の案を考えてまいりました。
今回、この制度の案に基づきまして、高い上限が適用される医療機関を指定する枠組みや、追加的健康確保措置の義務づけなどについて、医療法を改正する改正法案を提出いたしまして、成立したところでございます。その中身を御報告いたします。
2ページ目が提出させていただいた法律案の概要になります。「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」となってございますが、中身は医師の働き方改革以外にもタスクシフト・タスクシェア関係、地域の実情に応じた医療提供体制の確保など、その他医療行政の他の論点と合わせての法案になっております。
赤枠囲みのところが医師の働き方改革でございますが、ポイントとしては3点ございます。1点目が勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成に関するもの、地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設に関するもの、指定を受けた医療機関における、面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等健康確保措置の実施に関するものなどの規定を設けたものでございます。
1枚おめくりいただければと思います。こちらは審議の経過をまとめておりますが、令和3年2月2日に法案提出の閣議決定をいたしまして、衆議院では3日間、参議院では4日間、こちらにお示しているとおりの審議を行っていただきまして、令和3年5月21日に可決、28日に公布されてございます。
4ページ目でございますが、この法案が通りまして、2024年4月に向けてどのようなスケジュールになっているかの御説明をしている図でございます。ここで一点御報告がございます。2024年4月に向けて、一番上に「時短計画案の作成」という記載があるかと思います。こちらでございますが、これまで分科会のほうに御報告を差し上げてきた検討会の中間取りまとめの中では、この時短計画の策定については、年960時間「超」の時間外・休日労働を見込まれる医師、A水準超の医師がいる医療機関については、2024年度を迎える前までの間においても時短計画の作成を義務づけるとしておりました。
この点については、法制上の理由と、コロナの影響に配慮するべきではないかということがございまして、法案提出過程の中で修正されまして、2024年度より前の時期については、A水準を超えているような医師がいる医療機関については時短計画の作成を努力義務とし、その計画を都道府県に提出などしていただきましたら、都道府県が支援を行うということとしてございます。
一方で、2024年度以降、高い水準の適用を求める医療機関については、指定に当たっては、2024年度以降の時短の取組についての案を作成して添付することとしておりまして、労働時間が長くなる医療機関については、しっかり計画をつくって取り組んでいただくという点には変更ございません。
今後のスケジュールですが、指定を希望する医療機関は、計画の案を作成していただきまして、その後、評価センターによる第三者評価に進んでいただきまして、その評価結果も踏まえて都道府県が指定を行うという流れとなっております。
もう1ページおめくりいただければと思います。こちらは今、申し上げたように2024年度より前の時期については、時短計画の策定が努力義務になったところでございますけれども、厚生労働行政としては、医療機関における医師の働き方改革が着実に進むよう、医療機関に対する働きかけをしっかり行ってまいりたいと思っておりまして、こちらのスライドは、医療機関の個別状況に応じた働き方改革の推進についてまとめたものでございます。
真ん中の2021年度のところを見ていただければと思いますが、医療行政において全病院を対象に労働時間把握状況等の調査をこれから行うことを予定しております。全ての病院について、今どういう取組状況であるかというのをお伺いいたしまして、その結果を各都道府県に医療勤務環境改善支援センターというセンターが置かれておりますので、そちらのセンターと共有いたしまして、センターのほうから取組がまだ不十分と思われるような医療機関には働きかけを行っていく。こういう働きかけを繰り返しながら、2024年4月に向けて着実に時短を進めてまいりたいと思っております。
6ページ目以降ですけれども、こちらは法案審議の際に附帯決議がつきましたので、そちらを御紹介したものになってございます。
6ページ目、7ページ目、8ページ目まで附帯決議を抜粋して御紹介しております。法案は医師の働き方改革以外の部分もございましたので、こちらは医師の働き方に関するもののみ抜粋して御紹介しております。
9ページ目以降ですが、今御紹介した附帯決議についてカテゴリーごとに分類をいたしまして、それぞれに対する厚生労働省としての対応方針をまとめております。地域医療提供体制の確保のために必要な支援を行うべしという御意見いただいておりますが、御意見いただいているように必要な支援を行ってまいりたいといったことを記載しております。9ページ目の下のほうに、各医療機関が指定を受ける前には評価センターで評価を受けるという話を御説明しましたが、その評価センターに関する事項についてまとめております。
10ページ目ですが、医師の労働時間短縮等に関する大臣指針に関する事項をまとめております。医師の働き方改革については、法律上の規制をする部分とは別に、各プレイヤーがそれぞれどういう方向を向いて取り組むべきかということをまとめた大臣指針を作成する予定にしておりますが、こちらの指針の中で盛り込むべき事項などについても御意見をいただいておりますので、その意見を踏まえた対応をしてまいりたいと思っております。
11ページ目以降、将来に向けた労働時間短縮に関する事項、制度をしっかり周知・支援をしてほしいといった御意見をいただいており、いずれも対応していきます。
12ページ目には、その他でまとめておりますが、タスクシフト・シェアの推進や、子育ての両立に関する環境の整備ですとか、様々な御意見をいただいておりますが、いずれも附帯決議を踏まえて、着実に医療機関の医師の労働時間短縮に努めてまいりたいと思っております。
続きまして資料の1-2を御覧いただければと思います。
こうしまして医療法制における対応が進みましたので、今後どういう対応を行っていくかの御説明でございます。こちらは165回の際に御報告させていただいた資料を一部修正してお示ししております。労働基準法と医療法の関係でございます。労働基準法は全ての労働者に適用される労働条件の最低基準を規定しておりますが、その労働基準法中で、四角囲みを左側にしておりますが、既に医師については令和6年4月から上限規制を適用することと、具体的な時間数は厚生労働省令で定めることを決めておりました。
これを受けまして、右に行きますが医療法における対応について、有識者もお入りいただいた「医師の働き方改革に関する検討会」と「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の検討会で議論を行い、それを先ほど法案の説明の中で御紹介しましたが、制度として必要な法律上の対応を行う法案として提出し、無事成立したところとなっております。
今後、こうしたことを受けまして、右から左に戻る矢印がございますが、医事法制の枠組みによって指定された医療機関とそれ以外の医療機関と書いておりますが、今回の医療法の改正の中で、都道府県が指定をする医療機関と、指定をしない医療機関・A水準の医療機関が法律上明確に分けられることになりました。
これを受けて、技術的な対応でございますけれども、労働基準法の医師の上限規制について規定した部分について、指定を受けた医療機関に関しては医療法の中で当該規定を読み替えるという法律上の整理も行っております。この整理を受けまして、今後具体の時間数については厚生労働省令を規定することになりますが、医療法において読み替えられた部分、都道府県が指定した医療機関に関する部分と、読み替えられていない医療機関・指定を受けていないA水準医療機関に関する部分とを分けた形での省令の規定を今後はしていくことになるかと思っております。
いずれにせよ、労働基準法に関わる厚生労働省令の規定については、本審議会の中で御議論いただいて省令を定めていくことになってまいります。医療法関係の他の省令規定の部分もございますので、一体的に案を作成しまして、準備が整った段階で、労働基準法に関連する厚生労働省令の部分について、後日、本審議会で御議論いただくことを予定しております。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればお願いしたいと存じます。
なお、ウェブ参加委員の皆様におかれましては、御発言の希望がある場合はチャット機能で発言希望と入力してお知らせください。手を挙げる機能は使わないようにお願いいたします。チャットで書き込んでお知らせください。どうぞお願いいたします。
佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 御説明ありがとうございました。
医師のこの働き方につきましては、前回というか、労働条件分科会でも参考の資料を拝見させていただいておりまして、やはりB、Cというのが1,860時間ということで、非常に長い労働時間であり、時間外労働規制の時間になっているのではないかなと改めて思います。実際、2035年度末を目標に将来、改善していくということでうたっているわけですけれども、この間、全病院を対象にして、医師の労働時間の把握とか、それから勤改センターでのフォローアップ等々での実態調査を行い、把握をして、そして支援を行っていくことになっておりますけれども、2035年というとあと14年ほどありまして、まだまだ時間がかかるということだと思います。
もし、フォローアップ等々で時間外労働が少しずつ短くなっているということによって、将来を待たずに段階的にもう少し絞っていくとか、まだこれから始めていくわけですけれども、どのぐらいになったらこの議論を始めていく、そのスケジュール感、考え方、方針について教えていただければと思います。
○医療労働企画官 御質問ありがとうございます。
時間の削減のスケジュールという御質問かと思いますが、まず、この有識者に入っていただきました医師の働き方改革の推進に関する検討会の中では、2035年度末に全ての医療機関がA水準に至る、連携B、BについてはAに至るということを念頭にして、労働時間の短縮目標ラインというのを先ほど御説明しました大臣指針の中で示していこうとしております。そこで示しつつ、各医療機関が医師の労働時間短縮計画を作成する際には、その目標ラインを意識して作成をしていただくということで、確実に削減を推進していこうと思っております。あわせて、定期的に医師の労働時間の実態調査も行うことにしておりまして、そうした状況を適宜その有識者の検討会等に御報告させていただいて御議論をしていきますので、そうした中で、もし、そうなったらうれしいことですけれども、前倒しで解消ができることになることももちろん可能性としてはあると思っております。
いずれにせよ、その実態を把握しながら進んでまいりたいというところでございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○佐久間委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
川田委員、お願いします。
○川田委員 ありがとうございます。川田でございます。
本日御報告いただいた内容につきまして、総論的なところとしては、先ほどの佐久間委員の御質問と御回答にもありましたが、医師の働き方の実態を踏まえながら、理想的にはできるだけ一般則に近づけた内容の制度にしていくということがあるのだと思います。同時にこうした理想を踏まえつつも、それが医師の働き方の特殊性から直ちにできないという場合に、一方で特例的に一般則と異なる扱いをせざるを得ない必要性がどこにあるのかを見極め、他方で、このようなやむを得ない事情があるとしても、労働時間規制の本来の趣旨である働き過ぎ防止等の観点から見て許容できるような仕組み、例えば今回も、連続夜勤とかインターバルのようなものを併せて制度上組み込むことになっていると思いますが、そういうものを見ながら一般則と異なる扱いが労働時間規制の趣旨からみて許容しうるものかを見極めるというような制度設計上の視点の下で、恐らくかなり時間をかけて少しずつ時間を減らす努力をしていくことになるのかなと思っております。
その上で、やや細かい点に立ち入るところもありますが、資料1-1に関して2点ほど意見を述べたりあるいは御確認をさせていただきたいところがございます。
1つは、5ページのこの後の進め方のところで、ちょうど表の真ん中のちょっと上辺りに労働時間把握状況等の調査を行うという記載があると思います。これに関して、先ほど述べた実態把握との関係で非常に重要なことだと思いますが、その際に、医師に関しては特に、自分の勤務している病院のほかに、ほかの病院でどれだけ勤務しているかということを各病院がどのくらい把握しているのかという点について実態を確認することも重要なのではないかと考えておりまして、この後の調査でそういうところがもし対応できるようであればできるだけ対応することが望ましいのではないかということを一点述べたいと思います。
もう一つが11ページ目の「附帯決議の対応について」のところの下半分、「その他制度周知・支援に関する事項」の1つ目の○のところに、医師の夜間勤務についてのことが述べられています。医師の働き過ぎに歯止めをかける上で、この夜間勤務の労働時間制度上の扱いを適正なものにするというのは一つの重要なポイントではないかと考えているところでございます。労働時間の把握を含めた扱いを適切に行うこと。とりわけ、現状労基法41条3項が適用される可能性があるものとして行われている宿日直の扱いについて、適用除外すべきでないぐらい負担が大きいようなものについて、適用除外されてしまわないように適正な扱いをするといったことなどですが、そういったところは今回の話のメインである時間の長さの規制とは別の点ですが重要なことではないかと思います。
お伺いしたいのは、こうした点について、ここでは引き続き必要な取組を進めていくという記載になっているのですが、具体的に何かこれまでと違うことを行おうとしているということがもしあれば教えていただきたいというのが2点目です。
以上です。
○医療労働企画官 御質問ありがとうございます。
まず1点目ですけれども、全病院に対して行う調査の中では、御指摘いただいたようにほかの病院での勤務状況についても質問を考えてございまして、自分の病院での時間で見たときに960時間超えの医師がいるか、さらに他院での勤務時間を加えた場合にはどうかというような形で、しっかり他院での勤務状況も把握した上で、連携BなのかBなのかを考えていただくような設問を今の時点では検討しております。
2点目にいただきました夜間勤務の関係ですが、こちらは宿日直許可の制度自体が正しく認識されているかというところから始める必要があると思っておりまして、これまでも、こちらに書いておりますが、病院長向けの研修などでしっかり伝えてはいたのですが、今後もそれを継続するとともに、あわせまして宿日直許可の制度についてもう少し分かりやすく解説した資料を作ろうということを取り組んでおりまして、近々取りまとめまして、それを医療団体経由で医療機関にお伝えするとともに、先ほど言いました都道府県の医療勤務環境改善支援センターとも共有して、いろいろなところからしっかり医療機関に正しい情報を伝えて、正しい管理をしていただくという方向に進んでいきたいと思っております。
○川田委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議題の1については以上といたしたいと思います。
吉永労働基準局長がいらっしゃいましたので、ここで一言御挨拶をお願いできますでしょうか。
○労働基準局長 労働基準局長の吉永でございます。参加が遅れましたこと、誠に申し訳ございませんでした。
本日は委員改選後初めての分科会でございますが、議事の途中でございますが、お時間を頂戴いたしまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まずは、皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、この労働条件分科会の委員をお引き受けいただきましたこと、誠にありがとうございます。この労働条件分科会は、労働政策審議会に置かれている分科会の一つといたしまして、賃金の支払いや労働時間などの労働条件に関することについて、厚生労働省が行う事務に関する重要事項を調査、審議いただくものでございます。
この先、当分科会の所掌に関することにつきまして、報告あるいはお諮りすることも多々出てくると思いますので、その際には委員の皆様の専門的な知見とともに充実した御審議をお願いできればと考えている次第でございます。
簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
議題の2に移りたいと思います。「(2)裁量労働制に係る実態調査及び新たな検討会の開催について」、これも報告事項となります。事務局より説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。労働条件確保改善対策室長の吉田と申します。よろしくお願いいたします。
裁量労働制に係る実態調査及び新たな検討会の開催につきまして、資料2-1、2-2及び2-3により御報告いたします。
まず資料2-1をお開きください。表紙をめくって1ページ目でございます。
裁量労働制につきましては、労働政策審議会で答申をいただいておりました働き方改革法案の法案要綱に制度改正案が盛り込まれておりましたが、平成25年度の労働時間等総合実態調査に公的統計としての有意性・信頼性に関する問題があり、同法案の内容から削除されたところでございます。この経緯の詳細につきましては、働き方改革法案成立後の第143回の当分科会において詳細に御報告をしておるところでございます。
その後、今お手元にあります「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を2018年9月から開催いたしまして、労使や統計調査の有識者から標本や調査票の設計、集計に至る一連の統計調査のプロセス全般にわたるアドバイスをいただきながら準備を進め、総務大臣の承認を得た政府統計として裁量労働制実態調査を令和元年11月から12月にかけて実施し、裁量労働制の実態把握を行ってまいりました。
この専門家検討会でございますが、資料の「1 趣旨」のところに今、私が申し述べた経緯がございます。そして検討事項として、2のボックスにありますとおり、調査方法や集計方法、そして調査事項、また結果の検証といったことを議論いただきました。
検討スケジュールにつきましては、2018年9月から去る6月25日まで3年近くかけて7回の御議論をいただきまして、裁量労働制実態調査について公表に至ったわけでございます。
続きまして、資料の2-2に基づきまして、この調査の概要について御報告いたします。
まず1ページ目にプレスリリースというものがございまして、これをめくっていただきまして、「裁量労働制実態調査の概要」という冊子が出てまいります。こちらは100ページぐらいございますが、この中で主な事項について時間の範囲内で御説明したいと思います。
まず、今御覧いただいている表紙でございますが、結果の概要のところに、「1 適用事業場調査」「2 非適用事業場調査」「3 適用労働者調査」「4 非適用労働者調査」と4つの調査がございます。この調査におきましては、裁量労働制を実施している事業場において、事業場にお答えいただく調査と、そこで裁量労働制を適用されて働いていらっしゃる労働者の方にお答えいただく適用労働者調査を行い、それと質問内容がほとんどかぶる形で、非適用事業場調査、こちらは裁量制を実施していない事業場をサンプルなど構成いたしまして行った調査でありますが、そこの事業場にお答えいただく調査、そして、そこで裁量労働制の対象業務に従事していますが、裁量労働制は適用されていない労働者の方にお答えいただく非適用労働者調査の4つの調査から成っている調査でございます。
1枚めくっていただきまして、本日御報告する概要の中で取り上げられている項目でございますが、上の表が事業場調査の内容、下の表が労働者調査の内容となっております。
事業場調査におきましては、「適用」と書いてあるところと「非適用」と書いてあるところがそれぞれ適用事業場調査と非適用事業場調査の項目でありますが、御覧いただきますとおり、ほとんどの項目において「適用」にも「非適用」にも質問して集計しているということで、適用されているかされていないかの差異を比較できる形となっております。
主な事項でございますが、例えば「適用」のところで言えば、労働時間に関する事項、裁量労働制を導入している理由、裁量労働制の適用労働者に対する手当の支払い状況、健康福祉確保措置や苦情処理措置の実施状況、本人同意の手続や労使委員会の運用状況、裁量労働制に対する意見といった事項を調査しているところでございます。
下の表は労働者調査でございますが、こちらも適用の労働者と非適用の労働者を比べる形で集計しておりまして、労働時間に関する状況、健康に関する事項、健康福祉確保措置や苦情処理措置、本人同意や労使委員会に関する事項、裁量労働制の労働者の裁量の程度、裁量労働制に対する満足度や働き方認識状況、また意見といったものをお尋ねしているものでございます。
4ページでございますが、この調査の調査客体数及び有効回答数などでございます。4ページの7の項目のところに表がございますが、適用事業場調査につきましては、調査客体数、サンプル数は1万1750でございました。有効回答率は55.2%でございます。非適用事業場調査は調査客体数が1万5499で、有効回答率が50.0%。適用労働者調査は10万4985の調査客体数に対しまして、有効回答率が45.1%。非適用労働者調査につきましては、10万4375の調査客体数に対しまして、有効回答率が39.0%ということで、非常に多くの事業場と労働者の皆様に御協力いただいた調査となっているということでございます。
続きまして、7ページをお開きください。こちらの調査ですが、調査票をなるべく多く集計に反映させるということと、裁量労働制が専門型、企画型と制度が分かれておりますので、そうした実態をなるべく詳細に把握するという観点から、集計する母集団といいますか、フレームをいろいろな形で変えましての集計を行っており、表外項目と言っております。今7ページには適用事業場の表外項目が載ってございます。
①の総数というものが最も集合として大きなものでございます。この集合は②と③で専門型裁量労働制を導入している、または企画型裁量制を導入しているという2つの部分に分かれております。②、③でございますが、こちらは労働者が1人以上いることが分かる集計表のみならず、回答の状況から専門型または企画型の裁量労働制を導入していることが分かるものも加えて集計しているものでございます。
そして④、⑤、⑥でございますが、労働者がいることが確認できる調査票のみを集計対象としておりまして、④は裁量制全体、⑤が専門型のみ、⑥は企画型のみとなっております。同様に、非適用事業場や労働者の調査も総数があり、総数の中で業種や人数が不明なものを除いたもの、そして専門型、企画型それぞれ特定できるものということで、集計対象が異なっているということでございます。
以下、内容について御報告いたします。まず、適用事業場調査でございます。
適用事業場調査は、17ページに(7)という項目がございますが、こちらは適用事業場における1か月の労働時間の状況を1日当たり平均にしたものでございます。適用事業場調査では、労働時間について令和元年10月の1か月について聞いておりまして、併せて聞いている労働日数で割ることで1日当たりの平均値を出してございます。表1-7-1でございますが、例えば「8時間45分超9時間以下」は11.1%、「8時間30分超8時間45分以下」は11.0%などとなっております。
18ページは、今の分布の平均を取ったものでございまして、表が上と下に分かれています。今の1か月の労働時間の状況の1日当たり平均につきまして上の表であります。平均も、先ほどの検討会におきまして様々な考え方で平均を取るという議論がなされておりましたが、この場では労働日数加重平均、右側のほうのみ申し上げます。
労働日数加重平均で見た場合の裁量労働制の適用労働者がいる事業場全体の1日当たり平均の労働時間は8時間44分、専門型の事業場では8時間41分、企画型は9時間0分となってございます。その下の表の右側にありますが、1か月の1人当たり労働日数平均値は、裁量労働制の適用労働者がいる事業場全体では19.64日、専門型の事業場では19.63日、企画型では19.64日となってございます。
ちょっと戻っていただきまして、16ページは裁量労働制のみなし労働時間について尋ねたものでございます。みなし労働時間につきましては、1-6-1の表でございますが、例えば「7時間45分超8時間以下」は22.8%、「8時間45分超9時間以下」は17.4%などという分布になっておりまして、その平均値は、表1-6-2の右側、労働日数加重平均のところですが、裁量労働制適用労働者がいる事業場全体では8時間14分、専門型では8時間16分、企画型では8時間9分となっております。
続きまして、19ページ、裁量労働制の導入理由であります。図の1-8-1の黒いグラフは専門型、白いグラフは企画型を表しております。専門型の事業場について、導入理由で最も高かったのは、「労働者の柔軟な働き方を後押しするため」が75.5%となっております。企画型も同じ項目でありまして、67.7%となっております。
21ページは、裁量労働制の事業場ごとの適用要件について尋ねたものであります。黒い棒グラフが専門型ですが、最も高かったのは、「職種(事務職、営業職、専門職など)」を要件とするで75.1%、企画型の白い棒グラフは、「労働者本人の同意」で97.2%となっております。
25ページは、適用労働者に対する特別手当の有無、頻度や平均についてであります。表1-11-1ですが、裁量労働制の適用労働者に対して特別の手当制度があるかないかでありますが、上の段で専門型は「ない」というところは48.5%であります。手当制度が「ある」が51.2%。そのうち支払いの頻度で見た場合には、複数回答ですが「1か月ごとに支払われている」が最も高くて47.2%となっております。企画型につきましては、手当制度が「ない」というのは35.8%、「ある」が64.0%で、うち「1か月ごとに支払われている」が63.2%となっております。
26ページ、今1か月ごとで払っているとお答えいただいたもののみ集計したものでございますが、その1か月の平均の金額の分布状況です。「5万円以上6万円未満」というところが専門型、企画型ともに最も高くなっておりまして、それぞれ15.7%、15.4%となっております。その平均の金額ですが、専門型7万3545円、企画型は8万5401円となっております。
その下の図の1-11-3ですが、こうした特別手当の名目について尋ねたものです。専門型も企画型も同じ項目が最も高く、「通常の所定労働時間を超える残業代として」、専門型55.0%、企画型47.4%となっております。
30ページは、労使委員会につきましての質問であります。専門型の事業場で労使委員会について回答があった事業場は専門型全体の12.1%でありますが、そこにおいて、労使委員会の労働者側委員の指名方法について尋ねたものでありますが、最も高かったのは、49.6%で「労働組合による指名」でございます。そして、労働者の過半数代表者の選出手続についてですが、「労働者による投票」が46.8%で最も高くなっております。
下の段、企画型につきましては、全数を対象とした集計ですが、最も高かったのは「労働組合による指名」が57.3%であります。労働者の過半数代表選出手続については「労働者による投票」が45.8%で最も高くなっております。
31ページの1-16-1ですが、労使委員会の議題別の事業場の割合ですが、最も高かったのは専門型も企画型も同じ項目で「勤務状況や措置の実施状況の記録・保存」であります。専門型が75.5%、企画型が84.0%となっております。
32ページから裁量労働制に対する意見でございます。まず32ページの1-17-1ですが、裁量労働制に対する意見について、裁量労働制の適用事業場全体で最も高かったのは「今のままでよい」で37.1%でありました。専門型の適用労働者がいる事業場については「特に意見はない」が最も高くて39.5%。企画型の事業場につきましては「制度を見直すべき」が39.7%で最も高くなっておりました。
33ページですが、今の質問で「制度を見直すべき」という回答したところについて、具体的な意見を複数回答でお尋ねしたものになります。専門型につきましては、「制度を見直すべき」とした事業場は15.8%ございましたが、その中で具体的な意見として最も高かったのは「対象労働者の範囲を直すべき」が62.2%でございました。企画型につきましては、さきの質問で「制度を見直すべき」とした事業場は39.7%でございましたが、この中での具体的意見として最も多かったのは「手続負担を軽減すべき」の76.5%でありました。
34ページは、「対象労働者の範囲を見直すべき」を先ほどの質問②で選んだところにさらにお尋ねしたものになりますが、専門型につきましては「対象労働者の範囲を見直すべき」とした事業場においては、具体的な意見としては「狭い」が73.6%で最も高くなってございます。企画型につきましては、同じく「狭い」が94.0%で最も高くなっております。
35ページは、今の回答で「狭い」とした事業場にさらに具体的意見を聞いたものでございます。専門型で最も高かったのは、「法令上規定された業務に限らず、業務遂行の手段や時間配分について、使用者が具体的な指示をしない業務は対象業務として認めるべき」が81.4%となっております。企画型につきましては、「指針上規定されているように、対象業務に『常態として』従事していなくても、『主として』従事していればよいものとすべき」で74.7%でございました。
36ページは、対象労働者の範囲が「広い」と回答した事業場に具体的意見を尋ねたものでございますが、専門型で一番高かったのは、「一定の人事等級・経験年数等を要件とすべき」で54.2%、企画型は「現在認められている業務の一部又は全部を対象から外すべき」が66.4%で最も高くなっております。
37ページは、対象労働者の「範囲が不明確」とした事業場に対して、具体的な意見を尋ねたものになりますが、専門型は、「業務ではなく、一定の人事等級・経験年数等を要件とすべき」の53.9%が最も高くなっております。企画型につきましては、「業務ではなく、一定のコンピテンシーを要件とすべき」の37.3%が最も高くなっております。
38ページですが、最初のほうの設問で裁量労働制に対する意見で、「手続負担を軽減すべき」とした事業場に対して具体的な意見を尋ねたものでございます。こちらは最大3つまでの複数回答となっておりますが、1-17-7は専門型で、一番高かったのは「労使協定の労働基準監督署長への届出」で80.6%、下の1-17-8が企画型で、最も高かったのは「企画業務型裁量労働制に関する報告の作成および労働基準監督署長への届出」が92.6%となっております。
39ページからが非適用事業場でございますが、今御報告した適用事業場の質問に対応するもののみ御紹介したいと思います。
45ページを開いていただきまして、1か月の労働時間の1日当たり平均でございます。非適用事業場におきましても、先ほどの適用事業場と同じく1か月の労働時間を聞いておりまして、併せて聞いている労働日数によりまして1日当たり平均を集計しております。その分布状況でありますが、図2-6-1にありますとおり、7時間45分超8時間以下が23.2%等となってございます。
46ページですが、この分布の平均値であります。労働日数加重平均で申し上げますと、裁量労働制の対象業務に従事している労働者がいる事業場全体では8時間25分、そして専門型のところでは8時間26分、企画型では8時間21分となっております。1か月の労働日数の平均値ですが、下の表の右側ですが、全数では20.12日、専門型では20.04日、企画型では20.32日となっております。
47ページは裁量労働制を導入していない理由であります。この質問は非適用事業場のみの質問となっておりますが、導入していない理由で最も高かったのは、「対象となる労働者がいないと思うから」の40.2%でございます。
50ページ、裁量労働制に対する意見であります。最も高かったのは、全数、専門型、企画型も「特に意見はない」という項目でありまして、全数では54.5%、専門型では55.1%、企画型で51.9%となっております。
そして、裁量労働制について「制度を見直すべき」という答えは専門型では9.7%ですが、そちらにつきまして具体的に意見を聞いたものが51ページですが、最も高かったのは「対象労働者の範囲を見直すべき」が64.0%であります。企画型については「制度を見直すべき」は11.6%でしたが、こちらについて最も高かった具体的な意見としては、「裁量労働制を導入することで必要となる手続負担を軽減すべき」の55.5%であります。
52ページは、「対象労働者の範囲について見直すべき」とした事業場に対しての質問になりますが、最も高かったのは、専門型は「狭い」で66.5%、企画型は「範囲が不明確」で55.4%となっております。
53ページは、対象労働者の範囲が「狭い」とした事業場に対しての質問であります。「狭い」とした事業場で最も高かった具体的意見は、専門型につきましては「法令上規定された業務に限らず、業務遂行の手段や時間配分について、使用者が具体的指示をしない業務は対象業務として認めるべき」の51.0%でございます。企画型は、「法令上規定された業務に限らず、労使で合意された業務は、対象業務として認めるべき」が70.7%と最も高くなっております。
対象労働者の範囲について「広い」とした事業場に具体的意見を聞いたものが54ページにございますが、専門型につきましては、「一定の年収を要件とすべき」の63.2%が最も高くなっております。企画型につきましても、同じ項目で58.8%となっております。
対象労働者の「範囲が不明確」とした事業場についての具体的意見は55ページですが、専門型で最も高かったのは、「業務ではなく一定の人事等級・経験年数等を要件とすべき」の52.4%であります。企画型につきましては、「業務ではなく、一定のコンピテンシーを要件とすべき」で、これが70.0%となっております。
続いて、労働者調査に入ります。
57ページをお開きください。労働者調査につきましては、労働時間については10月末の1週間のみを聞くということで、事業場調査と聞き方が異なっております。また、実際の数字、何時間という答え方をされた場合と、階級でお答えするという2つの答え方を用意しておりました。この3-2-1につきましても、階級での回答を含む、含まないの2つの欄がございます。階級での回答を含むほうのみ御紹介いたしますが、例えば「40時間以上45時間未満」が26.9%、「45時間以上50時間未満」が21.0%などとなっております。
こちらの平均値ですが、58ページの表3-2-2のとおり、1日の平均労働時間としては、裁量労働制の労働者全体では9時間0分、専門型では8時間57分、企画型では9時間15分となっております。1週間の平均労働日数は、総数では5.03日、専門型では5.06日、企画型では4.89日となっております。
59ページで、労働時間について、昨年、平成30年の同時期からの変化についての質問であります。最も高かったのは「変わらない」で57.3%となっております。
59ページの(4)ですが、1日のみなし労働時間の認知状況、そして1日の平均みなし労働時間であります。まず、みなし労働時間についての認識ですが、「分かる」というのは総数では59.4%、「分からない」が38.1%であります。専門型の労働者のみの集計では「分かる」が58.0%、「分からない」が40.1%です。企画型の労働者については「分かる」が68.0%、「分からない」が27.4%です。
自身に適用されているみなし労働時間を具体的に回答したもののみを集計した分布と平均ですが、「7時間30分超7時間45分以下」が24.5%などとなっております。平均値ですが、1日平均のみなし労働時間は、裁量労働制の労働者全体では7時間38分、専門型では7時間38分、企画型では7時間39分となっております。
61ページは、労働時間の状況の把握の方法であります。裁量労働制の労働者全体で最も高かったのは、「自己申告」の32.5%であります。専門型も「自己申告」が最も高く35.5%、企画型は「PCのログイン・ログアウト」が最も高く39.8%となっております。
62ページは深夜労働などの状況についてであります。深夜の時間帯に仕事をすることについては、最も高かったのは「あまりない」で34.2%となっております。週休日や祝日などに仕事をすることについては、「あまりない」が最も高く36.5%となっております。自分で決めていた仕事時間内に終わらなかった仕事を自宅などに持ち帰って仕事をするについては、「全くない」が最も高く31.2%となっております。プライベートな時間に電話・メールなどで仕事関係の連絡を取ることについては、「あまりない」が32.7%と最も高くなっております。仕事をしない日が週に1日もないについては、「全くない」が55.9%と最も高くなっております。
63ページ、(7)健康状態の認識状況別の労働者割合です。健康状態については「よい」が32.2%で最も高くなっております。(8)は昨年の同時期からの健康状態の変化ですが、「変わらない」が80.3%と最も高くなっております。
64ページは睡眠時間です。仕事のある日とない日をそれぞれ聞いておりますが、仕事のある日では「6時間以上7時間未満」が45.0%と最も高くなっております。平均値ですが、仕事のある日は6時間9分、仕事のない日は7時間32分となっております。
65ページは仕事による健康などへの影響についてです。1日の仕事でぐったりと疲れて仕事を終えた後は何もやる気になれないについては、「ときどきある」が最も高く42.1%、時間に追われている感覚があるについては、「ときどきある」が最も高く49.2%、家庭や御自身の用事をしていても仕事が気になって集中できないは、「ほとんどない」が最も高く45.4%、仕事上の考えごとや悩みでよく眠れないことがあるは、「ほとんどない」が最も高く47.8%、この働き方をこれから先も続けていけるか不安に思うことがあるは、「ほとんどない」で38.8%が最も高くなっております。
66ページは、健康・福祉確保措置についてであります。図の3-11-1の黒い棒グラフは、自分の事業場で設けられているものをお尋ねしたもので、白い棒グラフは希望するものをお尋ねしたものであります。希望するものも実施されているものも、どちらも「休暇取得促進措置を講じる」が最も高くなっております。実施されているものでは73.4%、希望するでは43.5%となっております。
67ページ、事業場に設けられている健康・福祉確保措置についての満足度ですが、「満足している」が最も高く47.4%となっております。
(13)は苦情処理措置についてです。事業場に設けられている苦情処理措置についての認知状況ですが、3-13-1で「知っている」が46.9%、「知らない」が50.0%となっております。「知っている」と回答した46.9%の労働者について、平成30年度に苦情を申し出たことがあるかないかについてですが、苦情を申し出たことが「ある」は2%、申し出たことが「ない」が97.9%となっております。実際に苦情を申し出た2%の方について、苦情の内容を複数回答で尋ねたものですが、一番高かったのは、「業務量が過大である」で41.4%となっております。
68ページ、(14)は苦情処理措置についての満足度でありますが、「どちらとも言えない」が50.0%となっております。
69ページは、企画型の裁量労働制について、十分な説明や本人同意についての質問です。まず、十分な説明があったかにつきましては、「あった」が78.9%となっております。本人同意の手続についてですが、最も高かったのは「書面で同意した」が52.2%となっております。
70ページで、企画型裁量労働制の労使委員会についての実効性に対する認識ですが、最も高かったのは「どちらかといえばそう思う」が28.2%となっております。
労使委員会に対する改善希望については、最も高かったのは「その他」で44.6%ですが、それを除きますと、「労使委員会で今よりも幅広い議題を扱うべき」が40.3%で高くなっております。
71ページは、業務遂行における労働者の裁量の程度でございます。
まず1つ目、業務の目的、目標、期限などの基本的事項についてです。下の3-17-1ですが、最も高かったのは専門型では47.8%の「上司に相談の上、自分が決めている」です。企画型も同じ項目で57.4%となっております。
②具体的な仕事の内容、量ですが、図の3-17-2です。こちらも専門型、企画型ともに「上司に相談の上、自分が決めている」が最も高く、それぞれ38.7%、45.4%となっております。
72ページの③進捗報告の頻度です。こちらも最も高かったのは、「上司に相談の上、自分が決めている」でありまして、専門型は42.2%、企画型は56.5%となっております。
④業務の遂行方法、時間配分などであります。専門型で最も高かったのは、「上司に相談せず、自分が決めている」で50.8%、企画型は「上司に相談の上、自分が決めている」が最も高く48.6%となっております。
出退勤時間についてです。最も高かったのは、専門型も企画型も「上司に相談せず、自分が決めている」でありまして、それぞれ58.8%、49.2%となっております。
73ページの下、3-18-1ですが、裁量労働制に対する満足度です。「満足している」が最も高く、41.8%となっております。
74ページは働き方の認識についてです。最も高かったのは「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」の50.4%であります。
75ページから裁量労働制に対する意見であります。総数、専門型、企画型ともに、「今のままでよい」が最も高くなっておりまして、総数では34.1%、専門型では33.0%、企画型では41.0%となっております。
裁量労働制に対して、「制度を見直すべき」とした労働者について、さらにその具体的な内容を問うたものです。専門型の労働者では「制度を見直すべき」が28.3%ございましたが、その中の具体的意見として最も高かったのは、「労働者の健康やワークライフバランスにより配慮されるようにすべき」が51.7%でございます。企画型について「制度を見直すべき」としたお答えが26.0%ございましたが、こちらについての具体的意見として最も高かったのは、「対象労働者の範囲を見直すべき」で46.6%となっております。
77ページ、対象労働者の範囲についての意見です。「対象労働者の範囲を見直すべき」とした労働者の中で「狭い」「広い」「範囲が不明確」を選んでいただきますが、専門型、企画型ともに、最も高かったのは「範囲が不明確」でありまして、専門型は53.1%、企画型は44.0%です。
78ページ、対象労働者の範囲が「狭い」とした労働者に具体的意見を聞いたものですが、専門型について「狭い」と回答した労働者の具体的意見で最も高かったのは、「法令上規定された業務に限らず、業務遂行の手段や時間配分について、使用者が具体的な指示をしない業務は、対象業務として認めるべき」で52.9%です。企画型については、「法令上規定された業務に限らず、労使で合意された業務は対象業務として認めるべき」で69.2%です。
次に「広い」とした労働者における具体的意見です。79ページですが、専門型については「一定の年収を要件とすべき」が40.3%、企画型については「一定のコンピテンシーを要件とすべき」が35.3%で、それぞれ最も高くなっております。
80ページですが、「範囲が不明確」とした労働者の具体的意見ですが、専門型については、「業務ではなく、一定の処遇・雇用管理などを要件とすべき」が38.6%、企画型については、「対象業務をより具体的に明確化すべき」が36.7%で最も高くなっております。
最後は、非適用労働者です。非適用労働者については82ページをお開きください。
1週間の労働時間について、非適用労働者も先ほどと同様に聞いておりますが、その分布について「階級での回答を含む」のところで申し上げますと、「40時間以上45時間未満」が31.0%などとなっております。
その平均値は83ページですが、総数では8時間39分、専門型では8時間39分、企画型では8時間44分となっております。平均労働日数は、総数では4.97日、専門型4.99日、企画では4.91日となっております。
84ページの(3)昨年同時期からの労働時間の変化ですが、最も高かったのは「変わらない」で58.0%であります。(4)勤務先における労働時間の把握方法ですが、総数、専門型、企画型ともに、「タイムカード・ICカード」が最も高くなっております。それぞれ44.6%、44.0%、48.5%となっております。
85ページは深夜労働などでございます。深夜の時間帯に仕事をすることについては、最も高かったのは「全くない」の52.8%です。週休日や祝日などに仕事をすることについて最も高かったのは「あまりない」で39.7%。勤務時間内に終わらなかった仕事を自宅などに持ち帰って仕事をすることについては「全くない」で56.8%であります。勤務時間外に電話・メールなどで仕事関係の連絡を取ることについては「あまりない」が最も高く33.7%。
仕事をしない日が週に1日もないことにつきましては「全くない」が最も高く73.1%となっております。
86ページですが、健康状態認識について、最も高かったのが「ふつう」でありまして33.8%です。昨年の10月からの健康状態の変化については「変わらない」が最も高く81.2%となっております。
仕事のある日とない日の睡眠時間ですが、仕事のある日につきましては、最も高かったのは「6時間以上7時間未満」で44.1%となっております。平均値は、その下の表の4-8-2にありますとおり、仕事のある日では6時間10分、仕事のない日は7時間29分となっております。
88ページ、仕事による健康などへの影響状況ですが、1日の仕事でぐったりと疲れて仕事を終えた後は何もやる気になれないにつきましては「ときどきある」が最も高く42.0%。時間に追われている感覚があるは47.9%で「ときどきある」。家庭や御自身の用事をしていても、仕事が気になって集中できないは47.3%の「ほとんどない」が最も高くなっております。仕事上の考えごとや悩みでよく眠れないことがあるは47.9%で「ほとんどない」。この働き方をこれから先も続けていけるか不安に思うことがあるも「ほとんどない」が36.2%で最も高くなっております。
次の(10)は、裁量労働制の非適用労働者のみの質問ですが、適用されている労働時間については、通常の労働時間制が最も高く53.7%となっております。
89ページからは、先ほどと同様に裁量についての認識を尋ねたものです。業務の目的、目標、期限などの基本的事項につきましてですが、専門型、企画型ともに「上司に相談の上、自分が決めている」が最も高く、専門型では44.6%、企画型では52.3%となっております。
②具体的な仕事の内容・量ですが、専門型、企画型ともに「上司に相談の上、自分が決めている」が最も高く、それぞれ37.9%と42.0%となっております。
90ページの③進捗報告の頻度ですが、専門型、企画型ともに「上司に相談の上、自分が決めている」が最も高く、47.9%、57.6%となっております。
④業務の遂行方法、時間配分などについてです。「上司に相談の上、自分が決めている」がそれぞれ最も高く、専門型では45.5%、企画型では50.7%となっております。
91ページ、⑤出退勤時間についてです。「上司に相談せず、自分が決めている」がそれぞれ最も高く、専門型では43.5%、企画型では43.4%となっております。
92ページは働き方の認識についてです。複数回答で最も高かったのは、「効率的に働くことで、労働時間減らすことができる」で51.6%となっております。
最後に非適用労働者につきましても裁量労働制に対する意見を聞いております。裁量労働制に対する意見についてですが、「特に意見はない」が総数、専門型、企画型で最も高くなっておりまして、それぞれ34.9%、35.0%、34.7%となっております。
裁量労働制について「制度を見直すべき」と答えた労働者は、専門型が25.2%、企画型が23.8%でありましたが、具体的意見を尋ねたものであります。94ページですが、「労働者の健康やワークライフバランスにより配慮されるようにすべき」が専門型、企画型ともに最も高く、それぞれ60.2%、59.7%となっております。
95ページで、対象労働者の範囲に関する意見についてです。「対象労働者の範囲を見直すべき」とした労働者に対して、「広い」か「狭い」か「不明確」かでお答えいただいたものですが、専門型につきましては「範囲が不明確」が最も高く46.6%でした。企画型につきましては「狭い」という意見が最も高く42.8%でございました。
まず範囲が「狭い」とお答えした労働者の具体的意見です。96ページの4-13-4ですが、専門型では、一番上の「法令上規定されて業務に限らず、業務遂行の手段や時間配分について、使用者が具体的な指示をしない業務は対象業務として認めるべき」が54.6%でした。企画型につきましては、「法令上規定された業務に限らず、労使で合意された業務は、対象業務として認めるべき」が68.3%と最も高くなっておりました。
97ページで、対象労働者の範囲が「広い」とした労働者について具体的意見を尋ねたものです。専門型につきましては「一定の処遇・雇用管理などを要件とすべき」が最も高く64.4%です。企画型の答えでは「一定の年収を要件とすべき」が45.4%で最も高くなっております。
98ページで、対象労働者の「範囲が不明確」とした労働者の具体的な意見ですが、専門型、企画型ともに、「業務ではなく、一定の処遇・雇用管理などを要件とすべき」が最も高くなっておりまして、専門型では42.9%、企画型では55.4%となっております。
長くなって恐縮ですが、資料2-3でございます。
今後の裁量労働制の検討につきまして、「これからの労働時間制度に関する検討会」を開催したいと考えております。趣旨・目的は「1.趣旨・目的」というところにございますが、この2つ目のパラグラフに、経緯や実態調査についてのことなどを記述してございます。そして、2番目のパラグラフの下から2行目のところに、「当該統計調査で把握した実態を踏まえ、裁量労働制の制度改革案について検討する必要がある」と記述しております。
この検討会におきましては、先ほど御説明しました統計調査の分析を行っていただきまして、それを踏まえた議論をしていただきたいと考えております。
検討事項につきましては、1つ目は当然、裁量労働制の在り方についてございますが、2つ目の「その他の労働時間制度の在り方」というところですが、これは裁量労働制について議論する際、他の労働時間制との関係や位置づけについても視野に入れていただく必要があるということで、加えておるものでございます。
この資料の裏面ですが、労働法や人事・労務管理、労働経済、健康、労働衛生の分野から、御覧いただいている専門家の皆様に御参集いただければと思っております。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明について御質問、御意見があればお願いいたします。ウェブ参加の方はチャットに書き込んでいただければと思います。
それでは、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 御説明どうもありがとうございました。
私からは、意見といいますか検討会の進め方について要望させていただきます。
資料2-2の76ページにありますが、裁量労働制自体は業務の遂行方法や時間配分の決定を労働者自身に委ねる制度ですので、仕事に集中して働き過ぎてしまうおそれがないとは言い切れないのではないでしょうか。
裁量労働制を適用したことで働き過ぎにならないように会社が配慮することは不可欠であって、そのためには健康・福祉確保措置が適切に運用されることが極めて重要になると思います。
今回の調査で、制度を見直すべきと回答した適用労働者、非適用労働者の意見で最も多かったのは、労働者の健康やワークライフバランスにより配慮されるようにすべきということであったことをしっかり受け止める必要があると考えます。
検討会におきましては、労働者の健康確保の在り方を十分に議論いただきたいと存じます。健康・福祉確保措置の複数適用なども一案と考えます。
私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。鈴木でございます。
今回、適用、非適用でそれぞれ1万か所を超える事業場、それから10万人を超える労働者を対象に精緻な調査を実施いただきました厚生労働省事務局、それから、統計処理という大変骨の折れる作業をしていただきました専門家の先生方に、まずもって御礼を申し上げたいと思います。
私からは、検討会に対する期待と、1点厚生労働省事務局に対して追加の御説明のお願いをしたいと思います。
まず、経団連は、最近、最新技術、デジタル技術などを活用しながら、国内外の様々な社会的な課題を解決していくという「Society 5.0 for SDGs」におきまして、その担い手となります社員お一人お一人が自主的、自律的に働けるような環境をつくっていくことが大切であり、裁量労働制はその有力な選択肢の一つと考えております。
今回の調査を拝見いたしますと、例えば、裁量労働制の適用に対する満足度につきまして、「満足している」「やや満足している」と回答した労働者が8割を超えております。また、働き方の認識状況については、「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」あるいは、「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」「自分の能力を発揮しやすい」といった声も少なからずございます。
そのため、先ほど池田委員からも一部御指摘がありましたように、調査で明らかになった課題を十分に分析した上で、働き手の健康確保、制度の適切な導入・運用を前提に、対象業務を広げていくことが適切ではないかと考えております。
今後設置される検討会におきましても、働き手の選択肢を広げていく観点からも十分に議論を尽くしていただくことを期待しております。
もう一点ございます。今回実態調査を行う契機となりましたのは、いわゆる「データミス問題」でございます。そのため、本調査の信頼性が大変重要だと思っております。厚生労働省事務局におかれましては、改めて、回答の有効性や調査結果の正確性などについて、少し御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 それでは、お尋ねがありましたので、事務局よりお願いします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。
まず、池田委員と鈴木委員から今後の検討に当たって、健康確保措置のしっかりした議論、あるいは働く人の選択肢を広げるといった御指摘がございました。先ほど資料2-3で御説明申し上げましたように、まずは学識の検討会で議論をした上で労働条件分科会のほうでも御議論をいただくという流れになりますけれども、そういった御指摘も踏まえて、事務局といたしましても検討してまいりたいと考えてございます。
2点目は今、鈴木委員から御指摘がございましたこの調査の信頼性、有効性、正確性といったところでございます。今回のこの実態調査につきましては、御指摘もございました平成25年度労働時間等総合実態調査における問題点の反省を踏まえるというところから始めました。
その結果として、具体的にまず一つといたしまして、平成25年度労働時間等総合実態調査のような労働基準監督官が事業場に訪問して聞き取りを行うという方法ではなく、総務省の承認を受けた上で実施をする政府統計として、事業場と労働者双方に対して調査を行うという手法を取らせていただきました。
また、「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」におきまして、統計学者などの専門家の方々に、調査の設計から集計まで御議論いただきまして、その御指摘を踏まえて実施をするとともに、調査結果につきましても御確認をいただいているところでございます。
こうした取組によりまして、御指摘のような調査結果の信頼性あるいは正確性といったものが担保されるように努めて実施をしたというところでございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
調査の信頼性についての御質問がございましたので、専門家検討会に御参加いただいた黒田委員から、よろしければ補足等発言があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○黒田委員 公益委員の黒田です。
既にたくさんのご発言の希望がでている中で、先に発言の機会をいただき恐縮です。専門家検討会のメンバーの一人でしたので、少しだけコメントをさせていただきたいと思います。
事務局から御説明がありましたとおり、この検討会は様々な分野の専門家で構成され、多くの議論を行ったうえで実施した新規の調査となります。調査を実施するにあたり、検討会の委員と事務局で一貫して共有しておりましたのは、結論ありきではなく、裁量労働制の実態を可能な限りつまびらかに把握すること、そして取得したデータは単なる単純集計で終わらせるのではなく厳密な分析も併せて行うことで、信頼性と正確性を可能な限り確保できる調査を実施するという認識でした。
先ほど事務局から資料の要点を御説明いただきましたけれども、全体の調査報告書は御案内のとおり膨大なものになっています。このように膨大な資料になった背景には、例えば労働時間の平均値を取る際にも復元倍率をどうすべきか、誤解して回答したと思われるサンプルをどう取り扱うかといった様々な点において検討すべきことが非常にたくさんあり、集計の際に1つの方法に限定せずに考えられうる様々なパターンを示すことで、恣意性を極力排除するということを意識したということが挙げられます。
この数年間、私はこの調査に当たって調査の設計方法から調査票の作成、最終的に回収されたデータの集計、厳密な二次分析等々に携わってまいったわけですけれども、今回の調査は先ほど申し上げたように、現段階のリソースを可能な限り利用し、予断を持たずに厳密性を意識して行ったという意味で、専門家検討会のメンバーの一人として、信頼性、正確性はかなりの程度確保した調査と認識しております。
以上になります。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
引き続き、御発言の希望が出ております。
仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 仁平です。ありがとうございます。
裁量労働制の現状は、労使で適切に運用されている場合とそうでない場合があるのではないかと思っております。今回のデータから言える範囲ということになるかもしれませんが、実質的にどれぐらいの裁量権を持って働いているのか、裁量のないまま裁量労働制が適用されている実態があるのではないかということも含めて、まず現状の実態についてしっかりと分析すべきだと思っております。
過去の議論の中では、労働側委員からは、適用労働者の中には業務遂行の方法、時間配分、出退勤時刻等について、裁量を持たない者がいるなど、制度の趣旨が徹底されていないのではないか、そのために、長時間労働を招くおそれがあって、企画型の対象業務の安易な拡大は行うべきではないのではないか、といったことを申し上げてまいりました。今回の調査でそうした問題点が改めて浮き彫りになっている一面があるのではないかと思っております。
時間がない中で恐縮でございますが、例えば72ページに適用労働者の業務の遂行方法や時間等という表がございますが、自分が決めているという割合が大半を占めているように見えるわけでありますが、一方、上司の意向を何かしら受けているという者が半数近くいることが確認できますし、それによって労働者の裁量が事実上奪われているという可能性も排除できないという見方もできるということに注意して見ておく必要があるのではないかと思っております。
71ページに具体的な仕事の内容や量、あるいは73ページで出退勤の時間などがございますが、上司による決定や関与が一定程度あることがここでもうかがえるわけでございまして、仮に、業務遂行の裁量があっても、仕事量の裁量がなければやはり過重労働が生じかねないのではないかと思っております。
改めて73ページを見てみますと、週の出退勤の時間を見ても、上司が決めているというお答えがございます。出退時間の裁量すらないのに労働者が働き方の裁量を有していると言えるのだろうかと率直に思います。
また、労働時間に関しては、適用労働者のほうが非適用労働者よりも長いという結果も出ておりますし、二次分析では、裁量労働制の適用が労働時間の増加に影響を及ぼしていることも示されているわけでございます。
労働者側委員は、過去の議論においても長時間労働の是正こそが急務であって、それをなおざりにして企画型の対象業務を安易に拡大することになると、さらなる長時間労働を招くおそれがあるのではないかということで反対であるという主張をしてまいりましたし、その懸念は今も変わらないところでございます。
新たな検討会では、裁量労働制の長時間の実態と要因を詳細に分析していただいて、その是正の検討を最優先課題としてぜひ進めていただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、鳥澤委員から手が挙がっております。お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
まず、今回のこの膨大な調査の取りまとめにつきまして、厚生労働省並びに関係団体の皆様に感謝を申し上げます。黒田委員からも説明がありましたけれども、非常に信頼性のある調査報告があったということ自体が私はすばらしいことだと思っています。
そして、今回の調査結果を見ますと、仁平委員がおっしゃったように、確かに1日の平均労働時間については、裁量労働制の適用労働者のほうが非適用労働者よりも20分長いという結果になりましたけれども、一方で裁量労働制が適用されていることに対して、満足しているという労働者が8割に達しているということも見逃してはいけないポイントかと思っています。
そして、コロナ禍が長引いている中で、ニューノーマル、新しい日常に適合した働き方を実践していくこととともに、労働力人口が減少している中で労働生産性を高めることは喫緊の課題でございます。そういった意味では、高度な知識、技術や創造的な能力を生かし、仕事の進め方や時間配分に対して主体性を持って働き、高い成果を目指していくことは、労働生産性の向上はもとより働き手のエンゲージメントの向上にも資すると思っております。
今回、検討会が設置されると報告がありましたので、一つお願いですが、働き方改革関連法案の段階で削除となった企画業務型裁量労働制の見直しに関しては、新設される検討会において、慎重かつスピード感を持って検討していただきたいと思っております。そして、調査の中でも多くの回答がありましたように、対象業務拡大をぜひ早期に実現していただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、八野委員、お願いいたします。
○八野委員 ありがとうございます。労働側委員の八野です。よろしくお願いいたします。
まず、裁量労働制のこのような実態調査が、きっかけはどうあれ、きちんと行われたことについては大変すばらしいことだと認識をしています。ただし、ここで分析もされているわけですが、その分析をどういう角度から見て、どう活用していくのか、また今後の新しい検討会の中でどういう検討方向で進めていくのかということが非常に重要だと思っています。
そういう中で、先ほど指摘されたように、適用労働者のほうが労働時間が長い上、深夜または休日労働、持ち帰り残業、プライベートな時間の業務連絡、仕事をしない日が週に1日もないことの割合が、適用労働者のほうが多くなっています。また、労働者や労働組合の実感としては、適用労働者が皆、自ら望んでこれらの深夜労働や持ち帰り残業を行っているというのは考えづらいです。こうした結果を見ても、適用労働者が本当に業務量や進め方の裁量を持っているのか、しっかり分析をして、適切な運用があれば直ちに改善する必要があると考えています。
また、裁量労働制は、どうしても長時間労働やイレギュラーな働き方を招きがちです。特に心身の負担が大きく、健康確保が重要だと思っています。ところが、今回の調査の中で、健康確保措置に満足している者は半数に届いていません。また、4割を超える方々が健康状態に応じた休暇の付与や休暇取得の促進を希望しています。また、3割を超える人たちがインターバルの確保や労働時間の上限設定を希望しています。また、そういう面から制度を見直すべきとした要望としては、「健康やワークライフバランスへの配慮」が特に高いなど、労働者の立場から健康確保の強化を求める声が非常に多いことが分かると思います。新たな検討会においては、こうした結果を踏まえて、健康確保の実情と課題の解決について十分検討していただきたいと思っています。
また、裁量労働制は、やはり非常に職務内容が高度であって、業務量も過多である。対象労働者は相当の時間をかけて職務を遂行しようとしていることが考えられます。こうした観点から、健康確保等に関する企業側、またはそれをマネジメントする人たちのマネジメント力というものも、より一層重要になってくると思いますので、その点もあわせて指摘しておきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、公益代表の佐藤厚委員、お願いいたします。
○佐藤(厚)委員 ありがとうございます。
私は今日から参加なのでよろしくお願いします。
趣旨説明がありましたように、大変重要な調査だと認識しております。進め方も調査結果に基づいて実態に即してあるべき制度を考えるという趣旨に賛成であります。
その意味で、非常に重要な調査であり、実態に即した検討ということから言うと信頼性が大事になる。そのことにつきましては、黒田委員及び政策課のほうから非常にしっかりとしたリプライがなされまして承知しました。
その上で非常に重要であるし、信頼性がまず重要であるということの確認の意味で、ちょっとつまらない質問なのですけれども、制度対象者とそうでない場合で類似の職種についての実態の長さがどうなのか。これはかなり重要なポイントだと思います。今回の結果は対象者のほうが同じ適用対象業務でも長いということになっているのだけれども、その時に非適用労働者に含まれているサンプルと適用労働者に含まれているサンプルに、いわゆる性別、年齢別、学歴別、勤続年数別、あるいは職位というところで、最低限の調整がなされていることが必要になるかと思います。既に十分なされていると思いますけれども、そこは大事なところなので、確認だけさせていただければと思います。
あわせて、配布の仕方です。サンプリングして、適用労働者の場合はかなり明確にやっている事業場をプレでやって、そこにいる事業所でそういう対象者がいますからそこに配布すればいいのだけれども、非適用の場合は非常にたくさんいるわけですから、非適用の場合は誰に配るかによって結果が大分変わってきますから、配り方のところもどのような工夫されたのか。貴重な時間を使って申し訳ないのですけれども、確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
調査内容についての質問ですので、事務局からお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
ただいま仁平委員、鳥澤委員、八野委員、佐藤委員からの御指摘がございました。まず直近の御質問ございました佐藤委員のサンプルの取り方でございますけれども、今回は非適用労働者と適用労働者を比較するということもございましたので、まずは厳密に比較ができるという観点から、非適用の事業場に関しましても一旦プレ調査といったものを行いまして、裁量労働制の対象となり得るような業務に従事している労働者がいることを確認し、その確認をしたところを対象としております。その際に、この適用事業場の比較ができるように、地域、業種、あるいは労働者規模といった構成を踏まえた上での無作為抽出ということで事業場を取ってございます。また、労働者に関しましても、今、申し上げましたような労働者がいることを確認をした上で行っているというところでございます。
今後とも、様々な分析をしていく中で、きちんとした比較分析、議論ができますように、委員の御指導もいただきながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
それから、仁平委員、鳥澤委員、八野委員、佐藤委員から今後の検討の仕方に関しても御指摘がございました。皆様が指摘されておられますように、健康確保の問題、業務量や業務の進め方の裁量が実際にあるのかどうかといったところの分析、改善、一方で労働者が主体性を持って働く、成果を上げていくといった点もございます。したがいまして、裁量労働制が労使双方にとって、この制度の趣旨にかなった形で、よい形で活用をいただくということを、先ほど佐藤委員もおっしゃったデータや実態に即してあるべき姿を検討していくというのがその基本となるところであると思っております。まずは、学識の検討会の先生方の御指導も仰ぎながら検討を進めてまいりたいと思っておりますけれども、事務局としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
佐藤委員、よろしいでしょうか。
○佐藤(厚)委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
続いて、山内委員、お願いいたします。
○山内委員 使用者側委員の山内でございます。
皆さん一同にお話されていますが、このような膨大なデータの調査をしていただきまして、まずは御礼申し上げたいと思います。非常に貴重な調査内容でして、使用者側としても、この内容を真摯に受け止めて、先ほど黒澤課長からお話がありましたとおり、労使双方にとってよりよい制度として生かせるように役立てていければと我々も考えております。そういう中で、これから検討会を進めていただくに当たって、ぜひ御検討いただきたいことを私からお伝えしたいと思います。
まず、裁量労働制につきましては、労働者の自律性、主体性を重視した働き方であるため、制度の適用に当たっても対象者本人の理解を得る、納得を得ることが非常に重要で大前提であるということであります。とりわけ、企画業務型裁量労働制については、対象労働者の同意が法定の要件となっているために、本人の同意を確実に担保する必要があるということは皆さん御承知のことかと思います。こういう中で、3点、気になるところがございましたので述べたいと思います。
まず、69ページです。労働者調査の中で、企画業務型の裁量労働制が適用される際の仕組みについて、十分に説明がなかったと。これは少数意見に見えますが、8.9%の人が十分な説明はなかったと。また、その下の本人の同意について、同意手続がなかったということで4.4%。こういうような回答内容は、使用者側としても非常に気になる点でございます。
また、逆戻りして申し訳ありませんが67ページで、こちらは苦情処理措置の内容でございます。拝見してちょっと驚いたのは、苦情処理措置を知らないという回答が50%あるというようなことがありました。
あともう一つ、また飛んで59ページになります。みなし労働時間の認知度についてです。全体の数値として38.1%の人が分からないとお答えになっている。これは使用者側から見ても非常に気になる回答であります。
検討会におかれましては、制度の正しい理解と労働者の納得感を高めること、制度の内容の周知の在り方と本人同意をめぐる問題について議論していただいて、よりよい運用につなげていければなと考えております。
私からは以上であります。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、兵藤委員、お願いいたします。
○兵藤委員 ありがとうございます。使用側新任委員の兵藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、今後の検討会に当たり御要望になりますけれども、一つ申し上げさせていただきたいと思います。
裁量労働制につきましては、労働者の過重労働でしたり健康確保の問題、十分な裁量がない労働者に適用され得るといった懸念がある中で、制度の趣旨に即した適切な導入、運用のためには、労使委員会の果たす役割が重要と認識しております。
調査の中にございました31ページの適用事業場調査によれば、労使委員会での議題として、勤務状況や措置の実施状況の記録・保存、健康・福祉確保措置、対象労働者の範囲、みなし労働時間など、多く挙げられております。また、70ページの適用労働者調査では、労使委員会が十分機能していると思うかという設問につきまして、そう思う、どちらかといえばそう思うの合計が半数を超えております。こうした結果から、労使委員会が一定の役割や効果を発揮していることが伺えました。
他方、同じ70ページでは、労使委員会について、今よりも幅広い議題を扱うべきでしたり、労働者側委員の選出方法を見直すべきといった改善希望も見られました。最多回答は、その他の44.6%という結果が拝見されました。
そこで、今後、設置されます検討会では、最多回答でありましたその他の内容の深掘りなども含めて、労使委員会の実態の調査を探り、その在り方についてぜひ論議を深めていただきたいと考えております。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、大変貴重な御意見いただきました。受け止めてまいりたいと思います。
事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 山内委員と兵藤委員から御指摘をいただきましてありがとうございました。
御指摘いただきましたような制度の正しい理解と労働者の納得感、本人同意の問題、あるいは労使委員会の在り方といった点も大変重要な論点であると考えてございますので、また検討会のほうでも議論、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしければ、次の議題に移りたいと思います。「(3)『経済財政運営と改革の基本方針2021』等について」ということになります。これも事務局からの報告となります。お願いいたします。
○総務課長 労働基準局総務課長でございます。資料No.3の「『経済財政運営と改革の基本方針2021』等について」という表題の資料に沿いまして、先日、6月18日に閣議決定をされましたものにつきまして、労働基準関係の部分を中心に御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず1ページ目は表題でして、2ページ目は会議の概要ですので省略をさせていただきまして、3ページ目を御覧いただきたいと思います。
こちらに労働条件分科会に関係する部分だけを抜粋させていただいております。第2章5の(5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実というところで、括弧の見出しですけれども、フェーズⅡの働き方改革、企業組織の変革ということでございます。
これについては、感染症の影響などからテレワークが拡大されてきた経緯なども最近はございましたけれども、テレワークにつきましては、政府としましては、テレワークガイドラインなどを出しておりますので、その普及に取り組むということ、それから、労働時間の削減等を行ってきた働き方改革フェーズⅠに続いて、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡの働き方改革を推進するとされております。
また、その次のパラグラフからですけれども、ジョブ型正社員のさらなる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組むとなっております。また、裁量労働制につきましては、今ほど御議論もございましたが、実態を調査した上で制度の在り方について検討を行うとされております。副業・兼業の普及・促進のためにガイドラインを周知していくことなどに取り組むことも記載されております。
その2行ほど下でございますけれども、フリーランスにつきまして、これも関係省庁でガイドラインがつくられておりますが、これを踏まえて関係法令の適切な適用等を行ってまいるということが指摘をされております。
以下については、労働基準関係と少し離れますので、恐縮ですが時間の関係もあり、省略をさせていただきます。
4ページからは、成長戦略実行計画とそのフォローアップについてでございます。
5ページは、会議の概要についてでございますが、6ページに文書の抜粋を掲げさせていただいております。
第5章の「人」への投資の強化というところでございまして、2でテレワークの定着に向けた取組とございます。テレワークの定着に向けて、労働基準関係法令の適用についてガイドラインの周知を図るとされております。
次に3番目、兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現とございます。こちらについても、多様な働き方や新しい働き方を希望する方のニーズに応え、企業における兼業・副業の選択肢をk提供するなどと記載されております。
続きまして、7ページ目のところでございます。こちらは成長戦略のフォローアップということで記載がございます。これも4の「人」への投資の強化ということでございますが、(1)はフリーランスについてでございます。成長戦略実行計画に基づき、同計画に記載する施策のほか、以下の具体的施策を講ずると書いてございますが、これのポツの3行目の真ん中ほどになります。「明確化した一覧性のあるガイドラインについて」ということでありますが、これはフリーランスガイドラインを公正取引委員会、経済産業省などとともにつくっておりますので、私ども厚生労働省としてもこれを周知していくということでございます。
次に(2)のテレワークの定着に向けた取組についてでございます。これも同じく具体的施策の部分でございますが、1つ目のポツの2行目のところに、「2021年3月にテレワークガイドラインを改定し」とございますが、この中で下に幾つか書いてございますが、時間管理の仕方といったものについて記載をされておりますが、こういったものについて記述を大幅に刷新したところであり、本ガイドラインの内容を分かりやすく紹介したパンフレット等により丁寧な周知を図っていくとされております。
続きまして、8ページ目でございます。こちらは(3)兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現についてでございます。1つ目の括弧ですが、兼業・副業の促進についてでございます。1つ目のポツの1行目の真ん中辺りに「2020年9月に『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を改定」ということでございまして、この中で労働時間の把握や簡便な労働時間の管理方法などを示させていただいているなど、ルールを明確化したところでございまして、このガイドラインの内容の周知を丁寧に行っていくと記載されております。
続いて、真ん中辺りでございますが、①としまして、長時間労働の是正をはじめとした働く環境の整備とございます。ポツの1行目でございますが、既に大企業、中小企業ともに、時間外労働の上限規制について適用がされておりますが、引き続き適切な施行に努めるとされております。
また、2行目からのところですが、本日も御報告させていただきましたが、医師等への適用に向けて、制度の周知徹底、あるいは必要な法整備なども含めまして取組を行うとされております。
次の③の賃金でございます。これについては分科会でも御議論をいただいておりますものですが、賃金の資金移動業者の口座への支払いについてということでございますが、これについてはいろいろな論点がございますが、労使団体の皆様、それから公益の先生方の御意見も伺った上でということだと思いますが、2021年度のできるだけ早期の制度化を図るとされております。
一番下でございますが、(6)労働移動の円滑化についてでございます。ⅲの主体的なキャリア形成を支える環境整備のところに、解雇無効時の金銭救済制度について、2021年度中をめどに法技術的な論点について専門的な検討の取りまとめを行って、その後、審議会などへの御議論へつなげていくということで記載されております。
続いて、9ページからは規制改革実施計画についてでございますが、10ページは会議の概要でございますので省略をいたしまして、11ページからお願いいたしたいと思います。
こちらには左上ですが、5の(2)テレワークの普及・促進に資する取組と書いてございます。たくさん書いてございますが、要するにテレワークについて、ガイドラインの改定を行うということで書かれておりましたので、これについては、右から2番目の欄で実施時期になりますが、措置済みということで整理をされております。
続いて、12ページ目でございます。こちらもテレワーク普及・促進に資する取組ですけれども、項目としては労働時間管理、下のほうですが、労働安全衛生等ということで整理をしております。いずれも、先ほど申し上げましたテレワークガイドラインの中などで注意事項などを整理させていただいておりますので、同じく措置済みとなっております。
最後のページを御覧いただきたいと思います。13ページでございますが、こちらに5の(3)(4)ということで2項目ございます。
上の(3)でございますが、労働関係の書面・押印・対面規制の撤廃についてでございます。これにつきましては、規制改革の内容の欄ですけれども、大きく2つに分かれておりまして、cとdになっております。
cのほうですが、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律により、労働者等への通知や労働者からの異議申出を現行は書面で行うことになっておりますが、この点につきまして、実務上の状況、労働者の利便なども考えまして、法の趣旨を踏まえていろいろ検討した上で、電子化を可能にすることに向けた検討を行いまして、必要な措置を講ずるとされております。
続いて、dのところですが、労働基準関係法令は「事業場単位」で個々の労働者の就労状況を踏まえて適用するとされているところでございますが、多くの企業が本社主導で管理を行っている実態にあるという御意見もあることなどを踏まえまして、厚生労働省は、「事業場単位」で適用される制度や行政手続の在り方について、妥当なのかどうかということも含めて中長期的な課題として検討するとされております。
続いて(4)でございますが、社会経済環境や雇用慣行などの変化を踏まえた雇用関係制度の見直しについてということで2点ございます。
1点目は、裁量労働制についてでございまして、先ほどもお話し申しましたが、調査の結果を踏まえて労使双方にとって有益な制度となるよう検討するという記載がなされております。
2つ目は、多様な正社員の雇用ルールの明確化、労働契約法に定められる無期転換ルールの労働者への周知について、これは「多様化する労働契約のルールに関する検討会」において調査結果をお示しすることなども含めて議論を行いまして、取りまとめをしていくことなどが記載をされております。
雑駁ですが、記載されているものは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見があればお願いいたします。
川野委員、お願いいたします。
○川野委員 ありがとうございます。
時間がない中、恐縮ですが、2点についてお願いをしたいと思います。
1点目が、解雇無効時の金銭救済制度についてでございます。この金銭救済制度については、成長戦略フォローアップにおいて、2021年度中を目途に法技術的な論点について専門的な検討の取りまとめを行い、労政審の結論を得て制度的措置を講ずると明記されています。現在、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」において検討が行われているところですが、この金銭救済制度によって救済されるべき者とは、一体誰を指しているのでしょうか。大変疑問が残るところでございまして、制度の端緒となる解雇は正当な理由なく行われる無効な解雇と司法判断が下されたものであって、事業主が行う無効な解雇から労働者の法的地位が守られるのは極めて当然のことだと思います。
いくら無効な解雇であっても、金銭さえ支払えば解雇できるということになれば、正当な理由なく解雇が行われる事態が今以上に拡大することが大いに懸念されるところでございます。労働者の法的地位を脅かし、保護に欠けるような金銭解決制度は必要ないと改めて申し上げておきたいと思います。
もう一点は、フリーランスの保護制度について、3月に関係省庁が連携してガイドラインが示されたところでございますが、現状の制度を改めて示したにすぎないものと感じています。この間の働き方の多様化を踏まえれば、諸外国におけるギグワーカーに対する保護制度の拡充などを見ても、日本における労働者性の見直し自体を行うべきだと思いますし、早急な見直しの検討開始を求めたいと思います。
以上2点について意見と要望でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、北野委員、お願いいたします。
○北野委員 ありがとうございます。労働側委員の北野でございます。
私のほうからは、ジョブ型と多様な正社員に関係する意見を申し上げたいと思います。労働者ニーズに対応して柔軟に働くことができる環境を整備することは重要であると思いますが、そもそも人や企業によってジョブ型雇用の捉え方が違うのではないかと感じているところでございます。勤務場所や勤務時間を限定することがジョブ型なのか、ジョブ型でないと柔軟に働くことができないのか、職務限定の雇用とはどのようなもので、我が国の実態になじむのかなど、十分な論議もないまま言葉だけが独り歩きしていると感じております。
ジョブ型雇用をめぐっては、厚労省の検討会で多様な正社員の雇用ルールの明確化が論議されていますが、勤務地、職務、労働時間等の労働条件について、労働契約の締結や変更などの際に、書面による確認が労使間で行われるようにすることが論点になっています。労働条件を明らかにすることや、それを踏まえて労働契約を結ぶことはもちろん重要なことでありますが、多様な正社員の場合は、事業の閉鎖や部門の廃止等が生じた際に、通常の労働者よりも解雇されやすくなるのではないかという懸念も強くございます。柔軟な働き方であっても雇用の安定確保は優先されるべきであり、今後の検討会ではこうした点に留意いただいて論議を進めていただくことをお願いしておきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
時間が来ておりますので、鈴木委員からの発言を最後とさせていただきたいと思います。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 時間が押している中、大変恐縮でございます。
先ほど川野委員から、フリーランスのセーフティーネットに関する御発言がありましたので、その点について一言申し上げたいと思います。
働き方の多様化が進む中で、フリーランスとして働く方のセーフティーネット等について議論することは時宜にかなったものだと思っております。この問題を考える際に重要なのは、形式上は請負契約であるものの、働き方の実態は労働者に該当するような方に対してしっかりと労働法制を適用していくことだと思っております。そのため、相談体制の強化も含めて、行政には適切な対応をお願いしたいと思いますし、ガイドラインの周知徹底が重要ではないかと思っております。
現在、フリーランスの保護については、例えば、「特別加入制度」の対象業務の拡大が議論されていると承知をしております。これに限らず、どの部分に問題があるのか、どの部分の保護が足りないのかを個別具体的に分析した上で、必要な対策を検討していくことが重要ではないかと思っております。労働者性の拡充は法体系にも大きな影響を及ぼしますので、私自身は極めて慎重に議論すべき問題ではないかと考えております。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局から何かございますか。お願いします。
○総務課長 基準局総務課長でございます。
労使それぞれのお立場から、非常に貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。
それぞれの観点は非常に重要なものだと思いますので、関係する検討会など開かれているものがございますので、そういったところで今の御意見も踏まえて検討するように対応していきたいと思っております。
簡単ですが、以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
時間も来ており、本日予定された議題については十分に議論させていただいたと思いますので、本日はここまでといたします。
最後に、次回の日程について事務局よりお願いします。
○労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、以上をもちまして、第169回の労働条件分科会は終了といたします。本日は御参加いただき、どうもありがとうございました。

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