外務省・新着情報

国連安保理改革(拒否権行使に関する国連総会決議案)

【読売新聞 阿部記者】国連の安保理改革についてお尋ねします。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使による発表ですが、安保理で、常任理事国は拒否権を行使した場合は、国連総会を自動的に招集することを義務付ける総会決議案を準備しているという発表がありました。38か国が共同提案国になっているとのことですが、日本政府の立場と、これに関する日本政府の基本的な考え方についてお聞かせください。

【小野外務報道官】米国のトーマスグリーンフィールド国連大使が、米国として、リヒテンシュタイン等が主導する、安保理における拒否権行使に関する国連総会決議案の共同提案国となっていることを内容とする声明を発表したことは、我が方としても承知をしております。
 我が国政府といたしましては、従来から、常任理事国による拒否権の行使は、一般に最大限自制されるべきだと考えています。こうした観点から、我が国は、例えば大規模な残虐行為については、常任理事国5か国が、自主的に拒否権行使を抑制すべしとするフランスとメキシコによる提案も支持をしています。
 リヒテンシュタイン等が主導する本件の決議案につきましても、こうした観点を念頭に置きながら、現在、対応を検討をしているところです。

2021年の各国ODA実績(暫定値)の公表

【毎日新聞 青木記者】ODAに関して、先ほど報道発表をいただいたのですが、順位も一つ上がって3位になったと、金額ベースでも増えているということで、どういう背景があるのか、少し詳しめに教えてもらいたいのと、今回どういうふうに受け止められているか、それと、今後について、どういうふうに考えてらっしゃるかお願いいたします。

【小野外務報道官】ご指摘のとおり、2021年の我が国ODAの実績ですが、これは暫定値でありますが、176億1,890万米ドルということで、前年度比8.4%増となっております。円ベースでは1兆9,339億円ということで、これも前年比で11.4%増ということになりました。
 我が国ODAは、2015年から2020年までは、連続して世界第4位でしたが、2021年は、ご質問のとおり、順位を上げまして、米国、ドイツに次いで第3位となりました。
 この背景というか、要因ですけれども、主なものとしては、国際開発金融機関への拠出増というものが一つあります。具体的には、世界銀行グループの国際開発協会(IDA)への3年に一度の増資があったということがございます。
 加えまして、新型コロナウイルス対策の一環として、新型コロナウイルス危機対応のため、アジア・太平洋地域を中心とする経済活動の維持と活性化に向けた、新型コロナ危機対応緊急支援円借款の供与による、二国間のいわゆる円借款、有償資金協力が増加したというようなことが、要因としては挙げられると思います。
 この受け止めですけれども、先ほど申し上げましたとおり、主な要因としては、やはり国際開発金融機関への拠出増というところですが、ODAは、引き続き、我が国の外交にとり、極めて重要な政策ツールです。
 今般のウクライナ危機をはじめとする、国際情勢の緊迫化に対応する人道支援、及び新型コロナウイルス感染症の収束に向けた支援など、ODAへのニーズというのは、益々高まっていると認識をしています。
 こうした中で、我が国のODA実績が、前年に比べて増加したということは、我が国の外交政策を推進する上でも重要と認識をしており、今後とも、必要なODA予算をしっかり確保していくとともに、戦略的・効果的なODAの実施に努めてまいりたいと考えています。

ウクライナ情勢(バイデン米国大統領の発言)

【朝日新聞 相原記者】12日に米国のバイデン大統領が、今回のロシアのウクライナ侵略について、「ジェノサイド」と発言しました。今まで、戦争犯罪とは言っていたんですが、「ジェノサイド」という踏み込んだ表現を使ったということについて、日本政府の受け止めと、あと、政府としては、今回のロシア、かなり民間人が殺害されていますが、「ジェノサイド」という認識なんでしょうか。この2点を教えてください。

【小野外務報道官】バイデン米大統領が、ロシア軍の攻撃を「ジェノサイド」という言葉を使って非難をしたということは承知をしています。また、ウクライナ政府の発表ですとか、各種の報道により、マリウポリをはじめとするウクライナの各地において、無辜の民間人が多数殺害されるなど、残虐な行為が繰り広げられていた、ということが明らかになっております。こうした、多数の無辜の民間人の殺害は、重大な国際人道法違反であり、断じて許されず、厳しく非難をします。
 我が国としても、こうした残虐な行為の真相は明らかにされねばならず、ロシア側の責任は厳しく問われなければならない、という立場であります。
 「ジェノサイド」を含む重大な犯罪を犯した者を訴追し、処罰する国際刑事裁判所、いわゆるICCの検察官が、ウクライナ側と協力をしつつ、「ジェノサイド」を含む捜査を既に開始をしているところであります。我が国としても、この裁判所の検察官による捜査の進展に期待を寄せているところであります。

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