厚労省・新着情報

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年7月2日(金)13:30~15:30

議題

(1)がんとの共生における緩和ケアについて
(2)診断時からの緩和ケアの推進について
(3)その他

議事

 
○がん対策推進官 定刻となりましたので、ただいまより、第1回「がんの緩和ケアに係る部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めます、健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。よろしくお願いいたします。
部会の開催に当たりまして、まず、健康局長の正林より、一言御挨拶を申し上げます。
○健康局長 皆さん、こんにちは。健康局長の正林でございます。一言御挨拶申し上げたいと思います。
本日は、大変お忙しい中、この会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、もともとがんとの共生のあり方に関する検討会というところで議論してまいりましたが、そのもとにつくった当部会へ、構成員として御就任いただき、誠にありがとうございます。
今申し上げましたが、共生の検討会というところでずっと議論してまいりましたが、その中でもかなり大きな重要なテーマとして、緩和ケア、これについては、専門の部会を設けてしっかり議論したほうがいいということで今日に至りました。
私、もともと、20年前は生活習慣病対策室でがんの対策を担当していましたし、平成26年にはがん対策・健康増進課長も務めさせていただきました。がんについては、特に島根県に出たときに、がんとの関係、非常に深く関わらせていただきましたが、やはり緩和ケアというのは大変重要で、先々週、緩和医療学会に演者として参加させていただきました。ちょうど橋口会長のお取り計らいもあってそういう機会を設けていただきましたが、そのときにも、30分ぐらい時間をつくってディスカッションをしましたが、非常に数多くの御意見をいただきました。大変勉強になりましたし、今後もしっかりやっていかないといけないなあと改めて思ったところです。
緩和ケアは、私、課長をやっていた頃から、できるだけ在宅でも緩和ケアがちゃんと展開できるようにという大きな方向性、そのためには、関係者がちゃんとチームをつくって対応していくことが大事だということが1つです。
それから、私も医学部を出ていますけれども、私が学生時代の頃は、緩和ケアというと、やはり終末期の医療というイメージでありましたが、最近は、いやいや、そうではなくて、診断がついたときから緩和医療というのはもうスタートするものだと、非常に重要な視点が既に大きな国の方向性として進められています。
そうしたことも踏まえながら、より詳細に、より深く、この部会で先生方に御議論いただけたらなと思っています。どうぞ自由闊達な忌憚のない御意見を頂戴できればと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 ありがとうございました。本日は、正林局長は、公務のため、途中退席をさせていただきます。
なお、本部会につきましては、YouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。また、会議中、基本的には先生方のカメラはオンにしていただきまして、御発言の際は挙手または挙手ボタン等で示していただきまして、座長のほうで指名いたしますので、お名前を名乗った上で御発言いただければと考えております。
また、開会に先立ちまして、事務局より1点御提案をさせていただきたいと思います。今回、参考資料にも示させていただきましたが、遺族調査を実施し、また緩和ケアの推進にも大変に御尽力をいただきまして、本部会の構成員へも御就任いただきたいと思いまして御依頼し、承諾をいただいておりました国立がん研究センターの加藤雅志先生が、誠に残念ながら、先日、急逝されてしまいました。
そこで、哀悼の意を表して、黙祷を捧げさせていただきたいと思っております。ウェブ会議ですので、一時画面から外れるような形となりますが、御賛同いただける構成員の方々は、御起立をお願いできればと考えております。
それでは、加藤雅志先生の御霊に哀悼の意を表しまして、黙祷。
 
(黙 祷)
 
○がん対策推進官 お直りください。御協力ありがとうございました。
続きまして、構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。恐縮ですが、お名前を呼ばれた際に、どのような観点で緩和ケアに関わっておられるかなどを含めまして、1分間程度で御挨拶を頂戴できればと思います。
それでは、東京女子医科大学東医療センター薬剤部、がん包括診療部緩和ケア室薬剤部長、伊東俊雅構成員でございます。
○伊東構成員 皆さん、こんにちは。女子医大東医療センター薬剤部の伊東でございます。見慣れた先生方もいらっしゃる中で、薬剤師という職種の観点から本部会のほうに出席させていただくこととなりました。
緩和ケアに関しましては、現在、緩和医療暫定指導薬剤師、それから緩和薬物療法認定薬剤師の資格を日本緩和医療薬学会のほうから受けておりまして、当院も含め、現在、国内110カ所の施設が薬物療法に絡む薬剤師の研修施設として既に認定を受けております。先生方の診療のサポートといいますか、薬物療法のサポートという観点から緩和療法に携わっておりますが、地域の薬剤師にもそういった薬剤師が増えております。在宅に帰すというような観点からも、国内挙げて薬物療法の観点から、特にオピオイドの適正使用という観点からも、御一緒にお仕事ができるということが大事かなと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 続きまして、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学教授、日本癌治療学会代議員の江口英利構成員でございます。
○江口構成員 ただいま御紹介賜りました、大阪大学医学部附属病院の江口英利と申します。私は、専門は消化器外科医、特に肝胆膵領域の外科医療でございまして、手術の対象となる方が私の治療の対象ということにはなりますが、それに限らず、初診時からの緩和医療ということも頭に据えた医療を日々実践しているというところでございます。
また、大阪大学医学部附属病院におきましては、緩和医療センターというのを設置しておりまして、そこのセンター長を拝命しております。阪大病院では、いわゆる緩和専用の病棟を持たずに緩和医療を推進するという形での緩和医療をやっているということでございます。また、先ほど御紹介賜りましたとおり、日本がん治療学会の代議員としても活動させていただいております。緩和医療に関しまして微力ながら尽力させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、国立がん研究センター先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野、分野長、小川朝生構成員です。
○小川構成員 よろしくお願いいたします。国立がん研究センター東病院の小川と申します。
私は、主に精神科医の立場から、患者さん御家族、そして医療スタッフの精神心理的ケアというところでこの緩和ケアに携わらせていただいております。主に緩和ケアチームもありますし、また、拠点病院の様々な教育的な関わり、その辺りでも、今日こちらに御参加くださっておられます構成員の先生方と一緒にまた進めていければと思っております。いろいろ御指導いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 続きまして、神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科特命教授、日本緩和医療学会理事長の木澤義之構成員です。
○木澤構成員 皆様、お世話になります。神戸大学の木澤です。
私は緩和医療を専門にしておりまして、この25年は専門緩和ケアの世界で仕事をしています。緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、在宅緩和ケアの場でそれぞれ仕事をさせていただいておりまして、専門的緩和ケアの立場からぜひこの部会に関わらせていただきたいと思っています。
学会のほうでは、日本緩和医療学会の理事長をしておりますので、専門家を代表する意見を集約して述べさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、NPO法人がんノート代表理事、岸田徹構成員です。
○岸田構成員 岸田と申します。
僕は25歳と27歳のときに胚細胞腫瘍を経験しまして、今は経過観察しているのですが、そのときに、医療情報は皆さんのおかげであるのですけれども、患者側の情報、生活側の情報が少なかったということから、患者さんのインタビューをインターネットで発信するがんノートというものを始めました。2014年から始めて、今は数百名以上の患者さんのインタビューを発信しているという形になります。
今回は、患者側として、皆さんに要望というか、患者さんはこのようなことを思っているので、こういったところをお願いしますということを述べさせていただきたいということを思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、がん研究会有明病院乳腺内科部長、日本臨床腫瘍学会協議員、高野利実構成員です。
○高野構成員 皆様、よろしくお願いします。がん研有明病院の乳腺内科の高野利実と申します。
私は腫瘍内科医としてずっとやってきております。腫瘍内科ということで、緩和医療の世界ではがん治療医と呼ばれるわけですけれども、がんの薬物療法を主に手がけているわけですが、患者さんの幸せを目指すという点においては、緩和ケアとしてやっている先生方と何ら気持ちは変わっていないと思っております。緩和ケアの定義についてもこの後議論があるのかと思いますけれども、患者さんの幸せを目指す医療ということにおいて、腫瘍内科医として発言していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 島根県健康福祉部医療統括監、谷口栄作構成員です。
○谷口構成員 どうも失礼します。島根県の健康福祉部の医療統括監をしております谷口といいます。
私は、公衆衛生行政の立場から、30年ぐらい、がん対策とかに関わっております。緩和ケアに関わり出したのは25年ぐらい前からですね。その頃、ターミナルケアという言い方を当時していたと思うのですけれども、調査をしたり、いろんな先生方と交流を持って、その後もいろんな形で緩和ケアに関わっております。最近5年ぐらいは県庁におりまして、県庁の立場で緩和ケアに携わっております。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 東京大学大学院医学系研究科特任教授、中川恵一構成員です。
○中川構成員 中川です。私は、がんの放射線治療が専門でありますが、比較的早い段階から緩和ケアに非常に関わってまいりました。1995年には、東大病院の古い病棟の中に総合腫瘍病棟、これは5床だけでしたけれども、これをつくりまして、担当の講師をしてまいりました。
ちなみに、そこでの総合腫瘍病棟、事実上緩和ケア病床ということなのですが、この活動を『緩和医療のすすめ』という単行本にいたしました。その冒頭に、ここにおられる高野構成員がまだ学生の頃ですけれども、がんと死のところを書かれたのを覚えております。2003年から2014年までは東大病院の初代の緩和ケア診療部長、これは兼任という形でしたけれども、担当してまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 聖マリアンナ医科大学緩和医療学教授、日本麻酔科学会緩和領域検討部会部会長、橋口さおり構成員です。
○橋口構成員 橋口と申します。よろしくお願いします。
私は、二十数年になるかと思いますけれども、緩和医療に携わってきているのですけれども、もともと、麻酔学の出身で、そこからペインクリニックという、いわゆる疼痛の緩和を主体とした治療をするところですけれども、そこを経由して緩和ケアのほうに進んでまいりました。
最近、がんの痛みというのが大分変わってきていて、皆さん、長期生存できるようになりましたし、がんという疾患自体を乗り越えられる時代になってきたのですけれども、そうすると痛みがどうしても慢性化することが問題になってきています。そうすると、オピオイドを使うだけではうまく緩和できない、あるいは生活をするに当たって、痛みと共存とすると言ったらちょっと語弊あるかもしれないのですけれども、生活がうまくいかないということもあります。
ペインクリニック学会のほうでは、慢性がん性痛のWGというのを立ち上げて、そういう慢性化した痛みに対してどういうアプローチをしたらいいかということを考え始めています。そういうプレゼンテーションができればいいなと思っているのと、あとは、私、この聖マリアンナ医科大学というところにちょうど昨日赴任したところなのですね。緩和医療に対する基本教育というのは本来医学部で行われるべきものですけれども、医学部で教育をしようと思うとどうしても講座になる必要があるのです。講座にならないときちんと講義のコマ数が得られないですし、実習もすることができません。そういう基本教育がもう少し進んだらいいなということで今のところに移ったのですけれども、やはり緩和ケアに関しても基本教育のあり方というのをもう少し考えていったらいいかなと思って、そういうプレゼンテーションができればいいなと考えております。どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 続きまして、公益社団法人日本医師会常任理事、羽鳥裕構成員です。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。
日本医師会の中では、学術、公衆衛生、そして日本専門医機構の仕事をしています。自分自身はずっと神奈川県の川崎幸区というところで開業しておりまして、在宅、往診などもしておりました。日本医師会に行ってから在宅加療は難しくなってしまいましたけれども、横浜在宅ネットワークとか、在宅をされている先生方と常にコミュニケーションとりながら仕事をしています。
○がん対策推進官 すみません。羽鳥先生、少し音声が途切れてしまったようですが。
すみません。一旦、羽鳥先生の御紹介、少し後でさせていただきます。
続きまして、聖マリアンナ医科大学客員教授、林和彦構成員です。
○林構成員 皆様、こんにちは。林和彦でございます。
私は、医者になって35年になりますが、昨年まで東京女子医大というところでがんセンター長をしておりました。化学療法と緩和ケアをともに行う化学療法緩和ケア科というところの診療部長を12年ばかりやりましたけれども、今は逆に地域に出ておりまして、栃木県のある町の療養型の病院にいます。大学病院から全く違う世界に入ったわけですけれども、このコロナ禍にあって、療養型の病院や在宅で患者さんを診るようになって、今まで見えなかったこともたくさん見えてきました。やはり一般の方々の理解とか、とても必要だと思いますし、あるいは医者の意識の問題、そういったところを深く感じましたので、今回そういったお話ができればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、元NPO周南いのちを考える会代表、前川育構成員です。
○前川構成員 こんにちは。前川でございます。
私は、第3期のがん対策推進協議会委員のときに、垣添先生が座長をされたとき、緩和ケア検討会が初めて作られました。そのときからメンバーに入らせていただいて、患者経験の立場、そして遺族の立場、そして患者さんをサポートする立場としてそのメンバーに入らせていただいて発言などさせていただいております。
がん患者サロンやNPO活動の中で、多くのがんの患者さんとともに歩んでまいりました。亡くなるまで傍にいたこともあります。先日も、この夏までと伝えられた患者さんは、今、夏ですが、抗がん剤をしましょうと医師に言われ抗がん剤治療をされていて、苦しんでいらっしゃるということを聞いたばかりです。そういう今までの経験が、患者にとっていかに緩和ケアが重要であるかというのをすごく痛感しております。ですので、緩和ケアの大切さを発信し続けています。ずっとずっと。
今までの緩和ケア検討会やWGで、メンバーの皆さんが一生懸命熱心に討議されてきたことが、まだ実現していなかったり、途中で切れたりしています。そうなので、とても残念です。時間と税金の無駄があるかなあと、ちょっと厳しいですけれども、そんな気もしております。
今回の緩和ケアに係る部会がぜひぜひ実りある会議になりますように、そして、全ての患者さんに緩和ケアを実感してもらえる会議となりますように、本当に心から願っています。どうかよろしくお願いします。
○がん対策推進官 続きまして、高知大学医学部附属病院地域医療連携室副室長/がん相談支援センター副センター長の前田英武構成員です。
○前田構成員 高知大学医学部附属病院地域医療連携室/がん相談支援センターの前田と申します。職種は社会福祉士、精神保健福祉士です。当院の緩和ケアセンターの社会福祉士も兼務しております。
当院は県内唯一の大学病院で、その中で、がんだけではなく、難病、HIVエイズ、肝炎といった幅広い領域の連携、相談業務を担っております。
本日の午前中は、当院のがん相談窓口で緩和ケアに関する御相談に応じてまいりました。がん患者さん御家族の相談したいことの中で、緩和ケアは常に上位に入る事柄になりますが、まだまだ誤解されていることが多いと感じています。患者さん御家族、緩和ケアを誤解なく不安なく適切に活用できるよう、本日は、福祉職、相談職の立場でこの議論に参加できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、埼玉県立がんセンター緩和ケアセンタージェネラルマネージャーの森住美幸構成員です。
○森住構成員 よろしくお願いします。埼玉県立がんセンターで緩和ケアセンターのジェネラルマネージャーをさせていただいています森住美幸と申します。
私はずっと、入職してから25年以上、同じ当院に勤務しておりまして、今の立場としては、緩和ケアのスクリーニングの推進やがん看護外来の運営の調整、あとは、当院は緩和ケア病棟を持っていますので、緩和病棟に移られる方の転科の調整などに日々尽力しているところです。
今回の会議では看護師は私1人になりますので、会議の参加を通じて看護師の力が発揮できるような体制を少しでも皆様と御一緒に考えられたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
続きまして、参考人の御紹介でございますが、埼玉県医科大学医学部総合医療センターの儀賀理暁参考人に本日お越しいただいております。儀賀参考人には後ほど自己紹介と御発表をいただこうと考えております。
本日は、お声がけさせていただきました全ての構成員、参考人の方に御出席をいただいております。
それでは、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1から資料3-2まで、それから、参考資料1から3がございますので、御確認いただければと思います。
なお、参考資料2、参考資料3につきましては公開資料となっております。お時間の都合上説明は割愛させていただきますが、議論に際して適宜御参照いただければと考えております。
続きまして、資料1の開催要綱にもございますとおり、本部会には、健康局長の指名によりまして座長を置くこととなっております。健康局長にあらかじめ伺いまして、座長としまして中川恵一構成員を指名するということで御指示をいただいているところでございますので、よろしくお願いいたします。
これ以降の進行につきましては中川座長にお願いしたいと考えております。一言御挨拶をいただいた上で進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中川座長 中川でございます。御指名いただきましたので、させていただきたいと思います。
今日はがんの経験者の方も構成員として参加されているわけですが、実はがんの専門医である私自身も18年の12月に膀胱がんを経験しまして、そのときに内視鏡切除を受けましたが、大変痛みに苦しんだ経験を昨日のように思っております。先ほど、皆さんとともに加藤雅志先生に対して黙祷を捧げたわけですが、今日の参考資料にもある遺族調査ですね。ここの中では、4割近い方が亡くなる際に痛みに苦しんでいる。38万人近くの方が毎年がんで命を落としているわけですので、毎年15万人近い方が痛みの中でその人生を終えているということを考えますと、大変胸が痛くなります。私は2007年から10年間、がん対策推進協議会の委員をさせていただきましたが、緩和ケアの推進は一定程度行われてきたとはいえ、まだまだなのかなと思います。
それから、お忙しい構成員の皆さんに貴重なお時間をいただいているわけですので、この会としてもきちっとした成果を出していきたいと思っています。もちろん、親会であるがんとの共生検討会ですか、こちらに対して報告をするというのは当然でありますが、例えば次のがん対策推進基本計画への盛り込みや、さらには、がん治療、あるいは緩和ケアの臨床現場に届くメッセージも出していきたいなと思っております。
皆さん、ふつつかながら精いっぱい務めさせていただきますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたします。
では、早速ですが、議題1の「がんとの共生における緩和ケア」について、事務局より資料2を用いて説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 それでは、資料2について説明をさせていただきます。今回、「がんとの共生における緩和ケア」と題しておりますけれども、これまでの議論の経緯などをお示しさせていただきまして、これからの議論の一助とさせていただきたいと思っております。
ページをおめくりください。既に御存じの方も多いかとは思いますが、第3期がん対策推進基本計画、これは平成30年に閣議決定されまして、現在もこれに基づいて対策を進めているところでございます。
その中で3つの柱がございまして、1番、2番、3番とございます3番目の「がんとの共生」の一番最初のところに「がんと診断された時からの緩和ケア」というものを位置づけているというところでございます。
ページおめくりいただきまして、「がんとの共生」全体の中でも緩和ケアというのを打ち出しながらその対策を進めているところですけれども、まだまだ十分にできていないという現状はあると認識しております。
ページをめくっていただきまして、4ページ目でございます。緩和ケアの質の向上に向けて、国、厚生労働省、それから、がん研究センターや医療機関、学術団体等が質の向上に向けてしっかりと対策を進めていくことが必要だと考えております。この辺り、しっかり機能しているかどうかも含めて検討をいただきたいと考えております。
ページをおめくりいただきまして、5ページ目でございます。これまで、この関連する内容につきましてはがんとの共生のあり方に関する検討会において議論されてきたというところでございますが、緩和ケアの質の向上策というところで、幾つかの論点、それから必要なポイントなどが挙げられております。そういった中で、緩和ケアの質の向上策であったり緩和ケアの提供体制というところで、課題がこのように挙げられてきたという経緯がございます。
ページをめくっていただきまして6ページ目のところですけれども、その中で第4回においては、緩和ケアに対する実地調査に関して一定の方向性を決めてきたというところがございます。
7ページ目でございます。このような形で、がんとの共生のあり方に関する検討会そのものとしては、1回から4回という形で実施してきたところでございますが、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進について、別途議論の場を設けることが必要であるということが第3回の検討会で構成員より御提案いただきまして、第4回の検討会で、この部会を設置することを御承認いただいたというところでございます。
ですので、がんとの共生のあり方に関する検討会の中における議論の重要なポイントである緩和ケアに関する部会ということで当部会を設置しまして、議論をこれから始めていきたいと、そのような流れになっていると御理解いただければと考えております。
事務局からは以上です。
○中川座長 ありがとうございました。
ただいまのがんとの共生における緩和ケアについて、御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
特にないようでしたら、引き続きまして、「診断時からの緩和ケア」について、事務局より資料3-1を用いて説明をお願いします。
○がん対策推進官 それでは、「診断時からの緩和ケア」についてということで、資料3-1で説明させていただきます。
まず、「緩和ケアの定義」というところでございますが、2ページ目をお願いいたします。WHOにおきまして、緩和ケアというのは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチ」と示されてございます。
また、がん対策基本法におきましては、「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的もしくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為をいう」と示しております。
基本的には、私たちがこれから進めていく緩和ケアの議論、こういったものを定義として進めていきたいと考えております。
また、3ページ目、「がんと診断されたときからの緩和ケアの推進」というところでございますが、こちら、第3期がん対策推進基本計画上に記載がございまして、緩和ケアとは身体的・精神心理的・社会的苦痛等の「全人的な苦痛」への対応を診断時から行うことを通じて、患者とその家族のQOLの向上を目標とするものであるという形で、まさに診断時からしっかりと行うということになっております。
また、別の記載でございますが、「国及び地方公共団体は、引き続き、患者とその家族の状況に応じて、がんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛等に対する適切な緩和ケアを、患者の療養の場所を問わず提供できる体制を整備していく必要がある」という形で示しておりまして、こういったものをベースに、がんと診断されたときからの緩和ケアということで進めていきたいと考えております。
4ページ目になりますが、具体的に緩和ケアによって対応が求められる苦痛や不安等ということで、より細かく具体的に挙げてみたところです。身体的な苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインと、そういったそれぞれのものがございまして、それらの中身にはこういったものが入るであろうと。もちろんこれが全てではないとは思っておりますけれども、こういったものに対応していくのだということで考えているものでございます。もちろん、追加で、何かこういったものもあるのではないかという御意見などございましたらいただければと思っております。
続きまして5ページ目でございます。こちら、我々のほうから1つ御提案という形になりますが、がんの治療の段階ごとによって、それぞれ関連するケアの主体となる場所であったり、関わる人、それから課題などもいろいろ様々変わってくるのではないかと考えておりまして、診断時、治療期、終末期、そういった時期に応じた課題、また共通の課題、そういったものが大きく区分するとあるのではないかと考えております。
そういった中で、次の6ページでございますけれども、「チーム医療のイメージ」でございます。緩和ケアというものは非常に多くの方が関連して患者さんを支えていくような仕組みなのだと。こちら、国立がん研究センターのほうにあるものから拝借しておりますけれども、もちろん、緩和ケアを実践する人というのはこれだけにとどまらないのかもしれませんが、こういった多くの人が支えるのだというイメージを共有できればと思っております。
7ページでございますが、今回の検討におきましては、まず、本日の会におきまして治療の各段階ごとに以下のように分割しまして、それぞれ課題を整理するように進めてはどうかと考えております。
次回以降の本部会で、今回整理された課題をもとに、治療の各段階において、身体的苦痛、精神的苦痛及び社会的苦痛の緩和などのために誰がどのような役割を果たすことが求められるのかということを具体的に検討していってはどうかと考えております。
8ページ目以降のところで、それぞれの時期における課題の案ということで少し頭出しをさせていただいております。ただ、こちら、まず議論のたたき台にということで示させていただいておりますが、余り変に方向づけを強くしないようにというところもありまして、ややぼやっとした書き方とさせていただいてはおりますけれども、大体それぞれの時期にこういった内容の課題があり得るのではないかということで示しておりますので、もちろんこれで全部だとは思っておりませんし、よりセンシティブな課題、そういったものがあると考えておりますので、この辺り、ぜひ様々な御意見を頂戴できればと考えております。
事務局からは一旦以上とさせていただきます。
○中川座長 ありがとうございました。
緩和ケアの現状と検討課題の案について、小川構成員より資料を御提出いただいております。資料3-2ですけれども、小川構成員から御説明をお願いしたいと思います。
○小川構成員 よろしくお願いいたします。東病院の小川になります。
こちら、資料3-2につきまして画面を共有させていただきます。見えておりますでしょうか。途中、何か変な映り方がありましたら御指摘いただければと思います。
私のほうでは、先ほど岩佐推進官がお示しくださいましたような各様々な時期の段階の問題というのをより効率的に、効果的に議論するという意味で、少し背景を含めて簡単にたたき台を用意させていただきました。これを踏まえましていろいろ構成員の先生方からコメント等で何らかの方向性、あるいは検討の材料として使っていただければと思います。
大きく4点に分けて挙げておりますので、簡単に御参照いただければと思います。それぞれ、ちょっと順を追って御説明させていただければと思います。
まず、最初の3つは、先ほど推進官が示してくださいましたような、時期において挙げております。まず、診断時の緩和ケアのあり方ということで、主に検査のときを踏まえたこの診断時における様々な患者さん御家族への支援という意味です。ここの議論も過去からありまして、そこは【背景】にまとめております。
まず、問題となっておりますのは、この緩和ケアという言葉が大きく3つ異なる意味で含まれていると。基本的な緩和ケア、主治医や担当の看護師の方など全ての医療者が行うそういうケア。そして専門的な緩和ケア、緩和ケア医等の専門家が対応する内容。そして3つ目、診断時からの緩和ケア。これは特に日本独自の用語で、明確な定義がないというところがありました。
従来、ここの問題を診断時において議論するときには、この3つの言葉がうまく整理されずに混乱していた面があったかと思います。例えばここは、「具体的には」というところに挙げておりますけれども、誰がするのか。よく問題となっているのは、早期からの緩和ケア。よくearly palliative careと言われるものと診断時からの緩和ケアの混同で、これを緩和ケアの専門家がするというのか、あるいはがん患者全員に届くためには主治医や看護師だと。その辺りの意見が交錯している面がありました。
また、何をするのかということで、緩和ケアだから痛みだろうという意見もありますけれども、痛みは多くはないのですることはないなど、この辺りも具体的な内容を示されない等に混乱がありました。
今の2つが大きく出てきた背景には、当時、海外で専門的緩和ケアの取組で出てきたこのearly palliative care、早期からの緩和ケアと言葉が似ているというところでの混同かと思います。ですので、まずここの問題の整理等が重要かとは考えております。
具体的には、診断時からの緩和ケアと早期緩和ケアについての違いは次のページにまとめておりますけれども、診断時からの緩和ケアは、基本計画等を見ていただきますと分かりますように、全ての患者・家族に対してというところで出ておりますので、これは海外でいけば、がんへの適用、疾病教育というものに該当するものかと考えております。
こちらの主要な比較については2ページ目のところに挙げております。時間の関係で余り細かいところは触れられませんけれども、診断時からの緩和ケアというのは、主に担当医、担当看護師等含む全ての医師、看護師、そして、早期緩和ケアというのは専門的緩和ケアというのが大きな整理かと思います。
また、この診断時からの緩和ケアで、特に診断時点でどういうことがまとめられるのか、ここが具体的に記載がないというので混乱招いておりますけれども、がんへの適用というところでいきますと、こちらに挙げておりますように、不安への対応、そして様々な苦痛の原因の同定と問題整理というところを中心に、社会関係の強化等が含まれる、そこのところをこちらにまとめております。
3枚目のところには、そこの少し整理と、そして早期検討が求められる事項についてまとめさせていただきました。今の診断時の緩和ケアについては、拠点病院において誰が何をすべきかというのが今まで具体的に伝わっていないということから、内容を明確にする、そして具体的な方法を示していくということが重要かと思います。
ここの論点に関しては、厚生労働科学研究費の「がんと診断された時からの緩和ケアの推進に関する研究」班でも提言が出ております。こちらは少し私の意見も混じりますけれども、恐らくこの辺りの検討が重要だろうというところをまとめさせていただきました。
まず1つは、早期からの緩和ケアと診断時からの緩和ケアの意味の差というのを確認し、具体的に示していくという点です。また、対応に関しては、例えば入院準備センター等の流れに組み入れる。最近の拠点病院ですと、Patient Flow Management等の動きがありますので、こういう病院のシステムを積極的に使っていくことも大事かと思いますし、また、この辺りで様々、主に看護の方の取組として、がん患者指導管理料というのが推進の1つ大きな力になっていますので、こちらの面接の質等を踏まえながらの動きを検討するのはどうかなと思いました。
4ページ目からは2つ目の時点ですね。「治療の時期の苦痛への対応」というところについて簡単にまとめております。【背景】としては、こちらに挙げましたように、今までもここの議論はなされてきているのですけれども、一方で、苦痛のスクリーニングという言葉がかなり一つのネックとなって具体的な検討が混乱している面がありました。
どんな混乱があったかというのは2つ目の➣にまとめておりますけれども、痛みとか患者さんが話しにくい話題、そういうものを積極的に取り上げていく意味合いでスクリーニングという言葉が使われているのですけれども、一方で、スクリーニングシステムの問題との混同というのがあり、そこの議論の整理が残念ながら十分進んでいなかったのかなと感じております。
実際にこの辺りの問題への取組が全くなかったかというとそういうわけではなくて、第3期の基本計画を策定する際の検討会では、スクリーニングという言葉に補足を入れて積極的に取り上げていく話であるとか、あるいは拠点病院を主語として入れて、緩和ケアチームだけではないということは明示してきておりましたが、残念ながら、限界点はあるのかと考えております。
スクリーニングに関して恐らく重要になるのが、まず担当の先生、担当の看護師さんと患者さんがこの懸念を話し合える、そういう場を積極的に用意していくという点。2つ目は、担当の先生が対応しても難しいというときに、専門家につなぐアクセスの面、そして3つ目は、紹介先の専門的な緩和ケア、これは主に緩和ケアチームになるかと思うのですけれども、技術の問題に分けられるかと思いました。
ここはかなり複雑な論点が混じるのですけれども、主にシステム等で分けるとすると、このような整理の仕方があるかというものをこちらに挙げております。
まず、がん診療連携拠点病院の現状につきましては、先ほど推進官がお示しくださいましたような実地調査等がありますので、この辺りの現状の確認、そして、ピアレビューとの差異等を確認していくことが重要かと思います。
2つ目は、今まで余り議論されていないのですけれども、実は拠点病院以外でも同じくがん診療というのは行われています。割合としてはおよそ2~3割程度ではないかと推測されるのですけれども、ここの実態の把握、検討がなされていないという点がありますので、やはりここは今後1つ重要になる点かと思いました。
そして具体的な対応でいきますと、まず担当医や担当看護師の方が担う対応について、これは緩和ケアではなくて医療の質の問題だという意見も今までございましたが、残念ながら、まだ十分に対応には至っていない面というのもあるかと思いますので、ここは具体的にどのようにしていくのかというのは重要な点かと思います。特に現場の負担を減らしつつ進めるための工夫というのが重要かと思いました。
また、痛みを取るという点でいけば、医療用のオピオイドに関する教育啓発というのも重要で、医療者のみならず、患者さん側も安心して使えるための工夫、例えば早期からの情報提供でありますとか薬薬連携等の今の現状、そして薬剤師の先生のがん患者指導管理等が議論になる点かと思います。
担当医の先生が苦痛に対応しても取り切れないというときには、つなげるアクセスの問題があります。ここはスクリーニングのシステムの問題として議論になりましたが、最近は、PROといって患者さんの自己評価というのが出てきておりますので、その辺りの現状の確認が重要かと思います。
専門的な緩和ケアのチームに関しては、技術の問題、そしてがん対策加速化プラン等でも実施研修が行われましたが、その確認と、そして現状把握が重要かとも思います。また、難治の痛み、十分に対応しているけれども取り切れない問題なのか、そもそもまだ対応されないまま放置されているのか、この辺りの問題の整理というのも重要で、現状の取組、あるいは本当に難しい問題であれば、例えばペインクリニシャンの先生方との意見のすり合わせ等が重要になってくる点かと思っております。
3つ目は「終末期の痛み等の苦痛の軽減・緩和」になります。ここは先ほども出ました加藤先生がなさっておられました遺族調査の結果というのが非常に重要です。残念ながら取り切れていないという現状がありますが、これは拠点病院だけではなくて、実は地域の後方連携病院での緩和ケアの実情を反映している可能性があり、まずそちらを含めた検討が重要かと思っております。
現状、今、がんの治療は入院から外来に移り、入院を経ずにそのまま地域の病院に紹介されることもまれではありません。また、拠点病院が、在院日数の短縮もあり、終末期を診ることは減り、より早い段階で地域の後方連携病院に紹介しつつある、そういう現状もあるかと思います。
かつてよりありましたが、今、終末期の緩和ケアの担い手は地域の中小規模病院と在宅医療ということになり、そこにこの拠点病院がどのように働きかけるのか、お手伝いできるのか、その辺りの観点も重要になってくるかと思います。
この地域の後方連携病院での緩和ケアの提供体制については、残念ながら、今までほとんど議論されることがありませんでした。地域といえば在宅医の看取りというイメージがあって、実際には6割ぐらいを占める後方連携病院での現状というのがまだ十分に議論に乗っていない面があるかと思います。
こちらは緩和ケアの研修会等が、今、拠点病院中心に進んでおりますけれども、なかなかまだ参加者が少ないという現状もあります。インセンティブの問題とか、あるいは地域の中小規模病院ではがんの患者さんが3割程度で、心不全や脳血管障害等の大変な方もいるので、がんだけというのに違和感を感じているという意見もあります。また、8割以上の病院では緩和ケアチームを持っていないという報告もありますので、この専門家がいない中でどうするのかも大事な検討点かと思いました。こちらに関しては、参考までですけれども、地域の連携のあり方が非常に重要かと思います。今、がん以外の看取りは地域包括ケア、市町村単位での取組ですけれども、がんの施策は二次医療圏単位で動いているというずれがありますので、ここの接合というのが重要かと思いました。
以上を踏まえまして、主に検討が求められる事項としては、この後方連携に移したときのケアの断絶をどうするのか、そして、後方連携病院での緩和ケアの提供体制をどのように強めていくのか、そして、地域連携の枠組みのずれをどのようにすり合わせていけばこのギャップが埋められるのかというところかと思いますし、また、中小病院のほかに在宅医療における質の提供体制、そして最近では介護施設等も出てきておりますので、その現状把握というのも急務かと存じます。
最後に、緩和ケア病棟も同じく出てきております。診療報酬の誘導等により緩和ケア病棟の設置が増えていますけれども、一方で専門家が追いついていないという面もあります。診療報酬の誘導により急性期科と療養型に二極化している中でのケアの問題もあるかと思います。地域連携でいけば、緩和ケア病棟も重要な担い手の一方、地域包括ケア病棟も同じような動きもしており、そこのすみ分けもあるかと思います。
また、がん以外の面も絡んでくるのですけれども、海外ではがん以外のものも緩和ケア病棟が受け入れているのですけれども、日本ではがんとエイズに絞られているというところがあって、この辺りの不利益はどうかというような意見も出てきております。最近では、コロナ禍の中で緩和ケア病棟がコロナ対応病棟に転換されたままということもあり、この辺りの現状の把握も急務かと思いました。
以上、最後にまとめる意味で、こちらに図表を1つ入れております。今後の議論のたたき台としていただければ幸いです。ありがとうございました。
○中川座長 小川構成員、ありがとうございました。大変分かりやすく整理していただいたと思います。
冒頭で羽鳥構成員がお話の途中でちょっとフリーズしてしまいました。御挨拶と、あるいは今までの議論に対しての御意見も含めてお言葉いただけますか。
○羽鳥構成員 申し訳ありませんでした。日本医師会の羽鳥です。
日本医師会では、主に学術、公衆衛生、そして専門医機構のほうの仕事をしております。がん対策に関しては厚労省の主な会議にほとんど出席させていただいております。地域のほうでは、地元は神奈川県の川崎の南部のほうで、日本医師会に来るまでは在宅医療なども行っておりました。そして、近くにある川崎市市立井田病院というところで緩和ケアの講習などを受けております。
在宅されている先生は、がんの患者さんを末期までしっかり診ていらっしゃる方が多いので、麻薬の扱い方を含めてかなり一生懸命されていると思います。ただ、急に患者さんが急変したときに、薬局などでさっと薬が得られないということもあるので、その辺の連携の仕組みはこれからも考えていかなければいけないことだと思っています。
日本医師会では、もう一つ、ACPとか終末期医療のこともしておりますので、ここで得た知識をまた、地元の先生方、あるいは都道府県の医師会の先生方にお伝えしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。今日はタイミングがよくなくて申し訳ありません。
そして、今、小川先生から聞いたお話は、大変よく整理されて分かりやすかったので、これをもとにまた地域に広めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○中川座長 羽鳥先生、ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料3-1と3-2、事務局からの説明及び小川構成員からの御提案を踏まえて、この部会で今後検討すべき課題について御議論いただければと思います。どなたか御意見等ございますでしょうか。
岸田構成員。
○岸田構成員 ありがとうございます。診断時と治療期と終末期でそれぞれまた議論されると思うのですけれども、まず、診断時のところでお話をちょっとさせてください。
そこの中で2点ありまして、今回の加藤先生がやってくださった遺族調査ですね。この中で、4割近くの方がまだ苦痛など持たれている。亡くなる1カ月以内ですね。この4割を減らしていくというところが必要になってくると思います。
ただ、これが1回だけの調査になると、そういったところも分からなくなってしまうので、ぜひ調査の継続の検討等々をお願いしたいといったことと、もう一つが、先ほど小川先生からもおっしゃっていただいた、2割から3割に関しては、拠点病院だけではなくて、治療もされているといったことがありました。これは診断時からも言えることだと思いまして、例えば僕たちもそうですけれども、拠点病院でないところでがんの告知を受けたり、いろんなそういうところもあったりすると思います。連携が難しいかもしれないですけれども、拠点病院だけの話で終わらせるのではなくて、診断時からも、拠点病院以外のところも含めて議論ができるといいなということを思っております。
診断時に関してはその2点です。
○中川座長 ありがとうございました。
では、前川構成員、お願いします。
○前川構成員 前川です。
小川先生の御説明、とてもよく分かって、問題点などすごくしっかりまとめられていて、私なんかは素人なので、緩和ケアに関心があってもまだ単なる市民なので分からないところもあったのですが、よく理解できました。今、岸田構成員が意見をおっしゃっていましたけれども、今回いろんな意見をそれぞれが出し合うのでしょうか、それとも、分割して、今後、この部分をしっかり議論してという分割議論になるのでしょうか、お尋ねします。
○中川座長 推進官。
○がん対策推進官 厚生労働省です。
まず、進め方についてですけれども、今回、一定程度課題を出していただいた上で、幾つかに分割させていただいて議論を進めていくような形がいいのではないかと考えております。
○中川座長 そうですね。ですから、この初回は、今後どのように進めていくかということ、それから現状の課題の把握、それを共有するという目的で、2回目以降、課題に応じた議論をそれぞれしていく。何回になるのかは分かりませんけれども、今後の2回目以降の検討すべき課題事項について、事務局と小川構成員からかなり分かりやすい、とりわけ診断時から、例えば小川構成員の資料3-2の11ページ目ですね。ここには時期と場所と、そんなことも整理されていますので、今日の2つの、3-1と3-2から次回以降議論すべき課題について、今回御意見をいただければということです。よろしいでしょうか。
○前川構成員 はい。
○中川座長 どなたでも。
谷口構成員、どうぞ。
○谷口構成員 谷口といいます。よろしくお願いします。
本当によくまとめていただいていると思いますが、1点だけ、終末期の課題のところで、いわゆるグリーフケアというか、御遺族の方へのケアというか、そういった点については今回の議論としてはどのように扱われるのかという話をちょっとお聞かせください。もし必要であれば入れてもいいのかなと思いました。
以上です。
○中川座長 結論があるわけではないと思いますので、現段階では何も決まっていません。したがって、構成員からそういう御意見があって、事務局が判断することかもしれませんが、グリーフケアというか、遺族ケアの問題も対象にしていいのではないでしょうか。そのように私は思います。ありがとうございます。
前川構成員。
○前川構成員 すみません、たびたび。
ちょっと順番が最後のほうになるのですけれども、緩和ケア病棟について。緩和ケア病棟って意外にベールに包まれていて、外から見えない部分があると思います。今、ホスピスという独立型などは全く外の目が入らないので、私がちょっと、私の個人的な話になりますが、ボランティアをしていたホスピスなのですが、終末期に、痛みとかが酷くなると、ずっと寝かせたままです。お花の入替えとかに行っても、ずうっと寝ておられます。そうして、医師も余りのぞかない、看護師さんものぞかないという見えない部分もあると思うので、その辺りのことを知っておいてほしいなあと思います。緩和ケア病棟はまだ、病院の中ですから目が届くと思いますけれども。
以上です。
○中川座長 ありがとうございました。そういう御自身の体験からの課題の提案というのもありがたいですね。何かございますか。
林構成員、お願いします。
○林構成員 本当に小川構成員がすばらしくまとめてくださったのですけれども、プラクティカルに考えると、この会議で議論できる時間も限られていて、だから、この項目、このままだと緩和ケアの体系をつくるような話になっていきがちになってしまうと思うので、やれることを優先順位つけて、想定される回数で消化できる内容にしないと、一体何のための議論だったか分からないような希薄な議論になる可能性があるので、そこの優先順位をしっかりつけたほうがいいと思います。
○中川座長 そうですね。先ほど私申し上げましたけれども、親の委員会から諮問されているわけなので、それに対しての報告は必要なのですけれども、そういう形式的なところにこだわらないで、次の基本計画への提言や、それから、何か成果物があってもいいのではないですかね。そういったものを現場に届ける。少し、確かにどこかにポイントを絞って。教科書をつくっていくわけではないので、それはとても大事なことだと思いますね。
○林構成員 ありがとうございます。成果物というのはやはりいいかなと思います。部会がある意義というのは、親のところに何かコメントを返したよということではなくて、できれば公開できるような成果物があれば活動としての意義があるかなと考えました。
以上です。
○中川座長 それは絶対要ると思います。
橋口構成員。
○橋口構成員 いろんな段階の苦痛があって、いろんな方々がいらっしゃると思うのですけれども、多くの方が通るところとして、やはり外来の診療機能というのがあると思うのですね。緩和ケア外来というのがありますけれども、その緩和ケア外来が例えば緩和ケア病棟の入棟面談のことしかやっていなかったり、外来で継続して症状緩和をやっていなかったりとか、本当にいろんなものが混在しているので、緩和ケアとしての外来診療の充実をどうやっていったらいいのかというのにぜひポイントを1つ置いていただくと多くの人が恩恵を得られるのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
○中川座長 貴重な御意見ありがとうございます。検討してもらうように進めたいと思いますね。今後何回ぐらい開くかはちょっとあれですけれども、必要な回数だけやるしかないなという気はしています。いかがでしょうか。
伊東構成員。
○伊東構成員 小川構成員のまとめていただいた資料はとてもすばらしいなと思っておりますが、3つの区分の中でいずれにも関与している職種が1つ、私ども薬剤師のところかなと思っています。橋口構成員のほうからも話がありました外来診療の部分においては、現在、化学療法がかなり中心的に行われている側面がありますので、そこでのスクリーニングの一助をなすということもありますし、面展開の薬局においてもそういったキャッチアップができるかなと思いますが、現状においてはそういった意見が割とかき消される傾向にあります。
例えば、こういう患者さん、痛いですよ、何とかしましょうと言っても、いや、僕のところではやらなかったからとなると流されてしまったりするという背景がありますので、そういったチャネルの一つ、項目の中に、薬剤師からの提案というところも入れていただけるといいかなと。そこも検討課題にしてもらえればいいかなと思っています。
背景要素は、今、国内に日本緩和医療薬学会のほうで輩出している緩和薬物療法認定薬剤師が過去10年におきまして750名超いる状況になっています。これは病院に限った話ではなく、また、がん拠点病院に限った話ではなくて、一般病院においてもそういった職種がいるというところ。それから、地域の薬剤師にもそういった認定を持っている者がおりますので、その両側面からアプローチが可能なのではないかなと思っています。
また、治療のフェーズのところに関しましては、1つは、もちろんオピオイドの適正使用ということがありますが、当院の簡単な調査によると、最近では、これまで行ってきた単剤での治療というよりは、複合剤の治療みたいなことを十分やっていくことのほうが、日本においては単純に量を乗せればいいというものではないということが背景としてはあるので、その辺りのコーディネートを先生方と協働しながら処方構築していくことのほうが、むしろ患者さんの早期の苦痛緩和には効果的なのかなと思っています。
1剤一辺倒でやっていても取れないものは取れないということなのですが、ここにいらっしゃる先生方はまた別ですけれども、一般医、主治医はなかなかそれを聞き入れてくれないという背景がありますので、その辺りでアプローチができればなあと思っています。
あと、在宅移行期においては、これはもう特に羽鳥先生辺りは非常に苦痛を感じていらっしゃるのではないかと思いますが、在宅で持ち帰れない薬が余りにも多過ぎて、病院の中で治療が行われていても、在宅で苦痛が取れないというケースが多分にありますので、そういったものについて改善の必要があろうかと思うので、それぞれの先生、御意見出せればいいかなと思います。そういった課題を解決したいと考えますので、議題の一部に加えていただけるとありがたいかなと思っております。
以上でございます。
○中川座長 分かりました。ありがとうございます。
木澤構成員、お願いします。
○木澤構成員 私からは3つあります。
1つ目、全体的な話ですけれども、事務局並びに小川先生に御提案いただいたように、4つのフェーズに分けて議論することに賛成します。診断期、治療期、終末期、共通の課題と分けて一つずつ整理して議論して、提案できることを提案していくという方針でよいのかなと思います。
2つ目です。その中でもぜひ検討していただきたいことがあります。1つは、専門的緩和ケアの質がどうかという意見が小川委員からもあったと思いますけれども、やはり何らかの形で緩和ケアチームが診療した事例を全例症例登録してオーディットするような、緩和ケアの質の評価をしていく仕組みをつくり上げることがやはり将来的には必要ではないかと思いますので、そこをちゃんと検討したほうがいいと思います。全例登録と同じような方式で、緩和ケアの事例、コンサルテーションの事例を登録していってオーディットしていく。つまり、全国の緩和ケアチームの質がそこで分かるということになりますけれども、そのような仕組みをつくっていくべきだと思っています。
3つ目は遺族調査ですね。逝去された国立がん研究センターの加藤先生がされた仕事ですけれども、これに関しては、拠点病院だけではなくて、在宅も、拠点病院以外の病院の遺族も扱っているわけです。死亡個票ベースですので。なので、これをやはり続けていって、どこで亡くなった患者さんがどういう評価なのか、ほかの疾患と比べてがんの患者さんがどうなのかというデータを国として出し続けることは大変意味があると思うので、これはやはり続けていくべきだと考えています。
以上です。
○中川座長 ありがとうございました。まず、議論の進め方に関して木澤構成員からよしと言っていただいたのはありがたいと思います。この方向で私も進めたいと思っていますので。
2つ目、3つ目のところですが、やはり全例登録をしてオーディットしていくということ。これはどこが中心になってやるのですかね。今回のこの枠組みの中で、もちろんここまでは難しいと思いますけれども、提案していくというのはありだろうなという気はいたしますね。木澤構成員におかれては、具体的な方法論までちょっと御提案いただくといいのかもしれないなと思いました。
それから、遺族調査については、これは本当に加藤先生が残してくれた財産だと思うし、ここで終わるわけにはいかないですね。それもきちっと継続するように、それはもうぜひ書き込むべきだと思います。これらの問題含めて、御意見、何かいただけますかね。
高野構成員。
○高野構成員 小川先生の御提案のとおり、あるいは事務局から提示のあったとおり、この時期によって分けて検討するというのは一つの座標軸として重要かなと、分かりやすく思います。
一方で、ここで割り切れないところもあったりすると思います。診断時と治療時って、重なる部分がないのか、これに落とし込めない部分があるのではないかとか、そんなこともあるし、一人一人の経過というのは本当に様々でありますので、余りこのように割り切れない部分というのも忘れずにやっていったほうがいいと。
いろんな座標軸あるなというのは小川先生のプレゼンを聞いていて思ったのですけれども、時期だけではなく、場所の問題であるとか、提供する人の問題であるとかいうこともあって、患者さん一人一人の経過それぞれが違う、同じ人でも時間ごとに違うということを忘れずにということが1つであります。ですので、あまり割り切り過ぎないというのも大事かと思います。その上で、議論を整理するためには分割してやっていくということには賛成です。
もう一つ、小川先生の中で提案のあった「早期の緩和ケア」と「診断時からの緩和ケア」ですね。私自身も混同して使っていたなあというところで、日本サポーティブケア学会でそういう議論をされていたのも承知しておりましたが、今ようやく整理して聞こえた気がします。この座標軸というか、この整理が1つ大事なポイントかと思っております。
先ほどの木澤構成員の話の、オーディットであるとか登録制だとかいうのは、「専門的な緩和ケア」ということですが、私自身が意識するのは、どちらかというと「診断時からの緩和ケア」のほうです。専門的というよりかは、全ての医療者、全ての患者さんがごく普通に、特別な何か、オーディットしなければいけないような特別な行為であるところの緩和ケアではなく、ごく普通に全ての人が自然に受けられるという、そういう広い意味での緩和ケア、こちらの普及というところを常に意識してやっていただきたいというか、やっていきたいと思います。
ですので、そこの整理ですね。専門的な緩和ケアの話も、木澤構成員の提案もそのとおりかなとは思いつつ、それは専門的な緩和ケアとしてきちんと議論すべきだし、一方で、誰もが普通に自然に受けられる緩和ケアというのもぜひここの部会で議論していただきたいということで、そこは一つ分けて考えるべきポイントなのだと理解しました。
以上です。
○木澤構成員 強く賛成します。そうしたほうがいいと思います。
○中川座長 ありがとうございます。そうですね。それこそ自分の体験でも、私、36年間がんの医者をやってきましたけれども、それでも、早期とはいえ、自分ががんに罹患すると、やはり結構孤立します。この辺り、一般の方だったらなおさらだと思います。今、男性の65.5%、女性の50.2%が生涯何らかのがんに罹患するわけですからね。診断時、あるいはがん検診という視点から見ると、これは例えば偽陽性の問題なんかも実は広い意味ではケアマインドに関わってくるところもあるので、医療の根本的な問題だと思います。
ただ、緩和ケアという言葉が、日本で使っている、とりわけ診断時のと、この辺り、ちょっと特殊といえば特殊だと思います。しかし、かといって、その考え方自体は必要だと思うのですね。医療の根本にこのケアのマインド、あるいは緩和ケアの考え方があるということは間違いないので、そのことを専門的な緩和ケアと少し切り分けるという、そしてそこをはっきりするということですね。定義を含めて。これをしていくことによって、がん医療、あるいは医療全体にプラスになるのではないかという気がいたします。
この会議では唯一看護師をされている森住さん、何かこの辺り、診断時のを含めてお考え、御意見があれば。
○森住構成員 ありがとうございます。
当センターのことを言ってしまうとあれですけれども、うちのセンターでは初診時からのスクリーニングをやっているのですけれども、そこでは4割近くの人が何らかの緩和ケアを求めているという現状がありまして、やはり診断時、それの前から、身体的苦痛や、あとは社会的な苦痛だったり、あとは情報の整理というのが十分できないというような現状がありますので、専門的な緩和ケアを議論するということも物すごく重要だと自分の立場から思うのですけれども、やはり診断時、その前からの緩和ケアを推進するということ、そして、看護師も意識が十分浸透していないような状況で、看護師個々で意識も違うというところから、何らか、取組の指針みたいのを出していただけると推進力になるのではないかなあと考えます。
○中川座長 ありがとうございます。
放射線治療をやっていますと、手術後のいわゆる術後照射と言うのですが、手術をなさった患者さんと診察していて話すということは結構多いのですね。私自身も、内視鏡切除ですから侵襲としては少ないものの、その後、結構苦しみました。実は疼痛緩和薬を私がナースにお願いして出してもらったなどという経験もしたのですけれども、治療に伴う痛みの問題というのも重要だと思うのですね。
この辺、消化器外科の江口構成員、何か御意見なり、あるいは今までの議論に関して何かありましたら。
○江口構成員 ありがとうございます。江口でございます。
今、先生おっしゃったことと少し話を前に戻して恐縮なのですが、診断時からのがん緩和ケアということも含めてお話しさせていただきたいと思います。診断時にいろんな問題が、社会的な問題も含めて患者さんには渦巻くようなことが発生するということで、痛みがある方もありますし痛みがない方もあるし、私どものように、外科医としましては、まずは治療に集中もしたいというところも、正直なところ、ある。そのような中で、緩和ケアのことに、全ての医師、全ての看護師が注目すべきことであるのはもちろん事実ですが、加えて、少し冷静に治療以外のところからも見られるような専門職種、あるいは別人材のようなものがタッチするようなシステムをつくる、そういうのが日本に根づくこと、向かわせていくことが大事なのではないかなと。そういうことの一助になるようなこの会になったらいいなと思います。
具体的には、先ほどいろいろと、そういうクオリティを上げるために、監査、オーディットという方法もありますけれども、せっかく厚労省が中心としてやっているのですから、例えば初診時からのそういうことをすればいろんなインセンティブがつく、病院に要するに点数がつくとかそういうことを、今でも幾つかそういう制度があるとは思いますけれども、何が今足りないのか、このような制度、点数づけを、保険点数をつければ、長い目で見れば日本全体に普及していくということができればいいのかなと。締め上げるのではなくて、インセンティブをつけるという形にすれば、それは最終的には、先ほどから成果物という話も出ていましたけれども、成果物の一つとしてそういうのを発信するようなことができたらいいのではないかなあなんていうことを少し考えました。
以上でございます。
○中川座長 ありがとうございます。がん患者指導管理料という点数がありますが、結局これもイロハに分かれていて、イの場合には医師とナースがと。結局、江口構成員がおっしゃったように、例えばぎりぎり働いておられるような医師とナースがやるというのも、結局のところ、そこまで行き着かない。仮に診療報酬が上がったとしても、上がったほうがいいに決まっていますし、それは上げる検討はすべきだと思います。ただ、長期的な構造的な問題からすると、やはり日本の医療現場の中に多くの職種がいないということですね。
例えばボランティアなんかがその辺のつなぎをしてくれる、実はあの患者さん、すごくつらがっていますよとか、そういうことができるといいのですけれども、なかなかそうでもない。一方で、私自身も患者として経験しましたが、やはりなかなか主治医には申し上げにくいような気持ちもよく分かりました。この辺は、やはりアドボカシーというか、そういう面も重要なのかなあという気がしますし、その点、多職種という点では、本当に相談支援センターのようなところにいろんな方が来られていると思うのですね。
前田構成員、この多職種という点で何か御提案のようなものはありませんでしょうか。
○前田構成員 ありがとうございます。前田です。
1つは、いわゆるがん相談支援センター、各拠点には必ず設置されていて、フリーアクセスが保障されているものではありながら、参考資料のほうにも載っていますが、認知度が低いということと、利用者の方が少ないということがあります。ただ、一方で、全国の調査でなくて恐縮ですが、高知県が昨年1年間の県内全ての拠点のがん相談支援センターで受けた相談のうち、2番目に多かったのは緩和ケアに関することでありました。
ですから、主治医や外来の看護師さん、病棟の看護師さん、緩和ケアの専門チームからこぼれた相談が私どもにつながっていくことがありますので、そうした相談支援センターがいかに緩和ケアの領域で貢献できるかということを考えていきたいというのが1つと、あとは、小川構成員の御提案にもありました診断時からの緩和ケアのあり方を考えたときに、がん相談支援センターに関しては、本来は初診時にすべからく患者さんにはがん相談支援センターが案内されてつながるということにはなっておりますが、そこが十分機能しない部分もあると思います。
今日私が受けた相談の方も、緩和ケアという言葉そのものについても十分な理解がなく、そこが主治医から見放されるというイメージになっていて、緩和ケアの拒否感から私どものほうに来られますので、そういった不安をまず補って、患者さんが自発的に緩和ケアを活用できる、利用できるような入り口としての支援みたいなことを何かできることがないのかということを考えております。
あと、痛みのことに関しましては、社会的な苦痛の部分に関して、私たち福祉職の活用とか貢献というのが必要になってくると思います。ただ、社会福祉士、精神保健福祉士に関しては、院内で支援のほうにインセンティブが大きく働いていますので、なかなか実際に社会的苦痛に病院としてリソースは割けづらい状況があります。ですから、そこら辺についても議論ができればと考えております。
以上です。
○中川座長 ありがとうございました。
岸田構成員。
○岸田構成員 ありがとうございます。今、前田構成員がおっしゃったところ、やはり相談支援センターに様々な相談がいくと思うのですよね。患者さんからだったり、様々だと思います。今、その中で相談支援センターの職員の多くの方が兼任だと思っていて、そういったところの、ちゃんと患者さんに向き合えるリソースをぜひ確保してほしいなと思っています。
そんな中で、2つ議論に加えていただきたいなというものがあります。1つは、終末期の患者さんの治療といったところの要望で、それに対する医療者とのコミュニケーションで、患者さんはどうしても、標準治療がなくなってしまうと「あぁなんか見捨てられた」みたいな形で思われて、それで、科学的根拠がないがん治療を積極的に行っているクリニックなどに行かれる方というのは非常に多くいらっしゃると思います。そこにはやはり患者さんの精神的苦痛だったり、スピリチュアルペインといったところからも来るかと思っています。ACPの領域にも入るかもしれませんけれども、そういったところの精神的、肉体的、スピリチュアルといったところもどうやって取り除いていけるのか。それで、そういったところに流れないようにするためには、我々でどういった緩和ケアをしていくのが必要なのかといったところを議論させていただきたいということと、もう一つが、在宅での緩和ケア、特にAYA世代、若い世代についてどう考えるのかというところを皆さんと一緒に議論したいと思っています。
というのも、第3期のがん対策推進基本計画のところで、ライフステージに応じたがん対策のところで取り組むべき施策として、小児、AYA世代のがん患者に対する緩和ケア提供体制整備や在宅療養環境の整備などについて必要な施策を検討するということがあるのです。なので、そこで議論しないといつまでたっても進んでいかないと思っています。これが2018年にがん対策推進基本計画が策定されているとすると、もう4年間、これについてまだ触れられていないということになっていて、本当に患者としてはつらい気持ちになっていきます。
特にまた、AYA世代、自治体独自で在宅療養の支援とか補助とか行っているではないですか。例えば横浜だったり神戸だったり。こういったところの今の現状がどうなっているのかといったところをしっかり見定めて議論する必要があると思っています。なので、事務局の皆様にはお手を煩わせてしまうのですけれども、ぜひ次回の会議までに、ここの状況、日本全国の状況をちょっと調査していただいて、その議論を皆さんと一緒にできたらなということを思っております。
これが私からの要望です。以上です。
○中川座長 ありがとうございました。AYA世代のがん対策、AYA世代の緩和ケアというのもほかの世代と違うという側面はあると思います。この調査が次回までにできるかどうかというのはちょっと厳しいと個人的には思うのですが、ただ、次の基本計画の中でそれも重要な課題であると。それこそ妊孕性の消失なんていうのも緩和ケアの対象になり得る話だと思うのですよね。日本的な意味での緩和ケアということになりますが。その辺は提言するのはいいし、それをもっと上のレベルで調査の必要性があるというような書き方はあるだろうなとは思います。大変重要な御提言をいただいたと思います。ありがとうございました。
○岸田構成員 1点。もし全国的な調査が難しいということであれば、今やっているところだけでも、実情の電話ヒアリングだけでも構いませんので、何かそういった議論ができる種というか、そういったものがあればうれしいなということを思っております。
○中川座長 谷口構成員、島根で何かそのようなことって可能ですかね。
○谷口構成員 島根の状況は把握しておりますので、それは分かっております。ただ、一部、島根県も実は先ほどのAYA世代の福祉関係の施策とか、あと、AYA世代の人たちと話していてよく言われるのは、再予防接種の話を大分言われたりしているので、その辺の実態は多少聞いておりますので、知っている範囲であれば少し話はできると思います。
○中川座長 そうですね。次回までにできるかどうか分かりませんが、少し事務局とも相談していただいて、何かお話ししていただくチャンスがあったらいいかなという気がいたします。
○岸田構成員 ありがとうございます。
○中川座長 ちょっと予定の時間が迫っていまして、今までの中で随分整理されたと思います。基本的には、この資料の3-1と3-2を使って次回からの議論の議題設定をしていきたいと思います。次回については診断時の緩和ケアということが議題になると思いますけれども、随時そこは事務局ともお話しして議題の整理を進めていきたいと思います。
今までのところで何かほかに御発言いただくようなことはございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、特にないということですので、引き続きまして、儀賀参考人から、「緩和ケアとは何か」という御発表をお願いしたいと思います。儀賀参考人、よろしくお願いいたします。
○儀賀参考人 よろしくお願いします。川越の儀賀です。こんにちは。
御本人であったり、各分野のトップランナーたちの前で、緩和ケアとは何かと、しかも10分で話せというのは非常に厳しいミッションなのですが、私なりに、本当に私なりにというところをお話しさせていただければと思います。画面、共有させていただきます。よろしいでしょうか。
私は、基本、ベースは外科医です。呼吸器外科ですので、肺がんの患者さんを担当させていただくことが多いですけれども、現状では緩和ケアをメインに仕事をしていまして、そして、プラス、高等教育、専門教育以外に初等、中等教育のほうにもちょっと頑張って力を入れているという状況です。
その中でのお話をお届けしたいと思うのですが、まず、この原稿から読ませていただきます。脚本家の倉本聰さんが、コージというお友達が非常に苦しんで亡くなっていった、その経緯を踏まえて書かれた原稿の最後のほう、ちょっと読みます。
「四十数年前、富良野に移住を決意したとき、一番先に僕のしたことは、まちを歩いて病院の所在を確認したことである。まちの中央にさほど大きくない富良野協会病院という総合病院があった。それは都会で見るような近代的な大病院ではなく、恐らく設備や医療のレベルも最先端の都会のものに比べて何年か遅れたものだろうと思われたが、ここに移住を決意した以上、何年か遅れの医療の基準で命を終えればいいのだと覚悟した。今その病院は建て直されて、40年前とは比較にならない設備と医療を備えた新しいものに生まれ変わっている。だが、その病院で僕はコージの最後の日の苦しみに立ち会ったのである。それが僻地の病院だからとは僕は断じて思わない。それは医術の進歩とは関係ない、医学という一つの学問の中での思考の誤り、いわば哲学の欠如である気がする。そのことに僕は今悔しさと怒りをかみしめている」。
このように書かれています。医療者の立場からすると、こんなふうに書かれてしまいました。このことをベースにお話を進めていきますけれども、先生方はもちろん御存じだと思いますけれども、がん対策推進基本計画の中で緩和ケアというのはしっかり文字として明文化されてきました。第1期、第2期、そして第3期と進んできたのですが、これを見て、この第3期の図を見て、私、びっくりしました。すごいことが起きている。ある意味、感動しました。何が起きたか、私が何に感動したか、ちょっと皆さん、考えていただけますか。
戻ります。これが第1期ですね。もちろん先生方御存じだと思いますが。これが第2期です。そして、これが第3期です。緩和ケアが何と医療から飛び出しているのです。第1期、第2期は医療の中に入っていた。第3期は医療から飛び出したのですね。これはすごいことです。本当にすばらしいなと思いました。
何がすばらしいかというと、そもそも医療というのはどのように定義されているかということを調べてみますと、いろんな国語の辞典ですとか、世界百科事典ですとか、そしてウィキペディアですとか、このように書いてあります。青字にしてありますけれども、全部「治す」のです。治す、治す、回復させる、悪化を阻止する。維持、回復、促進なのです。医療は全てこのように定義される。もちろんこれは学術的な定義ではありませんけれども、例えばウィキペディアに書いてあるということは、何となくみんなそう思っているということの表れですよね。維持、回復、促進なのです。
だとすると、こういうもの(不治の病・死)は医療の対象ではないということになってしまうのですね。これはいかがなものか。さっきの定義をもう一度見ていただくと、そもそも人がいません。そこに人はいないのです。病気を治しているのですね。人はいないのです。これはやはりいかがなものかということで、恐らく、もちろん分かりませんけれども、それまでの医療へのアンチテーゼのような形のそういう力もちょっと働いてホスピス運動というのが少し盛り上がり、緩和ケアという言葉ができ上がり、概念ができ上がり、それを普及啓発していく、形としていくためには、緩和ケアを医療の中に取り込んできた。多分、これまでそういう方向できっちり緩和ケアを確立してきたということ自体は、業績を上げていますし、すばらしいことですし、これなしに今の状況はないと思うのです。
ただ、このケアというものを医療の言葉で語るということは非常に危険で、結果、こういうこと(死や死にゆく人をめぐるケアの医療化:安藤泰至 2012)が起きている。人の人生を医療の言葉で語るということは極めて本当は、ある一面からしか物事を見ないことになってしまうのですね。これは鳥取大学の安藤先生という先生のお言葉ですけれども、「死や死にゆく人をめぐるケアの医療化」と書いてありますが、これは、死や死にゆく人、死にゆく人というのはつまり今生きている人ですから、今生きている人をめぐるケアというものを医療の言葉で語ってしまうということに非常に厳しいものがあるのだということを安藤先生は御指摘されています。
学生の言葉です。医学生ではありません。一般の学生の言葉です。自分が調子悪かったのですね。「なぜ私がこんな目に、ずっとこんな状態だったらどうしよう、毎日がつらいなど、今まで元気に当たり前に行っていたことができなくなる不安や自分への怒り、その他様々な体形や外見の多少の変化にも敏感になって、数年前の自分の写真を見て悔しくなったり悲しくなったり」、次です。「これらの苦しみや気持ちはお医者さんが診察をして症状を説明されてお薬を出して、医療的に解決してくださる通常の一連の流れでは全く解決しないのです」。20代の女性にもこんなことを言われています。
緩和ケアはそもそもがんに限りません。後でお話ししますが、そもそも病気だけにも限らないと私は思っているのですけれども、今日はがんの部会ということなので、がんの治療というものを考えたときに、病気のことに着目するという柱と、その病とともに、つらさとともに歩んでいるあなたに着目するという、そういう2つの柱がともに大事だと思うのですね。両方大切だと思うのです。病のことに対応するというのは治療です。私もたまにはまだ手術にも入れてもらっていますけれども、各モダリティが非常に発達して、治療成績は物すごく、格段によくなっています。5年前とは比べものになりません。
一方で、でも、そのつらさとともに歩んでいる人にきっちり対応していくということが果たして十分でしょうかというのが多分突きつけられている問題だと思いますし、私はそれがきっと緩和ケアなのだと思います。なので、一般の人に、私、緩和ケアを説明するときにはこんなふうに言っています。
「私は、肺の専門家でも、肝臓の専門家でも、がんの専門家でも、けがの専門家でもありません。何なら、痛みの専門家でも、苦痛の専門家でも、そして、せん妄の専門家でもありません。あなたの専門家です」。そうすると結構、一般の方は、ああ、そうなのですねとちょっと聞いてくれたりするのですね。
そう考えると、がんだろうが、がんでなかろうが、けがだろうが、あるいは災害に遭った方であろうが、何らかのつらさとともに生きているその人を、その人の生きることをそっと支えるという、そういうケアというのを緩和ケアと呼んでもいいのではないかと私は思っています。
で、今写真に写っている、これは5年生の女の子ですけれども、この子が1年生のときに、お母さん、胃がんで亡くなっているのですね。お母さんの願いもあって、この子、時々私の外来にこうやって遊びに来ています。中学生になって、もう来ないかなあと思ったけど、まだ来ているのですね。なんかすごいことを話しているわけではありません。折り紙を教えてもらったり、最近はゲームでひたすら負けていますけれども、お母さんが亡くなった病院にずうっとこうやって遊びに来るこの子。でも、何かがきっとあるんだなあと。先ほど、遺族ケアのことについてのコメント、グリーフケアのコメントもどなたかからいただいていましたけれども、こういうことも含めて、何かしらのつらさとともに生きている人に対応する、それが多分緩和ケアなのではないかな。早期だからとか、ターミナルだからとか、そんなこと一切関係ないのではないかなと考えています。
これも同じ大学の生徒です。学生です。先ほどの倉本さんの原稿を読ませたのですね。その後、このように言っています。「思考の誤りとは、命とは何かというとても根源的で答えのないものに答えを出そうとしていること」。これはやはりサイエンスとして医療をやっている私たちは答えを求めますよね。どこかに正解があるのではないか、どこかにある正解にいち早くたどり着いて、それを適用していくそのことに一生懸命になります。でも、人が生きていくこと、命の問い、それに答えは多分本当はないはずなのですね。それを医療の言葉で解決しようとする、そこに多分大きなギャップが出ているのではないかなあと思います。
いや、がんのゲノム医療、これは究極の個別化だ、そのようにおっしゃる方がいます。でも、よく考えてください。これはがんという病気のキャラクターを説明する一つの道具が増えただけです。その人について個別化をしているわけではないのですね。まだまだ、だから、もちろん、治療が発達してがんを克服していくという方向にもっともっと進んでいただきたいと思いますけれども、遺伝子が解析できたからといって、その人を解析できたということにはならないのではないかなあと思います。
でも、実はいろんなのを調べたのですけれども、昭和23年に出ている医療法です。この中に、医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨としなさいと書いてあるのですね。もう昭和20年に言われています。個人の尊厳の保持を旨とせよ。何を今さらぎゃあぎゃあ言っているのだろうみたいな、多分、これをつくられた方は、私たちのこの状況を見たら、今の日本のこの状況を見たら、思われるかもしれません。もしかすると、ケアというのはするものではなくて、あるものなのではないかなと思うのです。
ちょっと寒いね。子供がふるえていたら、そっと毛布かけるではないですか。普通のことですよね。そういう何か、優しさというか、温かさというか、そういうものがあってもいいのではないかなあと考えました。
そんなこと言われても、医療の中ではなかなか難しいなというのが、正直、現場の医者の感覚ですけれども、多分、私たちに突きつけられている問いは、すること、何かをするやり方ではなくて、私たちのあり方なのではないかな。病気を治すということに一生懸命頑張っていく、これはもっと頑張らなければいけないけれども、そのつらさとともに生きている人にきっちり対応していくこと、そのことの重要性をきっちり認識して、私たち医療者がどのようにあるべきかということをもう一度再確認する、そのことによって緩和ケアがもしかしたら医療そのものを再構築していくことに寄与できるのではないかと思ったりしておりますが、でも、こういう温かい言葉(自分じゃない他人の生きるを助けたいと思って仕事をしている優しい方々が医者になっている:大学3年生)もかけてくれていますので、自信を持ってもいいのではないでしょうか。
以上です。お時間いただきましてありがとうございました。
○中川座長 儀賀参考人、ありがとうございました。すばらしいプレゼンだったと思います。皆さん、今の御発表について御意見、御質問ありますでしょうか。
前川構成員。
○前川構成員 前川です。
儀賀先生のお話を伺って、以前から、何だかもやもや、もやもやしていた気持ちがすごく、今すっと、すとんと胸に落ちたような気がします。儀賀先生のお話は、このがんの緩和ケア部会に課題と宿題をいただいたような気がします。がんと最初に診断されたときからの緩和ケアと言いますけれども、私もさっきから思っていたのですけれども、医師と患者というので、最初に初対面でがんですと伝えられたときから、医師と患者の間柄では先に進まないと思います。だから、人と人との関係ということでスタートすれば、緩和ケアというのがうまく進んでいくのではないかなあというふうに感想を抱きました。儀賀先生に本当に心から感謝申し上げます。
○中川座長 ありがとうございます。ほかに。
高野構成員のお考えにかなり近いですよね。Human based medicine。何か補足などありますか。
○高野構成員 儀賀先生、埼玉医大でちょっとだけ御一緒したことがあるのですけれども、こうやってお話を伺うのは初めてで、感動して伺っておりました。確かに私のヒューマン・ベイスト・メディスンと通じるものがあるなあというのを感じて、とても今感じ入っておりました。本当に前川さんのおっしゃったとおり、人と人との関係というのがベースにあって、ケアはするものでなく、もともとあるものだということですね。だから、ここの部会の目指すところも、先ほど私が発言したところとも重なりますけれども、自然な、もともとあるところの緩和ケア、それをいかに浸透させるかというか、文化として根づかせるかというところが1つなのではないか。だから、専門的な緩和ケアという視点も大事かとは思うのですけれども、それ以上に、この部会の目指すのは、1つはそこかなと今思って聞いておりました。ありがとうございます。
○中川座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
私、長く大学にいるのですけれども、最近の若い医者の中に、今、儀賀先生が言われたようなことが少し欠けてきているような感じはしますね。これはエビデンスはないのですけれども、何となく、ガイドラインとか、それこそエビデンスとかいうところに重きがあるような気がして、そういう意味では、このタイミングで緩和ケアに関する部会がこのような形で開かれる意義はあると思うし、それを若い医師を含めて医療者に適切な形でメッセージを出すということは大事かなという気はいたします。
さて、随分時間が、もう参っていますけれども、全体の議論を通して、何か追加の御発言等ありますか。個人的にはいろいろ非常にいいお話を聞けて、あるいは皆さんからもとても活発で適切なコメント等いただいて、よかったと思っています。
それでは、もし追加の御発言等ございませんようでしたら、本日は時間も迫っておりますので、ここまでとさせていただきます。
どうぞ。
○岸田構成員 ありがとうございます。最後に1つだけ。ここには緩和ケアの本当にプロフェッショナルな方たちが集っていらっしゃるかと思います。冒頭でこの部会をどれぐらいやるかといった話もあったと思うのですけれども、本当に一つでも何か施策、もしくは実臨床に何か影響あるようなことを一つでも多くするために、回数とかは、個人的には、患者としては、何回でもして、そしてできるだけ早く患者さんに届けられればということを思っております。その言葉だけ少し。皆さん忙しいと思いますが、ぜひ患者さんのために、御家族であったり、人と人の緩和ケアのために御協力いただければと思います。
すみません。よろしくお願いします。
○中川座長 皆さん、どうお考えですかね。必要な回数はやらざるを得ないと思います。大変貴重な御指摘だと思います。ほかにございませんか。
それでは、事務局から連絡事項などありますでしょうか。
○がん対策推進官 ありがとうございました。
次回の開催につきましては、また追って御連絡をさせていただきます。また、本日、もし十分に意見が間に合わなかった等ございましたら、事務局のほうにお送りいただければ承らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議を終了とさせていただきます。構成員の皆様方、長時間にわたりまして、誠にありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線4604)

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