厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)6月1日(火) 16時00分~

場所

厚生労働省 職業安定局第1・2会議室
千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 12階

出席者

  • 阿部 正浩
  • 安藤 至大
  • 大久保 幸夫
  • 鎌田 耕一(座長)
  • 武田洋子
  • 中田 るみ子
  • 山川 隆一

議題

  1. (1)個別の論点等について検討(公開)
  2. (2)その他(公開)

議事

議事内容
○事務局 それでは、定刻となりましたので「第14回労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」を開催いたします。皆様、本日は御多忙のところを御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は個別の論点のうち求人情報の的確性、個人情報の保護について委員の皆様に御議論いただきたいと思いますが、個人情報の保護につきましては有識者の方を交えて御議論いただきたいと考えております。
 では、以後の議事進行を鎌田座長にお願いします。それでは、よろしくお願いいたします。
 
○鎌田座長 それでは、資料について事務局から説明をお願いします。
○事務局 「個別の論点等について(2)」という資料を御覧ください。情報の的確性についての資料を御用意させていただきました。
 情報の的確性ということで「議論の整理」では、「事業形態によらず、雇用仲介サービスを行う者が信頼できる情報を提供する責任は大きい。」「同時に、求人者が募集情報を的確に作成・表示する責任についても考えるべき。」「情報の転載やクローリングを事業として行う中で、最新でない情報や、問題となり得る募集情報が除去される仕組みを備えるべき。」「課金情報を優位に取り扱うビジネスの中で課金した者の情報と、それ以外の検索結果が分けて表示されるようにするべきではないか。」とされております。
 職業安定法第5条の3第1項においては、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者は、それぞれ職業紹介、労働者の募集に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと、労働条件の明示について定めております。
 第2項では、求人者は求人の申込みに当たり、職業紹介事業者に対し、求職者が従事すべき業務の内容及び賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、としております。また、第3項は平成29年の職業安定法改正で設けられた条文ですが、求人者、労働者の募集を行う者は、それぞれ、求人の申込みをした職業紹介事業者の紹介による求職者、募集に応じて労働者になろうとする者と労働契約を締結する場合であって、賃金、労働時間その他の労働条件を変更する場合、当該変更する従事すべき業務の内容等その他厚生労働省令で定める事項を明示しなければならないとして、労働条件の変更があった場合の明示を定めています。
 労働条件の明示で具体的に明示すべき事項について職業安定法施行規則第4条の2第1項と労働省告示第141号において定めております。労働者が従事すべき業務の内容に関する事項、労働契約の期間に関する事項、試みの使用期間に関する事項、就業の場所に関する事項、始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項、賃金の額に関する事項、また健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険、雇用保険の適用に関する事項、労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項、労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨、就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項が、明示する事項として定められております。
 明示すべき時点ですが、原則として、求職者等と最初に接触する時点までに従事すべき業務の内容等を明示するということで、面接、メール、電話などにより、職業紹介事業者や求人企業と求職者の間で意思疎通が発生する時点と定めております。また、従事すべき業務の内容等の事項の一部をやむを得ず別途明示するときは、その旨を併せて明示するということになっております。
 先ほど条文の第3項で申し上げましたけれども、労働条件の明示に係る平成29年の職業安定法改正事項として、求職者等が、労働契約の締結の前に、当該契約の中に、職業紹介・募集広告で示された労働条件と異なる内容が含まれていないかどうかを確認できるよう、求人者等に新たな明示義務が課されております。職業紹介・募集時の労働条件の明示があり、最終的な労働基準法に基づく労働条件の明示が行われる前に労働条件の変更があった場合については、契約締結の前に新たな明示を義務付けています。例示を御参照いただければと思います。
 次に、募集内容の的確な表示が職業安定法第42条に定められております。募集受託者を含む労働者の募集を行う者が、先ほどの第5条の3第1項の規定により労働条件の明示をする際は、募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等、その的確な表示に努めなければならないとされております。
 第1項の後段ですが、この場合において、募集を行う者が募集情報等提供事業を行う者をして労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者に提供させるときは、募集情報等提供事業を行う者に対し、必要な協力を求めるよう努めなければならない、とされています。第2項で、募集情報提供事業を行う者についても、募集情報の提供依頼を受けた場合に、その情報が的確に表示されたものとなるよう、当該依頼をした者に対し、必要な協力を行うように努めなければならないとしています。条文上は、労働者の募集を行う者等に対しまして、募集内容の的確な表示を努力義務として定めているものです。
 その上で、労働省告示の平成11年第141号の第3の2において、募集情報等提供事業者に対して、一定の情報の取扱いに係る対応を求めています。(一)のイ・ロ・ハに該当すると認める場合は、募集情報を変更するよう労働者の募集を行う者等に依頼するとともに、依頼に応じない場合には募集情報を提供しないこととする等、適切に対応することと定めております。イは、公衆衛生又は公衆道徳上の有害な業務に就かせる目的の募集情報、ロは、その内容が法令に違反する募集情報、ハは、実際の従事すべき業務の内容等と相違する内容を含む募集情報です。
 (二)では、募集情報等提供事業を行う者は、募集情報が(一)のイ・ロ・ハのいずれかに該当するおそれがあると認めるときは、募集を行う者等に対して該当するかどうかの確認をしてくださいとしています。
 (三)では、募集情報等提供事業を行う者については、労働者の募集を行う者等の承諾を得ることなく募集情報を改変して提供してはならないと定められています。
 表でも整理していますが、労働条件等の明示の義務の関係については、その労働条件を最終的に用いる者に義務がかかっており、職業紹介事業者、労働者募集を行う者、求人者に対して、義務がかかっています。
 一方、募集情報等提供事業者と労働者の募集を行う者に対しては、募集内容の的確な表示の努力義務がかかっています。
求職者ヒアリングを行ったときの求職者の方からのコメントも御紹介します。「いろいろな情報が溢れているために何が真実で、何が誇大広告か分からないという不安もあった。」「採用ツールに依存するのではなく、本当に信頼できる一社に出会うまでは複眼的に見ていく必要があるのではないか。」「事業形態によらず、雇用仲介サービスを行う者が信頼できる情報を提供する責任は大きい。」「労働条件・業務内容・職階・報酬について、求人企業と求職者の間で擦り合わせができていない点があるのではないか。」という御意見がありました。
 もう一点、情報の的確性の観点では、ハローワーク公開求人のトラブル事例ということで、転載先サイトにおいて、すでに充足しており無効な求人情報が削除されないという事例がありました。
 また、令和元年度に大きく報道された事例として、ハローワークに求人を申し込んだ中小企業を狙って「無料掲載期間」と勧誘し、その期間終了後に「有料契約」に自動的に契約が更新されて、高額な掲載料を要求されるというような事例もありましたので、御参考として、記載させていただいております。厚生労働省においては、ハローワークインターネットサービスのサイトポリシーを定めて、こうしたトラブルが存在するということを周知した上で、留意していただくように利用者に対して働き掛けております。
 情報の的確性に関しまして、事務局からの提出資料は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田座長 ただいまの説明に対し、御質問、御意見を頂きたいと思います。情報の的確性について説明いただいた部分について、いかがでしょうか。
○安藤委員 情報の的確性を求めるという点について明示すべき事項があるというのは当然のことだと感じております。ただ、この中で、ある種、軽重と言いますか、性質が幾つかに分かれるのかなと思ってお話を聞いていました。
 と申しますのも、職務給型というか、ある程度仕事内容が先に決まっていてポストに就く、賃金があらかじめ決まっているというタイプの採用の場合と、職能給的な、人を採用して、その人にどういう仕事をやってもらうのかを考えるタイプでは、賃金に関する事項をあらかじめ明確に示すことができるのかどうかというところで、差異があるのではないかと感じております。
 この中で、例えば就業の場所であったり、受動喫煙の話であったり、幾つかのことについては、あらかじめ明確にできそうだし、しかし、その中の幾つかは、特に業務の内容なども含めて、入口の業務については説明できたとしても、配置転換の可能性があったら、その先については説明できないという感じのものもあると思います。明示すべき事項というのが、何については絶対に明示しなければいけなくて、最後にも書いてありますが、やむを得ず別途明示する、又は当初はこれだけれども契約後に変わっていく可能性があるというようなことを、少し分けて考える必要があるのかなと感じております。この辺りについては、特に大学などで働いていると、求人公募情報には、主として担当する講義科目が書いてあるのですが、それ以外については「ほかの科目も担当することがある」であったり、「校務についても積極的な参加を求める」とか、ふんわりしたことがいろいろと書いてあったりするのです。それもある種、仕方がないところもあるのかなと感じておりますので、募集の段階で明示すべき事項について、どの部分が必須で、どういう場合にこの部分は明示しなくて良いというのは、どの程度まで許されるのか、この辺りを考えていくのかなと感じました。
 
○鎌田座長 募集段階では業務の内容と言っても、かなりざっくりと書かれているケースが多いのかなとは思います。あと、労働条件、賃金だとか各種保険というものは、就業規則で明示されることが多いのですが、ここでは職業安定法ですから、当初の労働条件明示ということで、就業規則の問題とはちょっと違って、求人票等のレベルの話ということになるのでしょうかね。そうすると、求人票等でどこまで詳しく書くかというのはあるのかなという気がします。
 
○阿部委員 内容的には御説明いただいたとおりと思いますが、ちょっとだけ気になる点が、7ページの「求職者ヒアリングの概要」という所なのですが、この求職者ヒアリングは私も参加していましたので、こういうことをおっしゃっていたということは理解できるのですが、ただ、ここに書いてある「求人企業と求職者の間で摺り合わせができていない点があるのではないかと感じた」というのは、このヒアリングの方がおっしゃった話で、一般論として、これが通用するものなのかは分からないので、取扱いは少し気を付けたほうがよいのではないかと思います。
 私は、いろいろな募集情報等提供事業者ですとか、職業紹介事業者の営業の方からお話を聞いたりすることがあるのですが、そこでよく言われることは、求人企業のほうが正確に情報を出してくれないこともあると。むしろ、職業紹介事業者とか、募集情報等提供事業者のほうは、正しく情報を伝えなければ法的に問題が生じるので、できる限り事業者とのやり取りはやっているという話をよく聞いているので、もう少し、この辺りは事業者のほうからの情報を得たほうがいいのかなという気がします。
 
○大久保委員 募集情報の的確性に関するところは、求人する企業に対して的確な情報を求めることと、職業紹介事業者に対して求めるものと、募集情報等提供事業者に対して求めるものと、新形態事業者に求めるものと、それぞれにどういう基準を求めるかが異なるのかもしれません。
 もともと新聞の三行広告のように委細面談としか書いていないものから、業界団体が旗を振って、正確な募集情報の必要項目を明示するということに対して、努力をして進化されてきたところですので、募集情報等提供事業者に関して言えば、この情報の的確性においては非常に努力しているところだと思います。
 もちろん一部には、そうではなくて、トラブル事例にあるような詐欺を働いている所が例外的にはあるのですけれども、業界の主なプレイヤーについて言えば、この募集情報の的確性のところに関しては、かなり頑張っているのではないかなというように思います。
 そういう中で、直接求人者とやり取りをして情報を編集したりする会社においては、求人企業の側に、より正確な表記で求人情報を発信できるように、働き掛けを行っていると思います。そういうことがあるので、業界団体のヒアリングでは、まずは求人者にきちんとした情報を出してほしいという声が出てくるのだろうと思います。
 前回の職業安定法改正のときにも議論になったのは、求人者が提供した情報に対して、編集、加工するときに意図的に改変したときに、そこには重い責任があるということです。そしてまた、実際に提供した求人情報が曖昧であったり、書いている内容と事実が一致していないというクレームが求職者から入ったときに、そういうときのやり取りをしっかりと受け止めて、求人者に確認をしたり、必要な変更手続きをするというようなクレーム処理が論点なのかなと思っています。
 もう1つ新形態のところでいくと、クローリングをして提供しているような事業者については、もともと求人企業とやり取りをしておらず、既に公開されている求人票を機械的に集めてきていますので、一個一個の情報が正しいかどうかということを確認することは難しいのですが、その代わりに情報が古いままで出ているということがないように、しっかりと最新情報に更新するということを、テクノロジーを使いながらやっていくというところに重きを置いて、情報の的確性について努力をしているのだろうというように思います。
 
○山川委員 労働条件の明示と的確な表示について、幾つか、この規定の適用につき、直接言及されていないところがあります。多分、労働条件の明示と的確な表示というのが、やや次元の異なったものとして位置付けられているような感じがあります。
 募集情報等提供事業者については、求職者との関係が、先ほど大久保委員がおっしゃったことと少し関わりがあります。求人者の提供した情報をどうするかというお話が多かったのですが、その点も含めて、募集情報等提供事業者と求職者との関係については直接言及した規定がないのではないかと。それはどういう哲学に基づいて、この第42条ができたのかというところにも関わるのかなと思います。
 もう1つは、阿部委員から御指摘のあったところですけれども、求人者と募集情報等提供事業者との、求職者から見れば内部関係とでも言うのでしょうか、事業者間、言わB to Bの関係については現在のところ、的確な表示という観点からの協力と協力要請の努力義務という現状になっているということかと思います。新形態のビジネスについては、こうした現状をどう考えていくかというようなことが、各関係ごとに現行の規定を整理して、もし必要があれば検討を加えるということになるのかなと思います。
 
○鎌田座長 今、山川委員から、第42条の構造に即して御説明いただきました。まず、山川委員は「第42条の哲学」とおっしゃいましたが、第42条の目的、哲学との関連でおっしゃったのかと思いますけれども、第一に、私も第42条を見ていて感じたのは、基本的には的確性というものを考える場合に、第一義的には求人者がしっかりと責任を負うべきであるということだと、それはそのとおりだと思っています。ただ、直接求職者との関係で情報を提供するのは募集情報等提供事業ということであり、この募集情報等提供事業の位置付けと責任をどう考えるかというのは、山川委員がおっしゃったように、必ずしも第42条では表現されていないのではないか、欠落があるのではないかというような御趣旨の発言だったのではないかと思います。
 それは私も同じように感じておりまして、第一義的には求人者の責任であるということは言うとおりでありますが、一方で募集情報等提供事業に関して言うと、何よりも求職者との関係で言うと、直接に情報提供するわけですから、その的確性についても、ある程度の責任は負うのかなと思って見ると、第42条の構造というのは若干分かりづらい。第42条第1項は、求人者が的確な表示をするためには、募集情報等提供事業に必要な協力を求めるという格好になっていて、つまり、求人者目線なのです。第2項では、募集情報等提供事業がどのような位置付けになるかと言うと、求人者が協力を求めたらそれに協力しなければいけないという形なのです。つまり、求職者との関係の責任というのは出てこないのです。
 一方で、厚生労働省の告示の平成11年第141号を見ますと、募集情報等提供事業を行う者については、イ、ロ、ハに関しては一定の的確性と言うか、適切な情報提供ということが求められています。このように考えますと、第42条は求人者についての的確性の担保をしっかりやりなさいということで、それはそれでいいと思うのですが、募集情報等提供事業は直接求職者に対しての的確性ということも考えておく必要もあるのではないかと考えております。

○山川委員 私も鎌田先生と同じような感じを持っています。募集情報等提供事業者と求職者との関係について、恐らくは求人者が労働条件の明示等をするという中で考えてきたので、規定がないのかなという感じもするのですが、実務的には現在でも非常にいろいろな努力をされていると思いますので、この点について何か検討するということは考えられるのかなと思います。
 この第42条というのが、ある意味で非常に分かりにくいことになっているのは、鎌田先生が、基本的には労働条件の明示とか表示というのは、求人者が行うものとなっているとおっしゃったのですが、私の表現で言えば、ある種の哲学のようなものかなという感じもしますけれども、協力要請と協力の努力義務ということになっている現行の規定を実態に即して考えるということはあり得るのかなと思った次第です。一読して、なかなか趣旨がつかめないというのが直感です。
 ただ、的確な表示というものをどのように考えるかということについて、例えばこれに罰則を付けるというのは、少しそぐわないように思います。的確とは何かという問題がありますので、第42条の規定の効果を一体どのようなものと考えるかということによっても、枠組みというか、対応の在り方は変わってくるのかなと思いました。
 
○鎌田座長 今、山川委員から「効果という側面も考える必要があるのではないか」という御意見がありましたが、誠に私もそう思っております。また、的確性をどう捉えるかということについては、そう一義的に明確にはならないということもありますので、罰則をもって担保するようなことは難しいかなというように思っております。
 ただ、先ほど少し話題になった誇大広告、あるいは情報の最新化ということも、大久保委員から御指摘いただいたように、新しいサービス形態や事業形態も含めると、的確性、情報の不適切性ということを含めて、効果も考えていくのかなと思っております。
 おそらく実務においては、実際に募集情報等提供事業の皆さんは、的確性には相当神経を使ってやっておられると思うので、それほど問題はないのかなと思います。ただ、募集情報等提供事業者としての一定の責務と言いますか、そういったものは自覚してくださいというようなことになるのかなと、私は思っております。
 
○山川委員 1点だけ追加します。先ほど大久保委員が言われた新形態で、特に、いわゆるアグリゲーターと言いますか、ネット上にある情報をまとめるという場合には、先ほどの私の図あるいは第42条で、協力するとか協力を要請するとか、その前提である現行の募集情報等提供の定義自体に、依頼がないということで入ってこない訳です。その辺りの検討は形態に応じて考えることが必要ではないかと思います。
○鎌田座長 誠に、そのとおりだと思います。
 
○武田委員 山川先生が大変詳しく解説してくださり理解が深まりました。どうもありがとうございます。
 まず、何を的確性と考えるかが非常に重要と思います。もう1つ、見方を少し変えますと、雇用仲介サービス間でそうした違いがあることを求職者は分かってサービスを利用しているのか。違いが分かっていない場合に、どのようにその違いを伝えていけばいいのかという論点もあります。第42条をどう解釈するか、何を的確性と考えるのかが一番大切と思いますが、その上で、違いがあることを求職者にはどのようにして理解を深めてもらえばいいのかも、別の視点ではありますが、一つ重要な論点と思いますので、意見として申し述べたいと思います。
 
○大久保委員 先ほど山川先生が御指摘になったとおり、募集情報等提供事業者と求職者の関係については具体的に書き込みがないのですが、募集情報等提供事業者は、基本的には個別の求人者と直接やり取りをしているわけではなく、広くメディアを使って広報していることになります。ただし、募集情報の的確性に疑義があるときについては、求職者に対しては必ず窓口を設定して、そこに問合せをすれば求人者等に確認を取った上で、もし情報に的確でないものがあれば修正をしたりという対応をするわけです。そこは募集情報等提供事業者が果たす役割だと思っていて、そこを事業者はとても大事にしてやっているところです。逆に言うと、それを全く表現されないのが、分かりにくくなっていることの1つかなと思います。
 
○鎌田座長 それでは、情報の的確性の議論については、この程度にしたいと思います。
 続いて、2つ目のテーマである個人情報の保護について議論を移したいと思います。今回は、個人情報の専門家として、明治学院大学法学部の河野准教授にお越しいただいています。お忙しいところありがとうございます。
 他国の労働法制における個人情報の保護について御紹介いただき、その後の議論にも御参加いただきます。お忙しいところを御出席いただき、ありがとうございます。改めて御礼申し上げます。それでは、まず事務局から現行の制度についての説明をお願いいたします。
 
○事務局 まず、「議論の整理」に書かせていただいております内容については、「日本の労働市場の特性と既存の法制度を踏まえて個人情報の保護の在り方を検討するべき。」「本人同意の在り方について検討し、同意の取得に際して求められるべき規約や手法などを示すことで適正化を図っていくことも考えるべき。」「利用の対象となる個人情報と、利用目的について、本人の意に沿う形とすることが重要。」「個人の秘密など第三者に提供すべきでない性質の個人情報の保護について検討するべき。」この4点です。
 現行の職業安定法の第4条第11項において、「個人情報」の定義が書かれております。「この法律において、「個人情報」とは、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」と、規定されております。この前提で第5条の4と第51条において、個人情報の保護等に係る規定が置かれております。
 先んじて申し上げておきますと、この第5条の4及び第51条については、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者については当該規定に基づく対応が必要となります。つまり、この規定の対象者となりますが、募集情報提供事業者は当該規定の対象とはなっておりませんので、それを前提にお話させていただきます。職業紹介事業者などについては、「労働者の個人情報を収集し、保管し、または使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合、その他正当な事由がある場合は、この限りではない」とされています。第5条の4第2項で、先ほど申し上げましたように、公共職業安定所等と書いており、この「等」の中には募集情報等提供事業者は入っていないのですが、「求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない」とされております。
 また、第51条において、「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者などについては、その代理人等も含め、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らしてはならない」としております。第2項において、「職業紹介事業者等は、前項の秘密のほか、その業務に関し、知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない」という形で、情報の秘密及び個人情報の保護を図っています。
 職業安定法と個人情報保護法の違いということで、簡単ですがお示ししております。個人情報等の収集については、職業安定法は先ほど読み上げましたが、「業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集しなければならない」という規定が置かれております。また、その収集の手段については、当該規定のかかっている職業紹介事業者や求人企業は、本人から直接収集する、本人同意の下で本人以外から収集する、本人が公表した情報から収集するなど、適法かつ公正な手段によらなければならないということが指針上で定められています。
 一方で、個人情報保護法においては、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならないとされており、あらかじめ利用目的を公表することになっておりますが、利用目的を公表していない場合は、利用目的を通知又は公表する必要があるとされており、収集に当たって、本人の同意は不要となっております。
 続きまして、当該個人情報を第三者に提供する場合の規定振りです。職業安定法については先ほどと同じ条文ですが、業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を使用しなければならないと書いてあります。併せて、先ほどの第51条ですが、「正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。」また、「秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならない」と規定されております。
 一方、個人情報保護法においては、第三者への提供について、原則、本人同意が必要となっております。ただし、以下の場合は同意が不要というのが幾つか規定されておりますが、提供先の氏名又は名称や住所、代表者氏名、提供を利用目的とすること等々、こういう情報を個人情報保護委員会に届け出た場合には同意は不要となっております。いわゆる、これはオプトアウトとして規定されているものです。
 配慮すべき情報に関して、職業安定法と個人情報保護法についての違いです。職業安定法については指針において、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び、信条、労働組合の加入状況について、職業紹介事業者や求人企業は、今申し上げましたような個人情報を収集してはならないと指針に書かれております。ただ、その下に「ただし書き」があり、「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない」という規定になっております。
 一方、個人情報保護法ですが、「要配慮個人情報」という形で、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実などについては、要配慮個人情報と、法律上定められております。この要配慮個人情報について、取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはいけないとしています。こちらについては、先ほど申し上げましたオプトアウトの規定がありませんので、オプトアウトによる第三者提供はできないという規定になっております。
 「募集情報と提供事業の適正化」については最初の当研究会のときに御説明申し上げましたが、就活生の「内定辞退可能性」を推定し、本人の同意なしに募集企業に対して販売していたサービスを受け、厚生労働省からサービス提供事業者等に対し職業安定法に基づく指導を行うとともに、業界団体に対しまして募集情報等提供事業の適正な運営を要請しております。業界団体への要請の内容については、「(1)募集情報等提供事業としての事業範囲については、個人情報の選別又は加工を行うことは認められないので、加工等を行った場合は職業紹介事業に該当する」ということを言った上で、「(3)本人の同意なく、あるいは仮に同意があったとしても、同意を余儀なくされた状態で、学生等の他社を含めた就職活動に関する状況等を本人が与り知らぬという形で、合否決定前に募集企業に提供することは、就活生の立場を弱め、不安を惹起し、就職活動を萎縮させるなど、就職活動に不利にはたらくおそれが高く、今後行わないようにすること」として、対応を求めています。
 また、「(2)個人情報を取り扱う場合には、職業安定法及びその指針に基づき適切に対応すること」を求めています。事務局からの資料の説明は以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。続いて、河野先生から御説明を頂きたいと思います。お願いいたします。
○明治学院大学法学部河野奈月准教授 明治学院大学の河野と申します。本日はこのような場でお話する貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私からは採用時の調査に関して、アメリカ、フランスの規制について情報提供をさせていただければと思います。話の順序ですけれども、まず、各国の規制の全体像について簡単にお話しました上で、その後、一般法との関係と、それから本人の同意の位置付けという切り口から、情報収集規制の特色を整理してみたいと思います。最後に、プロファイリング規制について簡単にお話する予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、各国の規制の概要の所ですけれども、アメリカのほうからお話いたします。アメリカでは採用時の調査というのが、原則として使用者の自由に委ねられております。アメリカでは私人間での個人情報の流通の自由というのが重視されており、民間部門一般、あるいは労働関係全般を適用対象とする連邦レベルでの個人データ保護法制というものはありません。
 また、個人のプライバシーを侵害する行為というのは不法行為責任を生じさせることがありますが、採用の局面では、そもそも応募者にプライバシーの合理的期待がない、あるいは調査について正当な業務上の必要性があるなどの理由で、採用時の調査がプライバシーを侵害し、不法行為に当たると認められることはほとんどないと考えられております。このように原則は調査自由ということですけれども、情報の内容とか、情報収集手段によっては、採用時の調査を制限する制定法が連邦レベルであるとか、州レベルで設けられております。その結果として、採用の局面での使用者の調査をめぐる規制というのはパッチワークの様相を呈しておりまして、その内容というのが非常に複雑になっているのですけれども、ここでは時間の関係もありますので、連邦法と州法のそれぞれについて、採用時の調査を制限する規制の一部を御紹介したいと思います。
まず、特定の内容の情報について、雇用の局面での調査を制限する連邦法の代表例として、レジュメに掲げましたADA、これは「障害を持つアメリカ人法」の略称です。それからGINA、こちらは「遺伝情報差別禁止法」というものになりますが、この2つがあります。これらは基本的には労働関係における障害者差別、それから遺伝子差別をそれぞれ禁止しているものですけれども、併せて、使用者等による健康情報の収集、それから遺伝情報の収集という行為を各々禁止しております。
 順番に見ていきますと、初めに挙げたADA障害者差別禁止法ですけれども、こちらは障害に基づく差別を、採用差別を含めて禁止しているのですが、障害者差別を防止するためには、使用者にそもそも健康情報を把握させないことが必要であると、そのような考え方に立ち、使用者等による健康情報の収集を明文で制限しております。具体的に制限の対象とされている行為は、雇用の局面で障害に関する調査を行うこと、健康診断を要求すること、この2つですけれども、制限の強度というのが労働関係の局面に応じて異なっています。採用の局面では、採用決定前の段階で、これらの行為、つまり障害に関する調査あるいは健康診断を行うことは全面的に禁止されております。
 これに対して、応募者の採用決定の段階に至った場合には、職務を開始する前の段階であれば採用決定者全員を対象とすること、それから収集した情報について機密保持のための一定の措置を取ることという2つの条件を満たす限り、これらの行為、すなわち障害に関する調査、それから健康診断を自由に行うことができます。こちらがADAの基本的な内容です。
 2つ目にGINAを挙げておりますけれども、こちらは採用を含む労働関係全体を通じて遺伝情報に基づく差別、遺伝子差別を制限すると同時に、遺伝子差別の防止とプライバシー保護を目的に、遺伝情報の収集自体をかなり厳格に制限しております。調査が例外的に認められる場面というのは限定されており、特に採用の際に、遺伝情報の収集が許される場面というのは、ほぼないという状況にあります。
 州によっては、これら以外の類型の情報についても採用時の調査を制限する規制を設けております。この対象となる情報は州によって非常に様々ですけれども、比較的よく見られるものを挙げています。犯罪歴とか信用情報、それからソーシャルメディア(SNS)の情報、具体的にはIDやパスワードを対象とするものが多いのですが、これらの収集を制限する立法が比較的よく見られます。以上がアメリカです。
 続いて、フランスの紹介に入ります。
 アメリカとは異なり、フランスには民間部門にも適用される一般的な個人データ保護法、具体的には、「情報処理、ファイル及び自由に関する法律」、略して「情報処理と自由法」と呼ばれるものがあります。この法律の制定自体はヨーロッパの中でも古く、1978年に遡るのですが、その内容はEUのデータ保護法制の誕生あるいは展開に合わせて改正されています。現行法には、2018年に施行されたEUの一般データ保護規則、GDPRの内容が取り込まれております。雇用の局面で労働者の個人データを取り扱うという行為は、まず「情報処理と自由法」による制限を受けることになります。
 これに加えて、フランスの労働法典の中には、労働関係における個人情報の取扱全般を制限する実態的あるいは手続的な規制が置かれております。この基本的な枠組みは1992年の労働法典の改正の際に形成されたもので、これは後で整理しますが、先ほどの「情報処理と自由法」の定める原則というものを雇用の局面、具体的には採用の局面と採用後の局面に分けているのですけれども、それぞれの局面に当てはめて具体化したものとしての側面を持っています。
具体的な規制を見ていきますと、まず、採用の局面に関しては、第一に、情報収集の目的の制限で、提示されたポストに就く能力あるいは適格性の評価に目的を限らなければいけないということです。第二に、情報の内容の制限で、収集される情報の内容は、ポスト又は適格性との間に、直接かつ必要な関連性が認められなければいけないという規定になっています。どのような場合に、これらの要件が満たされるのか、あるいは満たされないのかについては、通達やガイドラインを通じて一定の指針が示されております。例えば、家族に関する情報とか仕事以外の関心事、それから社会保障番号などは通常この要件を満たさず、使用者が採用時に収集することは許されないと考えられています。更に1ページの最後の行ですが、特定の類型の情報については、採用を含む労働関係において、使用者による収集を一切禁止する内容の特則、これは労働法典に明文の規定があるものもあれば、判例法理にとどまる場合もあるのですが、こういう内容の特則が設けられております。具体的には健康情報、組合所属・組合活動に関する情報、それから妊娠情報がこれに当たります。
 応募者などの個人情報を収集する手段につきましては、労働法上、本人と社会経済委員会という従業員代表に事前に通知することが義務付けられています。ですので、採用時に、例えば過去の勤務先に紹介する、あるいは面接室での言動を録音するというようなことを、本人や従業員代表に知らせずに実施することは許されないということになります。
 最後に、その他ですが、特定の類型の情報や特定の情報収集手段の利用につきましては「情報処理と自由法」と労働法典以外の法律によって規律されていることもあります。例えば遺伝情報につきましては、雇用の局面かどうかを問わず、医学目的以外での遺伝子検査の実施というのが厳格に制限されているのですけれども、こちらは民法典に規定がありまして、このルールが適用されることになります。
 以上の概要を踏まえて、2つの切り口から両者を比較してみたいと思います。最初に、一般法との関係という切り口から、この労働者の個人情報の取扱いをめぐる規制の特色を整理したいと思います。
 まず、アメリカですが、既に見たようにアメリカには民間部門に適用される一般的なデータ保護法制はないので、個人情報の取扱いは原則として自由となっています。労働関係でも特別な規制がない限り、使用者は応募者、労働者の個人情報を自由に収集することができます。例外として設けられている特別な規制には様々なものがあるのですけれども、規制の趣旨目的に着目すると、プライバシー、つまり情報を秘匿する利益の保護を目的に雇用関係における情報収集を制限するというタイプは少数派であり、ほとんどのものは雇用差別を防止することを目的とする。つまり差別禁止事由に基づいて採用拒否がなされる事態を防ぐ、それを目的として情報収集を制限するというタイプのものになります。これがアメリカ法の特色です。
 これに対して、フランスの場合ですけれども、フランスには先ほど見たように、労働法典の中に労働者の個人情報の取扱いに関する一連の規制があります。これらの規制は「情報処理と自由法」というデータ保護法制が定める様々な基本原則、例えば目的の正当性とか比例原則、あるいは手続的規制といったものを、採用という局面に即して具体化したものという位置付けを持っております。ただし、労働法上の規制は単にデータ保護法制の抽象的な原則を具体化するというものにとどまるものではありません。
 幾つか御紹介しますと、「情報処理と自由法」が適用される行為は、個人データの自動処理が中心であり、それ以外の行為については、その一部のみが適用対象とされるにとどまっているのですけれども、労働法典の適用対象となる行為は、それよりも広く、例えば口頭で質問する行為とか、あるいは過去の勤務先に電話で紹介して情報収集するといった行為を含め、応募者の個人情報を収集する行為全般が広く制限されています。
 もう一つは、個人情報の取扱いについて、一定の場合に従業員代表への事前通知を義務付けるという仕組みも労働法独自のものです。さらに、労働法典の情報収集規制には、違反した場合の効果の面でも特色があります。つまり使用者による情報収集が目的の要件や、情報の内容に関する要件を満たしているかということは、労働者が質問などに対して誠実に回答する義務を負うかどうかということに直結しております。使用者による情報収集がこれらの要件を満たさない場合、例えば直接かつ必要な関連性を有しない情報について質問したという場合には、労働者は虚偽の回答をすることが許されています。このことを指して、嘘をつく権利が認められていると言われることがあります。この場合、採用後に経歴詐称が発覚したとしても使用者はそのことを理由に解雇や懲戒処分などの不利益な取扱いをすることはできないことになっています。
 このように、フランスの労働法上の規制というのは、データ保護法制の定める原則を具体化するとともに、一部強化するものということになりますけれども、一般法としてのデータ保護法制は、使用者などが利用し得る情報収集手段の選択肢を狭めるという意味で、それ自体が重要な機能を果しています。
 少し補足いたしますと、アメリカでは使用者等を名宛人とする情報収集規制というのが、先ほど見たADAとかGINAのように、州も含めると、やや増加傾向にあるのですけれども、根本的にはデータの流通の自由を確保するということが依然として重視されておりますので、個人データを収集するための手段、データベースの種類などは非常に豊富で、使用者に適用される規制の実効性を確保するのが非常に難しい状況にあります。
 一方、フランスでは、一定のデータの蓄積とかデータベース化ということ自体が、一般法としてのデータ保護法制で厳しく制限されていますので、これが大きな違いになるかと思います。
 続いて応募者本人の同意がどのように位置付けられているかという観点から、各国の情報収集規制を簡単に比較したいと思います。まず、アメリカでは特定の類型の情報の収集や特定の情報収集手段の利用を制限する規制が個別に設けられているのですけれども、一部の規制を除き、本人の同意の有無は無関係です。例えば、連邦レベルの雇用差別禁止法には、ADAとかGINAのように、障害や遺伝情報などの特定の事由に基づく不利益取扱いを禁止し、それと同時に差別禁止事由に関連する情報を収集すること自体を制限しているものがありますけれども、これらは強行法規ですので、禁止される行為、不利益取扱い自体もそうですし、その前段階での情報収集もそうですが、これらの行為は本人の同意があったとしても許されるものではありません。
 また他方で、使用者が応募者の個人情報を本人以外から収集する際に同意を取得することが必要かと言いますと、特別な規制がある場合を除いてそれが義務付けられることもありません。
 この本人の同意が情報収集規制の中で重要な役割を持たないという点は、フランス法も同じ状況にあります。
 労働法制とデータ保護法制に分けて順に御紹介しますと、まず、労働法上の情報収集規制、例えば目的の制限や情報の内容の制限あるいは手続的な規制は、本人の同意の有無を問わず適用されます。例えば、直接かつ必要な関連性がないという情報を収集する使用者の行為は、本人の同意を仮に得た上で行ったとしても違法であり、この場合は後から虚偽の情報と分かった使用者が採用後に経歴詐称を理由に労働者を解雇することなどはできません。他方で、使用者は本人にあらかじめ通知していない手段によって情報収集することは許されないわけですけれども、例えば本人以外から情報収集をする場合に、同意取得が必要かと言いますと、同意取得までが義務付けられているわけではありません。
 次に、データ保護法制(「情報処理と自由法」、GDPR)のもとでの本人の同意の位置付けについて確認いたします。GDPRの内容については、この研究会の場でも既にお話があったかと思いますけれども、GDPRやフランスの「情報処理と自由法」は個人データの取扱いの基本原則を定めるとともに、アクセス権などの個人データに係る本人の権利を保障しております。こうした基本原則の例としては、目的の制限、データ最小化原則、保存期間の制限などがありますが、こうした原則やアクセス権を保障する規制というのは、本人の同意があるか否かを問わず適用されるものです。ただし、既に見た労働法制とは異なり、GDPRや「情報処理と自由法」には、本人の同意が規制の一部に組み込まれております。
 これも既に御紹介があったかと思いますけれども、GDPRには、同意と認められるための様々な条件、例えば任意性とか特定性とか明確性というようないろいろな条件が定められております。ただし、雇用の局面では、この本人の同意というものが果す役割は、データ保護法制との関係でも限定的です。つまり、フランスを含む欧州のデータ保護法制の下では、本人の同意とはどういう位置付けなのかと言いますと、個人データ取扱いの正当化事由、これは適法化根拠とも呼ばれますけれども、その1つにすぎません。個人データを取扱うためには、正当化事由が存在することが必要ですけれども、これらの法制は、日本とは異なり、契約の履行の必要性とか、法的義務の遵守のための必要性、それから正当な利益のための必要性など、本人の同意以外の正当化事由というものも広く認めております。雇用の局面では、本人の同意以外の正当化事由が存在することが多く、特に採用時の調査については、例えば契約の履行の必要性、あるいは正当な利益のための必要性があると考えられていますので、そもそも本人の同意というものに依拠する必要性がないというのが全般的な状況になります。
 その意味で、日本法と比較しますと、日本では本人の同意がある場合には個人データの取扱いが直ちに適法化される仕組みになっています。それから個人データの第三者提供など、本人の同意の取得が求められる場合には、オプトアウトを除きまして、本人の同意以外の事由に基づく取扱いが認められる場面が限定されているというところに特徴があります。こうした本人の同意の位置付けというのは、アメリカやフランスと比べますと非常に特殊なものということができます。
 以上が、本人の同意のところですけれども、最後にプロファイリングに関する規制について、アメリカとフランスの現在の議論状況を簡単に御紹介したいと思います。まず、アメリカでは労働関係におけるプロファイリングというのは、連邦レベルで既に制定されている各種の雇用差別禁止法に違反する可能性があるのではないかということが指摘されております。最近では、一部の連邦議会の議員から、雇用差別禁止法の施行を担っている行政機関、これは雇用機会均等委員会、EEOCと呼ばれるものですけれども、この機関に対して、AIを利用した採用活動についてガイドラインを制定することを求める声も挙がっております。それから一部の動きにすぎないのですが、州の中には採用時のプロファイリングを制限する特別な立法を行うものも現れています。具体的には、イリノイ州で、採用時のビデオ面接を記録して、AIを活用して分析するという行為を規制する法律(州法)が制定されて、昨年から施行されているところです。
 一方で、フランスでは、基本的にGDPRのプロファイリング規制をそのまま採用しております。これについても以前、お話があったかと思いますので詳細は割愛しますけれども、プロファイリングの実施に当たっては、データ保護影響評価というものを実施しなければならず、また応募者は自動処理のみに基づく採否の決定に服さない権利を持ちます。それから対象者は、プロファイリングが実施されることとか、これにどのようなロジックが関連しているかということなど、所定の事項について情報提供を受ける権利があることなどが定められております。簡単な情報提供で恐縮ですけれども、以上で私からの報告とさせていただきます。
○鎌田部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見はありますでしょうか。
 
○中田委員 お話を伺って、アメリカでは雇用差別禁止ということが大きなポイントなのだということが分かりました。個人の同意や情報収集の定義ですが、個人が自発的に障害のことを言った場合にはどうなるのか。また、メモを取ったら情報収集にあたるとみなされるのかというところを教えていただきたいと思います。
 と言いますのは、業務が本当に遂行できるのかどうか、募集のポジションに期待をしていることが、しっかり遂行してもらえるのかどうかということが、障害情報と結び付くことが多々あると思っております。マッチングという意味で、ある程度お互いに情報を共有できないと適切な採用ができず、それは双方にとって不幸ではないかと思いますが、それは実際にはどのようにされているのかを御教示いただけますでしょうか。
 
○河野准教授 ありがとうございます。
 まず、ADAがどういう仕組みになっているかを御紹介したいのですが、健康情報自体が労働を遂行する能力と結び付いているので、収集の必要性が一定程度あるであろうということは、ADA自体も前提としております。そのために、許される情報収集と許されない情報収集というのが、情報の内容の面でもそうですし、それから時期の面でも区別されることによって調整が図られています。まず制限される行為というところで、その点の工夫が図られているのですが、どのような情報収集が制限されるかということで、禁止される行為の一つは、障害に関する調査です。具体的には、障害の有無とか性質や重度に関する調査ですが、行政はこれをかなり広く捉えておりまして、障害の有無などを直接の対象としない質問であっても、その質問によって障害に関する情報が引き出される可能性がある場合には該当すると解釈しております。
 その反面で、職務に関連する機能を遂行する能力があるかどうかというのは調査してもよいとされております。ここの区分が非常に難しいであろうと思われるわけですが、そこのところは行政機関(EEOC)のほうで、かなり詳細なガイドラインを出しております。例えば、運転をするという職務ですと、視覚障害がありますかという聞き方は駄目なのだと。一方、運転免許証を持っていますかという聞き方であればいいという形で、幾つかの具体例を出して、許される質問、許されない質問の区別を図っていることになります。
 もう1つの健康診断というのも同様です。何が健康診断に当たるかということもかなり詳細に書いてあります。健康診断は駄目なのですが、身体的能力を検査するのはいいのだというような形です。健康情報を集めることはいけないけれども、能力について調査することは許されるという基本的な立場はあるかと思います。
 それに加えて、これも政治的な妥協という側面も大きいのですが、先ほど御紹介したように、採用の終盤に至るまでの段階では全面的に調査は駄目、つまり、禁止される行為については駄目ということなのですが、最後の採用決定の段階に至った後で開放する、一定の条件を満たせば情報収集を許すという形で、情報収集の必要性との調整を図っていることになるかと思います。
 そのほか、どのような情報収集が禁止されるかというところですが、例えば、合理的な配慮については日本と同じで、アメリカも合理的な配慮を義務付けているわけですが、採用の最初の段階ではかなり厳格に考えられているので、使用者のほうから合理的配慮が必要か、あるいはどのような配慮が必要かについては、原則として聞いてはいけないことになっております。そのような形で、何が許されるのかとか何が許されないのかということがガイドラインによってある程度明確化されていると言えるかと思います。
○中田委員 よく分かりました。ありがとうございました。
 
○大久保委員 1点、教えていただきたいのです。フランスの所に「妊娠情報の収集は全面禁止」というのが書いてありました。これは、日本においても、実際には妊娠している状態で求職活動をするときに、差別されやすい状態があるのではないかなと思いまして、大変興味のある項目なのです。これはフランス以外の主要国の中で、どのぐらい妊娠情報に関する情報収集は禁止されているのか、実態がどうなっているかを少し追加情報があれば教えていただきたいのですが。
 
○河野准教授 ほかの国のことについて、どこまで情報提供ができるのか心許ないのですが、おそらく、フランスの妊娠情報に関する規制は非常に古いのですが、かなり厳しくて、例外を認めない。つまり、危険な業務などであっても、あるいは正社員だけではなくて、例えば期間の定めのある社員を採用する場合であっても認めないというように、非常に厳しい規制になっております。おそらく、ほかの国で、ここまで全面的に禁止する、しかも妊娠差別だけでなく調査も禁止するところまでやっている国は多くはないかと思いますので、かなり思い切った政策かと思います。その前提としては、当時、かなり少子化が進んでいたという背景がありまして、妊娠に関する事項を労働関係で考慮してしまうことになると、少子化の進行というところで問題があるということで、妊娠に基づいた、例えば採用拒否というものを防ぐためには、そもそも情報自体を把握させないことが必要なのだという考え方がとられており、ここは政策的に、おそらく他の国と比べるとかなり思い切っていることになるかと思います。
 
○大久保委員 ありがとうございます。これはフランスの場合であっても、採用時に、今は全面的に禁止されているけれども、その後の決定後に配慮をするための情報収集は良いのですね。
○河野准教授 採用後に配慮をするために情報収集が必要となる場面というのはあると思うのですが、その場合も、使用者側から聞いてはいけないことになっております。具体的に、例えば何かを申請する場合には何日前にという、それぞれ手続が定められていたかと思うのですが、そういう配慮を受けるためにどのような情報を提供する必要があるかとか、いつまでに提供する必要があるかということが割と細かく定められております。一般的に配慮するためといって広く情報を集められないような仕組みに採用後もなっていることになります。
 
○大久保委員 配慮を必要とする場合は、労働者側からそれを求めるために情報を提供することになるわけですか。
○河野准教授 詳細については確認が必要ですが、それを前提に申し上げれば、使用者側から質問することが許されないのは確かなのですが、労働者側から情報提供を自発的に行うルートについても、どういう情報をどういう場合に提供しなければいけないかということが細かく定められていて、必要な範囲を超えて労働者が提供しなくてもいいような仕組みになっています。
○大久保委員 分かりました。ありがとうございました。
 
○山川委員 大変、有益なお話をありがとうございました。1点、日本の法制と海外の比較に関する質問なのですが、特にヨーロッパの法制に比べて、日本の場合は同意の要件に非常に、ある意味負荷が掛かっています。
 それで、日本の法制の中で職業安定法の場合は、業務の目的の達成に必要な範囲と、それから収集の目的の範囲という、収集と使用とで、目的という観点から制約が掛かっているのですが、これは、ヨーロッパの法制で、例えば契約の履行の必要性といった正当化事由があるというお話でしたが、それと同じようなものなのか、あるいは、目的の範囲内とか達成に必要な範囲内というのがどのような意味を持ち得るのかについて、御意見があればお伺いしたいと思います。
○河野准教授 現行法の第5条の4の「業務の目的の達成に必要な範囲内で」という所の規定の意味はなかなか理解が難しい部分があるのですが、素直に読むと、GDPRとか「情報処理と自由法」のようなデータ保護法制、ヨーロッパのデータ保護法制の中では、やはり比例原則とか、データ最小化の原則と呼ばれるようなところに、対応するものなのだと思います。
 フランスも含めたヨーロッパの場合には、目的が正当なものに限定されることを前提に、それに必要な範囲、しかも必要性をかなり厳格に見ているということで、それに必要な最小限の情報、あるいは比例的な情報に制限しているわけです。日本では、同じような必要な範囲内という言葉を用いつつ、そこまで厳格なものと考えられてこなかったのだと思いますが、解釈する上で今後一つの手掛かりにはなるのではないかと思います。
 目的の正当性について、あるいは、目的の内容の制限を第5条の4がしていないのかというのはよく分からないところです。1つの読み方としては、これは情報の範囲を制限しているように読めるけれど、前提として、採用時には業務の目的というもの、それを取扱いの目的にしなければいけないのだという形で、目的の内容の制限も非常に薄いとは思いますが含んでいるのではないかと思います。健康情報、心身の状態に関する情報に関して改正で入った労働安全衛生法の規定でも、同じような構造が用いられています。目的規制が明示的に入ってはいないようにも見えるのですが、前提として入っているようにも見えるので、ここをもう少し狭めていくような読み方も場合によってはあり得るのかなと思います。
○山川委員 フランスのほうは、何か目的自体を客観的、実態的に非常に制約しているような感じがしたものですから、それと日本法の違いがあるのかなと思っております。その辺は、今の御説明で、オーバーラップする所がありそうですが、やや仕組みは違うと思ったところです。
 と言いますのは、業務の目的の達成に必要な範囲内というのは、特に、労働市場の仲介ビジネスの場合は、何を依頼したかという、ある意味では、こういうふうに紹介してくれと、あるいは、こういうふうに情報提供をしてくれという依頼の趣旨によって、その業務、活動すべき業務の中身が変わってくるのかなという感じもあります。実態的、あるいは客観的な目的の側面と、当事者の依頼の趣旨に応じた、いわば関係によって決まるという側面があるのかなと、お話を聞いていて思った次第です。
 
○鎌田座長 今、山川委員が御質問したことにも関連するのですが、1つは、私も目的の範囲内というのをどう位置付ければいいのかということは、仲介事業なので事業規制目的との関連で、捉えられてきたのかなと思っています。つまり、データ保護でも差別でもないという、やや特殊な考え方かなと思いますが、正確には分かりません。河野先生が仰ったのはあえて位置付ければ比例原則等ではないかということでしょうか。
○河野准教授 はい。
○鎌田座長 そういう見方もあるかと思います。どうもありがとうございました。
 もう1つ、質問なのですが、一方、職業安定法では配慮すべき情報、いわゆるセンシティブ情報ということで、いわゆる社会的差別の原因となるおそれのある事項というのを、規制しています。
 いわゆる差別禁止的な観点がここでは入ってきているのかなと思うのですが、このセンシティブ情報、配慮情報というものをどのように考えておられますか。
○河野准教授 職業安定法の指針まで見ると、はっきりと「社会的差別の原因」と書いてありますので、やはり、こういう情報を収集して用いると差別につながるので収集レベルで制限しましょうという発想に立っているように見えます。アメリカでも、もちろん先ほど紹介したように、そういう差別の防止のために情報収集を制限するという発想はありますし、それから、GDPRとかフランスでも、特に差別につながりやすい情報については特別な情報として扱うと、データの取扱いを厳しく制限するという発想はあるのですが、日本ではそもそも採用差別については、明示的に禁止されているものは多くはありません。それとの関係で、これらの情報を使って、例えば採用拒否をしたというときに、それ自体が規制の対象になるのかというところが問題になり得る気がしています。
 もし仮に、ならない、あるいは場合によってはならないとするのであれば、なぜ情報収集自体のところで、これを制限していくのかというところの説明が難しいように思われます。つまり、アメリカでもフランスでも、差別につながる情報については厳しく制限しましょうという発想があるわけですが、前提としては、やはり採用差別を明示的に禁止しているということがあります。指針に社会的差別の原因と書いてはあるのですが、採用差別、あるいは採用の自由に関する考え方との一貫性というところが問われてくるのかなと考えています。
○鎌田座長 ありがとうございます。つまり、ADAとかは、要するに採用においての差別ですから、それは一貫していると思うのです。でも、ここでの規定というのは、それとちょっと違うので、どう説明するのかなというのを常々思っていました。
○河野准教授 私もこの点は解決しなければいけない課題なのではないかと思います。
○鎌田部会長 どうもありがとうございます。
 
○安藤委員 御説明ありがとうございました。1点、教えていただきたいのです。フランスなどで行われているような情報収集を禁止するというルールが、果たしてうまくいっていると評価されているものなのかについて教えていただけますか。非常にうがった見方かもしれませんが、仮に妊娠情報を調べてはいけないとなったら、妊娠・出産をするような可能性がある年代の女性については採用を躊躇するであるとか、こういう形で、何かほかの場所にしわ寄せが行ったりするのか。
 今、手元の資料を見たところ、2018年9月5日法などで、女性幹部、管理職の増加のために商法の改正があって、ある程度以上の規模の会社については、重要な責務を負う職員の10%が女性になるように何か取り組まなければいけないとか、こういう形のいろいろな支援もしているみたいなのです。
 とはいえ、例えば20代から30代にかけての女性の採用が、そもそも情報を得る手前の段階で抑制されてしまったりしては意味がないのかな、などと考えています。この労働法上の規制がうまくいって、評価されているのか、それとも、何か別の所で問題が発生しているのか、その辺りを教えていただけますか。
 
○河野准教授 今、御紹介いただいたのは妊娠という特別な情報の所ですが、一般的な情報収集規制の枠組み自体は、1992年という、かなり古く、数十年前にできたものです。当時、立法の際、情報収集を一般的に制限するという規制を入れる際には、そのような採用の場面で使用者が得られる情報の範囲を絞ることについて、割と激しく議論はあったところです。
 ただ、その後の検証があまりなされていなくて、今の、特に挙げていただいた妊娠に関する情報のところが実際にうまくいっているのかということも、私から申し上げられることはありません。ただ、この規制があるために女性の採用が抑制されているということも、逆に言うと出てきてはいないのですが、特にそれに関連する情報というのを私は持ち合わせていない状況です。
 また、1992年に一般的な規制が入った当時は激しく議論があったのですが、その後は、激しく反対する動きも生じていません。これについて指摘されているのは、情報収集の制限、例えば直接かつ必要な関連性を求めるという形で制限して、ガイドラインに具体例を掲げてということをやっているのですが、これに違反した場合の使用者に対する制裁が直接的なものではなく、間接的なものになっています。例えば、この直接かつ必要な関連性というのを超えて情報収集してしまった場合には、それについて労働者が虚偽の情報を言ったとしても、先ほど申し上げたように、それは後から解雇や懲戒処分などすることができないという形の、言わば間接的な形の制裁になっています。罰金があるとか、損害賠償に直接つながるところではないことが影響してそれほど批判がないのではないかというような分析が一部でなされているところではあったかと思います。
 
○鎌田座長 ありがとうございました。本日はこの辺りで議論を終了したいと思います。今日は情報の的確性と個人情報ということで皆さんに御意見を頂きましたし、また、河野先生から貴重な情報提供もありました。
 情報の的確性については、求人者の責任が第一義的であるということは確認できたと思いますが、それとともに、募集に関する情報を求職者に直接提供している雇用仲介サービスについて、サービスの形態を踏まえながら、その効果についても検討しながら的確な情報を提供するという責任も検討してみたらどうかということであったと思っております。
 それから個人情報の保護については、雇用仲介サービスにおいて、やはり求職者の情報を提供させているということから一定の規律が必要であるだろうと。また、求職者本人が提供されることを望まない情報の提供や、想定し得ない不当な形での提供がなされないように配慮すべきであるだろうということです。また、我が国の職業安定法における個人情報保護についての位置付けということについて、更に突っ込んだ議論もあったような気がします。また、妊娠などの、そういった情報についての取扱いについても、詳しく意見が提起されたと私は思っております。次回も、議論の整理として示された事項について、個別の論点ごとに議論を進めていきたいと思っております。それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
 
○事務局 次回の日程につきましては、決まり次第、皆様に御案内申し上げたいと思います。事務局からは以上です。
○鎌田座長 それでは、本日はお忙しいところありがとうございました。また河野先生、ありがとうございました。

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