外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日午前中、NATO外相会合のパートナーセッションに日本の外務大臣として初めて出席しました。また関係外相が集まる機会をとらえまして、直前に行われましたG7外相会合にも出席いたしました。両会合において、私からは、先日の私のポーランド訪問について紹介するとともに、ウクライナの方々への連帯を表明して、引き続きG7や同志国と連携して、対応していく旨を述べさせていただきました。まず日程の最初はG7、今年に入って6回目の開催となりまして、G7として、ブチャ等でですね、ロシア軍によって行われた残虐行為、これを最も強い言葉で非難し、ウクライナへの更なる支援を行う用意があることを、確認をいたしました。またロシアに対して制裁を通じて、圧力を強化していくことの必要性について一致をいたしました。 私からも日本として着実に制裁を実施していく考えを表明いたしました。詳しい概要は貼り出しの方に記載していただきましたが、人道支援を強化して、食料安全保障、食料価格への影響、これに対応していく必要性等についても議論しました。後半はクレバ・ウクライナ外相も出席されて、戦況ですとか今後必要とされる支援等について、意見を交わしたところでございます。

 NATO外相会合においては、ウクライナ情勢に関する議論を踏まえて、欧州とインド太平洋地域の安全保障を切り離して論じることはできず、本日の会合にアジア太平洋のパートナーが出席したことは、国際社会に対して我々の連帯を明確に示す、力強いメッセージであると述べ、そしてNATOのアジア太平洋のパートナーとの関係強化に関するストルテンベルグ事務総長の取組を、歓迎をいたしました。加えて、力による一方的な現状変更は、どの地域においても許されるものではなく、世界の平和と安定のために、どの地域、普遍的価値に基づいた国際秩序の維持・発展が死活的に重要であると述べまして、基本的価値を共有する同志国間での連携を強化していく必要がある点で一致しました。

 その後、ベルギー、EU、米国、カナダ、ジョージアの各外相とのバイ会談を行いまして、ウクライナ情勢への対応や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力などについて議論いたしまして、それぞれ連携を確認いたしました。

 EUのボレル欧州対外活動庁上級代表とは、昼食をはさんでじっくりとウクライナ情勢を含めて幅広く国際情勢の意見交換を行いました。私からは、2月のインド太平洋閣僚会合を含めてEUがインド太平洋地域への関心を高めているということを歓迎し、自由で開かれたインド太平洋の実現を含め、日EU間で幅広い分野で協力を深めて行くことで一致をいたしました。

 米国のブリンケン国務長官とは、ウクライナ情勢、中国、北朝鮮等の現下の国際情勢について意見交換を行いました。地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、力による一方的な現状変更の試みを許さぬよう、日米同盟の抑止力・対処力を強化していくとともに、政治、安全保障、経済のあらゆる面において地域へのコミットメントを強化していくことを確認しました。その上で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持がますます重要となっているとの認識で一致し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。

 そして先ほどですが、国連総会でロシアの人権理事会理事国資格停止、この決議が採択をされたところであります。無辜の民間人の殺害など重大な国際人道法違反を行っているロシアのような国が人権理事会理事国としてとどまるのは不適切である等の幅広い国々の強い意志を示すものであり、大きな意味があります。我が国はいち早く共同提案国入りし、各国に積極的に声をかけてまいりました。引き続きG7をはじめとする国際社会と緊密に連携してまいりたい。私からは以上です。

質疑応答

【記者】NATOの会合なんですけれども、これまでもですね、日本はNATOとの関係、これを強化してきましたわけですけど、インド太平洋地域の安定に向けてですね、NATOとですね、具体的にどのようにですね、基本的連携を強化していくつもりか教えていただきたい。

【林外務大臣】NATO外相会合においてですね、国際社会が厳しい安全保障環境に直面する中で、基本的価値を共有する同志国との連携を強化していく必要があるという点で一致いたしました。NATOとの間ではですね、2014年に署名した国別のパートナーシップ計画、というものがございますが、これに基づいて、これまでもですね、サイバーですとか、海洋安全保障の分野で協力を深化してきたところであります。今後はですね、NATOのインド太平洋へのさらなる関与に向けた具体的協力ということを進めていくとともに、この、先ほども申し上げた欧州とですね、それからインド太平洋地域の安全保障を切り離して論じることはできない、こうした認識の元で、ウクライナ情勢の対応のみならず、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、NATOを含めですね、ビジョンを共有するパートナーとの連携、これを強化していきたいというふうに考えております。

【記者】NATOの外相会合の大臣のご発言について伺いたいんですけれども、今回の侵略を間接、直接的に支持している国がいることは憂慮されるべき事態であると仰られたことについて。中国はウクライナ侵略について今なおロシアを非難していないと仰られましたけれども、このご発言は、現在の中国に対するですね、大臣のどういったお考えを元にご発言されたのでしょうか。

【林外務大臣】NATO外相会合においてですね、私からは中国はロシアによるウクライナ侵略を今なお非難していないということをですね、などを指摘させていただきました。ロシアによるウクライナ侵略に象徴されますように、欧州とインド太平洋地域の安全保障は切り分けることができないと考えておりまして、そういった意味で現下のですね、厳しい安全保障の中で、普遍的な価値に基づいた国際秩序の維持、発展が死活的に重要であると考えております。日本として、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、欧州を含めてですね、このビジョンを共有するパートナーとの連携をいっそう強めていく、そういう考えに基づいて発言させていただいたということです。

【記者】本日のG7首脳声明でですね、ロシアからの石炭輸入についてフェーズアウトや禁止を含む計画を進めると発表がありました。日本の石炭輸入量の一割程度をロシアからの輸入に頼っていますけれども、どのように削減に取り組んでいくおつもりでしょうか。

【林外務大臣】EUがですね、石炭の禁輸措置を含むロシアへの追加制裁、これを発表したことは承知をしております。ロシアに対するですね、制裁措置についてはこれまでもG7を含む国際社会と連携して基本的に厳しい措置を講じて参りました。我が国の厳しい姿勢を示すための必要な対応についてですね、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携しまして適切に判断していきたい考えです。

【記者】今の経済制裁の話の関連になりますけれど、今後日本としても新たな経済制裁をすることになると思いますけれども、それが今後の日本経済に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】そうですね、これは先ほど申し上げましたように、すでに厳しい経済制裁を講じてきておるわけでございまして、総理からもですね、国民の皆様に対して全く国内のいろんなことにですね、影響、全くないと言い切れないところがあるということをですね、ご理解いただきたいという、こういうお話でございました。同時にですね、このガソリンの値段の高騰などについてですね、あらゆる選択肢を排除せずにこの対応策を検討していくことも同時に仰っておられるということであります。今後もですね、この先ほども申し上げたように、国際社会と連携して適切に判断していく、まあその中にですね、申し上げたようなところはしっかりと考慮の中身として検討していきたいと考えております。

【記者】今の経済制裁の関連になりますけれども、新たな経済制裁を検討となると思うんですけれども、今後の日本経済に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】そうですね、これは先ほど申し上げましたように、既に厳しい制裁措置を講じてきておるわけでございまして、総理からもですね、国民の皆様に対して、全く、国内の影響が全くないとはいいきれないというところがあることはご理解いただきたいという話でございました。同時にですね、ガソリン税の値段の高騰などについて、あらゆる選択肢を排除せずにこの対応策を検討していくということも同時におっしゃっておられたわけであります。今後も先ほど申し上げましたように、G7をはじめとする国際社会と連携して適切に判断して、その中で今申し上げたようなことは、しっかりと考慮の中身として検討していく。

【記者】冒頭で大臣から言及のあった国連人権理事会のお話、ロシアの資格停止ですが、結果としては賛成が93、反対が24で棄権が58ということで、必ずしもロシアが国際社会で孤立しているわけではないというようなことを示していると思いますが、この結果について大臣としてどうお考えでしょうか。

【林外務大臣】そうですね、おそらくは人道状況に関する国連総会決議と比べると少し賛成票が少なかったということであろうかと思いますが、今回の決議はですね、ロシアの人権理事会理事国の資格を停止する具体的結果を伴うものでございまして、極めて重い国際社会の意志を示したと考えております。そういったことで前二回の国連決議と一概に比較は出来ないことであると考えております。我々として引き続きG7をはじめてする国際社会と緊密に連携していく考えでありまして、我が国の基本的な立場を踏まえて、国連においても積極的に貢献していきたいと考えております。

【記者】G7外相会合の方で、日本の避難民の受け入れですとか人道支援の取り組みについてご説明されたとのことですが、各国はどのように受け止めていたと大臣はお考えでしょうか。

【林外務大臣】そうですね、G7外相会合で私からウクライナ、モルドバを含む周辺国に対して、すでに表明した1億ドルに加えてさらに1億ドル、合計2億ドルの緊急人道支援をすることを決定したということと、ウクライナ国内、それから他の地域のいずれにおいても、食料安全保障の問題に対処することが重要だということも重ねて指摘をさせていただきました。また、日本も避難民の受け入れを進めておりまして、先日ですね、日本が受け入れる避難民とともにポーランドから帰国したことを紹介させていただきました。各国の外相からこうした日本の支援を高く評価する発言がありました。

【記者】先ほどのNATOの会合での中国をめぐる大臣の発言についての質問がありましたが、関連で、そういったご発言、事後でも結構なんですけれども、各国からどういう反応があったのか、会合全体でロシアに対する中国というのが、欧州とインド太平洋地域と共通の脅威になるという認識で一致したのか。

【林外務大臣】これはNATO外相会合もG7もそうですが、私が申し上げたことは、私からある程度申し上げることはできますけれども、他の参加者からどういう発言があったかは基本的には申し上げられませんので、全体でというのはNATOの方で発表されるので私からは差し控えさせていただきます。

【記者】大臣はポーランドにも避難民の視察に行かれ、今日に至るまで一連の外交日程、かなり異例の強行日程だったと思いますけれども、一連のポーランドからブリュッセルの日程を終えて現在の率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。

【林外務大臣】実はワルシャワではクレバ外相と会談できて、今日またクレバ外相とここでお会いするというようなこと、またポーランドでの色々な私の見聞きしたことを、国際機関との意見交換で得た知見をですね、この場でまた色々な会合で発言することができて、バイの会談でも、そういうことが話題になることもございましたので、今回のロシアによるウクライナ侵略は非常に許されないことであり、日々状況がめまぐるしく変わっていくなかで、ポーランドを訪れたことは、今回非常に、結果的に、日程的に近接していたことは今回色んな皆さんと非常にタイムリーでですね、有益だったと感じております。だからと言っていつもこれくらいな日程ではございませんけれども、今回最初の日程が、法務大臣が急遽いけなくなったということでしたけど、結果としては今回のブリュッセル出張に対しては非常に有益であったと考えております。

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