外務省・新着情報

冒頭発言

(1)林大臣のポーランド訪問

【林外務大臣】それでは、まず、私(林大臣)から4件ございます。
 まず、ポーランド出張ですが、本日から4月5日まで、総理の御指示を受けまして、総理特使としてポーランドを訪問いたします。多くのウクライナ避難民を受け入れているポーランドにおきまして、現地のウクライナ避難民の状況の確認や、政府要人、国際機関等との会談を通じまして、現地ニーズや避難民受入れに際する課題等の把握に努めることにより、今後の支援に繋げていく考えでございます。
 困難に直面しているウクライナの人々を支援するとともに、ウクライナとの更なる 連帯を示すため、我が国は、ウクライナから第三国に避難された方々の受入れを進めております。政府一丸となって、国民の皆様の理解も得ながら、法務省を始めとする関係省庁とともに、必要な支援を行っていく所存であります。

(2)日本による対北朝鮮措置

【林外務大臣】次に、対北朝鮮措置でございます。北朝鮮は、特に本年、今年に入ってから、かつてない高い頻度で、新しい様態での発射を繰り返し、核・ミサイル活動を活発化させております。3月24日のICBM級弾道ミサイルのような、事態を更に緊迫化させる弾道ミサイル発射を含めて、一連の北朝鮮の行動は、日本、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認をできません。
 こうした状況の中、本日の閣議においては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決のための我が国の更なる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発に関与した4団体・9個人を外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することを了解いたしました。
 我が国としては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に関し、北朝鮮が問題解決に向け、具体的行動をとるよう強く求めます。引き続き、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、北朝鮮の非核化を目指してまいります。

(3)感染症危険情報の見直し

【林外務大臣】次に3件目でございますが、感染症危険情報の見直しでございます。 外務省では、海外における新型コロナウイルスを含む感染症の状況を注視し、海外へ渡航・滞在される方への参考情報として、感染症危険情報を発出しております。
 新型コロナウイルスの感染状況について、各国・地域の状況は、それぞれ異なるものの、世界全体の傾向としては、新規感染者数及び死亡者数は減少傾向にあり、ワクチン接種が進展している国々を中心に、死亡・重症化リスクの低下が見られ、水際や国内における規制の緩和も進んでおります。
 こうした傾向も踏まえ、今般、各国・地域の実情を総合的に勘案する形で、感染症危険情報を見直すことといたしました。その結果、レベル3「渡航中止勧告」の指定につきましては、162か国・地域から56か国・地域に減ることとなります。詳細については、この後行う報道発表の内容をご確認願えればと思います。
 日本から海外に渡航される皆さまには、引き続き、感染症危険情報を含む海外安全情報を参照の上、事前に十分な余裕を持ってワクチン接種を済ませた上で渡航をされることを推奨をいたします。

(4)ミャンマー及びパレスチナに対する緊急無償資金協力

【林外務大臣】4件目でございます。
 本日、ミャンマー及びパレスチナに対する支援として、合計1,165万ドル、うちミャンマー830万ドル、パレスチナ335万ドルですが、この緊急無償資金協力を行うことを決定をいたしました。
 ミャンマーについては、昨年2月のクーデター以降、南東部や北西部などを中心に、断続的に発生している武力衝突によって急増した国内避難民の食料や最低限の生活物資が不足しており、UNICEF、WFP及びUNHCRといった国際機関経由で、直接市民が裨益する形で830万ドルの支援を行うものであります。
 パレスチナについては、ガザ地区において、昨年5月のイスラエルとパレスチナ武装勢力間の衝突による影響が継続をする中で、新型コロナウイルス感染拡大、本年1月末の洪水被害による人道状況の一層の悪化を受けて、国連パレスチナ難民救済事業機関を通じまして、脆弱なパレスチナ難民に対して、食料支援や患者等のケアを含む保健・医療支援のために335万ドルの支援を行うものであります。
 日本政府としては、引き続き、ミャンマーの人々及びパレスチナの難民に寄り添う支援を行ってまいります。私(林大臣)からは以上でございます。

林大臣のポーランド訪問

【朝日新聞 野平記者】大臣が冒頭おっしゃったポーランド訪問の関連でお伺いします。政府は、帰国する際に、政府専用機で日本への避難を希望される方を、乗せて帰ることが検討されていると思うんですが、現在の調整状況を教えてください。

【林外務大臣】ウクライナと国境を接して、多くの避難民を受け入れているポーランドにおいて、ポーランドの政府の要人や国際機関との会談、また現地のウクライナ避難民の状況の確認等を行う予定でありますが、今お尋ねの点も含めて、現在調整中であります。詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。

林大臣の外交日程

【産経新聞千葉記者】ポーランド訪問に関してなんですが、河野元外務大臣が、SNS上で、大臣の出張日程に関して、5日の帰国後6日に国会に出席して、その日のうちに、今度は、NATOの外相会合に出席するために、また欧州に行くことになる、というふうに指摘された上で、外相が疲弊して、欧州での外交の機会が失われて、また国益を損なうことになるのではないかという問題提起を、国会改革の観点からされているんだと思うんですけれども、まだ、NATOとか日程固まったわけではないと思いますけれども、当事者として、その弾丸出張、厳しいスケジュールということで、ご所感あればお願いします。

【林外務大臣】4月5日以降の外交日程につきましては、現在調整中でございます。国会等から、今回の出張の重要性につき、ご理解を賜って、様々なご配慮をいただいているということには、感謝を申し上げたいと思っております。

感染症危険情報の見直し

【NHK 青木記者】感染症危険情報について伺います。100か国余りの国の危険情報が引き下げられるといいますか、見直されることになる訳だと思うんですけれども、これらの国々への渡航は、目的、例えばどのような目的の渡航というのはしやすくなると考えておけばよろしいでしょうか。

【林外務大臣】この感染症の危険情報は、あくまで海外渡航や滞在時の安全性に関する判断材料の一つとして発出をしているものでありますので、国民の海外渡航滞在を制限するような強制力は有しない、感染症に関する危険情報であります。
 その上で、一部企業や大学等においては、この感染症の危険情報レベルを、出張や留学を含む渡航の判断を行う際の一つの参考情報としているものと承知をしております。
 外務省としては、引き続き、現地政府及び関係機関と連携して情報収集を行って、在留邦人及び海外渡航者の適切な注意喚起を含めた情報の発信等を行ってまいりたいと考えております。

対露制裁/対露外交

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 日本が対露制裁を解除するための、いわば条件というのは何でしょうか。真意は分かりませんが、バイデン米国大統領はロシアにおける体制転換を呼びかけました。大臣も同様に、ロシアの現政権とは付き合えないという考えをお持ちでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。まず、ロシア制裁の解除の条件の方でございますが、我が国は、一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾けて、侵略を止めるように、G7各国、国際社会と共に、ロシアに対して強力な制裁措置をとっていくことが必要だと考え、迅速に厳しい措置を打ち出しております。
 今ご質問があった点につきまして、現時点で予断することは適切でないというふうに考えております。いずれにせよ、我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に対応してまいりたいと考えております。

 もう一つ、質問が二つありましたので、米国政府の件ですが、ロシアの「米国政府はロシアの権力や政権の交代まで求めているものではない」というふうに承知をしております。
 我が国として、まずはプーチン大統領が一刻も早く、ウクライナへの侵略をやめて、ロシア軍を撤退させることが必要だというふうに考えております。ロシア側に対し、その旨強く要求するとともに、G7各国、国際社会とともに、ロシアに対して強い制裁措置をとってきております。
 我が国として、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7等と連携して適切に取り組んでまいりたいと考えております。現時点で、これ以上について申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。

ウクライナ情勢(ジェノサイド)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナについて。元ウクライナ大使の角茂樹氏は、3月18日のニュース番組で、プーチン大統領の発言「ドンバス地域でジェノサイドが起きている」ということについて問われ、自身の赴任時の経験を根拠に全否定しました。また、林大臣は、3月8日の参院外交防衛委員会で、ジェノサイドの有無について問われ、今後の事態の展開を注視していくと述べ、否定はなされませんでした。また、公安調査庁の「国際テロリズム要覧2021年版」では、ウクライナのアゾフ大隊という民兵団が、白人至上主義のネオナチ組織として認定されており、UNHCRはウクライナの人権状況についての報告の中で、アゾフ大隊のドンバス地方での略奪強姦拷問行為などを国際人権法違反として告発しています。角元大使の発言は、林大臣の発言及びUNHCRの報告と矛盾します。角元大使の見解は、日本外務省の公式見解なのでしょうか。もし違うのであれば、公式見解についてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いします。

【林外務大臣】まず、今般、ロシアがウクライナの同意なく、ウクライナ領域内に軍隊を派遣し、軍事行動を行ったということは、国連憲章第24条4が禁じる違法な武力の行使であり、重大な国際法違反であると考えております。
 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。その理由を問う以前の問題として、明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
 我が国として、ウクライナにおいて、多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めております。
 国際刑事裁判所に関するローマ規定上、集団殺害犯罪とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う殺害などの行為とされておりまして、そうしたジェノサイドがあったかどうかについては、現地の状況等を把握する必要があり、確定的なことは申し上げられませんが、国際刑事裁判所(ICC)検察官による捜査や、今後の事態への展開を注視しております。我が国もICCに付託をしておるところでございます。
 また、角元大使は、ウクライナ東部の情勢について、自らの経験に基づいて、ウクライナ側によるジェノサイドはなかったという旨を述べたということは、承知をしております。
 いずれにせよ、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。その理由を問う以前の問題として、明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
 先ほど、国連憲章で第24条と申し上げたと思いますが、間違いでございまして、国連憲章の第2条4でございますので訂正させていただきます。

ウクライナ地名の呼称変更

【テレビ朝日 澤井記者】ウクライナの首都、キエフなどの呼称変更についてお伺いします。昨日、日本政府として、正式にウクライナの地名について、ウクライナ語の読み方にするということを発表しました。その中で、チェルノブイリだったり、かなり相当程度浸透した地名についても変えるということになりました。
 こうした対応についてゼレンスキー大統領は、ツイッター上で、謝意を示していますけれども、こうしたことの経緯と変更したことの意義について教えてください。

【林外務大臣】ロシアによる侵略を受けて、日本政府として、ウクライナ支援及びウクライナとの一層の連帯を示すための行動について、幅広く検討を行ってきたところでありますが、ウクライナの首都の呼称をロシア語からウクライナ語に変更してはどうかと、こういった意見が各方面から寄せられたところでございました。
 こうしたことも踏まえて、適切な呼称について、ウクライナ政府の意向につきまして照会を行っておりましたところ、今般、ウクライナ側から回答が得られたということから、ウクライナの首都の呼称をロシア語による読み方に基づく「キエフ」から、ウクライナ語による読み方に基づく「キーウ」に変更することといたしました。
 また、首都以外の地名等についても、全て同様にウクライナ語による読み方に基づく表記に変更することといたしました。一例を挙げますと、チェルノブイリはチョルノービリ、オデッサはオデーサ、ドニエプルはドニプロに変更するということになります。

北朝鮮による核実験再開の可能性

【朝日新聞 野平記者】 北朝鮮の核実験についてお伺いします。北朝鮮が、地下核実験を始める準備をしているとの米国の報道がありますけれども、大臣として、日本政府として、こうした情報を把握しているかどうか、また、ICBMの発射と同時に、核実験の再開というものを今年の1月に示唆されていると思うんですが、近く北朝鮮が、核実験の再開に踏み切る可能性があるかどうかについて、大臣どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】今、ご指摘があった報道については承知をしておりますが、行動の一つ一つについて、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 また、北朝鮮の今後の動きについて予断することは控えたいと思いますが、日本としては、北朝鮮の核・ミサイル開発の動向について、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めております。引き続き、今後の動向を注視し、情報収集・警戒監視に万全を期していくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向けて、日米、日米韓で緊密に連携をしてまいります。

日本による対北朝鮮措置

【産経新聞 千葉記者】北朝鮮に関してなんですけれども、冒頭の追加制裁の発表で、今度の追加された対象には、ロシアの団体ですとか、個人が含まれているかと思うんですけれども、北朝鮮のミサイル開発に関するロシアの国家的な関与ですとか支援の状況についてはどのようにご覧になっているでしょうか。

【林外務大臣】今回の措置でございますが、北朝鮮に関連する安保理決議によって、禁止をされた核・ミサイル計画等に関与する団体及び個人を資産凍結等の対象に指定をいたしました。
 新たに資産凍結との対象に追加指定された4団体・9個人について、4団体・3個人がロシアの団体・個人であり、6個人が北朝鮮の個人であるということの内訳です。

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