令和4年2月4日(金)9:30~9:45 於)復興庁記者会見室

1.発言要旨

 おはようございます。

 冒頭、私から2点あります。

 1点目は、今般、総理経験者5名がEUに送った書簡の中で、「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しみ」という表現がありましたが、子どもに放射線による健康影響が生じているという誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見につながるおそれがあることから適切でないと考えており、先日、環境大臣、福島県知事からも、その旨の書簡が発出されました。

 原発事故以降、福島県の子どもたちに見つかった甲状腺がんについては、福島県の県民健康調査検討委員会やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)などの専門家会議において、現時点では原発事故による放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がされています。

 復興庁としましても、原発事故による放射線の健康影響に関する風評を払拭するため、科学的知見に基づく正しい情報の、国の内外への発信に、引き続きしっかり取り組んでまいります。

 2点目は、本日の閣議におきまして、2月7日の北方領土の日について、北方対策担当大臣として発言をいたしました。

 2月7日月曜日に、北方領土問題の解決を求める日本国民の決意を内外に表明するため、午前11時30分から、所要1時間程度で「北方領土返還要求全国大会」が開催されます。今年も新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、無観客の開催とし、全国数か所をネットで結んで連携を図ります。私も登壇いたします。大会の模様はネット配信されますので、多くの方にご覧いただきたいと思います。

 また、北方対策本部では、YouTuberのブレイクスルー佐々木さんを起用いたしまして、北方領土に関して情報発信する動画を、先週29日に公開いたしました。特にターゲットとする若い方々に見ていただきたいと思います。これらの詳細につきましては、内閣府北方対策本部にお問い合わせください。

 私からは以上です。

 

2.質疑応答

(問)おはようございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭発言の1点目にございました、EUに発出された首相経験者の書簡についてお伺いいたします。

 政府としては、今回の書簡の内容は不適切だということで、EU側に対して働きかけ等をしているというふうに、昨日、官房長官もおっしゃっておりましたが、その他の国や地域に対しては、今回の問題に対しての説明をする考えは、まずあるかどうかということと、復興庁としては、その科学的知見に基づく情報を発信するということですが、具体的な取組を考えているようであれば、お聞かせください。

(答)復興庁としての部分につきましては、風評の払拭というのは、復興庁についてもしっかり取り組んでいかなければならないという点は基本中の基本だと考えております。科学的な根拠に基づいた安全性等の正しい情報を届けることが極めて重要であります。復興庁としても、インターネットやラジオ等、多くの媒体を活用しまして、効果的な情報発信に努めているところであります。

 特に、放射線の健康影響に関しましては、これまでUNSCEARの報告を専門家が解説する動画をYouTubeで配信したり、ラジオ番組で専門家のインタビューを放送したりするなどの取組を行ってきております。引き続き、決して風評影響を生じさせないという強い決意の下で、徹底した科学的に正確な情報発信など、風評対策に全力で取り組んでいきたいと考えております。

 他の外国、他の地域への政府内の取組につきましては、現時点で私のほうで把握しておりませんが、全体的な取組を、これは政府全体、官房長官が発信していくと思いますので、政府内の基本的な認識は環境大臣の書簡や、あるいは岸田総理が委員会で答弁した内容も含めて、みんな一致をしていると思っております。

(問)今の質問と関連です。

 第一原発の事故が起きて、甲状腺がんを調べて検査して、結果300という数が出てきました。その数が通常の検査よりも、発見数よりも多いというのは事実ですし、それが過剰診断によるものであるという、その専門家の知見が出ているのは確かですけれども、その300という数字を多いか少ないかで、今回5人の首相の書簡の「甲状腺がんになった子どもが数多くいる」というその表現自体について、いろんな見方はあると思うんですが、甲状腺がんになった子どもの立場からすると、もしかすると専門家が第一原発の事故ではないというふうに言っていますけれども、私の甲状腺がんの原因の1%か、0.1%か分かりませんが、第一原発の事故があったからではないかという気持ちは、疑いは一生拭えないと思うんです。ずっとそれはつきまとってくると思うんです。

 それに対して、何のケアもなくて、もちろん専門家がこう言っています、UNSCEARはこういう見解ですというのは分かるんですけれども、それに対して政府は今まで何の働きかけをしたのかというのがないので、私はその風評の助長とか、そのいわれなき差別の問題だと思いますけれども、甲状腺がんになった子どもの気持ち、それから、その子の後の人生とか、いろんな差別を受けかねない状況について、これから政府は何をしてあげられるのかということを示さないといけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

(答)今、お話にあった実際にかかった子どもの気持ちというのが、私個人として全く理解できないわけではありません。しかし、今事故当時から18歳以下であった子どもたち、おおよそ38万人ぐらいを対象に、甲状腺の検査を福島県自身が復興庁の関係している基金を使って実施をしてきております。去年6月末の時点で266名が悪性ないし悪性の疑いと報告されておりますが、かかった本人からすると、今、指摘されたような気持ちは、私も個人としては全く理解できないわけではありませんが、あくまでも科学的なデータとか、それらを比較すると、現時点では国際機関の判断も含めて、専門家の判断も含めてという答弁しか、今はできません。

(問)今の話の関連なんですけれども、環境省からは大臣名で書簡が出されましたけれども、復興庁としては、そのような応対は、今のところ考えていないということでよろしいでしょうか。

(答)環境大臣名、山口大臣名の書簡、あるいは予算委員会での総理の答弁等も含めまして、政府としては一致した関係の発信をしていると思っておりますので、同じような趣旨で復興大臣として書簡を出すかと現実に問われれば、今のところ考えていないと。政府の認識は共通しておりますので、特に復興大臣としての書簡を出すかという問い合わせについては、現時点で考えておりません。

(問)北方領土の日の関係で1点お伺いします。

 無観客2年連続だと思うんですけれども、ビザなし交流も2年連続で全面中止になっていて、そんな中で2年連続無観客の大会で、大臣もお話しされると思うんですけれども、一体どのようなことを訴えていきたいというか、無観客とかビザなしも中止して、機運も下がっていると思うんですけども、その中で大臣としてはどういう考えで、どんなことを訴えていきたいかというのをお聞かせください。

(答)確かに無観客での大会になりますが、現下のコロナの状況を見ると、やむなしかなとは思っております。

 しかし、この若い世代の方々も含めて、決して北方領土の問題を忘れてもらいたくないという趣旨から、先ほどインターネットでブレイクスルー佐々木さん、私も少しこのYouTubeを拝見させていただきましたが、正直言うと、今の若い世代はこういう、しゃべりも速いし、あるいは北方領土の隣接地域の食の分野も含めて発信しながら、北方領土の問題をというような印象を受けました。

 担当の大臣としては、2月7日に全国大会は開きますけれども、YouTubeをできるだけ皆さんに見ていただければという思いでおります。

 また、このコロナの状況下で、政府間同士あるいは日本側の実施団体、ロシア側の実施団体同士でも協議をしているのでありますが、実際に協議は引き続きやっておりますが、今の時点で、なかなか交流再開というところまでは来ておりませんが、これはもう粘り強く実施団体同士でも協議を続けていくし、政府間は政府間で外務省を中心に、それは続けていくものと思っております。

 この2月7日の全国大会で、またマスコミの皆さんにも取り上げていただいて、あるいはYouTubeを見ておりますと、データとしましては、例年の会場の参加者が1,500人程度であると聞いております。オンラインの視聴者といいますか、件数といいますか、そのデータを見ると、8,000件超のアクセスがあったという報告も聞いております。限られた状況の中で、YouTubeを使ったり、若い方が関心を持っていただくような、若い方に限らず、北方領土の問題を絶対に忘れてはいけないという思いで、しっかり取り組んでいかないといけないなというふうに思っております。

(問)ちょっと確認だったんですけれども、8,000件のアクセスがあったというのは、昨年の大会のYouTubeでの配信についてですか。昨年の大会をYouTubeで配信していたかと思うんですけれども、それについて8,000件のアクセスがあったと言っているのか。

(答)データですか。去年のオンラインの配信による8,000件超のアクセスですか、視聴数が得られたという報告は受けています。

(以  上)