法務省・新着情報

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年1月7日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から成年年齢引下げに関して3件報告があります。
 1点目は,先ほど開催された「成年年齢引下げに関する関係閣僚会合」についてです。
 成年年齢の引下げについては,これまでも「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」において,環境整備の施策を推進してきたところです。
 本年4月の施行を間近に控え,これらの施策を更に強力に推し進めるべく,本日,岸田内閣総理大臣の下で「成年年齢引下げに関する関係閣僚会合」を開催いたしました。
 若年者の消費者被害の防止等の環境整備の取組は,これから成年を迎える若者が安心して社会にはばたく基盤を作る上で,極めて重要です。法務省としても,関係省庁と連携し,施行までの環境整備の総仕上げとして,様々な施策を推進してまいります。
 2点目は,その施策の一つとして政府広報室と連携して実施する,人気アニメ「東京リベンジャーズ」のキャラクターを活用した広報キャンペーンについてです。
 本日以降,これらのキャラクターが,テレビCMやウェブ動画等を通じて,18歳で大人になることの意義,成年になってできること,できないこと,うまい儲け話などの注意すべき契約などについて分かりやすく伝えるとともに,これから成年を迎える若者に対してエールを送る内容となっています。
 本キャンペーンにより,成年年齢引下げの意義や,成年年齢引下げに当たって注意すべきことなどが,若い方々に広く浸透することを期待しています。
 3点目は,特設ウェブサイト「大人への道しるべ」のアップデートについてです。
 昨年4月に,成年年齢の意義や契約,飲酒についてなど,大人になるまでに知っておきたい知識をマンガやクイズ等を通じて学べる特設ウェブサイト「大人への道しるべ」を制作・公開しましたが,本日より,その内容を順次アップデートしてまいります。
 新しく追加するテーマは「労働法」,「税金・年金」,「著作権」等です。
 若い方々に,引き続き,大人になるまでに知っておきたい知識を楽しみながら習得するためのツールとして,「大人への道しるべ」を御活用いただきたいと思います。

内密出産に関する質疑について

【記者】
 熊本市の慈恵病院が4日,病院以外に身元を明かさずに出産できる事実上の「内密出産」の制度を利用して,10代の女性が国内で初めて出産したと明らかにしました。国内では内密出産は法制化されておらず,戸籍登録や養育をめぐる課題が指摘されています。
 まず,一般論として内密出産で生まれた子どもの戸籍登録が可能かどうか,また法務省が本事案にどう対応していくか,最後に制度として対応する予定があるかどうかについてお伺いします。

【大臣】
 個別の事案についてお答えは差し控えますが,一般論として申し上げれば,市区町村における調査の結果,生まれたお子さんの両親がともに不明であっても,日本で生まれた場合には,国籍法により,そのお子さんは日本国民となり,その戸籍を作る取扱いとなります。
 いわゆる内密出産の制度については,厚生労働省において検討が行われていると承知しています。
 子どもの出自を知る権利をどう考えるか,あるいは,出産後に実の親が養育しない子どもが増えるのではないかなどの課題もあると認識しています。
 他方,予期せぬ妊娠に際して,妊婦の孤立化を防止し,母体と子どもの安全を確保する必要があることも大事な視点だと思っています。
 こうした検討すべき課題があると思いますが,厚生労働省において検討が進められていると承知しています。

成年年齢の引下げに関する質疑について

【記者】
 成年年齢の引下げについて,本日の関係閣僚会合では主に消費者被害ということに焦点が当てられたと思いますが,他にも様々な影響が及ぶところがあると思います。
 あと3か月,法務省として,特にどういったところに力を入れて広報などを行っていきたいかについてお聞かせください。

【大臣】
 御指摘のとおり,施行までもう3か月もないところですから,環境整備の総仕上げが必要だと思っています。
 法務省においては,これまで申し上げてきましたとおり,周知活動に力を入れています。
 例えば,インターネット動画の作成・放映,映画会社とのタイアップポスターの高等学校等での掲示,法務省職員と高校生等との意見交換会の実施,あるいは,動画コンテストやポスターコンテストの実施などを通じて,成年年齢引下げに関する周知活動を行ってきました。
 また,消費者被害の防止は極めて重要ですので,契約などの基本的な考え方をまとめた法教育のリーフレット等を作成し,高校生に配布するとともに,点字版も作成しています。
 成年年齢の引下げは,18歳,19歳の皆さんに大きな影響があるわけですから,若者に対する周知・広報活動は非常に重要です。施行までの環境整備の総仕上げに向けて,先ほど申し上げた東京リベンジャーズのキャラクターを活用したキャンペーンの実施など,施行までの残された時間をしっかり頑張っていきたいと思っています。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 オミクロン株の急速な拡大により,政府全体でのコロナ感染症対策も新たな局面に入らざるを得ない状況だと思います。その中で,入管行政におけるコロナ対策について改めて伺いたいと思っています。
 一昨年の春以降,多くの方が収容されずに仮放免という形での状況にありますが,仮放免の方,そして仮放免の家族が非常に生活が困窮している状況になっています。
 その中には,長年日本に暮らしているがなかなか難民認定されない難民申請者の方や,最近ですと,技能実習生などは在留期限が切れて仮放免の状態にならざるを得ないといった方もたくさんいます。
 そういう方に対して,在留カードがないということで,就労もできないという状況もありますし,地方自治体で住民登録もできないという中で,行政サービスからも医療保険,健康保険からも排除されてしまっているという状況があります。
 今後また,コロナ対策が長期化していく中で,ますます対応が必要になってくると思うのですが,以前の外国人登録証の時代ですと,「在留資格なし」と書いてあっても住民登録ができていたような時代もありました。今は全くそこから排除されてしまっているという状況です。
 そういった仮放免された方やその世帯に対して,地方自治体や医療機関が対応できるようにするために,在留カードというのが一番大きなネックになっていると思うのですが,今後のコロナ対策の中で,関係省庁や地方自治体と連携していく中で,そういった在留カードの問題を何とかクリアするといった取組というのは,法務省・入管庁として,今後の検討課題として入っているのでしょうか。

【大臣】
 公的健康保険制度は法務省の所管外の事柄ですから,法務大臣としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 いつも申し上げているとおり,一般論として,入管法に違反して退去強制が確定した外国人は,速やかに日本から退去するということが原則であり,御指摘の問題は,送還忌避や長期収容の問題と一体のものとして検討すべきものと考えています。
 もっとも,人道上の支援の必要性はもとより承知しており,これまでもお答えしているとおり,仮放免中の外国人から連絡・相談があれば,個別に対応しているところです。
 特に,コロナ禍という特異な状況の下,外国人の実情をしっかりとくみ取って,きめ細かく対応するよう改めて入管庁に指示をしたところです。
 また,入管庁では,仮放免中の外国人について,本人が希望する場合には,居住する自治体にその方の情報を通知し,その自治体において,可能な範囲での行政サービスが提供されていると承知しています。

【記者】
 自治体において,子育てをしている御家庭などへの行政サービスがいろいろあるわけですけれども,やはり在留カードがなく,住民登録がされていないということで,一律で排除されてしまっているという現状があります。
 入管において,仮放免の方は出頭しなければならないといった義務がありますが,出頭もこの間,今まで1か月,2か月で出頭していたものが,半年以上,あるいは1年近く,入管への出頭を延期という形で,出頭を免除されているわけですけれども,そういう方は地域社会で生活していて,行動制限もあるため,地域の中でしか生活できない,就労もできないといった中で,地域住民としてどういうふうに法的に位置付けるかとか,在留カードをどうするかといった問題は,喫緊の課題だと思います。
 在留ミャンマー人などですと,半年以上の在留特定活動といったものを出しているという政策もやっているわけですが,そういった仮放免の方を放っておいていいのかどうかということ,やはり入管庁として在留カードをどうするかといったことは,課題として取り上げるべきではないかと思いますが,それについての御検討はいかがでしょうか。

【大臣】
 出入国在留管理は,外国人の人権に配慮しながら,ルールにのっとって外国人を受け入れて適切な支援を行っていくこと,そして,ルールに違反する者に対しては,厳正に対応することが大原則,大前提です。
 その上で,制度の運用に当たっては,様々な意見があるものと承知しています。
 ですから,そういうものにしっかり耳を傾けつつ,適切な運用をするべく,不断の努力をしているところです。そのような入管行政の責任ということも併せて考えながら,適切な運用を目指していく姿勢に変わりはありません。

【記者】
 長期収容の問題もありますが,その中で,例えば品川の東京入管ですと,今収容されている外国人が12月末現在で70名近くいると思うのですが,そのうち半数以上がベトナム国籍の人が収容されています。
 多くが技能実習生だったり,留学生だったりで,行き場がなくなった外国人だと思うのですけれども,そういった方を帰国するまではまだ収容するということだと思うのですけれども,本来であれば,きちんと緊急シェルターと言いますか,生活を保護できるような施設を作るですとか,今の状態で民間とどうやってつないでいくかという対策もやっていらっしゃるとは思うのですけれども,今入管施設が,そうしたシェルター代わりになってしまっているとか,あるいは,中には犯罪を犯してしまう方もいたり,不法就労で捕まってしまったりする方もいるわけですけれども,そういった方は警察の留置場なのか入管施設なのかというのは,非常に人道的な問題が多いと思います。こうした対策というのは,民間の支援団体に丸投げとか,あるいは,入管収容に委ねてしまっていいのかどうか,政府として対策を立てるべきではないかと思います。
 そういった技能実習生で失踪してしまった人がその後どうなっているかという調査は,厚生労働省などと一緒にやっていらっしゃるのでしょうか。その実態についてどの程度把握していらっしゃるのかということについて伺いたいのですが,よろしくお願いいたします。

【大臣】
 何度もお答えしていますとおり,出入国在留管理には原則があります。
 その原則にのっとって,適切に運用されるよう不断の努力をしています。
 そして,お尋ねの件は,正に送還忌避や長期収容の問題と一体的に考えていかなければならないことだと思っています。

(以上)

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