外務省・新着情報

冒頭発言

フィリピンに対する緊急無償資金協力

【林外務大臣】今日は、フィリピンに対する緊急無償資金協力についてご報告でございます。
 本日、日本政府は、先月のフィリピンにおける台風22号の被害に対する人道支援として、合計1,300万ドル(約14億400万円)ですが、これの緊急無償資金協力を実施することを決定いたしました。
 フィリピンでは、800万人近い被災者や約140万棟の家屋損壊が発生しているほか、被災地域では依然として生活必需品の供給が間に合っていない状況です。
 こうした中、先月23日には、JICAを通じて発電機やテント等の緊急援助物資を供与したところですが、今次の協力では、その後の現地での支援ニーズを踏まえて、国際機関経由で、食料、住居、生活必需品、保健、水・衛生等の分野の支援を実施をいたします。日本は、こうした支援を通じて、被災地域の一日も早い復旧に向けて、フィリピンと緊密に連携をしてまいります。私(林大臣)からは以上でございます。

海部俊樹元総理逝去

【読売新聞 阿部記者】海部元総理が亡くなられました。海部総理が在任中は、冷戦が終結して湾岸戦争が勃発するなど、国際情勢の転換期だったとも思いますが、海部総理が日本外交上に果たした役割ですとか、功績、歴史的意義について、どのようにお考えでいらっしゃるか、大臣のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】まずは、海部俊樹元総理の訃報に接し、心から哀悼の意を表したいと、こういうふうに思います。
 今も少し触れていただきましたけれども、海部元総理が総理をお務めになっていただいた1989年から1991年、この時期は、ベルリンの壁崩壊から米ソの冷戦終結宣言、また、湾岸戦争の勃発から終結と、国際社会が歴史的な変化を経験した時代であったと思います。
 こうした中、当時の海部総理におかれては、自衛隊初の海外任務となるペルシャ湾派遣、これを決定をされました。また、廃案にはなりましたものの、国際平和協力法案、これを提出をして、国際協調活動への参加に関する議論の端緒を開くとなど、変化する安全保障環境への対応に尽力をされたと承知をしております。今日、国際社会がまた大きな変化に再び直面する中で、海部元総理を始めとする先人の努力を礎に、国民を守り抜く、毅然とした外交を進める決意を新たにしたところでございます。

米国による対北朝鮮制裁強化提案

【時事通信 田中記者】北朝鮮のミサイル発射を受けた制裁について、いくつかお尋ねするんですけれども、米国は国連の場で、制裁の強化というのを提案しておりますが、これに対する日本の対応ということと、あと、日本で独自に制裁を強化していくようなお考えがあるかどうかということ、あと、北朝鮮が米国の制裁強化に対して、ミサイル発射というのは自衛権だというふうに反論する談話を出しておりますが、これについての受け止めをお願いします。

【林外務大臣】まず、米国の提案でございますが、この対北朝鮮制裁強化に関する国連安保理への米国の提案については、我が国としては、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けたこうした米国の立場を支持しております。
 日本としては、関連安保理決議の実効性の向上に向けて取り組んできており、引き続き、北朝鮮の完全な非核化に向けて、米国と緊密に連携していきたいと思っております。
 日本独自の制裁ということについてでございますが、日本の措置としては、これまで関連安保理決議で禁止された活動に関与する個人・団体への資産凍結を行うとともに、北朝鮮籍者の入国の原則禁止、更には北朝鮮との輸出入の禁止等の措置をとってきておりまして、引き続き、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、こうした措置の実施を徹底していきたいと考えております。
 その上で、今後の具体的対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的かという観点から、不断に検討をしてまいりたいと思っております。
 そして、北朝鮮の米国の制裁に反発する外務省スポークスマン談話でございますが、北朝鮮がご指摘の談話を出したということは承知をしております。北朝鮮側の発表の一つひとつにコメントすることは差し控えますが、今回の米国による対北朝鮮制裁に関する制裁対象の追加措置に関し、日本としては、先ほど申し上げたとおりですが、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けた、こうした米国の立場を支持をしておりますので、引き続き、北朝鮮の完全な非核化に向けて、米国と緊密に連携をしていきたいと考えております。

新型コロナウイルス(水際対策)

【テレビ朝日 澤井記者】水際措置についてお伺いします。現状、帰国者は入国後14日間待機が必要で、中でもオミクロン株の指定の国については、3日から10日間の施設での停留が求められています。
 一方でオミクロン株は、感染してから発症までの潜伏期間が短いという厚労省のアドバイザリーボードの指摘もありまして、それを踏まえて、政府は今、濃厚接触者について14日間という待機期間について短縮する方向で、早急に結論を出すというふうにしています。
 潜伏期間の短さなど、客観的エビデンスということであれば、その水際の待機期間に関しても、短縮することが可能なんではないかと思いますが、今の検討状況と可能性について教えてください。

【林外務大臣】オミクロン株の対応に当たっては、慎重にも慎重に対応すべきという考え方から、これまでもG7で最も厳しい水際対策を講じており、引き続き、人道上国益上の観点から、必要な対応を行いながら14日間の自宅等待機や、リスクに応じた指定施設停留措置などの、現在の水際対策の骨格を維持することとしておるところでございます。
 水際対策に関する今後の対応については、関係省庁で検討をしていくということになっております。

【ラジオ・フランス 西村記者】関連で、水際対策について質問させていただきます。新規入国については、政府は「人道上」、「国益上」の観点から必要な対応をすると言っていますが、「人道上」とは何かを知りたいんですね。例えば、日本で働いている外国人女性は出産のために母国に里帰りしましたが、彼女は仕事の復帰などの理由で、日本に戻らなければいけません。彼女の再入国は可能ですが、赤ちゃんは、新規入国だから入国が否定されています。この事例は、人道上の「特段の事情」ではなければ、何が「特段の事情」であるのでしょうか。

【林外務大臣】「人道上の配慮」の基準というようなお尋ねだったと思いますが、これまでも、人道的な配慮が必要な場合などについては、個別の事情を踏まえて、必要な防疫措置を講じた上で、入国を認めてきておりますので、引き続き、この個別の事情を勘案しつつ、必要かつ適切な対応を継続をしていくと、こういうことになっております。留学生の新規入国については、卒業や進級が迫る学生もいる状況等を踏まえて、対応を検討していくということでございます。

NPT運用検討会議

【中国新聞 樋口記者】NPT再検討会議について伺います。4度目の延期が決まったということを報道されていますけど、外務省の方から特に打ち出しがないもんですから、まず、その延期ということ、報道では、8月視野に開催を模索しているということですけど、この辺の事実関係をどういうふうに把握されているのかというのが一点と、もう一つ、やっぱり、ずっと唯一の核保、有国交えた貴重な議論の場だということだと思うんですけど、なかなか開かれないということで、核軍縮議論が停滞するという懸念があります。被爆地からも、かなりそういった声が出ておりまして、演説する予定だったNGOとか、広島市長とかも、その内容を公開するとかいう動きがあって、かなり、核軍縮議論を前に進めてほしいという願いが強まっておりますけれども、こうした懸念について、大臣、どういうふうにお考えか 、この2点お願いします。

【林外務大臣】昨年の12月30日、ニューヨーク時間ということですが、第10回の核兵器不拡散条約運用検討会議、これはニューヨークにおける新型コロナの急速な感染拡大を踏まえてということで、当初予定されていた1月4日からの開催が延期されることになりました。従来から申し上げているように、核兵器国と非核兵器国の双方が参加するNPT運用検討会議は核兵器のない世界に向けて前進するための貴重な機会でありますので、会議の延期が決まったということは極めて残念だと考えておりますが、ニューヨークにおける新型コロナの急速な感染拡大を踏まえますと、やむを得ないものと考えております。
 いずれにしても、NPT運用検討会議が、可能な限り早期に然るべき形で開催されて、意義ある成果を収めるということが重要であると考えており、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っております。なおこの会議の時期などについては引き続き、締約国間で議論が行われることになっておりまして、現時点ではまだ何も決まっていないという状況でございます。

レバノンに対する支援基金

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 昨日、フランスは、レバノン支援のための仏・サウジアラビア基金にアラブ首長国連邦が参加すると発表しました。これまで日本はレバノンを含むアラブ諸国への支援を行ってきており、また日・レバノン間に特別な事案も存在する中、日本は同基金に参加する予定はあるでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。今の御指摘の発表に関する報道は承知をしておりますが、現時点において、今お話のあった同基金の詳細、これまだ明らかになっておりませんので、現段階ではまだ具体的な検討を行う段階にはないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、レバノンの平和と安定、これは中東地域全体にとって、極めて重要だと考えておりまして、日本はこの観点から、引き続き、レバノンの人々に資する必要な支援を行っていく考えでございます。

北方領土問題(ロシアによる軍事訓練)

【北海道新聞 文記者】北方領土についてお尋ねします。ロシアが今月に入って、北方領土の周辺海域での軍事訓練を活発化させているんですけれども、これに対する日本政府の対応と受け止めをお願いしたいというのと、あと、近年ロシアが進める軍備の近代化と強化というものが、日本の安全保障や後平和条約交渉にどのような影響を与えているかという考えをお聞かせください。

【林外務大臣】北方四島におけるロシアによる軍備の強化につきましては、これら諸島に関する我が国の立場と相容れず、受入れられず、抗議をしてきております。北方領土におけるロシア軍の動向については、日頃から注視をし、情報収集を行ってきているところであり、引き続き、適切に対応していきたいと考えております。
 そして、2番目のお尋ねですが、北方四島におけるロシアによる軍備の強化に関する我が国の立場は先ほど述べたとおりですが、その上で申し上げれば、やはり根本的に重要なことは、北方領土問題それ自体、やはり解決することであると考えております。そういった意味で、政府として引き続き領土問題を解決して、平和条約を締結すると、この基本方針のもとでロシアとの交渉に、粘り強く取り組んでいく考えでございます。

海部俊樹元総理逝去

【北海道新聞 文記者】海部総理の件で元総理の件、ちょっと1点だけ。

【林外務大臣】海部総理?

【北海道新聞 文記者】はい、そうです。海部総理は91年に、ゴルバチョフ・当時のソ連大統領が来日して日ソ共同声明というものを出して、そこで北方四島について、国後、択捉を含めて初めて四島が明記されて、かつ現在ビザなし交流に繋がる枠組みというものも、あそこで公表したという功績があって。そのあたり、ロシア外交における海部元総理の功績について、何かお考えがあればお聞かせください。

【林外務大臣】先ほど、自衛隊のペルシャ湾派遣、国際平和協力法案の提出ということを触れさせていただきましたけれども、それ以外に、今触れていただいた件や、米ソ首脳間の冷戦終結宣言というのも、実は、海部内閣の発足が8月でしたが、12月に行われている、先ほど申し上げたように、激動の時期であったという中で、しっかりと対応していただいたということの一つの事案が、今、触れていただいたことであろうと、こういうふうに理解をしております。

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